台本概要

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タイトル 優衣と沙紀
作者名 Danzig
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(女2)
時間 20 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 百合ものですが、百合まで行けない切ない関係の話です。

20分~25分程度

注意:
サシ劇ではありますが、
主人公、霧島沙紀の独白がナレーションとなって物語が進行しますので、
沙紀のセリフが極端に多く、サシ劇としてはセリフのバランスが悪いです。

台本使用規定:
商用、非商用問わず連絡不要

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
沙紀 93 霧島沙紀(きりしま さき)
優衣 63 木之下優衣(きのした ゆい)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:優衣と沙紀 : : 0:登場人物 0:霧島沙紀(きりしま さき) 0:木之下優衣(きのした ゆい) : 0:あらすじ 0:霧島沙紀と木之下優衣は、中学時代からの大の親友 0:気の合う二人は、何をするにもいつも一緒。 0:今日も休みを利用して二人で映画やカラオケを楽しんだ : 0:第一場 公園 : 沙紀:(独白) 沙紀:私の名前は霧島沙紀(きりしま さき) 沙紀:私には木之下優衣(きのした ゆい)という中学時代からの大親友がいる。 沙紀:私と優衣とは昔から何をするにもいつも一緒だった 沙紀:今日も休日を利用して、二人で映画とカラオケを楽しんできた 沙紀:その帰り道、公園の脇道(わきみち)を二人で並んで歩いてる : 優衣:う~~ん : : 0:大きく伸びをする優衣 : 沙紀:どうしたのw 優衣 : 優衣:いや~、何か久しぶりに、思いっ切り遊んだって感じがするわね 優衣:私歌いすぎて喉がw 明日ヤバイかもw : 沙紀:ははは 優衣はカラオケ好きだからね : 優衣:もう大好き でも、歌は沙紀の方が上手けどね : 沙紀:そんな事ないわよ : 優衣:そんな事あるって、ははは : : 沙紀:(独白) 沙紀:私は優衣の事が好きだ 沙紀:勿論、親友として、この気の置けない仲間としての優衣が好きだ 沙紀: 沙紀:でも、いつの頃からか、その想いの中に恋心が混じっている事に気が付いた。 沙紀:しかし、それを優衣に告げる事はない・・・ 沙紀: 沙紀: 沙紀:公園を少し過ぎると、高校の野球グラウンドの横を通る 沙紀:そこには、野球の練習をしている高校生の姿が見える : 優衣:お! 高校生君達も、元気にやってますなぁ : 沙紀:ホント、土曜だというのに大変よね : 優衣:ホント、ホント 優衣:いやぁ青春ですなぁ : 沙紀:でも私、あの子達の事、ちょっと羨(うらや)ましいなって思うんだ。 沙紀:私、男に生まれたかったんだよねぇ : 優衣:へー、そうなんだw 優衣:どうして? : 沙紀:私ね、力強いのって、ちょっと憧れるんだ。 沙紀:なんかこう・・・大切な時に、大好きな人を、ギュッと抱きしめてやれるのって、いいじゃない? : 優衣:そう? 優衣:私はどっちかっていうと、抱きしめられる方がいいけどな 優衣:あぁ、ナイト様♪ 優衣:なんてねw : 沙紀:ははは、優衣らしいわねw : 沙紀:(独白) 沙紀:私が優衣に、自分のこの想いを伝える事はないだろう 沙紀:優衣にとって、私は中学時代からの友人 沙紀:私も優衣との今の関係が大切 沙紀:もし、私が優衣に想いを告げてしまえば、おそらく今の関係は終わってしまうだろう 沙紀:私には、それがたまらなく怖い 沙紀:だから、優衣にこの想いを伝える事はないのだ : 優衣:まぁでも、沙紀って、どっちかっていうと「ナイトタイプ」だもんねw : 沙紀:そうかなぁ はは : 優衣:そうよ 優衣:私、沙紀のそういうとこ好きよ、 優衣:ホント大好き♪ : 沙紀:え?・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:ダメ・・・違う・・・ 沙紀:違うの・・ 沙紀:勘違いしちゃダメ! : 優衣:私の事を、ずっと守ってくださいね♪ 優衣:ナイト様♪ : 優衣:私、ナイト様の事を、お慕い申し上げておりますわ♪ : 沙紀:優衣・・・・それって・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:私の中で、何かが壊(こわ)れる音が聞こえた気がした 沙紀:優衣のいう『好き』という感情が、友人に向けてのものであることは、十分わかっている 沙紀:それでも、何か・・・ 沙紀:まるでダムが決壊(けっかい)するような・・・ 沙紀:そんな、破滅(はめつ)に向かう音が、聞こえた気がした : 優衣:え? : 沙紀:(独白) 沙紀:しばらく、私達は黙っていた 沙紀:そして、少しして、優衣がようやく言葉の意味を理解した : : 優衣:や・・・やだぁ~ もう、何勘違いしてるのよw 優衣:そんなんじゃないってw 優衣:女同士で、何言ってるのよ もうw 優衣:親友として、そういう「ナイト」みたいな沙紀が、好きよって事じゃない : 沙紀:・・・・うん : 沙紀:(独白) 沙紀:私には、それしか言えなかった 沙紀:言葉が見つからなかったのだ 沙紀:笑えばいいのか、冗談を言えばいいのか、 沙紀:どういう言葉を選べば、この雰囲気が元に戻るのか 沙紀:わからなかった 沙紀:それは、例えどんな言葉であったとしても 沙紀:何かを口に出してしまえば、全てが終わってしまう、そんな気がしていたから・・・ : 優衣:どうしたの? : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣が、私の顔を見つめている : 優衣:あ・・・ごめん、 優衣:私、何か変な事いっちゃった? : 沙紀:し・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:ダメ、堪(こら)えて! : 優衣:え? : 沙紀:(独白) 沙紀:それ以上はダメ、やめて! 沙紀: 沙紀: 沙紀:しかし、いくら自分にそう言い聞かせても 沙紀:私にはもう自分をどうする事も出来なかった・・・ : 沙紀:し・・・ 沙紀:親友じゃなきゃ・・・ダメかな・・ : 優衣:沙紀? 優衣:それ・・・どういう事?  優衣:私・・・沙紀の事、親友だと思ってたけど・・・ 優衣:駄目・・・だった? : 沙紀:そ・・・そうじゃなくて : 優衣:え? : 沙紀:親友としての「好き」とかじゃなくて、 沙紀:れ・・れ・・恋愛の対象としての「好き」じゃ・・・駄目かな? : 優衣:え! : 沙紀:私さ、優衣の事が好きなんだ、ずっと前から・・・・ 沙紀:その・・・親友としてじゃなく・・・恋愛の対象として : 沙紀:(独白) 沙紀:突然の私の言葉に、優衣が驚いている 沙紀:それは分かっていた事・・・ 沙紀:優衣はそんな風に、私を見ていなかったのだから : 優衣:えっと・・・ 優衣:沙紀が、そんな風に私の事思っててくれたなんて、私、考えた事もなかった : 沙紀:そう・・・よね : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣の精一杯の優しさが、伝わってくる 沙紀:親友だと思っていた同姓から、突然告白をされれば、誰だって戸惑うでしょう 沙紀:そんな事は分かってたのに・・・・ 沙紀:でも、私にはもうどうする事も出来なかった 沙紀: 沙紀: 沙紀:しかし、不思議と優衣に告白した事を、後悔はしていなかった 沙紀:優衣への想いが、恋心だと気づいてから、 沙紀:いずれ、こうなるだろう事は、分かっていた事だから・・・ 沙紀:それが、たまたま「今日になっただけ」なんだろうと思っていた 沙紀: 沙紀: 沙紀:少しの沈黙の後、私は優衣に別れを告げる事にした 沙紀:ごめんね優衣・・・ 沙紀:もう一緒にはいられないね : : 沙紀:ゴメン優衣・・・・でも私、真剣だったの 沙紀:本当は、ずっと言わずに、我慢するつもりだったんだけど・・・ 沙紀: 沙紀:でも、さっき優衣が「好き」って言ってくれたとき 沙紀:私の気持ち・・・もう抑えきれなくなっちゃって・・・ 沙紀: 沙紀:こんな事打ち明けても、優衣が困るだけだって、分かってるし 沙紀:こんな事言い出しちゃったら、もう今までどおり、優衣と一緒にはいられなくなる事も分かってる 沙紀: 沙紀:でも・・・ 沙紀: 沙紀:でも、このままじゃ、優衣を騙してるような気がして 沙紀:ううん、優衣だけじゃなくて、自分の気持ちにも嘘ついてる 沙紀: 沙紀:これ以上、嘘をつき続けるなんて・・・もう私には出来ない 沙紀:・・・・出来ないの : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:ゴメンね優衣・・・ : 0:少しの沈黙 : 沙紀:私・・・もう行くわ : 0:立ち去ろうとする沙紀 : 優衣:まって! : 沙紀:え? : 0:思わず衝動的に沙紀を呼び止めた優衣 : 優衣:あ・・・あの・・・さ 優衣:はは・・びっくりしちゃったw 優衣: 優衣:正直言うと、今でも、なんだか良くわかってないのかもしれない : 沙紀:優衣・・・ : 優衣:でも・・・うれしかったわよ 優衣: 優衣:わ、私・・・沙紀の事が好きよ 優衣:勿論、今は親友として好きだけど・・・ 優衣: 優衣: 優衣:私・・・ね 優衣:沙紀の恋人になれるかどうか、やってみる 優衣:だって・・・大切な沙紀とこのまま離れちゃうのは、イヤだもん : 沙紀:優衣・・・ : 優衣:ね♪ : 沙紀:ありがとう、優衣 : 沙紀:(独白) 沙紀:自然と涙があふれてくる 沙紀:優衣の優しさが、大きさが、私にはとても救いになった : 優衣:何よ 優衣:泣かなくてもいいでしょ : 沙紀:うん : 優衣:これじゃ、どっちがナイトだか分かんないじゃない : 沙紀:うん : 優衣:そっか、 優衣:これから遊びに出かけるときは、デートって事になるのね : 沙紀:うん : 沙紀:(独白) 沙紀:こうして私と優衣は、友人以上恋人未満の関係としてやっていく事になった 沙紀: 沙紀: 沙紀:そして数週間が過ぎていった : : 0:第二場 繁華街 0: 0:街を二人であるく沙紀と優衣 : 沙紀:(独白) 沙紀:私と優衣は、これまで通り、休みを利用して、定期的に会っていた 沙紀:以前と比べて、会う頻度が高くなったわけではないが 沙紀:そんな事は全く気にならなかった・・・ 沙紀: 沙紀:でも、最近、優衣の元気がないように感じる 沙紀:電話でも、Lineでも、優衣の言葉数は少なくなっていた 沙紀:私はそんな優衣を、なんとか元気づけたいと思っていた 沙紀: 沙紀:そんな日曜日 : 沙紀:ねぇ、優衣、今日の映画面白かったね : 優衣:うん・・・ : 沙紀:そういえばさ、今度の日曜で、二人が付き合い始めてから、ちょうど一ヶ月じゃない : 優衣:そうね・・・ : 沙紀:だからさ、今度の日曜はお祝いに、ケーキバイキングなんてどう? : 優衣:うん・・・いいわよ : 沙紀:うん、決まり! 沙紀:で、この後どうする? 沙紀:何か食べて帰る?  沙紀:それとも、カラオケでもいく? : 優衣:うん・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:元気のない優衣 沙紀:どことなくどころではない 沙紀:見るからに元気がない : 沙紀:どうしたの優衣? 元気ないじゃない。 沙紀:何かあったの? : 優衣:ううん・・・ 優衣:何でもないわよ : 沙紀:そう? 沙紀:この頃の優衣、なんだか少し元気がないみたい : 優衣:そんな事ないわよ 優衣:今日はちょっと、疲れちゃったのかな : 沙紀:そっか、じゃ今日はもう帰りましょう : 優衣:うん・・・ごめんね : 沙紀:(独白) 沙紀:そして、私達は駅へ向かった : 0:第三場 駅のホーム : 沙紀:(独白) 沙紀:駅のホームで、しばらく二人はベンチに座って、電車を待っていた 沙紀:優衣は、始終なんだか落ち込んだ様子だった 沙紀:なぜだろう、体の具合がわるい訳ではなさそうなのに・・・ 沙紀:何か落ち込んでいるような、悩んでいるような、そんな感じだった 沙紀: 沙紀:しばらくして、電車の到着をしらせるアナウンスがながれる 沙紀:私達は電車に乗ったが、座る席はなく、二人でドアの近くに立っていた : 沙紀:心配だから家まで送るわね : 優衣:いいわよ・・・そんな : 沙紀:いいって、いいって 沙紀:私がそうしたいんだから   ね。 : 優衣:・・・うん : 沙紀:(独白)しばらくして、二人は地元の駅で降りた : : 0:第四場 帰り道 : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣の家までの帰り道 沙紀:私達は並んで歩いていた 沙紀:遅れがちになる優衣の歩調に合わせながら 沙紀:何とか優衣に、元気になってもらいたい 沙紀:その事で私の頭の中はいっぱいになっていた : 沙紀:優衣、ありがとうね。  沙紀:私、優衣がいてくれて、本当によかった : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣を見ず、もうすっかり暮れてしまった空を、見上げながら私は言った 沙紀:優衣の返事はなかった : 沙紀:優衣、それでね、今度・・・ : 優衣:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:その時、私は優衣のすすり泣く声に気が付いた : 沙紀:優衣? : 優衣:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣はすすり泣くばかりで返事をしてくれない 沙紀:本当にどうしてしまったんだろう : 沙紀:優衣? 大丈夫? : 優衣:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣のすすり泣きは次第に大きくなっていく 沙紀:何かこらえきれなくなったような感じに・・・ : 沙紀:優衣? 気分でも悪いの? : 優衣:そうじゃないの : 沙紀:優衣・・・じゃぁどうしたの : 優衣:そうじゃないの・・・ : 沙紀:そうじゃない・・・って、 沙紀:どういう事? 沙紀:何かあったの? : 優衣:ごめんなさい・・・・ 優衣:沙紀・・・・ごめんなさい・・・・ : 沙紀:優衣・・・そんな・・・ 沙紀:何言ってるの? 沙紀:「ごめんなさい」じゃ分からないわよ : 優衣:ごめんなさい・・・ 優衣:やっぱり・・・・やっぱり・・・私・・・ : 沙紀:優衣・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:その時になって、私はようやく、すべてを理解した 沙紀:優衣の気持ちを 沙紀:あれから優衣が、どんなに悩んでいたのかを 沙紀:それを知らずに、私だけが浮かれていたのかを 沙紀:そして、それが、どれだけ優衣を苦しめていたのかを・・・ : 優衣:どうしても駄目なの 優衣:どんなに一生懸命に沙紀の事・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:泣きじゃくる優衣をみて、私は、どうする事もできなかった・・・ : 優衣:恋人に・・・恋人になろうって、どんなに思っても 優衣:どうしても、思えないの : 優衣:大好きなのに・・・・ 優衣:私、沙紀の事、こんなにも、大好きなのに・・・・ : 沙紀:優衣・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:もうこれ以上、優衣に無理強い(むりじい)をするわけにはいかない 沙紀:そして、私達の関係も、これでもう終わりだろう・・・ 沙紀:この先、たとえ、どれだけ時間をかけたとしても 沙紀:多分、もう二度と、昔の関係に戻れる日は来ないだろう 沙紀: 沙紀:そして、私はただ、その事実を、受け入れるしかないのだ : 優衣:どうして・・・どうして、あんな事言ったのよ 優衣:どうして、親友じゃいけなかったのよ 優衣:え~ん(泣き声) 優衣:沙紀のバカ : 沙紀:本当にごめんね、優衣 : 優衣:バカ : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣の一生懸命だった気持ちが、痛いほどわかる 沙紀:本当に、優衣には苦しい思いをさせてしまった : 沙紀:ごめんね優衣 沙紀:辛い想いさせちゃって 沙紀:本当にごめんなさい : 優衣:どうして・・・ 優衣:どうして、親友じゃいけないの? 優衣:親友なら、今まで通り、ずっと楽しくやっていけるじゃない : 沙紀:ごめんなさい : 沙紀:(独白) 沙紀:私には、ただ、謝る事しかできなかった : 優衣:私、沙紀と離れたくないよ : 沙紀:優衣・・・ : 優衣:お願いよ沙紀、親友として、もう一度はじめから・・・ : 沙紀:ごめんなさい、優衣・・・ 沙紀:でも、 もう、駄目なの : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:親友じゃ駄目なの 沙紀:私の気持ちが、その一線を越えてしまったの 沙紀:優衣・・・あなたを愛してるから もう親友じゃいられないの : 優衣:わからない!  優衣:私、わからないわよ! : 沙紀:ごめんなさい   沙紀:私の気持ちばかり押し付けちゃって・・・・ : 沙紀:優衣にこんなに辛い想いをさせるんだったら 沙紀:やっぱり、あの時に分かれてしまった方がよかったのかもね : 沙紀:私のせいで、辛い想いさせちゃって、本当にごめんなさい : 沙紀:(独白) 沙紀:ここで涙を流すわけにはいかない・・・ 沙紀:ここで涙を流してしまったら、もっと優衣を苦しめてしまう 沙紀:お願い・・・もう少し・・我慢して・・ : 優衣:沙紀 : 沙紀:もう・・・ここで分かれましょう 沙紀:それがきっと、優衣の為にはいいと思うの : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:ありがとう優衣、短い間だったけど、夢が叶った気がした 沙紀:優衣と心が通じ合えたと思えて、本当に嬉しかったわよ 沙紀:私はもうそれだけで十分・・・ : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:デート・・・楽しかったわよ : 優衣:沙紀・・・イヤ・・・イヤ 優衣:沙紀と離れるなんて、イヤ 優衣:もうこれっきりなんて・・・ : 沙紀:さようなら優衣 沙紀:ゴメンね・・・・ありがとう・・・ : 優衣:沙紀・・・・いかないで、お願い : 沙紀:もう送ってあげられないけど 沙紀:気をつけて帰ってね : 優衣:イヤ・・・・イヤ : : 0:ゆっくりと立ち上がり歩き出す沙紀 : 沙紀:じゃぁ・・ね : 優衣:沙紀~ : : 沙紀を引き止めたいが理性と感情の狭間で身体が動かない優衣 : 優衣:沙紀~ : 沙紀:(独白) 沙紀:背中から聞こえる、優衣の声を聞きながら 沙紀:私は、もう二度と振り返ってはいけないと、自分に言い聞かせていた 沙紀:そして、優衣の視界から、私が消えてしまうまで、 沙紀:「止まってはいけない」と何度も言い聞かせていた 沙紀:そう言い続けていなければ、崩れ落ちてしまいそうだったから 沙紀: 沙紀:ごめんなさい、優衣 沙紀:そして、ありがとう 沙紀:私とずっと友達でいてくれて 沙紀:一時的でも、恋人になってくれて・・・ 沙紀: 沙紀:もう・・・涙が・・・こらえていた涙が・・・ : 沙紀:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・・ 沙紀:え~ん(声を上げて泣く)・・・・・ : : 0:泣きながら、歩き続ける沙紀 0: 0:終わり :

0:優衣と沙紀 : : 0:登場人物 0:霧島沙紀(きりしま さき) 0:木之下優衣(きのした ゆい) : 0:あらすじ 0:霧島沙紀と木之下優衣は、中学時代からの大の親友 0:気の合う二人は、何をするにもいつも一緒。 0:今日も休みを利用して二人で映画やカラオケを楽しんだ : 0:第一場 公園 : 沙紀:(独白) 沙紀:私の名前は霧島沙紀(きりしま さき) 沙紀:私には木之下優衣(きのした ゆい)という中学時代からの大親友がいる。 沙紀:私と優衣とは昔から何をするにもいつも一緒だった 沙紀:今日も休日を利用して、二人で映画とカラオケを楽しんできた 沙紀:その帰り道、公園の脇道(わきみち)を二人で並んで歩いてる : 優衣:う~~ん : : 0:大きく伸びをする優衣 : 沙紀:どうしたのw 優衣 : 優衣:いや~、何か久しぶりに、思いっ切り遊んだって感じがするわね 優衣:私歌いすぎて喉がw 明日ヤバイかもw : 沙紀:ははは 優衣はカラオケ好きだからね : 優衣:もう大好き でも、歌は沙紀の方が上手けどね : 沙紀:そんな事ないわよ : 優衣:そんな事あるって、ははは : : 沙紀:(独白) 沙紀:私は優衣の事が好きだ 沙紀:勿論、親友として、この気の置けない仲間としての優衣が好きだ 沙紀: 沙紀:でも、いつの頃からか、その想いの中に恋心が混じっている事に気が付いた。 沙紀:しかし、それを優衣に告げる事はない・・・ 沙紀: 沙紀: 沙紀:公園を少し過ぎると、高校の野球グラウンドの横を通る 沙紀:そこには、野球の練習をしている高校生の姿が見える : 優衣:お! 高校生君達も、元気にやってますなぁ : 沙紀:ホント、土曜だというのに大変よね : 優衣:ホント、ホント 優衣:いやぁ青春ですなぁ : 沙紀:でも私、あの子達の事、ちょっと羨(うらや)ましいなって思うんだ。 沙紀:私、男に生まれたかったんだよねぇ : 優衣:へー、そうなんだw 優衣:どうして? : 沙紀:私ね、力強いのって、ちょっと憧れるんだ。 沙紀:なんかこう・・・大切な時に、大好きな人を、ギュッと抱きしめてやれるのって、いいじゃない? : 優衣:そう? 優衣:私はどっちかっていうと、抱きしめられる方がいいけどな 優衣:あぁ、ナイト様♪ 優衣:なんてねw : 沙紀:ははは、優衣らしいわねw : 沙紀:(独白) 沙紀:私が優衣に、自分のこの想いを伝える事はないだろう 沙紀:優衣にとって、私は中学時代からの友人 沙紀:私も優衣との今の関係が大切 沙紀:もし、私が優衣に想いを告げてしまえば、おそらく今の関係は終わってしまうだろう 沙紀:私には、それがたまらなく怖い 沙紀:だから、優衣にこの想いを伝える事はないのだ : 優衣:まぁでも、沙紀って、どっちかっていうと「ナイトタイプ」だもんねw : 沙紀:そうかなぁ はは : 優衣:そうよ 優衣:私、沙紀のそういうとこ好きよ、 優衣:ホント大好き♪ : 沙紀:え?・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:ダメ・・・違う・・・ 沙紀:違うの・・ 沙紀:勘違いしちゃダメ! : 優衣:私の事を、ずっと守ってくださいね♪ 優衣:ナイト様♪ : 優衣:私、ナイト様の事を、お慕い申し上げておりますわ♪ : 沙紀:優衣・・・・それって・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:私の中で、何かが壊(こわ)れる音が聞こえた気がした 沙紀:優衣のいう『好き』という感情が、友人に向けてのものであることは、十分わかっている 沙紀:それでも、何か・・・ 沙紀:まるでダムが決壊(けっかい)するような・・・ 沙紀:そんな、破滅(はめつ)に向かう音が、聞こえた気がした : 優衣:え? : 沙紀:(独白) 沙紀:しばらく、私達は黙っていた 沙紀:そして、少しして、優衣がようやく言葉の意味を理解した : : 優衣:や・・・やだぁ~ もう、何勘違いしてるのよw 優衣:そんなんじゃないってw 優衣:女同士で、何言ってるのよ もうw 優衣:親友として、そういう「ナイト」みたいな沙紀が、好きよって事じゃない : 沙紀:・・・・うん : 沙紀:(独白) 沙紀:私には、それしか言えなかった 沙紀:言葉が見つからなかったのだ 沙紀:笑えばいいのか、冗談を言えばいいのか、 沙紀:どういう言葉を選べば、この雰囲気が元に戻るのか 沙紀:わからなかった 沙紀:それは、例えどんな言葉であったとしても 沙紀:何かを口に出してしまえば、全てが終わってしまう、そんな気がしていたから・・・ : 優衣:どうしたの? : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣が、私の顔を見つめている : 優衣:あ・・・ごめん、 優衣:私、何か変な事いっちゃった? : 沙紀:し・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:ダメ、堪(こら)えて! : 優衣:え? : 沙紀:(独白) 沙紀:それ以上はダメ、やめて! 沙紀: 沙紀: 沙紀:しかし、いくら自分にそう言い聞かせても 沙紀:私にはもう自分をどうする事も出来なかった・・・ : 沙紀:し・・・ 沙紀:親友じゃなきゃ・・・ダメかな・・ : 優衣:沙紀? 優衣:それ・・・どういう事?  優衣:私・・・沙紀の事、親友だと思ってたけど・・・ 優衣:駄目・・・だった? : 沙紀:そ・・・そうじゃなくて : 優衣:え? : 沙紀:親友としての「好き」とかじゃなくて、 沙紀:れ・・れ・・恋愛の対象としての「好き」じゃ・・・駄目かな? : 優衣:え! : 沙紀:私さ、優衣の事が好きなんだ、ずっと前から・・・・ 沙紀:その・・・親友としてじゃなく・・・恋愛の対象として : 沙紀:(独白) 沙紀:突然の私の言葉に、優衣が驚いている 沙紀:それは分かっていた事・・・ 沙紀:優衣はそんな風に、私を見ていなかったのだから : 優衣:えっと・・・ 優衣:沙紀が、そんな風に私の事思っててくれたなんて、私、考えた事もなかった : 沙紀:そう・・・よね : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣の精一杯の優しさが、伝わってくる 沙紀:親友だと思っていた同姓から、突然告白をされれば、誰だって戸惑うでしょう 沙紀:そんな事は分かってたのに・・・・ 沙紀:でも、私にはもうどうする事も出来なかった 沙紀: 沙紀: 沙紀:しかし、不思議と優衣に告白した事を、後悔はしていなかった 沙紀:優衣への想いが、恋心だと気づいてから、 沙紀:いずれ、こうなるだろう事は、分かっていた事だから・・・ 沙紀:それが、たまたま「今日になっただけ」なんだろうと思っていた 沙紀: 沙紀: 沙紀:少しの沈黙の後、私は優衣に別れを告げる事にした 沙紀:ごめんね優衣・・・ 沙紀:もう一緒にはいられないね : : 沙紀:ゴメン優衣・・・・でも私、真剣だったの 沙紀:本当は、ずっと言わずに、我慢するつもりだったんだけど・・・ 沙紀: 沙紀:でも、さっき優衣が「好き」って言ってくれたとき 沙紀:私の気持ち・・・もう抑えきれなくなっちゃって・・・ 沙紀: 沙紀:こんな事打ち明けても、優衣が困るだけだって、分かってるし 沙紀:こんな事言い出しちゃったら、もう今までどおり、優衣と一緒にはいられなくなる事も分かってる 沙紀: 沙紀:でも・・・ 沙紀: 沙紀:でも、このままじゃ、優衣を騙してるような気がして 沙紀:ううん、優衣だけじゃなくて、自分の気持ちにも嘘ついてる 沙紀: 沙紀:これ以上、嘘をつき続けるなんて・・・もう私には出来ない 沙紀:・・・・出来ないの : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:ゴメンね優衣・・・ : 0:少しの沈黙 : 沙紀:私・・・もう行くわ : 0:立ち去ろうとする沙紀 : 優衣:まって! : 沙紀:え? : 0:思わず衝動的に沙紀を呼び止めた優衣 : 優衣:あ・・・あの・・・さ 優衣:はは・・びっくりしちゃったw 優衣: 優衣:正直言うと、今でも、なんだか良くわかってないのかもしれない : 沙紀:優衣・・・ : 優衣:でも・・・うれしかったわよ 優衣: 優衣:わ、私・・・沙紀の事が好きよ 優衣:勿論、今は親友として好きだけど・・・ 優衣: 優衣: 優衣:私・・・ね 優衣:沙紀の恋人になれるかどうか、やってみる 優衣:だって・・・大切な沙紀とこのまま離れちゃうのは、イヤだもん : 沙紀:優衣・・・ : 優衣:ね♪ : 沙紀:ありがとう、優衣 : 沙紀:(独白) 沙紀:自然と涙があふれてくる 沙紀:優衣の優しさが、大きさが、私にはとても救いになった : 優衣:何よ 優衣:泣かなくてもいいでしょ : 沙紀:うん : 優衣:これじゃ、どっちがナイトだか分かんないじゃない : 沙紀:うん : 優衣:そっか、 優衣:これから遊びに出かけるときは、デートって事になるのね : 沙紀:うん : 沙紀:(独白) 沙紀:こうして私と優衣は、友人以上恋人未満の関係としてやっていく事になった 沙紀: 沙紀: 沙紀:そして数週間が過ぎていった : : 0:第二場 繁華街 0: 0:街を二人であるく沙紀と優衣 : 沙紀:(独白) 沙紀:私と優衣は、これまで通り、休みを利用して、定期的に会っていた 沙紀:以前と比べて、会う頻度が高くなったわけではないが 沙紀:そんな事は全く気にならなかった・・・ 沙紀: 沙紀:でも、最近、優衣の元気がないように感じる 沙紀:電話でも、Lineでも、優衣の言葉数は少なくなっていた 沙紀:私はそんな優衣を、なんとか元気づけたいと思っていた 沙紀: 沙紀:そんな日曜日 : 沙紀:ねぇ、優衣、今日の映画面白かったね : 優衣:うん・・・ : 沙紀:そういえばさ、今度の日曜で、二人が付き合い始めてから、ちょうど一ヶ月じゃない : 優衣:そうね・・・ : 沙紀:だからさ、今度の日曜はお祝いに、ケーキバイキングなんてどう? : 優衣:うん・・・いいわよ : 沙紀:うん、決まり! 沙紀:で、この後どうする? 沙紀:何か食べて帰る?  沙紀:それとも、カラオケでもいく? : 優衣:うん・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:元気のない優衣 沙紀:どことなくどころではない 沙紀:見るからに元気がない : 沙紀:どうしたの優衣? 元気ないじゃない。 沙紀:何かあったの? : 優衣:ううん・・・ 優衣:何でもないわよ : 沙紀:そう? 沙紀:この頃の優衣、なんだか少し元気がないみたい : 優衣:そんな事ないわよ 優衣:今日はちょっと、疲れちゃったのかな : 沙紀:そっか、じゃ今日はもう帰りましょう : 優衣:うん・・・ごめんね : 沙紀:(独白) 沙紀:そして、私達は駅へ向かった : 0:第三場 駅のホーム : 沙紀:(独白) 沙紀:駅のホームで、しばらく二人はベンチに座って、電車を待っていた 沙紀:優衣は、始終なんだか落ち込んだ様子だった 沙紀:なぜだろう、体の具合がわるい訳ではなさそうなのに・・・ 沙紀:何か落ち込んでいるような、悩んでいるような、そんな感じだった 沙紀: 沙紀:しばらくして、電車の到着をしらせるアナウンスがながれる 沙紀:私達は電車に乗ったが、座る席はなく、二人でドアの近くに立っていた : 沙紀:心配だから家まで送るわね : 優衣:いいわよ・・・そんな : 沙紀:いいって、いいって 沙紀:私がそうしたいんだから   ね。 : 優衣:・・・うん : 沙紀:(独白)しばらくして、二人は地元の駅で降りた : : 0:第四場 帰り道 : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣の家までの帰り道 沙紀:私達は並んで歩いていた 沙紀:遅れがちになる優衣の歩調に合わせながら 沙紀:何とか優衣に、元気になってもらいたい 沙紀:その事で私の頭の中はいっぱいになっていた : 沙紀:優衣、ありがとうね。  沙紀:私、優衣がいてくれて、本当によかった : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣を見ず、もうすっかり暮れてしまった空を、見上げながら私は言った 沙紀:優衣の返事はなかった : 沙紀:優衣、それでね、今度・・・ : 優衣:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:その時、私は優衣のすすり泣く声に気が付いた : 沙紀:優衣? : 優衣:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣はすすり泣くばかりで返事をしてくれない 沙紀:本当にどうしてしまったんだろう : 沙紀:優衣? 大丈夫? : 優衣:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣のすすり泣きは次第に大きくなっていく 沙紀:何かこらえきれなくなったような感じに・・・ : 沙紀:優衣? 気分でも悪いの? : 優衣:そうじゃないの : 沙紀:優衣・・・じゃぁどうしたの : 優衣:そうじゃないの・・・ : 沙紀:そうじゃない・・・って、 沙紀:どういう事? 沙紀:何かあったの? : 優衣:ごめんなさい・・・・ 優衣:沙紀・・・・ごめんなさい・・・・ : 沙紀:優衣・・・そんな・・・ 沙紀:何言ってるの? 沙紀:「ごめんなさい」じゃ分からないわよ : 優衣:ごめんなさい・・・ 優衣:やっぱり・・・・やっぱり・・・私・・・ : 沙紀:優衣・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:その時になって、私はようやく、すべてを理解した 沙紀:優衣の気持ちを 沙紀:あれから優衣が、どんなに悩んでいたのかを 沙紀:それを知らずに、私だけが浮かれていたのかを 沙紀:そして、それが、どれだけ優衣を苦しめていたのかを・・・ : 優衣:どうしても駄目なの 優衣:どんなに一生懸命に沙紀の事・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:泣きじゃくる優衣をみて、私は、どうする事もできなかった・・・ : 優衣:恋人に・・・恋人になろうって、どんなに思っても 優衣:どうしても、思えないの : 優衣:大好きなのに・・・・ 優衣:私、沙紀の事、こんなにも、大好きなのに・・・・ : 沙紀:優衣・・・ : 沙紀:(独白) 沙紀:もうこれ以上、優衣に無理強い(むりじい)をするわけにはいかない 沙紀:そして、私達の関係も、これでもう終わりだろう・・・ 沙紀:この先、たとえ、どれだけ時間をかけたとしても 沙紀:多分、もう二度と、昔の関係に戻れる日は来ないだろう 沙紀: 沙紀:そして、私はただ、その事実を、受け入れるしかないのだ : 優衣:どうして・・・どうして、あんな事言ったのよ 優衣:どうして、親友じゃいけなかったのよ 優衣:え~ん(泣き声) 優衣:沙紀のバカ : 沙紀:本当にごめんね、優衣 : 優衣:バカ : 沙紀:(独白) 沙紀:優衣の一生懸命だった気持ちが、痛いほどわかる 沙紀:本当に、優衣には苦しい思いをさせてしまった : 沙紀:ごめんね優衣 沙紀:辛い想いさせちゃって 沙紀:本当にごめんなさい : 優衣:どうして・・・ 優衣:どうして、親友じゃいけないの? 優衣:親友なら、今まで通り、ずっと楽しくやっていけるじゃない : 沙紀:ごめんなさい : 沙紀:(独白) 沙紀:私には、ただ、謝る事しかできなかった : 優衣:私、沙紀と離れたくないよ : 沙紀:優衣・・・ : 優衣:お願いよ沙紀、親友として、もう一度はじめから・・・ : 沙紀:ごめんなさい、優衣・・・ 沙紀:でも、 もう、駄目なの : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:親友じゃ駄目なの 沙紀:私の気持ちが、その一線を越えてしまったの 沙紀:優衣・・・あなたを愛してるから もう親友じゃいられないの : 優衣:わからない!  優衣:私、わからないわよ! : 沙紀:ごめんなさい   沙紀:私の気持ちばかり押し付けちゃって・・・・ : 沙紀:優衣にこんなに辛い想いをさせるんだったら 沙紀:やっぱり、あの時に分かれてしまった方がよかったのかもね : 沙紀:私のせいで、辛い想いさせちゃって、本当にごめんなさい : 沙紀:(独白) 沙紀:ここで涙を流すわけにはいかない・・・ 沙紀:ここで涙を流してしまったら、もっと優衣を苦しめてしまう 沙紀:お願い・・・もう少し・・我慢して・・ : 優衣:沙紀 : 沙紀:もう・・・ここで分かれましょう 沙紀:それがきっと、優衣の為にはいいと思うの : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:ありがとう優衣、短い間だったけど、夢が叶った気がした 沙紀:優衣と心が通じ合えたと思えて、本当に嬉しかったわよ 沙紀:私はもうそれだけで十分・・・ : 優衣:沙紀・・・ : 沙紀:デート・・・楽しかったわよ : 優衣:沙紀・・・イヤ・・・イヤ 優衣:沙紀と離れるなんて、イヤ 優衣:もうこれっきりなんて・・・ : 沙紀:さようなら優衣 沙紀:ゴメンね・・・・ありがとう・・・ : 優衣:沙紀・・・・いかないで、お願い : 沙紀:もう送ってあげられないけど 沙紀:気をつけて帰ってね : 優衣:イヤ・・・・イヤ : : 0:ゆっくりと立ち上がり歩き出す沙紀 : 沙紀:じゃぁ・・ね : 優衣:沙紀~ : : 沙紀を引き止めたいが理性と感情の狭間で身体が動かない優衣 : 優衣:沙紀~ : 沙紀:(独白) 沙紀:背中から聞こえる、優衣の声を聞きながら 沙紀:私は、もう二度と振り返ってはいけないと、自分に言い聞かせていた 沙紀:そして、優衣の視界から、私が消えてしまうまで、 沙紀:「止まってはいけない」と何度も言い聞かせていた 沙紀:そう言い続けていなければ、崩れ落ちてしまいそうだったから 沙紀: 沙紀:ごめんなさい、優衣 沙紀:そして、ありがとう 沙紀:私とずっと友達でいてくれて 沙紀:一時的でも、恋人になってくれて・・・ 沙紀: 沙紀:もう・・・涙が・・・こらえていた涙が・・・ : 沙紀:・・・・ぇ・・・・ぇ・・・・・ 沙紀:え~ん(声を上げて泣く)・・・・・ : : 0:泣きながら、歩き続ける沙紀 0: 0:終わり :