台本概要
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| タイトル | 【創作童話】天の川 |
|---|---|
| 作者名 | Danzig |
| ジャンル | 童話 |
| 演者人数 | 1人用台本（不問1） |
| 時間 | 10 分 |
| 台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
| 説明 |
七夕の読み聞かせ用にとのリクエストで書いた作品です。 昔昔、まだ神様と人々が近かった頃の織姫、彦星と人々との絆の話です。 158 views |
キャラ説明
| 名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
|---|---|---|---|
| 読み手 | 不問 | - |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0：七夕のお話
0：
0：昔昔の、とある国のお話です。
0：
0：この国の人々は、ずっと前から、野山で兎（うさぎ）や鳥などの動物や、木の実や、きのこなどを獲って暮らしていました。
0：野山で獲れた動物や木の実を、神様にお供えし、星や月を眺（なが）めては沢山のお祭りを開いていました。
0：
0：人々は、沢山のお祭りの中でも、特に七夕のお祭りが大好きでした。
0：七夕とは、離れ離れになってしまった、織姫様（おりひめさま）と、彦星様（ひこぼしさま）が、一年に一度だけ、会う事を許された日です。
0：この日は、彦星様が、船で天の川を渡り、織姫様の所まで会いに行くのです。
0：
0：でも、七夕の日に雨が降ると、天の川の水かさが増してしまい、彦星様は船を出すことが出来なくなってしまいます。
0：ですから、人々はみんな、七夕の日は、空が晴れるようにと願い、空が晴れると、大そう喜びました。
0：
0：この国の人々はずっと昔から、七夕の夜は、天の川を見上げながら、二人の幸せを祈っていたのです。
0：
0：そんな暮らしを、長い間ずっと続いていました。
0：ですが、困った事に、ある時をから、少しずつ野山から動物がいなくなっていきました。
0：それは、この国に暮らす人が増えていって、沢山の動物や木の実を獲るようになったからです。、
0：豊だった山は、段々と動物たちの少ない、痩（や）せた山になってしまったのです。
0：
0：人々の食べる物も段々と少なくなり、やがて、この国は、とても貧しい国になってしまいました。
0：そして悲しい事に、お祭りも段々と開けなくなって行きました。
0：
0：それでも人々は、貧しいながらも、神様へのお供え物と、七夕のお祭りだけは、欠かす事がありませんでした。
0：
0：でも、そんな貧しい暮らしが何年も続いたある時、遠い西の国から偉いお坊さんがやって来ました。
0：そして、この国にお米の作り方を教えてくれたのです。
0：
0：田んぼを作り、お米を穫（と）るようになった事で、少しずつ、人々の暮らしが豊かになっていきました。
0：
0：きっと神様が、偉いお坊さんを呼んでくれたに違いないと、人々は喜び、
0：神様に感謝をして、獲れたお米を神様にお供えするようになりました。
0：
0：お米作りは、国のあちこちへ伝わり、田んぼの数はどんどん増えていき、この国は、動物を獲って暮らしていた頃よりも、ずっと豊かになっていきました。
0：
0：人々の暮らしが豊かになった事で、お祭りの数も増えて行き、七夕のお祭りは、今まで以上に大きなものになりました。
0：人々は、ますます神様に感謝をし、七夕には国中で織姫様と彦星様の幸せを願いました。
0：
0：ところがです。
0：この豊な国に大変な事が起きてしまいました。
0：ある年から、夜空を見上げても、天の川が見えなくなってしまったのです。
0：どうしたのでしょうか、あんなに綺麗な天の川だったのに、すっかり無くなってしまいました。
0：
0：人々はとても驚きましたが、それよりも、織姫様と彦星様の事が心配でなりませんでした。
0：
0：天の川がなければ、彦星様は船を出す事が出来ません。
0：無理に渡ろうとすると、彦星様は地上に堕ちてしまいます。
0：
0：このままでは、二人はずっと会う事が出来ないままです。
0：もう、七夕の祭りどころではありません。
0：
0：人々は、どうしてよいのか分かりませんでした。
0：困ったあげく、神様に聞いてみようと、みんなで、お社（やしろ）に向かいました。
0：
0：お社に着くと、みんなが神様に向かって祈りを捧げます。
0：
0：「神様、どうして天の川が無くなってしまったのでしょうか？
0：どうか天の川を元に戻りますように」
0：
0：すると、みんなの願いた通じたのか、神様が初めて人の前に姿を現しました。
0：
0：人々は自分たちの前に現れて下さった神様に感謝をし、そして神様に訪ねました。
0：
0：「神様、天の川が無くなってしまいました。
0：どうして、天の川が無くなってしまったのでしょうか？」
0：
0：その時、神様は困った顔をしました。
0：
0：「どうか、天の川を元に戻してください」
0：
0：人々は一生懸命に神様にお願いをしました。
0：すると、神様が答えました。
0：
0：「天の川が無くなったのは、お前たちが田んぼを沢山作ったからなのだ」
0：
0：「私達がですか？
0：どうして田んぼを沢山作ると、天の川が無くなってしまうのですか？」
0：
0：人々は驚いて、神様に尋ねました。
0：
0：「それはな、
0：お前たちの田んぼには水がいるだろ、だから、私は雨を降らせて田んぼに水をあげていたのだ」
0：しかし、田んぼが沢山になってしまったから、水が足らなくなってしまったのだよ。
0：それで、天の川の水を使って雨を降らせたのだよ」
0：
0：神様は、そう答えました。
0：
0：「そんなの酷すぎます。
0：このままでは、織姫様と彦星様が会えなくなってしまいます。
0：私達は田んぼの数を減らしますから、天の川に水を返してあげてください」
0：
0：人々は必死に神様にお願いをしました。
0：
0：しかし、神様は首を横に振ります。
0：「だがな、天の川の水を使ってくれと言ったのは、織姫と彦星なのだよ」
0：
0：「なんですって、織姫様と彦星様が？」
0：
0：人々は驚（おどろ）きました。
0：
0：「あぁ、そうなのだよ、
0：織姫と彦星は、私達はもう会えなくなってもいいから、お前たちに、お腹いっぱいお米を食べて欲しいと言っておったよ。」
0：
0：「織姫様と彦星様が、そんな事を・・・」
0：
0：「あぁ
0：いつもいつも、地上から自分たちを見ていてくれた、お前たちには感謝をしているそうだ。」
0：だから、田んぼの数を減らして、天の川に水を返しても、織姫と彦星は喜ばないよ」
0：
0：「そんな・・織姫様・・・彦星様・・・」
0：
0：人々は神様の話を聞いて泣きました。
0：織姫様と彦星様の優しさに、
0：そして、田んぼを沢山作ってしまった事を後悔（こうかい）して泣きました。
0：
0：どれだけ泣いた事でしょうか。
0：暫く泣いた後、一人の青年が涙を拭いて、神様に尋ねました。
0：
0：「私達は、どうすればいいですか？
0：どうすれば、天の川に水を返す事が出来ますか？」
0：
0：青年は必死に神様に問いかけました。
0：その必死さに神様が答えました。
0：
0：「お前たちの田んぼは、雨水が無ければ枯れてしまうだろ？
0：だから、雨水がなくても田んぼが枯れないようにすればいいのだよ。」
0：
0：「でも、どうやればいいか、私達には分かりません」
0：
0：「そうか・・・では、私が教えてやろう」
0：
0：そういうと、神様は田んぼが枯れずにすむ方法を教えました。
0：
0：人々は、神様が教えてくれた通り、いくつも井戸を掘りました。
0：
0：でも、それは、とてもとても辛（つら）く、大変な作業でした。
0：硬い地面を一生懸命に掘りました。
0：思い石を皆で運びました。
0：夏には日差しの暑さに耐えながら、冬には雪に凍えながら
0：毎日、毎日、人々は汗を流して働きました。
0：
0：井戸だけではありません。
0：遠くの川から水を引いて、田んぼに水が流れるように、沢山の道を掘って川も作りました。
0：
0：何年も何年も大変な作業は続きました。
0：それでも、人々は、織姫様と彦星様が再び会えるようにと、必死で頑張りました。
0：
0：人々が頑張ったお陰で、天の川にも少しずつ水が返って行きました。
0：そして、何年かが過ぎた頃、天の川はすっかり元の姿に戻ったのでした。
0：
0：人々はとても喜びました。
0：その年の七月には、これまで出来なかった七夕のお祭りを行いました。
0：みんなが大好きだった、あの七夕のお祭りが返って来たのです。
0：
0：その年の七夕の空は、雲ひとつない、晴れ渡った空となりました。
0：夜空には、昔見ていた時と同じ、天の川が流れています。
0：満天の星空に、まるで絹を流したような、キラキラと輝く、とてもとても美しい天の川です。
0：
0：「きっと今年は、彦星様は無事に川を渡り、織姫様に会えた事だろう」
0：人々は、夜空に流れる美しい天の川を見つめながら、二人の幸せを祈りました。
0：
0：そして、空の上では、何年も会えなかった織姫と彦星が、互いに手を取り合いながら、
0：優しい眼差して、地上を眺めていました。
0：
0：おしまい。
0：
0：七夕のお話
0：
0：昔昔の、とある国のお話です。
0：
0：この国の人々は、ずっと前から、野山で兎（うさぎ）や鳥などの動物や、木の実や、きのこなどを獲って暮らしていました。
0：野山で獲れた動物や木の実を、神様にお供えし、星や月を眺（なが）めては沢山のお祭りを開いていました。
0：
0：人々は、沢山のお祭りの中でも、特に七夕のお祭りが大好きでした。
0：七夕とは、離れ離れになってしまった、織姫様（おりひめさま）と、彦星様（ひこぼしさま）が、一年に一度だけ、会う事を許された日です。
0：この日は、彦星様が、船で天の川を渡り、織姫様の所まで会いに行くのです。
0：
0：でも、七夕の日に雨が降ると、天の川の水かさが増してしまい、彦星様は船を出すことが出来なくなってしまいます。
0：ですから、人々はみんな、七夕の日は、空が晴れるようにと願い、空が晴れると、大そう喜びました。
0：
0：この国の人々はずっと昔から、七夕の夜は、天の川を見上げながら、二人の幸せを祈っていたのです。
0：
0：そんな暮らしを、長い間ずっと続いていました。
0：ですが、困った事に、ある時をから、少しずつ野山から動物がいなくなっていきました。
0：それは、この国に暮らす人が増えていって、沢山の動物や木の実を獲るようになったからです。、
0：豊だった山は、段々と動物たちの少ない、痩（や）せた山になってしまったのです。
0：
0：人々の食べる物も段々と少なくなり、やがて、この国は、とても貧しい国になってしまいました。
0：そして悲しい事に、お祭りも段々と開けなくなって行きました。
0：
0：それでも人々は、貧しいながらも、神様へのお供え物と、七夕のお祭りだけは、欠かす事がありませんでした。
0：
0：でも、そんな貧しい暮らしが何年も続いたある時、遠い西の国から偉いお坊さんがやって来ました。
0：そして、この国にお米の作り方を教えてくれたのです。
0：
0：田んぼを作り、お米を穫（と）るようになった事で、少しずつ、人々の暮らしが豊かになっていきました。
0：
0：きっと神様が、偉いお坊さんを呼んでくれたに違いないと、人々は喜び、
0：神様に感謝をして、獲れたお米を神様にお供えするようになりました。
0：
0：お米作りは、国のあちこちへ伝わり、田んぼの数はどんどん増えていき、この国は、動物を獲って暮らしていた頃よりも、ずっと豊かになっていきました。
0：
0：人々の暮らしが豊かになった事で、お祭りの数も増えて行き、七夕のお祭りは、今まで以上に大きなものになりました。
0：人々は、ますます神様に感謝をし、七夕には国中で織姫様と彦星様の幸せを願いました。
0：
0：ところがです。
0：この豊な国に大変な事が起きてしまいました。
0：ある年から、夜空を見上げても、天の川が見えなくなってしまったのです。
0：どうしたのでしょうか、あんなに綺麗な天の川だったのに、すっかり無くなってしまいました。
0：
0：人々はとても驚きましたが、それよりも、織姫様と彦星様の事が心配でなりませんでした。
0：
0：天の川がなければ、彦星様は船を出す事が出来ません。
0：無理に渡ろうとすると、彦星様は地上に堕ちてしまいます。
0：
0：このままでは、二人はずっと会う事が出来ないままです。
0：もう、七夕の祭りどころではありません。
0：
0：人々は、どうしてよいのか分かりませんでした。
0：困ったあげく、神様に聞いてみようと、みんなで、お社（やしろ）に向かいました。
0：
0：お社に着くと、みんなが神様に向かって祈りを捧げます。
0：
0：「神様、どうして天の川が無くなってしまったのでしょうか？
0：どうか天の川を元に戻りますように」
0：
0：すると、みんなの願いた通じたのか、神様が初めて人の前に姿を現しました。
0：
0：人々は自分たちの前に現れて下さった神様に感謝をし、そして神様に訪ねました。
0：
0：「神様、天の川が無くなってしまいました。
0：どうして、天の川が無くなってしまったのでしょうか？」
0：
0：その時、神様は困った顔をしました。
0：
0：「どうか、天の川を元に戻してください」
0：
0：人々は一生懸命に神様にお願いをしました。
0：すると、神様が答えました。
0：
0：「天の川が無くなったのは、お前たちが田んぼを沢山作ったからなのだ」
0：
0：「私達がですか？
0：どうして田んぼを沢山作ると、天の川が無くなってしまうのですか？」
0：
0：人々は驚いて、神様に尋ねました。
0：
0：「それはな、
0：お前たちの田んぼには水がいるだろ、だから、私は雨を降らせて田んぼに水をあげていたのだ」
0：しかし、田んぼが沢山になってしまったから、水が足らなくなってしまったのだよ。
0：それで、天の川の水を使って雨を降らせたのだよ」
0：
0：神様は、そう答えました。
0：
0：「そんなの酷すぎます。
0：このままでは、織姫様と彦星様が会えなくなってしまいます。
0：私達は田んぼの数を減らしますから、天の川に水を返してあげてください」
0：
0：人々は必死に神様にお願いをしました。
0：
0：しかし、神様は首を横に振ります。
0：「だがな、天の川の水を使ってくれと言ったのは、織姫と彦星なのだよ」
0：
0：「なんですって、織姫様と彦星様が？」
0：
0：人々は驚（おどろ）きました。
0：
0：「あぁ、そうなのだよ、
0：織姫と彦星は、私達はもう会えなくなってもいいから、お前たちに、お腹いっぱいお米を食べて欲しいと言っておったよ。」
0：
0：「織姫様と彦星様が、そんな事を・・・」
0：
0：「あぁ
0：いつもいつも、地上から自分たちを見ていてくれた、お前たちには感謝をしているそうだ。」
0：だから、田んぼの数を減らして、天の川に水を返しても、織姫と彦星は喜ばないよ」
0：
0：「そんな・・織姫様・・・彦星様・・・」
0：
0：人々は神様の話を聞いて泣きました。
0：織姫様と彦星様の優しさに、
0：そして、田んぼを沢山作ってしまった事を後悔（こうかい）して泣きました。
0：
0：どれだけ泣いた事でしょうか。
0：暫く泣いた後、一人の青年が涙を拭いて、神様に尋ねました。
0：
0：「私達は、どうすればいいですか？
0：どうすれば、天の川に水を返す事が出来ますか？」
0：
0：青年は必死に神様に問いかけました。
0：その必死さに神様が答えました。
0：
0：「お前たちの田んぼは、雨水が無ければ枯れてしまうだろ？
0：だから、雨水がなくても田んぼが枯れないようにすればいいのだよ。」
0：
0：「でも、どうやればいいか、私達には分かりません」
0：
0：「そうか・・・では、私が教えてやろう」
0：
0：そういうと、神様は田んぼが枯れずにすむ方法を教えました。
0：
0：人々は、神様が教えてくれた通り、いくつも井戸を掘りました。
0：
0：でも、それは、とてもとても辛（つら）く、大変な作業でした。
0：硬い地面を一生懸命に掘りました。
0：思い石を皆で運びました。
0：夏には日差しの暑さに耐えながら、冬には雪に凍えながら
0：毎日、毎日、人々は汗を流して働きました。
0：
0：井戸だけではありません。
0：遠くの川から水を引いて、田んぼに水が流れるように、沢山の道を掘って川も作りました。
0：
0：何年も何年も大変な作業は続きました。
0：それでも、人々は、織姫様と彦星様が再び会えるようにと、必死で頑張りました。
0：
0：人々が頑張ったお陰で、天の川にも少しずつ水が返って行きました。
0：そして、何年かが過ぎた頃、天の川はすっかり元の姿に戻ったのでした。
0：
0：人々はとても喜びました。
0：その年の七月には、これまで出来なかった七夕のお祭りを行いました。
0：みんなが大好きだった、あの七夕のお祭りが返って来たのです。
0：
0：その年の七夕の空は、雲ひとつない、晴れ渡った空となりました。
0：夜空には、昔見ていた時と同じ、天の川が流れています。
0：満天の星空に、まるで絹を流したような、キラキラと輝く、とてもとても美しい天の川です。
0：
0：「きっと今年は、彦星様は無事に川を渡り、織姫様に会えた事だろう」
0：人々は、夜空に流れる美しい天の川を見つめながら、二人の幸せを祈りました。
0：
0：そして、空の上では、何年も会えなかった織姫と彦星が、互いに手を取り合いながら、
0：優しい眼差して、地上を眺めていました。
0：
0：おしまい。
0：