台本概要

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タイトル 恋愛成就の処方箋4
作者名 Danzig
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(女2、不問1)
時間 20 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 オクテで両思いなのに前に進まない男女が、人外の力を借りてカップルになるというファンタジック・ラブストーリーです。

このシリーズの1~4まであります
1:男性主人公編
2:BL編
3:女性主人公編
4:GL編

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
千秋 113 主人公
63 千秋が思いを寄せる同期入社の女性
白狐 不問 62 人外
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0:恋愛成就の処方箋4 GL編 0: 0:同期入社の二人 0:残業を終えて会社からの帰り道 0:女性1 斎藤 千秋(さいとう ちあき) 0:女性2 沖田 渚(おきた なぎさ) 0: 渚:もう、随分暖かくなって来たわね : 千秋:そうね、そろそろ桜が咲くころよね : 渚:桜かぁ・・今年はお花見行きたいなぁ : 千秋:そうよね : 渚:・・・ 渚:そういえばさ、私達、同期入社して5年経つわよね、もう同期は、私達だけになっちゃったよね : 千秋:そうよね・・女は結婚、男は転職したりで、結局、残ったのは私達二人だけ : 渚:うん・・ 渚: 渚:そうだ、千秋、今日、晩御飯どうする? 渚:何か食べて帰る? : 千秋:うーん、そうね、行こうか 渚:きゃぁ(千秋の声を遮るように) : 渚:急に風が・・目に砂が入っちゃって : 千秋:大丈夫? : 渚:ええ、何とか取れたわ、春の風は突然ふくから・・ 渚:私も千秋みたいに眼鏡だったらなぁ : 千秋:でも、これはこれで面倒なもんよ : 渚:そっか・・で、どうする? : 千秋:・・いや、今日は辞めておこうかな : 渚:そう・・じゃぁ、また明日ね 渚:私、こっちだから : 千秋:う、うん、じゃぁ・・ 0: 0:一人になる千秋 0: 千秋:あああああ 千秋:どうして「行く」って言わなかったのよ、私! 千秋: 千秋:折角、最初は勇気を出して、行くって言えたのに、あんな所で、風が吹くなんて・・ 千秋: 千秋:でも、改めて聞かれたら言えなくなるなんて・・ホント情けないな 千秋: 千秋:「いざ」という時に、勇気が出ないなんて 千秋:でも、女の私が渚の事好きだって事、バレちゃうと不味いしな 千秋: 千秋:あぁーあ、渚との食事が・・仕方ない、コンビニで弁当でも買って帰ろか 0: 0:古い神社の前を通る 0: 千秋:ん? 千秋:何ここ・・神社? 千秋:何か古い感じだけど・・赤い鳥居がいくつも連なってて、幻想的というか・・ 千秋:でも、こんな所に、神社なんてあったかな? 千秋: 千秋:鳥居がずっと奥まで続いてるのね・・狛犬の代りにキツネ・・ 千秋:でも、ここで神社の前を通ったのも、何かの縁だし、拝んでいこうかな・・ 0: 0:パンパン 0: 千秋:渚と友達になって、もう五年 千秋:どうか、今年こそ、出来れば渚とお付き合いがしたいです。 千秋:渚に告白出来るように・・私に勇気をください 0: 0:パンパン 0: 0:渚帰宅 0: 渚:ただいまぁ・・はぁ・・疲れた・・ 渚: 渚:もう、千秋、こっちが、あんなにアピールしているんだからさぁ 渚:ちっとは、気づいてよ 渚: 渚:まぁ、私が誘えばいい話なんだけど 渚:やっぱり、女が女を誘うって思うと、声が詰まっちゃうのよねぇ・・意識し過ぎかな 渚: 渚:でも、千秋って、私の事どう思ってるんだろう・・ 渚: 渚:つぅ・・たたた(頭痛) 渚:ここ最近、時折この変な頭痛がするのよね・・ストレスかなぁ・・ 渚:もう、今日は薬のんで早く寝よ 0: 0:千秋帰宅 0: 千秋:ただいまぁ・・はぁ・・疲れた・・ 千秋: 千秋:今日も、渚を誘えなかった・・いざ誘おうと思うと、喉が固まっちゃうのよね 千秋:なんか、蛇に睨まれたカエルというか・・ 千秋:それに、タイミングも悪いのよ、急に風が吹いたりとかさ 千秋: 千秋:でも、今日の、渚の、お花見の話・・ 千秋:あれってやっぱり、お花見に一緒に行こうって事かな・・ : 白狐:そんなもん、そうに決まっとろうが! : 千秋:え! なに? 声? どこから? 千秋:えーー! : 白狐:まぁ、まぁ、落ち着け : 千秋:お、お、落ち着ける訳ないでしょ! 千秋:何よ、この声! : 白狐:ワシの声じゃよ、ワシは狐(きつね)、名は白狐 白狐:「びゃっこ」って言うてもトラじゃないからな、あんな猫と、一緒にするでないぞ : 千秋:狐? 何で、声だけ聞こえるのよ : 白狐:ワシは霊じゃからな、まぁ、そのうち、お主に姿も見せる事もあるじゃろうて : 千秋:霊? 幽霊! : 白狐:霊って言っても、別にお主を取って食おうってわけじゃない。 白狐:ワシは、お主が頼むから、わざわざ、来てやったのじゃよ : 千秋:私は、幽霊なんかに、ものを頼んでないわよ : 白狐:ワシは幽霊ではな・・・まぁ、細かい事は面倒じゃ 白狐:お主、今日の帰りに、神社に寄(よ)って、お参りしたろ? 白狐:んでもって、「勇気をください」とかって、願掛(がんか)けしたろ? : 千秋:たしかに、したけど・・ : 白狐:だから、来てやったのじゃ、お主、何とかちゃんと、デートがしたいのじゃろ? 白狐:だったら、ワシが協力してやるぞ : 千秋:ホント? でも、私と渚は女同士だけど、白狐的には大丈夫なの? : 白狐:はは、そんな事、構やせん。性別なんぞ、小さな話じゃ : 千秋:そうなの? : 白狐:ああ、そうじゃ、だから大丈夫、ワシが何とかしてやろう 白狐:で、お主、名前は? : 千秋:私は千秋 : 白狐:千秋、お主、勇気が欲しいんじゃったな? 白狐:うーん、じゃが勇気なんぞ、お主次第だでのぉ : 千秋:そうなんだけど、何かないの? 道具とか薬とか : 白狐:まぁ、そういうのが、あるには、あるんじゃが・・あまりお勧めはせんぞ : : 千秋:そんなのがあるなら、教えてよ 千秋:どんなの? : 白狐:うーん、「武者玉(むしゃだま)」と言うんじゃがな、ほら、こんなやつ 0: 0:武者玉を見せる白狐 0: 千秋:光る玉が、浮いてる・・ : 白狐:これを使うと、勇気が千倍になるんじゃ、今は、一つしかないがな : 千秋:何それ! 凄いじゃない 千秋:私に使わせてよ! : 白狐:ただし、これを使うには、条件がある 白狐:使う人間の魂と交換という条件がな : 千秋:魂と交換? 千秋:それって死んじゃうって事? : 白狐:そうじゃ。武者玉を使って、事を成した後に、魂を貰(もら)って天に届ける : 千秋:それじゃ、意味ないじゃない、誰が使うの、そんなもの : 白狐:そう言うけどな、昔は割と使われたんじゃぞ 白狐:そもそも「武者玉」は、大勢の敵を相手に、戦わなきゃならん武者が使うんじゃ 白狐:どうせ死ぬなら、沢山の敵を倒して、武勲(ぶくん)を立ててから死ぬって感じでな 白狐: 白狐:だから、告白には、お勧めしないって言うたのよ : 千秋:そりゃ、恋が成就しても、死んだら意味ないしね 千秋:あぁ、やっぱり、そんな便利なものは無いか : 白狐:まぁ、そうガッカリするでない、ワシが長年の経験で、助言してやるから 白狐: 白狐:いいか千秋、告白というのはな・・ 0: 0:次の日 0: 渚:今日も遅くなっちゃったね : 千秋:そうね 千秋: 千秋:(心の声)渚、遊びに行こう、渚、遊びに行こう、渚、遊びに行こう・・ : 渚:今日はまだ、木曜日か・・あぁーあ、今週の週末、どうしようかなぁ : 千秋:渚! : 渚:何? : 千秋:今度の日曜日なんだけどさ、私と、あ・・ : 渚:あ? : 千秋:あ・あ・あそ・・あ・・ひぃ・・ 千秋:あ・あそこの店って何て言ったっけ? : 渚:あそこの店? 渚:あそこって? : 千秋:いや・・いいの・・はは 千秋:はぁ(ため息) : 渚:そう・・ 0: 0:渚が意を決して 0: 渚:じゃぁさ千秋、週末、私と、あそ・・う(頭痛)・・ : 千秋:え? : 渚:痛ぁ・・ : 千秋:大丈夫? : 渚:うん、大丈夫 渚:今日はもう帰るね、じゃぁ、また : 千秋:うん・・ 0: 0:渚の部屋 0: 渚:ただいま・・はぁ(ため息) 渚:もう、千秋! 渚:もうちょっとだったのに 渚: 渚:あれは絶対「遊びに行こう!」だったでしょ 渚:こっちはOKの準備して待ってたのに 渚: 渚:うっ、痛ぁー(前よりひどい頭痛) 渚:何か、頭痛が、だんだん酷くなってくる・・ 渚:嫌だな・・何かの病気かなぁ 0: 0:千秋の部屋 0: 千秋:ただいま・・ : 白狐:千秋、どうじゃった? うまく誘えたか? : 千秋:ダメだった・・やっぱり「いざ」って時に、どうしても、縮(ちぢ)こまっちゃって : 白狐:そうか・・ワシとおる時の千秋は、それほど腰抜けとも思えんがな : 千秋:私も不思議なのよ : 白狐:まぁでも、こういうのは場数(ばかず)じゃからな、次、頑張ればええよ : 千秋:・・うん・・そうね 0: 0:数日後、会社 0: 千秋:おはようございます。 千秋:あれ? 今日も沖田さん、休みなんですか? 千秋:もう3日ですよね? どうしたんだろう : 白狐:千秋、好機(こうき)じゃ! : 千秋:あわわわ、白狐、どうしたのよ突然、会社の人に聞かれたら・・ : 白狐:大丈夫じゃ、お主以外には聞こえんよ 白狐:それより千秋、好機じゃぞ! : 千秋:好機って何がよ、渚は、病気で休んでるのよ : 白狐:だから、好機なんじゃ 白狐:千秋、お見舞いに行け、病気で弱っている人間は、落としやすいぞ : 千秋:そんな姑息(こそく)な : 白狐:そんな事言っててどうする、お見舞いに行け、絶対に行くのじゃ! 白狐:昼間の方がええから、会社は早退じゃ、ワシも付いてってやるから : 千秋:えーー分かったよ 0: 0:渚のアパート付近の公園 0: 千秋:ごめんね、体調悪いのに : 渚:ううん、私の方こそ、ごめんね、折角、お見舞いに来てくれたのに、近くの公園でだなんて 渚:部屋にあがって貰えればよかったんだけど、かなり散らかってて : 千秋:私の方こそ、ごめんね、突然 : 渚:ううん、嬉しかった : 白狐:(無声音)千秋、今じゃ! : 千秋:渚、こんな時に、あれだけどさ : 渚:え? : 千秋:私、渚の事が好きなの 渚:きゃぁ(言葉を遮るように)急に風が : 千秋:また? : 渚:千秋、今、何か言った? : 千秋:いや、だから・・ひぃ 千秋:・・いや・・なにも・・ : 渚:そう・・ : 白狐:なるほど、そういう事か・・ : 千秋:渚・・えっと・・ : 渚:ううう・・痛い(激しい頭痛) : 千秋:大丈夫? : 渚:ちょっと頭痛が・・このところ酷くて、起き上がるのも辛い時があるの 渚:ごめんね、折角、来てくれたのに : 千秋:何言ってるのよ、私の方こそ、ごめんね 千秋:もう、部屋に帰ったほうがいいよ : 渚:うん、そうさせて貰うね 渚:今日は、ありがとう : 千秋:うん、お大事にね 0: 0:一人残される千秋 0: 千秋:あぁーあ、やっぱり告白できなかった・・ 千秋:しかも、渚に悪い事しちゃったな 千秋:白狐! あなたがお見舞いなんて・・ : 白狐:千秋、あの娘、じきに死ぬぞ : 千秋:ちょ、何言ってんのよ 千秋:どういう事? : 白狐:お主には、見えんかもしれんがな 白狐:あの娘には、蛇の怪異が付いておる。 : 千秋:蛇の怪異? : 白狐:ああ、蛇の怪異よ 白狐:あの蛇はな「人恋しくて寂しい人間」に取りつくのじゃ 白狐:そして、ジワジワと弱らせて、最後には殺す。 白狐:殺した後、その魂を冥界に連れ去っていき魂を餌にするのじゃ : 千秋:そんな・・ : 白狐:あの娘の体調が悪い理由は、それじゃな 白狐:それと、お主が、あの娘に近づこうとする度(たび)に、あいつが邪魔をしておるようじゃ 白狐:自分の取りついた得物を、お主に渡したくないんじゃな : 千秋:だから、突然、風が吹いたりしたのか・・ : 白狐:そういう事じゃ 白狐:あの娘は、自分の大事な得物(えもの)じゃからな : 千秋:渚が得物・・ 千秋:白狐、あなたなら、その蛇を何とかできるの? : 白狐:ああ、ワシなら問題なく倒せる 白狐:あやつは、それ程強くないからな : 千秋:じゃぁ、お願いよ、白狐、渚を助けてあげて : 白狐:じゃが、あの娘に取りついている状態では、衝撃が直接、娘にも伝わって、娘も死んじまうな 白狐:奴を倒すには、まず、あの娘から、奴を引き剥(は)がさなきゃならん : 千秋:どうやったら、引き剥がせるの? : 白狐:千秋が、奴に「こいつは私の得物だ」って見せつけてやればいい 白狐:さすれば、奴は嫉妬に狂って、お主を殺そうと、あの娘から離れる : 千秋:でも、見せつけるって、どうやって : 白狐:例えばじゃが 白狐:お主があの娘を抱きしめて「千秋の恋人」だって言わせればええんじゃないか? : 千秋:でも、蛇が邪魔してくるんでしょ? : 白狐:お主が奴に負けないくらいの気合で、あの娘を抱きしめてやれば、ええんじゃないか? 白狐:これは、腕力じゃのうて、勇気の問題じゃからな、女の千秋にだってやれる筈(はず)じゃ : 千秋:でも、そんな事・・ : 白狐:まぁ、お主次第じゃが 白狐:こうしている間にも、あの娘の体力は、どんどん弱っていくぞ : 千秋:私にはそんな事・・ 0: 0:暫く考える千秋 0: 千秋:そうだ白狐、私に武者玉を頂戴 : 白狐:そりゃ、武者玉を使えば、千秋でも引き剥がすくらいは、出来るじゃろうが 白狐:武者玉を使うとは、どういう事か、知っておるじゃろ、お主の魂と交換だぞ : 千秋:分かってる : 白狐:分かってるって・・それであの娘は助かるじゃろうが、千秋が死んだら、意味がなかろうて : 千秋:それでも、渚を、冥界に連れて行かれるよりは、よっぽどましよ : 白狐:じゃが、あの娘は悲しむんじゃないのか? : 千秋:それは・・渚には、ちゃんと説明するよ 千秋:今は、その方法しかないんでしょ? : 白狐:確かにな・・ 白狐: 白狐:わかったわ 白狐:千秋、本当に、それでいいんじゃな? : 千秋:うん、いいよ : 白狐:千秋、一つ言っておくぞ 白狐:武者玉はな、それを使う人間の勇気を増幅させるものじゃ 白狐:じゃから、元々の勇気がなければ、幾ら武者玉を使ったところで、大した効き目はない 白狐:つまり、お主自身が、しっかり勇気を奮い起こさぬと、奴には勝てんぞ 白狐:出来るか? : 千秋:え・・うん・・分かった、 千秋:や、やるよ : 白狐:わかった、じゃぁ行くぞ 0: 0:渚の部屋の前まで来る 0: 白狐:ここが、あの娘の部屋か? : 千秋:うん、ここで間違いないはず : 白狐:よし、カギはワシが開けてやる 白狐:千秋、覚悟はいいな? 白狐:ワシが「武者玉」入れてやるからな : 千秋:うん : 白狐:よし、いけ! 0: 0:パン! 背中をたたく白狐 0: 千秋:よし! いくよ! 0: 0:白狐が渚の部屋の鍵を開ける 0:千秋が渚の部屋のドアを開ける 0: 千秋:渚、入るわよ : 渚:千秋・・どうして、痛っ頭が・・(ひどい頭痛) : 千秋:渚! 0: 0:渚に近づこうとするが、蛇が姿を現し、千秋を近づけさせないように邪魔をする 0: 千秋:う・・近づけない 千秋:もう・・蛇め・・ : 白狐:お、正体を現しおったな 白狐:千秋、行け! : 千秋:ううう、そんな事いっても・・ : 白狐:どうした千秋、好きな娘が持っていかれるぞ : 千秋:あああ、渚! 0: 0:渚を抱きしめる千秋 0: 渚:千秋・・ちょっ・・ 渚:急にどうしの、抱きついたりして・・ : 千秋:渚、あなたは、私の恋人よ、いいね! : 渚:え? : 千秋:あなたは、私の恋人なの : 渚:千秋、どうしt・・ : 千秋:渚、あなたは、私が「死ぬまで」私の恋人よ : 渚:千秋・・ : 千秋:「恋人だ」って言って! : 渚:あぁ・・ : 千秋:言って! : 渚:私は千秋の恋人! 0: 0:渚の身体からスッと何かが抜ける 0: 渚:あ・・体が・・ : 千秋:渚、どうしたの? 千秋:大丈夫? : 渚:あれ? 渚:痛くない・・あの頭痛がまるで嘘みたいに 渚:どうして 渚:これ、千秋のおかげなの? : 千秋:ま、まぁ・・ : 渚:ありがとう : 千秋:苦しかったでしょ? 千秋:遅くなってゴメンね : 渚:ううん・・ : 白狐:おい千秋、こっちも仕留めたぞ、見ろ、こんなにでかい蛇じゃ : 千秋:そっか、良かった・・って、そんな蛇をこっちに見せないでよ、もう・・ : 白狐:スマン、スマン、ははは : 千秋:でも白狐、あなたって、そんな姿をしてたのね : 白狐:ははは、まぁな 0: 0:渚が大きな蛇を担いだ白狐を見る 0: 渚:きゃぁ! 渚:何っ! : 千秋:大丈夫 千秋:あれは、白狐っていう狐の霊よ : 渚:白狐? : 千秋:渚に取りついていた、あの蛇を見つけてくれて 千秋:退治の仕方まで教えてくれたの : 渚:あの蛇が私に・・あんなに大きい : 白狐:そうじゃよ、お嬢ちゃん 白狐:もう少しで、お主は、こいつに殺されるところだったんじゃ 白狐: 白狐:じゃが、千秋が勇気をだして、お主の身体から、この蛇を引っ剥がしたのよ 白狐:そして、ワシが仕留めたという話じゃ : 渚:白狐さん 渚:ありがとうございます。 : 白狐:お礼なら、千秋に言うといい 白狐:まさに命がけで戦ったのじゃからな 白狐:そうじゃろ? 千秋 : 千秋:う、うん : 渚:え? 渚:千秋、どういう事? : 千秋:渚・・ 千秋:実は、渚に話さないといけない事があるの : 渚:話さないといけない事? : 千秋:うん 千秋:私が蛇に立ち向かえたのは、その白狐がくれた「武者玉」のおかげなの 千秋:この武者玉を使うと、どんな強大な敵にも、立ち向かう勇気が湧いて来るのよ 千秋:そのかわり・・ 千秋:私の魂を、捧げないといけないの : 渚:魂って・・まさか : 千秋:うん、私はもう、生きていられないんだ : 渚:そんな : 千秋:でも、渚を助けられてよかったよ 千秋:だから、私の命はもういいの 千秋:どうしても、渚を死なせたくなかったから・・ 千秋:ましてや、あんな蛇なんかに、渚を連れて行かせるなんて 千秋:絶対に嫌だったの 千秋:だから、後悔はしてないよ : 渚:そんな、 渚:幾ら私に命があったって、千秋がいないなら、同じじゃない 渚:勝手よ、千秋 : 千秋:渚・・ごめんね : 渚:白狐さん! 渚:何とかする方法は、ないんですか? : 白狐:うーん 白狐:武者玉が魂と引き換えってのは、ワシではなく、もっと上の神が決めた事じゃでな 白狐:ワシじゃ、何とも出来んのよ : 渚:それじゃ、私の魂を、代わりにする事は出来ないんですか! : 千秋:渚、ダメよ折角助かった命なんだから : 渚:何をいうのよ 渚:こんな勝手なことしておいて 渚:私の気持ちも分からないくせに : 白狐:うーん 白狐:武者玉は使った人間の魂と交換じゃからなぁ・・ 白狐:代わりの人間って訳にはいかんなぁ : 渚:それなら、私にも武者玉をくれませんか! 渚:私も武者玉を使います 渚:それなら、千秋と同じでしょ : 千秋:渚、そんな事しちゃダメ 千秋:それに、白狐は武者玉を1つしか持ってないから、渚の分はないよ : 渚:そんな・・ 渚:私はどうすれば : 千秋:渚には、これからずっと 千秋:私の分まで、生きて欲しい : 渚:千秋・・ : 千秋:渚、大好きよ : 白狐:えーと・・あれじゃ 白狐:武者玉ならあるぞ 白狐:ほら 0: 0:武者玉を見せる白狐 0: 渚:白狐さん 渚:それを、私に下さい。 : 千秋:ダメだって渚 千秋:白狐! 千秋:あなた、武者玉は一つしかないって、言ったじゃないの : 白狐:あぁ言ったよ : 千秋:だったらどうして、もう一つ持ってるのよ : 白狐:だって、お主、武者玉使っとらんもん : 千秋:え? : 白狐:言葉の通りよ 白狐:どうしてもの時に、投げつけてやろうと思っとったが 白狐:使わずに済んだのよ : 千秋:どうして、今まで黙ってたの! : 白狐:まぁ・・あれよ 白狐:お主たちが、そんなイチャイチャやってるから 白狐:言い出しにくくてのぉ 白狐:スマン、スマン 白狐: 白狐:という事じゃ、お嬢ちゃん 白狐:千秋は死なんよ : 渚:そう 渚:それはよかった・・ : 白狐:千秋、これで約束は守れたな 白狐:じゃ、ワシはこいつを持って帰るとするわ : 千秋:白狐、あなたのおかげで人生が変わったわ 千秋:本当にありがとう : 白狐:これから先も上手くやれよ 白狐:じゃぁな 0: 0:白狐の身体が消えていく 0: 渚:千秋、 渚:私、なんか、夢を見ているみたい : 千秋:これは、夢じゃないよ : 渚:そっか 渚:やっぱり夢じゃないんだ : 千秋:うん : 渚:千秋・・ありがとう : 千秋:ううん、渚、これからもよろしくね : 渚:うん : 千秋:渚、大好きよ : 渚:私も : 千秋:渚 : 渚:千秋 0: 0:チュ(唇に軽いキスをする) 0: 0:終わり 0:

0: 0:恋愛成就の処方箋4 GL編 0: 0:同期入社の二人 0:残業を終えて会社からの帰り道 0:女性1 斎藤 千秋(さいとう ちあき) 0:女性2 沖田 渚(おきた なぎさ) 0: 渚:もう、随分暖かくなって来たわね : 千秋:そうね、そろそろ桜が咲くころよね : 渚:桜かぁ・・今年はお花見行きたいなぁ : 千秋:そうよね : 渚:・・・ 渚:そういえばさ、私達、同期入社して5年経つわよね、もう同期は、私達だけになっちゃったよね : 千秋:そうよね・・女は結婚、男は転職したりで、結局、残ったのは私達二人だけ : 渚:うん・・ 渚: 渚:そうだ、千秋、今日、晩御飯どうする? 渚:何か食べて帰る? : 千秋:うーん、そうね、行こうか 渚:きゃぁ(千秋の声を遮るように) : 渚:急に風が・・目に砂が入っちゃって : 千秋:大丈夫? : 渚:ええ、何とか取れたわ、春の風は突然ふくから・・ 渚:私も千秋みたいに眼鏡だったらなぁ : 千秋:でも、これはこれで面倒なもんよ : 渚:そっか・・で、どうする? : 千秋:・・いや、今日は辞めておこうかな : 渚:そう・・じゃぁ、また明日ね 渚:私、こっちだから : 千秋:う、うん、じゃぁ・・ 0: 0:一人になる千秋 0: 千秋:あああああ 千秋:どうして「行く」って言わなかったのよ、私! 千秋: 千秋:折角、最初は勇気を出して、行くって言えたのに、あんな所で、風が吹くなんて・・ 千秋: 千秋:でも、改めて聞かれたら言えなくなるなんて・・ホント情けないな 千秋: 千秋:「いざ」という時に、勇気が出ないなんて 千秋:でも、女の私が渚の事好きだって事、バレちゃうと不味いしな 千秋: 千秋:あぁーあ、渚との食事が・・仕方ない、コンビニで弁当でも買って帰ろか 0: 0:古い神社の前を通る 0: 千秋:ん? 千秋:何ここ・・神社? 千秋:何か古い感じだけど・・赤い鳥居がいくつも連なってて、幻想的というか・・ 千秋:でも、こんな所に、神社なんてあったかな? 千秋: 千秋:鳥居がずっと奥まで続いてるのね・・狛犬の代りにキツネ・・ 千秋:でも、ここで神社の前を通ったのも、何かの縁だし、拝んでいこうかな・・ 0: 0:パンパン 0: 千秋:渚と友達になって、もう五年 千秋:どうか、今年こそ、出来れば渚とお付き合いがしたいです。 千秋:渚に告白出来るように・・私に勇気をください 0: 0:パンパン 0: 0:渚帰宅 0: 渚:ただいまぁ・・はぁ・・疲れた・・ 渚: 渚:もう、千秋、こっちが、あんなにアピールしているんだからさぁ 渚:ちっとは、気づいてよ 渚: 渚:まぁ、私が誘えばいい話なんだけど 渚:やっぱり、女が女を誘うって思うと、声が詰まっちゃうのよねぇ・・意識し過ぎかな 渚: 渚:でも、千秋って、私の事どう思ってるんだろう・・ 渚: 渚:つぅ・・たたた(頭痛) 渚:ここ最近、時折この変な頭痛がするのよね・・ストレスかなぁ・・ 渚:もう、今日は薬のんで早く寝よ 0: 0:千秋帰宅 0: 千秋:ただいまぁ・・はぁ・・疲れた・・ 千秋: 千秋:今日も、渚を誘えなかった・・いざ誘おうと思うと、喉が固まっちゃうのよね 千秋:なんか、蛇に睨まれたカエルというか・・ 千秋:それに、タイミングも悪いのよ、急に風が吹いたりとかさ 千秋: 千秋:でも、今日の、渚の、お花見の話・・ 千秋:あれってやっぱり、お花見に一緒に行こうって事かな・・ : 白狐:そんなもん、そうに決まっとろうが! : 千秋:え! なに? 声? どこから? 千秋:えーー! : 白狐:まぁ、まぁ、落ち着け : 千秋:お、お、落ち着ける訳ないでしょ! 千秋:何よ、この声! : 白狐:ワシの声じゃよ、ワシは狐(きつね)、名は白狐 白狐:「びゃっこ」って言うてもトラじゃないからな、あんな猫と、一緒にするでないぞ : 千秋:狐? 何で、声だけ聞こえるのよ : 白狐:ワシは霊じゃからな、まぁ、そのうち、お主に姿も見せる事もあるじゃろうて : 千秋:霊? 幽霊! : 白狐:霊って言っても、別にお主を取って食おうってわけじゃない。 白狐:ワシは、お主が頼むから、わざわざ、来てやったのじゃよ : 千秋:私は、幽霊なんかに、ものを頼んでないわよ : 白狐:ワシは幽霊ではな・・・まぁ、細かい事は面倒じゃ 白狐:お主、今日の帰りに、神社に寄(よ)って、お参りしたろ? 白狐:んでもって、「勇気をください」とかって、願掛(がんか)けしたろ? : 千秋:たしかに、したけど・・ : 白狐:だから、来てやったのじゃ、お主、何とかちゃんと、デートがしたいのじゃろ? 白狐:だったら、ワシが協力してやるぞ : 千秋:ホント? でも、私と渚は女同士だけど、白狐的には大丈夫なの? : 白狐:はは、そんな事、構やせん。性別なんぞ、小さな話じゃ : 千秋:そうなの? : 白狐:ああ、そうじゃ、だから大丈夫、ワシが何とかしてやろう 白狐:で、お主、名前は? : 千秋:私は千秋 : 白狐:千秋、お主、勇気が欲しいんじゃったな? 白狐:うーん、じゃが勇気なんぞ、お主次第だでのぉ : 千秋:そうなんだけど、何かないの? 道具とか薬とか : 白狐:まぁ、そういうのが、あるには、あるんじゃが・・あまりお勧めはせんぞ : : 千秋:そんなのがあるなら、教えてよ 千秋:どんなの? : 白狐:うーん、「武者玉(むしゃだま)」と言うんじゃがな、ほら、こんなやつ 0: 0:武者玉を見せる白狐 0: 千秋:光る玉が、浮いてる・・ : 白狐:これを使うと、勇気が千倍になるんじゃ、今は、一つしかないがな : 千秋:何それ! 凄いじゃない 千秋:私に使わせてよ! : 白狐:ただし、これを使うには、条件がある 白狐:使う人間の魂と交換という条件がな : 千秋:魂と交換? 千秋:それって死んじゃうって事? : 白狐:そうじゃ。武者玉を使って、事を成した後に、魂を貰(もら)って天に届ける : 千秋:それじゃ、意味ないじゃない、誰が使うの、そんなもの : 白狐:そう言うけどな、昔は割と使われたんじゃぞ 白狐:そもそも「武者玉」は、大勢の敵を相手に、戦わなきゃならん武者が使うんじゃ 白狐:どうせ死ぬなら、沢山の敵を倒して、武勲(ぶくん)を立ててから死ぬって感じでな 白狐: 白狐:だから、告白には、お勧めしないって言うたのよ : 千秋:そりゃ、恋が成就しても、死んだら意味ないしね 千秋:あぁ、やっぱり、そんな便利なものは無いか : 白狐:まぁ、そうガッカリするでない、ワシが長年の経験で、助言してやるから 白狐: 白狐:いいか千秋、告白というのはな・・ 0: 0:次の日 0: 渚:今日も遅くなっちゃったね : 千秋:そうね 千秋: 千秋:(心の声)渚、遊びに行こう、渚、遊びに行こう、渚、遊びに行こう・・ : 渚:今日はまだ、木曜日か・・あぁーあ、今週の週末、どうしようかなぁ : 千秋:渚! : 渚:何? : 千秋:今度の日曜日なんだけどさ、私と、あ・・ : 渚:あ? : 千秋:あ・あ・あそ・・あ・・ひぃ・・ 千秋:あ・あそこの店って何て言ったっけ? : 渚:あそこの店? 渚:あそこって? : 千秋:いや・・いいの・・はは 千秋:はぁ(ため息) : 渚:そう・・ 0: 0:渚が意を決して 0: 渚:じゃぁさ千秋、週末、私と、あそ・・う(頭痛)・・ : 千秋:え? : 渚:痛ぁ・・ : 千秋:大丈夫? : 渚:うん、大丈夫 渚:今日はもう帰るね、じゃぁ、また : 千秋:うん・・ 0: 0:渚の部屋 0: 渚:ただいま・・はぁ(ため息) 渚:もう、千秋! 渚:もうちょっとだったのに 渚: 渚:あれは絶対「遊びに行こう!」だったでしょ 渚:こっちはOKの準備して待ってたのに 渚: 渚:うっ、痛ぁー(前よりひどい頭痛) 渚:何か、頭痛が、だんだん酷くなってくる・・ 渚:嫌だな・・何かの病気かなぁ 0: 0:千秋の部屋 0: 千秋:ただいま・・ : 白狐:千秋、どうじゃった? うまく誘えたか? : 千秋:ダメだった・・やっぱり「いざ」って時に、どうしても、縮(ちぢ)こまっちゃって : 白狐:そうか・・ワシとおる時の千秋は、それほど腰抜けとも思えんがな : 千秋:私も不思議なのよ : 白狐:まぁでも、こういうのは場数(ばかず)じゃからな、次、頑張ればええよ : 千秋:・・うん・・そうね 0: 0:数日後、会社 0: 千秋:おはようございます。 千秋:あれ? 今日も沖田さん、休みなんですか? 千秋:もう3日ですよね? どうしたんだろう : 白狐:千秋、好機(こうき)じゃ! : 千秋:あわわわ、白狐、どうしたのよ突然、会社の人に聞かれたら・・ : 白狐:大丈夫じゃ、お主以外には聞こえんよ 白狐:それより千秋、好機じゃぞ! : 千秋:好機って何がよ、渚は、病気で休んでるのよ : 白狐:だから、好機なんじゃ 白狐:千秋、お見舞いに行け、病気で弱っている人間は、落としやすいぞ : 千秋:そんな姑息(こそく)な : 白狐:そんな事言っててどうする、お見舞いに行け、絶対に行くのじゃ! 白狐:昼間の方がええから、会社は早退じゃ、ワシも付いてってやるから : 千秋:えーー分かったよ 0: 0:渚のアパート付近の公園 0: 千秋:ごめんね、体調悪いのに : 渚:ううん、私の方こそ、ごめんね、折角、お見舞いに来てくれたのに、近くの公園でだなんて 渚:部屋にあがって貰えればよかったんだけど、かなり散らかってて : 千秋:私の方こそ、ごめんね、突然 : 渚:ううん、嬉しかった : 白狐:(無声音)千秋、今じゃ! : 千秋:渚、こんな時に、あれだけどさ : 渚:え? : 千秋:私、渚の事が好きなの 渚:きゃぁ(言葉を遮るように)急に風が : 千秋:また? : 渚:千秋、今、何か言った? : 千秋:いや、だから・・ひぃ 千秋:・・いや・・なにも・・ : 渚:そう・・ : 白狐:なるほど、そういう事か・・ : 千秋:渚・・えっと・・ : 渚:ううう・・痛い(激しい頭痛) : 千秋:大丈夫? : 渚:ちょっと頭痛が・・このところ酷くて、起き上がるのも辛い時があるの 渚:ごめんね、折角、来てくれたのに : 千秋:何言ってるのよ、私の方こそ、ごめんね 千秋:もう、部屋に帰ったほうがいいよ : 渚:うん、そうさせて貰うね 渚:今日は、ありがとう : 千秋:うん、お大事にね 0: 0:一人残される千秋 0: 千秋:あぁーあ、やっぱり告白できなかった・・ 千秋:しかも、渚に悪い事しちゃったな 千秋:白狐! あなたがお見舞いなんて・・ : 白狐:千秋、あの娘、じきに死ぬぞ : 千秋:ちょ、何言ってんのよ 千秋:どういう事? : 白狐:お主には、見えんかもしれんがな 白狐:あの娘には、蛇の怪異が付いておる。 : 千秋:蛇の怪異? : 白狐:ああ、蛇の怪異よ 白狐:あの蛇はな「人恋しくて寂しい人間」に取りつくのじゃ 白狐:そして、ジワジワと弱らせて、最後には殺す。 白狐:殺した後、その魂を冥界に連れ去っていき魂を餌にするのじゃ : 千秋:そんな・・ : 白狐:あの娘の体調が悪い理由は、それじゃな 白狐:それと、お主が、あの娘に近づこうとする度(たび)に、あいつが邪魔をしておるようじゃ 白狐:自分の取りついた得物を、お主に渡したくないんじゃな : 千秋:だから、突然、風が吹いたりしたのか・・ : 白狐:そういう事じゃ 白狐:あの娘は、自分の大事な得物(えもの)じゃからな : 千秋:渚が得物・・ 千秋:白狐、あなたなら、その蛇を何とかできるの? : 白狐:ああ、ワシなら問題なく倒せる 白狐:あやつは、それ程強くないからな : 千秋:じゃぁ、お願いよ、白狐、渚を助けてあげて : 白狐:じゃが、あの娘に取りついている状態では、衝撃が直接、娘にも伝わって、娘も死んじまうな 白狐:奴を倒すには、まず、あの娘から、奴を引き剥(は)がさなきゃならん : 千秋:どうやったら、引き剥がせるの? : 白狐:千秋が、奴に「こいつは私の得物だ」って見せつけてやればいい 白狐:さすれば、奴は嫉妬に狂って、お主を殺そうと、あの娘から離れる : 千秋:でも、見せつけるって、どうやって : 白狐:例えばじゃが 白狐:お主があの娘を抱きしめて「千秋の恋人」だって言わせればええんじゃないか? : 千秋:でも、蛇が邪魔してくるんでしょ? : 白狐:お主が奴に負けないくらいの気合で、あの娘を抱きしめてやれば、ええんじゃないか? 白狐:これは、腕力じゃのうて、勇気の問題じゃからな、女の千秋にだってやれる筈(はず)じゃ : 千秋:でも、そんな事・・ : 白狐:まぁ、お主次第じゃが 白狐:こうしている間にも、あの娘の体力は、どんどん弱っていくぞ : 千秋:私にはそんな事・・ 0: 0:暫く考える千秋 0: 千秋:そうだ白狐、私に武者玉を頂戴 : 白狐:そりゃ、武者玉を使えば、千秋でも引き剥がすくらいは、出来るじゃろうが 白狐:武者玉を使うとは、どういう事か、知っておるじゃろ、お主の魂と交換だぞ : 千秋:分かってる : 白狐:分かってるって・・それであの娘は助かるじゃろうが、千秋が死んだら、意味がなかろうて : 千秋:それでも、渚を、冥界に連れて行かれるよりは、よっぽどましよ : 白狐:じゃが、あの娘は悲しむんじゃないのか? : 千秋:それは・・渚には、ちゃんと説明するよ 千秋:今は、その方法しかないんでしょ? : 白狐:確かにな・・ 白狐: 白狐:わかったわ 白狐:千秋、本当に、それでいいんじゃな? : 千秋:うん、いいよ : 白狐:千秋、一つ言っておくぞ 白狐:武者玉はな、それを使う人間の勇気を増幅させるものじゃ 白狐:じゃから、元々の勇気がなければ、幾ら武者玉を使ったところで、大した効き目はない 白狐:つまり、お主自身が、しっかり勇気を奮い起こさぬと、奴には勝てんぞ 白狐:出来るか? : 千秋:え・・うん・・分かった、 千秋:や、やるよ : 白狐:わかった、じゃぁ行くぞ 0: 0:渚の部屋の前まで来る 0: 白狐:ここが、あの娘の部屋か? : 千秋:うん、ここで間違いないはず : 白狐:よし、カギはワシが開けてやる 白狐:千秋、覚悟はいいな? 白狐:ワシが「武者玉」入れてやるからな : 千秋:うん : 白狐:よし、いけ! 0: 0:パン! 背中をたたく白狐 0: 千秋:よし! いくよ! 0: 0:白狐が渚の部屋の鍵を開ける 0:千秋が渚の部屋のドアを開ける 0: 千秋:渚、入るわよ : 渚:千秋・・どうして、痛っ頭が・・(ひどい頭痛) : 千秋:渚! 0: 0:渚に近づこうとするが、蛇が姿を現し、千秋を近づけさせないように邪魔をする 0: 千秋:う・・近づけない 千秋:もう・・蛇め・・ : 白狐:お、正体を現しおったな 白狐:千秋、行け! : 千秋:ううう、そんな事いっても・・ : 白狐:どうした千秋、好きな娘が持っていかれるぞ : 千秋:あああ、渚! 0: 0:渚を抱きしめる千秋 0: 渚:千秋・・ちょっ・・ 渚:急にどうしの、抱きついたりして・・ : 千秋:渚、あなたは、私の恋人よ、いいね! : 渚:え? : 千秋:あなたは、私の恋人なの : 渚:千秋、どうしt・・ : 千秋:渚、あなたは、私が「死ぬまで」私の恋人よ : 渚:千秋・・ : 千秋:「恋人だ」って言って! : 渚:あぁ・・ : 千秋:言って! : 渚:私は千秋の恋人! 0: 0:渚の身体からスッと何かが抜ける 0: 渚:あ・・体が・・ : 千秋:渚、どうしたの? 千秋:大丈夫? : 渚:あれ? 渚:痛くない・・あの頭痛がまるで嘘みたいに 渚:どうして 渚:これ、千秋のおかげなの? : 千秋:ま、まぁ・・ : 渚:ありがとう : 千秋:苦しかったでしょ? 千秋:遅くなってゴメンね : 渚:ううん・・ : 白狐:おい千秋、こっちも仕留めたぞ、見ろ、こんなにでかい蛇じゃ : 千秋:そっか、良かった・・って、そんな蛇をこっちに見せないでよ、もう・・ : 白狐:スマン、スマン、ははは : 千秋:でも白狐、あなたって、そんな姿をしてたのね : 白狐:ははは、まぁな 0: 0:渚が大きな蛇を担いだ白狐を見る 0: 渚:きゃぁ! 渚:何っ! : 千秋:大丈夫 千秋:あれは、白狐っていう狐の霊よ : 渚:白狐? : 千秋:渚に取りついていた、あの蛇を見つけてくれて 千秋:退治の仕方まで教えてくれたの : 渚:あの蛇が私に・・あんなに大きい : 白狐:そうじゃよ、お嬢ちゃん 白狐:もう少しで、お主は、こいつに殺されるところだったんじゃ 白狐: 白狐:じゃが、千秋が勇気をだして、お主の身体から、この蛇を引っ剥がしたのよ 白狐:そして、ワシが仕留めたという話じゃ : 渚:白狐さん 渚:ありがとうございます。 : 白狐:お礼なら、千秋に言うといい 白狐:まさに命がけで戦ったのじゃからな 白狐:そうじゃろ? 千秋 : 千秋:う、うん : 渚:え? 渚:千秋、どういう事? : 千秋:渚・・ 千秋:実は、渚に話さないといけない事があるの : 渚:話さないといけない事? : 千秋:うん 千秋:私が蛇に立ち向かえたのは、その白狐がくれた「武者玉」のおかげなの 千秋:この武者玉を使うと、どんな強大な敵にも、立ち向かう勇気が湧いて来るのよ 千秋:そのかわり・・ 千秋:私の魂を、捧げないといけないの : 渚:魂って・・まさか : 千秋:うん、私はもう、生きていられないんだ : 渚:そんな : 千秋:でも、渚を助けられてよかったよ 千秋:だから、私の命はもういいの 千秋:どうしても、渚を死なせたくなかったから・・ 千秋:ましてや、あんな蛇なんかに、渚を連れて行かせるなんて 千秋:絶対に嫌だったの 千秋:だから、後悔はしてないよ : 渚:そんな、 渚:幾ら私に命があったって、千秋がいないなら、同じじゃない 渚:勝手よ、千秋 : 千秋:渚・・ごめんね : 渚:白狐さん! 渚:何とかする方法は、ないんですか? : 白狐:うーん 白狐:武者玉が魂と引き換えってのは、ワシではなく、もっと上の神が決めた事じゃでな 白狐:ワシじゃ、何とも出来んのよ : 渚:それじゃ、私の魂を、代わりにする事は出来ないんですか! : 千秋:渚、ダメよ折角助かった命なんだから : 渚:何をいうのよ 渚:こんな勝手なことしておいて 渚:私の気持ちも分からないくせに : 白狐:うーん 白狐:武者玉は使った人間の魂と交換じゃからなぁ・・ 白狐:代わりの人間って訳にはいかんなぁ : 渚:それなら、私にも武者玉をくれませんか! 渚:私も武者玉を使います 渚:それなら、千秋と同じでしょ : 千秋:渚、そんな事しちゃダメ 千秋:それに、白狐は武者玉を1つしか持ってないから、渚の分はないよ : 渚:そんな・・ 渚:私はどうすれば : 千秋:渚には、これからずっと 千秋:私の分まで、生きて欲しい : 渚:千秋・・ : 千秋:渚、大好きよ : 白狐:えーと・・あれじゃ 白狐:武者玉ならあるぞ 白狐:ほら 0: 0:武者玉を見せる白狐 0: 渚:白狐さん 渚:それを、私に下さい。 : 千秋:ダメだって渚 千秋:白狐! 千秋:あなた、武者玉は一つしかないって、言ったじゃないの : 白狐:あぁ言ったよ : 千秋:だったらどうして、もう一つ持ってるのよ : 白狐:だって、お主、武者玉使っとらんもん : 千秋:え? : 白狐:言葉の通りよ 白狐:どうしてもの時に、投げつけてやろうと思っとったが 白狐:使わずに済んだのよ : 千秋:どうして、今まで黙ってたの! : 白狐:まぁ・・あれよ 白狐:お主たちが、そんなイチャイチャやってるから 白狐:言い出しにくくてのぉ 白狐:スマン、スマン 白狐: 白狐:という事じゃ、お嬢ちゃん 白狐:千秋は死なんよ : 渚:そう 渚:それはよかった・・ : 白狐:千秋、これで約束は守れたな 白狐:じゃ、ワシはこいつを持って帰るとするわ : 千秋:白狐、あなたのおかげで人生が変わったわ 千秋:本当にありがとう : 白狐:これから先も上手くやれよ 白狐:じゃぁな 0: 0:白狐の身体が消えていく 0: 渚:千秋、 渚:私、なんか、夢を見ているみたい : 千秋:これは、夢じゃないよ : 渚:そっか 渚:やっぱり夢じゃないんだ : 千秋:うん : 渚:千秋・・ありがとう : 千秋:ううん、渚、これからもよろしくね : 渚:うん : 千秋:渚、大好きよ : 渚:私も : 千秋:渚 : 渚:千秋 0: 0:チュ(唇に軽いキスをする) 0: 0:終わり 0: