台本概要
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タイトル | 新選組の台所 其の1 |
---|---|
作者名 | ねりね (@nerine_boikone) |
ジャンル | 時代劇 |
演者人数 | 4人用台本(男3、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
文久三年京都 人斬り集団と恐れられていた新選組の、何でもない日常のお話。 読み方の難しい漢字があります。事前に調べておくと読みやすいかなと思います。 セリフの偏りがあります。ご了承ください。 利用時の連絡は基本不要ですが、DM、リプなどでぜひ教えていただけたら嬉しいです。 大好きなお話なので、聞きに行きたいです!! この作品はフィクションです。実際の人物、団体とは関係ありません。 ですが、この台本で少しでも新選組に興味を持っていただけたら嬉しいです。 294 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
小梅 | 女 | 41 | 由井小梅(よしいこうめ) 新選組の屯所で給仕をしている。 天真爛漫という言葉を擬人化したように明るく純粋。 料理の腕は確かで、隊士たちの胃袋はがっちり掴んでいる。 逆らうと夕飯抜きになりかねないので、実は屯所で一番の権力者…かもしれない。 |
土方 | 男 | 28 | 土方歳三(ひじかたとしぞう) 新選組副長。鬼の副長と呼ばれている。 泣く子も黙る新選組の鬼副長として恐れられていた。 しかし、実は俳句を詠むことが好きだったり、 梅の花が好きだったりと意外と可愛い一面も持ち合わせている。 好きな食べ物はたくあん。 |
沖田 | 男 | 30 | 沖田総司(おきたそうじ) 新選組一番組組長。のんびりとした口調で、いつもニコニコしており掴みどころがない。 剣の天才と言われており、稽古になると人が変わったように厳しく指導をしている。 なお、手合わせをすれば新選組の中で最も強いとされている。 好きな食べ物は甘味で、近藤勇と一緒に食べる金平糖が好き。嫌いな食べ物はネギ。 |
斎藤 | 男 | 10 | 斎藤一(さいとうはじめ) 新選組三番組組長。無口で常に仏頂面だが、実は人見知りなだけで、慣れさえすれば 笑顔も見せるし、冗談も言う。ただ大真面目に冗談を言い放つため、信じてしまう者も多い。 剣の腕はなかなかのもので、新選組内で唯一、沖田に勝てる存在と言われている。 好きな食べ物は豆腐と蕎麦。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:文久3年京都
0:新選組は西本願寺に拠点を置いて生活をしていた。
0:厨(くりや)には早くから湯気がのぼり朝の訪れを知らせていた。
小梅:(今日はご飯に味噌汁…)
小梅:(昨日の余った食材は…)
沖田:おはようございます、小梅さん
小梅:あ、おはようございいます、沖田さん
小梅:(この方は、沖田総司さん。新選組一番組組長をしています。のんびりとした雰囲気ですが、剣の腕は確かだそうです。)
沖田:ん?なんですか?僕の顔をじっと見て…何かついています?
小梅:いえ、すみません。何もついてませんよ
沖田:ならよかった。先ほど顔を洗ってきたばかりですからね
小梅:そういえば、今日は随分と早起きなんですね
沖田:今、朝稽古が終わったところです
沖田:厨からいい匂いがしてきたので立ち寄りました。今日の朝餉はなんですか?
小梅:そう言うことでしたか。
小梅:今日は、白米に味噌汁、鯖の味噌煮ですよ
沖田:ふぅん…ちなみに、その味噌汁って…
小梅:はい、ちゃんとねぎが入っていますよ。
沖田:…ちゃんと…
小梅:ええ、ちゃんと。
沖田:ねぇ、
小梅:はい。
沖田:わかってます?
小梅:わかってますよ。
沖田:なら、
小梅:いいえ、いけません。好き嫌いはよくないので。
小梅:(そう、沖田さんはネギが大の苦手なのです。ほら、心底嫌そうな顔をしています)
沖田:………
小梅:大丈夫です。少なめに盛り付けますので、出された分は食べてくださいね
小梅:残したら、沖田さんでも許しませんよ
沖田:はぁあ…わかりました。
小梅:はい、それでは準備ができるまでもう少し待っていてくださいね。
沖田:少なめとか関係ないんだけどな…
小梅:何か?
沖田:なんでも。
小梅:(こうして私の一日は始まります。今日みたいに隊士の方が覗いてくれる時もあるんです)
小梅:(新選組は人斬り集団だと恐れられているようですが、意外とそうでもなかったりします)
小梅:(だってほら、人斬りがまさかネギ嫌いだなんて…誰も思わないですよね)
0:間
小梅:(基本的に台所仕事が私の仕事ですが、簡単な雑用も任されています。)
小梅:(今日は廊下の雑巾掛けです。西本願寺の廊下はとても長いので拭きごたえがあります)
小梅:あれ、あそこにいるのは…
小梅:土方さん、こんにちは。
土方:ん?ああ、小梅か
小梅:(この方は、新選組副長の土方歳三さん…そう、あの有名な新選組鬼の副長です。)
小梅:また眉間に皺が寄っていましたよ。何か考え事ですか?
土方:ああ、まあ…そんなところだな…
小梅:大変ですね…あ、お茶でも淹れましょうか。
土方:…そうだな…なら淹れてもらおうか
小梅:はい。お茶請けは何にしましょうか
土方:それはお前に任せる。
小梅:承知しました。少し待っていてくださいね。
小梅:(確か棚に、もなかがあったはず。お茶請けはそれにしよう)
小梅:(土方さんは熱いお茶が好き…考え事をしている時は特に熱いお茶がいいらしい…)
0:ささっとお茶を淹れて、土方の元へと運ぶ。
小梅:お待たせしました、土方さん。
土方:悪いな。
小梅:いえ、気にしないでください。ちゃっかり自分の分も持ってきているので。
土方:ふっ、そうか
小梅:はい、熱いので気をつけてくださいね。
土方:ああ、ありがとう。
0:縁側に腰掛け、ずずっとお茶を飲む。
小梅:…そういえば、何に悩んでいたんですか?
小梅:私でよければ、お話し聞きますよ。誰かに話すと、意外と簡単に解決するかも…
土方:…そうだな…
土方:まあ、そこまで大した話ではないのだが…
小梅:…ないのだが…?
土方:最近、稽古をしている隊士たちの気が緩んでいる気がしてな
小梅:…気が緩んでいる…
土方:目にあまるところがあったんで、聞き出したら…どうやら総司に原因があるらしい。
小梅:沖田さんですか?
土方:ああ、あいつは、剣の腕だけは確かだからな…
小梅:…えっと…隊士さんたちのやる気と、沖田さんの剣のうまさがどう関係して…?
土方:どうせやったって、総司には勝てない…と、やる気がなくなっていくらしい
小梅:…なるほど
土方:そんなのでは武士になれるはずがない…と思うが、まあ、気持ちがわからないわけではない…
土方:どうやってあいつらの士気をあげるか、と思ってな。
小梅:…なるほど…
小梅:…あっ、なら、こう言うのはどうですか?
土方:ん?
0:小梅がコソコソと土方に耳打ちをする
土方:…なるほど…お前らしい提案だな。
0:間
土方:それでは、一週間後「新選組総当たり戦」を行う。
土方:勝ち残ったものには…夕餉の決定権をやる。食材にかかる費用も考えなくていい。
0:ざわつく隊士たち…
小梅:(それもそのはず。夕餉にかかる費用を考えずに、好きな物を要望できるなんて今までなかったから。)
小梅:(これは私も、腕によりをかけて作らないとね)
沖田:小梅さん、土方さんに入れ知恵しました?
小梅:え?
沖田:あの鬼の副長があんなこと言い出すなんて…
小梅:ふふっ、さて、どうでしょうか
沖田:ねえ、斎藤くんはどう思います?
小梅:(沖田さんが声をかけた斎藤くん…斎藤一さんは新選組三番組組長をしている。)
小梅:(屯所内では負け知らずの沖田さんと、唯一肩を並べられるほどに剣が強いらしい)
斎藤:さあな。
小梅:(口数が少なく、表情も読みにくい斎藤さんは、少し怖いと感じる)
小梅:(沖田さんが言うには、人見知りをしているだけらしいけど)
沖田:でも、斎藤くんなら、土方さんが考えていることくらいわかるんじゃないですか?
斎藤:…聞いてどうする。
沖田:いいじゃないですか。
斎藤:……おそらく、隊士の士気をあげたいのだろう…
斎藤:最近、稽古に不真面目な者が増えていたからな
沖田:隊士の士気をあげたい…か。
沖田:負けるわけにはいきませんね
斎藤:…あたりまえだ。
小梅:(それから一週間、いつも以上に稽古場は賑やかで、隊士全員が絶対に勝ってやると意気込んでいた)
小梅:(恐るべし、夕餉のご褒美効果…正直こんなに効果があるとは思ってなかった)
0:そして、一週間後、総当たり戦当日…
土方:始めっ!!
小梅:(土方の号令と同時に木刀がぶつかる。)
小梅:(稽古場は熱気に包まれ、白熱した闘いが繰り広げられていた。)
小梅:(ご褒美があるからと言う理由はあるものの、隊士全員が真剣勝負をしている事実は、すでに土方の思惑通りだった。しかし、隊士たちの力虚しく、最後まで勝ち上がったのは沖田総司と斎藤一であった。)
沖田:あ、やっぱり斎藤くんでしたね
斎藤:ああ、俺もお前と当たると思っていた
沖田:ここまできたら、手加減なんてしませんからね
斎藤:…こちらも手を抜くつもりはない
土方:構え…
土方:……始めっ!!
小梅:(響き渡る木刀のぶつかる音。今までの比にならないくらいに激しい闘いを見せていた。)
沖田:斎藤くん、腕あげましたね!
斎藤:…話こけている暇はないぞ
沖田:やだな、それでも負けませんよ
斎藤:臨むところだ
0:間
土方:勝者、沖田総司
沖田:ふぅ…お疲れ様、斎藤くん
斎藤:…やはり、お前は強いな
沖田:何言ってるんですか
沖田:正直、今日はどちらが勝つか分かりませんでしたよ
斎藤:どうだかな
土方:…結局勝つのは総司か
沖田:え?なんですか、文句があるなら土方さんも僕とします?
土方:いいや、いい。ほら、夕餉の要望を出せ
沖田:…そうだなあ…僕、ネギが入ってなかったらなんでもいいんですね
土方:はあ?
沖田:なので、好きにしてください
土方:はぁあ??
沖田:だから、好きにしたらいいですよ。ほら、みんな頑張ってたんですから
沖田:隊士の士気をあげるのが目的だったんでしょう?
土方:なっ…!
沖田:それじゃあ僕は疲れたんで、一眠りしてきます
沖田:夕餉の準備ができたら起こしてくださいね
土方:……ったく…お前ってやつは…
土方:小梅
小梅:はい、夕餉の要望は何になりましたか?
土方:今日は宴会だ。
小梅:へ?宴会…?
土方:ありったけの酒とつまみを用意してくれ。
土方:ただし、ネギは入れるな
小梅:…!
小梅:はいっ!承知しました!
土方:この一週間、全員が真剣に稽古に励み当日を迎えていた。その心意気、忘れるな。
土方:今日は思う存分飲んで、食って、英気を養ってくれ。以上!
0:(湧き上がる歓声を背に、小梅は厨へと急ぐ)
0:
小梅:隊士のみんなが楽しい夜を過ごしていた。
小梅:きっと土方さんの悩みも解決しただろう。
小梅:沖田さんが、酔った土方さんにイタズラを仕掛けるのは、また別のお話。
0:文久3年京都
0:新選組は西本願寺に拠点を置いて生活をしていた。
0:厨(くりや)には早くから湯気がのぼり朝の訪れを知らせていた。
小梅:(今日はご飯に味噌汁…)
小梅:(昨日の余った食材は…)
沖田:おはようございます、小梅さん
小梅:あ、おはようございいます、沖田さん
小梅:(この方は、沖田総司さん。新選組一番組組長をしています。のんびりとした雰囲気ですが、剣の腕は確かだそうです。)
沖田:ん?なんですか?僕の顔をじっと見て…何かついています?
小梅:いえ、すみません。何もついてませんよ
沖田:ならよかった。先ほど顔を洗ってきたばかりですからね
小梅:そういえば、今日は随分と早起きなんですね
沖田:今、朝稽古が終わったところです
沖田:厨からいい匂いがしてきたので立ち寄りました。今日の朝餉はなんですか?
小梅:そう言うことでしたか。
小梅:今日は、白米に味噌汁、鯖の味噌煮ですよ
沖田:ふぅん…ちなみに、その味噌汁って…
小梅:はい、ちゃんとねぎが入っていますよ。
沖田:…ちゃんと…
小梅:ええ、ちゃんと。
沖田:ねぇ、
小梅:はい。
沖田:わかってます?
小梅:わかってますよ。
沖田:なら、
小梅:いいえ、いけません。好き嫌いはよくないので。
小梅:(そう、沖田さんはネギが大の苦手なのです。ほら、心底嫌そうな顔をしています)
沖田:………
小梅:大丈夫です。少なめに盛り付けますので、出された分は食べてくださいね
小梅:残したら、沖田さんでも許しませんよ
沖田:はぁあ…わかりました。
小梅:はい、それでは準備ができるまでもう少し待っていてくださいね。
沖田:少なめとか関係ないんだけどな…
小梅:何か?
沖田:なんでも。
小梅:(こうして私の一日は始まります。今日みたいに隊士の方が覗いてくれる時もあるんです)
小梅:(新選組は人斬り集団だと恐れられているようですが、意外とそうでもなかったりします)
小梅:(だってほら、人斬りがまさかネギ嫌いだなんて…誰も思わないですよね)
0:間
小梅:(基本的に台所仕事が私の仕事ですが、簡単な雑用も任されています。)
小梅:(今日は廊下の雑巾掛けです。西本願寺の廊下はとても長いので拭きごたえがあります)
小梅:あれ、あそこにいるのは…
小梅:土方さん、こんにちは。
土方:ん?ああ、小梅か
小梅:(この方は、新選組副長の土方歳三さん…そう、あの有名な新選組鬼の副長です。)
小梅:また眉間に皺が寄っていましたよ。何か考え事ですか?
土方:ああ、まあ…そんなところだな…
小梅:大変ですね…あ、お茶でも淹れましょうか。
土方:…そうだな…なら淹れてもらおうか
小梅:はい。お茶請けは何にしましょうか
土方:それはお前に任せる。
小梅:承知しました。少し待っていてくださいね。
小梅:(確か棚に、もなかがあったはず。お茶請けはそれにしよう)
小梅:(土方さんは熱いお茶が好き…考え事をしている時は特に熱いお茶がいいらしい…)
0:ささっとお茶を淹れて、土方の元へと運ぶ。
小梅:お待たせしました、土方さん。
土方:悪いな。
小梅:いえ、気にしないでください。ちゃっかり自分の分も持ってきているので。
土方:ふっ、そうか
小梅:はい、熱いので気をつけてくださいね。
土方:ああ、ありがとう。
0:縁側に腰掛け、ずずっとお茶を飲む。
小梅:…そういえば、何に悩んでいたんですか?
小梅:私でよければ、お話し聞きますよ。誰かに話すと、意外と簡単に解決するかも…
土方:…そうだな…
土方:まあ、そこまで大した話ではないのだが…
小梅:…ないのだが…?
土方:最近、稽古をしている隊士たちの気が緩んでいる気がしてな
小梅:…気が緩んでいる…
土方:目にあまるところがあったんで、聞き出したら…どうやら総司に原因があるらしい。
小梅:沖田さんですか?
土方:ああ、あいつは、剣の腕だけは確かだからな…
小梅:…えっと…隊士さんたちのやる気と、沖田さんの剣のうまさがどう関係して…?
土方:どうせやったって、総司には勝てない…と、やる気がなくなっていくらしい
小梅:…なるほど
土方:そんなのでは武士になれるはずがない…と思うが、まあ、気持ちがわからないわけではない…
土方:どうやってあいつらの士気をあげるか、と思ってな。
小梅:…なるほど…
小梅:…あっ、なら、こう言うのはどうですか?
土方:ん?
0:小梅がコソコソと土方に耳打ちをする
土方:…なるほど…お前らしい提案だな。
0:間
土方:それでは、一週間後「新選組総当たり戦」を行う。
土方:勝ち残ったものには…夕餉の決定権をやる。食材にかかる費用も考えなくていい。
0:ざわつく隊士たち…
小梅:(それもそのはず。夕餉にかかる費用を考えずに、好きな物を要望できるなんて今までなかったから。)
小梅:(これは私も、腕によりをかけて作らないとね)
沖田:小梅さん、土方さんに入れ知恵しました?
小梅:え?
沖田:あの鬼の副長があんなこと言い出すなんて…
小梅:ふふっ、さて、どうでしょうか
沖田:ねえ、斎藤くんはどう思います?
小梅:(沖田さんが声をかけた斎藤くん…斎藤一さんは新選組三番組組長をしている。)
小梅:(屯所内では負け知らずの沖田さんと、唯一肩を並べられるほどに剣が強いらしい)
斎藤:さあな。
小梅:(口数が少なく、表情も読みにくい斎藤さんは、少し怖いと感じる)
小梅:(沖田さんが言うには、人見知りをしているだけらしいけど)
沖田:でも、斎藤くんなら、土方さんが考えていることくらいわかるんじゃないですか?
斎藤:…聞いてどうする。
沖田:いいじゃないですか。
斎藤:……おそらく、隊士の士気をあげたいのだろう…
斎藤:最近、稽古に不真面目な者が増えていたからな
沖田:隊士の士気をあげたい…か。
沖田:負けるわけにはいきませんね
斎藤:…あたりまえだ。
小梅:(それから一週間、いつも以上に稽古場は賑やかで、隊士全員が絶対に勝ってやると意気込んでいた)
小梅:(恐るべし、夕餉のご褒美効果…正直こんなに効果があるとは思ってなかった)
0:そして、一週間後、総当たり戦当日…
土方:始めっ!!
小梅:(土方の号令と同時に木刀がぶつかる。)
小梅:(稽古場は熱気に包まれ、白熱した闘いが繰り広げられていた。)
小梅:(ご褒美があるからと言う理由はあるものの、隊士全員が真剣勝負をしている事実は、すでに土方の思惑通りだった。しかし、隊士たちの力虚しく、最後まで勝ち上がったのは沖田総司と斎藤一であった。)
沖田:あ、やっぱり斎藤くんでしたね
斎藤:ああ、俺もお前と当たると思っていた
沖田:ここまできたら、手加減なんてしませんからね
斎藤:…こちらも手を抜くつもりはない
土方:構え…
土方:……始めっ!!
小梅:(響き渡る木刀のぶつかる音。今までの比にならないくらいに激しい闘いを見せていた。)
沖田:斎藤くん、腕あげましたね!
斎藤:…話こけている暇はないぞ
沖田:やだな、それでも負けませんよ
斎藤:臨むところだ
0:間
土方:勝者、沖田総司
沖田:ふぅ…お疲れ様、斎藤くん
斎藤:…やはり、お前は強いな
沖田:何言ってるんですか
沖田:正直、今日はどちらが勝つか分かりませんでしたよ
斎藤:どうだかな
土方:…結局勝つのは総司か
沖田:え?なんですか、文句があるなら土方さんも僕とします?
土方:いいや、いい。ほら、夕餉の要望を出せ
沖田:…そうだなあ…僕、ネギが入ってなかったらなんでもいいんですね
土方:はあ?
沖田:なので、好きにしてください
土方:はぁあ??
沖田:だから、好きにしたらいいですよ。ほら、みんな頑張ってたんですから
沖田:隊士の士気をあげるのが目的だったんでしょう?
土方:なっ…!
沖田:それじゃあ僕は疲れたんで、一眠りしてきます
沖田:夕餉の準備ができたら起こしてくださいね
土方:……ったく…お前ってやつは…
土方:小梅
小梅:はい、夕餉の要望は何になりましたか?
土方:今日は宴会だ。
小梅:へ?宴会…?
土方:ありったけの酒とつまみを用意してくれ。
土方:ただし、ネギは入れるな
小梅:…!
小梅:はいっ!承知しました!
土方:この一週間、全員が真剣に稽古に励み当日を迎えていた。その心意気、忘れるな。
土方:今日は思う存分飲んで、食って、英気を養ってくれ。以上!
0:(湧き上がる歓声を背に、小梅は厨へと急ぐ)
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小梅:隊士のみんなが楽しい夜を過ごしていた。
小梅:きっと土方さんの悩みも解決しただろう。
小梅:沖田さんが、酔った土方さんにイタズラを仕掛けるのは、また別のお話。