台本概要
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タイトル | 萌え萌えプロデュース大作戦! |
---|---|
作者名 | akodon (@akodon1) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(不問2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【アドリブ大歓迎!】 メイドカフェをプロデュースすることになった学生と、うっかり巻き込まれた親友のコメディです。 老いも若きも男も女も、みんな一緒に「萌え萌えキュン♡」!! 己の欲望の為だけに書いた。 いつもより内容はないよう。フフッ・・・ 699 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
生徒1 | 不問 | 69 | メイドカフェについての知識ゼロなのに、プロデューサーに抜擢された陰キャ。 |
生徒2 | 不問 | 69 | メイドカフェについての知識ゼロなのに、萌え萌えキュンをさせられることになった可哀想な人。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
生徒1:「プロデューサーを任されました」
生徒2:「なんの?」
生徒1:「学祭でやる、メイドカフェのプロデューサーです」
生徒2:「ほう」
生徒1:「プロデューサーです。大役(たいやく)です」
生徒2:「おめでとう。おめでとう」
生徒1:「ありがとう、ありがとう。
生徒1:ちなみにプロデューサーだけど、メイドカフェについて何一つ理解してません。
生徒1:ありがとう、ありがとう!」
生徒2:「・・・ちょっと待て。
生徒2:それなら、なんで引き受けた?」
生徒1:「えっ、それ聞いちゃう・・・?」
生徒2:「いや、聞くでしょ。
生徒2:それを聞かなきゃ先に進まないでしょ」
生徒1:「実は、クラスで『メイドカフェにめちゃめちゃ行ってそうな人ナンバーワン』という称号を与えられまして・・・」
生徒2:「ほう・・・してメイドカフェに行ったご経験は?」
生徒1:「無いです。ええ、一回も」
生徒2:「それなら正直に行ったことないです、って言えば良かったでしょ?」
生徒1:「あの時は、みんなの期待を裏切ることが出来なかった・・・ッ」
生徒2:「いやいや、引き受けた後で『ごめーん!
生徒2:実はメイドカフェって行ったこと無いんだよねー!』って言うよりはマシでしょ?」
生徒1:「マシだけど、プロデューサーという甘美(かんび)で、偉そうな響きに承認欲求が勝った」
生徒2:「負けないで素直な心。もう少し走り抜けて」
生徒1:「サライも名曲」
生徒2:「二十四時間テレビの話はしとらん」
生徒1:「あっ、さいですか」
生徒2:「んで、どうすんのよ?
生徒2:何も知らない状態で、これからどうやってメイドカフェをプロデュースするのよ」
生徒1:「だから、隣のクラスからわざわざ親友のキミを呼んだんじゃないか」
生徒2:「は?」
生徒1:「メイドカフェ・・・詳しいでしょ・・・?」
生徒2:「いや、詳しくねぇわ」
生徒1:「またまたぁ。
生徒1:実は会員証とかポイントカードとか、年間パスポートとか持ってるんでしょ?」
生徒2:「持ってねぇわ。何を根拠に言ってるんだ」
生徒1:「・・・裏切り者」
生徒2:「勝手に期待して、勝手に失望するのやめてくれる?ビンタするよ?」
生徒1:「絶望した!!!」
生徒2:「ねぇ、そのネタわかったら結構な古(いにしえ)のオタクなのに、メイドカフェ知らんってどういうことよ」
生徒1:「も~~~!どうすればいい~?
生徒1:『メイドカフェの事なら任せろ!』って言っちゃったよォ~!
生徒1:クラスのみんなの前で堂々と、胸張って言っちゃったよォ~!」
生徒2:「知りません。一時の感情に流されて見栄を張ったお前が悪い」
生徒1:「純情な感情が空回りした、あの時の自分を叱ってやりたい」
生徒2:「残念だけど、後悔したところであの時のお前には三分の一も伝わらないよ」
生徒1:「ああ・・・おしまいだ・・・。
生徒1:あれだけ大口叩いておいて、『実はメイドカフェについて全然知らないんだ~!ごめんね!テヘペロ☆』なんて言ったら、明日からみんな口きいてくれなくなる・・・」
生徒2:「いやいや・・・そういうのは、できる限り早めに言っておいた方が良いと思うよ?」
生徒1:「クラス内のヒエラルキー最下層、陰キャコミュ障人間のウルトラマイナス思考を舐めるな!
生徒1:正直に知らないと言った後のクラスの空気を想像しただけで、胃に穴が空きそうだ!」
生徒2:「でも、今ならまだ傷は浅くて済むって・・・」
生徒1:「浅かろうと深かろうと痛いのは嫌だァー!
生徒1:できれば無傷でどうにかしたぁい!」
生徒2:「全く・・・しょうがないなぁ・・・。
生徒2:手貸すから一緒にメイドカフェについて調べるぞ」
生徒1:「おお!ありがとう友よ!我が真友(しんゆう)!
生徒1:真の友と書いて真友!フゥーーーー!」
生徒2:「うるさいうるさい。暑苦しいから抱きつくな」
生徒1:「えー、それではまず、メイドカフェの基本その一!
生徒1:店員さんの衣装はメイド服!」
生徒2:「そりゃあ、メイドカフェだからなぁ」
生徒1:「その二!お客様にメイドさんが食事や飲み物を提供する!」
生徒2:「そりゃあ、カフェだからなぁ」
生徒1:「その三!お客様のことは『ご主人様』または『お嬢様』と呼ぶ!」
生徒2:「・・・なんだ、案外分かってんじゃん。
生徒2:そこまで分かってれば大丈夫だって・・・」
生徒1:「いや・・・問題はここからだ・・・」
生徒2:「は?」
生徒1:「萌える接客とは、どうすればいいんだ・・・?」
生徒2:「えっ、普通にメイド服着てお出迎えして、可愛らしくニコニコしながら接客すればいいんじゃないの?」
生徒1:「・・・甘い」
生徒2:「え・・・?」
生徒1:「甘い、甘すぎる・・・!
生徒1:お前はメイドカフェについて何もわかっちゃいない・・・!
生徒1:そんな考えじゃ、真のメイドカフェには辿り着けないぞ!」
生徒2:「いや、メイドカフェやるのお前のクラスだし。
生徒2:さっきまで何もわかんない、どうしよー!って大騒ぎしてたお前に言われたくないんですけど」
生徒1:「メイド道、極めたくないのか?」
生徒2:「なに急に求道者(きゅうどうしゃ)みたいになってんの?」
生徒1:「答えろ!メイド道、極めたくないのか?」
生徒2:「ないですけど」
生徒1:「もう一度聞く。
生徒1:メイド道、極めたくないのか?」
生徒2:「・・・これ、もしや選択肢が『イエス』か『はい』しかないパターン?」
生徒1:「お願いだよォ~!
生徒1:一緒にメイド道走ろうよォ~!
生徒1:二十四時間、最後まで走り抜けようよォ~!」
生徒2:「縋り付くな。耳元で騒ぐな。
生徒2:あと二十四時間は絶対無理」
生徒1:「んで、一緒に求めてくれるんでしょ?メイド道」
生徒2:「できれば求めたくないんだけど・・・」
生徒1:「求めてくれるよね?メイド道」
生徒2:「アッ・・・はい・・・」
生徒1:「よし!そうと決まれば、まずは来店のご挨拶から練習しよう!
生徒1:えーっと、なになに・・・来店時の挨拶の定番は『いらっしゃいませ!ご主人様!』
生徒1:・・・はいっ!リピートアフタミー!」
生徒2:「えっ・・・何で?」
生徒1:「いや、求めるって言ったじゃん。メイド道」
生徒2:「あれは・・・流れ的に仕方なく言っただけで・・・」
生徒1:「はい!リピートアフタミー!
生徒1:『いらっしゃいませ!ご主人様!』」
生徒2:「い、いらっしゃいませ・・・ご主人様」
生徒1:「声が小さい!もう一回!」
生徒2:「いらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「心が篭ってない!もう一回!」
生徒2:「いらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「萌えが足りない!もういっか・・・」
生徒2:「・・・ねぇ!」
生徒1:「なんだい?」
生徒2:「何でこっちがやらされてんの?」
生徒1:「えっ?」
生徒2:「だからぁ、何で無関係の自分が巻き込まれてんの?」
生徒1:「・・・えっ?」
生徒2:「どちらかと言えば、練習すべきなのはアナタの方でしょ?」
生徒1:「いや、やりたそうだったから・・・」
生徒2:「そう見えたんなら、お前の目は節穴だよ」
生徒1:「だってほら、自分、プロデュースしなきゃいけない側だからさ。
生徒1:指導の方法、学ばなきゃじゃん?」
生徒2:「そりゃあ、まぁ・・・そうだろうけど・・・」
生徒1:「頼むよォ・・・お前だけが頼りなんだよ・・・。
生徒1:このまま、クラスの窓際族(まどぎわぞく)になるのは嫌なんだ。
生徒1:昼間、公園のベンチでワンカップ片手に時間を潰すサラリーマンにはなりたくないんだ・・・。
生徒1:陰キャの友人を助けると思って・・・なっ?」
生徒2:「ま、まぁ・・・そこまで言うなら・・・
生徒2:少しくらい手伝ってやっても・・・」
生徒1:「よし!そうと決まれば次行こう次!
生徒1:はいっ!お見送りの時のご挨拶!
生徒1:『いってらっしゃいませ!ご主人様!』」
生徒2:「えっ、切り替え早っ」
生徒1:「はい!リピートアフタミー!
生徒1:『いってらっしゃいませ!ご主人様!』」
生徒2:「い、いってらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「ほらほら!そんなんじゃご主人様出かけられないよー!
生徒1:はい、もう一回!」
生徒2:「いってらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「敬愛するご主人様と離れたくない・・・
生徒1:でも、今日も一日頑張ってほしい・・・。
生徒1:そんな切ない想いを込めて、もう一回!」
生徒2:「いってらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「いいよいいよ~。ブラボーブラボー。
生徒1:なかなかメイド道、分かってきたんじゃなぁい?」
生徒2:「こいつ・・・プロデュース力が少しずつ上がってきてる・・・ッ」
生徒1:「さぁさぁ!楽しくなって来たところで、メイドカフェの醍醐味(だいごみ)とも言えるこのセリフいってみましょう!
生徒1:はい!食事を美味しくする為の魔法の呪文!
生徒1:『美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡』」
生徒2:「えっ・・・ええ・・・?」
生徒1:「どうした?」
生徒2:「い、言わなきゃダメ?」
生徒1:「ダメでしょー。
生徒1:これを言えなきゃ一流のメイドさんにはなれないよー?」
生徒2:「いや別に、なる気ないんですけど・・・」
生徒1:「キミならなれるよっ!自分を信じて進もう!
生徒1:そして、いつか・・・メイド界の星になろう!」
生徒2:「くっ・・・そんなキラキラした目でこっち見るなよォ・・・。わかった・・・やる・・・やるからぁ・・・」
0:(以下、お互いの信頼に亀裂が入らない程度に続けて頂いても結構です)
生徒1:「よし!はい、じゃあ頑張ってー!
生徒1:はいっ!『美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡』」
生徒2:「お、美味しくなぁれ・・・萌え萌えキュン・・・」
生徒1:「恥じらいは捨てて!愛を込めて!はいっ」
生徒2:「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン!」
生徒1:「いいよー!声は出てきた!
生徒1:もっともっと愛を込めて!可愛らしく!はいっ」
生徒2:「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡」
生徒1:「あーいいよいいよ~!最高だよー!
生徒1:でももうちょっといける!キミならもっと高みを目指せる!
生徒1:さぁ、もう一回!」
生徒2:「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡」
生徒1:「エクセレント!マーベラス!
生徒1:今キミはメイド界の星になったッ!」
生徒2:「ぜぇ・・・ぜぇ・・・やっと終わった・・・?」
生徒1:「いやぁー!助かったよー!
生徒1:おかげで何となく感じは掴めた。
生徒1:これでなんとかメイドカフェのプロデュースできそうだよ~!」
生徒2:「そっか・・・それは・・・良かったな・・・」
生徒1:「うん!世界中のメイド好きを唸らせるような、最高のメイドカフェ作ってみせるからね!
生徒1:是非とも遊びに来てねー!」
0:(しばらくの間)
生徒2:「おーっす。どうよ、学祭の準備、進んでる?」
生徒1:「おお、お疲れー。
生徒1:おかげさまで順調に進んでるよー」
生徒2:「へぇ、そりゃあ良かった・・・って、何だ、この看板・・・?
生徒2:なんでこんなおどろおどろしいデザインしてるの?」
生徒1:「ああ、実は普通にメイドカフェやっても、インパクトが無いって話になってさぁー。
生徒1:それならお化け屋敷風にして冥土(めいど)カフェはどうよ!って事になって・・・」
生徒2:「・・・へぇ」
生徒1:「いやぁ、全然メイドさん関係なくなっちゃったから、プロデューサーの重圧からも解放されたし。
生徒1:これで心穏やかにこれからも学校生活送れるわー」
生徒2:「・・・じゃあ、羞恥心をかなぐり捨てて、メイド道を走らされたあの日の苦労は?」
生徒1:「あっ、ごめーん!
生徒1:残念ながら、全部無駄になっちゃったぁ!テヘペロ☆」
生徒2:「そうかそうか・・・ははは」
生徒1:「すまんな親友・・・いや真友。
生徒1:でもお前の『萌え萌えキュン♡』最高に可愛かったぜ。
生徒1:これからもメイド道、駆け抜けてってくれよな!」
生徒2:「・・・オーケー。じゃあ、まず手始めに・・・」
0:(少し間)
生徒2:「お前を冥土に送ってやろうかァ!?」
生徒1:「ひえええええ!すみませぇん!」
0:~FIN~
生徒1:「プロデューサーを任されました」
生徒2:「なんの?」
生徒1:「学祭でやる、メイドカフェのプロデューサーです」
生徒2:「ほう」
生徒1:「プロデューサーです。大役(たいやく)です」
生徒2:「おめでとう。おめでとう」
生徒1:「ありがとう、ありがとう。
生徒1:ちなみにプロデューサーだけど、メイドカフェについて何一つ理解してません。
生徒1:ありがとう、ありがとう!」
生徒2:「・・・ちょっと待て。
生徒2:それなら、なんで引き受けた?」
生徒1:「えっ、それ聞いちゃう・・・?」
生徒2:「いや、聞くでしょ。
生徒2:それを聞かなきゃ先に進まないでしょ」
生徒1:「実は、クラスで『メイドカフェにめちゃめちゃ行ってそうな人ナンバーワン』という称号を与えられまして・・・」
生徒2:「ほう・・・してメイドカフェに行ったご経験は?」
生徒1:「無いです。ええ、一回も」
生徒2:「それなら正直に行ったことないです、って言えば良かったでしょ?」
生徒1:「あの時は、みんなの期待を裏切ることが出来なかった・・・ッ」
生徒2:「いやいや、引き受けた後で『ごめーん!
生徒2:実はメイドカフェって行ったこと無いんだよねー!』って言うよりはマシでしょ?」
生徒1:「マシだけど、プロデューサーという甘美(かんび)で、偉そうな響きに承認欲求が勝った」
生徒2:「負けないで素直な心。もう少し走り抜けて」
生徒1:「サライも名曲」
生徒2:「二十四時間テレビの話はしとらん」
生徒1:「あっ、さいですか」
生徒2:「んで、どうすんのよ?
生徒2:何も知らない状態で、これからどうやってメイドカフェをプロデュースするのよ」
生徒1:「だから、隣のクラスからわざわざ親友のキミを呼んだんじゃないか」
生徒2:「は?」
生徒1:「メイドカフェ・・・詳しいでしょ・・・?」
生徒2:「いや、詳しくねぇわ」
生徒1:「またまたぁ。
生徒1:実は会員証とかポイントカードとか、年間パスポートとか持ってるんでしょ?」
生徒2:「持ってねぇわ。何を根拠に言ってるんだ」
生徒1:「・・・裏切り者」
生徒2:「勝手に期待して、勝手に失望するのやめてくれる?ビンタするよ?」
生徒1:「絶望した!!!」
生徒2:「ねぇ、そのネタわかったら結構な古(いにしえ)のオタクなのに、メイドカフェ知らんってどういうことよ」
生徒1:「も~~~!どうすればいい~?
生徒1:『メイドカフェの事なら任せろ!』って言っちゃったよォ~!
生徒1:クラスのみんなの前で堂々と、胸張って言っちゃったよォ~!」
生徒2:「知りません。一時の感情に流されて見栄を張ったお前が悪い」
生徒1:「純情な感情が空回りした、あの時の自分を叱ってやりたい」
生徒2:「残念だけど、後悔したところであの時のお前には三分の一も伝わらないよ」
生徒1:「ああ・・・おしまいだ・・・。
生徒1:あれだけ大口叩いておいて、『実はメイドカフェについて全然知らないんだ~!ごめんね!テヘペロ☆』なんて言ったら、明日からみんな口きいてくれなくなる・・・」
生徒2:「いやいや・・・そういうのは、できる限り早めに言っておいた方が良いと思うよ?」
生徒1:「クラス内のヒエラルキー最下層、陰キャコミュ障人間のウルトラマイナス思考を舐めるな!
生徒1:正直に知らないと言った後のクラスの空気を想像しただけで、胃に穴が空きそうだ!」
生徒2:「でも、今ならまだ傷は浅くて済むって・・・」
生徒1:「浅かろうと深かろうと痛いのは嫌だァー!
生徒1:できれば無傷でどうにかしたぁい!」
生徒2:「全く・・・しょうがないなぁ・・・。
生徒2:手貸すから一緒にメイドカフェについて調べるぞ」
生徒1:「おお!ありがとう友よ!我が真友(しんゆう)!
生徒1:真の友と書いて真友!フゥーーーー!」
生徒2:「うるさいうるさい。暑苦しいから抱きつくな」
生徒1:「えー、それではまず、メイドカフェの基本その一!
生徒1:店員さんの衣装はメイド服!」
生徒2:「そりゃあ、メイドカフェだからなぁ」
生徒1:「その二!お客様にメイドさんが食事や飲み物を提供する!」
生徒2:「そりゃあ、カフェだからなぁ」
生徒1:「その三!お客様のことは『ご主人様』または『お嬢様』と呼ぶ!」
生徒2:「・・・なんだ、案外分かってんじゃん。
生徒2:そこまで分かってれば大丈夫だって・・・」
生徒1:「いや・・・問題はここからだ・・・」
生徒2:「は?」
生徒1:「萌える接客とは、どうすればいいんだ・・・?」
生徒2:「えっ、普通にメイド服着てお出迎えして、可愛らしくニコニコしながら接客すればいいんじゃないの?」
生徒1:「・・・甘い」
生徒2:「え・・・?」
生徒1:「甘い、甘すぎる・・・!
生徒1:お前はメイドカフェについて何もわかっちゃいない・・・!
生徒1:そんな考えじゃ、真のメイドカフェには辿り着けないぞ!」
生徒2:「いや、メイドカフェやるのお前のクラスだし。
生徒2:さっきまで何もわかんない、どうしよー!って大騒ぎしてたお前に言われたくないんですけど」
生徒1:「メイド道、極めたくないのか?」
生徒2:「なに急に求道者(きゅうどうしゃ)みたいになってんの?」
生徒1:「答えろ!メイド道、極めたくないのか?」
生徒2:「ないですけど」
生徒1:「もう一度聞く。
生徒1:メイド道、極めたくないのか?」
生徒2:「・・・これ、もしや選択肢が『イエス』か『はい』しかないパターン?」
生徒1:「お願いだよォ~!
生徒1:一緒にメイド道走ろうよォ~!
生徒1:二十四時間、最後まで走り抜けようよォ~!」
生徒2:「縋り付くな。耳元で騒ぐな。
生徒2:あと二十四時間は絶対無理」
生徒1:「んで、一緒に求めてくれるんでしょ?メイド道」
生徒2:「できれば求めたくないんだけど・・・」
生徒1:「求めてくれるよね?メイド道」
生徒2:「アッ・・・はい・・・」
生徒1:「よし!そうと決まれば、まずは来店のご挨拶から練習しよう!
生徒1:えーっと、なになに・・・来店時の挨拶の定番は『いらっしゃいませ!ご主人様!』
生徒1:・・・はいっ!リピートアフタミー!」
生徒2:「えっ・・・何で?」
生徒1:「いや、求めるって言ったじゃん。メイド道」
生徒2:「あれは・・・流れ的に仕方なく言っただけで・・・」
生徒1:「はい!リピートアフタミー!
生徒1:『いらっしゃいませ!ご主人様!』」
生徒2:「い、いらっしゃいませ・・・ご主人様」
生徒1:「声が小さい!もう一回!」
生徒2:「いらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「心が篭ってない!もう一回!」
生徒2:「いらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「萌えが足りない!もういっか・・・」
生徒2:「・・・ねぇ!」
生徒1:「なんだい?」
生徒2:「何でこっちがやらされてんの?」
生徒1:「えっ?」
生徒2:「だからぁ、何で無関係の自分が巻き込まれてんの?」
生徒1:「・・・えっ?」
生徒2:「どちらかと言えば、練習すべきなのはアナタの方でしょ?」
生徒1:「いや、やりたそうだったから・・・」
生徒2:「そう見えたんなら、お前の目は節穴だよ」
生徒1:「だってほら、自分、プロデュースしなきゃいけない側だからさ。
生徒1:指導の方法、学ばなきゃじゃん?」
生徒2:「そりゃあ、まぁ・・・そうだろうけど・・・」
生徒1:「頼むよォ・・・お前だけが頼りなんだよ・・・。
生徒1:このまま、クラスの窓際族(まどぎわぞく)になるのは嫌なんだ。
生徒1:昼間、公園のベンチでワンカップ片手に時間を潰すサラリーマンにはなりたくないんだ・・・。
生徒1:陰キャの友人を助けると思って・・・なっ?」
生徒2:「ま、まぁ・・・そこまで言うなら・・・
生徒2:少しくらい手伝ってやっても・・・」
生徒1:「よし!そうと決まれば次行こう次!
生徒1:はいっ!お見送りの時のご挨拶!
生徒1:『いってらっしゃいませ!ご主人様!』」
生徒2:「えっ、切り替え早っ」
生徒1:「はい!リピートアフタミー!
生徒1:『いってらっしゃいませ!ご主人様!』」
生徒2:「い、いってらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「ほらほら!そんなんじゃご主人様出かけられないよー!
生徒1:はい、もう一回!」
生徒2:「いってらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「敬愛するご主人様と離れたくない・・・
生徒1:でも、今日も一日頑張ってほしい・・・。
生徒1:そんな切ない想いを込めて、もう一回!」
生徒2:「いってらっしゃいませ!ご主人様!」
生徒1:「いいよいいよ~。ブラボーブラボー。
生徒1:なかなかメイド道、分かってきたんじゃなぁい?」
生徒2:「こいつ・・・プロデュース力が少しずつ上がってきてる・・・ッ」
生徒1:「さぁさぁ!楽しくなって来たところで、メイドカフェの醍醐味(だいごみ)とも言えるこのセリフいってみましょう!
生徒1:はい!食事を美味しくする為の魔法の呪文!
生徒1:『美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡』」
生徒2:「えっ・・・ええ・・・?」
生徒1:「どうした?」
生徒2:「い、言わなきゃダメ?」
生徒1:「ダメでしょー。
生徒1:これを言えなきゃ一流のメイドさんにはなれないよー?」
生徒2:「いや別に、なる気ないんですけど・・・」
生徒1:「キミならなれるよっ!自分を信じて進もう!
生徒1:そして、いつか・・・メイド界の星になろう!」
生徒2:「くっ・・・そんなキラキラした目でこっち見るなよォ・・・。わかった・・・やる・・・やるからぁ・・・」
0:(以下、お互いの信頼に亀裂が入らない程度に続けて頂いても結構です)
生徒1:「よし!はい、じゃあ頑張ってー!
生徒1:はいっ!『美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡』」
生徒2:「お、美味しくなぁれ・・・萌え萌えキュン・・・」
生徒1:「恥じらいは捨てて!愛を込めて!はいっ」
生徒2:「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン!」
生徒1:「いいよー!声は出てきた!
生徒1:もっともっと愛を込めて!可愛らしく!はいっ」
生徒2:「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡」
生徒1:「あーいいよいいよ~!最高だよー!
生徒1:でももうちょっといける!キミならもっと高みを目指せる!
生徒1:さぁ、もう一回!」
生徒2:「美味しくなぁれ!萌え萌えキュン♡」
生徒1:「エクセレント!マーベラス!
生徒1:今キミはメイド界の星になったッ!」
生徒2:「ぜぇ・・・ぜぇ・・・やっと終わった・・・?」
生徒1:「いやぁー!助かったよー!
生徒1:おかげで何となく感じは掴めた。
生徒1:これでなんとかメイドカフェのプロデュースできそうだよ~!」
生徒2:「そっか・・・それは・・・良かったな・・・」
生徒1:「うん!世界中のメイド好きを唸らせるような、最高のメイドカフェ作ってみせるからね!
生徒1:是非とも遊びに来てねー!」
0:(しばらくの間)
生徒2:「おーっす。どうよ、学祭の準備、進んでる?」
生徒1:「おお、お疲れー。
生徒1:おかげさまで順調に進んでるよー」
生徒2:「へぇ、そりゃあ良かった・・・って、何だ、この看板・・・?
生徒2:なんでこんなおどろおどろしいデザインしてるの?」
生徒1:「ああ、実は普通にメイドカフェやっても、インパクトが無いって話になってさぁー。
生徒1:それならお化け屋敷風にして冥土(めいど)カフェはどうよ!って事になって・・・」
生徒2:「・・・へぇ」
生徒1:「いやぁ、全然メイドさん関係なくなっちゃったから、プロデューサーの重圧からも解放されたし。
生徒1:これで心穏やかにこれからも学校生活送れるわー」
生徒2:「・・・じゃあ、羞恥心をかなぐり捨てて、メイド道を走らされたあの日の苦労は?」
生徒1:「あっ、ごめーん!
生徒1:残念ながら、全部無駄になっちゃったぁ!テヘペロ☆」
生徒2:「そうかそうか・・・ははは」
生徒1:「すまんな親友・・・いや真友。
生徒1:でもお前の『萌え萌えキュン♡』最高に可愛かったぜ。
生徒1:これからもメイド道、駆け抜けてってくれよな!」
生徒2:「・・・オーケー。じゃあ、まず手始めに・・・」
0:(少し間)
生徒2:「お前を冥土に送ってやろうかァ!?」
生徒1:「ひえええええ!すみませぇん!」
0:~FIN~