台本概要

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タイトル 彼女の幸せを考えるなら
作者名 おちり補佐官  (@called_makki)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(男1、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 Discordグループ内でお誘いを受けた、ライター企画用の作品です。

『高校最後の夏休み
卒業後、僕は東京へ行く。
彼女の幸せを考えるなら。
思いを告げたあの場所で、言うんだ。』

から始まるシナリオを書くという企画です。


ーー以下シナリオあらすじーー

女子高校生である美玖は同クラスの亜美に恋をしている。怖い目にあわせて、それから自分が守ってあげれば、好きになってもらえるのではないかと、思案を巡らせる。
結果、兄の友人であり、過去に美玖のパンツ泥棒をしようとした好輝に、恐ろしい人物の役を任せる。
その役とは、執拗に告白を迫る幽霊という設定なのであった。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
好輝 57 こうき。高卒フリーター。金を貯めて東京の専門学校に行こうとしている。美玖の兄の友人。好輝にぃ、と呼ばれている。
亜美 75 あみ。女子高校生。美玖と同クラスの女の子。華奢で、ときどきあざと可愛い一面をもつ。
美玖 72 みく。女子高校生。亜美のことが好き。今回の事件の発案者。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
好輝:高校最後の夏休み 好輝:卒業後、僕は東京へ行く。 好輝:彼女の幸せを考えるなら。 好輝:思いを告げたあの場所で、言うんだ。  :  0:校舎裏、好輝と呼び出された亜美 亜美:こんにちは。 好輝:来てくれてありがと。 亜美:うん。 好輝:話っていうのは、さ。 好輝:......俺と、付き合ってくれませんか。 亜美:ごめんなさい。 好輝:え。 亜美:え、去年、断ったじゃないですか。 好輝:うん。 亜美:変わんないよ。あれから話してないわけだし......。 好輝:そうか。......実はさ。 亜美:うん。 好輝:俺、卒業したら東京行こうと思ってる。 亜美:うん。 亜美:......え? 好輝:俺と、付き合ってくれませんか。 亜美:付き合わないです。 好輝:え? 亜美:いや......え? 好輝:そんなに俺のことが嫌いなら仕方ないな。 亜美:嫌いというより、興味がなくて。ごめんなさい。 好輝:そうか。俺、東京行ってさ、浅草観光して、東京ばなな買ってさ。お土産に持って帰ってくる。 亜美:うん。 好輝:付き合ってくれたらさ。 亜美:いらないです。 好輝:そうか。 亜美:......あのさ。 亜美:東京行くって、旅行の話ですか? 好輝:そうだよ? 亜美:じゃあ、もうすぐ夏休みだし今行けばいいじゃないですか。 好輝:うん。もちろん夏休みも行くよ。でも彼女にお土産を買えるほど金がない。いやでも、好きな人に頼まれたらどんなことでもしちゃうかなあ。 亜美:まず友達ですらないから。あの、本当にやめてくれませんか。怖いです。 好輝:怖い? 何が。 亜美:そりゃ怖いです。去年だって、急に友達から手紙が回ってきて、ここに呼び出されて。来てみたら全然知らない学年が上の人ですよ。 好輝:一歳くらい気にしないで。全然普段通りに過ごしてよ。亜美ちゃん。 亜美:......。本当に関わるのやめていただけませんか。 好輝:何が怖いの。好きなんだ。なんでも言って? 亜美:それが分かっていないあなたが怖いです。 好輝:そうか。 好輝:いや。待って、亜美ちゃん。もしかしたら、俺のことをあまり知らないから怖いのかもしれない。 0:と言って、歩み寄る好輝。 亜美:や、やめて。来ないでください。 好輝:ほら。俺に触れてみてよ。ね。亜美ちゃん。 亜美:やめてください! 来ないで! キモい! 美玖:亜美ー! 大丈夫!? 美玖:おいお前、亜美に何してるんだよ! 好輝:何って、理解を深めてもらおうと。 美玖:はあ? じゃあその腕はなんだよ。 好輝:美玖ちゃんどうしたの。触れあえば自然と打ち解けられるじゃんか。常識だよ。 美玖:......。そうか。 美玖:あ、亜美。こっち来な。 亜美:うん。来てくれてありがとう。 美玖:いいんだって。なぁ、もう行こう。話してても無駄なタイプだよあいつ。 亜美:うん......。 好輝:話してても無駄ってどういうことだよ。 美玖:てか、こいつ誰なの? 亜美:一年上の先輩らしいよ。去年はそう言ってた。 美玖:去年、って? 亜美:美玖覚えてない? 去年の今頃、ここへ私が呼び出されたの。で、告白されて断って。そのときはそれっきり。 美玖:なのにまた告白してきたのか。 好輝:何がダメだって言うんだよ。 美玖:お前さ。先輩だかなんだか知らないけど、面識のない男に告白されてもオーケイ出すわけないだろ普通。 好輝:そうなのか。 美玖:てか、お前誰だよほんとに。 好輝:俺の名前は、好輝です。 亜美:でもさ。美玖。手紙渡してくれたの美玖じゃなかった? 美玖:ん? ああ。そうか。あの手紙の主だったのか。 美玖:あれは、隣のクラスの池田に頼まれて渡しに来たんだよ。池田も誰かに頼まれたって言ってたな。 亜美:やだ。怖い。 美玖:あぁ。 好輝:そんなことどうだっていいじゃんか。亜美ちゃん、今日もかわいいね。 亜美:......。 美玖:亜美。もう行こう。 亜美:うん。 好輝:残念だな。またね。二人とも。  :  0:亜美と美玖、トイレ付近の廊下 美玖:ほんとなんだったんだろうな。 美玖:手紙の回るルートも謎まみれだし。 亜美:......うん。 美玖:大丈夫? 亜美。震えてるよ。 亜美:うん。平気。ちょっとトイレいくね。 美玖:一緒に行こうか。 亜美:大丈夫だよ 美玖:う、うん。私、先に教室戻っとくよ。 亜美:うん。  :  0:亜美がトイレから出てこないため、見に来る美玖 美玖:亜美ー? 大丈夫? トイレ長かったから心配で来たんだけど。まだいる? 亜美:み、美玖? 美玖:うん。いるの? 開けて? 亜美:うん。 美玖:ど、どうしたの!? 亜美! 亜美:み、美玖......。これ。 美玖:なんで泣いてるの。って、これ! 亜美:......手紙。 亜美:ドアの下から入ってきて。怖くて。 美玖:なんて書いてあったの? 好輝:また、校舎裏で待ってるよ。 亜美:って。 美玖:またあいつ? 亜美:うん。 美玖:亜美......。ねぇ亜美。安心して。 美玖:うちがいるから。大丈夫だよ。 亜美:ありがとう、美玖。 美玖:よしよし。亜美は可愛いな。 亜美:そんなことない。 美玖:ね。亜美。私さ。 亜美:うん。 美玖:亜美のこと好きなんだ。 亜美:え? 美玖:ううん。なんでもない。うちが、亜美のこと守るよってこと。 亜美:ありがとう。美玖。 美玖:さ、教室戻れる? 亜美:うん。 美玖:涙拭いて、ね。よし、可愛い。  :  0:教室で美玖が亜美に話しかける。 美玖:亜美......。 亜美:美玖、どうかした? 美玖:言いにくいんだけどさ。これ。 亜美:また? 美玖:うん。さっき授業中にさ。机のなかに入ってるの気づいて......。 亜美:やだ。美玖。わたしこわいよ! 美玖:大丈夫、うちがいるから。 美玖:ただ、もう一回、放課後にあそこに来いってさ。ここで話をつけよう。 亜美:いや、でも。 美玖:大丈夫。一緒に行くよ。で、きっぱりと言ってやるからさ。  :  0:校舎裏で、また三人は集まっている。 好輝:来てくれてありがとう。 美玖:おい。お前! もう亜美に近寄るなよ。 美玖:手紙寄越しやがって。しつこいんだよ! 好輝:手紙、ちゃんと受け取ってくれたんだ。 美玖:は? 好輝:ううん。なんでもないよ。 亜美:あなた。一体誰なんですか! 好輝:ん? 好輝だよ。亜美ちゃん。 亜美:本当のこと言ってください! 亜美:さっき、三年の教育指導の先生に聞いたんです。好輝って名前の人にストーカーされてるって、そう伝えたら、そんな生徒いないって。 好輝:いないって。ここにいるじゃないか。 美玖:どういうこと? 亜美:先生、忙しそうだったからあまり聞けなかったけど......とにかく、あなたは先輩じゃない。 好輝:僕が誰かなんていいじゃないか。亜美ちゃんのことが好きなんだ。 亜美:もう......やめてください。 好輝:付き合おう。 亜美:いやです。 好輝:せめて友達から。 亜美:いや。いやいやいやいや。 美玖:お前いい加減にしろよ! 先輩かどうかなんて関係ない。なんなんだよ。 好輝:なんだよ。 美玖:もういいだろ。亜美に執着するのはやめろよ。 好輝:いいじゃないか。好きなんだよ。 好輝:この思い出の場所で、告白がしたいんだよ。 亜美:ね、ねえ。美玖。 美玖:どうした亜美。 亜美:気づいたんだけどさ......。手紙。 美玖:うん。普通の紙じゃないか。 亜美:なんだか、古くない? 美玖:......確かに。 亜美:それにさ。これ、宛名とかもないんだよ。なのに私のところに届いてるの。色んな人を伝って。 美玖:うん。 亜美:こんなの。おかしいよ。 美玖:そうだね。もしかして。 好輝:どうしたの、二人とも。 亜美:こ、好輝さん......。私はあなたに本当に興味がありません。だから、ごめんなさい。 好輝:そんな、これからでも。 亜美:ごめんなさい。 美玖:好輝、お前。本当に先輩なんじゃないか。昔ここの学校に通っていた生徒。 美玖:そして、なにがあったかは知らないが、きっと幽霊に。 亜美:私も、そう思います。だから、好輝さん、もう成仏してください。 好輝:......そうか。俺は。 好輝:好きな人の頼みごとなら仕方ない、か。 美玖:お前......。 好輝:じゃあ。このまま俺に背を向けて走り去ってくれ。 亜美:もう、来ないですか? 好輝:ああ。振り向かれたらまた行ってしまう気がする。けど、大丈夫。ごめんよ。 美玖:亜美。行こう。  :  0:亜美と美玖、廊下を歩いて、トイレの近くを通りかかっている。 亜美:ありがとう。美玖。 美玖:ん? 亜美:もう大丈夫かなぁ。あれで。 美玖:うん、きっと。 亜美:ね。ねぇ。トイレ、行かない? 美玖:いいけど。 美玖:あ。そうだよね。怖いよね。 亜美:う、うん。怖いの。だから来て。 美玖:うん。 亜美:誰も居なさそうだね。 美玖:放課後だもんなぁ。 亜美:......美玖。 美玖:ん? 亜美:私も好き。 美玖:え。 亜美:美玖のこと、好き。 美玖:ほんとに? それって、どういう。 亜美:美玖の言ってくれた、好きはどういうのだったの? 美玖:ん。それは......。 亜美:私と付き合ってくれませんか。 美玖:......。 亜美:だめ? 美玖:だめくない。すごくいい、です。 美玖:よろしくおねがいします。 亜美:美玖かわいいっ! すーきっ。 美玖:うん。あ、亜美。わ私だって。す、好きだよ。  :  0:その日の夜、美玖と好輝は通話をしている。 美玖:もしもし。おつかれー。 好輝:こんばんは。おつかれさん。 美玖:今日の名演だったよ、好輝にぃ! 好輝:ははっ。ちょっと途中キモすぎたか? 美玖:いいんだって、あれぐらいで。 好輝:で? どうなった? そっちは。 美玖:へへへ。いい感じ。 好輝:いい感じって? 美玖:......付き合うことになりました! 好輝:うお! おめでとう! 美玖:いやぁ、好輝にぃには本当に感謝だよ。ごめんね。わざわざ兄貴の高校のときの制服着てもらって。 好輝:いいんだよ。美玖ちゃんには色々借りがあるしさ。 美玖:借りというか、脅し道具だけどね。 好輝:ははは。これでもう許してもらえる? 美玖:んー。どうかなぁ。わたしのタンスからパンツ盗もうとしてた罪は思いよー? 好輝:ごめんなさい。 美玖:でも、いいよ。なんなら一枚あげてもいいくらい。 好輝:まじで? 美玖:嘘だよ、うーそー。あげるわけないじゃん。けど、それくらい今日の好輝にぃは功労者だったよ。 好輝:作戦聞いたときはビビったけどなあ。 美玖:ははっ。好輝にぃが上京するって言ったから思いついたんだよ、これ。遠くに行くなら、近所で偶然再会ってリスクも低いし。 好輝:まあな。まさか亜美ちゃんがまんまと引っかかってくれるとも思わなかった。名前のとか、完全に勝手に解釈増やしてくれたもんな! 美玖:ははっ。あれは正直ビビったね! 好輝:だよなぁ。にしても、美玖。おめでとう! 美玖:ありがとう! 好輝にぃ! 美玖:上京したら東京遊びにいくから泊めてよねー! 好輝:おうおう、任せろ!

好輝:高校最後の夏休み 好輝:卒業後、僕は東京へ行く。 好輝:彼女の幸せを考えるなら。 好輝:思いを告げたあの場所で、言うんだ。  :  0:校舎裏、好輝と呼び出された亜美 亜美:こんにちは。 好輝:来てくれてありがと。 亜美:うん。 好輝:話っていうのは、さ。 好輝:......俺と、付き合ってくれませんか。 亜美:ごめんなさい。 好輝:え。 亜美:え、去年、断ったじゃないですか。 好輝:うん。 亜美:変わんないよ。あれから話してないわけだし......。 好輝:そうか。......実はさ。 亜美:うん。 好輝:俺、卒業したら東京行こうと思ってる。 亜美:うん。 亜美:......え? 好輝:俺と、付き合ってくれませんか。 亜美:付き合わないです。 好輝:え? 亜美:いや......え? 好輝:そんなに俺のことが嫌いなら仕方ないな。 亜美:嫌いというより、興味がなくて。ごめんなさい。 好輝:そうか。俺、東京行ってさ、浅草観光して、東京ばなな買ってさ。お土産に持って帰ってくる。 亜美:うん。 好輝:付き合ってくれたらさ。 亜美:いらないです。 好輝:そうか。 亜美:......あのさ。 亜美:東京行くって、旅行の話ですか? 好輝:そうだよ? 亜美:じゃあ、もうすぐ夏休みだし今行けばいいじゃないですか。 好輝:うん。もちろん夏休みも行くよ。でも彼女にお土産を買えるほど金がない。いやでも、好きな人に頼まれたらどんなことでもしちゃうかなあ。 亜美:まず友達ですらないから。あの、本当にやめてくれませんか。怖いです。 好輝:怖い? 何が。 亜美:そりゃ怖いです。去年だって、急に友達から手紙が回ってきて、ここに呼び出されて。来てみたら全然知らない学年が上の人ですよ。 好輝:一歳くらい気にしないで。全然普段通りに過ごしてよ。亜美ちゃん。 亜美:......。本当に関わるのやめていただけませんか。 好輝:何が怖いの。好きなんだ。なんでも言って? 亜美:それが分かっていないあなたが怖いです。 好輝:そうか。 好輝:いや。待って、亜美ちゃん。もしかしたら、俺のことをあまり知らないから怖いのかもしれない。 0:と言って、歩み寄る好輝。 亜美:や、やめて。来ないでください。 好輝:ほら。俺に触れてみてよ。ね。亜美ちゃん。 亜美:やめてください! 来ないで! キモい! 美玖:亜美ー! 大丈夫!? 美玖:おいお前、亜美に何してるんだよ! 好輝:何って、理解を深めてもらおうと。 美玖:はあ? じゃあその腕はなんだよ。 好輝:美玖ちゃんどうしたの。触れあえば自然と打ち解けられるじゃんか。常識だよ。 美玖:......。そうか。 美玖:あ、亜美。こっち来な。 亜美:うん。来てくれてありがとう。 美玖:いいんだって。なぁ、もう行こう。話してても無駄なタイプだよあいつ。 亜美:うん......。 好輝:話してても無駄ってどういうことだよ。 美玖:てか、こいつ誰なの? 亜美:一年上の先輩らしいよ。去年はそう言ってた。 美玖:去年、って? 亜美:美玖覚えてない? 去年の今頃、ここへ私が呼び出されたの。で、告白されて断って。そのときはそれっきり。 美玖:なのにまた告白してきたのか。 好輝:何がダメだって言うんだよ。 美玖:お前さ。先輩だかなんだか知らないけど、面識のない男に告白されてもオーケイ出すわけないだろ普通。 好輝:そうなのか。 美玖:てか、お前誰だよほんとに。 好輝:俺の名前は、好輝です。 亜美:でもさ。美玖。手紙渡してくれたの美玖じゃなかった? 美玖:ん? ああ。そうか。あの手紙の主だったのか。 美玖:あれは、隣のクラスの池田に頼まれて渡しに来たんだよ。池田も誰かに頼まれたって言ってたな。 亜美:やだ。怖い。 美玖:あぁ。 好輝:そんなことどうだっていいじゃんか。亜美ちゃん、今日もかわいいね。 亜美:......。 美玖:亜美。もう行こう。 亜美:うん。 好輝:残念だな。またね。二人とも。  :  0:亜美と美玖、トイレ付近の廊下 美玖:ほんとなんだったんだろうな。 美玖:手紙の回るルートも謎まみれだし。 亜美:......うん。 美玖:大丈夫? 亜美。震えてるよ。 亜美:うん。平気。ちょっとトイレいくね。 美玖:一緒に行こうか。 亜美:大丈夫だよ 美玖:う、うん。私、先に教室戻っとくよ。 亜美:うん。  :  0:亜美がトイレから出てこないため、見に来る美玖 美玖:亜美ー? 大丈夫? トイレ長かったから心配で来たんだけど。まだいる? 亜美:み、美玖? 美玖:うん。いるの? 開けて? 亜美:うん。 美玖:ど、どうしたの!? 亜美! 亜美:み、美玖......。これ。 美玖:なんで泣いてるの。って、これ! 亜美:......手紙。 亜美:ドアの下から入ってきて。怖くて。 美玖:なんて書いてあったの? 好輝:また、校舎裏で待ってるよ。 亜美:って。 美玖:またあいつ? 亜美:うん。 美玖:亜美......。ねぇ亜美。安心して。 美玖:うちがいるから。大丈夫だよ。 亜美:ありがとう、美玖。 美玖:よしよし。亜美は可愛いな。 亜美:そんなことない。 美玖:ね。亜美。私さ。 亜美:うん。 美玖:亜美のこと好きなんだ。 亜美:え? 美玖:ううん。なんでもない。うちが、亜美のこと守るよってこと。 亜美:ありがとう。美玖。 美玖:さ、教室戻れる? 亜美:うん。 美玖:涙拭いて、ね。よし、可愛い。  :  0:教室で美玖が亜美に話しかける。 美玖:亜美......。 亜美:美玖、どうかした? 美玖:言いにくいんだけどさ。これ。 亜美:また? 美玖:うん。さっき授業中にさ。机のなかに入ってるの気づいて......。 亜美:やだ。美玖。わたしこわいよ! 美玖:大丈夫、うちがいるから。 美玖:ただ、もう一回、放課後にあそこに来いってさ。ここで話をつけよう。 亜美:いや、でも。 美玖:大丈夫。一緒に行くよ。で、きっぱりと言ってやるからさ。  :  0:校舎裏で、また三人は集まっている。 好輝:来てくれてありがとう。 美玖:おい。お前! もう亜美に近寄るなよ。 美玖:手紙寄越しやがって。しつこいんだよ! 好輝:手紙、ちゃんと受け取ってくれたんだ。 美玖:は? 好輝:ううん。なんでもないよ。 亜美:あなた。一体誰なんですか! 好輝:ん? 好輝だよ。亜美ちゃん。 亜美:本当のこと言ってください! 亜美:さっき、三年の教育指導の先生に聞いたんです。好輝って名前の人にストーカーされてるって、そう伝えたら、そんな生徒いないって。 好輝:いないって。ここにいるじゃないか。 美玖:どういうこと? 亜美:先生、忙しそうだったからあまり聞けなかったけど......とにかく、あなたは先輩じゃない。 好輝:僕が誰かなんていいじゃないか。亜美ちゃんのことが好きなんだ。 亜美:もう......やめてください。 好輝:付き合おう。 亜美:いやです。 好輝:せめて友達から。 亜美:いや。いやいやいやいや。 美玖:お前いい加減にしろよ! 先輩かどうかなんて関係ない。なんなんだよ。 好輝:なんだよ。 美玖:もういいだろ。亜美に執着するのはやめろよ。 好輝:いいじゃないか。好きなんだよ。 好輝:この思い出の場所で、告白がしたいんだよ。 亜美:ね、ねえ。美玖。 美玖:どうした亜美。 亜美:気づいたんだけどさ......。手紙。 美玖:うん。普通の紙じゃないか。 亜美:なんだか、古くない? 美玖:......確かに。 亜美:それにさ。これ、宛名とかもないんだよ。なのに私のところに届いてるの。色んな人を伝って。 美玖:うん。 亜美:こんなの。おかしいよ。 美玖:そうだね。もしかして。 好輝:どうしたの、二人とも。 亜美:こ、好輝さん......。私はあなたに本当に興味がありません。だから、ごめんなさい。 好輝:そんな、これからでも。 亜美:ごめんなさい。 美玖:好輝、お前。本当に先輩なんじゃないか。昔ここの学校に通っていた生徒。 美玖:そして、なにがあったかは知らないが、きっと幽霊に。 亜美:私も、そう思います。だから、好輝さん、もう成仏してください。 好輝:......そうか。俺は。 好輝:好きな人の頼みごとなら仕方ない、か。 美玖:お前......。 好輝:じゃあ。このまま俺に背を向けて走り去ってくれ。 亜美:もう、来ないですか? 好輝:ああ。振り向かれたらまた行ってしまう気がする。けど、大丈夫。ごめんよ。 美玖:亜美。行こう。  :  0:亜美と美玖、廊下を歩いて、トイレの近くを通りかかっている。 亜美:ありがとう。美玖。 美玖:ん? 亜美:もう大丈夫かなぁ。あれで。 美玖:うん、きっと。 亜美:ね。ねぇ。トイレ、行かない? 美玖:いいけど。 美玖:あ。そうだよね。怖いよね。 亜美:う、うん。怖いの。だから来て。 美玖:うん。 亜美:誰も居なさそうだね。 美玖:放課後だもんなぁ。 亜美:......美玖。 美玖:ん? 亜美:私も好き。 美玖:え。 亜美:美玖のこと、好き。 美玖:ほんとに? それって、どういう。 亜美:美玖の言ってくれた、好きはどういうのだったの? 美玖:ん。それは......。 亜美:私と付き合ってくれませんか。 美玖:......。 亜美:だめ? 美玖:だめくない。すごくいい、です。 美玖:よろしくおねがいします。 亜美:美玖かわいいっ! すーきっ。 美玖:うん。あ、亜美。わ私だって。す、好きだよ。  :  0:その日の夜、美玖と好輝は通話をしている。 美玖:もしもし。おつかれー。 好輝:こんばんは。おつかれさん。 美玖:今日の名演だったよ、好輝にぃ! 好輝:ははっ。ちょっと途中キモすぎたか? 美玖:いいんだって、あれぐらいで。 好輝:で? どうなった? そっちは。 美玖:へへへ。いい感じ。 好輝:いい感じって? 美玖:......付き合うことになりました! 好輝:うお! おめでとう! 美玖:いやぁ、好輝にぃには本当に感謝だよ。ごめんね。わざわざ兄貴の高校のときの制服着てもらって。 好輝:いいんだよ。美玖ちゃんには色々借りがあるしさ。 美玖:借りというか、脅し道具だけどね。 好輝:ははは。これでもう許してもらえる? 美玖:んー。どうかなぁ。わたしのタンスからパンツ盗もうとしてた罪は思いよー? 好輝:ごめんなさい。 美玖:でも、いいよ。なんなら一枚あげてもいいくらい。 好輝:まじで? 美玖:嘘だよ、うーそー。あげるわけないじゃん。けど、それくらい今日の好輝にぃは功労者だったよ。 好輝:作戦聞いたときはビビったけどなあ。 美玖:ははっ。好輝にぃが上京するって言ったから思いついたんだよ、これ。遠くに行くなら、近所で偶然再会ってリスクも低いし。 好輝:まあな。まさか亜美ちゃんがまんまと引っかかってくれるとも思わなかった。名前のとか、完全に勝手に解釈増やしてくれたもんな! 美玖:ははっ。あれは正直ビビったね! 好輝:だよなぁ。にしても、美玖。おめでとう! 美玖:ありがとう! 好輝にぃ! 美玖:上京したら東京遊びにいくから泊めてよねー! 好輝:おうおう、任せろ!