台本概要

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タイトル 悪の華
作者名 Danzig
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 圧制を敷いている女帝フィアナ・ボルアロウ
その政治を打倒する為に立ち上がった革命の同志たち
その一人であるアスナルドとの、二人劇です。

台本使用規定:
商用、非商用問わず、連絡不要です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
フィアナ 41 悪政を布く女帝
アスナルド 42 革命軍のリーダー
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:悪の華 : : 0:一人の男が大きな扉の前に立っている : アスナルド:ようやく辿り着いたか アスナルド:ここが、この国最大の元凶、女帝フィアナ・ボルアロウ アスナルド:その玉座(ぎょくざ)の間か・・・ アスナルド: アスナルド:待っていろよ、フィアナ・ボルアロウ アスナルド:今、その首、切り落としてくれる アスナルド:いざ・・・ : 0:重い扉を開けるアスナルド 0:広い玉座の間の奥に一段高い場所があり 0:一人の女性がそこにある玉座に座っている 0:駆け寄るアスナルド : アスナルド:お、お前がフィアナ・ボルアロウか! : 0:立ち上がるフィアナ : フィアナ:ようやく来ましたね フィアナ:私は随分とあなたの事を待っていたのですよ : アスナルド:何! アスナルド:待っていただと・・・ : フィアナ:ええ、この国で反乱が起き、城に火の手が上がってから フィアナ:ずっとここに座り待っていましたよ フィアナ:そろそろ待ちくたびれる頃でした : アスナルド:何をバカな事を アスナルド:そんな事が信じられるか アスナルド:どうせ逃げ遅れたのだろう アスナルド:強がりはやめるんだな : フィアナ:別に信じて貰おうとは思っていません : アスナルド:お前・・・本当にフィアナ・ボルアロウか! : フィアナ:まったく・・・ フィアナ:あなたは自分の国の王の顔も知らないのですか : アスナルド:いや、顔ぐらいは知っているさ アスナルド:俺が聞いているのは、お前がフィアナ・ボルアロウ本人かという事だ アスナルド:替え玉を置いて、本人は逃げたという事もあり得るからな : フィアナ:ふ フィアナ:何をバカな事を : アスナルド:バカな事だと? : フィアナ:誰がこの玉座に、私以外の人間を座らせるというのです : アスナルド:な・・・ : フィアナ:玉座とはそんなに軽々しいものではないのですよ フィアナ:よく覚えておきなさい : アスナルド:ふん アスナルド:そんな事など、どうでもいい アスナルド:この国には、もう玉座など必要なくなるのだからな : フィアナ:それにしても、ここに来るまでに、思っていたよりも随分と時間がかかりましたね フィアナ:近衛兵(このえへい)達に手間取っていたのですか? フィアナ:まったく・・・ フィアナ:所詮、寄せ集めの烏合の衆など、その程度なのかもしれませんね : アスナルド:悪かったな アスナルド:あぁ、近衛兵達は強かったさ アスナルド:予想以上の抵抗にあったよ アスナルド:おかげで、ここに来るまでに何人も仲間が死んださ : フィアナ:そうですか フィアナ:それは、この国の玉座の間に攻め入ろうというのです フィアナ:そう易々(やすやす)と来られても困りますからね。 : アスナルド:しかし、俺がここに来た以上、もうお前を逃がしはしない アスナルド:お前の命、今ここで、この俺がもらい受ける : フィアナ:何故、私があなたに殺されねばならないのです : アスナルド:何を! アスナルド:とぼけるんじゃない アスナルド:お前は自分が今まで何をしてきたのか、忘れたとは言わせないぞ : フィアナ: フィアナ:私が何をしたかなど、忘れる訳がないでしょう フィアナ:私は王としての役目を果たしてきたのですから : アスナルド:王としての役目? : フィアナ:ええ、そうです。 : アスナルド:お前は、ただ国民から高い税を取り立て、その金で、贅沢三昧をしてきただけだろ : フィアナ:わかってまいせんね フィアナ:王にとって贅沢な暮らしは必要なのです : アスナルド:何!、どういう意味だ : フィアナ:王の贅沢とは国の力です フィアナ:他の国の王や貴族達と交流をもち、その中で、贅沢さで引けを取らぬ事 フィアナ:それこそが国を守るのです。 : アスナルド:何をバカなことを アスナルド:その為に国民が飢えてもいいというのか アスナルド:それで国を守っているつもりでいるのか : フィアナ:私が王になってから、他の国から武力で攻め込まれた事など一度もありません。 フィアナ:戦争になれば多くの国民が死に、もっと多くの人間が飢える事になるのですよ フィアナ:あなた達はそれを望むのですか : アスナルド:そんな事は詭弁だ アスナルド:実際に俺たちは飢えているんだ アスナルド:お前の贅沢のせいで、明日の飯も食えない国民が大勢いるんだ : フィアナ:それなら、自分たちでもっと稼(かせ)げばいいのです フィアナ:農地だってもっと耕せばいいでしょうに フィアナ:それを私のせいなどと・・・おこがましい : アスナルド:だまれ! アスナルド:どれだけ稼いだって、どれだけ畑を耕したって、全部国が持って行ってしまうんだ アスナルド:お前は王として、国民がどれだけ飢えている事を知っているのか! アスナルド:それを知っていて贅沢をしているとでもいうのか : フィアナ:そんな事、当たり前でしょ フィアナ:国の情勢を知らぬ王がどこにいますか : アスナルド:だったら・・・・ : フィアナ:この私を、世界一美しく気品のある、この私を飾り立てるのですよ フィアナ:贅沢をしても、し過ぎるという事など、あるはずがないでしょう フィアナ:その為に国民が飢えようと、かまう事などではありません : アスナルド:呆れたな アスナルド:だからこの国は、こうなってしまったのさ アスナルド: アスナルド:それに、俺たちが反乱を起こしたのは、単に飢えだけじゃない アスナルド:お前の恐怖の支配にも我慢できなくなったからだ : フィアナ:恐怖の支配? : アスナルド:そうだ、 アスナルド:国に不満を訴えた奴らは全員処刑された アスナルド:それだけじゃない アスナルド:お前や貴族が気分を害したとか、粗相(そそう)があったからと、それだけの為に何人も処刑された アスナルド: アスナルド:そうやって、お前たちが処刑という恐怖で俺たちを支配してきたからだ : フィアナ:国に従わない悪い目を、早めに摘んでおく事は、国の治安には必要な事です。 フィアナ:意思の統率が出来ていない国など、他国から見れば侵略の恰好の標的となりますからね : アスナルド:だから、それは詭弁だ! : フィアナ:それに、 フィアナ:私は、恐怖であなた達を支配しようなどとは思っていませんでしたよ : アスナルド:だったら、どうして粗相(そそう)をしたくらいで処刑なんてしたんだ : フィアナ:だれが、いつ、どんな理由で処刑されたのかなど、覚えてはおりませんが フィアナ:おそらく・・・ フィアナ:「気に入らなかった」からでしょうね。 : アスナルド:なっ アスナルド:そんな事くらいで・・・ : フィアナ:そんな事くらい? フィアナ:この私が気分を害したのですよ、世界一気高き、この私が・・ フィアナ:「そんな事くらい」などと軽々しく口にして欲しくはありませんね : アスナルド:くっ アスナルド:やはり、お前はこの国に必要ない アスナルド:さっさと死んでもらおう : フィアナ:私を必要としないというのであれば、好きにするといいでしょう フィアナ:しかし フィアナ:王を失った国がどうなるか フィアナ:あなたは知っているのですか : アスナルド:そんな事、お前たちに言われるまでもない アスナルド:王がいないなら、国民が民主政治をすればいいんだ アスナルド: アスナルド:俺が、いや、俺たちが アスナルド:皆でこの国をあるべき姿に戻す : フィアナ:できるのですか? : アスナルド:やるのさ アスナルド:お前に支配されてる、こんな国よりも アスナルド:ずっと豊な国にしてやるさ : フィアナ:できるのなら、やってごらんなさい : アスナルド:あぁ、そうするさ アスナルド:だからこそ、俺たちはここに来たんだ アスナルド:お前にはここで死んでもらう アスナルド:さぁ、覚悟をするんだな : フィアナ:覚悟? : アスナルド:あぁ、ここで命乞いをしたって助かるわけじゃないんだ アスナルド:だから覚悟をしろって言っているんだ : フィアナ:ふ、 フィアナ:覚悟ですか・・・ フィアナ:そんなもの、この玉座に就いた時から、とっくに出来てますよ フィアナ:私はこの王の座に命を懸けているのですから : アスナルド:ほう、それはご立派な事だな アスナルド:では、潔く、さっさと死んでもらおうか : フィアナ:嫌です : アスナルド:何? アスナルド:この期に及んで・・ アスナルド:やはり、いざとなれば、命を差し出すのが惜しいのか : フィアナ:あなた、何を勘違いしているのですか フィアナ:命を懸けるという事と、命を投げ出す事とは違うのですよ。 : アスナルド:なにっ! : フィアナ:私は、あなたに、命を差し出す気など、さらさらありませんよ フィアナ:この命が欲しいなら、あなたが自ら取ってお行きなさい : アスナルド:なんだ、そういう事か アスナルド:もっと泣き叫んで、命乞いをするかと思っていたよ アスナルド:悪い奴らが殺されるときは、決まって泣き叫んで命乞いをするからな アスナルド:そうしないだけ、褒めてやるよ : フィアナ:まったく、本当にあなたは何もわかってはいませんね : アスナルド:何を分かっていないと言うんだ : フィアナ:死に際には自分の生き様(いきざま)と、生きた結果がそこに現れるのです フィアナ: フィアナ:そう、いわば死に際とは人生の中での一番の華(はな)なのですよ フィアナ:そんな所で、この私が、恥ずかしい恰好などできますか! フィアナ: フィアナ:私は今までも、そしてこれからも、人の記憶の中に フィアナ:世界一気高き女として、生きて行かなければならないのです。 : アスナルド:あぁそうかい、しかし、お前の美学など、俺たちにはどうでもいい話さ アスナルド:まぁ、覚悟が出来ているなら、ちょうどいい、さっさと死んでもらおう : フィアナ:やはり、あなたは何もわかってはいませんね : アスナルド:なに! アスナルド:この期に及んで、まだ・・・ : フィアナ:あなたは、この私の命を取るのですよ フィアナ:あなたこそ、その覚悟は出来ているのでしょうね。 : アスナルド:どういう意味だ : フィアナ:あなたが私を悪だというのなら フィアナ:この世の最大の悪の華が散るのです。 フィアナ:それは同時に、愚民どもの不満の捌け口もなくなるという事ですよ。 フィアナ: フィアナ:その意味は、当然お分かりですね。 : アスナルド:い、意味だと? : フィアナ:あなたは先程、あなたがこの国をあるべき姿にすると言っていましたね フィアナ:であれば フィアナ:あなたはこれから先、逃げ場のない高い崖の上で、愚民どもの、我儘(わがまま)な、そして尽きる事のない、 フィアナ:期待という名の欲望を一身に背負い生きて行くことになるのです。 フィアナ:この国を他国の脅威(きょうい)から守りながら、勝手気ままな愚民どもを導いて行かなければならなくなるのです。 フィアナ: フィアナ:私は、あなたに、「その覚悟はあるのか」と聞いているのです。 : アスナルド:そ、そんなもの、あるに決まっているだろう : フィアナ:ほう、そうですか : アスナルド:どんな事があっても、俺たちはこの反乱を成功させ、この国を良い国に変える アスナルド:その為に俺たちは立ち上がったんだ : フィアナ:そうですか フィアナ:まったく、愚民の代表らしい、浅はかな考えですね : アスナルド:うるさい、黙れ! : フィアナ:では、果たして、あなたのその覚悟が本物かどうか フィアナ:そして、あなたの政(まつりごと)の手腕(しゅわん)がどれ程のものなのか フィアナ:私は泥梨(ないり)から見せていただく事にしましょうか : アスナルド:・・・・ : フィアナ:さぁ、あなたに本当の覚悟があるのなら、この命、取ってお行きなさい! : 0:完

0:悪の華 : : 0:一人の男が大きな扉の前に立っている : アスナルド:ようやく辿り着いたか アスナルド:ここが、この国最大の元凶、女帝フィアナ・ボルアロウ アスナルド:その玉座(ぎょくざ)の間か・・・ アスナルド: アスナルド:待っていろよ、フィアナ・ボルアロウ アスナルド:今、その首、切り落としてくれる アスナルド:いざ・・・ : 0:重い扉を開けるアスナルド 0:広い玉座の間の奥に一段高い場所があり 0:一人の女性がそこにある玉座に座っている 0:駆け寄るアスナルド : アスナルド:お、お前がフィアナ・ボルアロウか! : 0:立ち上がるフィアナ : フィアナ:ようやく来ましたね フィアナ:私は随分とあなたの事を待っていたのですよ : アスナルド:何! アスナルド:待っていただと・・・ : フィアナ:ええ、この国で反乱が起き、城に火の手が上がってから フィアナ:ずっとここに座り待っていましたよ フィアナ:そろそろ待ちくたびれる頃でした : アスナルド:何をバカな事を アスナルド:そんな事が信じられるか アスナルド:どうせ逃げ遅れたのだろう アスナルド:強がりはやめるんだな : フィアナ:別に信じて貰おうとは思っていません : アスナルド:お前・・・本当にフィアナ・ボルアロウか! : フィアナ:まったく・・・ フィアナ:あなたは自分の国の王の顔も知らないのですか : アスナルド:いや、顔ぐらいは知っているさ アスナルド:俺が聞いているのは、お前がフィアナ・ボルアロウ本人かという事だ アスナルド:替え玉を置いて、本人は逃げたという事もあり得るからな : フィアナ:ふ フィアナ:何をバカな事を : アスナルド:バカな事だと? : フィアナ:誰がこの玉座に、私以外の人間を座らせるというのです : アスナルド:な・・・ : フィアナ:玉座とはそんなに軽々しいものではないのですよ フィアナ:よく覚えておきなさい : アスナルド:ふん アスナルド:そんな事など、どうでもいい アスナルド:この国には、もう玉座など必要なくなるのだからな : フィアナ:それにしても、ここに来るまでに、思っていたよりも随分と時間がかかりましたね フィアナ:近衛兵(このえへい)達に手間取っていたのですか? フィアナ:まったく・・・ フィアナ:所詮、寄せ集めの烏合の衆など、その程度なのかもしれませんね : アスナルド:悪かったな アスナルド:あぁ、近衛兵達は強かったさ アスナルド:予想以上の抵抗にあったよ アスナルド:おかげで、ここに来るまでに何人も仲間が死んださ : フィアナ:そうですか フィアナ:それは、この国の玉座の間に攻め入ろうというのです フィアナ:そう易々(やすやす)と来られても困りますからね。 : アスナルド:しかし、俺がここに来た以上、もうお前を逃がしはしない アスナルド:お前の命、今ここで、この俺がもらい受ける : フィアナ:何故、私があなたに殺されねばならないのです : アスナルド:何を! アスナルド:とぼけるんじゃない アスナルド:お前は自分が今まで何をしてきたのか、忘れたとは言わせないぞ : フィアナ: フィアナ:私が何をしたかなど、忘れる訳がないでしょう フィアナ:私は王としての役目を果たしてきたのですから : アスナルド:王としての役目? : フィアナ:ええ、そうです。 : アスナルド:お前は、ただ国民から高い税を取り立て、その金で、贅沢三昧をしてきただけだろ : フィアナ:わかってまいせんね フィアナ:王にとって贅沢な暮らしは必要なのです : アスナルド:何!、どういう意味だ : フィアナ:王の贅沢とは国の力です フィアナ:他の国の王や貴族達と交流をもち、その中で、贅沢さで引けを取らぬ事 フィアナ:それこそが国を守るのです。 : アスナルド:何をバカなことを アスナルド:その為に国民が飢えてもいいというのか アスナルド:それで国を守っているつもりでいるのか : フィアナ:私が王になってから、他の国から武力で攻め込まれた事など一度もありません。 フィアナ:戦争になれば多くの国民が死に、もっと多くの人間が飢える事になるのですよ フィアナ:あなた達はそれを望むのですか : アスナルド:そんな事は詭弁だ アスナルド:実際に俺たちは飢えているんだ アスナルド:お前の贅沢のせいで、明日の飯も食えない国民が大勢いるんだ : フィアナ:それなら、自分たちでもっと稼(かせ)げばいいのです フィアナ:農地だってもっと耕せばいいでしょうに フィアナ:それを私のせいなどと・・・おこがましい : アスナルド:だまれ! アスナルド:どれだけ稼いだって、どれだけ畑を耕したって、全部国が持って行ってしまうんだ アスナルド:お前は王として、国民がどれだけ飢えている事を知っているのか! アスナルド:それを知っていて贅沢をしているとでもいうのか : フィアナ:そんな事、当たり前でしょ フィアナ:国の情勢を知らぬ王がどこにいますか : アスナルド:だったら・・・・ : フィアナ:この私を、世界一美しく気品のある、この私を飾り立てるのですよ フィアナ:贅沢をしても、し過ぎるという事など、あるはずがないでしょう フィアナ:その為に国民が飢えようと、かまう事などではありません : アスナルド:呆れたな アスナルド:だからこの国は、こうなってしまったのさ アスナルド: アスナルド:それに、俺たちが反乱を起こしたのは、単に飢えだけじゃない アスナルド:お前の恐怖の支配にも我慢できなくなったからだ : フィアナ:恐怖の支配? : アスナルド:そうだ、 アスナルド:国に不満を訴えた奴らは全員処刑された アスナルド:それだけじゃない アスナルド:お前や貴族が気分を害したとか、粗相(そそう)があったからと、それだけの為に何人も処刑された アスナルド: アスナルド:そうやって、お前たちが処刑という恐怖で俺たちを支配してきたからだ : フィアナ:国に従わない悪い目を、早めに摘んでおく事は、国の治安には必要な事です。 フィアナ:意思の統率が出来ていない国など、他国から見れば侵略の恰好の標的となりますからね : アスナルド:だから、それは詭弁だ! : フィアナ:それに、 フィアナ:私は、恐怖であなた達を支配しようなどとは思っていませんでしたよ : アスナルド:だったら、どうして粗相(そそう)をしたくらいで処刑なんてしたんだ : フィアナ:だれが、いつ、どんな理由で処刑されたのかなど、覚えてはおりませんが フィアナ:おそらく・・・ フィアナ:「気に入らなかった」からでしょうね。 : アスナルド:なっ アスナルド:そんな事くらいで・・・ : フィアナ:そんな事くらい? フィアナ:この私が気分を害したのですよ、世界一気高き、この私が・・ フィアナ:「そんな事くらい」などと軽々しく口にして欲しくはありませんね : アスナルド:くっ アスナルド:やはり、お前はこの国に必要ない アスナルド:さっさと死んでもらおう : フィアナ:私を必要としないというのであれば、好きにするといいでしょう フィアナ:しかし フィアナ:王を失った国がどうなるか フィアナ:あなたは知っているのですか : アスナルド:そんな事、お前たちに言われるまでもない アスナルド:王がいないなら、国民が民主政治をすればいいんだ アスナルド: アスナルド:俺が、いや、俺たちが アスナルド:皆でこの国をあるべき姿に戻す : フィアナ:できるのですか? : アスナルド:やるのさ アスナルド:お前に支配されてる、こんな国よりも アスナルド:ずっと豊な国にしてやるさ : フィアナ:できるのなら、やってごらんなさい : アスナルド:あぁ、そうするさ アスナルド:だからこそ、俺たちはここに来たんだ アスナルド:お前にはここで死んでもらう アスナルド:さぁ、覚悟をするんだな : フィアナ:覚悟? : アスナルド:あぁ、ここで命乞いをしたって助かるわけじゃないんだ アスナルド:だから覚悟をしろって言っているんだ : フィアナ:ふ、 フィアナ:覚悟ですか・・・ フィアナ:そんなもの、この玉座に就いた時から、とっくに出来てますよ フィアナ:私はこの王の座に命を懸けているのですから : アスナルド:ほう、それはご立派な事だな アスナルド:では、潔く、さっさと死んでもらおうか : フィアナ:嫌です : アスナルド:何? アスナルド:この期に及んで・・ アスナルド:やはり、いざとなれば、命を差し出すのが惜しいのか : フィアナ:あなた、何を勘違いしているのですか フィアナ:命を懸けるという事と、命を投げ出す事とは違うのですよ。 : アスナルド:なにっ! : フィアナ:私は、あなたに、命を差し出す気など、さらさらありませんよ フィアナ:この命が欲しいなら、あなたが自ら取ってお行きなさい : アスナルド:なんだ、そういう事か アスナルド:もっと泣き叫んで、命乞いをするかと思っていたよ アスナルド:悪い奴らが殺されるときは、決まって泣き叫んで命乞いをするからな アスナルド:そうしないだけ、褒めてやるよ : フィアナ:まったく、本当にあなたは何もわかってはいませんね : アスナルド:何を分かっていないと言うんだ : フィアナ:死に際には自分の生き様(いきざま)と、生きた結果がそこに現れるのです フィアナ: フィアナ:そう、いわば死に際とは人生の中での一番の華(はな)なのですよ フィアナ:そんな所で、この私が、恥ずかしい恰好などできますか! フィアナ: フィアナ:私は今までも、そしてこれからも、人の記憶の中に フィアナ:世界一気高き女として、生きて行かなければならないのです。 : アスナルド:あぁそうかい、しかし、お前の美学など、俺たちにはどうでもいい話さ アスナルド:まぁ、覚悟が出来ているなら、ちょうどいい、さっさと死んでもらおう : フィアナ:やはり、あなたは何もわかってはいませんね : アスナルド:なに! アスナルド:この期に及んで、まだ・・・ : フィアナ:あなたは、この私の命を取るのですよ フィアナ:あなたこそ、その覚悟は出来ているのでしょうね。 : アスナルド:どういう意味だ : フィアナ:あなたが私を悪だというのなら フィアナ:この世の最大の悪の華が散るのです。 フィアナ:それは同時に、愚民どもの不満の捌け口もなくなるという事ですよ。 フィアナ: フィアナ:その意味は、当然お分かりですね。 : アスナルド:い、意味だと? : フィアナ:あなたは先程、あなたがこの国をあるべき姿にすると言っていましたね フィアナ:であれば フィアナ:あなたはこれから先、逃げ場のない高い崖の上で、愚民どもの、我儘(わがまま)な、そして尽きる事のない、 フィアナ:期待という名の欲望を一身に背負い生きて行くことになるのです。 フィアナ:この国を他国の脅威(きょうい)から守りながら、勝手気ままな愚民どもを導いて行かなければならなくなるのです。 フィアナ: フィアナ:私は、あなたに、「その覚悟はあるのか」と聞いているのです。 : アスナルド:そ、そんなもの、あるに決まっているだろう : フィアナ:ほう、そうですか : アスナルド:どんな事があっても、俺たちはこの反乱を成功させ、この国を良い国に変える アスナルド:その為に俺たちは立ち上がったんだ : フィアナ:そうですか フィアナ:まったく、愚民の代表らしい、浅はかな考えですね : アスナルド:うるさい、黙れ! : フィアナ:では、果たして、あなたのその覚悟が本物かどうか フィアナ:そして、あなたの政(まつりごと)の手腕(しゅわん)がどれ程のものなのか フィアナ:私は泥梨(ないり)から見せていただく事にしましょうか : アスナルド:・・・・ : フィアナ:さぁ、あなたに本当の覚悟があるのなら、この命、取ってお行きなさい! : 0:完