台本概要

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タイトル うちのパーティーには華がない!!!リターンズ!
作者名 akodon  (@akodon1)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男4、女1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【アドリブ大歓迎!】
勇者、魔王倒すってよ。

演者様の性別は不問ですが、キャラクターの性別変更は無しでお願いします。

ヤツらがまた帰ってきた!?
まさかの続編ができました。楽しんで頂けると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
勇者 65 主人公。相変わらずのダメダメっぷり。女の子にモテるため、最近脱毛に通い始めた。
王子 64 はじまりの街にあるお城の王子。パーティーの常識人。最近キレやすくなってきた。
踊り子 41 国籍不明の大男。基本的には口が悪い。最近、実は結構流暢に喋れるんじゃね?という疑惑がある。
精霊 59 見た目は可憐なオネェさん。だが男だ。最近、はじまりの街に自分の店をオープンさせた。
魔王 23 ラスボス。父親が魔王だったってだけで後釜に据えられた。実は全然強くない。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:(とあるBARにて) 勇者:「ハァ・・・うちのパーティーには華がない・・・」 精霊:「あらァ、勇者ちゃんどうしたの?アンニュイな雰囲気醸し出しちゃってェ」 勇者:「聞いてよママぁ〜。うちのパーティーね、この魔王討伐ブームの中、全然女の子がいないんだよぉ〜」 精霊:「へぇ〜、女の子の冒険者も最近はたくさんいるのに、珍しいわね」 勇者:「そうなんだよ。街を歩けばあっちのパーティーにも、そっちのパーティーにも可愛い女の子がいるのにさぁ。 勇者:うちのパーティーには男しかいないの!何で!どうして!」 精霊:「まぁまぁ、落ち着きなさいな。 精霊:はい、コレ。アタシのおごり。凶悪なオーガも呑めばイチコロの『オーガころし』」 勇者:「ありがとう、ママ〜! 勇者:んぐ・・・んぐっ・・・プハーーーーッ!これは効くぅ〜!」 精霊:「んふふ、いい呑みっぷりねぇ〜」 勇者:「ハァ〜・・・ 勇者:ねぇ、ママ?俺もね、一応努力はしてんのよ? 勇者:毎日腕立て伏せと腹筋は欠かさずやってるし、男は清潔感が大事だっていうから、ヒゲ脱毛にも通い始めてさぁ。 勇者:もしも女の子を迎え入れた時の為に、めちゃくちゃ男磨きしてるのよ。マジで」 精霊:「やっぱりィ?そういえば、最近ちょっとイケメン度上がったと思ってたのよォ〜!」 勇者:「でしょ?でしょ?そうでしょ? 勇者:だからね、あとは女の子がうちのパーティーに入ってくれればオールOKな訳ですよ。 勇者:それなのに、それなのに・・・ううっ・・・」 精霊:「勇者ちゃん、ほらほら泣かないの。はい、ティッシュ」 勇者:「ぐすっ・・・ぐす・・・ありがと・・・」 精霊:「でも、勇者ちゃんのパーティーはもう4人揃っちゃってるわよね? 精霊:それに、魔王倒さなきゃ、パーティーは解散できないって決まりがあるんでしょ?」 勇者:「そうなの・・・誰だよ、そんな呪いみたいなシステム作ったの・・・」 精霊:「仕方ないわよ。それなら頑張って魔王倒すしかないんじゃない?」 勇者:「ヤダヤダ〜! 勇者:魔王城遠いし、道中出てくるモンスターもめちゃめちゃ強いから死んじゃう〜!こーわーい!」 精霊:「もう、甘えん坊な勇者ちゃんなんだからァ。 精霊:でも、そんなところが・・・可愛い♡」 勇者:「・・・ママ・・・」 精霊:「・・・勇者ちゃん♡」 王子:「はーい!お前ら茶番はいい加減にしなさい!」 王子:(王子、二人の頭をはたく) 勇者:「痛てぇ!何すんだよ!王子!」 精霊:「そーよそーよ!いきなり殴るなんて酷いわよ!何?DV!?」 王子:「うるさいっ!人が一生懸命レベル上げに行ってる時に、お前らは酒場でグダグダしやがって! 王子:もう旅立ってから2年近く経つよ?どうすんだよ! 王子:一向に始まりの街から出られてないよ!?」 踊り子:「もう外歩いてると笑われるどころか、冷ややかな視線を浴びるようになってきたヨ〜。 踊り子:この間、道具屋の店員さんに 踊り子:(『』内だけ流暢に) 踊り子:『あっ、棺桶運びの方ですよね?毎日お疲れ様です!』 踊り子:って間違えられたヨ〜。もう訂正するのも面倒臭いネ〜」 勇者:「仕方ないだろ!俺だってレベル上げして、一刻も早く魔王倒したいよ! 勇者:でも、どんどんモンスター強くなるんだもん! 勇者:知ってる?殴られると痛いし、切られると血が出るの!痛いのは嫌!」 王子:「そんな事言ってるヤツが、何で脱毛なんか通えるんだよ! 王子:アレめちゃめちゃ痛いって話じゃん!」 踊り子:「人によっては気絶するほど痛いって言うネ〜」 精霊:「ふふ・・・アタシにはわかる・・・ 精霊:美しくなる為なら、多少の痛みは我慢できるものよ・・・」 王子:「そういうアンタも全然レベル上げしてねぇだろ!?」 精霊:「え〜。だってアタシぃ、暑苦しいの嫌いだし、玉のお肌に傷付けたくないしぃ〜」 勇者:「あ〜ん、その気持ちわかるぅ〜」 精霊:「でしょでしょ〜」 王子:「・・・そうか、そういう事なら仕方ない。 王子:俺は親父から預かったこの手紙を、お前に渡さなきゃいけない」 勇者:「えっ?なになに?王様から手紙? 勇者:・・・えーっと・・・ゲェッ!」 踊り子:「どうしたネ?勇者サン」 勇者:「『前略、勇者殿。お主が旅立ってから早2年の時が過ぎようとしています。 勇者:一向に城下から旅立てないお主に対して、流石のワシも激おこぷんぷん丸! 勇者:なので、そろそろお主に対する援助を打ち切ろうと思います。 勇者:悪く思わないでね!バイチャ!草々(そうそう)。王より』・・・」 精霊:「あらァ・・・あまりのダメダメっぷりに国からも見放されちゃったわねぇ・・・」 踊り子:「王様も思わずキャラがブレブレになる程度には怒ってるネ〜」 勇者:「うそ・・・だろ・・・? 勇者:今まで国が支援してくれるのを良いことに、このニート生活を満喫していたのに・・・」 王子:「残念だったな。 王子:これでもうお前は勇者を辞めて、真面目に働くしか無くなってしまったわけだ」 精霊:「なぁに?勇者ちゃん、まさかの就職活動?」 勇者:「いーやーだー!!!今更、人の下なんかじゃ働けない! 勇者:俺は惰性(だせい)で魔王倒して、英雄として崇め奉られて、可愛いお嫁さんもらって、たくさんの子どもや孫に囲まれて、死ぬ時は縁側で茶でも飲みながら眠るように老衰で死ぬ、って決めてるの!」 踊り子:「でもこのままだと勇者サン。 踊り子:老衰で死ぬ前に、どこかの鉱山で死ぬほど働くことになるかもヨ? 踊り子:あとは・・・腎臓は二つあるからネ・・・」 勇者:「嫌だーーー!内臓を売るのだけは嫌だーーー! 勇者:王子、頼むよォ!王様に掛け合って、もう一度だけチャンスをくれるよう、お願いしてくれよォーーー!」 王子:「ダメだ!俺もこの国の王子として、これ以上無駄な金をお前に使う訳にはいかない!」 勇者:「うわぁああん!神様仏様王子様〜! 勇者:俺を見捨てないでぇ〜!」 精霊:「あっ、じゃあもういっそ、魔王倒しに行っちゃえば良いんじゃない?」 勇者:「えっ?」 精霊:「そうよそうよォ〜!死ぬ気になれば何でもできるハズよ、勇者ちゃん! 精霊:今からワンチャン、魔王に勝てる可能性に賭けて、マグロぎょせ・・・ゲフンゲフン。魔王城に乗り込みましょう!」 勇者:「えっ・・・それマジで言ってる?」 精霊:「イエス!マジ!大マジ♡」 王子:「いや・・・でも、未だにスライム一匹にすら手こずるコイツが、万が一にも魔王を倒す可能性なんて・・・」 精霊:「あるかもしれない、って言ったら?可能性」 踊り子:「精霊サン。何か秘策でもあるんデスか?」 精霊:「ふっふふーん♪今ねェ、アタシ良いこと思い出しちゃったのよォ」 0:(しばしの間。場面転換。魔王城前にて) 踊り子:「すごいネー。ここがウワサの魔王城なんだネー」 精霊:「どう?凄いでしょう?一瞬で魔王城へワープできるアタシの転移魔法」 王子:「行ったことがある場所には飛べる、って聞いてたけど、精霊界にはまだ行ったことのない場所へ飛べる転移魔法があるのか・・・」 精霊:「あら?違うわよ。 精霊:今、魔王城って結構有名な観光地になってるから、ちょっと前にツアーで遊びに来たことがあるだけ」 踊り子:「そういえば、観光客みたいな人、いっぱいいるヨー」 王子:「魔王城の前で写真撮影とか・・・なんて呑気なんだ・・・この世界の住人は・・・」 踊り子:「あれ?ところで勇者サンは?」 精霊:「あぁ、勇者ちゃんならあそこで・・・」 勇者:「怖い・・・魔王城怖い・・・」 踊り子:「震えてるネ」 王子:「震えてるな」 精霊:「もー!何やってんのよ、勇者ちゃん!こっちこっち!」 勇者:「ヤダーーー!こわいーーー! 勇者:魔王城こわいーーー!」 踊り子:「注射を打つ前のちびっこのようだネ」 精霊:「ゆーちゃん!大丈夫だから!あとでお菓子買ってあげるから!」 勇者:「ぐすん・・・ぐすん・・・ホント?」 王子:「まさかの幼児化・・・だと・・・?」 精霊:「ハァン・・・アタシ、母性本能擽(くすぐ)られちゃう・・・」 王子:「コラそこ。母乳をあげようとしない」 踊り子:「精霊サン。勇者サンがこんな感じで、魔王なんか倒せるんデスか?」 精霊:「大丈夫、大丈夫! 精霊:こういう時の為にとっておきの武器と防具を手に入れたの!」 王子:「そ、それは・・・!」 精霊:「ふふ・・・さすが王子ちゃん・・・その様子だと知っているようね・・・」 王子:「ああ、それは伝説の・・・勇者のみ身に着けることを許されるという装備、勇者シリーズ・・・!」 踊り子:「勇者シリーズ?」 王子:「ああ・・・その昔、初代勇者となった男が身に着けていたと言われる伝説の装備・・・ 王子:今はそれぞれ所在不明になっていると聞いていたのに、なぜそれがここに・・・」 精霊:「あら、うちのバーに呑みに来た別の勇者ちゃんたちが、払えなくなった呑み代の代わりに置いていったわよ」 王子:「くっ・・・伝説の装備をそんなに簡単に手放すなんて、この世界の勇者にはロクなヤツがいないのか・・・」 踊り子:「王子サン。肩を落とさないデ。 踊り子:うちの勇者サン見れば分かることヨ」 精霊:「でも、この装備の性能は最高よ〜! 精霊:魔王相手なら攻撃力増強、ダメージ激減。おまけに金運上昇、恋愛運上昇! 精霊:それにお肌の調子も良くなるって聞いたわァ〜」 勇者:「何!?恋愛運!?」 踊り子:「アッ、お帰り。勇者サン」 勇者:「なんだよなんだよ! 勇者:じゃあ、その装備着ければ、ゴミみたいなレベルの俺でも最強になれちゃうってわけ? 勇者:恋愛面的な意味でも?やったぁ!」 王子:「自分でゴミみたいって言うなよ・・・悲しくねぇのか?」 精霊:「そうそう!勇者ちゃんにはこの装備を着けてもらえばオッケー! 精霊:あとは王子ちゃんと踊り子ちゃんなんだけど・・・二人とも、レベルは?」 王子:「俺はレベル75」 踊り子:「ワタシはレベル84ネ〜」 勇者:「ハァッ!?お前らいつの間にそんなレベル上げたんだよ!?」 王子:「あのなぁ・・・お前らが呑気に脱毛やバーの経営に勤(いそ)しんでる間、俺らはずーーーっとレベル上げ頑張ってたんだよ。 王子:努力の結果です!」 勇者:「それにしたって、なんで踊り子のヤツの方がレベル高いの!?」 踊り子:「ワタシ、最近メイスを装備したヨ〜。 踊り子:この武器で相手、ボコボコにしてるヨ〜」 王子:「思わぬ才能開花だったな」 勇者:「まさかの肉体派かよ・・・」 精霊:「ふぅん、まぁ二人ともなかなかのレベルだわ。 精霊:それなら心配なさそうね」 王子:「いや待て、精霊。お前もそんなにレベル上げしてないだろ?」 精霊:「あらァ、アタシを舐めないでちょうだい。 精霊:ちまちましたレベル上げなんかしなくたって、アタシにはコレがあるのよ」 王子:「おい・・・ちょっと待て・・・ 王子:何故観光客に向けて杖を構えてるんだ・・・」 精霊:「行くわよォ〜!闇魔法『ドレイン』!」 王子:「あああ!観光客がバタバタと倒れていく!」 踊り子:「しかも何故か倒れていくのは男ばかりネ」 精霊:「うふふ・・・これは相手の生気を吸い取って、自分の力に変える高位魔法・・・」 王子:「やめろ!そんなもの一般人に使うな!」 精霊:「大丈夫よォ〜。 精霊:少し生気を貰うだけだし、それにコレ・・・結構気持ちいいから♡」 勇者:「確かに・・・みんな恍惚(こうこつ)の表情を浮かべている! 勇者:俺もちょっとやってほしい!」 王子:「お前はアホなの!? 王子:明らかに非人道的な行為だからね、これ!?」 精霊:「ハァアアアン!きたきたきた〜!!! 精霊:精霊パワー、満タンよォ〜!」 勇者:「くっ・・・凄まじい力だ・・・俺にもわかる・・・」 踊り子:「すごいヨ・・・レベル84のワタシでも、今の精霊サンには勝てる気がしないネ・・・」 王子:「なんでだよ!おかしいだろ!」 精霊:「うふっ、美味しかった♡ 精霊:グッジョブ、良い男たち♡」 王子:「ハァ・・・もう国民に顔向けできない・・・」 踊り子:「王子サン。世界を救う為、時には犠牲も必要なのヨ・・・」 勇者:「よぉし!お前ら、準備はできたな! 勇者:いざ、魔王城へ乗り込むぞ!えいえいおーっ!」 0:(しばらくの間。場面転換。魔王城内にて) 王子:「ふぅ・・・なんとかここまで辿り着いたな・・・」 踊り子:「敵が結構強かったケド、案外どうにかなるものだネ」 勇者:「いえーい!まさか俺が魔王のところに来られるなんて! 勇者:ねぇねぇ!みんな、魔王の間の前で記念写真撮らない?」 精霊:「撮る撮る〜!はーい、小顔に見えるピース♡」 王子:「くそっ・・・魔王にしか効果が無い装備だからって、ザコ戦では後ろに下がらせてた勇者がめちゃくちゃ元気なの、なんか腹立つな・・・」 踊り子:「まぁまぁ、王子サン。 踊り子:棺桶抱えて街に戻る方が面倒臭いヨ。仕方ないヨ」 勇者:「やぁやぁ、者ども!ついに我らは宿敵魔王の元に辿り着いた! 勇者:苦節約2年・・・長い道のりだったが、ここで勝利すれば俺たちの苦労は報われる! 勇者:よく頑張った!褒めてつかわす!ハッハッハ!」 王子:「・・・あーダメだ。すげー腹立つ。一発殴ってきてもいい?」 踊り子:「駄目ヨ〜!今の王子サンが殴ったら、勇者サンは棺桶まっしぐらヨ〜」 勇者:「さぁ、いざこの扉を開けるぞ! 勇者:我が仲間たち!俺に着いてこい!」 精霊:「キャ〜!アタシの心もこじ開けて〜♡」 王子:「あっ、ちょっと待てお前ら! 王子:むやみやたらに突っ込むんじゃねぇ!」 0:(扉を開ける音) 精霊:「んん〜?アレ?おかしいわねぇ・・・誰も部屋の中に居ないわよ?」 王子:「嘘だろ?そんなハズは・・・」 勇者:「はーっはっは!魔王め、この勇者に恐れをなして逃げ出したんだな!」 踊り子:「勇者サンがあまりにも変態面だから、思わず魔王も逃げ出したんだヨ〜」 勇者:「なにィ!変態面だとォ! 勇者:ヒゲ脱毛で爽やかさが増した俺に向かって!」 王子:「静かにしろ!これが罠だとしたらどうするんだ!冷静に、周囲を警戒して・・・」 魔王:「・・・ふっふっふ・・・よくぞここまで辿り着いたな、勇者よ・・・」 王子:「!?オイ、この声はまさか・・・」 勇者:「魔王!魔王だな! 勇者:隠れてないで出てきやがれ!」 魔王:「まぁ待て、勇者よ・・・そんなに死に急ぎたいのか? 魔王:客人が訪れるのは50年ぶりなんだ。もう少しゆっくり楽しもうではないか・・・」 勇者:「うるせぇ!こちとらお前を倒さなきゃ、女の子とパーティーが組めない上に、腎臓一個売るかどうかの瀬戸際なんだぞ! 勇者:早く出てきて、俺と勝負しやがれ!」 踊り子:「一番戦闘経験が無い人が煽ってるの、なんか笑えるネ」 精霊:「勇者ちゃん、今装備の力で気が大きくなってるのよォ〜。 精霊:虎の威を借る狐ちゃん、みたいな?」 王子:「シッ!静かに!手の内を簡単に明かすなっての!」 魔王:「ほ、ほう・・・まさか、貴様が身に着けているのは、伝説の勇者シリーズか・・・?」 勇者:「そうだ!その通り! 勇者:だからお前なんて出てきた瞬間、けちょんけちょんにしてやるんだからな! 勇者:泣いて謝るなら今のうちだぞ!」 王子:「あんまりでかい口叩くんじゃありません! 王子:装備なければスライムにも負けちゃうんだから!」 勇者:「ぐぅう・・・」 魔王:「ふ、ふん・・・どんな装備で来ようとも、この魔王に勝てる者など、この世におらぬ・・・ 魔王:そうだ、今ならこのまま見逃してやろう。この部屋から早々に立ち去るがいい」 勇者:「へん!嫌だね!どうせ俺は帰ったって社会的に死ぬだけだ! 勇者:それならお前をぶっ飛ばして、英雄として讃(たた)えられたい!」 魔王:「ぐぬぅ・・・どうしても私と戦いたいと申すか・・・ 魔王:私はめちゃめちゃ強いぞ?何せ魔王だぞ? 魔王:お前みたいな貧弱な勇者、デコピン一発であの世行きにしちゃうぞ?」 勇者:「大丈夫大丈夫! 勇者:今の俺は勇者装備のおかげで最強だから!お前限定でチートだから! 勇者:さぁ!早く出てきて、俺らと戦え!」 魔王:「くぅ・・・せっかく人が親切に帰してやろうと言ってるのにィ〜!!!」 踊り子:「ねぇねぇ、王子サン? 踊り子:なんかあの魔王、ちょっとおかしくナイ?」 王子:「そうだな・・・なんと言うか、出てきたがってない気がするな・・・」 精霊:「ハッ・・・女の勘が囁く・・・!これは・・・まさか・・・」 王子:「オイどうした?」 勇者:「やーい!俺らが怖くて出てこれねぇのかよ〜! 勇者:情けない魔王だな〜!」 魔王:「なにィ・・・!?」 勇者:「情けない魔王だな〜!って言ったんですぅ〜! 勇者:悔しかったら出ておいで〜! 勇者:おしりペンペーン♪お前の父ちゃんでーべーそ♪」 王子:「ガキみたいな挑発すんじゃねえ!このバカ勇者!」 魔王:「・・・もう・・・もう怒った!お前は絶対許さない! 魔王:魔王の誇りにかけて、私がお前を倒してやる!覚悟しろ!」 0:(魔王、姿を現す) 王子:「えっ!女!?」 魔王:「女だからって舐めるな! 魔王:あと、父様はでべそなんかじゃない!」 精霊:「あらあら〜!やっぱりそんな感じがしたのよォ。 精霊:やっぱり女の子だったのねェ」 踊り子:「精霊サン?知ってたの?」 精霊:「良い男センサーが反応しなかったのよォ。 精霊:魔王ともなれば、ちょいワルな魅力に溢れたナイスミドルが現れると思っていたのに。 精霊:ハァ・・・残念だわァ・・・」 王子:「いや・・・お前、魔王とどうなるつもりだったんだ・・・?」 魔王:「ごちゃごちゃうるさい! 魔王:こうなったら、お前ら全員倒してやるんだから!」 王子:「やばい・・・!おい、勇者!すぐに後方に下がって・・・」 勇者:「・・・可愛い」 王子:「へっ?」 踊り子:「勇者サン?」 勇者:「可愛い。ねぇ、あの子めっちゃ可愛くない? 勇者:えっ、待って、すっごい好みなんだけど」 王子:「ちょ、ちょっと待て・・・何言ってんだ。勇者、お前、まさか・・・」 勇者:「惚れた」 王子:「ハァ!?」 勇者:「ヤバい、ヤバいって!これ運命だって! 勇者:王子!ついに俺にも春が来ちゃったかも!」 踊り子:「勇者サンの頭の中、いつもお花畑なんだけどネ〜」 勇者:「ねぇ!キミ、名前は!どこ住み?MAIN(マイン)やってる?」 精霊:「あらァ、ダメよ勇者ちゃん! 精霊:そんな出会い厨みたいな勢いで迫っちゃァ〜」 王子:「お願いだから止めて!」 魔王:「ヒィッ・・・なんかコイツ怖いよぉー! 魔王:こっち来ないでェー!」 勇者:「怖がらないで・・・!ちょっとだけ、ちょっとだけお話を・・・」 魔王:「イーーーヤーーー!!!」 踊り子:「すごいネ・・・魔王の攻撃をものともしていないヨ・・・」 精霊:「さすが勇者装備の力・・・恐ろしいわ・・・」 王子:「くっ・・・悔しいけど、今のところ一番魔王にダメージを与えてるのはあのバカ勇者だ・・・」 踊り子:「どうするヨ?このまま見守っておく?」 王子:「いや・・・あのバカが魔王の気を引いてる今がチャンスかもしれない! 王子:それぞれ必殺技で畳み掛けよう!」 精霊:「オッケー!行くわよォ〜! 精霊:闇魔法奥義『 ブラックホール』!」 王子:「俺もいくぞ!くらえ! 王子:炎魔法奥義『ファイアー・ストーム』!」 踊り子:「ワタシも加勢するヨ〜!せーの! 踊り子:撲殺天使・・・」 王子:「待って!それ以上はコンプライアンス的にヤバい!」 魔王:「きゃああああ!私、実はそんなに強くないのにーーー! 魔王:怖いーーー!助けてーーーー!」 勇者:「オイ!お前ら!か弱い女の子を苛(いじ)めるな!」 王子:「仕方ねぇだろ!世界を救うためにはこうしなきゃいけないんだ! 王子:いくぞ!雷魔法奥義『サンダーストー・・・』」 勇者:(勇者、食い気味に) 勇者:「やめろぉおお!」 王子:「勇者・・・そこを退け!退かないとお前も巻き込まれるぞ!」 勇者:「巻き込まれても構わねぇ! 勇者:彼女のことを少しでも守れるのなら、俺は喜んで盾になる!」 王子:「守るって・・・お前、そいつは魔王なんだぞ? 王子:世界の平和の為に、倒さなければいけない存在なんだ!」 勇者:「うるせぇ!そんなの誰が決めた! 勇者:目の前で逃げ惑って怯える女の子を倒して訪れる平和なんて、クソ喰らえだ!」 精霊:「勇者ちゃん・・・アナタ・・・」 勇者:「キミ、怪我は無い?もう怖くないよ」 踊り子:「さっきまで一番魔王を怖がらせてたの、勇者サンなんだけどネ」 精霊:「シィッ!今いいところなんだから!」 魔王:「どうして私を庇(かば)うの?私は魔王なのよ・・・? 魔王:貴方は私を倒すためにここに来たんじゃないの?」 勇者:「ああ、確かに初めはそうだった。 勇者:けど、恐怖で震えるキミの姿を見て、それは間違いだと気付いた。 勇者:俺は・・・そんなキミを倒すくらいなら、腎臓を一個売り払うくらい、怖くない」 魔王:「勇者・・・」 王子:「おーい?ちょっと二人の世界入っちゃってるけど、帰ってこーい? 王子:仮にも最終決戦だぞー?」 踊り子:「駄目ヨ。もう完全にお互いしか見えてないネ」 精霊:「ハッ・・・恋愛運上昇・・・!まさか・・・!」 勇者:「それで、あのさ・・・もしキミさえ良ければ、俺と仲良くしてもらえないかな? 勇者:最初はお友達でも構わない! 勇者:けど、ゆくゆくは結婚を視野に入れて、俺と付き合ってほしい!お願いします!!!」 魔王:「私なんかで・・・本当にいいの?」 勇者:「キミがいい! 勇者:いや、キミじゃなきゃダメだ!ダメなんだ!」 踊り子:「オゥ!ここに来て勇者サンの必殺技『一世一代の告白』が炸裂〜! 踊り子:魔王、思わず頬を赤らめてモジモジしているヨ〜! 踊り子:さぁ、彼女はどう答えるカナ〜?解説の精霊サン?」 精霊:「そうねェ〜。装備のおかげで勇者ちゃんの恋愛運は上昇してるし、あの反応は満更でも無さそうだから、いい答えが期待できるんじゃない? 精霊:まァ、アタシならもっと夜景の見えるレストランで、ムードたっぷりに告白してもらった方が嬉しいけど♡」 王子:「だーーーっ!解説実況してる場合じゃあねぇだろ! 王子:誰か勇者を止めないと、アイツが魔族に婿入り・・・」 魔王:(魔王、食い気味に) 魔王:「・・・そういうことなら、喜んで」 王子:「あああああ!?」 勇者:「・・・ふふふふふっ! 勇者:やった!やったぞ!ついに俺にも可愛い彼女ができた!!!」 踊り子:「おめでとう!勇者サン! 踊り子:これが噂の逆玉(ぎゃくたま)の輿(こし)ってヤツ?」 精霊:「えーと・・・だいたい合ってる?」 王子:「いや!おかしいだろ!?」 勇者:「はっはっは!ありがとうありがとう!皆の衆ありがとう! 勇者:・・・と言うわけで、俺は可愛い未来のハニーと今後について話し合おうと思う!」 魔王:「もう、ハニーだなんて・・・気が早いんだから♡」 0:(ここから勇者と魔王、徐々にフェードアウトしていく) 勇者:「そんなことないよォ〜!計画は大事だよ? 勇者:どうする?子供は何パーティー分欲しい?」 魔王:「やだァ〜!もうそんな事まで考えてるの?」 勇者:「当たり前だろ? 勇者:あっ、ちなみにご両親にご挨拶に行きたいんだけど、いつ会いに行けば良いかな?」 魔王:「あのね、うちの両親、今結婚500周年の記念旅行に出掛けてて・・・」 勇者:「そっかァ〜!じゃあ帰ってきたら、すぐにご挨拶に伺おうね〜! 勇者:あっ、スーツ新調しなきゃ!俺ネクタイ結ぶの苦手だから、結んでね、ハニー♡」 魔王:「もう!しょうがないなぁ〜!ダーリンは♡」 0:(などと言いながら、勇者と魔王、退場する) 0:(何かを告げるファンファーレが鳴る) 王子:「えっ、待って。今何か鳴らなかった?」 精霊:「あらァ?何か脳裏にスタッフロールみたいな映像が流れ込んで・・・」 踊り子:「コイツ、直接脳内に・・・!」 王子:「嘘だろ?まさか俺たち・・・魔王倒したの?」 踊り子:「やったヨ、王子サン! 踊り子:勇者サンが尊い犠牲となって、世界を救ってくれたのヨ」 王子:「いや、死んでない死んでない」 精霊:「ってことは、アタシたちの旅もここで終わるのねェ〜!」 王子:「マジかよ・・・こんな終わりで許されるの?」 精霊:「まぁまぁ、終わりよければ全て良しって言うしィ〜」 踊り子:「これにて、一件落着!」 王子:「だから、コンプライアンス!」 精霊:「まァ、うちのパーティーには華がないとかなんとか言ってたけど、当の本人が幸せなら、ハッピーエンドじゃなァい?」 0:(ここから徐々に踊り子と精霊、フェードアウトしていく) 踊り子:「そうだネ。これでワタシもやっと母国に帰れるヨ」 精霊:「えっ、なになに?踊り子ちゃんの母国ってどこ?」 踊り子:「今度遊びに来るといいヨ〜!いいところヨ〜」 0:(などと言いながら踊り子と精霊、退場する) 王子:「・・・ハァ・・・なんかすげぇ腑(ふ)に落ちないけど・・・ 王子:世界救えたんなら・・・まぁ、良しとするか!」 魔王:ーーー数年後、王子の元に届いたのは、たくさんの子どもに囲まれて、幸せそうに笑う勇者一家の写真でしたとさ。 0:(少し間) 魔王:「・・・せーのっ!」 全員:「うちのパーティーには華がない!」 勇者:「おしまい!!!」 0:〜FIN〜〜

0:(とあるBARにて) 勇者:「ハァ・・・うちのパーティーには華がない・・・」 精霊:「あらァ、勇者ちゃんどうしたの?アンニュイな雰囲気醸し出しちゃってェ」 勇者:「聞いてよママぁ〜。うちのパーティーね、この魔王討伐ブームの中、全然女の子がいないんだよぉ〜」 精霊:「へぇ〜、女の子の冒険者も最近はたくさんいるのに、珍しいわね」 勇者:「そうなんだよ。街を歩けばあっちのパーティーにも、そっちのパーティーにも可愛い女の子がいるのにさぁ。 勇者:うちのパーティーには男しかいないの!何で!どうして!」 精霊:「まぁまぁ、落ち着きなさいな。 精霊:はい、コレ。アタシのおごり。凶悪なオーガも呑めばイチコロの『オーガころし』」 勇者:「ありがとう、ママ〜! 勇者:んぐ・・・んぐっ・・・プハーーーーッ!これは効くぅ〜!」 精霊:「んふふ、いい呑みっぷりねぇ〜」 勇者:「ハァ〜・・・ 勇者:ねぇ、ママ?俺もね、一応努力はしてんのよ? 勇者:毎日腕立て伏せと腹筋は欠かさずやってるし、男は清潔感が大事だっていうから、ヒゲ脱毛にも通い始めてさぁ。 勇者:もしも女の子を迎え入れた時の為に、めちゃくちゃ男磨きしてるのよ。マジで」 精霊:「やっぱりィ?そういえば、最近ちょっとイケメン度上がったと思ってたのよォ〜!」 勇者:「でしょ?でしょ?そうでしょ? 勇者:だからね、あとは女の子がうちのパーティーに入ってくれればオールOKな訳ですよ。 勇者:それなのに、それなのに・・・ううっ・・・」 精霊:「勇者ちゃん、ほらほら泣かないの。はい、ティッシュ」 勇者:「ぐすっ・・・ぐす・・・ありがと・・・」 精霊:「でも、勇者ちゃんのパーティーはもう4人揃っちゃってるわよね? 精霊:それに、魔王倒さなきゃ、パーティーは解散できないって決まりがあるんでしょ?」 勇者:「そうなの・・・誰だよ、そんな呪いみたいなシステム作ったの・・・」 精霊:「仕方ないわよ。それなら頑張って魔王倒すしかないんじゃない?」 勇者:「ヤダヤダ〜! 勇者:魔王城遠いし、道中出てくるモンスターもめちゃめちゃ強いから死んじゃう〜!こーわーい!」 精霊:「もう、甘えん坊な勇者ちゃんなんだからァ。 精霊:でも、そんなところが・・・可愛い♡」 勇者:「・・・ママ・・・」 精霊:「・・・勇者ちゃん♡」 王子:「はーい!お前ら茶番はいい加減にしなさい!」 王子:(王子、二人の頭をはたく) 勇者:「痛てぇ!何すんだよ!王子!」 精霊:「そーよそーよ!いきなり殴るなんて酷いわよ!何?DV!?」 王子:「うるさいっ!人が一生懸命レベル上げに行ってる時に、お前らは酒場でグダグダしやがって! 王子:もう旅立ってから2年近く経つよ?どうすんだよ! 王子:一向に始まりの街から出られてないよ!?」 踊り子:「もう外歩いてると笑われるどころか、冷ややかな視線を浴びるようになってきたヨ〜。 踊り子:この間、道具屋の店員さんに 踊り子:(『』内だけ流暢に) 踊り子:『あっ、棺桶運びの方ですよね?毎日お疲れ様です!』 踊り子:って間違えられたヨ〜。もう訂正するのも面倒臭いネ〜」 勇者:「仕方ないだろ!俺だってレベル上げして、一刻も早く魔王倒したいよ! 勇者:でも、どんどんモンスター強くなるんだもん! 勇者:知ってる?殴られると痛いし、切られると血が出るの!痛いのは嫌!」 王子:「そんな事言ってるヤツが、何で脱毛なんか通えるんだよ! 王子:アレめちゃめちゃ痛いって話じゃん!」 踊り子:「人によっては気絶するほど痛いって言うネ〜」 精霊:「ふふ・・・アタシにはわかる・・・ 精霊:美しくなる為なら、多少の痛みは我慢できるものよ・・・」 王子:「そういうアンタも全然レベル上げしてねぇだろ!?」 精霊:「え〜。だってアタシぃ、暑苦しいの嫌いだし、玉のお肌に傷付けたくないしぃ〜」 勇者:「あ〜ん、その気持ちわかるぅ〜」 精霊:「でしょでしょ〜」 王子:「・・・そうか、そういう事なら仕方ない。 王子:俺は親父から預かったこの手紙を、お前に渡さなきゃいけない」 勇者:「えっ?なになに?王様から手紙? 勇者:・・・えーっと・・・ゲェッ!」 踊り子:「どうしたネ?勇者サン」 勇者:「『前略、勇者殿。お主が旅立ってから早2年の時が過ぎようとしています。 勇者:一向に城下から旅立てないお主に対して、流石のワシも激おこぷんぷん丸! 勇者:なので、そろそろお主に対する援助を打ち切ろうと思います。 勇者:悪く思わないでね!バイチャ!草々(そうそう)。王より』・・・」 精霊:「あらァ・・・あまりのダメダメっぷりに国からも見放されちゃったわねぇ・・・」 踊り子:「王様も思わずキャラがブレブレになる程度には怒ってるネ〜」 勇者:「うそ・・・だろ・・・? 勇者:今まで国が支援してくれるのを良いことに、このニート生活を満喫していたのに・・・」 王子:「残念だったな。 王子:これでもうお前は勇者を辞めて、真面目に働くしか無くなってしまったわけだ」 精霊:「なぁに?勇者ちゃん、まさかの就職活動?」 勇者:「いーやーだー!!!今更、人の下なんかじゃ働けない! 勇者:俺は惰性(だせい)で魔王倒して、英雄として崇め奉られて、可愛いお嫁さんもらって、たくさんの子どもや孫に囲まれて、死ぬ時は縁側で茶でも飲みながら眠るように老衰で死ぬ、って決めてるの!」 踊り子:「でもこのままだと勇者サン。 踊り子:老衰で死ぬ前に、どこかの鉱山で死ぬほど働くことになるかもヨ? 踊り子:あとは・・・腎臓は二つあるからネ・・・」 勇者:「嫌だーーー!内臓を売るのだけは嫌だーーー! 勇者:王子、頼むよォ!王様に掛け合って、もう一度だけチャンスをくれるよう、お願いしてくれよォーーー!」 王子:「ダメだ!俺もこの国の王子として、これ以上無駄な金をお前に使う訳にはいかない!」 勇者:「うわぁああん!神様仏様王子様〜! 勇者:俺を見捨てないでぇ〜!」 精霊:「あっ、じゃあもういっそ、魔王倒しに行っちゃえば良いんじゃない?」 勇者:「えっ?」 精霊:「そうよそうよォ〜!死ぬ気になれば何でもできるハズよ、勇者ちゃん! 精霊:今からワンチャン、魔王に勝てる可能性に賭けて、マグロぎょせ・・・ゲフンゲフン。魔王城に乗り込みましょう!」 勇者:「えっ・・・それマジで言ってる?」 精霊:「イエス!マジ!大マジ♡」 王子:「いや・・・でも、未だにスライム一匹にすら手こずるコイツが、万が一にも魔王を倒す可能性なんて・・・」 精霊:「あるかもしれない、って言ったら?可能性」 踊り子:「精霊サン。何か秘策でもあるんデスか?」 精霊:「ふっふふーん♪今ねェ、アタシ良いこと思い出しちゃったのよォ」 0:(しばしの間。場面転換。魔王城前にて) 踊り子:「すごいネー。ここがウワサの魔王城なんだネー」 精霊:「どう?凄いでしょう?一瞬で魔王城へワープできるアタシの転移魔法」 王子:「行ったことがある場所には飛べる、って聞いてたけど、精霊界にはまだ行ったことのない場所へ飛べる転移魔法があるのか・・・」 精霊:「あら?違うわよ。 精霊:今、魔王城って結構有名な観光地になってるから、ちょっと前にツアーで遊びに来たことがあるだけ」 踊り子:「そういえば、観光客みたいな人、いっぱいいるヨー」 王子:「魔王城の前で写真撮影とか・・・なんて呑気なんだ・・・この世界の住人は・・・」 踊り子:「あれ?ところで勇者サンは?」 精霊:「あぁ、勇者ちゃんならあそこで・・・」 勇者:「怖い・・・魔王城怖い・・・」 踊り子:「震えてるネ」 王子:「震えてるな」 精霊:「もー!何やってんのよ、勇者ちゃん!こっちこっち!」 勇者:「ヤダーーー!こわいーーー! 勇者:魔王城こわいーーー!」 踊り子:「注射を打つ前のちびっこのようだネ」 精霊:「ゆーちゃん!大丈夫だから!あとでお菓子買ってあげるから!」 勇者:「ぐすん・・・ぐすん・・・ホント?」 王子:「まさかの幼児化・・・だと・・・?」 精霊:「ハァン・・・アタシ、母性本能擽(くすぐ)られちゃう・・・」 王子:「コラそこ。母乳をあげようとしない」 踊り子:「精霊サン。勇者サンがこんな感じで、魔王なんか倒せるんデスか?」 精霊:「大丈夫、大丈夫! 精霊:こういう時の為にとっておきの武器と防具を手に入れたの!」 王子:「そ、それは・・・!」 精霊:「ふふ・・・さすが王子ちゃん・・・その様子だと知っているようね・・・」 王子:「ああ、それは伝説の・・・勇者のみ身に着けることを許されるという装備、勇者シリーズ・・・!」 踊り子:「勇者シリーズ?」 王子:「ああ・・・その昔、初代勇者となった男が身に着けていたと言われる伝説の装備・・・ 王子:今はそれぞれ所在不明になっていると聞いていたのに、なぜそれがここに・・・」 精霊:「あら、うちのバーに呑みに来た別の勇者ちゃんたちが、払えなくなった呑み代の代わりに置いていったわよ」 王子:「くっ・・・伝説の装備をそんなに簡単に手放すなんて、この世界の勇者にはロクなヤツがいないのか・・・」 踊り子:「王子サン。肩を落とさないデ。 踊り子:うちの勇者サン見れば分かることヨ」 精霊:「でも、この装備の性能は最高よ〜! 精霊:魔王相手なら攻撃力増強、ダメージ激減。おまけに金運上昇、恋愛運上昇! 精霊:それにお肌の調子も良くなるって聞いたわァ〜」 勇者:「何!?恋愛運!?」 踊り子:「アッ、お帰り。勇者サン」 勇者:「なんだよなんだよ! 勇者:じゃあ、その装備着ければ、ゴミみたいなレベルの俺でも最強になれちゃうってわけ? 勇者:恋愛面的な意味でも?やったぁ!」 王子:「自分でゴミみたいって言うなよ・・・悲しくねぇのか?」 精霊:「そうそう!勇者ちゃんにはこの装備を着けてもらえばオッケー! 精霊:あとは王子ちゃんと踊り子ちゃんなんだけど・・・二人とも、レベルは?」 王子:「俺はレベル75」 踊り子:「ワタシはレベル84ネ〜」 勇者:「ハァッ!?お前らいつの間にそんなレベル上げたんだよ!?」 王子:「あのなぁ・・・お前らが呑気に脱毛やバーの経営に勤(いそ)しんでる間、俺らはずーーーっとレベル上げ頑張ってたんだよ。 王子:努力の結果です!」 勇者:「それにしたって、なんで踊り子のヤツの方がレベル高いの!?」 踊り子:「ワタシ、最近メイスを装備したヨ〜。 踊り子:この武器で相手、ボコボコにしてるヨ〜」 王子:「思わぬ才能開花だったな」 勇者:「まさかの肉体派かよ・・・」 精霊:「ふぅん、まぁ二人ともなかなかのレベルだわ。 精霊:それなら心配なさそうね」 王子:「いや待て、精霊。お前もそんなにレベル上げしてないだろ?」 精霊:「あらァ、アタシを舐めないでちょうだい。 精霊:ちまちましたレベル上げなんかしなくたって、アタシにはコレがあるのよ」 王子:「おい・・・ちょっと待て・・・ 王子:何故観光客に向けて杖を構えてるんだ・・・」 精霊:「行くわよォ〜!闇魔法『ドレイン』!」 王子:「あああ!観光客がバタバタと倒れていく!」 踊り子:「しかも何故か倒れていくのは男ばかりネ」 精霊:「うふふ・・・これは相手の生気を吸い取って、自分の力に変える高位魔法・・・」 王子:「やめろ!そんなもの一般人に使うな!」 精霊:「大丈夫よォ〜。 精霊:少し生気を貰うだけだし、それにコレ・・・結構気持ちいいから♡」 勇者:「確かに・・・みんな恍惚(こうこつ)の表情を浮かべている! 勇者:俺もちょっとやってほしい!」 王子:「お前はアホなの!? 王子:明らかに非人道的な行為だからね、これ!?」 精霊:「ハァアアアン!きたきたきた〜!!! 精霊:精霊パワー、満タンよォ〜!」 勇者:「くっ・・・凄まじい力だ・・・俺にもわかる・・・」 踊り子:「すごいヨ・・・レベル84のワタシでも、今の精霊サンには勝てる気がしないネ・・・」 王子:「なんでだよ!おかしいだろ!」 精霊:「うふっ、美味しかった♡ 精霊:グッジョブ、良い男たち♡」 王子:「ハァ・・・もう国民に顔向けできない・・・」 踊り子:「王子サン。世界を救う為、時には犠牲も必要なのヨ・・・」 勇者:「よぉし!お前ら、準備はできたな! 勇者:いざ、魔王城へ乗り込むぞ!えいえいおーっ!」 0:(しばらくの間。場面転換。魔王城内にて) 王子:「ふぅ・・・なんとかここまで辿り着いたな・・・」 踊り子:「敵が結構強かったケド、案外どうにかなるものだネ」 勇者:「いえーい!まさか俺が魔王のところに来られるなんて! 勇者:ねぇねぇ!みんな、魔王の間の前で記念写真撮らない?」 精霊:「撮る撮る〜!はーい、小顔に見えるピース♡」 王子:「くそっ・・・魔王にしか効果が無い装備だからって、ザコ戦では後ろに下がらせてた勇者がめちゃくちゃ元気なの、なんか腹立つな・・・」 踊り子:「まぁまぁ、王子サン。 踊り子:棺桶抱えて街に戻る方が面倒臭いヨ。仕方ないヨ」 勇者:「やぁやぁ、者ども!ついに我らは宿敵魔王の元に辿り着いた! 勇者:苦節約2年・・・長い道のりだったが、ここで勝利すれば俺たちの苦労は報われる! 勇者:よく頑張った!褒めてつかわす!ハッハッハ!」 王子:「・・・あーダメだ。すげー腹立つ。一発殴ってきてもいい?」 踊り子:「駄目ヨ〜!今の王子サンが殴ったら、勇者サンは棺桶まっしぐらヨ〜」 勇者:「さぁ、いざこの扉を開けるぞ! 勇者:我が仲間たち!俺に着いてこい!」 精霊:「キャ〜!アタシの心もこじ開けて〜♡」 王子:「あっ、ちょっと待てお前ら! 王子:むやみやたらに突っ込むんじゃねぇ!」 0:(扉を開ける音) 精霊:「んん〜?アレ?おかしいわねぇ・・・誰も部屋の中に居ないわよ?」 王子:「嘘だろ?そんなハズは・・・」 勇者:「はーっはっは!魔王め、この勇者に恐れをなして逃げ出したんだな!」 踊り子:「勇者サンがあまりにも変態面だから、思わず魔王も逃げ出したんだヨ〜」 勇者:「なにィ!変態面だとォ! 勇者:ヒゲ脱毛で爽やかさが増した俺に向かって!」 王子:「静かにしろ!これが罠だとしたらどうするんだ!冷静に、周囲を警戒して・・・」 魔王:「・・・ふっふっふ・・・よくぞここまで辿り着いたな、勇者よ・・・」 王子:「!?オイ、この声はまさか・・・」 勇者:「魔王!魔王だな! 勇者:隠れてないで出てきやがれ!」 魔王:「まぁ待て、勇者よ・・・そんなに死に急ぎたいのか? 魔王:客人が訪れるのは50年ぶりなんだ。もう少しゆっくり楽しもうではないか・・・」 勇者:「うるせぇ!こちとらお前を倒さなきゃ、女の子とパーティーが組めない上に、腎臓一個売るかどうかの瀬戸際なんだぞ! 勇者:早く出てきて、俺と勝負しやがれ!」 踊り子:「一番戦闘経験が無い人が煽ってるの、なんか笑えるネ」 精霊:「勇者ちゃん、今装備の力で気が大きくなってるのよォ〜。 精霊:虎の威を借る狐ちゃん、みたいな?」 王子:「シッ!静かに!手の内を簡単に明かすなっての!」 魔王:「ほ、ほう・・・まさか、貴様が身に着けているのは、伝説の勇者シリーズか・・・?」 勇者:「そうだ!その通り! 勇者:だからお前なんて出てきた瞬間、けちょんけちょんにしてやるんだからな! 勇者:泣いて謝るなら今のうちだぞ!」 王子:「あんまりでかい口叩くんじゃありません! 王子:装備なければスライムにも負けちゃうんだから!」 勇者:「ぐぅう・・・」 魔王:「ふ、ふん・・・どんな装備で来ようとも、この魔王に勝てる者など、この世におらぬ・・・ 魔王:そうだ、今ならこのまま見逃してやろう。この部屋から早々に立ち去るがいい」 勇者:「へん!嫌だね!どうせ俺は帰ったって社会的に死ぬだけだ! 勇者:それならお前をぶっ飛ばして、英雄として讃(たた)えられたい!」 魔王:「ぐぬぅ・・・どうしても私と戦いたいと申すか・・・ 魔王:私はめちゃめちゃ強いぞ?何せ魔王だぞ? 魔王:お前みたいな貧弱な勇者、デコピン一発であの世行きにしちゃうぞ?」 勇者:「大丈夫大丈夫! 勇者:今の俺は勇者装備のおかげで最強だから!お前限定でチートだから! 勇者:さぁ!早く出てきて、俺らと戦え!」 魔王:「くぅ・・・せっかく人が親切に帰してやろうと言ってるのにィ〜!!!」 踊り子:「ねぇねぇ、王子サン? 踊り子:なんかあの魔王、ちょっとおかしくナイ?」 王子:「そうだな・・・なんと言うか、出てきたがってない気がするな・・・」 精霊:「ハッ・・・女の勘が囁く・・・!これは・・・まさか・・・」 王子:「オイどうした?」 勇者:「やーい!俺らが怖くて出てこれねぇのかよ〜! 勇者:情けない魔王だな〜!」 魔王:「なにィ・・・!?」 勇者:「情けない魔王だな〜!って言ったんですぅ〜! 勇者:悔しかったら出ておいで〜! 勇者:おしりペンペーン♪お前の父ちゃんでーべーそ♪」 王子:「ガキみたいな挑発すんじゃねえ!このバカ勇者!」 魔王:「・・・もう・・・もう怒った!お前は絶対許さない! 魔王:魔王の誇りにかけて、私がお前を倒してやる!覚悟しろ!」 0:(魔王、姿を現す) 王子:「えっ!女!?」 魔王:「女だからって舐めるな! 魔王:あと、父様はでべそなんかじゃない!」 精霊:「あらあら〜!やっぱりそんな感じがしたのよォ。 精霊:やっぱり女の子だったのねェ」 踊り子:「精霊サン?知ってたの?」 精霊:「良い男センサーが反応しなかったのよォ。 精霊:魔王ともなれば、ちょいワルな魅力に溢れたナイスミドルが現れると思っていたのに。 精霊:ハァ・・・残念だわァ・・・」 王子:「いや・・・お前、魔王とどうなるつもりだったんだ・・・?」 魔王:「ごちゃごちゃうるさい! 魔王:こうなったら、お前ら全員倒してやるんだから!」 王子:「やばい・・・!おい、勇者!すぐに後方に下がって・・・」 勇者:「・・・可愛い」 王子:「へっ?」 踊り子:「勇者サン?」 勇者:「可愛い。ねぇ、あの子めっちゃ可愛くない? 勇者:えっ、待って、すっごい好みなんだけど」 王子:「ちょ、ちょっと待て・・・何言ってんだ。勇者、お前、まさか・・・」 勇者:「惚れた」 王子:「ハァ!?」 勇者:「ヤバい、ヤバいって!これ運命だって! 勇者:王子!ついに俺にも春が来ちゃったかも!」 踊り子:「勇者サンの頭の中、いつもお花畑なんだけどネ〜」 勇者:「ねぇ!キミ、名前は!どこ住み?MAIN(マイン)やってる?」 精霊:「あらァ、ダメよ勇者ちゃん! 精霊:そんな出会い厨みたいな勢いで迫っちゃァ〜」 王子:「お願いだから止めて!」 魔王:「ヒィッ・・・なんかコイツ怖いよぉー! 魔王:こっち来ないでェー!」 勇者:「怖がらないで・・・!ちょっとだけ、ちょっとだけお話を・・・」 魔王:「イーーーヤーーー!!!」 踊り子:「すごいネ・・・魔王の攻撃をものともしていないヨ・・・」 精霊:「さすが勇者装備の力・・・恐ろしいわ・・・」 王子:「くっ・・・悔しいけど、今のところ一番魔王にダメージを与えてるのはあのバカ勇者だ・・・」 踊り子:「どうするヨ?このまま見守っておく?」 王子:「いや・・・あのバカが魔王の気を引いてる今がチャンスかもしれない! 王子:それぞれ必殺技で畳み掛けよう!」 精霊:「オッケー!行くわよォ〜! 精霊:闇魔法奥義『 ブラックホール』!」 王子:「俺もいくぞ!くらえ! 王子:炎魔法奥義『ファイアー・ストーム』!」 踊り子:「ワタシも加勢するヨ〜!せーの! 踊り子:撲殺天使・・・」 王子:「待って!それ以上はコンプライアンス的にヤバい!」 魔王:「きゃああああ!私、実はそんなに強くないのにーーー! 魔王:怖いーーー!助けてーーーー!」 勇者:「オイ!お前ら!か弱い女の子を苛(いじ)めるな!」 王子:「仕方ねぇだろ!世界を救うためにはこうしなきゃいけないんだ! 王子:いくぞ!雷魔法奥義『サンダーストー・・・』」 勇者:(勇者、食い気味に) 勇者:「やめろぉおお!」 王子:「勇者・・・そこを退け!退かないとお前も巻き込まれるぞ!」 勇者:「巻き込まれても構わねぇ! 勇者:彼女のことを少しでも守れるのなら、俺は喜んで盾になる!」 王子:「守るって・・・お前、そいつは魔王なんだぞ? 王子:世界の平和の為に、倒さなければいけない存在なんだ!」 勇者:「うるせぇ!そんなの誰が決めた! 勇者:目の前で逃げ惑って怯える女の子を倒して訪れる平和なんて、クソ喰らえだ!」 精霊:「勇者ちゃん・・・アナタ・・・」 勇者:「キミ、怪我は無い?もう怖くないよ」 踊り子:「さっきまで一番魔王を怖がらせてたの、勇者サンなんだけどネ」 精霊:「シィッ!今いいところなんだから!」 魔王:「どうして私を庇(かば)うの?私は魔王なのよ・・・? 魔王:貴方は私を倒すためにここに来たんじゃないの?」 勇者:「ああ、確かに初めはそうだった。 勇者:けど、恐怖で震えるキミの姿を見て、それは間違いだと気付いた。 勇者:俺は・・・そんなキミを倒すくらいなら、腎臓を一個売り払うくらい、怖くない」 魔王:「勇者・・・」 王子:「おーい?ちょっと二人の世界入っちゃってるけど、帰ってこーい? 王子:仮にも最終決戦だぞー?」 踊り子:「駄目ヨ。もう完全にお互いしか見えてないネ」 精霊:「ハッ・・・恋愛運上昇・・・!まさか・・・!」 勇者:「それで、あのさ・・・もしキミさえ良ければ、俺と仲良くしてもらえないかな? 勇者:最初はお友達でも構わない! 勇者:けど、ゆくゆくは結婚を視野に入れて、俺と付き合ってほしい!お願いします!!!」 魔王:「私なんかで・・・本当にいいの?」 勇者:「キミがいい! 勇者:いや、キミじゃなきゃダメだ!ダメなんだ!」 踊り子:「オゥ!ここに来て勇者サンの必殺技『一世一代の告白』が炸裂〜! 踊り子:魔王、思わず頬を赤らめてモジモジしているヨ〜! 踊り子:さぁ、彼女はどう答えるカナ〜?解説の精霊サン?」 精霊:「そうねェ〜。装備のおかげで勇者ちゃんの恋愛運は上昇してるし、あの反応は満更でも無さそうだから、いい答えが期待できるんじゃない? 精霊:まァ、アタシならもっと夜景の見えるレストランで、ムードたっぷりに告白してもらった方が嬉しいけど♡」 王子:「だーーーっ!解説実況してる場合じゃあねぇだろ! 王子:誰か勇者を止めないと、アイツが魔族に婿入り・・・」 魔王:(魔王、食い気味に) 魔王:「・・・そういうことなら、喜んで」 王子:「あああああ!?」 勇者:「・・・ふふふふふっ! 勇者:やった!やったぞ!ついに俺にも可愛い彼女ができた!!!」 踊り子:「おめでとう!勇者サン! 踊り子:これが噂の逆玉(ぎゃくたま)の輿(こし)ってヤツ?」 精霊:「えーと・・・だいたい合ってる?」 王子:「いや!おかしいだろ!?」 勇者:「はっはっは!ありがとうありがとう!皆の衆ありがとう! 勇者:・・・と言うわけで、俺は可愛い未来のハニーと今後について話し合おうと思う!」 魔王:「もう、ハニーだなんて・・・気が早いんだから♡」 0:(ここから勇者と魔王、徐々にフェードアウトしていく) 勇者:「そんなことないよォ〜!計画は大事だよ? 勇者:どうする?子供は何パーティー分欲しい?」 魔王:「やだァ〜!もうそんな事まで考えてるの?」 勇者:「当たり前だろ? 勇者:あっ、ちなみにご両親にご挨拶に行きたいんだけど、いつ会いに行けば良いかな?」 魔王:「あのね、うちの両親、今結婚500周年の記念旅行に出掛けてて・・・」 勇者:「そっかァ〜!じゃあ帰ってきたら、すぐにご挨拶に伺おうね〜! 勇者:あっ、スーツ新調しなきゃ!俺ネクタイ結ぶの苦手だから、結んでね、ハニー♡」 魔王:「もう!しょうがないなぁ〜!ダーリンは♡」 0:(などと言いながら、勇者と魔王、退場する) 0:(何かを告げるファンファーレが鳴る) 王子:「えっ、待って。今何か鳴らなかった?」 精霊:「あらァ?何か脳裏にスタッフロールみたいな映像が流れ込んで・・・」 踊り子:「コイツ、直接脳内に・・・!」 王子:「嘘だろ?まさか俺たち・・・魔王倒したの?」 踊り子:「やったヨ、王子サン! 踊り子:勇者サンが尊い犠牲となって、世界を救ってくれたのヨ」 王子:「いや、死んでない死んでない」 精霊:「ってことは、アタシたちの旅もここで終わるのねェ〜!」 王子:「マジかよ・・・こんな終わりで許されるの?」 精霊:「まぁまぁ、終わりよければ全て良しって言うしィ〜」 踊り子:「これにて、一件落着!」 王子:「だから、コンプライアンス!」 精霊:「まァ、うちのパーティーには華がないとかなんとか言ってたけど、当の本人が幸せなら、ハッピーエンドじゃなァい?」 0:(ここから徐々に踊り子と精霊、フェードアウトしていく) 踊り子:「そうだネ。これでワタシもやっと母国に帰れるヨ」 精霊:「えっ、なになに?踊り子ちゃんの母国ってどこ?」 踊り子:「今度遊びに来るといいヨ〜!いいところヨ〜」 0:(などと言いながら踊り子と精霊、退場する) 王子:「・・・ハァ・・・なんかすげぇ腑(ふ)に落ちないけど・・・ 王子:世界救えたんなら・・・まぁ、良しとするか!」 魔王:ーーー数年後、王子の元に届いたのは、たくさんの子どもに囲まれて、幸せそうに笑う勇者一家の写真でしたとさ。 0:(少し間) 魔王:「・・・せーのっ!」 全員:「うちのパーティーには華がない!」 勇者:「おしまい!!!」 0:〜FIN〜〜