台本概要
206 views
タイトル | 冬の月光浴 |
---|---|
作者名 | Danzig |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
ひとり読み(朗読)台本
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
語り | 不問 | - |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
0:冬の月光浴
0:
0:
0:冬の夜
0:
0:眠れない、冬の夜がある
0:決して寒さのせいでなく
0:
0:真夜中になっても
0:眠りたくない気分がある
0:
0:そんな時には
0:私は車を走らせる
0:
0:ピンと張りつめた冷たさが覆(おお)う
0:限りなく透き通った空間。
0:
0:小さな音が
0:どこまでも届いていきそうな
0:冷えた空気。
0:
0:そんな冬の夜には
0:この時期だけの特別な楽しみがある
0:
0:
0:海岸線に車を止めて
0:車の中から外を眺(なが)める
0:
0:遮(さえぎ)るものの何もない
0:海の上に浮かぶ月
0:
0:
0:冬の月から溢(あふ)れる光は
0:どの季節よりも
0:鋭く私を刺してくる
0:
0:月光浴
0:月の光を浴びるそれは
0:私が私を楽しむ時間
0:
0:月光浴を楽しむ時
0:私はよく紅茶を飲む
0:
0:月の光を紅茶に溶かす
0:そんな飲み方が私は好きだ
0:
0:こんな冬の光には
0:とっておきの茶葉である
0:ダージリンの
0:レイトハーベストが良く似合う
0:
0:芳醇(ほうじゅん)で複雑な香りと甘み
0:他の茶葉よりも濃縮(のうしゅく)した味わい
0:とても贅沢な味覚のこれは
0:冬の夜空に良く似合う
0:
0:
0:
0:紅茶で身体が温まったころ
0:私は車の外に出る
0:
0:車の外は
0:冬の空気を肌で感じられる空間
0:
0:冷えた空気が、少し温まった私の身体を
0:引き裂くように爪を立てる
0:
0:しかし
0:そんな場所に身を置いてでも
0:月光を浴びる価値はあると思う
0:
0:透明な空気の中に浮かぶ光のそれは
0:引力さえも感じさせながら
0:私を貫(つらぬ)いていく
0:
0:白い息が、風の中に溶けていくように
0:私を透明に変えていく
0:
0:
0:そして透明感を感じたなら
0:車に戻って、紅茶をもう少し口にする
0:
0:茶葉の香りと
0:その湯気(ゆげ)が
0:ここが外とは別の空間だという事を教えてくれる
0:
0:後から追いかけて来る紅茶の熱と甘みが
0:冷えた身体を溶かしてくれる
0:
0:
0:身体が溶けきった頃に
0:胸に蟠(わだかま)る
0:幾(いく)つかの記憶たちが
0:まるで、あやふやだった約束のように
0:ふわりと想い浮かんでくる
0:
0:決して快(こころよ)いとは言えない
0:そんな記憶
0:
0:しかし月の光は、
0:その記憶の幻影(げんえい)を
0:ゆっくりと滲(にじ)ませて
0:遠くやすらかな思い出へと変えていく
0:
0:苦しみも、哀しみも、憂(うれ)いも、痛みも
0:まるで全てを許せるような
0:そんな気持ちにさせてくれる
0:
0:
0:紅茶を飲み干す頃に
0:私はもう一度ハンドルを握る
0:
0:
0:月光浴
0:
0:冬の
0:夜中の
0:特別な時間
0:
0:
0:冬の月光浴
0:
0:
0:冬の夜
0:
0:眠れない、冬の夜がある
0:決して寒さのせいでなく
0:
0:真夜中になっても
0:眠りたくない気分がある
0:
0:そんな時には
0:私は車を走らせる
0:
0:ピンと張りつめた冷たさが覆(おお)う
0:限りなく透き通った空間。
0:
0:小さな音が
0:どこまでも届いていきそうな
0:冷えた空気。
0:
0:そんな冬の夜には
0:この時期だけの特別な楽しみがある
0:
0:
0:海岸線に車を止めて
0:車の中から外を眺(なが)める
0:
0:遮(さえぎ)るものの何もない
0:海の上に浮かぶ月
0:
0:
0:冬の月から溢(あふ)れる光は
0:どの季節よりも
0:鋭く私を刺してくる
0:
0:月光浴
0:月の光を浴びるそれは
0:私が私を楽しむ時間
0:
0:月光浴を楽しむ時
0:私はよく紅茶を飲む
0:
0:月の光を紅茶に溶かす
0:そんな飲み方が私は好きだ
0:
0:こんな冬の光には
0:とっておきの茶葉である
0:ダージリンの
0:レイトハーベストが良く似合う
0:
0:芳醇(ほうじゅん)で複雑な香りと甘み
0:他の茶葉よりも濃縮(のうしゅく)した味わい
0:とても贅沢な味覚のこれは
0:冬の夜空に良く似合う
0:
0:
0:
0:紅茶で身体が温まったころ
0:私は車の外に出る
0:
0:車の外は
0:冬の空気を肌で感じられる空間
0:
0:冷えた空気が、少し温まった私の身体を
0:引き裂くように爪を立てる
0:
0:しかし
0:そんな場所に身を置いてでも
0:月光を浴びる価値はあると思う
0:
0:透明な空気の中に浮かぶ光のそれは
0:引力さえも感じさせながら
0:私を貫(つらぬ)いていく
0:
0:白い息が、風の中に溶けていくように
0:私を透明に変えていく
0:
0:
0:そして透明感を感じたなら
0:車に戻って、紅茶をもう少し口にする
0:
0:茶葉の香りと
0:その湯気(ゆげ)が
0:ここが外とは別の空間だという事を教えてくれる
0:
0:後から追いかけて来る紅茶の熱と甘みが
0:冷えた身体を溶かしてくれる
0:
0:
0:身体が溶けきった頃に
0:胸に蟠(わだかま)る
0:幾(いく)つかの記憶たちが
0:まるで、あやふやだった約束のように
0:ふわりと想い浮かんでくる
0:
0:決して快(こころよ)いとは言えない
0:そんな記憶
0:
0:しかし月の光は、
0:その記憶の幻影(げんえい)を
0:ゆっくりと滲(にじ)ませて
0:遠くやすらかな思い出へと変えていく
0:
0:苦しみも、哀しみも、憂(うれ)いも、痛みも
0:まるで全てを許せるような
0:そんな気持ちにさせてくれる
0:
0:
0:紅茶を飲み干す頃に
0:私はもう一度ハンドルを握る
0:
0:
0:月光浴
0:
0:冬の
0:夜中の
0:特別な時間
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