台本概要

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タイトル Uroboros
作者名 VAL  (@bakemonohouse)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男2、女3)
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ダークファンタジーです。
特に制限はございません。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
パレオ 73 本文参照
ケイルズ 64 本文参照
フィリム 48 本文参照
チェイン 66 本文参照
ララァ 65 本文参照
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:暗い話となっております。気分が悪くなり次第、中断していただいて構いません。 : パレオ:今作の主人公。物心付いた時から、勇者の資質を見込まれ、武術の道に入れられた、男爵家の三女。実家には捨てられたようなもの。 ケイルズ:シーフ。ベテラン冒険者。罠の取り外し、斥候など万能にこなす。優秀で優しい。しかし、死に際、禁忌の魔術を使用したことにより歪む。 フィリム:魔法使い。若いがかなりの魔法の使い手。チェインと恋仲ではあるが、性格がかなり捻じ曲がっている。普段は隠しているが、こいつが全ての元凶。 チェイン:フィリムと恋仲の戦士。剣も槍もお手の物。落ち着いた雰囲気をしているものの、あまり考えることには向いていない。直情的な男。気弱な面もある。 ララァ:町娘。勇者の資質を見込まれた宿屋の娘。過去に勇者に救われたことがあり、彼女に憧れている。純粋な心を持っているがゆえに、悲惨な運命を辿る。主に語り手を担当。 : : 0:(本編) : ララァ:今より少し前の話。私達の住む国、フェニキア王国では1人の女勇者がもてはやされていた。 ララァ:この国では、3歳を迎えた子供は教会から神託を授かり、資質を教わる。様々な職業の中から自分に1番合った職業を選べるように。 ララァ:彼女は勇者の資質を持っており、貴族の生まれでありながら家を捨て、勇者となる為、幼少から武術の道を歩んだ。 ララァ:その彼女の姿は、たくさんの国民を虜にした。私もその中の1人であった。あの時までは・・・ : 0:数年前。フェニキア王国。パレオ率いるパーティが魔物を討伐し、凱旋していた。 0:馬車内にて―― : ケイルズ:いやあ、それにしてもすっごい歓声だねぇ。人気者だ。 チェイン:確かにな。毎回帰る度に。よく飽きねえな、こいつら。 フィリム:どうせほとんどがパレオのファンよ。貴族様なのに、家を捨ててまで私たちを守ってくれてるわ!って。 ケイルズ:そんな言い方ないだろう。パレオが国民を守ってるのは確かな話だ。 フィリム:そこを言ってるんじゃないわよ。みんなのために家を自分で捨てたと思ってるのが滑稽だって言ってるのよ。 チェイン:ははっそれは確かに違いねえ。所詮、目に見えるものしか見えてねえんだよ。こいつらは。 ケイルズ:お前らいい加減に・・・ パレオ:落ち着いて。国民の前よ。声は聞こえなくても、さすがに掴みかかったら不安を仰ぐわ。 ケイルズ:で、でも。 パレオ:大丈夫。家から放り出されたのは本当のことだから。それに2人の口の悪さにはもう慣れてるわ。 チェイン:さすが勇者様は懐が深いわ。全てを許してくださる。 フィリム:聖職者の方が向いてたんじゃない? パレオ:その適正は無かったわよ?勇者の資質はそれ以外の資質がほぼない人間しか待たないからね。 フィリム:知ってるわよそんなこと。嫌味も通じないのね。 チェイン:まあそんなカリカリすんなよ。早く宿取って楽しもうぜ。な? フィリム:・・・ふん。 チェイン:んだよ。つれねーな。 ケイルズ:あいつら・・・ パレオ:戦いのとき、しっかりしてくれればそれでいいわ。 ケイルズ:・・・パレオがそれでいいなら、いいんだけど。あ、今日の宿はいつものとこか? パレオ:そうね。ララァの宿屋よ。 チェイン:あそこ良いよなあ。安い割に飯もうめえしベッドもフカフカときたもんだ。 ケイルズ:だな。あそこは居心地も良いし、俺も大好きだ。 フィリム:結構稼ぎあるんだから、もっといい部屋にしたいんだけどね。 チェイン:どうせどこ行っても文句言うくせに・・・ フィリム:何か言った? チェイン:いんや、何も言ってねえよ。 ケイルズ:お!ララァちゃんだ。手振ってるぞ。 0:馬車を降りる一行。 ララァ:勇者様!おかえりなさい! パレオ:うん。ただいま。 ケイルズ:ララァちゃんもパレオ大好きだなぁ~。 ララァ:はい!大好きです!でも、みなさんのことも好きですよ! チェイン:本当かあ?ついでじゃないだろうなあ。 ララァ:そんなわけないじゃないですか!フィリムさんは綺麗で憧れますし、チェインさんは強くて頼もしいですし、ケイルズさんは、えっと・・・優しいです! ケイルズ:俺だけ無理やり搾り出してない!? フィリム:見る目あるわねぇ。あんたはきっといいレディになるわよ。 パレオ:そうだね。ララァはきっといい女性になるわ。 ララァ:ほんと!?やったぁ! チェイン:まあまだまだガキだけどな! ララァ:ガキじゃないですよー。もう十二歳になったんですよ!冒険できる歳です! ケイルズ:ははは、そうだよな!これから強くなるんだもんな! ララァ:うん!強くなって勇者様を助けるの! パレオ:期待してるわね。 チェイン:早く入ろうぜ。もう疲れたわ。 ララァ:あっごめんなさい!すぐご案内しますね! 0:宿、室内。 ケイルズ:お疲れさん。今回も疲れたねぇ。 パレオ:そうでもないよ。いつもケイルズが完璧に視察してくれるから、最小限の力で切り抜けれる。ありがとね。 ケイルズ:お、おい。急に褒めるなよ。調子狂うだろ。 パレオ:あはは。ごめんね。でもいつも感謝してるんだよ。 ケイルズ:俺も感謝してるよ。・・・いやぁ何か照れるわ。ん? パレオ:どうしたの? ケイルズ:誰か部屋の前に来てるな。多分ララァちゃんだと思うけど。 0:ケイルズ、入り口に向かう。 ララァ:あっ! ケイルズ:やっぱり。パレオに用事かな? ララァ:は、はい。 ケイルズ:おっけー。じゃあ俺いくわ。立ち寄るところもあるし。じゃあな! 0:間― パレオ:どうしたの?こっちいらっしゃい。 ララァ:はい! パレオ:ふふっ元気いっぱいね。 ララァ:えへへ。あの・・・勇者様。 パレオ:何かしら? ララァ:私・・・えっと・・・ パレオ:ゆっくりでいいから、落ち着いて話してみて。 ララァ:(深呼吸)・・・私、騎士団に入ることにしました! パレオ:そう・・・なのね。 ララァ:早く強くなって、勇者になるんです。それで勇者様に――― パレオ:(食い気味に)ララァ。あまり大きな声で言ってはいけないわ。あなたに資質が見出されたことは秘匿されてるの。勇者が2人現れると、内戦の火種になりかねないから。それはわかるわね? ララァ:あ、ごめんなさい・・・ パレオ:ううん。気持ちはとても嬉しいわ。ありがとうね。きっとあなたなら開花も早いはずよ。頑張ってね。 ララァ:はい!頑張ります! 0:扉の外に1人の影があった。 フィリム:ふぅん・・・そう言うことねぇ・・・ふふふ、楽しくなってきたわ。私が1番になれるチャンスがやっと回ってきたわ・・・あとは、あいつをどうにかしないと・・・ね。ふふふふふ・・・ 0:孤児院前― チェイン:またここに来てたのか? ケイルズ:ん?チェインか。珍しいな、こんな町の外れまで来るなんて。フィリムと一緒じゃなかったのか? チェイン:どっか行っちまったんだよ。だから仕方なく、酒でも買おうと思ってな。 ケイルズ:そっか。結局どうなんだ? チェイン:何が? ケイルズ:うまいこといってるのか?フィリムと。 チェイン:・・・さあな。時々、あいつが何考えてるのかわからねえ。 ケイルズ:確かに。俺も時折、怖くなるよ。女ってのは。 チェイン:へえ。見た目も悪くねえんだし、ちょっとは浮ついた話の1つでもあるかと思って、わざわざこっちまで来たけど。その様子じゃ無さそうだな。 ケイルズ:まぁな。どっちかと言うと、女より孤児院にいる弟達の方が気になる。 チェイン:血も繋がって無いのに、よくそこまで想えるな。自分の給金もほとんどここに使ってるんだろ? ケイルズ:金はまた稼げばいい。それに、血の繋がりよりも、心の繋がりの方が大事だと思うぞ。俺はな。 チェイン:心の繋がりねえ。俺にはわかんねえなー。 ケイルズ:そのうちわかるよ。チェインにも。 チェイン:へいへい。精進しますよ。おじさん。 ケイルズ:お、おい!まだそんな歳じゃないっての! : : ララァ:この時までは、まだ繋がりがあったのです。しかしこの2日後。その繋がりが一気に綻び、崩れ去る事件が起きてしまいました。 : 0:孤児院近くの路地裏― フィリム:あら、待たせたかしら。 ケイルズ:ん?ああ、少しね。 フィリム:ごめんなさいね。少し準備に手間がかかっちゃって。 ケイルズ:・・・で、何の用事かな?チェインとの恋の相談かい? フィリム:いいえ。違うわ。 ケイルズ:じゃあ何―― フィリム:はぁ! ケイルズ:がはっ!!・・・な、何のつもりだ・・・? フィリム:あはは!あんたともあろう人が、私みたいなのに警戒を怠るなんてね~ほんと、お人好しだわ。 ケイルズ:どうして・・・裏切るつもりか!! フィリム:裏切るも何も。私は最初からあんた達と馴れ合う気なんて、さらさらないのよ。私は大魔導師よ。稀有な存在で、さらにその中でも群を抜いて資質があったわ。 フィリム:それなのに・・・それなのに勇者ってだけで私より崇められちゃって。気に入らないのよ! ケイルズ:たった・・・それだけのことで?狂ってる。狂ってるよお前! フィリム:ふん。何とでも言いなさい。あなたもこれから狂うのよ。怨念となって私の意のままに働きなさい。 ケイルズ:く・・・そ・・・みんな・・・パレオ・・・ごめんよ・・・ フィリム:あはははははは!・・・次はあの子に仕事してもらわなくちゃ・・・ふふふ・・あははははは!!! 0:間― ケイルズ:・・・ここは? ケイルズ:俺は何してたんだっけ?・・・っ!何で・・・どうして俺が倒れてるんだ・・・? ケイルズ:あ・・・そうだ。俺はフィリムに殺されて・・・殺されて?いや、違う。 ケイルズ:俺は解放されたんだ!魔物たちとの戦いも、孤児院に寄付も!もうやらなくていい。ははは・・・俺は幸せだ。 ケイルズ:・・・いや、まだだ。俺をこきつかった奴らを殺してやらなきゃ気が済まない!殺してやる。あいつら全員殺してやる!ひゃはははは!! : 0:ララァの宿― ララァ:はぁ・・はぁ・・勇者様! パレオ:ど、どうしたの。そんな急いで・・・ ララァ:(息切れしながら)あの・・・ケイルズさんが・・・ パレオ:落ち着いて。ケイルズがどうしたの? ララァ:・・・殺されました。 パレオ:・・・え?何を・・・言ってるの? ララァ:(すすり泣く) パレオ:ケイルズは優秀で、暗殺者でも殺せないと言われる男なのよ?誰が殺せるって言うのよ。誰よ・・・誰なのよ! ララァ:勇者様・・・痛い・・・です。 パレオ:・・・っ!ごめんなさい・・・ララァ。ケイルズの遺体はどこにあるの? ララァ:今、教会に運んでるそうです・・・ パレオ:行って来るわ。 ララァ:・・・はい。私も―― パレオ:無理をしてはいけないわ。落ち着くまで、ここにいなさい。別れまではまだ時間があるから。 ララァ:・・・はい。・・・わかりました。 : ララァ:勇者様は軽く私の頭を撫でて、微笑んだ後、部屋を出て行きました。1番無理をしているのは勇者様でした。 ララァ:パーティメンバーの突然の訃報。それだけでも膨大なダメージを負った勇者様に、この夜。さらに心を抉る様な事態が待っていました。 ララァ:そして、私自身の未来も大きな音を立てて崩れていくのでした・・・ : 0:教会前―たくさんの人でごった返している。 : チェイン:パレオ。ようやく来たか。 フィリム:遅かったわね。 パレオ:・・・ケイルズは? フィリム:教会の棺の中よ。 パレオ:・・・・・ フィリム:みんな、道を開けて。・・・行きなさい。 パレオ:ありがとう・・・ 0:間― パレオ:嘘・・・じゃないのね。本当に、死んでしまったのね・・・誰があなたをこんな姿に・・・ パレオ:・・・酷い傷。胸を一突きね。どうしてあんなに警戒心の強いあなたが。・・・違う。そんなわけない。ありえないわ。・・・まさかそんなことするわけが無い。 : チェイン:お、出てきたか。安らかな顔してたか?俺はこういうの苦手であんまり見たくねぇからよ。 パレオ:・・・っ。 チェイン:お、おい!なんだよあいつ・・・ フィリム:ほっときなさいよ。いくら強くても、まだまだ小娘なのよ。 チェイン:そんなもんかねえ。 フィリム:それよりさ。部屋に戻りましょうよ。 チェイン:ん?ああ、いいけど。 フィリム:今日はそういう気分なの。 チェイン:おいおい。こんな時にマジかよ。 フィリム:何?嫌なの?だったら適当に――― チェイン:そうは言ってねえだろ!・・・わかったよ。早く戻ろう。 フィリム:さすがチェイン。そういうとこ好きよ。 チェイン:へいへい。そりゃどうも。 0:間― チェイン:・・・今日、激しかったな。何かあったか? フィリム:別に。気分よ気分。 チェイン:嘘だろ。今までそんなこと無かったじゃねえか。 フィリム:・・・・・ チェイン:話してみろよ。それとも、俺にも話せないようなことなのか? フィリム:・・・嫌われたくないもの。 チェイン:嫌いになんてなるかよ。 フィリム:本当?信じていいの? チェイン:ああ。何でも聞いてやる。 フィリム:ケイルズ殺したの・・・私なのよ。 チェイン:・・・え?今、何て言った? フィリム:ケイルズを殺したって言ったの! チェイン:な、何で・・・何でそんなこと・・・ フィリム:仕方なかったのよ!私の秘密を探ろうとするから・・・ チェイン:秘密?何だよ、秘密って―― 0:部屋の外から物音― チェイン:・・・っ!誰だ!? フィリム:ララァかしら・・・ チェイン:くそっ!! フィリム:ちょっと!どこ行くのよ! チェイン:追いかけるんだよ!このままだと、パレオのところ行っちまうだろ! フィリム:待ってよ! フィリム:な~んてね。ここのやつらは馬鹿ばっかりで助かるわ。さぁお嬢ちゃん、そのまま勇者様を貶めてあげてね。あはははははは!! : 0:同時刻、孤児院前― : パレオ:・・・ここね。ケイルズが殺されたのは。胸を剣で一突き・・・そんなこと本当にありえるの?よりにもよってあなたに? ケイルズ:それがあっちゃってねぇ。俺も驚いたよ。 パレオ:・・・っ!誰!? ケイルズ:あぁ。ごめんごめん。今は姿が見えないんだ。魂だけの状態、いわゆるアストラル体ってやつだね。 パレオ:・・・本当に?本当にケイルズなの? ケイルズ:本当だよ。ごめんね。こんなことになっちゃって。 パレオ:あなたが謝ることじゃないでしょ!あなたは・・・何も悪くないじゃない・・・ ケイルズ:うん・・・でも今、パレオを泣かしてるのは俺だからさ。 パレオ:(深呼吸)誰があなたを殺したの? ケイルズ:・・・やっぱり気になるかい? パレオ:当たり前よ。許せない。許せるわけが無いじゃない! ケイルズ:・・・気付いてるんだろ? パレオ:・・・え? ケイルズ:遺体の傷跡やこの場所。何より俺が油断する相手。それだけで思い当たる節があったはずだ。 パレオ:それは・・・ ケイルズ:それであってるよ。君が今、頭の中で思い浮かべてる人物。それが俺を殺した犯人さ。 パレオ:え・・・それじゃ・・・嘘・・・ ケイルズ:嘘なんかじゃない。俺だって死んだあとに何度も思ったさ。似ているだけだ、きっと違う。あいつがそんなことするわけない!ってね。でも・・・これが真実なんだ。 パレオ:そんな・・・チェインがあなたを・・・? ケイルズ:・・・・・ パレオ:どうして?わけがわからない・・・ ケイルズ:俺だってわからないさ。でもね、起きてしまったことなんだ。どうしようもない。 パレオ:・・・・・ ケイルズ:君はこれからどうするつもりなんだい? パレオ:私は・・・ ケイルズ:あいつと一緒にいてはいけない。だが、俺の仇なんてものは取ろうとしないでくれ。今以上に苦しむパレオを見たくない。 パレオ:嫌だ。あなたを殺しておいてヘラヘラしてる人をただ許すなんて、私には出来ない! ケイルズ:パレオ、これは君のために言ってるんだ。そんな感情は何の得にもなりはしないよ。 パレオ:無理よ!せめて、あなたに謝らせて、どうして殺したのか聞かないと気が済まない! ケイルズ:おい、行くな!パレオ!! : ケイルズ:・・・行っちゃったか。ははは、やっぱりまだまだガキだなぁ。扱いやすくていいけどね。さぁ見せておくれよ。君がどこまで堕ちていくのかを、ね。はははははは! 0:間― チェイン:おい!待て! ララァ:・・・はぁ、はぁ チェイン:ちっ!逃げ足が速いガキだ!! ララァ:はぁ、はぁ。ケホケホ!・・・もう、追ってきてないよね・・・ : ララァ:フィリムさんとチェインさんが話してる内容を聞いてしまった私は、勇者様にそのことを伝えようとしました。 ララァ:この頃の私は焦っていたんでしょう。物音を大きく立ててしまい、チェインさんに見つかってしまったのです。必死に走って街の路地へと辿り付いたのですが・・・ ララァ:もしあの時、私が物音さえ立てなければ、違う未来があったと思うと・・・後悔の念が今も尚、消えることはありません。 : ララァ:・・・そろそろ勇者様のところに行かないと。・・・っ! チェイン:見いつけた。どこに行くって? ララァ:ゆ、勇者様のところです。 チェイン:へえ。何をしに? ララァ:・・・ケイルズさんの話をしに行くんです。 チェイン:隠さないんだな。聡明なのか、それとも半分諦めてるだけなのか。どっちにしろ、行かせるわけにはいかねえな。 ララァ:どうしてですか!? チェイン:そんなことをしたら!フィリムが捕まっちまうだろうが・・・ ララァ:それは、そうですけど。でもケイルズさんが――― チェイン:死んだやつの話をするな!!俺は・・・フィリムさえいれば・・・ ララァ:そんなの・・・そんなのは愛なんかじゃありません! チェイン:お前に何がわかる!お前みたいなガキと同じにすんじゃねえ! ララァ:・・・フィリムさんは罪を償うべきです・・・どんな理由があったとはいえ、許されません! チェイン:わかってるよ!そんなこと! ララァ:・・・そこをどいてください チェイン:無理だ。お前には俺と一緒に来てもらう。 ララァ:痛っ!離して下さい! : ララァ:チェインさんは聞く耳を持たず、私の手を強引に引っ張っていきました。 ララァ:街の人も怪訝な顔で私たちを見つめていましたが、今の彼にはそれを気にする余裕も持ち合わせてないようでした。 ララァ:街の外れに差し掛かった頃、最悪の出会いが不気味な笑みを浮かべながら迎えに来ました。 : パレオ:チェイン!何をしてるの!? チェイン:パレオ!?くそ! ララァ:・・・っ! パレオ:チェイン・・・あなた・・・ チェイン:近づくな!そこから少しでも動いたら、このガキを殺す! ララァ:・・・勇者、様。 パレオ:ララァ、必ず助けてあげるから少し待ってね。 ララァ:(頷く) パレオ:どうしてなの!チェイン!どれだけ罪を重ねるつもりよ! ケイルズ:うわぁ最悪の形になったねぇ。 パレオ:・・・ケイルズ!? ケイルズ:ああ。チェインのやつ、余裕が全く無いな。剣を持つ手も震えてる。このままじゃララァちゃん殺されるぞ。 パレオ:・・・どうすればいいの? ケイルズ:ごめん・・・こっちが先に。としか思い付かない・・・ パレオ:そんな・・・ チェイン:何を1人でブツブツ言ってんだ!! パレオ:・・・・・ チェイン:ははっ・・・お前、俺に剣を向けるのかよ・・・ パレオ:・・・ララァから手を離しなさい。 ケイルズ:無駄だよ。そんな声、彼には届いてない。ここで逃がせば、間違いなくララァちゃんは戻っては来れない。よく考えるんだ。 パレオ:チェイン!手を離せ!あなたには聞きたいことがたくさんあるのよ! チェイン:うるせえ!俺はお前に用なんて無いんだよ! パレオ:・・・そこまで腐ってるの?彼を殺して、次はララァ? チェイン:は?何わけのわかんねえこと言ってんだよ! ララァ:勇者様!それは――― チェイン:ちぃ!!動くな!クソガキ! ケイルズ:今だ!行け! パレオ:うわあああああ!!!! チェイン:が・・・パレ・・・オ、お前・・・ ララァ:・・・あぁ・・・・・・いやああああ!!! パレオ:あ・・・私、何てことを・・・ ケイルズ:あーあ。殺しちゃった。よく考えろって言ったのに。まだまだ子供なんだよ君も。でもこれから大人になるチャンスだ。毎日忙しくなるよー。せいぜい頑張ってね。仲間殺しの勇者さん。ひゃはははは!!! パレオ:あ・・・ああ・・・うわああああ!! : ララァ:勇者様は発狂し、そこから立ち去っていきました。しかし、私の悲鳴と勇者様の叫びを聞いた人たち数人がそこにいました。 ララァ:その日から勇者様は、仲間殺しの勇者と国中で知られることとなり、私達の目の前に姿を現さないようになりました・・・ : フィリム:ふふふ。みんな本当によく踊ってくれるわね。いいわ・・・あと少しよ。あと少しで私がこの国で1番の羨望を浴びる人間となるのよ。あはは。あははははは!! : チェイン:・・・俺は死んだのか。ははっ。つまらねえ人生だったな。戦って稼いで、酒飲んで女抱いて・・・最後は女1人守れずに空回りして、結果パレオに殺されて。 チェイン:ははは・・・本当笑えるわ。情けねえ。次生まれ変わるなら、ちゃんと普通に生きてえなあ。 ケイルズ:えー。それって面白く無くない? チェイン:お前!?生きてたのか? ケイルズ:いんや。死んでるよ。君と同じさ。 チェイン:・・・ああ。そういやそうだったな。もう、死んでんだったわ。ってか成仏とかしねえもんなのか? ケイルズ:うーん。ちょっと諸事情があってねぇ。それでチェインにも手伝ってもらおうと思って。 チェイン:え?お前、何を言って・・・っ!うわあああ!! ケイルズ:君も俺と同じ怨念になって彷徨うんだよ・・・一緒に楽しもう。ははははは! : 0:数年後、現在―― : ララァ:あの事件から数年の時が経ちました。私は騎士団で鍛錬を積み、王家から勇者の称号を賜りました。 ララァ:・・・勇者様は、国から仲間殺しの罪を問われ、国内外に指名手配され、罪人とされました。 ララァ:恐らくフィリムさんの仕業でしょう。チェインさんだけでなく、ケイルズさん殺しの汚名も勇者様が背負わされておりました。 ララァ:当時の私はまだ若く、勇者の資質も明かしていなかったため、何を言っても信じてもらえず、自分の無力さを恨みました。 ララァ:この日、私は王家に呼ばれて城へと来ていました。勇者となった私の話なら聞いてもらえるのではないかと、ずいぶん頑張ってきましたが・・・ ララァ:王様から言い渡されたのは、罪人パレオの処刑命令でした・・・ : 0:処刑台―― : パレオ:ララァね・・・大きくなったわね。立派だわ。 ララァ:勇者様! パレオ:ダメよ。大きな声を出しては。私との関係性を疑われるわ。それに・・・私はもう勇者ではないわ。ただの罪人よ。 ララァ:そ、んな・・・ パレオ:もう、疲れちゃったの。あなたの手で死ねるなら本望よ。・・・ごめんなさいね。 0:観客から「早く殺せ!罪人を許すな!」など、様々な罵声が飛び交っている。 ララァ:・・・っ! パレオ:落ち着いて。私が言うわ。 パレオ:(大きく息を吸って)うるさい!あなた達が何をされたっていうのよ!都合のいいときはちやほやして、自分達が気に入らないことがあったら憤慨するんだ!お前らを守ろうとした私が馬鹿だった・・・全部壊してやるよ!!この世界も、お前らも!! 0:処刑場が静寂に包まれる。 ララァ:勇者、様・・・ パレオ:驚かせてしまったわね。ごめんなさい。これであなたを責める人は誰もいないわ。 ララァ:私には・・・できません。 パレオ:・・・お願い。もう、楽にさせて? ララァ:・・・・・ パレオ:ララァ。あなたしかいないの。私を・・・殺して・・・ ララァ:・・・せめて痛み無く、一太刀でいかせていただきます。 パレオ:ありがとう。ララァ。あなたのことは大好きよ。私には妹がいなかったから、本物の妹みたいに思っていたわ。 ララァ:・・・っ。勇者様・・・さようならです。私も大好きでした・・・ パレオ:うん・・・さよなら・・・ : フィリム:やったわ・・・ようやくね。これであとは、あの小娘が心を病むのを待つだけ・・・うふふふ。 ララァ:誰が心を病むんですか? フィリム:・・・っ!あんた、なぜここにいるの!?王家に呼び出されているはずじゃ・・・ ララァ:やっと見つけました。永かった・・・ずっと探していたんですよ。フィリムさん。 フィリム:わ、私に何か用があるのかしら・・・? ララァ:ええ。その通りです。 フィリム:え・・・は?嘘でしょ。どうして今、剣を抜くのかしら・・・? ララァ:・・・あなたを殺します。 フィリム:・・・っ!あんた勇者でしょう!?あんたもパレオと同じ運命を辿るつもり!? ララァ:気安く勇者様の名前を言うな!!・・・私はもう、失うものなんてない! フィリム:そ、そんな・・・あと少しなのに! チェイン:よう。久しぶりだな。 フィリム:この声・・・チェイン!?どうして・・・ チェイン:いやあ。ケイルズが離してくれなくってよ。成仏しそこねちまった。 ケイルズ:やぁ。その節はどうも。フィリムもこっちにおいでよ。何も考えなくていいから、楽だよ。ねぇパレオ。 パレオ:ふふっ。そうね。次こそはちゃんと仲間でいたいわね。ふふふ。 フィリム:そんな・・・嫌よ。私は死にたくない! ケイルズ:誰も死にたくはなかったよぉー。でも君が・・・この結末を招いたのさ。ふふふ、ひゃははははは!!! チェイン:そうそう。もう無理だ。諦めろ。 パレオ:自業自得ね。 フィリム:いや・・・いやあああああ!!!! : ララァ:私はフィリムさんを殺した。これで勇者パーティは全滅となりました。 ララァ:フィリムさんの死は、仲間が処刑されたことを憎み、私に襲い掛かったとして処理されました。 ララァ:それから私は何事も無く、勇者として生きてきました。・・・それも今日で終わり。もう疲れた・・・ チェイン:ついにこっちに来る気になったか? ケイルズ:思ったより早かったねぇ。 フィリム:こんなもんでしょ。私としてはもう少し早いと思ってたんだけど。 パレオ:ララァ。本当にいいの?もう戻れないわよ。 ララァ:ええ。いいんです。この国の人間を守る気になれませんから・・・ パレオ:そう・・・じゃあ歓迎するわ。いらっしゃい。 フィリム:いらっしゃい。 チェイン:いらっしゃい。 ケイルズ:いらっしゃい。 ララァ:はい。みなさん、よろしくお願いします。 : ララァ:私はついに勇者様たちと本当の仲間になることが出来ました。開放的な毎日にいつも感謝してます。 ララァ:・・・よかったら貴方も、私たちの仲間になりませんか?ふふふ・・・あはははははは・・・・ : : 0:Fin―

0:暗い話となっております。気分が悪くなり次第、中断していただいて構いません。 : パレオ:今作の主人公。物心付いた時から、勇者の資質を見込まれ、武術の道に入れられた、男爵家の三女。実家には捨てられたようなもの。 ケイルズ:シーフ。ベテラン冒険者。罠の取り外し、斥候など万能にこなす。優秀で優しい。しかし、死に際、禁忌の魔術を使用したことにより歪む。 フィリム:魔法使い。若いがかなりの魔法の使い手。チェインと恋仲ではあるが、性格がかなり捻じ曲がっている。普段は隠しているが、こいつが全ての元凶。 チェイン:フィリムと恋仲の戦士。剣も槍もお手の物。落ち着いた雰囲気をしているものの、あまり考えることには向いていない。直情的な男。気弱な面もある。 ララァ:町娘。勇者の資質を見込まれた宿屋の娘。過去に勇者に救われたことがあり、彼女に憧れている。純粋な心を持っているがゆえに、悲惨な運命を辿る。主に語り手を担当。 : : 0:(本編) : ララァ:今より少し前の話。私達の住む国、フェニキア王国では1人の女勇者がもてはやされていた。 ララァ:この国では、3歳を迎えた子供は教会から神託を授かり、資質を教わる。様々な職業の中から自分に1番合った職業を選べるように。 ララァ:彼女は勇者の資質を持っており、貴族の生まれでありながら家を捨て、勇者となる為、幼少から武術の道を歩んだ。 ララァ:その彼女の姿は、たくさんの国民を虜にした。私もその中の1人であった。あの時までは・・・ : 0:数年前。フェニキア王国。パレオ率いるパーティが魔物を討伐し、凱旋していた。 0:馬車内にて―― : ケイルズ:いやあ、それにしてもすっごい歓声だねぇ。人気者だ。 チェイン:確かにな。毎回帰る度に。よく飽きねえな、こいつら。 フィリム:どうせほとんどがパレオのファンよ。貴族様なのに、家を捨ててまで私たちを守ってくれてるわ!って。 ケイルズ:そんな言い方ないだろう。パレオが国民を守ってるのは確かな話だ。 フィリム:そこを言ってるんじゃないわよ。みんなのために家を自分で捨てたと思ってるのが滑稽だって言ってるのよ。 チェイン:ははっそれは確かに違いねえ。所詮、目に見えるものしか見えてねえんだよ。こいつらは。 ケイルズ:お前らいい加減に・・・ パレオ:落ち着いて。国民の前よ。声は聞こえなくても、さすがに掴みかかったら不安を仰ぐわ。 ケイルズ:で、でも。 パレオ:大丈夫。家から放り出されたのは本当のことだから。それに2人の口の悪さにはもう慣れてるわ。 チェイン:さすが勇者様は懐が深いわ。全てを許してくださる。 フィリム:聖職者の方が向いてたんじゃない? パレオ:その適正は無かったわよ?勇者の資質はそれ以外の資質がほぼない人間しか待たないからね。 フィリム:知ってるわよそんなこと。嫌味も通じないのね。 チェイン:まあそんなカリカリすんなよ。早く宿取って楽しもうぜ。な? フィリム:・・・ふん。 チェイン:んだよ。つれねーな。 ケイルズ:あいつら・・・ パレオ:戦いのとき、しっかりしてくれればそれでいいわ。 ケイルズ:・・・パレオがそれでいいなら、いいんだけど。あ、今日の宿はいつものとこか? パレオ:そうね。ララァの宿屋よ。 チェイン:あそこ良いよなあ。安い割に飯もうめえしベッドもフカフカときたもんだ。 ケイルズ:だな。あそこは居心地も良いし、俺も大好きだ。 フィリム:結構稼ぎあるんだから、もっといい部屋にしたいんだけどね。 チェイン:どうせどこ行っても文句言うくせに・・・ フィリム:何か言った? チェイン:いんや、何も言ってねえよ。 ケイルズ:お!ララァちゃんだ。手振ってるぞ。 0:馬車を降りる一行。 ララァ:勇者様!おかえりなさい! パレオ:うん。ただいま。 ケイルズ:ララァちゃんもパレオ大好きだなぁ~。 ララァ:はい!大好きです!でも、みなさんのことも好きですよ! チェイン:本当かあ?ついでじゃないだろうなあ。 ララァ:そんなわけないじゃないですか!フィリムさんは綺麗で憧れますし、チェインさんは強くて頼もしいですし、ケイルズさんは、えっと・・・優しいです! ケイルズ:俺だけ無理やり搾り出してない!? フィリム:見る目あるわねぇ。あんたはきっといいレディになるわよ。 パレオ:そうだね。ララァはきっといい女性になるわ。 ララァ:ほんと!?やったぁ! チェイン:まあまだまだガキだけどな! ララァ:ガキじゃないですよー。もう十二歳になったんですよ!冒険できる歳です! ケイルズ:ははは、そうだよな!これから強くなるんだもんな! ララァ:うん!強くなって勇者様を助けるの! パレオ:期待してるわね。 チェイン:早く入ろうぜ。もう疲れたわ。 ララァ:あっごめんなさい!すぐご案内しますね! 0:宿、室内。 ケイルズ:お疲れさん。今回も疲れたねぇ。 パレオ:そうでもないよ。いつもケイルズが完璧に視察してくれるから、最小限の力で切り抜けれる。ありがとね。 ケイルズ:お、おい。急に褒めるなよ。調子狂うだろ。 パレオ:あはは。ごめんね。でもいつも感謝してるんだよ。 ケイルズ:俺も感謝してるよ。・・・いやぁ何か照れるわ。ん? パレオ:どうしたの? ケイルズ:誰か部屋の前に来てるな。多分ララァちゃんだと思うけど。 0:ケイルズ、入り口に向かう。 ララァ:あっ! ケイルズ:やっぱり。パレオに用事かな? ララァ:は、はい。 ケイルズ:おっけー。じゃあ俺いくわ。立ち寄るところもあるし。じゃあな! 0:間― パレオ:どうしたの?こっちいらっしゃい。 ララァ:はい! パレオ:ふふっ元気いっぱいね。 ララァ:えへへ。あの・・・勇者様。 パレオ:何かしら? ララァ:私・・・えっと・・・ パレオ:ゆっくりでいいから、落ち着いて話してみて。 ララァ:(深呼吸)・・・私、騎士団に入ることにしました! パレオ:そう・・・なのね。 ララァ:早く強くなって、勇者になるんです。それで勇者様に――― パレオ:(食い気味に)ララァ。あまり大きな声で言ってはいけないわ。あなたに資質が見出されたことは秘匿されてるの。勇者が2人現れると、内戦の火種になりかねないから。それはわかるわね? ララァ:あ、ごめんなさい・・・ パレオ:ううん。気持ちはとても嬉しいわ。ありがとうね。きっとあなたなら開花も早いはずよ。頑張ってね。 ララァ:はい!頑張ります! 0:扉の外に1人の影があった。 フィリム:ふぅん・・・そう言うことねぇ・・・ふふふ、楽しくなってきたわ。私が1番になれるチャンスがやっと回ってきたわ・・・あとは、あいつをどうにかしないと・・・ね。ふふふふふ・・・ 0:孤児院前― チェイン:またここに来てたのか? ケイルズ:ん?チェインか。珍しいな、こんな町の外れまで来るなんて。フィリムと一緒じゃなかったのか? チェイン:どっか行っちまったんだよ。だから仕方なく、酒でも買おうと思ってな。 ケイルズ:そっか。結局どうなんだ? チェイン:何が? ケイルズ:うまいこといってるのか?フィリムと。 チェイン:・・・さあな。時々、あいつが何考えてるのかわからねえ。 ケイルズ:確かに。俺も時折、怖くなるよ。女ってのは。 チェイン:へえ。見た目も悪くねえんだし、ちょっとは浮ついた話の1つでもあるかと思って、わざわざこっちまで来たけど。その様子じゃ無さそうだな。 ケイルズ:まぁな。どっちかと言うと、女より孤児院にいる弟達の方が気になる。 チェイン:血も繋がって無いのに、よくそこまで想えるな。自分の給金もほとんどここに使ってるんだろ? ケイルズ:金はまた稼げばいい。それに、血の繋がりよりも、心の繋がりの方が大事だと思うぞ。俺はな。 チェイン:心の繋がりねえ。俺にはわかんねえなー。 ケイルズ:そのうちわかるよ。チェインにも。 チェイン:へいへい。精進しますよ。おじさん。 ケイルズ:お、おい!まだそんな歳じゃないっての! : : ララァ:この時までは、まだ繋がりがあったのです。しかしこの2日後。その繋がりが一気に綻び、崩れ去る事件が起きてしまいました。 : 0:孤児院近くの路地裏― フィリム:あら、待たせたかしら。 ケイルズ:ん?ああ、少しね。 フィリム:ごめんなさいね。少し準備に手間がかかっちゃって。 ケイルズ:・・・で、何の用事かな?チェインとの恋の相談かい? フィリム:いいえ。違うわ。 ケイルズ:じゃあ何―― フィリム:はぁ! ケイルズ:がはっ!!・・・な、何のつもりだ・・・? フィリム:あはは!あんたともあろう人が、私みたいなのに警戒を怠るなんてね~ほんと、お人好しだわ。 ケイルズ:どうして・・・裏切るつもりか!! フィリム:裏切るも何も。私は最初からあんた達と馴れ合う気なんて、さらさらないのよ。私は大魔導師よ。稀有な存在で、さらにその中でも群を抜いて資質があったわ。 フィリム:それなのに・・・それなのに勇者ってだけで私より崇められちゃって。気に入らないのよ! ケイルズ:たった・・・それだけのことで?狂ってる。狂ってるよお前! フィリム:ふん。何とでも言いなさい。あなたもこれから狂うのよ。怨念となって私の意のままに働きなさい。 ケイルズ:く・・・そ・・・みんな・・・パレオ・・・ごめんよ・・・ フィリム:あはははははは!・・・次はあの子に仕事してもらわなくちゃ・・・ふふふ・・あははははは!!! 0:間― ケイルズ:・・・ここは? ケイルズ:俺は何してたんだっけ?・・・っ!何で・・・どうして俺が倒れてるんだ・・・? ケイルズ:あ・・・そうだ。俺はフィリムに殺されて・・・殺されて?いや、違う。 ケイルズ:俺は解放されたんだ!魔物たちとの戦いも、孤児院に寄付も!もうやらなくていい。ははは・・・俺は幸せだ。 ケイルズ:・・・いや、まだだ。俺をこきつかった奴らを殺してやらなきゃ気が済まない!殺してやる。あいつら全員殺してやる!ひゃはははは!! : 0:ララァの宿― ララァ:はぁ・・はぁ・・勇者様! パレオ:ど、どうしたの。そんな急いで・・・ ララァ:(息切れしながら)あの・・・ケイルズさんが・・・ パレオ:落ち着いて。ケイルズがどうしたの? ララァ:・・・殺されました。 パレオ:・・・え?何を・・・言ってるの? ララァ:(すすり泣く) パレオ:ケイルズは優秀で、暗殺者でも殺せないと言われる男なのよ?誰が殺せるって言うのよ。誰よ・・・誰なのよ! ララァ:勇者様・・・痛い・・・です。 パレオ:・・・っ!ごめんなさい・・・ララァ。ケイルズの遺体はどこにあるの? ララァ:今、教会に運んでるそうです・・・ パレオ:行って来るわ。 ララァ:・・・はい。私も―― パレオ:無理をしてはいけないわ。落ち着くまで、ここにいなさい。別れまではまだ時間があるから。 ララァ:・・・はい。・・・わかりました。 : ララァ:勇者様は軽く私の頭を撫でて、微笑んだ後、部屋を出て行きました。1番無理をしているのは勇者様でした。 ララァ:パーティメンバーの突然の訃報。それだけでも膨大なダメージを負った勇者様に、この夜。さらに心を抉る様な事態が待っていました。 ララァ:そして、私自身の未来も大きな音を立てて崩れていくのでした・・・ : 0:教会前―たくさんの人でごった返している。 : チェイン:パレオ。ようやく来たか。 フィリム:遅かったわね。 パレオ:・・・ケイルズは? フィリム:教会の棺の中よ。 パレオ:・・・・・ フィリム:みんな、道を開けて。・・・行きなさい。 パレオ:ありがとう・・・ 0:間― パレオ:嘘・・・じゃないのね。本当に、死んでしまったのね・・・誰があなたをこんな姿に・・・ パレオ:・・・酷い傷。胸を一突きね。どうしてあんなに警戒心の強いあなたが。・・・違う。そんなわけない。ありえないわ。・・・まさかそんなことするわけが無い。 : チェイン:お、出てきたか。安らかな顔してたか?俺はこういうの苦手であんまり見たくねぇからよ。 パレオ:・・・っ。 チェイン:お、おい!なんだよあいつ・・・ フィリム:ほっときなさいよ。いくら強くても、まだまだ小娘なのよ。 チェイン:そんなもんかねえ。 フィリム:それよりさ。部屋に戻りましょうよ。 チェイン:ん?ああ、いいけど。 フィリム:今日はそういう気分なの。 チェイン:おいおい。こんな時にマジかよ。 フィリム:何?嫌なの?だったら適当に――― チェイン:そうは言ってねえだろ!・・・わかったよ。早く戻ろう。 フィリム:さすがチェイン。そういうとこ好きよ。 チェイン:へいへい。そりゃどうも。 0:間― チェイン:・・・今日、激しかったな。何かあったか? フィリム:別に。気分よ気分。 チェイン:嘘だろ。今までそんなこと無かったじゃねえか。 フィリム:・・・・・ チェイン:話してみろよ。それとも、俺にも話せないようなことなのか? フィリム:・・・嫌われたくないもの。 チェイン:嫌いになんてなるかよ。 フィリム:本当?信じていいの? チェイン:ああ。何でも聞いてやる。 フィリム:ケイルズ殺したの・・・私なのよ。 チェイン:・・・え?今、何て言った? フィリム:ケイルズを殺したって言ったの! チェイン:な、何で・・・何でそんなこと・・・ フィリム:仕方なかったのよ!私の秘密を探ろうとするから・・・ チェイン:秘密?何だよ、秘密って―― 0:部屋の外から物音― チェイン:・・・っ!誰だ!? フィリム:ララァかしら・・・ チェイン:くそっ!! フィリム:ちょっと!どこ行くのよ! チェイン:追いかけるんだよ!このままだと、パレオのところ行っちまうだろ! フィリム:待ってよ! フィリム:な~んてね。ここのやつらは馬鹿ばっかりで助かるわ。さぁお嬢ちゃん、そのまま勇者様を貶めてあげてね。あはははははは!! : 0:同時刻、孤児院前― : パレオ:・・・ここね。ケイルズが殺されたのは。胸を剣で一突き・・・そんなこと本当にありえるの?よりにもよってあなたに? ケイルズ:それがあっちゃってねぇ。俺も驚いたよ。 パレオ:・・・っ!誰!? ケイルズ:あぁ。ごめんごめん。今は姿が見えないんだ。魂だけの状態、いわゆるアストラル体ってやつだね。 パレオ:・・・本当に?本当にケイルズなの? ケイルズ:本当だよ。ごめんね。こんなことになっちゃって。 パレオ:あなたが謝ることじゃないでしょ!あなたは・・・何も悪くないじゃない・・・ ケイルズ:うん・・・でも今、パレオを泣かしてるのは俺だからさ。 パレオ:(深呼吸)誰があなたを殺したの? ケイルズ:・・・やっぱり気になるかい? パレオ:当たり前よ。許せない。許せるわけが無いじゃない! ケイルズ:・・・気付いてるんだろ? パレオ:・・・え? ケイルズ:遺体の傷跡やこの場所。何より俺が油断する相手。それだけで思い当たる節があったはずだ。 パレオ:それは・・・ ケイルズ:それであってるよ。君が今、頭の中で思い浮かべてる人物。それが俺を殺した犯人さ。 パレオ:え・・・それじゃ・・・嘘・・・ ケイルズ:嘘なんかじゃない。俺だって死んだあとに何度も思ったさ。似ているだけだ、きっと違う。あいつがそんなことするわけない!ってね。でも・・・これが真実なんだ。 パレオ:そんな・・・チェインがあなたを・・・? ケイルズ:・・・・・ パレオ:どうして?わけがわからない・・・ ケイルズ:俺だってわからないさ。でもね、起きてしまったことなんだ。どうしようもない。 パレオ:・・・・・ ケイルズ:君はこれからどうするつもりなんだい? パレオ:私は・・・ ケイルズ:あいつと一緒にいてはいけない。だが、俺の仇なんてものは取ろうとしないでくれ。今以上に苦しむパレオを見たくない。 パレオ:嫌だ。あなたを殺しておいてヘラヘラしてる人をただ許すなんて、私には出来ない! ケイルズ:パレオ、これは君のために言ってるんだ。そんな感情は何の得にもなりはしないよ。 パレオ:無理よ!せめて、あなたに謝らせて、どうして殺したのか聞かないと気が済まない! ケイルズ:おい、行くな!パレオ!! : ケイルズ:・・・行っちゃったか。ははは、やっぱりまだまだガキだなぁ。扱いやすくていいけどね。さぁ見せておくれよ。君がどこまで堕ちていくのかを、ね。はははははは! 0:間― チェイン:おい!待て! ララァ:・・・はぁ、はぁ チェイン:ちっ!逃げ足が速いガキだ!! ララァ:はぁ、はぁ。ケホケホ!・・・もう、追ってきてないよね・・・ : ララァ:フィリムさんとチェインさんが話してる内容を聞いてしまった私は、勇者様にそのことを伝えようとしました。 ララァ:この頃の私は焦っていたんでしょう。物音を大きく立ててしまい、チェインさんに見つかってしまったのです。必死に走って街の路地へと辿り付いたのですが・・・ ララァ:もしあの時、私が物音さえ立てなければ、違う未来があったと思うと・・・後悔の念が今も尚、消えることはありません。 : ララァ:・・・そろそろ勇者様のところに行かないと。・・・っ! チェイン:見いつけた。どこに行くって? ララァ:ゆ、勇者様のところです。 チェイン:へえ。何をしに? ララァ:・・・ケイルズさんの話をしに行くんです。 チェイン:隠さないんだな。聡明なのか、それとも半分諦めてるだけなのか。どっちにしろ、行かせるわけにはいかねえな。 ララァ:どうしてですか!? チェイン:そんなことをしたら!フィリムが捕まっちまうだろうが・・・ ララァ:それは、そうですけど。でもケイルズさんが――― チェイン:死んだやつの話をするな!!俺は・・・フィリムさえいれば・・・ ララァ:そんなの・・・そんなのは愛なんかじゃありません! チェイン:お前に何がわかる!お前みたいなガキと同じにすんじゃねえ! ララァ:・・・フィリムさんは罪を償うべきです・・・どんな理由があったとはいえ、許されません! チェイン:わかってるよ!そんなこと! ララァ:・・・そこをどいてください チェイン:無理だ。お前には俺と一緒に来てもらう。 ララァ:痛っ!離して下さい! : ララァ:チェインさんは聞く耳を持たず、私の手を強引に引っ張っていきました。 ララァ:街の人も怪訝な顔で私たちを見つめていましたが、今の彼にはそれを気にする余裕も持ち合わせてないようでした。 ララァ:街の外れに差し掛かった頃、最悪の出会いが不気味な笑みを浮かべながら迎えに来ました。 : パレオ:チェイン!何をしてるの!? チェイン:パレオ!?くそ! ララァ:・・・っ! パレオ:チェイン・・・あなた・・・ チェイン:近づくな!そこから少しでも動いたら、このガキを殺す! ララァ:・・・勇者、様。 パレオ:ララァ、必ず助けてあげるから少し待ってね。 ララァ:(頷く) パレオ:どうしてなの!チェイン!どれだけ罪を重ねるつもりよ! ケイルズ:うわぁ最悪の形になったねぇ。 パレオ:・・・ケイルズ!? ケイルズ:ああ。チェインのやつ、余裕が全く無いな。剣を持つ手も震えてる。このままじゃララァちゃん殺されるぞ。 パレオ:・・・どうすればいいの? ケイルズ:ごめん・・・こっちが先に。としか思い付かない・・・ パレオ:そんな・・・ チェイン:何を1人でブツブツ言ってんだ!! パレオ:・・・・・ チェイン:ははっ・・・お前、俺に剣を向けるのかよ・・・ パレオ:・・・ララァから手を離しなさい。 ケイルズ:無駄だよ。そんな声、彼には届いてない。ここで逃がせば、間違いなくララァちゃんは戻っては来れない。よく考えるんだ。 パレオ:チェイン!手を離せ!あなたには聞きたいことがたくさんあるのよ! チェイン:うるせえ!俺はお前に用なんて無いんだよ! パレオ:・・・そこまで腐ってるの?彼を殺して、次はララァ? チェイン:は?何わけのわかんねえこと言ってんだよ! ララァ:勇者様!それは――― チェイン:ちぃ!!動くな!クソガキ! ケイルズ:今だ!行け! パレオ:うわあああああ!!!! チェイン:が・・・パレ・・・オ、お前・・・ ララァ:・・・あぁ・・・・・・いやああああ!!! パレオ:あ・・・私、何てことを・・・ ケイルズ:あーあ。殺しちゃった。よく考えろって言ったのに。まだまだ子供なんだよ君も。でもこれから大人になるチャンスだ。毎日忙しくなるよー。せいぜい頑張ってね。仲間殺しの勇者さん。ひゃはははは!!! パレオ:あ・・・ああ・・・うわああああ!! : ララァ:勇者様は発狂し、そこから立ち去っていきました。しかし、私の悲鳴と勇者様の叫びを聞いた人たち数人がそこにいました。 ララァ:その日から勇者様は、仲間殺しの勇者と国中で知られることとなり、私達の目の前に姿を現さないようになりました・・・ : フィリム:ふふふ。みんな本当によく踊ってくれるわね。いいわ・・・あと少しよ。あと少しで私がこの国で1番の羨望を浴びる人間となるのよ。あはは。あははははは!! : チェイン:・・・俺は死んだのか。ははっ。つまらねえ人生だったな。戦って稼いで、酒飲んで女抱いて・・・最後は女1人守れずに空回りして、結果パレオに殺されて。 チェイン:ははは・・・本当笑えるわ。情けねえ。次生まれ変わるなら、ちゃんと普通に生きてえなあ。 ケイルズ:えー。それって面白く無くない? チェイン:お前!?生きてたのか? ケイルズ:いんや。死んでるよ。君と同じさ。 チェイン:・・・ああ。そういやそうだったな。もう、死んでんだったわ。ってか成仏とかしねえもんなのか? ケイルズ:うーん。ちょっと諸事情があってねぇ。それでチェインにも手伝ってもらおうと思って。 チェイン:え?お前、何を言って・・・っ!うわあああ!! ケイルズ:君も俺と同じ怨念になって彷徨うんだよ・・・一緒に楽しもう。ははははは! : 0:数年後、現在―― : ララァ:あの事件から数年の時が経ちました。私は騎士団で鍛錬を積み、王家から勇者の称号を賜りました。 ララァ:・・・勇者様は、国から仲間殺しの罪を問われ、国内外に指名手配され、罪人とされました。 ララァ:恐らくフィリムさんの仕業でしょう。チェインさんだけでなく、ケイルズさん殺しの汚名も勇者様が背負わされておりました。 ララァ:当時の私はまだ若く、勇者の資質も明かしていなかったため、何を言っても信じてもらえず、自分の無力さを恨みました。 ララァ:この日、私は王家に呼ばれて城へと来ていました。勇者となった私の話なら聞いてもらえるのではないかと、ずいぶん頑張ってきましたが・・・ ララァ:王様から言い渡されたのは、罪人パレオの処刑命令でした・・・ : 0:処刑台―― : パレオ:ララァね・・・大きくなったわね。立派だわ。 ララァ:勇者様! パレオ:ダメよ。大きな声を出しては。私との関係性を疑われるわ。それに・・・私はもう勇者ではないわ。ただの罪人よ。 ララァ:そ、んな・・・ パレオ:もう、疲れちゃったの。あなたの手で死ねるなら本望よ。・・・ごめんなさいね。 0:観客から「早く殺せ!罪人を許すな!」など、様々な罵声が飛び交っている。 ララァ:・・・っ! パレオ:落ち着いて。私が言うわ。 パレオ:(大きく息を吸って)うるさい!あなた達が何をされたっていうのよ!都合のいいときはちやほやして、自分達が気に入らないことがあったら憤慨するんだ!お前らを守ろうとした私が馬鹿だった・・・全部壊してやるよ!!この世界も、お前らも!! 0:処刑場が静寂に包まれる。 ララァ:勇者、様・・・ パレオ:驚かせてしまったわね。ごめんなさい。これであなたを責める人は誰もいないわ。 ララァ:私には・・・できません。 パレオ:・・・お願い。もう、楽にさせて? ララァ:・・・・・ パレオ:ララァ。あなたしかいないの。私を・・・殺して・・・ ララァ:・・・せめて痛み無く、一太刀でいかせていただきます。 パレオ:ありがとう。ララァ。あなたのことは大好きよ。私には妹がいなかったから、本物の妹みたいに思っていたわ。 ララァ:・・・っ。勇者様・・・さようならです。私も大好きでした・・・ パレオ:うん・・・さよなら・・・ : フィリム:やったわ・・・ようやくね。これであとは、あの小娘が心を病むのを待つだけ・・・うふふふ。 ララァ:誰が心を病むんですか? フィリム:・・・っ!あんた、なぜここにいるの!?王家に呼び出されているはずじゃ・・・ ララァ:やっと見つけました。永かった・・・ずっと探していたんですよ。フィリムさん。 フィリム:わ、私に何か用があるのかしら・・・? ララァ:ええ。その通りです。 フィリム:え・・・は?嘘でしょ。どうして今、剣を抜くのかしら・・・? ララァ:・・・あなたを殺します。 フィリム:・・・っ!あんた勇者でしょう!?あんたもパレオと同じ運命を辿るつもり!? ララァ:気安く勇者様の名前を言うな!!・・・私はもう、失うものなんてない! フィリム:そ、そんな・・・あと少しなのに! チェイン:よう。久しぶりだな。 フィリム:この声・・・チェイン!?どうして・・・ チェイン:いやあ。ケイルズが離してくれなくってよ。成仏しそこねちまった。 ケイルズ:やぁ。その節はどうも。フィリムもこっちにおいでよ。何も考えなくていいから、楽だよ。ねぇパレオ。 パレオ:ふふっ。そうね。次こそはちゃんと仲間でいたいわね。ふふふ。 フィリム:そんな・・・嫌よ。私は死にたくない! ケイルズ:誰も死にたくはなかったよぉー。でも君が・・・この結末を招いたのさ。ふふふ、ひゃははははは!!! チェイン:そうそう。もう無理だ。諦めろ。 パレオ:自業自得ね。 フィリム:いや・・・いやあああああ!!!! : ララァ:私はフィリムさんを殺した。これで勇者パーティは全滅となりました。 ララァ:フィリムさんの死は、仲間が処刑されたことを憎み、私に襲い掛かったとして処理されました。 ララァ:それから私は何事も無く、勇者として生きてきました。・・・それも今日で終わり。もう疲れた・・・ チェイン:ついにこっちに来る気になったか? ケイルズ:思ったより早かったねぇ。 フィリム:こんなもんでしょ。私としてはもう少し早いと思ってたんだけど。 パレオ:ララァ。本当にいいの?もう戻れないわよ。 ララァ:ええ。いいんです。この国の人間を守る気になれませんから・・・ パレオ:そう・・・じゃあ歓迎するわ。いらっしゃい。 フィリム:いらっしゃい。 チェイン:いらっしゃい。 ケイルズ:いらっしゃい。 ララァ:はい。みなさん、よろしくお願いします。 : ララァ:私はついに勇者様たちと本当の仲間になることが出来ました。開放的な毎日にいつも感謝してます。 ララァ:・・・よかったら貴方も、私たちの仲間になりませんか?ふふふ・・・あはははははは・・・・ : : 0:Fin―