台本概要
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タイトル | CROWN |
---|---|
作者名 | 佐久間ユタカ (@sakusaku_yutaka) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 6人用台本(男3、女1、不問2) |
時間 | 50 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
■完全に金銭が発生する場の利用はDMまでご連絡下さい ※課金・投げ銭がある配信アプリ可のためご安心ください ※お断りすることはありませんが動画投稿使用時はDMまで事前にご一報ください ■モチベに繋がるためTwitterで呟いていただけると視聴に飛んでいけるため聴けたらとても嬉しいです! ※強制ではありません ■感想やリクエスト等ございましたらTwitterのDMまたはリプにていただけるととても嬉しいです ■一人称変更◎語尾変更◎ ※演者様の性別問いません 1423 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ほむら | 女 | 96 | 強く気高い。二刀流の短刀。姉御。 |
かい | 男 | 115 | 優しい。武術全般。頑張り屋。 |
はやて | 不問 | 78 | 天才。ライフル。裏切るやつ。ツンデレ。 |
あおい | 男 | 87 | 部隊長。オールラウンダー。適当だけど頼りになる |
ヒスイ | 不問 | 72 | 猫の獣人。愛嬌がある。 |
こうや | 男 | 57 | かいの兄。N(ナレーター箇所あり)。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:CROWN
0:【ほむら】・・・強く気高い。二刀流の短刀。
0:【かい】 ・・・優しい。武術全般。
0:【はやて】・・・天才。ライフル。
0:【あおい】・・・部隊長。オールラウンダー。
0:【ヒスイ】・・・努力家。猫の獣人。
0:【こうや】・・・かいの兄。
0:表記説明・・・【 】内は状況説明の為読み上げ不要です
0:
あおい:なあ、ヒスイ。
ヒスイ:はい!なんですか?”あるじ様”!
あおい:昨晩、双葉(ふたば)学園に現れた巡夜(めぐりよ)からの招いてねえお客様、のことなんだが。
ヒスイ:確か、ランクは1にも満たない下級のツァイテだとか。
あおい:ああ、雑魚(ざこ)だった。常陸家(ひたちけ)が討伐に向かって一瞬でおだぶつしたさ。
ヒスイ:常陸家は由緒あるお家だと”あるじ様”が言っていましたよね!やはりその腕は確かですね!
あおい:我が古雅家(こがけ)の次に歴史が長い一族だからな。
ヒスイ:その常陸家(ひたちけ)がどうかしたんですか?
あおい:いや、常陸家(ひたちけ)はどうもしねーんだ。
ヒスイ:と、言いますと?
あおい:ランクが1以下の雑魚(ざこ)共が何故人間界に入って来れるんだ?ってな。
ヒスイ:・・・た、確かに。
あおい:古雅家(こがけ)の歴代(れきだい)頭首共(とうしゅども)が結界を厳重に張っているはずなんだ。
ヒスイ:はい、僕は”あるじ様”からそうお聞きしました!
あおい:考えられる要因は二つだ。
ヒスイ:二つ?
あおい:一つ、結界が破られた。そして二つ目は・・・
ヒスイ:二つ目、は・・・
あおい:こちら側の人間が招き入れている。だな。
ヒスイ:そんな!!!それは、さすがに考え過ぎだと・・・!!
あおい:俺だって仲間を疑いたくはねえよ。
ヒスイ:つまり、僕に・・・監視をしろ、ということですね。
あおい:察してくれたか。
ヒスイ:はい。”あるじ様”が僕に仕事の話を持ってくる時は大概(たいがい)僕にしか出来ない事をさせたい時ですからね!
あおい:さすがだな。
ヒスイ:伊達(だて)に6年も一緒にいませんから!
あおい:おまえ、まだ5歳だろ。
ヒスイ:一週間後が誕生日ですから!もう6歳のようなものです!
あおい:・・・はっ、なんだそれ。相変わらず変な奴だ。
ヒスイ:そんな変な僕を拾ったのは”あるじ様”なんですから、なーんにも言えませんよ?
あおい:はいはい。そうだなー。そうでしたー。
ヒスイ:あ!バカにしてる!”あるじ様”!
あおい:ハハッ、怒るなよ。饅頭(まんじゅう)みたいな顔になってんぞ。
ヒスイ:えっ!?さっきババのお饅頭黙って食べちゃったから!?
あおい:黙って食ったのか。おまえ、ババに殺されるぞ。
ヒスイ:だって・・・・・僕に食べてほしそうにお饅頭さんが見てくるから。
あおい:ハハッ、バーッカ。人の饅頭食う元気あるならきっと余裕だろうさ、任務として、この件任せたぞ。
ヒスイ:はい!分かりました!そのかわり・・・任務が無事成功したら町で一番人気のメロンパン買ってくれますか?
あおい:おねだりとは随分と偉くなったな。
ヒスイ:い、いやっ!!!!・・・言ってみただけです・・・。
あおい:ったく、無事成功したら、な。
ヒスイ:わーーーーーーーーーーい!!!!!”あるじ様”大好きです!
あおい:はいはい。任せたぞ、毎回言ってるが、あの状態で人間と喋るなよ。
ヒスイ:はい!重々承知でございます!それでは、行ってまいります!!!
0:
こうや:【N】双葉学園、高等部校舎
0:
ほむら:確か、ここらへんだったと思うんだよな。
ほむら:【M】ランクでいうとマイナスクラスのツァイテだった。それなのに、センサーに反応したのはランク8以上。父上(ちちうえ)たちはセンサーの故障だと言ってはいたが・・・
ほむら:この胸騒ぎはなんだ・・・?
かい:あれ?確か君は・・・常陸家(ひたちけ)のお頭(かしら)様じゃないですか?
ほむら:うわあ!び、びっくりしたあ・・・!!驚かすなよ!
かい:ご、ごめんなさい!何か調査でしたか?昨晩常陸家(ひたちけ)が討伐(とうばつ)していましたよね。
ほむら:あ、ぁあ。少し気になる事があってな。・・・悪いがおまえ、どこの者だ?名は?
かい:自己紹介もせず失礼しました!霧生家(きりゅうけ)次男、霧生香衣(きりゅうかい)と申します。
ほむら:見ない顔だ。
かい:討伐経験はここ2ヶ月のみですからね、常陸家(ひたちけ)長女ほむら様の噂はかねがね、兄から聞いておりました。
かい:僕と同じ年にも関わらず齢(よわい)十の頃から最前線で討伐にあたっていたと。
ほむら:兄、というと。霧生家(きりゅうけ)長男こうや、のことだな。そうか、おまえ、あいつの弟か!
かい:はい!兄上は霧生家(きりゅうけ)の跡継ぎ。僕も兄に早く追いつけるよう修行の日々でございます。
ほむら:そうか~そうだったんだな~~~!おまえの兄とはよく実践を踏まえ、共に修行を積んだ仲だ!いや~弟が私と同じ年だということは聞いていたが、こんな形で会う事になるとはなあ!
かい:ほむら様はとても聡明(そうめい)な方だとお聞きしておりましたが、実際に会ってみますと違うものですね。素敵でございます。
ほむら:世辞(せじ)はいらねーよ!それより、何でこんなところにおまえはいるんだ?
かい:あ、そうでした!!!!!実は兄上に特訓をしていただこうと思いまして。
ほむら:自宅で出来るじゃないか。
かい:自宅だと、母上が心配するんですよね。
ほむら:あぁ・・・、確か、霧生家(きりゅうけ)の奥方(おくがた)は戦闘を好まないとおまえの兄も嘆(なげ)いていたな。
かい:そうなんですよ、怒ってくれたらいいものの、泣かれてしまうとどうにも。
ほむら:苦労するな。
かい:ほむら様に比べたら平気ですよ!
ほむら:そうだ!私もその特訓、付き合ってもいいか?
かい:ほむら様がですか!?それは、有難いですが!お時間が勿体ないと・・・!
ほむら:問題ない、稽古をつけてやろう。昨日から動き足りなくてな。ちょーど良かった。
かい:あ、ありがとうございます!それでは、早急(さっきゅう)に道着(どうぎ)に着替えて参りますので高等部道場にてお待ちくださいませ!追い掛けますね!
ほむら:りょーーかい!また後でな!
かい:はい!!!!
こうや:【N】中等部前
ヒスイ:【M】やーっぱり、変化(へんげ)しちゃうとまだ小さいんだよなあ。
ヒスイ:【M】”あるじ様”にはいつも大きくなったって言われるけど、ボクはもっと”あるじ様”を乗せて歩けるくらい大きくなりたいのになあ・・・って、ダメダメ!任務に集中しないと!
はやて:【欠伸】ふわぁぁ・・・だる。
ヒスイ:【M】ん?あれは・・・観月家(みづきけ)の三男坊はやて様だ!うわ!お正月以来!覚えてるかなあ、僕の事!
あおい:【回想】その姿で喋るなよ。
ヒスイ:【M】・・・っと!危ない危ない”あるじ様”の言いつけ早速(さっそく)破る所だった。あんな所で”はやて様”なにやってるんだろう・・・?
はやて:なんでこーも、だるいかな。
かい:あれ?はやて?
はやて:やぁ、霧生(きりゅう)。
かい:こんな所で会うなんて珍しいね。
はやて:そうだね
かい:聞いてよ!俺、常陸家(ひたちけ)のお頭(かしら)、ほむら様に会ったんだ!
はやて:へぇ。
かい:あれ?はやて、ほむら様のこと知らない?
はやて:そんなわけないでしょ、超秀才の超有名人じゃん。僕等凡人とは住む世界が違う。
かい:俺もさっき初めて会ったんだけど、聞いてた話しとはまったく違った。気高くて優しい人だった!
はやて:はぁ、なんか、いっつも思うけどさ、霧生(きりゅう)、キミは一体どうなりたいの?
かい:・・・どうゆうこと?
はやて:キミ、霧生家(きりゅうけ)の次男。分かる?二番目。君が頭首(とうしゅ)になることはないんだよ、どんなに頑張ったって無理。次男ってのは、産まれた瞬間に二番って烙印(らくいん)つけられちゃってるわけ。
かい:そんなの。分かってるよ。
はやて:いいや?分かってないよ。見ててイライラしてくるんだよね。何が生きがいで何が幸せなわけ?それともただのバカ?
かい:そっ、そんな風に言わなくたっていいだろ!!!
はやて:言い返せないあたりが、ねえ?
かい:俺にとっての幸せは・・・。
はやて:・・・言えないんだよね。ただ流されて周りと同じことしてれば安心だもんね。でも、僕はそーゆーの、無理。
かい:それじゃあ・・・はやて、おまえはどうしたいんだよ。
はやて:ん~~~?楽しんだもん勝ち?
かい:どうゆう意味だ
はやて:ねえ、霧生(きりゅう)。例えばの話しをしようか。例えばね、君の兄がもし死んだら、どうする?どう思う?君はきっと正式な後継者になるわけだよ。
かい:やめろ
はやて:ふふっ・・・。考えたことない?君の大好きな兄上様の位置に自分がいること。
かい:そんなの、ありえない。
はやて:それじゃあ。ゲームをしようか。
かい:ゲーム?
はやて:そ。ゲーム。僕が君の兄を殺せたら、僕の勝ち。殺せなかったら、君の勝ち。僕等二人どちらが正しいのか、証明してみない?
かい:バカなこというな!
はやて:さ、ものは試しでしょ?あいつらも暴れたくて仕方ないって感じだし。
かい:あいつら?
ヒスイ:【M】ま、まさかっ
はやて:さあ、でておいで。巡夜(めぐりよ)の住人たち。封(ふう)、縛(ばく)、解(かい)!
かい:”はやて”!!!結界を、といたのか・・・?!
ヒスイ:【M】た、た、大変だ・・・!!は、早く”あるじ様”に伝えなきゃ!!!!
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こうや:【N】場所かわり、あおいの家
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あおい:・・・結界が、破られたか。
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ヒスイ:あるじ様!!!
あおい:報告はいい、分かってる。
ヒスイ:はやて様が!!!結界を解かれました・・・!
あおい:一刻を争う。俺が行こう。他の者には知らせるな。
ヒスイ:結界が解かれたということは、各討伐部隊(かくとうばつぶたい)の方々も異変に気付くのでは、と。
あおい:時間稼ぎをしておけ。コトは俺が片付ける。
ヒスイ:危険です!
あおい:かまわん。
ヒスイ:ぅう・・・・あるじ様の思うままに。努めます。
あおい:任せたぞ。
0:
こうや:【N】双葉学園高等部道場にて
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ほむら:久しぶりだなー!こうや!元気か?
こうや:ぼちぼち、それより。何で”ほむら様”がここへ?
ほむら:おまえの弟と高等部前で偶然会ってな!あに・・・おまえと訓練するって言うから私も混ぜてもらおうかと思ったんだ!いいだろ?
こうや:”かい”が喜ぶのならそれでいい。
ほむら:相変わらず弟大好きだなー!
こうや:別に。
ほむら:照れんなよー!
こうや:相変わらず”ほむら様”はうざいくらい元気ですね。
ほむら:そう褒めるなよ!
こうや:・・・褒めてないんだけど。
ほむら:ん?この殺気・・・。おい、なんか変だぞ。
こうや:そうみたいだな。
ほむら:一つじゃねえな、三つ、いや十は超えてる。
こうや:くるぞ。
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こうや:【N】双葉学園中等部前
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かい:”はやて”!!!おまえ、自分が何をしたか分かってるのか?!
はやて:うるさいなあ。別に、いいじゃん。一気にお掃除出来て。ご飯食べてる時も眠ってても勉強してる時も毎回毎回敵が出たら出動して討伐(とうばつ)。疲れないの?
はやて:それだったら一気に巡夜(めぐりよ)に攻め込んで潰しちゃったほうがラクなのに。
かい:そんな事を言ってるんじゃない!
はやて:あー・・・うざい。大体、さっき言った事忘れちゃったわけ?
かい:さっき言った事?
はやて:君の兄上が死んだら君は霧生家(きりゅうけ)の跡継ぎになるんだよ。
かい:・・・おまえっ!!
はやて:別に、問題ないでしょ。血のつながりなんてない兄上なんて。
かい:な、なんでそれを知ってるんだよ?!
はやて:僕をなめないでよ。なんでも知ってるよ?なーんでも。
はやて:ほーんと、かいって可哀相。僕に同情されてるんだからもーっと可哀相。君が慕う兄上様が養子になんて来なかったら、君は跡継ぎだったのに。
かい:幼少、体の弱かった俺を懸念しての親の判断だ。
はやて:でも、現にその君を想った判断が君を苦しめている。
かい:・・・そんなこと、今話している時間はない!俺は兄上の所へ。
はやて:ふふっ。行ってきなよ。
かい:”はやて”には悪いけど、俺はおまえが・・・嫌いだ。
0:
はやて:僕もだよ、かい。
0:
こうや:【N】高等部道場にて
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かい:兄上!!!!ほむら様!!!ご無事ですか!!!!
ほむら:お?おせーぞ!かい!
かい:え?
ほむら:折角おまえに実践形式で稽古つけようと思ったのにさー!
かい:こ、これは・・・一体、どういう・・・。
ほむら:おまえの事待ってたらいきなりツァイテ共が湧いて来たんだ
ほむら:昨日の一件で暴れ足りなかったから私としてはちょーど良かったんだけどさー雑魚(ざこ)相手は疲れるよ本当。
こうや:瞬殺だったよ、俺の出る幕はほぼなかった。
かい:兄上!お怪我は?!
こうや:問題ない。かい、おまえは大丈夫か?
かい:は、はい!それより!今すぐここを離れましょう!兄上は今狙われております!
ほむら:なに?こうやが?どういうことだ?
かい:それが、ここでツァイテが出現した理由にも深く関わっているのです。とにかく、危険です!兄上の命が狙われているのですから!
ほむら:待て、誰がこうやを狙うんだ?!
はやて:僕だよ。
かい:はやて・・・!
はやて:ツァイテにしては頑張ってもらったけど、やーっぱり美味しい所を貰うのはこの、僕。
かい:兄上!逃げてください!!!!
はやて:バイバイ。兄上様。
ほむら:なぜ仲間内で・・・させるか・・・!!!!!
はやて:僕の弾の方が速いよ。
かい:兄上えええええ!!!!!!!!!!
0:【間】
あおい:残念だったな。俺の方が、速かったみたいだ。
かい:・・・隊長殿。
はやて:な、んで、隊長がここに・・・あまりにも知らせが早すぎる。
ヒスイ:ま、間に合いましたね、”あるじ様”!
はやて:お・・・おまえか・・・!!!!
ヒスイ:ひゃう!こ、怖いですううう!
かい:兄上!!!!ご無事ですか!!!!
ほむら:こうや!!貴様、なぜ逃げなかった!!!!!
かい:え?
あおい:あぁ、おまえ程であれば容易だっただろう。ピクリとも動かなかったな。
かい:兄上?どういうことですか?
こうや:・・・。
かい:なぜ何も言ってくれないのですか!!
あおい:はやて、おまえ何か知ってるな?
はやて:な、なんだよ。睨んだって僕は何も知らないよっ!
ヒスイ:それじゃあ、おまえが勝手にツァイテを率いてほむら様たちを襲わせたってことでいいんだな!
はやて:ふん。それでいいんじゃない?
ほむら:良いわけあるか!!
はやて:・・・っ!?
かい:ほむら様
ほむら:はやて、全てを説明しろ。じゃなきゃ私が今すぐにおまえを殴る。
はやて:うっ・・・そ、れは・・・嫌だ。
ほむら:話せ。
はやて:で、でも・・・。
こうや:いいよ。俺が話そう。
かい:兄上・・・?
こうや:すまない。嫌な役を引き受けさせた。
はやて:別に・・・あんたに頼まれなきゃやってないよ。
こうや:俺が”はやて”に頼んだ。今回の首謀者(しゅぼうしゃ)は、俺だ。
かい:えっ?
こうや:俺は・・・、霧生家の当主を務める器ではない。謙遜(けんそん)ではない。
こうや:ずっと感じていたことだ。ただ、身体の弱い”かい”のかわりに養子となった自分の使命を全うしなくてはいけないとも思っていた。
かい:兄上、何を・・・。
こうや:しかし、おまえは俺や父上達の予想を遥かに上回るほどに努力を重ねた。身体も強くなったな。
こうや:それは俺がよく知っている、ずっとおまえを見ているからな。だから分かる、おまえが苦しんでいる事も。
ほむら:かいは一体何に苦しんでいた
はやて:こうや兄の存在だよ。
こうや:あぁ。俺がいる限り、”かい”はどんなに努力を重ねても報われることはない。かい自身、口には出さないが、分かる。
ほむら:その話と、今回の事はどう関係があると言うんだ?
こうや:結びつくだろ?
あおい:死のうとしたんだな。こうや。
ほむら:なっ?!
こうや:あぁ。
はやて:僕は、”かい”が哀れだった。だから”こうや兄”に協力することにしたんだ。
ほむら:はやて、貴様。実の兄のように慕っていた”こうや”を殺すことになっても、か。
はやて:迷いはなかったよ。
こうや:”はやて”なら必ず協力してくれると思った。俺のことを実の兄のように慕ってくれている反面、こいつは人一倍優しい。
こうや:その優しさで”かい”の気持ちを一番分かっているはずだと。勿論、俺の気持ちを汲んでくれると。
あおい:つまり、自分がこの世を去れば、”かい”は頭首(とうしゅ)に任命される。このご時世(じせい)とはいえ、数百年前から続くお家柄上(いえがらじょう)順番に逆らうことは出来ないからな。
こうや:あぁ。一番自然だと思った。
かい:そ、そんなこと・・・僕が嬉しいと?それで、僕が喜ぶと?
こうや:喜ぶ、喜ばないの話しではないんだ。
かい:それでも!!!
こうや:いいんだ。俺は・・・疲れたんだ。
かい:兄上!!
こうや:すまなかった。おまえへの思いが交差しすぎた結果だが、ただ、一番最初に戻るだけ。
こうや:血は逆らえない。自然の流れに身を任せるだけ、それが正しい形だと、俺は思う。
かい:兄上・・・。
こうや:殺せ。
ほむら:ふざけるのも、大概にしろ!
かい:ほむら様?
ほむら:【キレながら泣く】貴様は、ただ逃げるのか!何のために養子に入ったその日から修行を積んだ?!
ほむら:努力を重ねたのは、”かい”だけではないはずだ!・・・こうや、おまえもだろうが!
はやて:泣いてる・・・?
こうや:ほむら。泣くな。
ほむら:【キレながら泣く】泣いてなどいない!むしろ腹が立っている!いいか、よく聞けこの大馬鹿者どもが!
ほむら:かいは貴様を見て努力を重ねてきたのではないのか!?貴様は、最初に戻るだけだと、自然の形が正しいと言ったな。
ほむら:違う!正しいことなんて存在しない!何より、時を戻すこともやり直す事も、出来るわけがないだろう!
こうや:・・・っ
はやて:そんなの。分かってるよ。
ほむら:いいや、分かっていない!そんなことを言ったら全てを恨むことになる!
ほむら:なぜ自分たちがこんな宿命を背負っているのかと!なぜ世界は二つなのかと!おまえらの言っている事は・・・無意味だ。
はやて:それじゃあ、こうや兄はどうすれば良かったんだよ!
あおい:立ち向かえ。気に食わないことがあれば掴みかかれ。食い下がれ。たとえ、どんなルールが立ち塞がっていようと、俺らに出来ることはそれだけだ。
ほむら:綺麗事に聞こえるか?ハッピーエンドを誰だって望む。人々が笑って生きる世界を私は守りたい。なあ、こうや。貴様が守りたいものは、なんだ?
こうや:・・・かいが、生きやすい世を。
かい:兄上!!それは、兄上がいなければ、成り立ちません・・・!
こうや:俺は、間違っていたのか・・・
かい:・・・それ、は・・・っ
あおい:誰だって正解ばかり選べるわけがねぇ。俺も、ほむらも、そしておまえもな。
あおい:けれど死んだらそこまで。正解か不正解か分からないままだ。間違っていたのかと思うのであれば生きるんだな。自分の目で答えを見に行け。
ほむら:私は、もっと、もっと力をつける。長く共にしている友の悩みすら気づけなかった。
あおい:今回の件は俺が何とかしてやる。
はやて:僕たちはどうなるの
あおい:兄弟喧嘩だ。そこにたまたまツァイテが現れただけ。だろ。
こうや:なんだと・・・?
かい:兄弟・・・喧嘩・・・
あおい:ほむら。手伝え。後始末だ。
ほむら:おう、任せろ!
ヒスイ:僕も!お供します!
あおい:あとは、話し合え、おまえらでな。
かい:は、はい・・・
こうや:・・・くっ。隊長!ほむら様!・・・恩に、きます・・・。
あおい:おう。
ほむら:・・・日を改めて、特訓、やり直しな!
かい:は、はい!
0:
こうや:【N】双葉(ふたば)学園校門前
0:
ほむら:っ。ひっく、う・・・ぅう・・・
あおい:いい加減、泣きやまないかね、おまえ。
ヒスイ:ほむら様って、こんなに泣き虫でしたっけ?
ほむら:お、おまえに言われたくねー・・・ううう。
ヒスイ:むむっ!なんですかー!
あおい:・・・はぁ。こいつはガキの頃から泣き虫だ。人前では強がってばかりだがな。
ヒスイ:へ~意外と女の子らしいんですね!
ほむら:う~意外とって、余計だこのバカネコ~
あおい:まあ、そろそろおまえにもしっかりしてもらわねーとだしな。そろそろ、泣き止めこのバカが!
ほむら:うわ!いってー!!殴る事ないだろーが!
ヒスイ:あるじ様・・・かい様たちは、大丈夫でしょうか・・・。
あおい:ヒスイ、そんな顔するな。大丈夫だあいつらは。大丈夫な環境を作ればいいんだ
あおい:ほん、っと、歴史が長いと上層部はお堅い頭の奴等ばっかで嫌になるが、時代はきっと変わる。
ヒスイ:あるじ様が現隊長である事がなによりの証明です。
あおい:あぁ、こうやの気持ちは、分かる。
ほむら:どうゆうことだ?
ヒスイ:あるじ様は古雅家(こがけ)に養子で入られたのですよ!
ほむら:え?!
あおい:話してなかったっけっか?
ほむら:聞いてねえ!
あおい:表で見えるものが全てとは限らない、でも、見えるから信じやすいし、そう見られるのは仕方ないんだ。
あおい:他人に見えないもの、でも、自分に見えるもの、それが自分でも見えなくなっちまったら人は道に迷う。
ヒスイ:自分が何を思い、どうしたいのか、ですね。
あおい:あぁ、それさえハッキリしてりゃ、道が例えどんなに別れていようがしっかり前向いて歩けるさ。
ヒスイ:僕は”あるじ様”の事が大好きだからずっと傍にいたいです!
ほむら:はっ!よくまあ、そんな恥ずかしい事が言えるなあ、おまえ。
あおい:ほむら、おまえもこのくらい素直になれ。
ヒスイ:そうですよ!常陸家(ひたちけ)の頭首(とうしゅ)なんですから!隊長に大好きの一つくらい!
ほむら:言えるかあぁぁ!
0:
こうや:【N】双葉学園高等部道場にて
0:
かい:兄上、僕は正直・・・なんで自分が頭首(とうしゅ)になれないのかと、確かに自分の人生を悔いていました。本来ならば、と。兄上が言った通り、自然の流れで僕が頭首になるはずだった、と。
こうや:・・・ぁあ。
かい:”はやて”にも痛い所を突かれました。今まで誰にも言えなかった寧(むし)ろ自分でも気づかないようにしていた自分自身の醜(みにく)い心に。
こうや:・・・ぁあ。
かい:そんな自分が小さくて恥ずかしいです。自分が何なのか、どうしたいのか、それは自分の身の振り方で決めることが出来るんだと、痛感しました。
かい:兄上は、馬鹿です、大馬鹿です。命に・・・、命に代わるものは何も無いというのに。
こうや:すまなかった
かい:兄上は、ずっと、ずっと、一人で努力を重ねてきた!投げ出せる時はいつでもありました!よく分かります!機会は今までもたくさんあったはずです!
かい:なのに、なぜ、今更こんな・・・
こうや:・・・かい、俺は、おまえが頭首(とうしゅ)になれば良いと思っている。本心だ。情けを掛けているつもりはない。時が来た、それだけなんだ。
はやて:かいを頭首にするんだったら、こうや兄はどうするの?もう僕の手は貸さないよ。
こうや:そうだな、さすがに迷惑は掛けないよ。
かい:それなら、やはり兄上が頭首のままで
こうや:星稜家(せいりょうけ)に戻ろうと思う。
はやて:え?
かい:それは・・・霧生家(きりゅうけ)を出るということですか・・・?
こうや:そうなるな。
かい:嫌です!!兄上ではなくなってしまうなんて!!
こうや:元からおまえの兄ではない。ゼロに戻るだけだ。
かい:そんな・・・。
こうや:血のつながりなど関係なくおまえは俺のことを兄と呼んでくれた。ならば俺が霧生家(きりゅうけ)を出たとしても、俺と”かい”が過ごした時間はなくならないのではないか?
こうや:兄弟というのは、どんな立場や距離があっても成立するものだと。そう、思う。
かい:兄上・・・。分かりました。僕の兄上は、”霧生こうや”ただ一人です!例えどんなに離れていようと・・・僕は兄上を、誇りに思います。
こうや:ありがとう。そして、はやて。
はやて:ん?
こうや:かいを、頼んだ。
はやて:え!?
こうや:おまえがいれば、安心だ。
はやて:えー・・・僕、こいつ嫌い。
かい:なっ!?
こうや:ふっ、素直になる必要があるのはおまえだな、はやて。
はやて:う、うっさい!
こうや:かい。はやてはおまえのことを誰よりも分かっている、そして一番におまえの力になってくれるだろう。
こうや:何かあったら必ず、はやてを頼れ。それでも問題が解決できない時は俺を呼んでくれ。
かい:はい!必ず!
はやて:泣いて頼みこんできたら、力貸してやってもいいよ。
かい:おまえはーっ!
はやて:ふふっ。ラクにいこーよ。かい。
こうや:かい、本当に、すまなかった。そして、ありがとう。
かい:兄上。これからも、僕の目指す頭首としてあり続けてください。霧生家(きりゅうけ)、星稜家(せいりょうけ)の誇りとして。
こうや:あぁ、その誇り、もう二度と捨てないさ。
0:
こうや:【N】常陸家(ひたちけ)稽古場(けいこば)
ヒスイ:ほむら様ー!いますかー?
かい:たあぁっ!!やぁっ!・・・うぉりゃあ!
ほむら:おっ!いいぞ!・・・まだまだぁ!!
ヒスイ:ありゃりゃ?あれは~かい様?そっか、確か週に2回常陸家(ひたちけ)に通ってほむら様に稽古をつけてもらっているとか、あるじ様言ってたなぁ。
かい:くっ!こ、ここだあああ!
ほむら:甘い!うおおりゃあああ!
かい:う、うわああ!
ヒスイ:あちゃーやっぱ、ほむら様にはまだ敵わないかあ。
かい:いってて。やっぱ、まだまだだなあ・・・。
ほむら:ん?ヒースイ!そんなとこで見てないでこっち来いよ!
ヒスイ:あ!す、すみません!失礼します!
ほむら:なんかあったのか?
ヒスイ:あるじ様からの伝令をお伝えに参りました!
ほむら:ほう。内容は?
ヒスイ:はっ!本日をもって、常陸家(ひたちけ)頭首、常陸ほむらを討伐部隊(とうばつぶたい)部隊長に任命するとのこと!こちらが隊長の証の紋章(もんしょう)でございます。
ほむら:そうか。これは・・・どうすればいいんだ?
ヒスイ:そちらを左腕にはってください!
ほむら:お、おう。
あおい:かの者を第91代目、討伐部隊(とうばつぶたい)部隊長に任命することを前部隊長(ぜんぶたいちょう)古雅(こが)あおいが命ずる。
ほむら:なっ?!ヒスイの口からあいつの声で?!って、あっつ!
ヒスイ:ふう、完了です!
ほむら:なんだったんだ?って、あ!?腕に、紋章が、焼き付いてる。
ヒスイ:これが、討伐部隊、部隊長の証でございます。
かい:あ、あの。つまり、ほむら様は隊長になられたということですよね。
ヒスイ:そうゆうことですね。
かい:元隊長様は
ヒスイ:それは
ほむら:・・・
かい:ま、さか、この前の兄上と”はやて”の起こした件で責任を負ったのでは?
ヒスイ:そ、れは
あおい:ヒスイこらぁ!おまえいつまで任命式やってんだ!
ヒスイ:ひゃう!あるじ様!
かい:た、隊長!
あおい:かい、隊長じゃなくて、元・隊長な。
かい:あ、あの!僕等のせいで、もしかして
あおい:あ?
ほむら:ぷっ、あっはっはは!
かい:え?ほむら様?
ヒスイ:あ!申し訳ありません、かい様!言葉が足りませんでした!あるじ様は部隊長を退任しましたが
あおい:異動、ってやつだ。
かい:え?
ほむら:いやぁ、苦しかった!笑いこらえるの!
かい:ほ、ほむら様?どういうことですか!もしかして、騙そうとしましたね!
ほむら:ははっ、怒るなよ~ついな。つい。安心しろ、こいつはあんな事で今まで築き上げてきた功績をチャラにするようなタマじゃぁない
あおい:今日から俺は双葉(ふたば)学園の教員として総本部の責(せき)に就(つ)くことになった
ヒスイ:先生ってやつですね
あおい:そうだ。結局上の奴等からしても、俺が巡夜(めぐりよ)に近い位置にいる事が一番安全だ、と。最前線だな。俺としては願ったり叶ったりだ。
ほむら:おまえが先生か。世も末だな。
あおい:その生意気な口は成績をあげてから言えよ、隊長が馬鹿だと示しがつかねぇからな。
ほむら:なんだとー!
あおい:っと、俺はこんなとこで時間使ってる余裕ねーんだ、行くぞ、ヒスイ!
ヒスイ:は、はい!
あおい:かい!霧生家頭首就任、おめでとう。
かい:ありがとうございます!先日、就任式を終え、未熟ですがいつか必ず隊長の力になれるよう精進します!
あおい:おまえなら出来るさ。
ヒスイ:僕も、そう思います!
あおい:おまえに言われてもなぁ。
ヒスイ:むぅーーー!
あおい:ははっ、んじゃ、邪魔したな。
ヒスイ:それでは!失礼します!
ほむら:・・・騒がしい奴らだ。
かい:ほむら様は、部隊長就任の件はもう知っていたのですか?
ほむら:あぁ、知っていたさ。私が名乗り出たんだからな。試験もあるんだぞ?
かい:そうだったんですか!おめでとうございます!!
ほむら:常陸家(ひたちけ)だけではなく、全ての者を守らなければいけない責任だ。重いぞ、この紋章は。
かい:きっと、守るものが出来る瞬間の荷ほど重い物はないのでしょうね。僕は霧生家の頭首の座についてから、本当に重くて仕方がないのです。
ほむら:踏ん張って耐えるしかないんだ。
かい:そうですね。
ほむら:こうやはもう四国に着いた頃か?
かい:はい!昨晩連絡が来ました!
ほむら:寂しいだろう?
かい:・・・はい。でも!兄上は星稜家(せいりょうけ)で一からやり直すと。僕も覚える事がたくさんで、寂しがっている暇などありません!
ほむら:しかしまあ、良かったな、父と母の許しが出て。
かい:元から、優しい両親です。兄上は夏に遊びに来てくれると約束をしてくれました!
ほむら:良かったな!
かい:はい!
0:
こうや:【N】二ヵ月後
0:
ヒスイ:あるじ様。大丈夫でしょうか?
あおい:あぁ。とりあえず使ってみて、だな。
ヒスイ:大ジジ様方がお怒りでは?
あおい:あいつらは隠居(いんきょ)してるようなもんだ、最前線の俺らに文句は言わせねーよ。
ヒスイ:それにしても、なぜあの三人をチームに?
あおい:ヒスイ。覚えてるか?”はやて”は一度、巡夜(めぐりよ)の結界を解いたことがある。
ヒスイ:は、はい!ふた月前のこうや様とはやて様の件でしたね!
あおい:あぁ、そうだ。この結界をちょっと教わっただけで解くなんてことは、不可能だ。
ヒスイ:つまり、それは・・・はやて様が・・・
あおい:あいつは天才だ
ヒスイ:だとしても、気を自由に使うこととあの三人のチームにどんな関係が?
あおい:それは、これからのお楽しみだ
ヒスイ:あー!また一人で楽しそうなことを考えてますね!ずるいー!!
0:
こうや:【N】常陸家(ひたちけ)道場
0:
はやて:ちょっと、待って!!!!!
ほむら:なんだ?
はやて:こんなの、聞いてない!
ほむら:言ってないからな。
かい:僕は嬉しいよ
はやて:おまえには言ってない!!!!
ほむら:はぁ、そんな怒らなくてもいいだろ。見苦しい。
はやて:うぅ・・・、なんで、僕が・・・討伐部隊に入らなきゃいけないわけっ?!?!
ほむら:知るか!!!あおいが言ったんだ!あいつに言え!
はやて:しかも、チームがここって・・・なに?悪意?
かい:僕はほむら様と”はやて”と同じチームですっごく嬉しいよ!!
はやて:あ~~~~うざい・・・。
ほむら:私もすっごく嬉しいぜ!かい!
はやて:大体、何で僕が兄上たちを差し置いて討伐部隊・部隊長殿のチームに入らなきゃいけないの?元隊長様は一体何を考えてるんだか・・・。
ほむら:ま!はやては前科があるからな!私の目の届く所に置いておくためだろう!
はやて:・・・それを言われると何も言えないんだけど。
ほむら:そうだ、あおいが言ってたぜ。
あおい:少しはおまえの力をお家(いえ)のために使ってみろ
ほむら:ってな!
はやて:・・・・・はぁ。なんだかなぁ。
かい:頑張ろうよ、はやて!
はやて:ま、”かい”がヘマしたらフォローしてあげる。
かい:ありがとな!
ほむら:おまえら、何やかんや仲直り出来たみたいで良かったよ!
はやて:僕は別に喧嘩した記憶はないよ、先に嫌いって言ったのは”かい”だしね。
かい:んぐっ、そ、それは!”はやて”が酷い事ばっかり言うからだろ、自業自得だ!
はやて:あーあー嫌いって言われたままでさ~何気に僕傷ついてるんだよねぇ、ほら見た目の通り、僕、繊細だから。
かい:せん、さい・・・?
はやて:一件落着~はい、めでたし、めでたし~って雰囲気じゃん?でもさぁ、僕、かいから謝罪とかなーんにもないんだよねぇ
かい:た、確かに・・・
ほむら:なんだ、はやて。可愛いところあるんだな
はやて:え?
ほむら:私はてっきり、”かい”が”はやて”のことを慕っているとばかり思っていたが、違うんだな!”はやて”が”かい”のことを好きということか!
はやて:は、はぁ?!?!なに言ってんの?!
ほむら:今の話を聞いていると、おまえが”かい”と仲直りしたくて仕方がない、というように聞こえるぞ
はやて:ば、ばっ、ば、ばっかじゃないの!!!
かい:あはははは、ほむら様はやっぱり、素敵です
はやて:なんなのほんと・・・も~~~
0:
あおい:揃ったな
0:
ほむら:あおい、おせーよ
かい:あおい様!
はやて:あー嫌な予感するー!
あおい:気を引き締めろ、任務を言い渡す
ほむら:了解
かい:承知しました
はやて:なんなりとぉ・・・
あおい:これから巡夜(めぐりよ)へ行く
ほむら:なに?!
あおい:拡大した入り口の封鎖を行う。はやて、おまえの力でな。寄ってたかるであろう虫共は”ほむら””かい”両名で対処。以上だ。
はやて:任務で巡夜に行くなんて聞いたことないよ!!
あおい:文句があるのか?大体、おまえが練習だといって”こうや”を襲撃する以前から何度も勝手に扉を広げていたことで
あおい:緩くなった隙間からツァイテが人間界に侵入して来てた、ってこと、忘れたわけじゃぁねえよな?
はやて:・・・その節は大変申し訳ありませんでした。
ほむら:しかし、危険過ぎるんじゃないか、私たちはまだこのチームで任務をこなしたことはないんだ。
あおい:こんなの序の口だ
ヒスイ:あるじ様、さすがにスパルタすぎると僕も思っちゃうのですが
あおい:はぁ・・・。いいか、まだ発表はされてないが、半年後に巡夜(めぐりよ)と人間界の代表が同じルールで争うことになった。人間界からの代表はおまえたちだ。
あおい:その時に巡夜に行くから、まぁ、早い段階から空気だけでも慣れておいた方がいいと思ってな
ほむら:はぁ?!?!
かい:争う?!え?!
はやて:凄く大事なことさらっと言ったよね?!
あおい:拒否権はない
ほむら:あおい、ちなみに・・・その、大会の詳細はなんだ?
あおい:簡単に言うとな、巡夜にとある物が隠されるからそれを見つけたチームが勝ちっていう、宝探しだ。可愛いもんだろ。
かい:あ、宝探し・・・それ、なら・・・
あおい:必ず勝ってこい。負けたら死ぬと思え。
かい:死っ?!
はやて:何で子供の僕たちが?!
あおい:勝てば争いはなくなる。和平(わへい)が結べるんだ。
はやて:じゃぁ大人が出ればいいじゃん!
あおい:向こうの条件が子供だったんだよ。
かい:・・・和平が結べたら皆幸せになるよね。
あおい:前代未聞になるな
ほむら:分かった。争いをなくすために、決まったことであるならば・・・正々堂々と勝ちを掴み取るのみ。
ほむら:まずは目の前のことから、だな。かい。はやて。今回の任務をさばきに行くぞ!私について来い!
あおい:覚悟が早くて助かる。
かい:・・・は、はい!
はやて:了解隊長殿・・・。
あおい:巡夜(めぐりよ)の扉を開けるぞ、いいか、30分で戻って来いよ。
ほむら:分かった。
0:
ほむら:あ、行く前にもう一つだけ聞いていいか
0:
あおい:おう
0:
ほむら:その宝の名前はなんだ?
0:【間】
あおい:・・・CROWN(クラウン)
0:ー終ー
0:CROWN
0:【ほむら】・・・強く気高い。二刀流の短刀。
0:【かい】 ・・・優しい。武術全般。
0:【はやて】・・・天才。ライフル。
0:【あおい】・・・部隊長。オールラウンダー。
0:【ヒスイ】・・・努力家。猫の獣人。
0:【こうや】・・・かいの兄。
0:表記説明・・・【 】内は状況説明の為読み上げ不要です
0:
あおい:なあ、ヒスイ。
ヒスイ:はい!なんですか?”あるじ様”!
あおい:昨晩、双葉(ふたば)学園に現れた巡夜(めぐりよ)からの招いてねえお客様、のことなんだが。
ヒスイ:確か、ランクは1にも満たない下級のツァイテだとか。
あおい:ああ、雑魚(ざこ)だった。常陸家(ひたちけ)が討伐に向かって一瞬でおだぶつしたさ。
ヒスイ:常陸家は由緒あるお家だと”あるじ様”が言っていましたよね!やはりその腕は確かですね!
あおい:我が古雅家(こがけ)の次に歴史が長い一族だからな。
ヒスイ:その常陸家(ひたちけ)がどうかしたんですか?
あおい:いや、常陸家(ひたちけ)はどうもしねーんだ。
ヒスイ:と、言いますと?
あおい:ランクが1以下の雑魚(ざこ)共が何故人間界に入って来れるんだ?ってな。
ヒスイ:・・・た、確かに。
あおい:古雅家(こがけ)の歴代(れきだい)頭首共(とうしゅども)が結界を厳重に張っているはずなんだ。
ヒスイ:はい、僕は”あるじ様”からそうお聞きしました!
あおい:考えられる要因は二つだ。
ヒスイ:二つ?
あおい:一つ、結界が破られた。そして二つ目は・・・
ヒスイ:二つ目、は・・・
あおい:こちら側の人間が招き入れている。だな。
ヒスイ:そんな!!!それは、さすがに考え過ぎだと・・・!!
あおい:俺だって仲間を疑いたくはねえよ。
ヒスイ:つまり、僕に・・・監視をしろ、ということですね。
あおい:察してくれたか。
ヒスイ:はい。”あるじ様”が僕に仕事の話を持ってくる時は大概(たいがい)僕にしか出来ない事をさせたい時ですからね!
あおい:さすがだな。
ヒスイ:伊達(だて)に6年も一緒にいませんから!
あおい:おまえ、まだ5歳だろ。
ヒスイ:一週間後が誕生日ですから!もう6歳のようなものです!
あおい:・・・はっ、なんだそれ。相変わらず変な奴だ。
ヒスイ:そんな変な僕を拾ったのは”あるじ様”なんですから、なーんにも言えませんよ?
あおい:はいはい。そうだなー。そうでしたー。
ヒスイ:あ!バカにしてる!”あるじ様”!
あおい:ハハッ、怒るなよ。饅頭(まんじゅう)みたいな顔になってんぞ。
ヒスイ:えっ!?さっきババのお饅頭黙って食べちゃったから!?
あおい:黙って食ったのか。おまえ、ババに殺されるぞ。
ヒスイ:だって・・・・・僕に食べてほしそうにお饅頭さんが見てくるから。
あおい:ハハッ、バーッカ。人の饅頭食う元気あるならきっと余裕だろうさ、任務として、この件任せたぞ。
ヒスイ:はい!分かりました!そのかわり・・・任務が無事成功したら町で一番人気のメロンパン買ってくれますか?
あおい:おねだりとは随分と偉くなったな。
ヒスイ:い、いやっ!!!!・・・言ってみただけです・・・。
あおい:ったく、無事成功したら、な。
ヒスイ:わーーーーーーーーーーい!!!!!”あるじ様”大好きです!
あおい:はいはい。任せたぞ、毎回言ってるが、あの状態で人間と喋るなよ。
ヒスイ:はい!重々承知でございます!それでは、行ってまいります!!!
0:
こうや:【N】双葉学園、高等部校舎
0:
ほむら:確か、ここらへんだったと思うんだよな。
ほむら:【M】ランクでいうとマイナスクラスのツァイテだった。それなのに、センサーに反応したのはランク8以上。父上(ちちうえ)たちはセンサーの故障だと言ってはいたが・・・
ほむら:この胸騒ぎはなんだ・・・?
かい:あれ?確か君は・・・常陸家(ひたちけ)のお頭(かしら)様じゃないですか?
ほむら:うわあ!び、びっくりしたあ・・・!!驚かすなよ!
かい:ご、ごめんなさい!何か調査でしたか?昨晩常陸家(ひたちけ)が討伐(とうばつ)していましたよね。
ほむら:あ、ぁあ。少し気になる事があってな。・・・悪いがおまえ、どこの者だ?名は?
かい:自己紹介もせず失礼しました!霧生家(きりゅうけ)次男、霧生香衣(きりゅうかい)と申します。
ほむら:見ない顔だ。
かい:討伐経験はここ2ヶ月のみですからね、常陸家(ひたちけ)長女ほむら様の噂はかねがね、兄から聞いておりました。
かい:僕と同じ年にも関わらず齢(よわい)十の頃から最前線で討伐にあたっていたと。
ほむら:兄、というと。霧生家(きりゅうけ)長男こうや、のことだな。そうか、おまえ、あいつの弟か!
かい:はい!兄上は霧生家(きりゅうけ)の跡継ぎ。僕も兄に早く追いつけるよう修行の日々でございます。
ほむら:そうか~そうだったんだな~~~!おまえの兄とはよく実践を踏まえ、共に修行を積んだ仲だ!いや~弟が私と同じ年だということは聞いていたが、こんな形で会う事になるとはなあ!
かい:ほむら様はとても聡明(そうめい)な方だとお聞きしておりましたが、実際に会ってみますと違うものですね。素敵でございます。
ほむら:世辞(せじ)はいらねーよ!それより、何でこんなところにおまえはいるんだ?
かい:あ、そうでした!!!!!実は兄上に特訓をしていただこうと思いまして。
ほむら:自宅で出来るじゃないか。
かい:自宅だと、母上が心配するんですよね。
ほむら:あぁ・・・、確か、霧生家(きりゅうけ)の奥方(おくがた)は戦闘を好まないとおまえの兄も嘆(なげ)いていたな。
かい:そうなんですよ、怒ってくれたらいいものの、泣かれてしまうとどうにも。
ほむら:苦労するな。
かい:ほむら様に比べたら平気ですよ!
ほむら:そうだ!私もその特訓、付き合ってもいいか?
かい:ほむら様がですか!?それは、有難いですが!お時間が勿体ないと・・・!
ほむら:問題ない、稽古をつけてやろう。昨日から動き足りなくてな。ちょーど良かった。
かい:あ、ありがとうございます!それでは、早急(さっきゅう)に道着(どうぎ)に着替えて参りますので高等部道場にてお待ちくださいませ!追い掛けますね!
ほむら:りょーーかい!また後でな!
かい:はい!!!!
こうや:【N】中等部前
ヒスイ:【M】やーっぱり、変化(へんげ)しちゃうとまだ小さいんだよなあ。
ヒスイ:【M】”あるじ様”にはいつも大きくなったって言われるけど、ボクはもっと”あるじ様”を乗せて歩けるくらい大きくなりたいのになあ・・・って、ダメダメ!任務に集中しないと!
はやて:【欠伸】ふわぁぁ・・・だる。
ヒスイ:【M】ん?あれは・・・観月家(みづきけ)の三男坊はやて様だ!うわ!お正月以来!覚えてるかなあ、僕の事!
あおい:【回想】その姿で喋るなよ。
ヒスイ:【M】・・・っと!危ない危ない”あるじ様”の言いつけ早速(さっそく)破る所だった。あんな所で”はやて様”なにやってるんだろう・・・?
はやて:なんでこーも、だるいかな。
かい:あれ?はやて?
はやて:やぁ、霧生(きりゅう)。
かい:こんな所で会うなんて珍しいね。
はやて:そうだね
かい:聞いてよ!俺、常陸家(ひたちけ)のお頭(かしら)、ほむら様に会ったんだ!
はやて:へぇ。
かい:あれ?はやて、ほむら様のこと知らない?
はやて:そんなわけないでしょ、超秀才の超有名人じゃん。僕等凡人とは住む世界が違う。
かい:俺もさっき初めて会ったんだけど、聞いてた話しとはまったく違った。気高くて優しい人だった!
はやて:はぁ、なんか、いっつも思うけどさ、霧生(きりゅう)、キミは一体どうなりたいの?
かい:・・・どうゆうこと?
はやて:キミ、霧生家(きりゅうけ)の次男。分かる?二番目。君が頭首(とうしゅ)になることはないんだよ、どんなに頑張ったって無理。次男ってのは、産まれた瞬間に二番って烙印(らくいん)つけられちゃってるわけ。
かい:そんなの。分かってるよ。
はやて:いいや?分かってないよ。見ててイライラしてくるんだよね。何が生きがいで何が幸せなわけ?それともただのバカ?
かい:そっ、そんな風に言わなくたっていいだろ!!!
はやて:言い返せないあたりが、ねえ?
かい:俺にとっての幸せは・・・。
はやて:・・・言えないんだよね。ただ流されて周りと同じことしてれば安心だもんね。でも、僕はそーゆーの、無理。
かい:それじゃあ・・・はやて、おまえはどうしたいんだよ。
はやて:ん~~~?楽しんだもん勝ち?
かい:どうゆう意味だ
はやて:ねえ、霧生(きりゅう)。例えばの話しをしようか。例えばね、君の兄がもし死んだら、どうする?どう思う?君はきっと正式な後継者になるわけだよ。
かい:やめろ
はやて:ふふっ・・・。考えたことない?君の大好きな兄上様の位置に自分がいること。
かい:そんなの、ありえない。
はやて:それじゃあ。ゲームをしようか。
かい:ゲーム?
はやて:そ。ゲーム。僕が君の兄を殺せたら、僕の勝ち。殺せなかったら、君の勝ち。僕等二人どちらが正しいのか、証明してみない?
かい:バカなこというな!
はやて:さ、ものは試しでしょ?あいつらも暴れたくて仕方ないって感じだし。
かい:あいつら?
ヒスイ:【M】ま、まさかっ
はやて:さあ、でておいで。巡夜(めぐりよ)の住人たち。封(ふう)、縛(ばく)、解(かい)!
かい:”はやて”!!!結界を、といたのか・・・?!
ヒスイ:【M】た、た、大変だ・・・!!は、早く”あるじ様”に伝えなきゃ!!!!
0:
こうや:【N】場所かわり、あおいの家
0:
あおい:・・・結界が、破られたか。
0:
ヒスイ:あるじ様!!!
あおい:報告はいい、分かってる。
ヒスイ:はやて様が!!!結界を解かれました・・・!
あおい:一刻を争う。俺が行こう。他の者には知らせるな。
ヒスイ:結界が解かれたということは、各討伐部隊(かくとうばつぶたい)の方々も異変に気付くのでは、と。
あおい:時間稼ぎをしておけ。コトは俺が片付ける。
ヒスイ:危険です!
あおい:かまわん。
ヒスイ:ぅう・・・・あるじ様の思うままに。努めます。
あおい:任せたぞ。
0:
こうや:【N】双葉学園高等部道場にて
0:
ほむら:久しぶりだなー!こうや!元気か?
こうや:ぼちぼち、それより。何で”ほむら様”がここへ?
ほむら:おまえの弟と高等部前で偶然会ってな!あに・・・おまえと訓練するって言うから私も混ぜてもらおうかと思ったんだ!いいだろ?
こうや:”かい”が喜ぶのならそれでいい。
ほむら:相変わらず弟大好きだなー!
こうや:別に。
ほむら:照れんなよー!
こうや:相変わらず”ほむら様”はうざいくらい元気ですね。
ほむら:そう褒めるなよ!
こうや:・・・褒めてないんだけど。
ほむら:ん?この殺気・・・。おい、なんか変だぞ。
こうや:そうみたいだな。
ほむら:一つじゃねえな、三つ、いや十は超えてる。
こうや:くるぞ。
0:
こうや:【N】双葉学園中等部前
0:
かい:”はやて”!!!おまえ、自分が何をしたか分かってるのか?!
はやて:うるさいなあ。別に、いいじゃん。一気にお掃除出来て。ご飯食べてる時も眠ってても勉強してる時も毎回毎回敵が出たら出動して討伐(とうばつ)。疲れないの?
はやて:それだったら一気に巡夜(めぐりよ)に攻め込んで潰しちゃったほうがラクなのに。
かい:そんな事を言ってるんじゃない!
はやて:あー・・・うざい。大体、さっき言った事忘れちゃったわけ?
かい:さっき言った事?
はやて:君の兄上が死んだら君は霧生家(きりゅうけ)の跡継ぎになるんだよ。
かい:・・・おまえっ!!
はやて:別に、問題ないでしょ。血のつながりなんてない兄上なんて。
かい:な、なんでそれを知ってるんだよ?!
はやて:僕をなめないでよ。なんでも知ってるよ?なーんでも。
はやて:ほーんと、かいって可哀相。僕に同情されてるんだからもーっと可哀相。君が慕う兄上様が養子になんて来なかったら、君は跡継ぎだったのに。
かい:幼少、体の弱かった俺を懸念しての親の判断だ。
はやて:でも、現にその君を想った判断が君を苦しめている。
かい:・・・そんなこと、今話している時間はない!俺は兄上の所へ。
はやて:ふふっ。行ってきなよ。
かい:”はやて”には悪いけど、俺はおまえが・・・嫌いだ。
0:
はやて:僕もだよ、かい。
0:
こうや:【N】高等部道場にて
0:
かい:兄上!!!!ほむら様!!!ご無事ですか!!!!
ほむら:お?おせーぞ!かい!
かい:え?
ほむら:折角おまえに実践形式で稽古つけようと思ったのにさー!
かい:こ、これは・・・一体、どういう・・・。
ほむら:おまえの事待ってたらいきなりツァイテ共が湧いて来たんだ
ほむら:昨日の一件で暴れ足りなかったから私としてはちょーど良かったんだけどさー雑魚(ざこ)相手は疲れるよ本当。
こうや:瞬殺だったよ、俺の出る幕はほぼなかった。
かい:兄上!お怪我は?!
こうや:問題ない。かい、おまえは大丈夫か?
かい:は、はい!それより!今すぐここを離れましょう!兄上は今狙われております!
ほむら:なに?こうやが?どういうことだ?
かい:それが、ここでツァイテが出現した理由にも深く関わっているのです。とにかく、危険です!兄上の命が狙われているのですから!
ほむら:待て、誰がこうやを狙うんだ?!
はやて:僕だよ。
かい:はやて・・・!
はやて:ツァイテにしては頑張ってもらったけど、やーっぱり美味しい所を貰うのはこの、僕。
かい:兄上!逃げてください!!!!
はやて:バイバイ。兄上様。
ほむら:なぜ仲間内で・・・させるか・・・!!!!!
はやて:僕の弾の方が速いよ。
かい:兄上えええええ!!!!!!!!!!
0:【間】
あおい:残念だったな。俺の方が、速かったみたいだ。
かい:・・・隊長殿。
はやて:な、んで、隊長がここに・・・あまりにも知らせが早すぎる。
ヒスイ:ま、間に合いましたね、”あるじ様”!
はやて:お・・・おまえか・・・!!!!
ヒスイ:ひゃう!こ、怖いですううう!
かい:兄上!!!!ご無事ですか!!!!
ほむら:こうや!!貴様、なぜ逃げなかった!!!!!
かい:え?
あおい:あぁ、おまえ程であれば容易だっただろう。ピクリとも動かなかったな。
かい:兄上?どういうことですか?
こうや:・・・。
かい:なぜ何も言ってくれないのですか!!
あおい:はやて、おまえ何か知ってるな?
はやて:な、なんだよ。睨んだって僕は何も知らないよっ!
ヒスイ:それじゃあ、おまえが勝手にツァイテを率いてほむら様たちを襲わせたってことでいいんだな!
はやて:ふん。それでいいんじゃない?
ほむら:良いわけあるか!!
はやて:・・・っ!?
かい:ほむら様
ほむら:はやて、全てを説明しろ。じゃなきゃ私が今すぐにおまえを殴る。
はやて:うっ・・・そ、れは・・・嫌だ。
ほむら:話せ。
はやて:で、でも・・・。
こうや:いいよ。俺が話そう。
かい:兄上・・・?
こうや:すまない。嫌な役を引き受けさせた。
はやて:別に・・・あんたに頼まれなきゃやってないよ。
こうや:俺が”はやて”に頼んだ。今回の首謀者(しゅぼうしゃ)は、俺だ。
かい:えっ?
こうや:俺は・・・、霧生家の当主を務める器ではない。謙遜(けんそん)ではない。
こうや:ずっと感じていたことだ。ただ、身体の弱い”かい”のかわりに養子となった自分の使命を全うしなくてはいけないとも思っていた。
かい:兄上、何を・・・。
こうや:しかし、おまえは俺や父上達の予想を遥かに上回るほどに努力を重ねた。身体も強くなったな。
こうや:それは俺がよく知っている、ずっとおまえを見ているからな。だから分かる、おまえが苦しんでいる事も。
ほむら:かいは一体何に苦しんでいた
はやて:こうや兄の存在だよ。
こうや:あぁ。俺がいる限り、”かい”はどんなに努力を重ねても報われることはない。かい自身、口には出さないが、分かる。
ほむら:その話と、今回の事はどう関係があると言うんだ?
こうや:結びつくだろ?
あおい:死のうとしたんだな。こうや。
ほむら:なっ?!
こうや:あぁ。
はやて:僕は、”かい”が哀れだった。だから”こうや兄”に協力することにしたんだ。
ほむら:はやて、貴様。実の兄のように慕っていた”こうや”を殺すことになっても、か。
はやて:迷いはなかったよ。
こうや:”はやて”なら必ず協力してくれると思った。俺のことを実の兄のように慕ってくれている反面、こいつは人一倍優しい。
こうや:その優しさで”かい”の気持ちを一番分かっているはずだと。勿論、俺の気持ちを汲んでくれると。
あおい:つまり、自分がこの世を去れば、”かい”は頭首(とうしゅ)に任命される。このご時世(じせい)とはいえ、数百年前から続くお家柄上(いえがらじょう)順番に逆らうことは出来ないからな。
こうや:あぁ。一番自然だと思った。
かい:そ、そんなこと・・・僕が嬉しいと?それで、僕が喜ぶと?
こうや:喜ぶ、喜ばないの話しではないんだ。
かい:それでも!!!
こうや:いいんだ。俺は・・・疲れたんだ。
かい:兄上!!
こうや:すまなかった。おまえへの思いが交差しすぎた結果だが、ただ、一番最初に戻るだけ。
こうや:血は逆らえない。自然の流れに身を任せるだけ、それが正しい形だと、俺は思う。
かい:兄上・・・。
こうや:殺せ。
ほむら:ふざけるのも、大概にしろ!
かい:ほむら様?
ほむら:【キレながら泣く】貴様は、ただ逃げるのか!何のために養子に入ったその日から修行を積んだ?!
ほむら:努力を重ねたのは、”かい”だけではないはずだ!・・・こうや、おまえもだろうが!
はやて:泣いてる・・・?
こうや:ほむら。泣くな。
ほむら:【キレながら泣く】泣いてなどいない!むしろ腹が立っている!いいか、よく聞けこの大馬鹿者どもが!
ほむら:かいは貴様を見て努力を重ねてきたのではないのか!?貴様は、最初に戻るだけだと、自然の形が正しいと言ったな。
ほむら:違う!正しいことなんて存在しない!何より、時を戻すこともやり直す事も、出来るわけがないだろう!
こうや:・・・っ
はやて:そんなの。分かってるよ。
ほむら:いいや、分かっていない!そんなことを言ったら全てを恨むことになる!
ほむら:なぜ自分たちがこんな宿命を背負っているのかと!なぜ世界は二つなのかと!おまえらの言っている事は・・・無意味だ。
はやて:それじゃあ、こうや兄はどうすれば良かったんだよ!
あおい:立ち向かえ。気に食わないことがあれば掴みかかれ。食い下がれ。たとえ、どんなルールが立ち塞がっていようと、俺らに出来ることはそれだけだ。
ほむら:綺麗事に聞こえるか?ハッピーエンドを誰だって望む。人々が笑って生きる世界を私は守りたい。なあ、こうや。貴様が守りたいものは、なんだ?
こうや:・・・かいが、生きやすい世を。
かい:兄上!!それは、兄上がいなければ、成り立ちません・・・!
こうや:俺は、間違っていたのか・・・
かい:・・・それ、は・・・っ
あおい:誰だって正解ばかり選べるわけがねぇ。俺も、ほむらも、そしておまえもな。
あおい:けれど死んだらそこまで。正解か不正解か分からないままだ。間違っていたのかと思うのであれば生きるんだな。自分の目で答えを見に行け。
ほむら:私は、もっと、もっと力をつける。長く共にしている友の悩みすら気づけなかった。
あおい:今回の件は俺が何とかしてやる。
はやて:僕たちはどうなるの
あおい:兄弟喧嘩だ。そこにたまたまツァイテが現れただけ。だろ。
こうや:なんだと・・・?
かい:兄弟・・・喧嘩・・・
あおい:ほむら。手伝え。後始末だ。
ほむら:おう、任せろ!
ヒスイ:僕も!お供します!
あおい:あとは、話し合え、おまえらでな。
かい:は、はい・・・
こうや:・・・くっ。隊長!ほむら様!・・・恩に、きます・・・。
あおい:おう。
ほむら:・・・日を改めて、特訓、やり直しな!
かい:は、はい!
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こうや:【N】双葉(ふたば)学園校門前
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ほむら:っ。ひっく、う・・・ぅう・・・
あおい:いい加減、泣きやまないかね、おまえ。
ヒスイ:ほむら様って、こんなに泣き虫でしたっけ?
ほむら:お、おまえに言われたくねー・・・ううう。
ヒスイ:むむっ!なんですかー!
あおい:・・・はぁ。こいつはガキの頃から泣き虫だ。人前では強がってばかりだがな。
ヒスイ:へ~意外と女の子らしいんですね!
ほむら:う~意外とって、余計だこのバカネコ~
あおい:まあ、そろそろおまえにもしっかりしてもらわねーとだしな。そろそろ、泣き止めこのバカが!
ほむら:うわ!いってー!!殴る事ないだろーが!
ヒスイ:あるじ様・・・かい様たちは、大丈夫でしょうか・・・。
あおい:ヒスイ、そんな顔するな。大丈夫だあいつらは。大丈夫な環境を作ればいいんだ
あおい:ほん、っと、歴史が長いと上層部はお堅い頭の奴等ばっかで嫌になるが、時代はきっと変わる。
ヒスイ:あるじ様が現隊長である事がなによりの証明です。
あおい:あぁ、こうやの気持ちは、分かる。
ほむら:どうゆうことだ?
ヒスイ:あるじ様は古雅家(こがけ)に養子で入られたのですよ!
ほむら:え?!
あおい:話してなかったっけっか?
ほむら:聞いてねえ!
あおい:表で見えるものが全てとは限らない、でも、見えるから信じやすいし、そう見られるのは仕方ないんだ。
あおい:他人に見えないもの、でも、自分に見えるもの、それが自分でも見えなくなっちまったら人は道に迷う。
ヒスイ:自分が何を思い、どうしたいのか、ですね。
あおい:あぁ、それさえハッキリしてりゃ、道が例えどんなに別れていようがしっかり前向いて歩けるさ。
ヒスイ:僕は”あるじ様”の事が大好きだからずっと傍にいたいです!
ほむら:はっ!よくまあ、そんな恥ずかしい事が言えるなあ、おまえ。
あおい:ほむら、おまえもこのくらい素直になれ。
ヒスイ:そうですよ!常陸家(ひたちけ)の頭首(とうしゅ)なんですから!隊長に大好きの一つくらい!
ほむら:言えるかあぁぁ!
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こうや:【N】双葉学園高等部道場にて
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かい:兄上、僕は正直・・・なんで自分が頭首(とうしゅ)になれないのかと、確かに自分の人生を悔いていました。本来ならば、と。兄上が言った通り、自然の流れで僕が頭首になるはずだった、と。
こうや:・・・ぁあ。
かい:”はやて”にも痛い所を突かれました。今まで誰にも言えなかった寧(むし)ろ自分でも気づかないようにしていた自分自身の醜(みにく)い心に。
こうや:・・・ぁあ。
かい:そんな自分が小さくて恥ずかしいです。自分が何なのか、どうしたいのか、それは自分の身の振り方で決めることが出来るんだと、痛感しました。
かい:兄上は、馬鹿です、大馬鹿です。命に・・・、命に代わるものは何も無いというのに。
こうや:すまなかった
かい:兄上は、ずっと、ずっと、一人で努力を重ねてきた!投げ出せる時はいつでもありました!よく分かります!機会は今までもたくさんあったはずです!
かい:なのに、なぜ、今更こんな・・・
こうや:・・・かい、俺は、おまえが頭首(とうしゅ)になれば良いと思っている。本心だ。情けを掛けているつもりはない。時が来た、それだけなんだ。
はやて:かいを頭首にするんだったら、こうや兄はどうするの?もう僕の手は貸さないよ。
こうや:そうだな、さすがに迷惑は掛けないよ。
かい:それなら、やはり兄上が頭首のままで
こうや:星稜家(せいりょうけ)に戻ろうと思う。
はやて:え?
かい:それは・・・霧生家(きりゅうけ)を出るということですか・・・?
こうや:そうなるな。
かい:嫌です!!兄上ではなくなってしまうなんて!!
こうや:元からおまえの兄ではない。ゼロに戻るだけだ。
かい:そんな・・・。
こうや:血のつながりなど関係なくおまえは俺のことを兄と呼んでくれた。ならば俺が霧生家(きりゅうけ)を出たとしても、俺と”かい”が過ごした時間はなくならないのではないか?
こうや:兄弟というのは、どんな立場や距離があっても成立するものだと。そう、思う。
かい:兄上・・・。分かりました。僕の兄上は、”霧生こうや”ただ一人です!例えどんなに離れていようと・・・僕は兄上を、誇りに思います。
こうや:ありがとう。そして、はやて。
はやて:ん?
こうや:かいを、頼んだ。
はやて:え!?
こうや:おまえがいれば、安心だ。
はやて:えー・・・僕、こいつ嫌い。
かい:なっ!?
こうや:ふっ、素直になる必要があるのはおまえだな、はやて。
はやて:う、うっさい!
こうや:かい。はやてはおまえのことを誰よりも分かっている、そして一番におまえの力になってくれるだろう。
こうや:何かあったら必ず、はやてを頼れ。それでも問題が解決できない時は俺を呼んでくれ。
かい:はい!必ず!
はやて:泣いて頼みこんできたら、力貸してやってもいいよ。
かい:おまえはーっ!
はやて:ふふっ。ラクにいこーよ。かい。
こうや:かい、本当に、すまなかった。そして、ありがとう。
かい:兄上。これからも、僕の目指す頭首としてあり続けてください。霧生家(きりゅうけ)、星稜家(せいりょうけ)の誇りとして。
こうや:あぁ、その誇り、もう二度と捨てないさ。
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こうや:【N】常陸家(ひたちけ)稽古場(けいこば)
ヒスイ:ほむら様ー!いますかー?
かい:たあぁっ!!やぁっ!・・・うぉりゃあ!
ほむら:おっ!いいぞ!・・・まだまだぁ!!
ヒスイ:ありゃりゃ?あれは~かい様?そっか、確か週に2回常陸家(ひたちけ)に通ってほむら様に稽古をつけてもらっているとか、あるじ様言ってたなぁ。
かい:くっ!こ、ここだあああ!
ほむら:甘い!うおおりゃあああ!
かい:う、うわああ!
ヒスイ:あちゃーやっぱ、ほむら様にはまだ敵わないかあ。
かい:いってて。やっぱ、まだまだだなあ・・・。
ほむら:ん?ヒースイ!そんなとこで見てないでこっち来いよ!
ヒスイ:あ!す、すみません!失礼します!
ほむら:なんかあったのか?
ヒスイ:あるじ様からの伝令をお伝えに参りました!
ほむら:ほう。内容は?
ヒスイ:はっ!本日をもって、常陸家(ひたちけ)頭首、常陸ほむらを討伐部隊(とうばつぶたい)部隊長に任命するとのこと!こちらが隊長の証の紋章(もんしょう)でございます。
ほむら:そうか。これは・・・どうすればいいんだ?
ヒスイ:そちらを左腕にはってください!
ほむら:お、おう。
あおい:かの者を第91代目、討伐部隊(とうばつぶたい)部隊長に任命することを前部隊長(ぜんぶたいちょう)古雅(こが)あおいが命ずる。
ほむら:なっ?!ヒスイの口からあいつの声で?!って、あっつ!
ヒスイ:ふう、完了です!
ほむら:なんだったんだ?って、あ!?腕に、紋章が、焼き付いてる。
ヒスイ:これが、討伐部隊、部隊長の証でございます。
かい:あ、あの。つまり、ほむら様は隊長になられたということですよね。
ヒスイ:そうゆうことですね。
かい:元隊長様は
ヒスイ:それは
ほむら:・・・
かい:ま、さか、この前の兄上と”はやて”の起こした件で責任を負ったのでは?
ヒスイ:そ、れは
あおい:ヒスイこらぁ!おまえいつまで任命式やってんだ!
ヒスイ:ひゃう!あるじ様!
かい:た、隊長!
あおい:かい、隊長じゃなくて、元・隊長な。
かい:あ、あの!僕等のせいで、もしかして
あおい:あ?
ほむら:ぷっ、あっはっはは!
かい:え?ほむら様?
ヒスイ:あ!申し訳ありません、かい様!言葉が足りませんでした!あるじ様は部隊長を退任しましたが
あおい:異動、ってやつだ。
かい:え?
ほむら:いやぁ、苦しかった!笑いこらえるの!
かい:ほ、ほむら様?どういうことですか!もしかして、騙そうとしましたね!
ほむら:ははっ、怒るなよ~ついな。つい。安心しろ、こいつはあんな事で今まで築き上げてきた功績をチャラにするようなタマじゃぁない
あおい:今日から俺は双葉(ふたば)学園の教員として総本部の責(せき)に就(つ)くことになった
ヒスイ:先生ってやつですね
あおい:そうだ。結局上の奴等からしても、俺が巡夜(めぐりよ)に近い位置にいる事が一番安全だ、と。最前線だな。俺としては願ったり叶ったりだ。
ほむら:おまえが先生か。世も末だな。
あおい:その生意気な口は成績をあげてから言えよ、隊長が馬鹿だと示しがつかねぇからな。
ほむら:なんだとー!
あおい:っと、俺はこんなとこで時間使ってる余裕ねーんだ、行くぞ、ヒスイ!
ヒスイ:は、はい!
あおい:かい!霧生家頭首就任、おめでとう。
かい:ありがとうございます!先日、就任式を終え、未熟ですがいつか必ず隊長の力になれるよう精進します!
あおい:おまえなら出来るさ。
ヒスイ:僕も、そう思います!
あおい:おまえに言われてもなぁ。
ヒスイ:むぅーーー!
あおい:ははっ、んじゃ、邪魔したな。
ヒスイ:それでは!失礼します!
ほむら:・・・騒がしい奴らだ。
かい:ほむら様は、部隊長就任の件はもう知っていたのですか?
ほむら:あぁ、知っていたさ。私が名乗り出たんだからな。試験もあるんだぞ?
かい:そうだったんですか!おめでとうございます!!
ほむら:常陸家(ひたちけ)だけではなく、全ての者を守らなければいけない責任だ。重いぞ、この紋章は。
かい:きっと、守るものが出来る瞬間の荷ほど重い物はないのでしょうね。僕は霧生家の頭首の座についてから、本当に重くて仕方がないのです。
ほむら:踏ん張って耐えるしかないんだ。
かい:そうですね。
ほむら:こうやはもう四国に着いた頃か?
かい:はい!昨晩連絡が来ました!
ほむら:寂しいだろう?
かい:・・・はい。でも!兄上は星稜家(せいりょうけ)で一からやり直すと。僕も覚える事がたくさんで、寂しがっている暇などありません!
ほむら:しかしまあ、良かったな、父と母の許しが出て。
かい:元から、優しい両親です。兄上は夏に遊びに来てくれると約束をしてくれました!
ほむら:良かったな!
かい:はい!
0:
こうや:【N】二ヵ月後
0:
ヒスイ:あるじ様。大丈夫でしょうか?
あおい:あぁ。とりあえず使ってみて、だな。
ヒスイ:大ジジ様方がお怒りでは?
あおい:あいつらは隠居(いんきょ)してるようなもんだ、最前線の俺らに文句は言わせねーよ。
ヒスイ:それにしても、なぜあの三人をチームに?
あおい:ヒスイ。覚えてるか?”はやて”は一度、巡夜(めぐりよ)の結界を解いたことがある。
ヒスイ:は、はい!ふた月前のこうや様とはやて様の件でしたね!
あおい:あぁ、そうだ。この結界をちょっと教わっただけで解くなんてことは、不可能だ。
ヒスイ:つまり、それは・・・はやて様が・・・
あおい:あいつは天才だ
ヒスイ:だとしても、気を自由に使うこととあの三人のチームにどんな関係が?
あおい:それは、これからのお楽しみだ
ヒスイ:あー!また一人で楽しそうなことを考えてますね!ずるいー!!
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こうや:【N】常陸家(ひたちけ)道場
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はやて:ちょっと、待って!!!!!
ほむら:なんだ?
はやて:こんなの、聞いてない!
ほむら:言ってないからな。
かい:僕は嬉しいよ
はやて:おまえには言ってない!!!!
ほむら:はぁ、そんな怒らなくてもいいだろ。見苦しい。
はやて:うぅ・・・、なんで、僕が・・・討伐部隊に入らなきゃいけないわけっ?!?!
ほむら:知るか!!!あおいが言ったんだ!あいつに言え!
はやて:しかも、チームがここって・・・なに?悪意?
かい:僕はほむら様と”はやて”と同じチームですっごく嬉しいよ!!
はやて:あ~~~~うざい・・・。
ほむら:私もすっごく嬉しいぜ!かい!
はやて:大体、何で僕が兄上たちを差し置いて討伐部隊・部隊長殿のチームに入らなきゃいけないの?元隊長様は一体何を考えてるんだか・・・。
ほむら:ま!はやては前科があるからな!私の目の届く所に置いておくためだろう!
はやて:・・・それを言われると何も言えないんだけど。
ほむら:そうだ、あおいが言ってたぜ。
あおい:少しはおまえの力をお家(いえ)のために使ってみろ
ほむら:ってな!
はやて:・・・・・はぁ。なんだかなぁ。
かい:頑張ろうよ、はやて!
はやて:ま、”かい”がヘマしたらフォローしてあげる。
かい:ありがとな!
ほむら:おまえら、何やかんや仲直り出来たみたいで良かったよ!
はやて:僕は別に喧嘩した記憶はないよ、先に嫌いって言ったのは”かい”だしね。
かい:んぐっ、そ、それは!”はやて”が酷い事ばっかり言うからだろ、自業自得だ!
はやて:あーあー嫌いって言われたままでさ~何気に僕傷ついてるんだよねぇ、ほら見た目の通り、僕、繊細だから。
かい:せん、さい・・・?
はやて:一件落着~はい、めでたし、めでたし~って雰囲気じゃん?でもさぁ、僕、かいから謝罪とかなーんにもないんだよねぇ
かい:た、確かに・・・
ほむら:なんだ、はやて。可愛いところあるんだな
はやて:え?
ほむら:私はてっきり、”かい”が”はやて”のことを慕っているとばかり思っていたが、違うんだな!”はやて”が”かい”のことを好きということか!
はやて:は、はぁ?!?!なに言ってんの?!
ほむら:今の話を聞いていると、おまえが”かい”と仲直りしたくて仕方がない、というように聞こえるぞ
はやて:ば、ばっ、ば、ばっかじゃないの!!!
かい:あはははは、ほむら様はやっぱり、素敵です
はやて:なんなのほんと・・・も~~~
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あおい:揃ったな
0:
ほむら:あおい、おせーよ
かい:あおい様!
はやて:あー嫌な予感するー!
あおい:気を引き締めろ、任務を言い渡す
ほむら:了解
かい:承知しました
はやて:なんなりとぉ・・・
あおい:これから巡夜(めぐりよ)へ行く
ほむら:なに?!
あおい:拡大した入り口の封鎖を行う。はやて、おまえの力でな。寄ってたかるであろう虫共は”ほむら””かい”両名で対処。以上だ。
はやて:任務で巡夜に行くなんて聞いたことないよ!!
あおい:文句があるのか?大体、おまえが練習だといって”こうや”を襲撃する以前から何度も勝手に扉を広げていたことで
あおい:緩くなった隙間からツァイテが人間界に侵入して来てた、ってこと、忘れたわけじゃぁねえよな?
はやて:・・・その節は大変申し訳ありませんでした。
ほむら:しかし、危険過ぎるんじゃないか、私たちはまだこのチームで任務をこなしたことはないんだ。
あおい:こんなの序の口だ
ヒスイ:あるじ様、さすがにスパルタすぎると僕も思っちゃうのですが
あおい:はぁ・・・。いいか、まだ発表はされてないが、半年後に巡夜(めぐりよ)と人間界の代表が同じルールで争うことになった。人間界からの代表はおまえたちだ。
あおい:その時に巡夜に行くから、まぁ、早い段階から空気だけでも慣れておいた方がいいと思ってな
ほむら:はぁ?!?!
かい:争う?!え?!
はやて:凄く大事なことさらっと言ったよね?!
あおい:拒否権はない
ほむら:あおい、ちなみに・・・その、大会の詳細はなんだ?
あおい:簡単に言うとな、巡夜にとある物が隠されるからそれを見つけたチームが勝ちっていう、宝探しだ。可愛いもんだろ。
かい:あ、宝探し・・・それ、なら・・・
あおい:必ず勝ってこい。負けたら死ぬと思え。
かい:死っ?!
はやて:何で子供の僕たちが?!
あおい:勝てば争いはなくなる。和平(わへい)が結べるんだ。
はやて:じゃぁ大人が出ればいいじゃん!
あおい:向こうの条件が子供だったんだよ。
かい:・・・和平が結べたら皆幸せになるよね。
あおい:前代未聞になるな
ほむら:分かった。争いをなくすために、決まったことであるならば・・・正々堂々と勝ちを掴み取るのみ。
ほむら:まずは目の前のことから、だな。かい。はやて。今回の任務をさばきに行くぞ!私について来い!
あおい:覚悟が早くて助かる。
かい:・・・は、はい!
はやて:了解隊長殿・・・。
あおい:巡夜(めぐりよ)の扉を開けるぞ、いいか、30分で戻って来いよ。
ほむら:分かった。
0:
ほむら:あ、行く前にもう一つだけ聞いていいか
0:
あおい:おう
0:
ほむら:その宝の名前はなんだ?
0:【間】
あおい:・・・CROWN(クラウン)
0:ー終ー