台本概要
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タイトル | 泡と夜は華と散り(bad end) |
---|---|
作者名 | さと (@pamikon) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 4人用台本(男2、女2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
夜のお店には、本物の愛なんて存在しないーー? ホストに貢ぐため出稼ぎに行く女の子 それをなんとも思わないホストの男 胸糞エンドです。 もし上演してくださる方がいたら、Twitterの方に連絡下さると嬉しいです!ただ私が聞きたいので強制ではありません(*´-`) 557 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ゆあ | 女 | 76 | 紫苑に入れ上げている女の子。紫苑のためならなんでも出来る。 感情が爆発するシーンが多い |
紫苑 | 男 | 70 | ホスト。バースデーに一位を取りたい。ゆあのことは性格の面倒臭さから、金としか見ていない。対応がカス。 絵里奈に惚れている |
絵里奈 | 女 | 61 | 銀座の高級ホステス。容姿も教養も完璧で、愛を信じていない |
海里 | 男 | 50 | 紫苑の同期。巻き込まれ体質。本作で一番優しい |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ゆあ:ねえしおん、明日からゆあ出稼ぎだよ?
紫苑:うん、知ってる
ゆあ:知ってる、じゃなくてぇ!頑張ってねとか毎日連絡するよー、とかないの?
紫苑:いや、お前が俺のバースデーイベントで一番取りたいっていうから、決めた事じゃねえの?
ゆあ:そうだよ、そうだけど…でもやっぱり、紫苑と離れるの嫌なんだもんー!
紫苑:(ため息)
ゆあ:ねぇ〜!なんでそんなにめんどくさそうなの?ゆあ、紫苑の為に頑張るんだよ?
ゆあ:300万のシャンパンタワー、紫苑だって嬉しいでしょ?
紫苑:嬉しいけど、いく前からそんなウザい感じならやらなくていいよ
ゆあ:なんで!?やるし!ただ紫苑から頑張れが欲しいだけなのに…ほんとにやめちゃっていいの?
紫苑:ほらな、結局本気じゃなかったんだろ?期待して損した…ゆあならやってくれると思ってたのに。
紫苑:さすが、俺のエースだな、って
ゆあ:本当?ゆあは、紫苑のエース?
紫苑:そうだよ。お前以外いないだろ
ゆあ:え…っへへ!そうだよね?ゆあすごく頑張ってるもんね?今まで、多分二千はいってるもん!
紫苑:うんまぁ、そんくらいかな。だから今回も頑張れるな?
ゆあ:うん!二ヶ月、長いけど……頑張る!
紫苑:じゃ、俺帰るから
ゆあ:え!?もう?
紫苑:他のアフター遅らせてこっち来てるんだよ。今日はお前より使った客いたから
ゆあ:やだ!今日は一緒にいて!
紫苑:わがまま言うなって……
ゆあ:だって明日から会えないんだよ!?
紫苑:はぁ〜…(クソデカため息)
ゆあ:ねえ、帰らないで!(お願い!)
紫苑:(途中から遮って)無理無理、無理だから……はぁ、ちょっとこっち来い。
紫苑:これで我慢して(キスする)
ゆあ:うう〜…やだ……
紫苑:明日、見送り行ってやるから
0:次の日・ホストクラブ内
紫苑:あーだりぃ
海里:おつ〜、なんか無駄に疲れてね?
紫苑:今日朝早かったんだよ…
海里:あ〜、ゆあちゃんか。そういや今日だったな。そんで?素直に行ったん?
紫苑:行くわけねぇだろアイツが。もうバス来るのにやっぱり行きたくないとか言い出すし
海里:でもなんとかしたんだろ
紫苑:毎日連絡の約束させられて、香水取られた。出先で使うんだと。自分で買えよな……
海里:お前が持ってるのが欲しいんだろ、愛されてるなぁ(笑)
紫苑…絶対思ってねえだろ…はぁ、ねむ…
海里:そういえばさぁ、さっき絵里奈さん来てたぜ
紫苑:は!?そういう事は早く言えよ!
0:店内・卓
紫苑:えりなさん、お疲れ様です!
絵里奈:そんなに急がなくても大丈夫よ。今日は時間あるから
紫苑:なんで連絡くれないんですか?
絵里奈:ごめんなさい、忙しくて。最近サミットの関係で海外のお客様が増えてね。お休みも取りづらかったのよ
紫苑:絵里奈さんナンバーワンですもんね……俺には敷居が高くて、お店には行けないですけど
絵里奈:私が来れば会えるんだからいいじゃない。
紫苑:別に絵里奈さんは来なくても……
絵里奈:だめよ。私は紫苑を応援してるの。
絵里奈:店に来なきゃ売り上げにならないでしょ
紫苑:それは…そうですけど。いつもありがとうございます
海里:どもー!ご一緒していいですか?
絵里奈:どうぞ、何か飲む?
海里:え、いいんですか?絵里奈さんやっさしー!本当女神っすよね!
絵里奈:ちょっと大袈裟じゃないかしら?
紫苑:あんまりうるさくすんなよ
絵里奈:賑やかでいいじゃない。あ、何か食べましょうか、メニュー持ってきてくれる?
紫苑:なんか俺と扱い違くないですか
絵里奈:だって弟みたいで可愛くて。紫苑は違うでしょ?それとも弟扱いされたい?
紫苑:いや、それは……ん、すいません、ちょっと(スマホを取り出し、顔をしかめる)
絵里奈:どうしたの?
紫苑:いや、なんでもないです
絵里奈:でもずっと鳴ってるわよ。お客様なんじゃないの?
紫苑:まぁ、はい
絵里奈:出てあげて。女の子は大事にしないとダメよ
海里:メニュー持ってきましたぁ!絵里奈さん、どうぞ!
絵里奈:ありがとう。ほら、海里くんも戻ってきたし、私は大丈夫。早く折りかえしてあげて
絵里奈:その子紫苑の声が聞きたいのよ。可愛いじゃない。
紫苑:絵里奈さん……ありがとうございます…じゃあ、ちょっと抜けますね
海里:え?なになに?どうしたんすか?
0:バックヤード
紫苑:はぁー……かけるか…もしもし
ゆあ:紫苑!やっと繋がった!遅いよー!
紫苑:仕事中なんだけど…お前もそうだろ
ゆあ:そうだけどぉ!紫苑の声聞きたくて…今日お客さん三人きたの!もう疲れちゃったよ!早く帰りたいな……
紫苑:そんなペースで大丈夫なのかよ
ゆあ:頑張ってるのになんでそんな事言うの?
紫苑:(深呼吸)いや、お疲れさん…ゆあなら出来るよな
ゆあ:当たり前じゃん!ってか、いつもはもっと早く出てくれるのに……もしかして、来てるの?
紫苑:誰が?
ゆあ:絵里奈。来てるんでしょ。ゆあの連絡無視する時、いっつもいるもん
紫苑:お前、絵里奈さん呼び捨てすんなよ
ゆあ:は?おんなじじゃん。ゆあとおんなじ、紫苑の客でしょ
ゆあ:まぁゆあの方が若いし、可愛いけど!だってあの人もう32じゃん?あんなおばさんのどこがいいの?お金だけは持ってるけどさ
ゆあ:ゆあだっていっぱい使ってるのに、向こうばっか優先されるの意味わかんないんだけど
紫苑:……(キレてる)
ゆあ:紫苑?
紫苑:戻るわ
ゆあ:えっ!?やだ、まだしゃべりたい!なんで怒るの!?
紫苑:頑張れよ…じゃあな
0:店内・卓
海里:あ、紫苑戻っ……っておい!ちょ、待て待て!
紫苑:は?なんだよ
海里:そんな顔で席つく気かよ!
絵里奈:何かあったの?
海里:とにかく顔でもなんでも洗って整えてこい!絵里奈さん、いいですか?
絵里奈:確かにひどい顔してる
紫苑:そんなにですか…?わかりました。すいません、すぐ戻ります
海里:すいません、絵里奈さん……
絵里奈:大丈夫…紫苑の方が心配だわ。どうしたのかな
海里:いやぁ……さっきの電話ですかねぇ、多分
絵里奈:?
海里:ほら、紫苑もうすぐバースデーのイベントあるじゃないですか。そこで300万のタワー約束してる子がいるんですよ
絵里奈:それって、ゆあちゃんのこと?
海里:え、知ってるんですか?
絵里奈:ええ。同じ担当の子だしね。可愛い子よね
海里:かわ……あー…、まぁ顔だけは…ってこんなこと言ったら失礼ですね
絵里奈:ふふっ、そうね。
紫苑:すいません戻りました
海里:おかえりー
絵里奈:顔色、戻ってる。よかった。
絵里奈:ねぇ紫苑
紫苑:はい?
絵里奈:タワーするって、本当?
紫苑:海里……
海里:やー!ごめんって!言うつもりはなかったんだけど、流れでさ!?
絵里奈:私は仲間に入れてくれないの?
紫苑:いや、絵里奈さんは…
海里:こいつ鬼営業してますよ。絵里奈さん以外にですけど
紫苑:余計なこと言うなって!
絵里奈:あら、私結構助けになれると思うんだけどな。
絵里奈:一人に無理させるより、複数分担の方がいいわよ。いくらが目標なの?
紫苑:いや、だから……
絵里奈:いつまでに、いくら必要なのかって聞いてるの(圧)
紫苑:……今回、一位取りたくて…二ヶ月後に全額で一千万くらい、ですかね…
絵里奈:そっか。じゃあその内の300万をゆあちゃんが担うわけね
紫苑:ゆあのこと知ってるんですか?
絵里奈:まぁね
紫苑:何か迷惑かけたり……
絵里奈:実際には会ったことはないの。ただこの業界、広いようで狭いからね。
絵里奈:いろんな話が入ってくるのよ
海里:でも絵里奈さんとこ、高級クラブじゃないですか。そんな下世話な話するんですか?
絵里奈:この界隈にいる時点で同じ穴の狢(むじな)でしょう。高級だろうがなんだろうが妬みも恨みもあるわよ。
絵里奈:まぁ計算高い分、私たちの方が悪質かもね
海里:なんか自分のこと、性格悪いって言ってる気がしますけど(笑)
絵里奈:そうよ、そう言ってるの(笑)
絵里奈:私、ゆあちゃんに恨まれるわね。だってあの子の努力を、無駄にしようとしてるんだもの
紫苑:え……?
絵里奈:一千万、私が出してあげる。一緒に一番取りましょうね?
0:ーーー
0:一ヶ月後
紫苑:(着信)はい
ゆあ:毎日連絡するって約束したのに!
紫苑:あーー…悪い
ゆあ:イベントまで後ちょっとだね!やっと紫苑に会える!
紫苑:うん
ゆあ:ゆあが帰ってきて嬉しくないの?
紫苑:……なぁ、ゆあ
ゆあ:何?どうしたの?
紫苑:お前さ……もう、いいわ
ゆあ:は?どういうこと?もういいって、何が?
紫苑:もう頑張んなくていいよ。店にも来なくていい
ゆあ:……なんで!?ゆあ何かした!?
紫苑:わかんねぇならいいよ。もうめんどくさいし、うんざりなんだわ
ゆあ:いきなりそんな…っ電話で言うことじゃないよね!?
紫苑:顔合わせても内容は変わんねえから
ゆあ:……っ帰る!会って話させて!
紫苑:勝手にしろ
0:ホストクラブ・店前
0(海里が出てくる)
ゆあ:海里くん!ちょっといい?
海里:えっ…?あ、ゆあちゃん?なんでここに?
ゆあ:なんでって?
海里:あ、いや…遠征してるって聞いてたから……てか、紫苑よんでこようか?
ゆあ:ダメ!海里くんに聞きたいことがあるの!すぐ終わるから時間ちょうだい!
海里:お、俺も早く戻んなきゃなんだけど…わかった、ちょっとだけね
ゆあ:ゆあがいない間に、絵里奈来てたでしょ
海里:……なんで?
ゆあ:急に紫苑が冷たくなったから!なんかゆあの悪口言ってたんじゃない!?
海里:いやー…そういうわけじゃなくて……うーん、これ言っていいのかなぁ
ゆあ:教えてよ!海里くんはゆあの味方でしょ!?
海里:別にどっちの味方とかないよ。
海里:冷たくしたわけじゃなくて、絵里奈さんがイベントの資金出すって言ったからさ、ゆあちゃんはもう頑張んなくていいよってことなんじゃない?
ゆあ:絵里奈が…?いくら!?いくら出すって!?
海里:一千万
ゆあ:いっ……!?
海里:すごいよね。さすが銀座のクラブ在籍って感じ。これなら紫苑一位取れるんじゃないかな
ゆあ:……海里くん
海里:ん?
ゆあ:お金かして
海里:……え?
ゆあ:お願い!絵里奈に負けたくない!
海里:いや、待って待って!俺がちょっと貸したところで一千万は無理でしょ!落ち着いて
ゆあ:でも!でもこのままじゃ、紫苑が絵里奈に…!
海里:あのさ、ゆあちゃん…俺もちょっと事情知ってるから、正直に話すけどさ
ゆあ:なに…?嫌な話なら聞きたくない!
海里:紫苑はさ、もうゆあちゃん切るって言ってたよ
ゆあ:え…
海里:もう我慢の限界だって。何があったのか知らないけどさ。
海里:もし仮にゆあちゃんが一千万、用意出来たとしても…紫苑は戻ってこないと思うよ
ゆあ:なんで……!?がまんって、なに?ゆあは、ただ…
海里:相性が悪かったんじゃない?お節介だけどさ、もう紫苑のことは忘れて新しいホスト探したら?星の数ほどいるんだからさ。
海里:俺、戻るね。気をつけて帰んなよ
ゆあ:なんで…どうして…!?
ゆあ:絵里奈のせいよ…全部あいつのせいじゃん…!
0:銀座・クラブ店内
絵里奈:なんだか外が騒がしいですね…すいません、少し外します。
0:絵里奈、黒服に話しかける
絵里奈:どうしたの?
絵里奈:……女の子が暴れてる?それ、私の知り合いかも
ゆあ:触んないでよ!絵里奈呼べって言ってるでしょ!?
絵里奈:やっぱり……ゆあちゃん
ゆあ:…っ絵里奈!あんたのせいで!あんたの…っ、せいで…!
絵里奈:ああ、大丈夫。この子私の知り合いなの。ちょっと今は取り乱してるけど、ちゃんと話せる子よ。部屋を用意してくれる?
絵里奈:ね、ゆあちゃん
ゆあ:う、うぅ…っ!
絵里奈:少し中でお話ししましょ?お店の前で騒ぐのは、他のお客様に迷惑よ
0:店内・個室
ゆあ:なんで黒服がいるの
絵里奈:防犯上ね。気にしないで。
絵里奈:で、どうしたのかしら?あんなに取り乱して
ゆあ:知ってるくせに!紫苑が、もうゆあのこと…っあんたのせいでしょ!?
絵里奈:心当たりがないわ。イベントの話ならしたけれど
ゆあ:それで一千万出すって言ったんでしょ!そのせいで、紫苑がもうゆあのこといらないって!もう頑張んなくていいって!
絵里奈:なんだそんなこと。よかったじゃない
ゆあ:はぁ!?よくない!紫苑の目標はゆあの目標なの!ゆあが頑張って幸せにするの!
絵里奈:はぁ…あの男の、どこがそんなにいいのかしら
ゆあ:はぁ!?
絵里奈:客のメンタルケアもお粗末で、その上一人の客に入れ上げるなんて、もってのほかよ。
絵里奈:二流どころか三流ね。そんな男のために身銭切って、一体なんになるっていうの?
ゆあ:あんた紫苑のこと好きなんじゃないの!?
絵里奈:別に。数いるホストの一人じゃない
ゆあ:じゃ、じゃあなんでお金…っ
絵里奈:ちょっとは楽しませてもらったからね。お礼よ
ゆあ:どういう……意味
絵里奈:顔だけはいいでしょう?泊まりとかデートとか、色々楽しかったわよ
ゆあ:嘘吐かないで!そんなこと一回も…!
絵里奈:……っふ…くく!あはは!
ゆあ:なに笑ってんの!?
絵里奈:ゆあちゃんって、本当、かわいそう。馬鹿で、哀れだなって…っふふ!
ゆあ:……っ(言葉にならない)
絵里奈:楽しませてもらったっていうのは、ゆあちゃんと紫苑の関係性もよ?クズに尽くす馬鹿な女の子。おかしいったら!
絵里奈:本当、頭が足りないって言うのは罪ね
ゆあ:ゆあは馬鹿じゃないし、紫苑のこと悪く言わないで!
絵里奈:まだ庇うの?貴方達お似合いだわ。まぁ紫苑はうんざりしてたみたいだけどね……
ゆあ:あんたがそうさせたんでしょ!?ゆあは紫苑が全部なの!嫌いなら返してよ!
ゆあ:あんたは全部持ってるじゃん!紫苑は…っいらないなら返してよぉ!
絵里奈:救いようがないわね…じゃあこれ、持って行って
ゆあ:なに、これ……
絵里奈:何って、お金よ。一千万。ゆあちゃんにあげる。これで紫苑のイベントやってあげて?
絵里奈:私はもう行かなくていいわ。これ以上相手するのも疲れるし
絵里奈:ああそうだ。そのお金、ゆあちゃんからってことにしたらいいわ。紫苑も優しくなるかも。どうせこの世界は、お金だけなんだから
ゆあ:ひどいよ…認めたくないけど、紫苑はあんたのこと好きだったのに…!
絵里奈:恋していいのはお客様だけ。その恋だってビジネスだってお互い割り切るのがプロでしょう。
絵里奈:私、素人は嫌いなの。さ、じゃあもう帰って
0:ホストクラブ・裏口
ゆあ:紫苑……
紫苑:もう店には来るなって言ったよな?中には入れないから
ゆあ:話聞いてよ!
紫苑:いやもう、お前とは話したくないんだって……
ゆあ:これ!
紫苑:なんだよこの袋…っ!?どうしたんだこんな大金!
ゆあ:絵里奈から渡されたの。もう絵里奈は来ないって……
紫苑:絵里奈さんから?どういうことだよ
ゆあ:絵里奈、紫苑のことクズ呼ばわりしてた!騙されないで!ゆあと紫苑のこと笑ってたんだよ!
紫苑:余計なことしやがって!お前が、あの人怒らせたんだろ!
ゆあ:違う!なんで、なんで信じてくれないの……!?
紫苑:後でフォローの電話…お前もう帰れ…顔も見たくねえわ
ゆあ:…信じてよ!
紫苑:いい加減にしろよこの……っ゛いっ!?
ゆあ:(早い息遣い)
紫苑:おま、え…何…
ゆあ:信じないなら、もう死んで。ゆあのじゃなくなるなら、もう死んで
紫苑:ふざけ…っ!
ゆあ:紫苑が悪いんだからね…!?こんなに好きなのに…愛してるのに……!!
紫苑:待て、やめろっ…ぎゃああ!
海里:しおーん、早く戻らねえと卓の子おこ…って、ぇ…うわぁ!?
ゆあ:海里……
海里:な、ななにが、どう…っ紫苑!おいっ、大丈夫か!?
紫苑:(呻く)
ゆあ:邪魔しないで
海里:け、けーさつ!おいっ!誰か来てくれ!キャストが刺された!
ゆあ:邪魔するなって言ってるだろ!はなせ!はなせぇえっ!
0:
0:ーー
0:後日
絵里奈:そんな…ことが
海里:はい…もう大変でしたよ。警察来るわ、救急車来るわで……
絵里奈:紫苑の状態は…どうなの?
海里:幸い命に別状は。でも二回目に刺された足の傷が深くて……
海里:完全に治るかどうかは、わからないって……
絵里奈:そう……ゆあちゃんは
海里:捕まった後、多分精神的にヤバかったみたいで。そういう病院に入ったって聞きました
絵里奈:うちのお店を出た後に、騒ぎになったみたいだから心配で…色々教えてくれてありがとう
海里:でも絵里奈さんが無事でよかったです。だって話してる時から、きっと刃物持ってたと思うし
絵里奈:私は店の中で話したから…部屋には黒服もいたしね
海里:そうですか…あ、これ返しますね
絵里奈:え?これ……
海里:これは、絵里奈さんのお金だから返しといてくれって、紫苑が
絵里奈:……っなんで、
海里:?
絵里奈:……馬鹿ね、本当に、二人とも…
海里:絵里奈さん?
絵里奈:なんでもない…
海里:俺、帰りますね。ご飯ごちそうさまでした
絵里奈:えぇ……また
海里:またお店にも顔出してくださいね。じゃ
絵里奈:……こんなはずじゃ…なかったのに…
ゆあ:ねえしおん、明日からゆあ出稼ぎだよ?
紫苑:うん、知ってる
ゆあ:知ってる、じゃなくてぇ!頑張ってねとか毎日連絡するよー、とかないの?
紫苑:いや、お前が俺のバースデーイベントで一番取りたいっていうから、決めた事じゃねえの?
ゆあ:そうだよ、そうだけど…でもやっぱり、紫苑と離れるの嫌なんだもんー!
紫苑:(ため息)
ゆあ:ねぇ〜!なんでそんなにめんどくさそうなの?ゆあ、紫苑の為に頑張るんだよ?
ゆあ:300万のシャンパンタワー、紫苑だって嬉しいでしょ?
紫苑:嬉しいけど、いく前からそんなウザい感じならやらなくていいよ
ゆあ:なんで!?やるし!ただ紫苑から頑張れが欲しいだけなのに…ほんとにやめちゃっていいの?
紫苑:ほらな、結局本気じゃなかったんだろ?期待して損した…ゆあならやってくれると思ってたのに。
紫苑:さすが、俺のエースだな、って
ゆあ:本当?ゆあは、紫苑のエース?
紫苑:そうだよ。お前以外いないだろ
ゆあ:え…っへへ!そうだよね?ゆあすごく頑張ってるもんね?今まで、多分二千はいってるもん!
紫苑:うんまぁ、そんくらいかな。だから今回も頑張れるな?
ゆあ:うん!二ヶ月、長いけど……頑張る!
紫苑:じゃ、俺帰るから
ゆあ:え!?もう?
紫苑:他のアフター遅らせてこっち来てるんだよ。今日はお前より使った客いたから
ゆあ:やだ!今日は一緒にいて!
紫苑:わがまま言うなって……
ゆあ:だって明日から会えないんだよ!?
紫苑:はぁ〜…(クソデカため息)
ゆあ:ねえ、帰らないで!(お願い!)
紫苑:(途中から遮って)無理無理、無理だから……はぁ、ちょっとこっち来い。
紫苑:これで我慢して(キスする)
ゆあ:うう〜…やだ……
紫苑:明日、見送り行ってやるから
0:次の日・ホストクラブ内
紫苑:あーだりぃ
海里:おつ〜、なんか無駄に疲れてね?
紫苑:今日朝早かったんだよ…
海里:あ〜、ゆあちゃんか。そういや今日だったな。そんで?素直に行ったん?
紫苑:行くわけねぇだろアイツが。もうバス来るのにやっぱり行きたくないとか言い出すし
海里:でもなんとかしたんだろ
紫苑:毎日連絡の約束させられて、香水取られた。出先で使うんだと。自分で買えよな……
海里:お前が持ってるのが欲しいんだろ、愛されてるなぁ(笑)
紫苑…絶対思ってねえだろ…はぁ、ねむ…
海里:そういえばさぁ、さっき絵里奈さん来てたぜ
紫苑:は!?そういう事は早く言えよ!
0:店内・卓
紫苑:えりなさん、お疲れ様です!
絵里奈:そんなに急がなくても大丈夫よ。今日は時間あるから
紫苑:なんで連絡くれないんですか?
絵里奈:ごめんなさい、忙しくて。最近サミットの関係で海外のお客様が増えてね。お休みも取りづらかったのよ
紫苑:絵里奈さんナンバーワンですもんね……俺には敷居が高くて、お店には行けないですけど
絵里奈:私が来れば会えるんだからいいじゃない。
紫苑:別に絵里奈さんは来なくても……
絵里奈:だめよ。私は紫苑を応援してるの。
絵里奈:店に来なきゃ売り上げにならないでしょ
紫苑:それは…そうですけど。いつもありがとうございます
海里:どもー!ご一緒していいですか?
絵里奈:どうぞ、何か飲む?
海里:え、いいんですか?絵里奈さんやっさしー!本当女神っすよね!
絵里奈:ちょっと大袈裟じゃないかしら?
紫苑:あんまりうるさくすんなよ
絵里奈:賑やかでいいじゃない。あ、何か食べましょうか、メニュー持ってきてくれる?
紫苑:なんか俺と扱い違くないですか
絵里奈:だって弟みたいで可愛くて。紫苑は違うでしょ?それとも弟扱いされたい?
紫苑:いや、それは……ん、すいません、ちょっと(スマホを取り出し、顔をしかめる)
絵里奈:どうしたの?
紫苑:いや、なんでもないです
絵里奈:でもずっと鳴ってるわよ。お客様なんじゃないの?
紫苑:まぁ、はい
絵里奈:出てあげて。女の子は大事にしないとダメよ
海里:メニュー持ってきましたぁ!絵里奈さん、どうぞ!
絵里奈:ありがとう。ほら、海里くんも戻ってきたし、私は大丈夫。早く折りかえしてあげて
絵里奈:その子紫苑の声が聞きたいのよ。可愛いじゃない。
紫苑:絵里奈さん……ありがとうございます…じゃあ、ちょっと抜けますね
海里:え?なになに?どうしたんすか?
0:バックヤード
紫苑:はぁー……かけるか…もしもし
ゆあ:紫苑!やっと繋がった!遅いよー!
紫苑:仕事中なんだけど…お前もそうだろ
ゆあ:そうだけどぉ!紫苑の声聞きたくて…今日お客さん三人きたの!もう疲れちゃったよ!早く帰りたいな……
紫苑:そんなペースで大丈夫なのかよ
ゆあ:頑張ってるのになんでそんな事言うの?
紫苑:(深呼吸)いや、お疲れさん…ゆあなら出来るよな
ゆあ:当たり前じゃん!ってか、いつもはもっと早く出てくれるのに……もしかして、来てるの?
紫苑:誰が?
ゆあ:絵里奈。来てるんでしょ。ゆあの連絡無視する時、いっつもいるもん
紫苑:お前、絵里奈さん呼び捨てすんなよ
ゆあ:は?おんなじじゃん。ゆあとおんなじ、紫苑の客でしょ
ゆあ:まぁゆあの方が若いし、可愛いけど!だってあの人もう32じゃん?あんなおばさんのどこがいいの?お金だけは持ってるけどさ
ゆあ:ゆあだっていっぱい使ってるのに、向こうばっか優先されるの意味わかんないんだけど
紫苑:……(キレてる)
ゆあ:紫苑?
紫苑:戻るわ
ゆあ:えっ!?やだ、まだしゃべりたい!なんで怒るの!?
紫苑:頑張れよ…じゃあな
0:店内・卓
海里:あ、紫苑戻っ……っておい!ちょ、待て待て!
紫苑:は?なんだよ
海里:そんな顔で席つく気かよ!
絵里奈:何かあったの?
海里:とにかく顔でもなんでも洗って整えてこい!絵里奈さん、いいですか?
絵里奈:確かにひどい顔してる
紫苑:そんなにですか…?わかりました。すいません、すぐ戻ります
海里:すいません、絵里奈さん……
絵里奈:大丈夫…紫苑の方が心配だわ。どうしたのかな
海里:いやぁ……さっきの電話ですかねぇ、多分
絵里奈:?
海里:ほら、紫苑もうすぐバースデーのイベントあるじゃないですか。そこで300万のタワー約束してる子がいるんですよ
絵里奈:それって、ゆあちゃんのこと?
海里:え、知ってるんですか?
絵里奈:ええ。同じ担当の子だしね。可愛い子よね
海里:かわ……あー…、まぁ顔だけは…ってこんなこと言ったら失礼ですね
絵里奈:ふふっ、そうね。
紫苑:すいません戻りました
海里:おかえりー
絵里奈:顔色、戻ってる。よかった。
絵里奈:ねぇ紫苑
紫苑:はい?
絵里奈:タワーするって、本当?
紫苑:海里……
海里:やー!ごめんって!言うつもりはなかったんだけど、流れでさ!?
絵里奈:私は仲間に入れてくれないの?
紫苑:いや、絵里奈さんは…
海里:こいつ鬼営業してますよ。絵里奈さん以外にですけど
紫苑:余計なこと言うなって!
絵里奈:あら、私結構助けになれると思うんだけどな。
絵里奈:一人に無理させるより、複数分担の方がいいわよ。いくらが目標なの?
紫苑:いや、だから……
絵里奈:いつまでに、いくら必要なのかって聞いてるの(圧)
紫苑:……今回、一位取りたくて…二ヶ月後に全額で一千万くらい、ですかね…
絵里奈:そっか。じゃあその内の300万をゆあちゃんが担うわけね
紫苑:ゆあのこと知ってるんですか?
絵里奈:まぁね
紫苑:何か迷惑かけたり……
絵里奈:実際には会ったことはないの。ただこの業界、広いようで狭いからね。
絵里奈:いろんな話が入ってくるのよ
海里:でも絵里奈さんとこ、高級クラブじゃないですか。そんな下世話な話するんですか?
絵里奈:この界隈にいる時点で同じ穴の狢(むじな)でしょう。高級だろうがなんだろうが妬みも恨みもあるわよ。
絵里奈:まぁ計算高い分、私たちの方が悪質かもね
海里:なんか自分のこと、性格悪いって言ってる気がしますけど(笑)
絵里奈:そうよ、そう言ってるの(笑)
絵里奈:私、ゆあちゃんに恨まれるわね。だってあの子の努力を、無駄にしようとしてるんだもの
紫苑:え……?
絵里奈:一千万、私が出してあげる。一緒に一番取りましょうね?
0:ーーー
0:一ヶ月後
紫苑:(着信)はい
ゆあ:毎日連絡するって約束したのに!
紫苑:あーー…悪い
ゆあ:イベントまで後ちょっとだね!やっと紫苑に会える!
紫苑:うん
ゆあ:ゆあが帰ってきて嬉しくないの?
紫苑:……なぁ、ゆあ
ゆあ:何?どうしたの?
紫苑:お前さ……もう、いいわ
ゆあ:は?どういうこと?もういいって、何が?
紫苑:もう頑張んなくていいよ。店にも来なくていい
ゆあ:……なんで!?ゆあ何かした!?
紫苑:わかんねぇならいいよ。もうめんどくさいし、うんざりなんだわ
ゆあ:いきなりそんな…っ電話で言うことじゃないよね!?
紫苑:顔合わせても内容は変わんねえから
ゆあ:……っ帰る!会って話させて!
紫苑:勝手にしろ
0:ホストクラブ・店前
0(海里が出てくる)
ゆあ:海里くん!ちょっといい?
海里:えっ…?あ、ゆあちゃん?なんでここに?
ゆあ:なんでって?
海里:あ、いや…遠征してるって聞いてたから……てか、紫苑よんでこようか?
ゆあ:ダメ!海里くんに聞きたいことがあるの!すぐ終わるから時間ちょうだい!
海里:お、俺も早く戻んなきゃなんだけど…わかった、ちょっとだけね
ゆあ:ゆあがいない間に、絵里奈来てたでしょ
海里:……なんで?
ゆあ:急に紫苑が冷たくなったから!なんかゆあの悪口言ってたんじゃない!?
海里:いやー…そういうわけじゃなくて……うーん、これ言っていいのかなぁ
ゆあ:教えてよ!海里くんはゆあの味方でしょ!?
海里:別にどっちの味方とかないよ。
海里:冷たくしたわけじゃなくて、絵里奈さんがイベントの資金出すって言ったからさ、ゆあちゃんはもう頑張んなくていいよってことなんじゃない?
ゆあ:絵里奈が…?いくら!?いくら出すって!?
海里:一千万
ゆあ:いっ……!?
海里:すごいよね。さすが銀座のクラブ在籍って感じ。これなら紫苑一位取れるんじゃないかな
ゆあ:……海里くん
海里:ん?
ゆあ:お金かして
海里:……え?
ゆあ:お願い!絵里奈に負けたくない!
海里:いや、待って待って!俺がちょっと貸したところで一千万は無理でしょ!落ち着いて
ゆあ:でも!でもこのままじゃ、紫苑が絵里奈に…!
海里:あのさ、ゆあちゃん…俺もちょっと事情知ってるから、正直に話すけどさ
ゆあ:なに…?嫌な話なら聞きたくない!
海里:紫苑はさ、もうゆあちゃん切るって言ってたよ
ゆあ:え…
海里:もう我慢の限界だって。何があったのか知らないけどさ。
海里:もし仮にゆあちゃんが一千万、用意出来たとしても…紫苑は戻ってこないと思うよ
ゆあ:なんで……!?がまんって、なに?ゆあは、ただ…
海里:相性が悪かったんじゃない?お節介だけどさ、もう紫苑のことは忘れて新しいホスト探したら?星の数ほどいるんだからさ。
海里:俺、戻るね。気をつけて帰んなよ
ゆあ:なんで…どうして…!?
ゆあ:絵里奈のせいよ…全部あいつのせいじゃん…!
0:銀座・クラブ店内
絵里奈:なんだか外が騒がしいですね…すいません、少し外します。
0:絵里奈、黒服に話しかける
絵里奈:どうしたの?
絵里奈:……女の子が暴れてる?それ、私の知り合いかも
ゆあ:触んないでよ!絵里奈呼べって言ってるでしょ!?
絵里奈:やっぱり……ゆあちゃん
ゆあ:…っ絵里奈!あんたのせいで!あんたの…っ、せいで…!
絵里奈:ああ、大丈夫。この子私の知り合いなの。ちょっと今は取り乱してるけど、ちゃんと話せる子よ。部屋を用意してくれる?
絵里奈:ね、ゆあちゃん
ゆあ:う、うぅ…っ!
絵里奈:少し中でお話ししましょ?お店の前で騒ぐのは、他のお客様に迷惑よ
0:店内・個室
ゆあ:なんで黒服がいるの
絵里奈:防犯上ね。気にしないで。
絵里奈:で、どうしたのかしら?あんなに取り乱して
ゆあ:知ってるくせに!紫苑が、もうゆあのこと…っあんたのせいでしょ!?
絵里奈:心当たりがないわ。イベントの話ならしたけれど
ゆあ:それで一千万出すって言ったんでしょ!そのせいで、紫苑がもうゆあのこといらないって!もう頑張んなくていいって!
絵里奈:なんだそんなこと。よかったじゃない
ゆあ:はぁ!?よくない!紫苑の目標はゆあの目標なの!ゆあが頑張って幸せにするの!
絵里奈:はぁ…あの男の、どこがそんなにいいのかしら
ゆあ:はぁ!?
絵里奈:客のメンタルケアもお粗末で、その上一人の客に入れ上げるなんて、もってのほかよ。
絵里奈:二流どころか三流ね。そんな男のために身銭切って、一体なんになるっていうの?
ゆあ:あんた紫苑のこと好きなんじゃないの!?
絵里奈:別に。数いるホストの一人じゃない
ゆあ:じゃ、じゃあなんでお金…っ
絵里奈:ちょっとは楽しませてもらったからね。お礼よ
ゆあ:どういう……意味
絵里奈:顔だけはいいでしょう?泊まりとかデートとか、色々楽しかったわよ
ゆあ:嘘吐かないで!そんなこと一回も…!
絵里奈:……っふ…くく!あはは!
ゆあ:なに笑ってんの!?
絵里奈:ゆあちゃんって、本当、かわいそう。馬鹿で、哀れだなって…っふふ!
ゆあ:……っ(言葉にならない)
絵里奈:楽しませてもらったっていうのは、ゆあちゃんと紫苑の関係性もよ?クズに尽くす馬鹿な女の子。おかしいったら!
絵里奈:本当、頭が足りないって言うのは罪ね
ゆあ:ゆあは馬鹿じゃないし、紫苑のこと悪く言わないで!
絵里奈:まだ庇うの?貴方達お似合いだわ。まぁ紫苑はうんざりしてたみたいだけどね……
ゆあ:あんたがそうさせたんでしょ!?ゆあは紫苑が全部なの!嫌いなら返してよ!
ゆあ:あんたは全部持ってるじゃん!紫苑は…っいらないなら返してよぉ!
絵里奈:救いようがないわね…じゃあこれ、持って行って
ゆあ:なに、これ……
絵里奈:何って、お金よ。一千万。ゆあちゃんにあげる。これで紫苑のイベントやってあげて?
絵里奈:私はもう行かなくていいわ。これ以上相手するのも疲れるし
絵里奈:ああそうだ。そのお金、ゆあちゃんからってことにしたらいいわ。紫苑も優しくなるかも。どうせこの世界は、お金だけなんだから
ゆあ:ひどいよ…認めたくないけど、紫苑はあんたのこと好きだったのに…!
絵里奈:恋していいのはお客様だけ。その恋だってビジネスだってお互い割り切るのがプロでしょう。
絵里奈:私、素人は嫌いなの。さ、じゃあもう帰って
0:ホストクラブ・裏口
ゆあ:紫苑……
紫苑:もう店には来るなって言ったよな?中には入れないから
ゆあ:話聞いてよ!
紫苑:いやもう、お前とは話したくないんだって……
ゆあ:これ!
紫苑:なんだよこの袋…っ!?どうしたんだこんな大金!
ゆあ:絵里奈から渡されたの。もう絵里奈は来ないって……
紫苑:絵里奈さんから?どういうことだよ
ゆあ:絵里奈、紫苑のことクズ呼ばわりしてた!騙されないで!ゆあと紫苑のこと笑ってたんだよ!
紫苑:余計なことしやがって!お前が、あの人怒らせたんだろ!
ゆあ:違う!なんで、なんで信じてくれないの……!?
紫苑:後でフォローの電話…お前もう帰れ…顔も見たくねえわ
ゆあ:…信じてよ!
紫苑:いい加減にしろよこの……っ゛いっ!?
ゆあ:(早い息遣い)
紫苑:おま、え…何…
ゆあ:信じないなら、もう死んで。ゆあのじゃなくなるなら、もう死んで
紫苑:ふざけ…っ!
ゆあ:紫苑が悪いんだからね…!?こんなに好きなのに…愛してるのに……!!
紫苑:待て、やめろっ…ぎゃああ!
海里:しおーん、早く戻らねえと卓の子おこ…って、ぇ…うわぁ!?
ゆあ:海里……
海里:な、ななにが、どう…っ紫苑!おいっ、大丈夫か!?
紫苑:(呻く)
ゆあ:邪魔しないで
海里:け、けーさつ!おいっ!誰か来てくれ!キャストが刺された!
ゆあ:邪魔するなって言ってるだろ!はなせ!はなせぇえっ!
0:
0:ーー
0:後日
絵里奈:そんな…ことが
海里:はい…もう大変でしたよ。警察来るわ、救急車来るわで……
絵里奈:紫苑の状態は…どうなの?
海里:幸い命に別状は。でも二回目に刺された足の傷が深くて……
海里:完全に治るかどうかは、わからないって……
絵里奈:そう……ゆあちゃんは
海里:捕まった後、多分精神的にヤバかったみたいで。そういう病院に入ったって聞きました
絵里奈:うちのお店を出た後に、騒ぎになったみたいだから心配で…色々教えてくれてありがとう
海里:でも絵里奈さんが無事でよかったです。だって話してる時から、きっと刃物持ってたと思うし
絵里奈:私は店の中で話したから…部屋には黒服もいたしね
海里:そうですか…あ、これ返しますね
絵里奈:え?これ……
海里:これは、絵里奈さんのお金だから返しといてくれって、紫苑が
絵里奈:……っなんで、
海里:?
絵里奈:……馬鹿ね、本当に、二人とも…
海里:絵里奈さん?
絵里奈:なんでもない…
海里:俺、帰りますね。ご飯ごちそうさまでした
絵里奈:えぇ……また
海里:またお店にも顔出してくださいね。じゃ
絵里奈:……こんなはずじゃ…なかったのに…