台本概要

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タイトル シングルベルに終止符を!
作者名 akodon  (@akodon1)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【アドリブ大歓迎!】
クリスマス前に居酒屋で繰り広げられる、すったもんだのコメディです。
ラブコメディというには烏滸がましいけれど、ラブがあるならラブコメかもしれない。

皆様に素敵なクリスマスが訪れますように!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
Aさん 不問 75 鶏肉は揚げる派。
Bさん 不問 76 実は豚肉派。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
Aさん:「唐揚げになりたい」 Bさん:「・・・なんて?」 Aさん:「来世では鶏肉に生まれ変わって、美味しくカラッと揚がった唐揚げになりたい」 Bさん:「すみません、店員さーん。 Bさん:この人、飲む前からすでに出来上がっちゃってるので、お冷くださーい。大至急」 Aさん:「はぁ~・・・唐揚げになりたい・・・。 Aさん:もしくは竜田揚げでもいい・・・」 Bさん:「ねぇ待って。 Bさん:今、ふと冷静になったんだけど、唐揚げ食べたいじゃないんだ。なりたいんだ」 Aさん:「フライドチキンもやぶさかじゃない・・・」 Bさん:「調理方法はフライがいいんだなぁってことは分かった。とりあえずな」 Aさん:「・・・鳥だけに?」 Bさん:「ねぇ、やめて。別に上手いこと言おうなんて一ミリも思ってなかったから。 Bさん:『それ、実は滑ってますよ』って言いたげな、そのソワソワ顔やめて。お願い」 Aさん:「はい・・・と、いうわけで、そろそろクリスマスシーズンの到来を目前に控えているのですが」 Bさん:「『と、いうわけで』って言っておけば、万事解決できると思ってる?ねぇ?」 Aさん:「いやぁ・・・今年もやってきましたよ。 Aさん:恋人たちがイルミネーションを口実に、街中でこれみよがしにイチャイチャイチャイチャしやがる季節が・・・」 Bさん:「クリスマスに対する悪意を感じますねぇ」 Aさん:「別にそんなことはないですよ? Aさん:ええ、別に。これっぽっちも」 Bさん:「強調したせいで余計嘘くささが増すやつぅ・・・」 Aさん:「ところでキミ、今年のクリスマスは恋人と過ごす予定ですか?」 Bさん:「腐れ縁のお前と、毎晩のようにやっすい居酒屋で飲んでる時点で察して」 Aさん:「ほう・・・なるほど、ジングルベルならぬシングルベル・・・」 Bさん:「悪意の矛先(ほこさき)が四方八方に向いてるじゃん。 Bさん:悪意でトゲだらけのハリセンボンみたいになってるじゃん。 Bさん:目の前にいる友だちさえも平気で傷つけるじゃん」 Aさん:「そんなことないよ。 Aさん:ハートが少しギザギザしてるだけだよ。 Aさん:ナイフみたいにとがってるから、触るもの全て傷付けちゃうだけだよ」 Bさん:「お願いだから令和を生きる若者にも通じるネタにしようよ。 Bさん:平成生まれにだって通じるか怪しいのよ、そのネタ」 Aさん:「はぁ~~~!うっせぇうっせぇうっせぇわ!!」 Bさん:「令和のネタだけど!確かに令和のネタだけど! Bさん:なんかめちゃめちゃ腹立つなぁ!」 Aさん:「・・・それは一回置いておいて」 Bさん:「自分から仕掛けてきたクセに、急に話題を変えようとするキミのそういうとこ、嫌いとまでは言わないけど好きじゃないよ」 Aさん:「そう!好きな人!」 Bさん:「・・・は?」 Aさん:「好きな人ですよ! Aさん:今二人で話すべきは唐揚げの話でも、令和の若者に向けたネタ探しでもない! Aさん:好きな人の話ですよ!」 Bさん:「待って待って、会話のテンポが全く掴めない・・・。 Bさん:状況整理するんで、一旦落ち着かせてください」 Aさん:「あっ、深呼吸する? Aさん:はい、ヒッ、ヒッ、フー・・・」 Bさん:「ヒッ、ヒッ、フー・・・ってなんでだよ! Bさん:なんでラマーズ法なんだよ!」 Aさん:「妊婦の呼吸!壱の形(かた)!出産!」 Bさん:「令和ネタは一旦置いとくって言ったでしょうが!」 Aさん:「・・・んで、好きな人の話なんですけどね」 Bさん:「会話のUターンが急すぎて、もはや鋭角」 Aさん:「藤原とうふ店ばりのドライビングテクニック、見せてやるよ・・・」 Bさん:「ボケ続けると終わんなくなるんで、頭文字(イニシャル)がDの人は一旦峠(とうげ)に返してきなさい」 Aさん:「・・・えっ、待って。藤原ならFじゃね?」 Bさん:「そこ冷静にならなくていいから! Bさん:わかんない人にはわかんないネタだから!」 Aさん:「ちなみにタイトルのDはドリフトのDだぞ!」 Bさん:「ご親切にどうも・・・」 Aさん:「いえいえ、えへへ♡」 Bさん:「・・・それで、何?好きな人がどうしたって?」 Aさん:「そうそう! Aさん:キミ、前に『恋人いるのー?』って聞いた時、いないけど好きな人はいるって言ってたじゃん」 Bさん:「あー・・・うん。言ったけど・・・それが?」 Aさん:「告白しないのかなって」 Bさん:「・・・えっ?」 Aさん:「いや、だから今年こそシングルベル、卒業しないのかなって」 Bさん:「いや、それは・・・そうだなぁ・・・えっと・・・」 Aさん:「ん?どうしたの? Aさん:さっきまでのツッコミのキレを忘れてしまったかのように、モゴモゴしだしたね。何かあった?」 Bさん:「も、モゴモゴなんかしてねぇよ!」 Aさん:「じゃあ、ウゴウゴ?」 Bさん:「だからそれは昭和ネタ!」 Aさん:「ほらぁ、ツッコミのキレはいいじゃない?」 Bさん:「ぐうっ・・・」 Aさん:「・・・告白、しないんですか?」 Bさん:「う、うーん・・・」 Aさん:「こ・く・は・く!しないんですか?」 Bさん:「えーっと・・・それはぁ・・・」 Aさん:「なんだよぉ・・・ハッキリしないなぁ。 Aさん:何?もしかして、その人のこと、もう好きじゃないの?」 Bさん:「そんなことは・・・ない」 Aさん:「じゃあ、アレか。 Aさん:もうすでにその人にはクリスマスを楽しく一緒に過ごす人がいるとか、そういう話か」 Bさん:(Bさん、食い気味に) Bさん:「(力強く)それは絶対無い」 Aさん:「おお・・・力強いお答え・・・。 Aさん:なら、頑張りなさいよー! Aさん:クリスマス、楽しく過ごしたいんでしょ?」 Bさん:「う、うーん・・・でも、そいつがどう思ってるか実際よく分からないしさぁ・・・」 Aさん:「このチキン野郎!!!(ビンタ)」 Bさん:「痛い!!急に何でビンタするんだよ!」 Aさん:「お前は・・・骨無しだ・・・」 Bさん:「はァ?」 Aさん:「骨無しだァ!骨無しチキン野郎だ!お前は!!」 Bさん:「えええ・・・罵倒(ばとう)まで鶏肉なんですけど、この人ぉ・・・」 Aさん:「・・・応援、してやろうと思ったのに・・・」 Bさん:「・・・は?」 Aさん:「応援してやろうと思ったのに! Aさん:毎年寂しくクリスマスを過ごしている親友のお前が、今年こそは幸せになれるよう、力になってやろうと思ったのに!」 Bさん:「お、お前・・・そんな事を考えて・・・」 Aさん:「『今日のあなたは恋愛運ドン底! Aさん:ただし、親友の恋を応援してあげれば、運命の相手に出会えるかも!?』」 Bさん:「・・・えっ、何それ?」 Aさん:「朝のニュースでやってた占い。 Aさん:野須虎田 ムス(のすとらだ むす)先生の」 Bさん:「占いどころか、人類滅亡の日を予言しそうな名前だな??」 Aさん:「なんと的中率は驚きの99.9パーセント」 Bさん:「恐怖の大王も泣いて逃げ出す的中率」 Aさん:「そんな野須虎田先生が言っていた・・・ Aさん:今日、運命の相手に出会えなければ、あなたはこの先、一生恋人ができない呪いに付きまとわれるでしょう☆って」 Bさん:「ねぇ、その人本当に占い師? Bさん:呪術師とかじゃなく??」 Aさん:「そう・・・だから、親友であるキミに何としてでも協力して頂かなければならない・・・! Aさん:この呪いに打ち勝つために・・・!」 Bさん:「あっ・・・もう呪いって言い切っちゃうんだ・・・」 Aさん:「親友よ!単刀直入に聞く!」 Bさん:「は、はい!なんでしょうか!?」 Aさん:「お前の・・・お前の好きな人は誰なんだ!?」 Bさん:「えっ・・・えーっと・・・」 Aさん:「何故またそこでモゴモゴするんだ! Aさん:言えよ!お前がクリスマスを一緒に過ごしたいと、淡い希望を抱いている愛しのエリーの名前を!」 Bさん:「愛しのエリーの名前って何!? Bさん:エリーさんはエリーさんでしょ!?」 Aさん:「エリーさんでも、五番街(ごばんがい)に住んでるマリーさんでもこの際いいよ! Aさん:お前が告白したいと思っている人は誰なのよ!」 Bさん:「いやぁ・・・だからぁ・・・そのぉ・・・」 Aさん:「ほらほらぁ、吐いちゃえよぉ。 Aさん:吐いて早く楽になっちゃえよ。 Aさん:あっ、カツ丼。カツ丼食べる?」 Bさん:「えっ?ここ取調室か何か?」 Aさん:「田舎のおふくろさんも泣いてるぞ・・・ Aさん:いい歳して恋人の一人も出来なくて、って・・・」 Bさん:「余計なお世話だよ!何なら、お前にもブーメランだからなそれ!」 Aさん:「うるせぇ!チキンカツぶつけんぞ!」 Bさん:「カツまで鶏肉にこだわってたんだ!?」 Aさん:「もー!なんでハッキリしないんだよぉ!? Aさん:親友ぞ?我親友ぞ?好きな人くらい教えてくれたって、バチは当たらないと思うよぉ!?」 Bさん:「いや、なんかお前に言うのは・・・ちょっと・・・ねぇ・・・」 Aさん:「親友に言えないってどういうことよ? Aさん:アレか!お母さんか!まさか、うちのお母さんか!? Aさん:それは断じて認めん!認めんぞ!」 Bさん:「どうしてそういう発想に至るのかなぁ!?」 Aさん:「いや・・・こちらとしても、お前が親になるのはちょっと・・・」 Bさん:「それはこちらも願い下げなんですけどぉ!?」 Aさん:「あーもう!こうなったらせめてヒント!ヒントをくれ! Aさん:そこからお前の好きなやつ導き出して、今からここに引っ張ってくるから!」 Bさん:「いや、それ・・・答え聞いた方が絶対早いやつじゃ・・・」 Aさん:「じゃあ教えなさいよォ!」 Bさん:「ええっ・・・でもぉ・・・」 Aさん:「デモもストもない! Aさん:こちとら、これから先恋人ができない確率が99.9パーセントって宣告されてんだぞ! Aさん:親友が一生独り身で、寂しく余生を過ごすことになってもいいのか!?」 Bさん:「う、うーん・・・でも、告白してもいい返事が貰えるかどうか・・・」 Aさん:「このケンタッキー野郎!!(ビンタ)」 Bさん:「痛い!!さっきより三割増し強め!」 Aさん:「チキってんじゃないわよ! Aさん:当たってもないうちから、自分は砕ける骨もない骨無しチキンだって諦めてんじゃないわよ! Aさん:キチンと骨のある、立派なフライドチキンだってこと、証明して見せなさいよ!」 Bさん:「お、お前・・・」 Aさん:「砕けたら・・・骨は拾ってやるから」 Bさん:「ホントに?」 Aさん:「ああ・・・万が一ダメだったとしても、一生隣でクリスマス過ごしてやるから。 Aさん:だから、安心して告白してこいよ。な?」 Bさん:「・・・わかった」 Aさん:「よし、じゃあ行こう。 Aさん:いざ、愛しのアイツの元へ・・・」 Bさん:「・・・自分勝手で超がつくほどマイペース」 Aさん:「・・・え?」 Bさん:「いちいちボケのネタがわかりづらい。 Bさん:あと、ネタが古くて拾うのがかなり大変。 Bさん:そして、来世では鶏肉に生まれ変わって、唐揚げになりたいと宣(のたま)っている」 Aさん:「どうした?急に何を言い出して・・・」 Bさん:「ヒントですけど」 Aさん:「は?」 Bさん:「ヒントですけど。 Bさん:さっき、お前が欲しがってたヒントですけど」 Aさん:「えっ・・・じゃあ、今言ってたのがお前の好きな人? Aさん:自分勝手で超マイペースで、おまけにわかりづらくて古いボケばっかかましてくる上、来世は唐揚げになりたいヤツ・・・? Aさん:うわぁ、めちゃめちゃ変人じゃん・・・そんな人、好きになっちゃって大丈夫?」 Bさん:「それ、特大ブーメランなんですけど」 Aさん:「・・・は?」 Bさん:「だからぁ!特大ブーメランなんですけど!今の心配!」 Aさん:「えっ・・・えっ・・・つまりその・・・どういうこと?」 Bさん:「・・・今ので察してもらえなかったら、キミ一生恋人できないまま終わりますけど、良いんですかね?」 Aさん:「それは・・・えーっと、つまり?」 Bさん:「ええ・・・つまり、そういうことです」 Aさん:「えっ・・・えーーー?えええーーー?」 Bさん:「察して頂けましたか?」 Aさん:「察した・・・察したけど・・・。 Aさん:Oh・・・マジかぁ・・・。えっ、いつから?」 Bさん:「・・・だいぶ前から」 Aさん:「早く言えよォ!!」 Bさん:「親友って立場が居心地よすぎて、逆に言いづらくなっちゃったの!ごめんね!!」 Aさん:「謝んなよ!こっちこそ、なんか空気読めなくてごめんな!」 Bさん:「・・・あのさ」 Aさん:「・・・はい」 Bさん:「今から当たって砕けようと思うんですけど、砕けたとしてもずっと一緒にいてくれるんですよね?」 Aさん:「そ、そうですね・・・」 Bさん:「この雰囲気から察するに、どっちに転んでも一応、シングルベル卒業って考えていいんですよね? Bさん:だって、今日を逃したらキミ、99.9パーセントの確率で恋人できなくなりますもんね?」 Aさん:「あーもう!いつまでも変なところでチキってんなよ! Aさん:骨無しだろうと唐揚げだろうと受け止めてやるから、全力でぶつかってこいよォ!」 Bさん:「わかりました。では、改めまして・・・」 : : Bさん:「今年のクリスマス・・・一緒に過ごしてくれませんか?」 0:~MERRY Xmas~

Aさん:「唐揚げになりたい」 Bさん:「・・・なんて?」 Aさん:「来世では鶏肉に生まれ変わって、美味しくカラッと揚がった唐揚げになりたい」 Bさん:「すみません、店員さーん。 Bさん:この人、飲む前からすでに出来上がっちゃってるので、お冷くださーい。大至急」 Aさん:「はぁ~・・・唐揚げになりたい・・・。 Aさん:もしくは竜田揚げでもいい・・・」 Bさん:「ねぇ待って。 Bさん:今、ふと冷静になったんだけど、唐揚げ食べたいじゃないんだ。なりたいんだ」 Aさん:「フライドチキンもやぶさかじゃない・・・」 Bさん:「調理方法はフライがいいんだなぁってことは分かった。とりあえずな」 Aさん:「・・・鳥だけに?」 Bさん:「ねぇ、やめて。別に上手いこと言おうなんて一ミリも思ってなかったから。 Bさん:『それ、実は滑ってますよ』って言いたげな、そのソワソワ顔やめて。お願い」 Aさん:「はい・・・と、いうわけで、そろそろクリスマスシーズンの到来を目前に控えているのですが」 Bさん:「『と、いうわけで』って言っておけば、万事解決できると思ってる?ねぇ?」 Aさん:「いやぁ・・・今年もやってきましたよ。 Aさん:恋人たちがイルミネーションを口実に、街中でこれみよがしにイチャイチャイチャイチャしやがる季節が・・・」 Bさん:「クリスマスに対する悪意を感じますねぇ」 Aさん:「別にそんなことはないですよ? Aさん:ええ、別に。これっぽっちも」 Bさん:「強調したせいで余計嘘くささが増すやつぅ・・・」 Aさん:「ところでキミ、今年のクリスマスは恋人と過ごす予定ですか?」 Bさん:「腐れ縁のお前と、毎晩のようにやっすい居酒屋で飲んでる時点で察して」 Aさん:「ほう・・・なるほど、ジングルベルならぬシングルベル・・・」 Bさん:「悪意の矛先(ほこさき)が四方八方に向いてるじゃん。 Bさん:悪意でトゲだらけのハリセンボンみたいになってるじゃん。 Bさん:目の前にいる友だちさえも平気で傷つけるじゃん」 Aさん:「そんなことないよ。 Aさん:ハートが少しギザギザしてるだけだよ。 Aさん:ナイフみたいにとがってるから、触るもの全て傷付けちゃうだけだよ」 Bさん:「お願いだから令和を生きる若者にも通じるネタにしようよ。 Bさん:平成生まれにだって通じるか怪しいのよ、そのネタ」 Aさん:「はぁ~~~!うっせぇうっせぇうっせぇわ!!」 Bさん:「令和のネタだけど!確かに令和のネタだけど! Bさん:なんかめちゃめちゃ腹立つなぁ!」 Aさん:「・・・それは一回置いておいて」 Bさん:「自分から仕掛けてきたクセに、急に話題を変えようとするキミのそういうとこ、嫌いとまでは言わないけど好きじゃないよ」 Aさん:「そう!好きな人!」 Bさん:「・・・は?」 Aさん:「好きな人ですよ! Aさん:今二人で話すべきは唐揚げの話でも、令和の若者に向けたネタ探しでもない! Aさん:好きな人の話ですよ!」 Bさん:「待って待って、会話のテンポが全く掴めない・・・。 Bさん:状況整理するんで、一旦落ち着かせてください」 Aさん:「あっ、深呼吸する? Aさん:はい、ヒッ、ヒッ、フー・・・」 Bさん:「ヒッ、ヒッ、フー・・・ってなんでだよ! Bさん:なんでラマーズ法なんだよ!」 Aさん:「妊婦の呼吸!壱の形(かた)!出産!」 Bさん:「令和ネタは一旦置いとくって言ったでしょうが!」 Aさん:「・・・んで、好きな人の話なんですけどね」 Bさん:「会話のUターンが急すぎて、もはや鋭角」 Aさん:「藤原とうふ店ばりのドライビングテクニック、見せてやるよ・・・」 Bさん:「ボケ続けると終わんなくなるんで、頭文字(イニシャル)がDの人は一旦峠(とうげ)に返してきなさい」 Aさん:「・・・えっ、待って。藤原ならFじゃね?」 Bさん:「そこ冷静にならなくていいから! Bさん:わかんない人にはわかんないネタだから!」 Aさん:「ちなみにタイトルのDはドリフトのDだぞ!」 Bさん:「ご親切にどうも・・・」 Aさん:「いえいえ、えへへ♡」 Bさん:「・・・それで、何?好きな人がどうしたって?」 Aさん:「そうそう! Aさん:キミ、前に『恋人いるのー?』って聞いた時、いないけど好きな人はいるって言ってたじゃん」 Bさん:「あー・・・うん。言ったけど・・・それが?」 Aさん:「告白しないのかなって」 Bさん:「・・・えっ?」 Aさん:「いや、だから今年こそシングルベル、卒業しないのかなって」 Bさん:「いや、それは・・・そうだなぁ・・・えっと・・・」 Aさん:「ん?どうしたの? Aさん:さっきまでのツッコミのキレを忘れてしまったかのように、モゴモゴしだしたね。何かあった?」 Bさん:「も、モゴモゴなんかしてねぇよ!」 Aさん:「じゃあ、ウゴウゴ?」 Bさん:「だからそれは昭和ネタ!」 Aさん:「ほらぁ、ツッコミのキレはいいじゃない?」 Bさん:「ぐうっ・・・」 Aさん:「・・・告白、しないんですか?」 Bさん:「う、うーん・・・」 Aさん:「こ・く・は・く!しないんですか?」 Bさん:「えーっと・・・それはぁ・・・」 Aさん:「なんだよぉ・・・ハッキリしないなぁ。 Aさん:何?もしかして、その人のこと、もう好きじゃないの?」 Bさん:「そんなことは・・・ない」 Aさん:「じゃあ、アレか。 Aさん:もうすでにその人にはクリスマスを楽しく一緒に過ごす人がいるとか、そういう話か」 Bさん:(Bさん、食い気味に) Bさん:「(力強く)それは絶対無い」 Aさん:「おお・・・力強いお答え・・・。 Aさん:なら、頑張りなさいよー! Aさん:クリスマス、楽しく過ごしたいんでしょ?」 Bさん:「う、うーん・・・でも、そいつがどう思ってるか実際よく分からないしさぁ・・・」 Aさん:「このチキン野郎!!!(ビンタ)」 Bさん:「痛い!!急に何でビンタするんだよ!」 Aさん:「お前は・・・骨無しだ・・・」 Bさん:「はァ?」 Aさん:「骨無しだァ!骨無しチキン野郎だ!お前は!!」 Bさん:「えええ・・・罵倒(ばとう)まで鶏肉なんですけど、この人ぉ・・・」 Aさん:「・・・応援、してやろうと思ったのに・・・」 Bさん:「・・・は?」 Aさん:「応援してやろうと思ったのに! Aさん:毎年寂しくクリスマスを過ごしている親友のお前が、今年こそは幸せになれるよう、力になってやろうと思ったのに!」 Bさん:「お、お前・・・そんな事を考えて・・・」 Aさん:「『今日のあなたは恋愛運ドン底! Aさん:ただし、親友の恋を応援してあげれば、運命の相手に出会えるかも!?』」 Bさん:「・・・えっ、何それ?」 Aさん:「朝のニュースでやってた占い。 Aさん:野須虎田 ムス(のすとらだ むす)先生の」 Bさん:「占いどころか、人類滅亡の日を予言しそうな名前だな??」 Aさん:「なんと的中率は驚きの99.9パーセント」 Bさん:「恐怖の大王も泣いて逃げ出す的中率」 Aさん:「そんな野須虎田先生が言っていた・・・ Aさん:今日、運命の相手に出会えなければ、あなたはこの先、一生恋人ができない呪いに付きまとわれるでしょう☆って」 Bさん:「ねぇ、その人本当に占い師? Bさん:呪術師とかじゃなく??」 Aさん:「そう・・・だから、親友であるキミに何としてでも協力して頂かなければならない・・・! Aさん:この呪いに打ち勝つために・・・!」 Bさん:「あっ・・・もう呪いって言い切っちゃうんだ・・・」 Aさん:「親友よ!単刀直入に聞く!」 Bさん:「は、はい!なんでしょうか!?」 Aさん:「お前の・・・お前の好きな人は誰なんだ!?」 Bさん:「えっ・・・えーっと・・・」 Aさん:「何故またそこでモゴモゴするんだ! Aさん:言えよ!お前がクリスマスを一緒に過ごしたいと、淡い希望を抱いている愛しのエリーの名前を!」 Bさん:「愛しのエリーの名前って何!? Bさん:エリーさんはエリーさんでしょ!?」 Aさん:「エリーさんでも、五番街(ごばんがい)に住んでるマリーさんでもこの際いいよ! Aさん:お前が告白したいと思っている人は誰なのよ!」 Bさん:「いやぁ・・・だからぁ・・・そのぉ・・・」 Aさん:「ほらほらぁ、吐いちゃえよぉ。 Aさん:吐いて早く楽になっちゃえよ。 Aさん:あっ、カツ丼。カツ丼食べる?」 Bさん:「えっ?ここ取調室か何か?」 Aさん:「田舎のおふくろさんも泣いてるぞ・・・ Aさん:いい歳して恋人の一人も出来なくて、って・・・」 Bさん:「余計なお世話だよ!何なら、お前にもブーメランだからなそれ!」 Aさん:「うるせぇ!チキンカツぶつけんぞ!」 Bさん:「カツまで鶏肉にこだわってたんだ!?」 Aさん:「もー!なんでハッキリしないんだよぉ!? Aさん:親友ぞ?我親友ぞ?好きな人くらい教えてくれたって、バチは当たらないと思うよぉ!?」 Bさん:「いや、なんかお前に言うのは・・・ちょっと・・・ねぇ・・・」 Aさん:「親友に言えないってどういうことよ? Aさん:アレか!お母さんか!まさか、うちのお母さんか!? Aさん:それは断じて認めん!認めんぞ!」 Bさん:「どうしてそういう発想に至るのかなぁ!?」 Aさん:「いや・・・こちらとしても、お前が親になるのはちょっと・・・」 Bさん:「それはこちらも願い下げなんですけどぉ!?」 Aさん:「あーもう!こうなったらせめてヒント!ヒントをくれ! Aさん:そこからお前の好きなやつ導き出して、今からここに引っ張ってくるから!」 Bさん:「いや、それ・・・答え聞いた方が絶対早いやつじゃ・・・」 Aさん:「じゃあ教えなさいよォ!」 Bさん:「ええっ・・・でもぉ・・・」 Aさん:「デモもストもない! Aさん:こちとら、これから先恋人ができない確率が99.9パーセントって宣告されてんだぞ! Aさん:親友が一生独り身で、寂しく余生を過ごすことになってもいいのか!?」 Bさん:「う、うーん・・・でも、告白してもいい返事が貰えるかどうか・・・」 Aさん:「このケンタッキー野郎!!(ビンタ)」 Bさん:「痛い!!さっきより三割増し強め!」 Aさん:「チキってんじゃないわよ! Aさん:当たってもないうちから、自分は砕ける骨もない骨無しチキンだって諦めてんじゃないわよ! Aさん:キチンと骨のある、立派なフライドチキンだってこと、証明して見せなさいよ!」 Bさん:「お、お前・・・」 Aさん:「砕けたら・・・骨は拾ってやるから」 Bさん:「ホントに?」 Aさん:「ああ・・・万が一ダメだったとしても、一生隣でクリスマス過ごしてやるから。 Aさん:だから、安心して告白してこいよ。な?」 Bさん:「・・・わかった」 Aさん:「よし、じゃあ行こう。 Aさん:いざ、愛しのアイツの元へ・・・」 Bさん:「・・・自分勝手で超がつくほどマイペース」 Aさん:「・・・え?」 Bさん:「いちいちボケのネタがわかりづらい。 Bさん:あと、ネタが古くて拾うのがかなり大変。 Bさん:そして、来世では鶏肉に生まれ変わって、唐揚げになりたいと宣(のたま)っている」 Aさん:「どうした?急に何を言い出して・・・」 Bさん:「ヒントですけど」 Aさん:「は?」 Bさん:「ヒントですけど。 Bさん:さっき、お前が欲しがってたヒントですけど」 Aさん:「えっ・・・じゃあ、今言ってたのがお前の好きな人? Aさん:自分勝手で超マイペースで、おまけにわかりづらくて古いボケばっかかましてくる上、来世は唐揚げになりたいヤツ・・・? Aさん:うわぁ、めちゃめちゃ変人じゃん・・・そんな人、好きになっちゃって大丈夫?」 Bさん:「それ、特大ブーメランなんですけど」 Aさん:「・・・は?」 Bさん:「だからぁ!特大ブーメランなんですけど!今の心配!」 Aさん:「えっ・・・えっ・・・つまりその・・・どういうこと?」 Bさん:「・・・今ので察してもらえなかったら、キミ一生恋人できないまま終わりますけど、良いんですかね?」 Aさん:「それは・・・えーっと、つまり?」 Bさん:「ええ・・・つまり、そういうことです」 Aさん:「えっ・・・えーーー?えええーーー?」 Bさん:「察して頂けましたか?」 Aさん:「察した・・・察したけど・・・。 Aさん:Oh・・・マジかぁ・・・。えっ、いつから?」 Bさん:「・・・だいぶ前から」 Aさん:「早く言えよォ!!」 Bさん:「親友って立場が居心地よすぎて、逆に言いづらくなっちゃったの!ごめんね!!」 Aさん:「謝んなよ!こっちこそ、なんか空気読めなくてごめんな!」 Bさん:「・・・あのさ」 Aさん:「・・・はい」 Bさん:「今から当たって砕けようと思うんですけど、砕けたとしてもずっと一緒にいてくれるんですよね?」 Aさん:「そ、そうですね・・・」 Bさん:「この雰囲気から察するに、どっちに転んでも一応、シングルベル卒業って考えていいんですよね? Bさん:だって、今日を逃したらキミ、99.9パーセントの確率で恋人できなくなりますもんね?」 Aさん:「あーもう!いつまでも変なところでチキってんなよ! Aさん:骨無しだろうと唐揚げだろうと受け止めてやるから、全力でぶつかってこいよォ!」 Bさん:「わかりました。では、改めまして・・・」 : : Bさん:「今年のクリスマス・・・一緒に過ごしてくれませんか?」 0:~MERRY Xmas~