台本概要

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タイトル ツミビトバディ 13 悪夢が終るまで
作者名 野菜  (@irodlinatuyasai)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 世界は、長い年月の後に、今や魔法がすべての生活を支える世界に変化していた。
しかし、世界は変われども人間はたいして変わらない。

そんな中、立ち上がった義勇軍。
春夏秋冬、それぞれ二人のリーダーがバディとして率いる集団だ。彼らの目的はーーー国滅ぼし。
数多を犠牲にした喜劇は、ゆっくりと終わりに向かう。
全シリーズを通して8人キャラが登場します。人数変更、兼ね役大歓迎です。
忘れないこと、命を生かすこと。のどかすぎる世界に恐怖して支え合う夏組の後日譚。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
七津 不問 25 孤児院のスタッフ。すべてを、おぼえている。
ヒセン 不問 24 孤児院のスタッフ。すべてを、おぼえている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:昼食を子供たちに食べさせて、ナナツとヒセンは休憩に入った。 0:庭のベンチに腰掛けて空を仰げば、穏やかに雲が流れる。 七津:ボスから先生に。 七津:義勇軍から孤児院のスタッフへ。 ヒセン:役者だよなあ、あの人も。俺たちも。 七津:あの人……先生は、相変わらず分からない人だ。 ヒセン:死ぬたびに中身が入れ替わってる、って言われても驚かねえよ。 七津:私は義勇軍での日々を覚えている、と思いたいな。 七津:今のあの人は冬川をよみがえらせようとしているのだろう? ヒセン:人体実験が好きなのは変わってないな。 七津:変わらない、といえばさっきの昼食の2人だが。 ヒセン:ハルヒとヒナタか。 ヒセン:仕掛けたのはあの人か、アキか。まあ誰かしらちょっかいかけたよな。 七津:初々しかったな。 七津:記憶を失うとああも若々しい反応ができるものか。 ヒセン:年寄りかよ。 七津:年寄りだよ。 0:穏やかな、生ぬるい風が髪を揺らす。 ヒセン:お前ここの生活慣れた? 七津:苦痛だ。 ヒセン:だよなあ。 七津:君はなつかれていなかったか?私は怖がられているが。 ヒセン:昨日なんか、腕がひんやりしてて気持ちいいとか言われたんだぞ。 ヒセン:いつガキどもにゾンビだとバレるかすっげー怖いわ。 七津:あー……。鋭いものだな、子供とは。 0:木々のざわめきや穏やかな日差し。 0:それがとても、現実とは受け入れられなくて。 七津:我々は、子供たちを愛していいのだろうか。 ヒセン:何、お前愛情とかこの期に及んでいうわけ。 ヒセン:今まで、あれだけの大虐殺をしておいて。 七津:それこそ罪滅ぼしをしろというなら努力するさ。 七津:しかしあの人のことだからな……。 七津:明日にでも、モルモットだ戦争だと言い出しそうで。 ヒセン:それこそ今更だろ。 七津:達観してるな。 ヒセン:ほぼ100年も仕えていりゃあなあ。 七津:……あの日、私の首を落としただろう。 ヒセン:そうだな。 七津:次やる時は事前に教えてくれ。 ヒセン:もうやらねえって。 七津:君の間の抜けた表情を見て終わり、というのも愉快な最期だろう? ヒセン:そんな理由なのかよ。 七津:笑いのない人生なものでな。 ヒセン:お前けっこう笑ってると思うけどな。 七津:そうか? ヒセン:………2ミリくらい? 七津:それは本当に笑顔なのだろうか。 ヒセン:それで、なんで1か月も経ってから掘り返してきたんだ? 七津:この平和な暮らしが辛い。 ヒセン:…………。 七津:悪夢なんだ。苦痛から逃れる術を、私は死と殺ししか知らない。 七津:……ここでは、生かし、守らねばならないから。 ヒセン:お前まだ良心なんてもの持ってたんだな。 七津:君は捨てたとでも? ヒセン:捨てられたら、いいのにな。 ヒセン:おかげさまで、最初に死んだあの日から、俺の世界はずっと悪夢だよ。 七津:……悪夢を見ていたのが、私独りでなくてよかった。今更か。 ヒセン:今更だな。 七津:他のものも、悪夢を見ているのだろうか。 ヒセン:誰よりも悪夢を作り出してるのは俺らだよ。 七津:そういうものか。 ヒセン:そういうもんだよ。 七津:…………我々は、年寄り臭いな。 ヒセン:年寄りだろ。 0:食事の時間が終ったのだろう。 0:2体の動く死体を、遊びに誘う声に顔を向ける。 0:無垢な子供たちが、孤児院の窓から顔を出した。

0:昼食を子供たちに食べさせて、ナナツとヒセンは休憩に入った。 0:庭のベンチに腰掛けて空を仰げば、穏やかに雲が流れる。 七津:ボスから先生に。 七津:義勇軍から孤児院のスタッフへ。 ヒセン:役者だよなあ、あの人も。俺たちも。 七津:あの人……先生は、相変わらず分からない人だ。 ヒセン:死ぬたびに中身が入れ替わってる、って言われても驚かねえよ。 七津:私は義勇軍での日々を覚えている、と思いたいな。 七津:今のあの人は冬川をよみがえらせようとしているのだろう? ヒセン:人体実験が好きなのは変わってないな。 七津:変わらない、といえばさっきの昼食の2人だが。 ヒセン:ハルヒとヒナタか。 ヒセン:仕掛けたのはあの人か、アキか。まあ誰かしらちょっかいかけたよな。 七津:初々しかったな。 七津:記憶を失うとああも若々しい反応ができるものか。 ヒセン:年寄りかよ。 七津:年寄りだよ。 0:穏やかな、生ぬるい風が髪を揺らす。 ヒセン:お前ここの生活慣れた? 七津:苦痛だ。 ヒセン:だよなあ。 七津:君はなつかれていなかったか?私は怖がられているが。 ヒセン:昨日なんか、腕がひんやりしてて気持ちいいとか言われたんだぞ。 ヒセン:いつガキどもにゾンビだとバレるかすっげー怖いわ。 七津:あー……。鋭いものだな、子供とは。 0:木々のざわめきや穏やかな日差し。 0:それがとても、現実とは受け入れられなくて。 七津:我々は、子供たちを愛していいのだろうか。 ヒセン:何、お前愛情とかこの期に及んでいうわけ。 ヒセン:今まで、あれだけの大虐殺をしておいて。 七津:それこそ罪滅ぼしをしろというなら努力するさ。 七津:しかしあの人のことだからな……。 七津:明日にでも、モルモットだ戦争だと言い出しそうで。 ヒセン:それこそ今更だろ。 七津:達観してるな。 ヒセン:ほぼ100年も仕えていりゃあなあ。 七津:……あの日、私の首を落としただろう。 ヒセン:そうだな。 七津:次やる時は事前に教えてくれ。 ヒセン:もうやらねえって。 七津:君の間の抜けた表情を見て終わり、というのも愉快な最期だろう? ヒセン:そんな理由なのかよ。 七津:笑いのない人生なものでな。 ヒセン:お前けっこう笑ってると思うけどな。 七津:そうか? ヒセン:………2ミリくらい? 七津:それは本当に笑顔なのだろうか。 ヒセン:それで、なんで1か月も経ってから掘り返してきたんだ? 七津:この平和な暮らしが辛い。 ヒセン:…………。 七津:悪夢なんだ。苦痛から逃れる術を、私は死と殺ししか知らない。 七津:……ここでは、生かし、守らねばならないから。 ヒセン:お前まだ良心なんてもの持ってたんだな。 七津:君は捨てたとでも? ヒセン:捨てられたら、いいのにな。 ヒセン:おかげさまで、最初に死んだあの日から、俺の世界はずっと悪夢だよ。 七津:……悪夢を見ていたのが、私独りでなくてよかった。今更か。 ヒセン:今更だな。 七津:他のものも、悪夢を見ているのだろうか。 ヒセン:誰よりも悪夢を作り出してるのは俺らだよ。 七津:そういうものか。 ヒセン:そういうもんだよ。 七津:…………我々は、年寄り臭いな。 ヒセン:年寄りだろ。 0:食事の時間が終ったのだろう。 0:2体の動く死体を、遊びに誘う声に顔を向ける。 0:無垢な子供たちが、孤児院の窓から顔を出した。