台本概要
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タイトル | 雨上がり5分前 |
---|---|
作者名 | おちり補佐官 (@called_makki) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(不問1) ※兼役あり |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
男女不問 とても短いです。 ~~以下あらすじ~~ 夏のおわり、雨の止むのを軒先で自転車に股がり待つ人。秋が来たらどうだとか、色々考えてはみても、ピンとこない。雨が止んだらしたいことも、特にない。 小学生が雨のなか駆け行くのを見て、自分もとっとと帰ってしまおうという気持ちになる。 弱まった雨のなか、考えていることも変わりはしないけれど、ほんの少し晴れやかに自転車を漕ぎ始める。 279 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 不問 | 1 | これから帰る人。冷や飯で炒飯をする予定の人。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
私:秋にしたいこと。私は長い間考えていた。居心地の悪い軒先で、自転車のハンドルで頬杖をつきながら溜め息をつきながら、雨のやむのを待つ。
私:これは夏雨(なつさめ)だ。もう10分ほどは止むのを待っている。SNSで流行りのカフェを眺めてみると、いつも画面の中は晴れている。
私:秋の行楽。紅葉狩りか。炊き込みご飯か。
私:また溜め息をつく。この雨が止んだら、何をしよう。帰ったらまず洗濯をして、冷や飯を炒めて。食べたら干して、洗い物をして、配信サイトで映画を適当に見つけて。
私:雨が止んだら何をしようか、ということを考えだして、気がつけば、いつも何をしているかを思い出す作業になっていることに気づき、その先はよした。
私:そうしてまたスマートフォンを見やると同じ投稿ばかりが目について、どれもこれも見たくなくなった。ここで私は、肘をハンドルから離して伸びをした。
私:目の前を、ひとり、小学生の男児が走っていった。
私:雨は。手を出すとまだ降っている。が、確実に弱くなっている。あと数分も待てば止んでしまうはずだ。しかしどうも、惨めに感じ始めた。数分も経てば、病んでしまう。
私:鼻がむずむずする嫌な湿気を、おもいっきり吸い込んだ。スタンドを蹴って、自転車を滑らせて、雨のなか、小学生を追い越した。信号は、青い方へ、青い方へ、進み続けて止まらないように家に向かう。
私:帰ったらしたいこと、帰ったらしたいこと、洗濯を待っている間にご飯をつくって、それから、それから、映画と映画と、ネットでショッピング。
私:夏雨の先を考えるのも、秋のことを考えるのもやめにして。したいこと、やりたいことは、なにもない。
私:分かるのは、遠くに青空が見えること。そして、濡れてもすぐに洗えること。
私:秋にしたいこと。私は長い間考えていた。居心地の悪い軒先で、自転車のハンドルで頬杖をつきながら溜め息をつきながら、雨のやむのを待つ。
私:これは夏雨(なつさめ)だ。もう10分ほどは止むのを待っている。SNSで流行りのカフェを眺めてみると、いつも画面の中は晴れている。
私:秋の行楽。紅葉狩りか。炊き込みご飯か。
私:また溜め息をつく。この雨が止んだら、何をしよう。帰ったらまず洗濯をして、冷や飯を炒めて。食べたら干して、洗い物をして、配信サイトで映画を適当に見つけて。
私:雨が止んだら何をしようか、ということを考えだして、気がつけば、いつも何をしているかを思い出す作業になっていることに気づき、その先はよした。
私:そうしてまたスマートフォンを見やると同じ投稿ばかりが目について、どれもこれも見たくなくなった。ここで私は、肘をハンドルから離して伸びをした。
私:目の前を、ひとり、小学生の男児が走っていった。
私:雨は。手を出すとまだ降っている。が、確実に弱くなっている。あと数分も待てば止んでしまうはずだ。しかしどうも、惨めに感じ始めた。数分も経てば、病んでしまう。
私:鼻がむずむずする嫌な湿気を、おもいっきり吸い込んだ。スタンドを蹴って、自転車を滑らせて、雨のなか、小学生を追い越した。信号は、青い方へ、青い方へ、進み続けて止まらないように家に向かう。
私:帰ったらしたいこと、帰ったらしたいこと、洗濯を待っている間にご飯をつくって、それから、それから、映画と映画と、ネットでショッピング。
私:夏雨の先を考えるのも、秋のことを考えるのもやめにして。したいこと、やりたいことは、なにもない。
私:分かるのは、遠くに青空が見えること。そして、濡れてもすぐに洗えること。