台本概要
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タイトル | Fair & Cheating シャラザードの涙 (男1×女2版) |
---|---|
作者名 | Danzig |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 3人用台本(男1、女2) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
フェア & チーティング シリーズ シャラザードの涙の男1×女2版です。 「シャラザードの涙」という宝石を賭けて、カジノ王とのポーカー勝負です。 主要登場人物の他に、ナレーションが出てきますが、セリフが少ない為、兼ね役と考えています。 兼ね役が難しい場合は、男女不問×1を足した4人劇となります。 ナレーションについて この物語は、3人劇ですが3人が一堂に会する場面はありません。 ヴァネッサとカメリアのシーンではボルグ役の人が カメリアとボルグのシーンでは、ヴァネッサ役の人がナレーションをするのをお勧めします。 114 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ヴァネッサ | 女 | 58 | Vanessa・Voltaine(ヴァネッサ・ヴォルテーヌ)。 女ギャンブラー |
カメリア | 女 | 112 | Camellia・Caldwell(カメリア・コールドウェル)。 女イカサマ師 |
ボルグ | 男 | 44 | カジノ王 |
ナレーション | 不問 | 20 | 物語のナレーション |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:
ナレーション:世に「シャラザードの涙」と言われる宝石がある
ナレーション:フォーキンス家に代々伝わる、光り輝く伝説の宝石
ナレーション:この宝石は、フォーキンス家21代目当主となる予定である15歳の少女のモノであったが、
ナレーション:とある事情で、ボルグというカジノ王の組織に騙(だま)され奪われてしまう事となる。
ナレーション:この宝石を返す条件としてボルグが出したのは「ボルグとのポーカー勝負で勝つこと」であった
:
ヴァネッサ:ねぇ、いいでしょ、私に行かせて
:
カメリア:駄目ね
カメリア:状況が悪すぎるわ
:
ヴァネッサ:だって・・
:
カメリア:奪われたシャラザードの涙を、ミネルヴァちゃんに返してやりたい、ヴァネッサの気持ちはわかるわよ
:
ヴァネッサ:じゃ、どうして
:
カメリア:ボルグ達は危険すぎる、それに強い
カメリア:ヴァネッサじゃ、勝てるかどうかわからないわ
カメリア:負ければ、一生、ボルグ達にひれ伏して生きて行かなきゃならなくなるのよ
:
ヴァネッサ:カメリア、あなた、私が負けるっていうの?
:
カメリア:ええ、言いたくはないけど、その可能性が高いわ
カメリア:ヴァネッサだって、勝てる自信がある訳じゃないんでしょ
:
ヴァネッサ:それはそうだけど、
ヴァネッサ:でも、ギャンブラーなら受けて立ちたいじゃない
:
カメリア:負ける可能性が高いのに、負けた時の条件が悪すぎるって言ってるのよ
カメリア:それに、彼らのカジノで勝負するのよ、どんな仕掛けがあるか分からないわ
カメリア:ましてや、ポーカーじゃ分が悪いの
:
ヴァネッサ:じゃぁ、どうするのよ、宝石は諦めるの?
:
カメリア:いや、そんな事は言ってないよ
:
ヴァネッサ:じゃぁ、どうするのよ
:
カメリア:明日の勝負には私が行く
:
ヴァネッサ:なんですって、
ヴァネッサ:あなたなら、ボルグに勝てるっていうの
:
カメリア:ええ、私なら勝てる
:
ヴァネッサ:本気で言ってるの?
:
カメリア:勿論
:
ヴァネッサ:・・・わかったわ
ヴァネッサ:じゃ、今から私と勝負しなさいよ!
ヴァネッサ:私に勝ったら認めてあげるわよ
:
カメリア:そう
カメリア:それで納得するのね
:
ヴァネッサ:ええ
:
ナレーション:ポーカー勝負をする二人
ナレーション:
ナレーション:1回目
:
ヴァネッサ:私は、A(エース)とQ(クイーン)のツーペア
:
カメリア:私は、5のスリーカード
:
ヴァネッサ:・・・
:
カメリア:どう?
:
ヴァネッサ:まだ始まったばかりよ
:
カメリア:そうね
:
ナレーション:2回目の勝負
:
ヴァネッサ:6からのストレート
:
カメリア:クラブのフラッシュ
:
ヴァネッサ:次よ、次
:
カメリア:ええ
:
ナレーション:そして、3回目
:
ヴァネッサ:7(セブン)のスリーカード
:
カメリア:J(ジャック)のスリーカード
カメリア:
カメリア:これで、分かった?
:
ヴァネッサ:まだよ、次が最後の勝負
ヴァネッサ:私は最後にオールインするわ
:
カメリア:・・そう・・わかった
:
ヴァネッサ:私は4枚チェンジするわ
:
カメリア:え?
:
ヴァネッサ:どうしたの?
ヴァネッサ:私が4枚チェンジするのが、そんなに不思議かしら?
:
カメリア:いや・・じゃ、私は3枚・・
:
ナレーション:カードを引くカメリア
:
カメリア:こ・・
:
ヴァネッサ:あら、どうしたの?
ヴァネッサ:予定のカードが来なかったような顔してるけど?
:
カメリア:・・・いや
:
ヴァネッサ:折角、用心深く2段仕込みをしてたのにね
:
カメリア:ヴァネッサ、あなた、今までわざと・・・
:
ヴァネッサ:勝負は最後に勝ったものが勝ちなの
ヴァネッサ:そして、最後は私が勝つのよ
ヴァネッサ:それが私のギャンブル
:
カメリア:そう・・・
:
ヴァネッサ:私はK(キング)のスリーカード
ヴァネッサ:カメリア、あなたは?
:
カメリア:・・・
:
ヴァネッサ:早く手を見せてみなさい
:
カメリア:ふぅ・・・
カメリア:悪いわねヴァネッサ、A(エース)のスリーカードよ
:
ヴァネッサ:そんな、あなたのところにエースは・・
:
カメリア:不思議?
カメリア:これでも私は、イカサマ師なもんでね
:
ヴァネッサ:そん・・
:
カメリア:ヴァネッサ、あなたはギャンブラーとしての腕は超一流よ
カメリア:でも、勝負の世界じゃ、私の方が上なの
カメリア:だから最後も私が勝った
:
ヴァネッサ:・・・
:
カメリア:ボルグも勝負の世界の人間よ、だからあなたじゃ危険すぎる
:
ヴァネッサ:う・・
:
カメリア:これでわかったわね
カメリア:明日のボルグとの勝負には私が行くわ
:
0:少しの間
:
ヴァネッサ:ふん、そんなに私が信用できないなら、好きにすればいいじゃないの
:
カメリア:まぁ、まぁ、そんなに怒らないでよ
カメリア:でも、明日は安心してお土産を期待してていいわよ
:
ヴァネッサ:ふん
:
カメリア:あ・・いや・・だからさ、そんなに怒らないでって・・ヴァネッサ
:
:
ナレーション:勝負当日
ナレーション:勝負会場となる、ボルグの経営するカジノ
:
カメリア:ボルグ、本日のご招待、痛み入るわ・・・と言いたいところだけど
カメリア:あんな人でなしな条件を、よく付けられたわね・・・言われた通りに来てあげたわ
カメリア:
カメリア:でもまぁ、わざわざ私達に、宝石を取り返すチャンスをくれた事には感謝するわ
:
ボルグ:逃げずによく来たな・・・・と言いたいところだが
ボルグ:俺はお前を招待したつもりはないんだがな
:
カメリア:まぁ、そう固い事言わないでよ
:
ボルグ:お前に勝ったところで、俺には何の得もないんだよ
ボルグ:ヴァネッサはどうした
:
カメリア:お留守番
:
ボルグ:ケッ、話にならんな
ボルグ:とっとと帰れ
:
カメリア:私って、そんなに魅力ないかしら?
:
ボルグ:あぁ、残念ながらな
:
カメリア:まぁ、傷つく事をいうのね
カメリア:でも、テクニックはヴァネッサよりいいわよ、特にカードわね
:
ボルグ:興味ないな
:
カメリア:それとも、カジノ王は勝負を前に逃げちゃうの?
:
ボルグ:俺は意味のない勝負はしない主義なんでな
:
カメリア:私に負けるのが怖いから?
:
ボルグ:そんな子供じみた挑発にも乗らない主義だ
:
カメリア:あらまぁ
カメリア:意外とつれないのね
:
ボルグ:時間の無駄だ
ボルグ:さっさと帰れ
:
0:背を向けて去ろうとするボルグ
:
カメリア:でも、私に勝たないと、ヴァネッサは出て来ないわよ
:
ボルグ:何?
:
カメリア:ご所望(しょもう)なんでしょ? 彼女が
:
ボルグ:カメリア・・・てめぇ・・・
:
カメリア:あなたのチップが「シャラザードの涙」なら、私のチップは「ヴァネッサ」よ
:
ボルグ:クッ
:
カメリア:どう?、あなたにとっちゃ、十分つりあう掛け金でしょ
:
ボルグ:ヴァネッサがチップだと・・・
:
カメリア:ええ
:
ボルグ:お前に勝てば、ヴァネッサが俺のモノになるっていうのか?
:
カメリア:うーん、残念ながら、ヴァネッサは私のものじゃないわ
カメリア:
カメリア:ただ、あなたが私に勝てば、ヴァネッサはギャンブラーとして、あんたの前に立つだろうって話よ
カメリア:それじゃ不服?
:
ボルグ:いいだろう、お前と勝負をしてやるよ
:
カメリア:そう来なくちゃぁね
:
ボルグ:まんまと乗せられてやるよ
:
カメリア:じゃぁ、条件の確認ね
カメリア:あなたが私に勝てば、ヴァネッサと勝負ができる。
カメリア:でも、私が勝ったら、当初の約束通り「シャラザードの涙」は返して貰う
カメリア:それでいい?
:
ボルグ:あぁ、それでいい
:
カメリア:私が勝った後で「そんな約束は知らない」ってのは無しよ
:
ボルグ:大丈夫だ、これでも俺はカジノ王だぞ、勝負の結果には従うさ
:
カメリア:それは立派
:
ボルグ:あぁ、なにせ、俺は誰にも負けないからな
:
カメリア:まぁ、大した自信なじゃない
:
ボルグ:お前こそ、俺に勝てるとでも思ってるのか?
:
カメリア:勝負を決めるのは手札じゃない・・・っていうのは、映画のセリフだったかしら?
カメリア:まぁ、何せ勝負は時の運・・・でしょ?
:
ボルグ:ははは、青臭い事を言うじゃないか
:
カメリア:運ってのは、意外と大事なのよ
カメリア:なにせ、私には勝利の女神が付いてるからね
:
ボルグ:ケッ
ボルグ:つまらない事言ってないで、さっさと始めようか
:
カメリア:ええ、そうしましょ
:
:
ナレーション:カジノのVIPルーム
ナレーション:部屋の中央のポーカー用の台が置かれ、向かい合わせに座りポーカーを続けるカメリアとボルグ
:
カメリア:私のチェンジは2枚よ
:
ボルグ:俺は3枚
:
カメリア:じゃぁ、10枚ベット(※賭ける事)
:
ボルグ:ほう、随分と強気だな
ボルグ:そんなにいい手が来たか
:
カメリア:ええ、割とね
:
ボルグ:そうか
ボルグ:じゃぁ俺は、レイズ(※上乗せ)だ、20枚
:
カメリア:あら、あなたにもいい手が来たの?
:
ボルグ:あぁ、割とな
:
カメリア:なるほどね、じゃぁレイズよ、30枚
:
ボルグ:おいおいカメリア、そんなに賭けて大丈夫か?
:
カメリア:ええ、大丈夫よ
カメリア:ボルグ、あなたは私がブラフ(※嘘)だと思ってるの?
:
ボルグ:ははは、どうだかな
ボルグ:ただ、俺の手札でお前に勝てるとは思ってるよ
ボルグ:だからレイズだ、50枚
:
カメリア:・・・・
:
ボルグ:チップの枚数的に、これが最後の勝負になりそうだな
:
カメリア:そうみたいね
カメリア:レイズ、70枚
:
ボルグ:ほう、コール(※手札勝負)にしないのか?
ボルグ:いや、お前にコールは出来ないよな
ボルグ:俺にフォールド(※降りる)させるのが、お前の狙いだから
:
カメリア:くっ・・・・
:
ボルグ:じゃぁ、俺はここでコールだ
ボルグ:さぁ、手札勝負といこうか、カメリア
:
カメリア:え、ええ・・
:
ボルグ:カメリア、お前は「勝負を決めるのは手札じゃない」とか言ってたが
ボルグ:駆け引きが効かなきゃ、最後は手札勝負なんだよ
ボルグ:よく覚えておけ
:
カメリア:ええ、覚えておく事にするわ
:
ボルグ:はははは、じゃぁ、勝負だ
ボルグ:俺の手はツーベアだ
:
カメリア:そ、そんな手で・・・
:
ボルグ:あぁ、こんな低い手でも、お前に勝てる、違うか?
:
カメリア:ディーラーにそう配らせたから?
:
ボルグ:おいおい、人聞きの悪い事をいうなよ、ここはカジノだぜ
ボルグ:それに「勝負は時の運」なんだろ?
ボルグ:今日のお前には運がなかったのさ
:
カメリア:・・・・
:
ボルグ:さぁ、見せてみろよ、お前のみじめな手札を
:
カメリア:・・・・
:
ボルグ:どうした、カメリア、手札を見せられないのか?
ボルグ:ははははは、これでヴァネッサは俺のもんだな
:
カメリア:フフフ、それはちょっと焦り過ぎじゃないかしら
カメリア:そんなに焦ると、女の子に嫌われちゃうわよ
:
ボルグ:何だと、じゃぁ、お前の手札を見せてみろよ
:
カメリア:はい、フルハウス
:
ボルグ:なんだと、そんなバカな
:
:
カメリア:そんなビックリすることはないでしょ、ここはカジノよ
カメリア:それに「勝負は時の運」でしょ?
カメリア:今日の私には運があったのよ、なにせ、勝利の女神がついてるからね
:
ボルグ:てめぇ
:
カメリア:さぁ、では約束通り、シャラザードの涙を渡してもら・・・お・・・う・・・って、あらららら
:
ナレーション:カジノのスタッフに銃口を向けられているカメリア
:
カメリア:ちょっとちょっと、こっちが欲しいのは約束の宝石であって、鉛の玉じゃないんだけど・・・
:
ボルグ:宝石? そんな約束は知らねぇ
:
カメリア:いやいや、そういうのは無しにしようって最初・・・に・・・
:
ボルグ:悪いが、そいつも覚えてねぇな
:
カメリア:そんな・・・
:
ボルグ:今回の勝負の景品は鉛の玉だ
:
カメリア:ま、まぁまぁ落ち着きなさいよ
カメリア:あなた達も、そんな物騒なものはしまって・・・ね
:
ナレーション:微動だにしないスタッフ
:
カメリア:・・・わかった、わかったわよ、もう
カメリア:(心の声)しょうがないわね、一旦引くしかないか・・
:
カメリア:じゃぁ、今日のところは大人しく・・・・
:
ボルグ:いや、残念だが、お前を帰す訳にはいかないな
:
カメリア:そんな・・・
:
ナレーション:その時、カジノ全体に響き渡るような大きな爆発音がした
ナレーション:そして、銃を撃ち合う音が響き渡る
ナレーション:カジノのスタッフ全員の注意がそれる
:
ボルグ:何だ、何が起こった
:
カメリア:(心の声)今ね
:
:
ナレーション:一瞬の隙をついて逃げるカメリア
ナレーション:それに気づいて銃を撃ち、追いかけるカジノのスタッフ
ナレーション:
ナレーション:物陰に隠れるカメリア
:
カメリア:ふぅ、あぶない、あぶない
カメリア:でも、困ったなぁ、宝石持って帰るって約束しちゃったしな・・・
:
:
ヴァネッサ:あら、カメリアじゃないの
:
ナレーション:銃弾の雨を掻い潜(かいくぐ)って物陰にやってきたヴァネッサ
:
カメリア:ヴァネッサ、さっきの爆発、あれ、あなただったの?
:
ヴァネッサ:そうよ
:
カメリア:そうよって、なんでここにいるのよ!
:
ヴァネッサ:それは決まってるじゃない
ヴァネッサ:あなた達が勝負をしてる間に、ほら♪
:
0:宝石を見せるヴァネッサ
:
カメリア:それはシャラザード・・・盗(と)ってきちゃったの?
:
ヴァネッサ:まさか、
ヴァネッサ:返してもらったの
:
カメリア:いや、ものは言いようだけど・・・・
:
ヴァネッサ:それに、どうせ勝負はあなたが勝ったんでしょ?
ヴァネッサ:じゃ問題ないじゃない
:
カメリア:そりゃ、そうだけど
:
ヴァネッサ:それにしてもカメリア、「最後も私が勝つ」なんて言ってた割には随分ね。
ヴァネッサ:私が来なきゃ殺されるところだったじゃない
:
カメリア:ヴァネッサ・・・まさか、昨日の事、根に持ってる?
:
ヴァネッサ:そんなわけないじゃない
ヴァネッサ:さぁ逃げるわよ
:
ナレーション:銃弾の雨の中を走りながら会話をする二人
:
カメリア:でも、やっぱり
カメリア:ちょっとは根にもってるんじゃないの?
:
ヴァネッサ:しつこいわね、
ヴァネッサ:ここを出たところに車を止めてあるわ
:
カメリア:まぁいいわ、
カメリア:OK! 急ぎましょ
:
ナレーション:走る二人
:
カメリア:もう少しよ
:
0:ドカーン
:
ヴァネッサ:キャァ
:
ナレーション:ヴァネッサの近くで爆発があり、爆風の巻き添えを食らう、ヴァネッサ
:
:
:
カメリア:ヴァネッサ!
:
ナレーション:倒れるヴァネッサ
:
カメリア:邪魔よ
:
0:バキュンバキュン
:
ナレーション:追っ手を撃ち殺すカメリア
:
カメリア:ねぇ、ヴァネッサしっかりして、ヴァネッサ
:
ヴァネッサ:カメリア・・・ごめん、私・・・なんか・・・ドジふんじゃったわね
:
0:息も切れ切れのヴァネッサ
:
カメリア:ヴァネッサ、大丈夫?、しっかりして
:
ヴァネッサ:これを持って、あなただけでも逃げて
:
カメリア:何言ってるのよ、それはあなたが持ってて、一緒に逃げるわよ
:
ヴァネッサ:いいのよ・・・・もう駄目・・・みたい
ヴァネッサ:あなた・・・だけでも・・・
:
カメリア:ヴァネッサ
:
ヴァネッサ:あなたと、もう一度勝負してみたかったな・・・
:
カメリア:ヴァネッサ、もういい、喋らないで!
:
ヴァネッサ:あなたの胸の中で死ぬのも、案外悪くないかもね
:
カメリア:何言ってるのよヴァネッサ、さぁ帰りましょ
:
ヴァネッサ:最後に・・・あなたの・・・本当の気持ち・・・聞かせて・・・
:
カメリア:え?
:
ヴァネッサ:私の事、愛してた?
:
カメリア:こんな時に、何言ってるのよ
:
ヴァネッサ:もう・・・最後だから・・・お願い・・・聞かせて
:
カメリア:ヴァネ・・・え、ええ、愛してたわ・・・そんなんじゃなく、これからもずっとあなたの事を愛してるわ
カメリア:だから、生きて一緒にここから逃げましょ
:
ヴァネッサ:嬉しい・・・
ヴァネッサ:もう・・・一度・・・言って・・・段々声が遠くなって・・・
:
カメリア:ええ、何度でも言うわよ、だからヴァネッサしっかりして
:
ヴァネッサ:お願い・・・
:
カメリア:ヴァネッサ愛してる、愛してるわーーー
:
0:思いきり大きな声で叫ぶカメリア
0:
0:カチッ(レーコーダーを止める音)
:
ヴァネッサ:はい、いただきました♪
:
カメリア:え? レコーダー?・・・・って
:
ヴァネッサ:カメリア、お疲れ様
ヴァネッサ:あなたの気持ちはよくわかったわ
:
カメリア:ヴァネッサ・・あなた
:
0:ダダダダダダ
:
ナレーション:再び銃声が鳴り始める
:
ヴァネッサ:さぁ、逃げるわよ
:
ナレーション:再び、走りだす二人
:
カメリア:ったく、こんな時になにやってるの
:
ヴァネッサ:こんな時だからやったのよ
:
カメリア:どうしてよ!
:
ヴァネッサ:最後に勝つのがあなたでも、最後の最後に勝つのは私じゃなきゃイヤなの
:
カメリア:ヴァネッサ・・・やっぱり昨日の事、根に持ってるのね
:
ヴァネッサ:そりゃそうよ、負けるのイヤだもん
:
カメリア:ったく、かなわないわね
:
ヴァネッサ:フフフ
:
カメリア:フフフ・・・ハハハハハ・・・・
:
0:バキューン
:
ナレーション:銃声が鳴り、弾が近くの壁にあたる
:
カメリア:あっぶな
カメリア:とにかく、今は早くここから退散しましょ
:
ヴァネッサ:フフ そうね
:
カメリア:それじゃぁ、まぁ、逃げるわよぉ~
:
0:走り去る二人
:
:
:
ナレーション:世に「シャラザードの涙」と言われる宝石がある
ナレーション:フォーキンス家に代々伝わる、光り輝く伝説の宝石
ナレーション:この宝石は、フォーキンス家21代目当主となる予定である15歳の少女のモノであったが、
ナレーション:とある事情で、ボルグというカジノ王の組織に騙(だま)され奪われてしまう事となる。
ナレーション:この宝石を返す条件としてボルグが出したのは「ボルグとのポーカー勝負で勝つこと」であった
:
ヴァネッサ:ねぇ、いいでしょ、私に行かせて
:
カメリア:駄目ね
カメリア:状況が悪すぎるわ
:
ヴァネッサ:だって・・
:
カメリア:奪われたシャラザードの涙を、ミネルヴァちゃんに返してやりたい、ヴァネッサの気持ちはわかるわよ
:
ヴァネッサ:じゃ、どうして
:
カメリア:ボルグ達は危険すぎる、それに強い
カメリア:ヴァネッサじゃ、勝てるかどうかわからないわ
カメリア:負ければ、一生、ボルグ達にひれ伏して生きて行かなきゃならなくなるのよ
:
ヴァネッサ:カメリア、あなた、私が負けるっていうの?
:
カメリア:ええ、言いたくはないけど、その可能性が高いわ
カメリア:ヴァネッサだって、勝てる自信がある訳じゃないんでしょ
:
ヴァネッサ:それはそうだけど、
ヴァネッサ:でも、ギャンブラーなら受けて立ちたいじゃない
:
カメリア:負ける可能性が高いのに、負けた時の条件が悪すぎるって言ってるのよ
カメリア:それに、彼らのカジノで勝負するのよ、どんな仕掛けがあるか分からないわ
カメリア:ましてや、ポーカーじゃ分が悪いの
:
ヴァネッサ:じゃぁ、どうするのよ、宝石は諦めるの?
:
カメリア:いや、そんな事は言ってないよ
:
ヴァネッサ:じゃぁ、どうするのよ
:
カメリア:明日の勝負には私が行く
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ヴァネッサ:なんですって、
ヴァネッサ:あなたなら、ボルグに勝てるっていうの
:
カメリア:ええ、私なら勝てる
:
ヴァネッサ:本気で言ってるの?
:
カメリア:勿論
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ヴァネッサ:・・・わかったわ
ヴァネッサ:じゃ、今から私と勝負しなさいよ!
ヴァネッサ:私に勝ったら認めてあげるわよ
:
カメリア:そう
カメリア:それで納得するのね
:
ヴァネッサ:ええ
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ナレーション:ポーカー勝負をする二人
ナレーション:
ナレーション:1回目
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ヴァネッサ:私は、A(エース)とQ(クイーン)のツーペア
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カメリア:私は、5のスリーカード
:
ヴァネッサ:・・・
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カメリア:どう?
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ヴァネッサ:まだ始まったばかりよ
:
カメリア:そうね
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ナレーション:2回目の勝負
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ヴァネッサ:6からのストレート
:
カメリア:クラブのフラッシュ
:
ヴァネッサ:次よ、次
:
カメリア:ええ
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ナレーション:そして、3回目
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ヴァネッサ:7(セブン)のスリーカード
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カメリア:J(ジャック)のスリーカード
カメリア:
カメリア:これで、分かった?
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ヴァネッサ:まだよ、次が最後の勝負
ヴァネッサ:私は最後にオールインするわ
:
カメリア:・・そう・・わかった
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ヴァネッサ:私は4枚チェンジするわ
:
カメリア:え?
:
ヴァネッサ:どうしたの?
ヴァネッサ:私が4枚チェンジするのが、そんなに不思議かしら?
:
カメリア:いや・・じゃ、私は3枚・・
:
ナレーション:カードを引くカメリア
:
カメリア:こ・・
:
ヴァネッサ:あら、どうしたの?
ヴァネッサ:予定のカードが来なかったような顔してるけど?
:
カメリア:・・・いや
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ヴァネッサ:折角、用心深く2段仕込みをしてたのにね
:
カメリア:ヴァネッサ、あなた、今までわざと・・・
:
ヴァネッサ:勝負は最後に勝ったものが勝ちなの
ヴァネッサ:そして、最後は私が勝つのよ
ヴァネッサ:それが私のギャンブル
:
カメリア:そう・・・
:
ヴァネッサ:私はK(キング)のスリーカード
ヴァネッサ:カメリア、あなたは?
:
カメリア:・・・
:
ヴァネッサ:早く手を見せてみなさい
:
カメリア:ふぅ・・・
カメリア:悪いわねヴァネッサ、A(エース)のスリーカードよ
:
ヴァネッサ:そんな、あなたのところにエースは・・
:
カメリア:不思議?
カメリア:これでも私は、イカサマ師なもんでね
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ヴァネッサ:そん・・
:
カメリア:ヴァネッサ、あなたはギャンブラーとしての腕は超一流よ
カメリア:でも、勝負の世界じゃ、私の方が上なの
カメリア:だから最後も私が勝った
:
ヴァネッサ:・・・
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カメリア:ボルグも勝負の世界の人間よ、だからあなたじゃ危険すぎる
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ヴァネッサ:う・・
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カメリア:これでわかったわね
カメリア:明日のボルグとの勝負には私が行くわ
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0:少しの間
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ヴァネッサ:ふん、そんなに私が信用できないなら、好きにすればいいじゃないの
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カメリア:まぁ、まぁ、そんなに怒らないでよ
カメリア:でも、明日は安心してお土産を期待してていいわよ
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ヴァネッサ:ふん
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カメリア:あ・・いや・・だからさ、そんなに怒らないでって・・ヴァネッサ
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:
ナレーション:勝負当日
ナレーション:勝負会場となる、ボルグの経営するカジノ
:
カメリア:ボルグ、本日のご招待、痛み入るわ・・・と言いたいところだけど
カメリア:あんな人でなしな条件を、よく付けられたわね・・・言われた通りに来てあげたわ
カメリア:
カメリア:でもまぁ、わざわざ私達に、宝石を取り返すチャンスをくれた事には感謝するわ
:
ボルグ:逃げずによく来たな・・・・と言いたいところだが
ボルグ:俺はお前を招待したつもりはないんだがな
:
カメリア:まぁ、そう固い事言わないでよ
:
ボルグ:お前に勝ったところで、俺には何の得もないんだよ
ボルグ:ヴァネッサはどうした
:
カメリア:お留守番
:
ボルグ:ケッ、話にならんな
ボルグ:とっとと帰れ
:
カメリア:私って、そんなに魅力ないかしら?
:
ボルグ:あぁ、残念ながらな
:
カメリア:まぁ、傷つく事をいうのね
カメリア:でも、テクニックはヴァネッサよりいいわよ、特にカードわね
:
ボルグ:興味ないな
:
カメリア:それとも、カジノ王は勝負を前に逃げちゃうの?
:
ボルグ:俺は意味のない勝負はしない主義なんでな
:
カメリア:私に負けるのが怖いから?
:
ボルグ:そんな子供じみた挑発にも乗らない主義だ
:
カメリア:あらまぁ
カメリア:意外とつれないのね
:
ボルグ:時間の無駄だ
ボルグ:さっさと帰れ
:
0:背を向けて去ろうとするボルグ
:
カメリア:でも、私に勝たないと、ヴァネッサは出て来ないわよ
:
ボルグ:何?
:
カメリア:ご所望(しょもう)なんでしょ? 彼女が
:
ボルグ:カメリア・・・てめぇ・・・
:
カメリア:あなたのチップが「シャラザードの涙」なら、私のチップは「ヴァネッサ」よ
:
ボルグ:クッ
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カメリア:どう?、あなたにとっちゃ、十分つりあう掛け金でしょ
:
ボルグ:ヴァネッサがチップだと・・・
:
カメリア:ええ
:
ボルグ:お前に勝てば、ヴァネッサが俺のモノになるっていうのか?
:
カメリア:うーん、残念ながら、ヴァネッサは私のものじゃないわ
カメリア:
カメリア:ただ、あなたが私に勝てば、ヴァネッサはギャンブラーとして、あんたの前に立つだろうって話よ
カメリア:それじゃ不服?
:
ボルグ:いいだろう、お前と勝負をしてやるよ
:
カメリア:そう来なくちゃぁね
:
ボルグ:まんまと乗せられてやるよ
:
カメリア:じゃぁ、条件の確認ね
カメリア:あなたが私に勝てば、ヴァネッサと勝負ができる。
カメリア:でも、私が勝ったら、当初の約束通り「シャラザードの涙」は返して貰う
カメリア:それでいい?
:
ボルグ:あぁ、それでいい
:
カメリア:私が勝った後で「そんな約束は知らない」ってのは無しよ
:
ボルグ:大丈夫だ、これでも俺はカジノ王だぞ、勝負の結果には従うさ
:
カメリア:それは立派
:
ボルグ:あぁ、なにせ、俺は誰にも負けないからな
:
カメリア:まぁ、大した自信なじゃない
:
ボルグ:お前こそ、俺に勝てるとでも思ってるのか?
:
カメリア:勝負を決めるのは手札じゃない・・・っていうのは、映画のセリフだったかしら?
カメリア:まぁ、何せ勝負は時の運・・・でしょ?
:
ボルグ:ははは、青臭い事を言うじゃないか
:
カメリア:運ってのは、意外と大事なのよ
カメリア:なにせ、私には勝利の女神が付いてるからね
:
ボルグ:ケッ
ボルグ:つまらない事言ってないで、さっさと始めようか
:
カメリア:ええ、そうしましょ
:
:
ナレーション:カジノのVIPルーム
ナレーション:部屋の中央のポーカー用の台が置かれ、向かい合わせに座りポーカーを続けるカメリアとボルグ
:
カメリア:私のチェンジは2枚よ
:
ボルグ:俺は3枚
:
カメリア:じゃぁ、10枚ベット(※賭ける事)
:
ボルグ:ほう、随分と強気だな
ボルグ:そんなにいい手が来たか
:
カメリア:ええ、割とね
:
ボルグ:そうか
ボルグ:じゃぁ俺は、レイズ(※上乗せ)だ、20枚
:
カメリア:あら、あなたにもいい手が来たの?
:
ボルグ:あぁ、割とな
:
カメリア:なるほどね、じゃぁレイズよ、30枚
:
ボルグ:おいおいカメリア、そんなに賭けて大丈夫か?
:
カメリア:ええ、大丈夫よ
カメリア:ボルグ、あなたは私がブラフ(※嘘)だと思ってるの?
:
ボルグ:ははは、どうだかな
ボルグ:ただ、俺の手札でお前に勝てるとは思ってるよ
ボルグ:だからレイズだ、50枚
:
カメリア:・・・・
:
ボルグ:チップの枚数的に、これが最後の勝負になりそうだな
:
カメリア:そうみたいね
カメリア:レイズ、70枚
:
ボルグ:ほう、コール(※手札勝負)にしないのか?
ボルグ:いや、お前にコールは出来ないよな
ボルグ:俺にフォールド(※降りる)させるのが、お前の狙いだから
:
カメリア:くっ・・・・
:
ボルグ:じゃぁ、俺はここでコールだ
ボルグ:さぁ、手札勝負といこうか、カメリア
:
カメリア:え、ええ・・
:
ボルグ:カメリア、お前は「勝負を決めるのは手札じゃない」とか言ってたが
ボルグ:駆け引きが効かなきゃ、最後は手札勝負なんだよ
ボルグ:よく覚えておけ
:
カメリア:ええ、覚えておく事にするわ
:
ボルグ:はははは、じゃぁ、勝負だ
ボルグ:俺の手はツーベアだ
:
カメリア:そ、そんな手で・・・
:
ボルグ:あぁ、こんな低い手でも、お前に勝てる、違うか?
:
カメリア:ディーラーにそう配らせたから?
:
ボルグ:おいおい、人聞きの悪い事をいうなよ、ここはカジノだぜ
ボルグ:それに「勝負は時の運」なんだろ?
ボルグ:今日のお前には運がなかったのさ
:
カメリア:・・・・
:
ボルグ:さぁ、見せてみろよ、お前のみじめな手札を
:
カメリア:・・・・
:
ボルグ:どうした、カメリア、手札を見せられないのか?
ボルグ:ははははは、これでヴァネッサは俺のもんだな
:
カメリア:フフフ、それはちょっと焦り過ぎじゃないかしら
カメリア:そんなに焦ると、女の子に嫌われちゃうわよ
:
ボルグ:何だと、じゃぁ、お前の手札を見せてみろよ
:
カメリア:はい、フルハウス
:
ボルグ:なんだと、そんなバカな
:
:
カメリア:そんなビックリすることはないでしょ、ここはカジノよ
カメリア:それに「勝負は時の運」でしょ?
カメリア:今日の私には運があったのよ、なにせ、勝利の女神がついてるからね
:
ボルグ:てめぇ
:
カメリア:さぁ、では約束通り、シャラザードの涙を渡してもら・・・お・・・う・・・って、あらららら
:
ナレーション:カジノのスタッフに銃口を向けられているカメリア
:
カメリア:ちょっとちょっと、こっちが欲しいのは約束の宝石であって、鉛の玉じゃないんだけど・・・
:
ボルグ:宝石? そんな約束は知らねぇ
:
カメリア:いやいや、そういうのは無しにしようって最初・・・に・・・
:
ボルグ:悪いが、そいつも覚えてねぇな
:
カメリア:そんな・・・
:
ボルグ:今回の勝負の景品は鉛の玉だ
:
カメリア:ま、まぁまぁ落ち着きなさいよ
カメリア:あなた達も、そんな物騒なものはしまって・・・ね
:
ナレーション:微動だにしないスタッフ
:
カメリア:・・・わかった、わかったわよ、もう
カメリア:(心の声)しょうがないわね、一旦引くしかないか・・
:
カメリア:じゃぁ、今日のところは大人しく・・・・
:
ボルグ:いや、残念だが、お前を帰す訳にはいかないな
:
カメリア:そんな・・・
:
ナレーション:その時、カジノ全体に響き渡るような大きな爆発音がした
ナレーション:そして、銃を撃ち合う音が響き渡る
ナレーション:カジノのスタッフ全員の注意がそれる
:
ボルグ:何だ、何が起こった
:
カメリア:(心の声)今ね
:
:
ナレーション:一瞬の隙をついて逃げるカメリア
ナレーション:それに気づいて銃を撃ち、追いかけるカジノのスタッフ
ナレーション:
ナレーション:物陰に隠れるカメリア
:
カメリア:ふぅ、あぶない、あぶない
カメリア:でも、困ったなぁ、宝石持って帰るって約束しちゃったしな・・・
:
:
ヴァネッサ:あら、カメリアじゃないの
:
ナレーション:銃弾の雨を掻い潜(かいくぐ)って物陰にやってきたヴァネッサ
:
カメリア:ヴァネッサ、さっきの爆発、あれ、あなただったの?
:
ヴァネッサ:そうよ
:
カメリア:そうよって、なんでここにいるのよ!
:
ヴァネッサ:それは決まってるじゃない
ヴァネッサ:あなた達が勝負をしてる間に、ほら♪
:
0:宝石を見せるヴァネッサ
:
カメリア:それはシャラザード・・・盗(と)ってきちゃったの?
:
ヴァネッサ:まさか、
ヴァネッサ:返してもらったの
:
カメリア:いや、ものは言いようだけど・・・・
:
ヴァネッサ:それに、どうせ勝負はあなたが勝ったんでしょ?
ヴァネッサ:じゃ問題ないじゃない
:
カメリア:そりゃ、そうだけど
:
ヴァネッサ:それにしてもカメリア、「最後も私が勝つ」なんて言ってた割には随分ね。
ヴァネッサ:私が来なきゃ殺されるところだったじゃない
:
カメリア:ヴァネッサ・・・まさか、昨日の事、根に持ってる?
:
ヴァネッサ:そんなわけないじゃない
ヴァネッサ:さぁ逃げるわよ
:
ナレーション:銃弾の雨の中を走りながら会話をする二人
:
カメリア:でも、やっぱり
カメリア:ちょっとは根にもってるんじゃないの?
:
ヴァネッサ:しつこいわね、
ヴァネッサ:ここを出たところに車を止めてあるわ
:
カメリア:まぁいいわ、
カメリア:OK! 急ぎましょ
:
ナレーション:走る二人
:
カメリア:もう少しよ
:
0:ドカーン
:
ヴァネッサ:キャァ
:
ナレーション:ヴァネッサの近くで爆発があり、爆風の巻き添えを食らう、ヴァネッサ
:
:
:
カメリア:ヴァネッサ!
:
ナレーション:倒れるヴァネッサ
:
カメリア:邪魔よ
:
0:バキュンバキュン
:
ナレーション:追っ手を撃ち殺すカメリア
:
カメリア:ねぇ、ヴァネッサしっかりして、ヴァネッサ
:
ヴァネッサ:カメリア・・・ごめん、私・・・なんか・・・ドジふんじゃったわね
:
0:息も切れ切れのヴァネッサ
:
カメリア:ヴァネッサ、大丈夫?、しっかりして
:
ヴァネッサ:これを持って、あなただけでも逃げて
:
カメリア:何言ってるのよ、それはあなたが持ってて、一緒に逃げるわよ
:
ヴァネッサ:いいのよ・・・・もう駄目・・・みたい
ヴァネッサ:あなた・・・だけでも・・・
:
カメリア:ヴァネッサ
:
ヴァネッサ:あなたと、もう一度勝負してみたかったな・・・
:
カメリア:ヴァネッサ、もういい、喋らないで!
:
ヴァネッサ:あなたの胸の中で死ぬのも、案外悪くないかもね
:
カメリア:何言ってるのよヴァネッサ、さぁ帰りましょ
:
ヴァネッサ:最後に・・・あなたの・・・本当の気持ち・・・聞かせて・・・
:
カメリア:え?
:
ヴァネッサ:私の事、愛してた?
:
カメリア:こんな時に、何言ってるのよ
:
ヴァネッサ:もう・・・最後だから・・・お願い・・・聞かせて
:
カメリア:ヴァネ・・・え、ええ、愛してたわ・・・そんなんじゃなく、これからもずっとあなたの事を愛してるわ
カメリア:だから、生きて一緒にここから逃げましょ
:
ヴァネッサ:嬉しい・・・
ヴァネッサ:もう・・・一度・・・言って・・・段々声が遠くなって・・・
:
カメリア:ええ、何度でも言うわよ、だからヴァネッサしっかりして
:
ヴァネッサ:お願い・・・
:
カメリア:ヴァネッサ愛してる、愛してるわーーー
:
0:思いきり大きな声で叫ぶカメリア
0:
0:カチッ(レーコーダーを止める音)
:
ヴァネッサ:はい、いただきました♪
:
カメリア:え? レコーダー?・・・・って
:
ヴァネッサ:カメリア、お疲れ様
ヴァネッサ:あなたの気持ちはよくわかったわ
:
カメリア:ヴァネッサ・・あなた
:
0:ダダダダダダ
:
ナレーション:再び銃声が鳴り始める
:
ヴァネッサ:さぁ、逃げるわよ
:
ナレーション:再び、走りだす二人
:
カメリア:ったく、こんな時になにやってるの
:
ヴァネッサ:こんな時だからやったのよ
:
カメリア:どうしてよ!
:
ヴァネッサ:最後に勝つのがあなたでも、最後の最後に勝つのは私じゃなきゃイヤなの
:
カメリア:ヴァネッサ・・・やっぱり昨日の事、根に持ってるのね
:
ヴァネッサ:そりゃそうよ、負けるのイヤだもん
:
カメリア:ったく、かなわないわね
:
ヴァネッサ:フフフ
:
カメリア:フフフ・・・ハハハハハ・・・・
:
0:バキューン
:
ナレーション:銃声が鳴り、弾が近くの壁にあたる
:
カメリア:あっぶな
カメリア:とにかく、今は早くここから退散しましょ
:
ヴァネッサ:フフ そうね
:
カメリア:それじゃぁ、まぁ、逃げるわよぉ~
:
0:走り去る二人
:
: