台本概要
346 views
タイトル | 1年後の確率 |
---|---|
作者名 | 机の上の地球儀 (@tsukuenoueno) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
通話劇/恋愛/エンディング分岐 商用・非商用利用に問わず連絡不要。 告知画像・動画の作成もお好きにどうぞ。 (その際各画像・音源の著作権等にご注意・ご配慮ください) ただし、有料チケット販売による公演の場合は、可能ならTwitterにご一報いただけますと嬉しいです。 台本の一部を朗読・練習する配信なども問題ございません。 兼ね役OK。1人での演じ分けやアドリブ・語尾変・方言変換などもご自由に。 346 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
男 | 男 | 50 | 女に間違い電話をかけてしまってから、何故かそのまま毎晩通話する関係が続いている。 |
女 | 女 | 52 | 酔っている時にたまたま間違い電話をかけてきた男にだる絡みをしてしまった。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
女:……もしもし?
男:もしもし。あれ?ごめん、何かしてた?
女:いや、大丈夫。何もしてないよ。そろそろ掛かってくるかなって思って……、
男:お?もしかして待ってた?
女:待ってない。
男:待ってた?
女:……待ってないってば!
男:待ってたんだ。かわいーねほんと。
女:あんたのそういうとこ、ほんとムカつく。
男:毎晩ムカつく男からの電話待ってんのお前?
女:…………。
男:黙んなよ。
女:お前って呼ばれるの、好きじゃない。
男:だって、名前知らねえし。
女:(ため息)……それにしても不思議だよねー。たまたま掛かってきた間違い電話の相手と、こうして毎晩通話してるなんてさ。
男:不思議ってより「やばい」し「おかしい」。
男:間違えた先が、タチ悪い酔っ払い女だったのが運のツキ。延々と浮気男の愚痴聞かされて気付けば朝。よく電話切らなかったわー、俺。
女:それは!何度も謝ったじゃん。掛け放題プランじゃなかったらごめんね、って。
男:謝るとこそこじゃない。
女:そ?
男:(ため息)やべえ女に捕まったな、と思った。けど、切ろうとしたら「電話切ったら死んでやる!舌噛み切ってやるーーー!」とか脅すから。……逃げようがないだろ?
女:そりゃそうよ。カモがのこのこやって来たんだもん。
男:カモってお前なあ……。
女:だからお前って言うな。……あの時は……誰かに話聞いてもらえないと、本当に爆発しそうだったし。
男:……友達いないんかよ。
女:友達にあんな醜態見せらんないでしょ。
男:醜態って自覚はあんのな。
女:……好きだったから。
男:え?
女:大好きだったから、いっつも彼のこと友達に自慢してたんだよね、私。優しいんだよ、素敵なんだよって、上手くいってますアピールしてさ。
男:それが、浮気されてただなんて恥ずかしくて言えない?
女:それもあるけど……そうじゃなくて。
男:なんだよ。
女:好きで好きで仕方なかったから、あれ、おかしいなって思ってもスルーしてた。付き合い始めた頃より連絡減っても、残業多くなっても、常に携帯を持ち歩くようになっても……。
男:……典型的。
女:携帯の暗証番号、付き合ってからはずっと私の誕生日だったのに。
男:それが変わってた、って?ほんとベタだなその男。ベッタベタのベタで気持ち悪ぃ。……ってか、相手の携帯見たのかよ。
女:……見てない。
男:は?
女:見れなかった。
男:んじゃ、まだそのまま誕生日かもしれねえだろ。
女:臆病者なので。……変わってたら、もうスルーできなくなっちゃうから……見れなかった。
男:で?ずっとスルーしていたのに、ある日とうとう相手からハッキリ言われてしまった、と?
女:うん、「好きな人ができた」って。あっさり。
男:好きな人、ねえ。
女:男の人ってさ、みんな浮気願望あるものなんかな。
男:(イラッとして)なんだよそれ。男全般括(くく)んなよ。
女:だって、若くて可愛い子がいたら、乗り換えるのが動物的本能じゃん?子孫繁栄うんぬんかんぬん〜って。どうせあんただって……、
男:ごちゃごちゃうるせえなあ。
女:…………!
男:あーあーそうですね。男はみんな馬鹿ですよ。ちょっと優しくされたら「あれこいつ俺のこと好きなんかな」って勘違いしたりしますよ。惚れっぽくて馬鹿で下半身でもの考えてんのかもしんねーよ。
女:ちょ、待って私そこまで言ってな……、
男:言ってんだろ。男全員まとめて本能にチュージツ、理性のないケダモノってな。……くそ腹立つ。
女:……何よ、ムキになって。あんたは違うって、そう言いたい訳?
男:あー違うね。俺は一途だから。
女:そりゃ、華奢でか弱くて、守ってあげたくなるような女の子に対してだったらそうかもね?でも、私みたいな女は「お前なら一人でも大丈夫だよ」って、置いてかれんのが通例なのよ。
男:通例って。一人でも大丈夫な女が、こうして毎日、顔も知らない男の電話待ったりしねーだろ。
女:だから、別に待ってない。
男:へーへー。
女:ほんとムカつく。
男:お互い様。
女:……でもさ、ほんと。こんなガサツな女が、お姫様みたいな可憐な女の子差し置いてヒロインに選ばれるーなんて……そんなの万が一にも、億が一にも……いや兆が一にも京が一にも!……ないんだよ、悲しいことに。
男:確率ひっく。
女:…………ねえ。
男:あ?
女:一途って、あんた今誰かに恋してんの。
男:なんだその小っ恥ずかしい質問は。
女:茶化すな。
男:……んー、まあ。
女:いるんだ……どんな人?
男:どんなって……あー……てきとーで、調子良くて、アホっぽくてうるさくて?
女:……何それ。そんな女のどこが好きなの?……めちゃくちゃ美人とか?
男:さあ、顔とか知らないし。
女:は?
男:声しか知らない。
女:……え。
男:あと電話番号。
女:…………。
男:だから黙んなよ。
女:…………それって、つまり……。
男:みなまで聞きたいか?
女:えっと、その…………いや、うん。
男:どっちだよ。
男:……おーい?
女:一年!……あーーーー一年間、通話やめない?
男:は?おい、イキナリ何言って……、
女:待って!とりあえず聞いて!
男:…………。
女:一年後!一年経っても、さ。
女:万が一!あんたがまだ私の声が聞きたくて、億が一!あんたがまだ私に会いたくて、兆が一!あんたがまだ私を好きで、京が一!あんたがまだ私と付き合いたい、って思えたら…………その時に、さ。電話、ちょうだいよ。その時までには……心の準備、するから。
男:……そっちはそれ、我慢できんの。
女:できなくなっても、掛けられないじゃん。
男:…………。
女:誰かさん、いつも非通知で掛けてくるんだもん。
男:なら番号……、
女:(遮るように)良い。……言わないで。掛けたくなっても、掛けられないから……だから、ちょうど良いの。
男:…………。
女:臆病者だから。私、臆病者だから……そうでもしないと、信じられない。
男:一年間、名前も顔も知らない、電話番号しか知らない……その上とうとう声すら聴かせてもらえなくなる女を好きでい続けろってか?……ひっでー女だな。そんな周りくどい振り方しないでハッキリ……、
女:六月二十九日。
男:は?
女:誕生日、私の。……暗証番号に使ってもいいよ。
男:……ほんと、ひっでー女……。
0:場面転換。
0:一年後。電話の着信音。女は中々それを取らない。
0:甲高い着信音が暫く室内に響く。
女:……もしもし?
女:いや、大丈夫。何もしてないよ。
0:以下、壱と弐のどちらのセリフを言うかは女役の方にお任せします。
(壱)女:……そろそろ、掛かってくるかなって思ってた。
(弐)女:……うん。え、合コン?……あーそういうのはちょっと……ごめんね、折角誘ってくれたのに。……ほんとごめん……うん。……ハハ。はい、そろそろ考えますって。うん、じゃあ。……(電話を切って、ボソッと)……準備、ちゃんとしたんだけどな……。ほんと、ひっでー男……。
女:……もしもし?
男:もしもし。あれ?ごめん、何かしてた?
女:いや、大丈夫。何もしてないよ。そろそろ掛かってくるかなって思って……、
男:お?もしかして待ってた?
女:待ってない。
男:待ってた?
女:……待ってないってば!
男:待ってたんだ。かわいーねほんと。
女:あんたのそういうとこ、ほんとムカつく。
男:毎晩ムカつく男からの電話待ってんのお前?
女:…………。
男:黙んなよ。
女:お前って呼ばれるの、好きじゃない。
男:だって、名前知らねえし。
女:(ため息)……それにしても不思議だよねー。たまたま掛かってきた間違い電話の相手と、こうして毎晩通話してるなんてさ。
男:不思議ってより「やばい」し「おかしい」。
男:間違えた先が、タチ悪い酔っ払い女だったのが運のツキ。延々と浮気男の愚痴聞かされて気付けば朝。よく電話切らなかったわー、俺。
女:それは!何度も謝ったじゃん。掛け放題プランじゃなかったらごめんね、って。
男:謝るとこそこじゃない。
女:そ?
男:(ため息)やべえ女に捕まったな、と思った。けど、切ろうとしたら「電話切ったら死んでやる!舌噛み切ってやるーーー!」とか脅すから。……逃げようがないだろ?
女:そりゃそうよ。カモがのこのこやって来たんだもん。
男:カモってお前なあ……。
女:だからお前って言うな。……あの時は……誰かに話聞いてもらえないと、本当に爆発しそうだったし。
男:……友達いないんかよ。
女:友達にあんな醜態見せらんないでしょ。
男:醜態って自覚はあんのな。
女:……好きだったから。
男:え?
女:大好きだったから、いっつも彼のこと友達に自慢してたんだよね、私。優しいんだよ、素敵なんだよって、上手くいってますアピールしてさ。
男:それが、浮気されてただなんて恥ずかしくて言えない?
女:それもあるけど……そうじゃなくて。
男:なんだよ。
女:好きで好きで仕方なかったから、あれ、おかしいなって思ってもスルーしてた。付き合い始めた頃より連絡減っても、残業多くなっても、常に携帯を持ち歩くようになっても……。
男:……典型的。
女:携帯の暗証番号、付き合ってからはずっと私の誕生日だったのに。
男:それが変わってた、って?ほんとベタだなその男。ベッタベタのベタで気持ち悪ぃ。……ってか、相手の携帯見たのかよ。
女:……見てない。
男:は?
女:見れなかった。
男:んじゃ、まだそのまま誕生日かもしれねえだろ。
女:臆病者なので。……変わってたら、もうスルーできなくなっちゃうから……見れなかった。
男:で?ずっとスルーしていたのに、ある日とうとう相手からハッキリ言われてしまった、と?
女:うん、「好きな人ができた」って。あっさり。
男:好きな人、ねえ。
女:男の人ってさ、みんな浮気願望あるものなんかな。
男:(イラッとして)なんだよそれ。男全般括(くく)んなよ。
女:だって、若くて可愛い子がいたら、乗り換えるのが動物的本能じゃん?子孫繁栄うんぬんかんぬん〜って。どうせあんただって……、
男:ごちゃごちゃうるせえなあ。
女:…………!
男:あーあーそうですね。男はみんな馬鹿ですよ。ちょっと優しくされたら「あれこいつ俺のこと好きなんかな」って勘違いしたりしますよ。惚れっぽくて馬鹿で下半身でもの考えてんのかもしんねーよ。
女:ちょ、待って私そこまで言ってな……、
男:言ってんだろ。男全員まとめて本能にチュージツ、理性のないケダモノってな。……くそ腹立つ。
女:……何よ、ムキになって。あんたは違うって、そう言いたい訳?
男:あー違うね。俺は一途だから。
女:そりゃ、華奢でか弱くて、守ってあげたくなるような女の子に対してだったらそうかもね?でも、私みたいな女は「お前なら一人でも大丈夫だよ」って、置いてかれんのが通例なのよ。
男:通例って。一人でも大丈夫な女が、こうして毎日、顔も知らない男の電話待ったりしねーだろ。
女:だから、別に待ってない。
男:へーへー。
女:ほんとムカつく。
男:お互い様。
女:……でもさ、ほんと。こんなガサツな女が、お姫様みたいな可憐な女の子差し置いてヒロインに選ばれるーなんて……そんなの万が一にも、億が一にも……いや兆が一にも京が一にも!……ないんだよ、悲しいことに。
男:確率ひっく。
女:…………ねえ。
男:あ?
女:一途って、あんた今誰かに恋してんの。
男:なんだその小っ恥ずかしい質問は。
女:茶化すな。
男:……んー、まあ。
女:いるんだ……どんな人?
男:どんなって……あー……てきとーで、調子良くて、アホっぽくてうるさくて?
女:……何それ。そんな女のどこが好きなの?……めちゃくちゃ美人とか?
男:さあ、顔とか知らないし。
女:は?
男:声しか知らない。
女:……え。
男:あと電話番号。
女:…………。
男:だから黙んなよ。
女:…………それって、つまり……。
男:みなまで聞きたいか?
女:えっと、その…………いや、うん。
男:どっちだよ。
男:……おーい?
女:一年!……あーーーー一年間、通話やめない?
男:は?おい、イキナリ何言って……、
女:待って!とりあえず聞いて!
男:…………。
女:一年後!一年経っても、さ。
女:万が一!あんたがまだ私の声が聞きたくて、億が一!あんたがまだ私に会いたくて、兆が一!あんたがまだ私を好きで、京が一!あんたがまだ私と付き合いたい、って思えたら…………その時に、さ。電話、ちょうだいよ。その時までには……心の準備、するから。
男:……そっちはそれ、我慢できんの。
女:できなくなっても、掛けられないじゃん。
男:…………。
女:誰かさん、いつも非通知で掛けてくるんだもん。
男:なら番号……、
女:(遮るように)良い。……言わないで。掛けたくなっても、掛けられないから……だから、ちょうど良いの。
男:…………。
女:臆病者だから。私、臆病者だから……そうでもしないと、信じられない。
男:一年間、名前も顔も知らない、電話番号しか知らない……その上とうとう声すら聴かせてもらえなくなる女を好きでい続けろってか?……ひっでー女だな。そんな周りくどい振り方しないでハッキリ……、
女:六月二十九日。
男:は?
女:誕生日、私の。……暗証番号に使ってもいいよ。
男:……ほんと、ひっでー女……。
0:場面転換。
0:一年後。電話の着信音。女は中々それを取らない。
0:甲高い着信音が暫く室内に響く。
女:……もしもし?
女:いや、大丈夫。何もしてないよ。
0:以下、壱と弐のどちらのセリフを言うかは女役の方にお任せします。
(壱)女:……そろそろ、掛かってくるかなって思ってた。
(弐)女:……うん。え、合コン?……あーそういうのはちょっと……ごめんね、折角誘ってくれたのに。……ほんとごめん……うん。……ハハ。はい、そろそろ考えますって。うん、じゃあ。……(電話を切って、ボソッと)……準備、ちゃんとしたんだけどな……。ほんと、ひっでー男……。