声劇台本置き場

マカロン：はぁ… ショコラ：あら、どうしたの？マカロンちゃん、溜息なんてついて マカロン：あぁ、うん…ちょっとね。行き詰まっちゃってて ショコラ：そうかしら？息が詰まってるどころか吐き出してる様に見えるわよ？ マカロン：いやぁ、物理的にじゃなくて…あの、あれ、天界新聞のぉ…小説のコーナー ショコラ：あら、それは大変ね マカロン：そうなんだよぉ…なんかさぁ、その、ある？ ショコラ：あるって何がかしら…お茶菓子でいいかしら？ マカロン：いや、その、アイデアとかさ ショコラ：うーん、力にはなってあげたいのだけれど、私は物書きさんじゃないから分からないわ。ごめんね マカロン：え、でも学生の時に部活でそういうの書いてなかったっけ？ ショコラ：書いてたけど先生に怒られちゃうレベルよ…？ マカロン：え…何書いたの？ ショコラ：大人の恋愛小説 マカロン：なんか変な事でも書いたの？ ショコラ：ううん、そんなことないわよぉ？ただ主人公とその恋人はヘビースモーカーと大酒飲みだったのよ マカロン：大人のってそういう… ショコラ：先生からは天界にそぐわない事書くなって言われちゃった マカロン：そうなんだ… ショコラ：茶菓子な話よね？ マカロン：…何が、おかしな話なの？ ショコラ：人間界の勝手なイメージを守る為に健康っぽくいなければならない所よ マカロン：あぁ、なんかそういうのは魔界ってイメージあるよね、魔界にも全面禁煙の店とかもあるのにねぇ ショコラ：…もう、いやになってきたわ…飲んでいいかしら？ マカロン：え、酒？ ショコラ：ううん、水 マカロン：ああ水ね ショコラ：チェイサーよ マカロン：呑んでんのか！？ ショコラ：本当はチェイサーの意味もちょっと違うのだけれど今日は大人しく大人らしく水に流されるわ…うふふっ、まるでトイレの吐瀉物ね マカロン：そんなに呑んでたらね… ショコラ：だからこれといったアイデアは出せないわねぇ マカロン：えー、なんでもいいからさぁ、お願いだよお…最近何考えてるとかでもいいからさぁヒントにしたいんよ ショコラ：うーん、困ったわねぇ…えーと、じゃあ、一を聞いて十を知るってことわざあるじゃない？ マカロン：あるね、人間達がよく言ってる ショコラ：アレ残りの九は妄想だと思わないかしら？ マカロン：確かに実際聞いたのは最初の一だけだもんね ショコラ：それと時間が止まるシリーズは九割ホントらしいわね マカロン：逆じゃない？九割ウソで一割ホントって聞いたよ？ ショコラ：あら、そうだったかしら？とにかく、これには何か共通点がある様な気がすると考えているのよ…なにかヒントになったかしら？ マカロン：…うーん、ごめん、わかんない ショコラ：そういえば、嘘にはほんの少し事実を混ぜるとバレにくいと言うわ マカロン：うん？ ショコラ：小説もフィクションで嘘だけれど、きっかけの一を事実にすれば残りの九を創作できるんじゃないかしら マカロン：事実って例えば？ ショコラ：それは…作者のマカロンちゃんが一番考えやすいと思うけど…そうねぇ、魔界にも全面禁煙店があるとか マカロン：その事実からどう膨らませばいいんだろう… ショコラ：うーん…なら逆転の発想で膨らませるのではなくて、しぼませてみたらどうかしら？ マカロン：え？ ショコラ：「え」じゃなくて「ら」よ？しぼませてみたらどうかしら、の「ら」 マカロン：……らぁ…んでしりとりになったんだろう… ショコラ：不思議ねぇ マカロン：で、萎ませるってなに？ ショコラ：そうねぇ…魔界にも一部禁煙スペースがあるとか、かしらね？ マカロン：表現のグレードを落とすって事？ ショコラ：もしくは内容を落とす？ マカロン：内容って言うと、文章中の禁煙を減煙にしたり健康運動週間に変えるとか？ ショコラ：そんな感じかしらね マカロン：うーん、イマイチ浮かばないー ショコラ：あ！ マカロン：どしたの？ ショコラ：気づいたのだけど、スモークの方の減煙と醤油をかけすぎない方の減塩ってどっちも同じ発音で健康的な共通点があるわね！ マカロン：あぁ…そうだね ショコラ：あら、冷たい反応、死んでるのかしら？タバコもソイソースも常温保存よ？アレ？開封後は冷蔵？ マカロン：生きてるよ ショコラ：ううん、感性が マカロン：…あー…死んでるのは共感性だけだよ ショコラ：明日には生き返るといいわねぇ マカロン：ソースっね ショコラ：…それでぇ、いいアイデアは浮かんだかしら？ マカロン：浮かびません…浮かばれないよ ショコラ：え？どういうことかしら…？ マカロン：ちょっ…と説明させないでよ、恥ずかしいから ショコラ：あら残念 マカロン：なんかキャラ変わってない？ ショコラ：酔ってるからかしら、うふふ マカロン：そうなんね ショコラ：ところで、どんな小説を書いてるのかしら？そもそもの内容を聞いていなかったわ マカロン：そうだねぇ、言語を使って文章形式の物語って感じの小説かな ショコラ：何一つ分からなかったわ マカロン：人はそれを小説と呼ぶかな ショコラ：そうね、そう思うわ マカロン：実はさ、小説の欄作ったからって任されたばかりでまだ書いてないんだよね ショコラ：え？ マカロン：「え」じゃなくて「ね」だよ、まだ書いてないんだよね、の「ね」 ショコラ：姉さん… マカロン：いつ姉になったんだろう…「ん」ついてるし ショコラ：なら、テーマもまだ決まってないのかしら？ マカロン：そうだね ショコラ：しりとりなんていいと思わない？ 0：マカロン、「え？」と聞き返す感じで マカロン：い？ ショコラ：そう、い。登場人物達の会話がしりとりになっているのよ マカロン：えぇ… ショコラ：で、しりとりは「り」から始まる事が多いでしょう？だから書き出しは「り」から始まるというのはどうかしら？ マカロン：「り」から始まるねぇ…り、り？りってなんだ…？ ショコラ：なんでもいいのよ。例えばリーズナブルな朝、目を覚ました。とか マカロン：あんまり冒頭からリーズナブルは聞いた事がないよ ショコラ：あ、リーズナブルって納得って意味で安いという意味は特に無いらしいわね マカロン：あ、そうなんだね ショコラ：リーズナブルはいいわよぉ？「る」で終わるからそれなりに強いし、「り」攻めにも対応できるし。他にもリサイクル、リバイバル…あとリキュールね マカロン：やっぱり酒じゃないか…ただ、聞いてる感じリサイクルとか面白そうな気がしてきた ショコラ：リサイクル始まりの小説ってどんなものになるのかしら マカロン：あ、いや、はじまりというよりテーマに ショコラ：小説の？ マカロン：うん、時間をリサイクルするって話 ショコラ：ＳＦや不思議系の話の匂いがして良いわね、寿命を引き換えに…みたいな感じで マカロン：そだね、だいたいその方向性。登場人物が後悔をタイムスリップで乗り越えて前向きにする的な ショコラ：いいわね、それ マカロン：実際にタイムスリップするか、本人の記憶にダイブする形にするかは、ちょっとまだ思いついた段階だからアレだけど。だからその…時間というか出来事や記憶をリサイクルって言った方が分かりやすいかもね ショコラ：うん、とてもいいと思うわ マカロン：ところで何が後悔してる事ってある？ヒントにしたいんだけど ショコラ：うーん、後悔ねぇ…お酒の失敗とかでいいかしら？ マカロン：あ、やっぱり？アルコールなのね ショコラ：あれは確か飲酒で「こうかい」してる時だったわ… マカロン：脱いだの！？早速公開して後悔してるじゃないか ショコラ：あらあら、違うわよ、この「こうかい」は高い会合と書いて高会、飲酒高会という…そうね、大規模な宴って感じの四字熟語ね マカロン：四字熟語より熟考した後悔の話が聞きたいんだけど… ショコラ：そうねぇ、塾講師気分はここまでにして…。と、いっても色々忘れてて次の日に人から教えて貰うばかりだからよく覚えていないのよね マカロン：そんなに飲むの？ ショコラ：それで沢山怒られたりしてるんだけど身に覚えが無さすぎて、寝耳に水に聞き流してるから何をやらかしたのかも覚えてないわ マカロン：なんて大人なんだ ショコラ：うふふ、大人ではあるけど完璧では無いもの、少し隙があるくらいの方が愛嬌があるでしょう？ マカロン：少し所か大分隙があるじゃなかろうかと ショコラ：略して大好きな愛嬌って事かしら？ マカロン：ううん、酔狂な人って事だと思う ショコラ：ふふ、その人はきっとヘビースモーカーね マカロン：それはさっきの小説じゃないか ショコラ：うふふ、小説は現実より奇なり。よ マカロン：逆…ぎゃく？うーん、酒絡んだらどっちにしろ…かぁ ショコラ：アルコールとアンコールって似てるわね マカロン：え、今更？これもしかして茶化されてる？ 0：茶化されてる？みたいな発音で ショコラ：茶菓子食べてる？ マカロン：茶菓子食べて、ぬ！ ショコラ：あらお茶菓子好きなのね マカロン：まぁ最近あまり食えてないからね。金欠で、食べられるものならなんでも ショコラ：じゃあオシャレに猫カフェなんでどうかしら？近所にできたからご馳走してあげる マカロン：お、人間の文化。いいね ショコラ：もう食べちゃいたいくらい可愛い猫ちゃんが美味しそうでね マカロン：え、猫たべるの？ ショコラ：食べないの？ マカロン：うん、食べないし、そういうところじゃない気がする ショコラ：あら、だって牛丼屋さんは牛丼を売ってるわよね？じゃあ猫カフェは猫ちゃんを提供してるのよ マカロン：そう…かなぁ ショコラ：それに人間は猫ちゃんを食べるって聞いた事あるわよ？ マカロン：まぁ、一部の場合はそうかもしれないけど…猫カフェは猫と戯れる感じのカフェだと思う ショコラ：猫ちゃん食べない？ マカロン：猫ちゃん食べない ショコラ：あぁ！もしかして猫派じゃなかったかしら？ マカロン：そうじゃないけどさぁ… 0：ワンちゃんと言いかけるところに食い気味で入る ショコラ：じゃあワン… マカロン：犬も食わないよ？ ショコラ：そ…んな夫婦喧嘩専用のＩＤを認証しなくても…それよりどこでもいいからご飯行きましょうよ マカロン：そだね、外の空気も吸いたくなってきたし ショコラ：あぁ、。それいいわねぇ マカロン：なにが？ ショコラ：うん、人間の文化で見たのだけれど、新年にビニール袋にパンパンに入った去年の空気を通販で売るらしいのよ マカロン：そうなんだ ショコラ：だからマカロンちゃん、これに、吹き込んで マカロン：何を？作者からの肉声メッセ－ジ？ ショコラ：あら？まだ何も書いてないじゃない ショコラ：ちがうの、この袋にマカロンちゃんの息を入れて欲しいのよ マカロン：売ると？今はため息しか出ないよ ショコラ：ええ、儲かりそうじゃない？元手ゼロだしマカロンちゃん可愛いから売れるわよ マカロン：まさか顔写真付き？ ショコラ：ええもちろんよ マカロン：…いやなんですけど ショコラ：いいじゃない！さぁググッとググッと！ 0：迫るショコラを引き剥がしながら マカロン：いやいやいやいや…ヤダってば！酒かよ！ ショコラ：まあまあそう言わないでっ、まずはＯＫシーンから 0：嫌がるマカロン。ポケットの携帯のバイブに気が付く マカロン：ＮＧもＯＫも出さないから！そもそもイヤなん…あ ショコラ：あら電話？ マカロン：うん、そうみたい、ちょっと出ていい？ ショコラ：どうぞ、この袋にね マカロン：電話は出るもんで出すもんじゃないから… 0：電話に出るマカロン マカロン：はい、もしもし。あ、お疲れ様です。はい…はい…進捗ぅ、あ、小説のですよね、はい…そうですね。このままのペースですと… ショコラ：うふふ… 0：マカロン、袋を持ったショコラを一瞬チラ見する マカロン：息、詰（づ）まりそうです。