台本概要

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タイトル ■話 ぼくたちのねこ
作者名 野菜  (@irodlinatuyasai)
ジャンル ホラー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 コワレテ、いたのは。


リアル狂気ホラーです。悲鳴はありませんが・・・
明るく騒がず、狂った演技をしたいときにどうぞ。
この世界に迷い込んでいる「ねこ」の話が『0話 ねことよばれて』になります。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
亜理子 39 コワレテイル女。原因は息子の有馬を亡くしたこと。庭でねこをひろってきた。
和馬 42 コワレテイル妻を愛している。息子の有馬を愛していた。ねこの世話以外の全ての家事を担当している。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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和馬:ああ、これで、最後か。 和馬:家の鍵を開ける。ドアノブの鍵、ドアの上部の鍵、ドアの下に追加した鍵。面倒だが、こうしないと妻が徘徊してしまう。 0: 和馬:ただいまー 亜理子:おかえりなさい、和馬さん! 和馬:……どうしたの、その子。 亜理子:庭に迷い込んできたねこよ!ねえ…飼ってもいいでしょう? 和馬:うーん。とりあえず、いろいろ確認してからにしないとね? 亜理子:えー。 0: 和馬:帰ると、妻の亜理子はねこと手をつないでいた。 0: 和馬:あのね。捨て猫でも勝手に自分のものにしちゃいけないんだよ。迷子かもしれない。そうでなくても、法律で決まっていていろいろ手順をふまないといけないんだ。 亜理子:でもこの子怪我してる。 和馬:……明日、病院に連れていく。今日は遅いし、動くのは明日からにしよう。 亜理子:よかった!さあ、いこうね~ねこ。 和馬:…………。 0: 亜理子:それじゃあ、とりあえずお風呂入ろうか。どろんこだもんね。 和馬:ひとりで大丈夫? 亜理子:ええ!有馬をお風呂に入れるの、和馬も見てるでしょ? 和馬:そうだったね。 亜理子:ああ、ごめんね、ねこ。あのね、この家にはもう一人お兄ちゃんがいるのよ。有馬っていう子なの。私たちの大切な息子よ。ちょっとおとなしすぎるけれど。 和馬:ずいぶんとおとなしいみたいだね、ねこ。 亜理子:それでも傷口にしみるみたい、痛そう…………。あとで包帯巻こうね。 和馬:入っても、いいかな。 亜理子:うん。ほら、さっきも会ったけど、パパだよー。 和馬:こうしてみるとけっこう重症だな。保険証があればな…………。 亜理子:どういうこと? 和馬:あ、ああ。忘れて。ごはん作ってくるからね。ちゃんと髪乾かすんだよ。できる? 亜理子:できる!ありがと。 0: 和馬:まず、病院の住所とタクシー代。タクシーは明日予約するとして…………。診断書、書かせられるかな。 亜理子:お風呂あいたよー。 和馬:ねこ、暴れたりしなかった? 亜理子:本当におとなしかった。やっぱり弱ってるのかなあ。 和馬:かもね。あ、服どうしたの。 亜理子:お兄ちゃんのおさがりがぴったりだったの! 和馬:そっか、とっておいてよかったな。有馬もお兄ちゃんなんて呼ばれる日が来るとはな………。 亜理子:ねー。あ、ごめんね待たせたかな。ごはん食べる? 和馬:食事は、ねこの分と一緒に机の上に置いてある。何食べるかわかんないけど、口も怪我してるかもだから好きにさせてあげて。 亜理子:はーい。 和馬:僕はちょっと電話してくるから。先食べてて。 亜理子:こんな時間に電話なんて珍しいね。 和馬:まあ事が事だからね。 亜理子:あ……行っちゃった。 亜理子:ねえねこくん、あーん。……ダメか。牛乳は……これも嫌?うーん。好きなの食べていいんだからね?和馬の…パパの料理おいしいよ?あ、そうだ私も食べないとね。 和馬:おまたせ。 亜理子:おかえり。今日もごはんおいしいよ~。 和馬:薄味にしたけど気にならなかった? 亜理子:私は全然!ねこは……見ての通り。 和馬:警戒してるんだろうね。とりあえずそのねこの捜索願は出てなかったし、今夜はここで過ごしてもらって、連絡を待とう。 亜理子:任せるよ~。 和馬:そこでなんだが…亜理子、久しぶりだけど外に出られそうかな?僕は他に行かなきゃならない所がいくつかあってね。これがタクシーの運転手さんに渡す封筒、こっちが受付さんに渡す封筒。お財布にお金は入れておく。 亜理子:おおお。おそと! 和馬:ねこの診断書を書いてもらうんだよ。できそう?後日僕が行こうか? 亜理子:それだとねこの怪我がなかなか治らないよ!私行く! 和馬:それと、封筒は開けちゃだめだからね。 亜理子:え?うん!わかった! 和馬:…………(ねこを見て溜息) 亜理子:ねこが、どうかした? 和馬:このロープは、しばらくしまっておこうか。 亜理子:あ!すっかり忘れてた!準備してくれたのにごめんね。 和馬:いいんだよ。ねこがきて亜理子、嬉しそうだし。 亜理子:有馬、怒ってるかな。今日そっちに行くって言ってたのに。 和馬:どうだろうね。そうだ、今日はもう有馬の着替え終わらせた? 亜理子:そうだった!ねこくん、ゆっくり食べてね。行ってきます! 0: 和馬:なあ。 和馬:君はどこから庭に入ったんだい? 和馬:庭と外は人が出入りできないようにしてあるはずなんだけど…………ねえ。教えてくれないかな。 和馬:…………君は本当にしゃべらないね。それに。 亜理子:和馬ー!ねこくん有馬の部屋に寝かせていいかなー? 和馬:いいよー。 和馬:…………あの日の有馬みたいだ。 0: 0:次の日の夜 和馬:今日はおでかけ頑張ったね。診断書ありがとう。…………左目の近くに大きな切り傷、体中に打撲、あざ。そして左腕骨折、と。 亜理子:お医者さんは安静にしてれば後遺症は残らないって。 和馬:僕は警察署、役所、学校に行ってきた。その子を探してるって話は聞かなかったよ。 亜理子:飼える?飼える? 和馬:とりあえず傷が癒えるまでは家にいてもらうにしても、ずっと飼うとなると大変かな。 亜理子:そっか……… 0: 亜理子:それから一か月くらい経った。ねこはだんだん慣れて、ごはんも食べるようになったし、だいぶ怪我も治ってきた。有馬にはなかなかなつかなかったけど、それでも怖がらないようにはなった。 亜理子:ん?ねこ、それ気になるの?それはね。お兄ちゃんの野球道具だよ。まだ骨折治ってないから危ないかな……ま、いいか。ボール、自由に遊んでいいからね。 亜理子:それじゃあ私、お兄ちゃんのお世話してくるから。いい子にしてるんだよ。 0: 0:ある夜の晩。和馬の布団の枕元。 和馬:夜中に、ふと、目が覚めた。枕元に立つ人影が、顔の見えない子供の影が、こちらを見ている。体が動かない。その子供は、左目のあたり、ぱっくりと、割れた頭蓋骨がのぞいている。 和馬:(嬉しそうに)久しぶりに、会いに来てくれたんだな。有馬。 和馬:有馬の亡霊は、壁をすりぬけて隣の部屋へと消えた。 0: 亜理子:おはよう、和馬さん。 和馬:…………亜理子? 亜理子:ああ、勝手に出しちゃってごめんね。タンスにしまっていた位牌とか、写真なんだけど。一緒に準備したらよかったね。 和馬:正気に。戻ったのか。 亜理子:あはは、そうだよね。どうかしてたよね。子供のマネキンを有馬だと思い込んだり、世話したり、有馬のこと探しに外に出て行っちゃったり。あの子が死んで…………九歳だったよね。 亜理子:もう五年近くも経つのにね。 和馬:僕はゆっくりと、振り慣れた、へこみのある金属バットを握る。 亜理子:昨日の晩ね、有馬が夢に出てきたの。狭い暗い所にしまわれて、きっと寂しかったよね。そういえば、ねこ、有馬に似てたような………。 和馬:そうかもしれないね。そういいながら愛しい亜理子の後ろに立つ。 亜理子:あ、そうそう。ねこって呼んでた男の子、さっき帰ったよ。ありがとうと………にげて、って言ってたかなあ。 和馬:僕は手に持っていた金属バットを振り上げた。

和馬:ああ、これで、最後か。 和馬:家の鍵を開ける。ドアノブの鍵、ドアの上部の鍵、ドアの下に追加した鍵。面倒だが、こうしないと妻が徘徊してしまう。 0: 和馬:ただいまー 亜理子:おかえりなさい、和馬さん! 和馬:……どうしたの、その子。 亜理子:庭に迷い込んできたねこよ!ねえ…飼ってもいいでしょう? 和馬:うーん。とりあえず、いろいろ確認してからにしないとね? 亜理子:えー。 0: 和馬:帰ると、妻の亜理子はねこと手をつないでいた。 0: 和馬:あのね。捨て猫でも勝手に自分のものにしちゃいけないんだよ。迷子かもしれない。そうでなくても、法律で決まっていていろいろ手順をふまないといけないんだ。 亜理子:でもこの子怪我してる。 和馬:……明日、病院に連れていく。今日は遅いし、動くのは明日からにしよう。 亜理子:よかった!さあ、いこうね~ねこ。 和馬:…………。 0: 亜理子:それじゃあ、とりあえずお風呂入ろうか。どろんこだもんね。 和馬:ひとりで大丈夫? 亜理子:ええ!有馬をお風呂に入れるの、和馬も見てるでしょ? 和馬:そうだったね。 亜理子:ああ、ごめんね、ねこ。あのね、この家にはもう一人お兄ちゃんがいるのよ。有馬っていう子なの。私たちの大切な息子よ。ちょっとおとなしすぎるけれど。 和馬:ずいぶんとおとなしいみたいだね、ねこ。 亜理子:それでも傷口にしみるみたい、痛そう…………。あとで包帯巻こうね。 和馬:入っても、いいかな。 亜理子:うん。ほら、さっきも会ったけど、パパだよー。 和馬:こうしてみるとけっこう重症だな。保険証があればな…………。 亜理子:どういうこと? 和馬:あ、ああ。忘れて。ごはん作ってくるからね。ちゃんと髪乾かすんだよ。できる? 亜理子:できる!ありがと。 0: 和馬:まず、病院の住所とタクシー代。タクシーは明日予約するとして…………。診断書、書かせられるかな。 亜理子:お風呂あいたよー。 和馬:ねこ、暴れたりしなかった? 亜理子:本当におとなしかった。やっぱり弱ってるのかなあ。 和馬:かもね。あ、服どうしたの。 亜理子:お兄ちゃんのおさがりがぴったりだったの! 和馬:そっか、とっておいてよかったな。有馬もお兄ちゃんなんて呼ばれる日が来るとはな………。 亜理子:ねー。あ、ごめんね待たせたかな。ごはん食べる? 和馬:食事は、ねこの分と一緒に机の上に置いてある。何食べるかわかんないけど、口も怪我してるかもだから好きにさせてあげて。 亜理子:はーい。 和馬:僕はちょっと電話してくるから。先食べてて。 亜理子:こんな時間に電話なんて珍しいね。 和馬:まあ事が事だからね。 亜理子:あ……行っちゃった。 亜理子:ねえねこくん、あーん。……ダメか。牛乳は……これも嫌?うーん。好きなの食べていいんだからね?和馬の…パパの料理おいしいよ?あ、そうだ私も食べないとね。 和馬:おまたせ。 亜理子:おかえり。今日もごはんおいしいよ~。 和馬:薄味にしたけど気にならなかった? 亜理子:私は全然!ねこは……見ての通り。 和馬:警戒してるんだろうね。とりあえずそのねこの捜索願は出てなかったし、今夜はここで過ごしてもらって、連絡を待とう。 亜理子:任せるよ~。 和馬:そこでなんだが…亜理子、久しぶりだけど外に出られそうかな?僕は他に行かなきゃならない所がいくつかあってね。これがタクシーの運転手さんに渡す封筒、こっちが受付さんに渡す封筒。お財布にお金は入れておく。 亜理子:おおお。おそと! 和馬:ねこの診断書を書いてもらうんだよ。できそう?後日僕が行こうか? 亜理子:それだとねこの怪我がなかなか治らないよ!私行く! 和馬:それと、封筒は開けちゃだめだからね。 亜理子:え?うん!わかった! 和馬:…………(ねこを見て溜息) 亜理子:ねこが、どうかした? 和馬:このロープは、しばらくしまっておこうか。 亜理子:あ!すっかり忘れてた!準備してくれたのにごめんね。 和馬:いいんだよ。ねこがきて亜理子、嬉しそうだし。 亜理子:有馬、怒ってるかな。今日そっちに行くって言ってたのに。 和馬:どうだろうね。そうだ、今日はもう有馬の着替え終わらせた? 亜理子:そうだった!ねこくん、ゆっくり食べてね。行ってきます! 0: 和馬:なあ。 和馬:君はどこから庭に入ったんだい? 和馬:庭と外は人が出入りできないようにしてあるはずなんだけど…………ねえ。教えてくれないかな。 和馬:…………君は本当にしゃべらないね。それに。 亜理子:和馬ー!ねこくん有馬の部屋に寝かせていいかなー? 和馬:いいよー。 和馬:…………あの日の有馬みたいだ。 0: 0:次の日の夜 和馬:今日はおでかけ頑張ったね。診断書ありがとう。…………左目の近くに大きな切り傷、体中に打撲、あざ。そして左腕骨折、と。 亜理子:お医者さんは安静にしてれば後遺症は残らないって。 和馬:僕は警察署、役所、学校に行ってきた。その子を探してるって話は聞かなかったよ。 亜理子:飼える?飼える? 和馬:とりあえず傷が癒えるまでは家にいてもらうにしても、ずっと飼うとなると大変かな。 亜理子:そっか……… 0: 亜理子:それから一か月くらい経った。ねこはだんだん慣れて、ごはんも食べるようになったし、だいぶ怪我も治ってきた。有馬にはなかなかなつかなかったけど、それでも怖がらないようにはなった。 亜理子:ん?ねこ、それ気になるの?それはね。お兄ちゃんの野球道具だよ。まだ骨折治ってないから危ないかな……ま、いいか。ボール、自由に遊んでいいからね。 亜理子:それじゃあ私、お兄ちゃんのお世話してくるから。いい子にしてるんだよ。 0: 0:ある夜の晩。和馬の布団の枕元。 和馬:夜中に、ふと、目が覚めた。枕元に立つ人影が、顔の見えない子供の影が、こちらを見ている。体が動かない。その子供は、左目のあたり、ぱっくりと、割れた頭蓋骨がのぞいている。 和馬:(嬉しそうに)久しぶりに、会いに来てくれたんだな。有馬。 和馬:有馬の亡霊は、壁をすりぬけて隣の部屋へと消えた。 0: 亜理子:おはよう、和馬さん。 和馬:…………亜理子? 亜理子:ああ、勝手に出しちゃってごめんね。タンスにしまっていた位牌とか、写真なんだけど。一緒に準備したらよかったね。 和馬:正気に。戻ったのか。 亜理子:あはは、そうだよね。どうかしてたよね。子供のマネキンを有馬だと思い込んだり、世話したり、有馬のこと探しに外に出て行っちゃったり。あの子が死んで…………九歳だったよね。 亜理子:もう五年近くも経つのにね。 和馬:僕はゆっくりと、振り慣れた、へこみのある金属バットを握る。 亜理子:昨日の晩ね、有馬が夢に出てきたの。狭い暗い所にしまわれて、きっと寂しかったよね。そういえば、ねこ、有馬に似てたような………。 和馬:そうかもしれないね。そういいながら愛しい亜理子の後ろに立つ。 亜理子:あ、そうそう。ねこって呼んでた男の子、さっき帰ったよ。ありがとうと………にげて、って言ってたかなあ。 和馬:僕は手に持っていた金属バットを振り上げた。