台本概要
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タイトル | CrossLife |
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作者名 | 愁有 (@syu_boikone) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 8人用台本(男4、女2、不問2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
Crossシリーズ第2話 難しい漢字を使用しているので前読みは必須です また詠唱集を出したのでそちらで詠唱を確認して頂ければ幸いです また1話をやってから演じて頂いた方がやり易いと思います 563 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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アグレス | 男 | 83 | 1話参照 |
サーシャ | 女 | 50 | 1話参照 |
バラク | 男 | 68 | 1話参照 |
フォルグ | 男 | 39 | アグレス達主要キャラの居る孤児院の院長 寡黙で言葉数が少ない |
リネアネ | 女 | 69 | アグレス達主要キャラが居る孤児院の副院長 陽気で空気があまり読めない 子ども好き |
ファルガ | 男 | 41 | ログルス帝国近衛師団団長 責任感が強い男。部下思い |
ジルメナス | 不問 | 6 | ログルス帝国帝王 |
カール | 不問 | 12 | 1話参照 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
リネアネ:たっだいまーー!
フォルグ:今戻った
サーシャ:フォルグ院長!リネアネ副院長!
アグレス:……
バラク:……
リネアネ:おんやー??どうした子どもたち?
リネアネ:もしかしてぇ…リネアネお姉ちゃんが居なくて寂しかったのかー!?
バラク:うるせぇのが帰ってきやがったぁ
アグレス:居なかったの二日だけじゃないか
リネアネ:そこの男子二人!!ホンット可愛げがないわねー
バラク:今、それどころじゃないんだよ
リネアネ:んーー?
フォルグ:何かあったのか?
アグレス:はい…先生がグレアに行っている間に…
バラク:…カールとケルミアが攫われた
フォルグ:なに?
リネアネ:はぁぁぁぁ!????
サーシャ:そうなんです…
バラク:マジだ。んで、あんたらの帰りを待ちながらどうするか話し合ってた
リネアネ:話し合いって…なんですぐ助けに行かなかったのよ!
アグレス:助けに行けたのならとっくに行っている
バラク:敵の数が分からない以上、俺たちがここを離れるわけにはいかなかったし
バラク:ここの子ども達のお守りもある。だから戦力が揃うまで待つしかなかった
リネアネ:それはそうかもだけど…
リネアネ:そもそもあんたたちが居て、なんで攫われるのよ?
サーシャ:それは……
アグレス:ケルミアが孤児院全体にギフトを使ったんだ。結界を張っていたがそれも弱体化されていた
アグレス:警戒していた俺ですら気づくのが遅れたんだ、攫われたのはサーシャのせいじゃない
バラク:そうだなぁ。一人でいいって言ったのにこのざまだ
バラク:かっこつけたのに守れなかったアグが悪い
サーシャ:バラク貴方!
アグレス:そうだ、俺が悪い。
アグレス:だから気にするなサーシャ…君が責任を感じる必要はないよ
サーシャ:アグレス……でも…
アグレス:まぁ…バラクに言われるのは癪だけどな
バラク:そもそもケルミアがあそこまでギフトを使いこなせるなんて知らなかったぞ?
フォルグ:……私も知る限りでは個人の音を小さくするのが限界だったと記憶している
リネアネ:あ…あたしが仕込みましたぁぁ
バラク:はぁ!?仕込むつったってぇ限界があんだろぉ
リネアネ:いやーミアちゃん結界術の適性があってさー
リネアネ:ちょっと教えたらこーちょちょいって出来る様になっちゃてー
リネアネ:たはー!あたしが教えるの上手いだけなんだけどねーー
フォルグ:んっんー…お前達、今急がなくてはいけないことを忘れていないか?
リネアネ:ああぁ!!!!そうだった!結局どーすんのよ!!
バラク:話し逸らしといていきなり詰めてくんな
バラク:ビビるだろうが
リネアネ:それもそうね。ごめんなさい
バラク:いきなりすんとすんな
バラク:ビビるだろうが
リネアネ:じゃあどうすればいいのよ!!
アグレス:はぁ…緊張感の無いバカは置いておいて話を進めるぞ
リネアネ:うっっっざぁ。あたしバカじゃないんだけどぉ?
アグレス:うるさい、いちいち口を挿むな。話が進まないだろう
リネアネ:ぐ、ぐぬぬぬぅ
アグレス:それで、帰ってきてすぐで悪いんですが先生には俺たちと一緒にグレアに向かってもらいます
フォルグ:分かった。ここの守備はどうする?
アグレス:リネアネに残ってもらいます
フォルグ:一人でか?
アグレス:はい。結界術に関してリネアネの右に出るものはこの国にはいませんから
リネアネ:お?おぉぉぉ??なんだなんだー?
リネアネ:事実だからっていきなり褒めんなよー照れちゃうだろー?
アグレス:そうだ。事実だ…だから任せるぞ
リネアネ:おうよ!まっかせなさーーい!!
バラク:いや…やっぱりサーシャも残していくべきだ
アグレス:それはさっき話し合って、一緒に行くと決めたはずだ
サーシャ:そうよ。私にも行く意思があるの
サーシャ:それに、傷を負った時の為に私が必要のはずよ
バラク:逆だ。お前に回復させるわけにはいかない
サーシャ:どうして…
バラク:さっきはわざと聞かなかったけどなぁ…サーシャ聞いてもいいか?
サーシャ:……なによ
バラク:お前…後「どのくらい」残ってる?
サーシャ:っ……
バラク:俺はこの中で一番孤児院に来るのが遅かったが、もう三年の付き合いだ
バラク:年長組としてずっと一緒にいたから分かる。
バラク:…サーシャお前、子ども達の怪我を治すために日常的に「ギフト」を使っているな?
アグレス:……なに?
サーシャ:何故それを……
バラク:アグレスには上手く隠していたみたいだけどな
バラク:最近のお前を見てたら分かるし、そもそも子ども達が修行で負ったはずの傷がいつの間にか消えてるしな
リネアネ:確かに、最近あたし治療してないかも
バラク:これで気づかないのはアグレスかバカくらいだ
リネアネ:ぐっ…あたし馬鹿じゃないもん…
バラク:分かったろ?戦場で的になられるのも困るし、ギフト使わせるわけにもいかないんだ
バラク:だから来るだけ無駄なんだよ
リネアネ:あんた言い方とかどうにかならないわけー?
アグレス:確かに言い方は悪いがバラクが正しい
アグレス:そもそも何故言わなかったサーシャ!あれ程ギフトの使用は控えるように言ったはずだ
サーシャ:だって…それは……
アグレス:君のギフトは代償として『寿命』を消費する。分かっているはずだ!
アグレス:もう自分が長くないことを…分かっているはずだ、その【天刻】がどれだけ危険なギフトかと言うことを
アグレス:それなのに何故そんなことし……
サーシャ:そんなことなんかじゃない!そんなことなんかじゃ……
サーシャ:知ってるの…みんなが私を守るために戦ってくれてるって
サーシャ:それなのに私は戦うこともできない……
サーシャ:【天刻】が発現してからずっとそうだった。守られてばかりで何の役にも立てない……
サーシャ:お父さんも、お母さんも、貴方達も傷ついていく!
サーシャ:…役に立ちたいの…一緒に戦いたいの
サーシャ:お願い私も連れていって…
リネアネ:サーシャちゃん…
アグレス:……
フォルグ:サーシャの気持ちは分かった。だが、ダメだ
サーシャ:…どうしてですか
フォルグ:一刻を争うのに時間を掛けすぎている。サーシャの足に揃えていたのでは間に合わない可能性が高い
フォルグ:それに、リネアネもサーシャがいた方が心強いだろう
リネアネ:そうね、一緒に残って結界お手伝いしてもらえたら凄く助かるー!
フォルグ:ということだ。納得は出来ないと思うが、我慢してくれると助かる
サーシャ:分かり…ました
フォルグ:では、アグレス、バラク、十分で準備しろ。
フォルグ:揃い次第、最短でグレアに向かう
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0:<王城・法我の間>
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ファルガ:ただいま帰還致しました
ジルメナス:戻ったかミュルガイア。ご苦労だった
ファルガ:はっ、ありがとうございます
ジルメナス:して、ミィティアはどうした
ファルガ:はい、任務中に【明点】の天能贈与に罹り現在治療中です
ジルメナス:ほう、天能贈与とな。あの孤児院に斯様な子供がいたとは
ジルメナス:…ん?左様か、相分かった。下がれ
ジルメナス:ミュルガイア戻ってきて早々だが、任務を与える
ファルガ:はっ
ジルメナス:孤児院から三人グレアに向かってきているとのことだ
ジルメナス:お前にはまたフォレスに行ってもらう。手薄となった所から更に子供を連れてこい
ファルガ:…承知致しました
ジルメナス:[骸]を連れていく事を許可する。では下がれ
ファルガ:はっ!
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ファルガ:……すまない
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フォルグ:よし、準備は整ったな
アグレス:はい。いつでも大丈夫です
バラク:いつでもいいぜぇ
フォルグ:それでは、行くぞ
リネアネ:ちょっと待って
フォルグ:どうした?
リネアネ:…貴方達に神のご加護があらんことを…神風纏与
リネアネ:これで並大抵の攻撃じゃ傷を負うことはないわ
フォルグ:すまない、助かった…では行くぞ
リネアネ:いってらっしゃーい
サーシャ:……
リネアネ:大丈夫よ、みんな強いもの
サーシャ:はい…分かってます
リネアネ:そっ、なら大丈夫ね。
リネアネ:あたしたちはあたしたちの仕事をしましょ!
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アグレス:バラクさっきはありがとう
バラク:ん?何のことだ?
アグレス:サーシャのことだ。お前が言ってくれなければ俺は気づかないままだった
バラク:あぁーあれか。サーシャのことだ、アグには隠しておきたかっただろうな
バラク:…だが、今回はそうわいかない
アグレス:そうだな。俺たちが傷つけば迷わずギフトを使うだろう
バラク:そー言うこった。居られたらこっちは傷を負うわけにもいかないし
バラク:守るために神経を使わなきゃいけない。そうなったら勝てるもんも勝てないからなぁ
アグレス:ああ、だから助かった
バラク:…アグが素直にお礼言うの気持ち悪ぃな
アグレス:馬鹿を言うな、俺はいつだって素直だ
バラク:ははっ確かにそーかもな
フォルグ:止まれ!…雑談はここまでのようだ
バラク:おいおいおいおい、なんだこの敵の数?多すぎるだろぉ
アグレス:待ち伏せ?数もそうだが対応が早すぎる
アグレス:カール達が攫われてまだ半日しか経っていないはずだ
フォルグ:なるほど、視られていたか
アグレス:…?それはどういう事ですか?
フォルグ:気配は感じなかったが、王都に滞在している間に【千里】を持つ者に監視されていたのだろう
バラク:そー言うことか!【千里】は一定時間視た人間を観測出来るギフト
バラク:なるほどなるほどぉ。センセェの行動は筒抜けだったってわけだ
フォルグ:そのようだな。すまない
バラク:すまないってかっるいなぁセンセェ
アグレス:今そのことを言っても仕方ないだろう
アグレス:…千はいそうだな。
バラク:こんな所で待ち伏せしてんだ、もっといてもおかしくないよなぁ
フォルグ:どうするアグレス
アグレス:そうですね…固まっていると一気に全滅しかねないので、正面と左右に展開
アグレス:正面は俺、左は先生で右がバラク。今見えていない敵に関しては臨機応変に各々が対応ということで
バラク:りょーかい
フォルグ:分かった
アグレス:では……行くぞ。散開!
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リネアネ:はいはーい子ども達!孤児院の中に入ってーー
リネアネ:おぉーーみんな偉いぞぉ…っと、これで最後かな?
サーシャ:はい、テスロで最後です
リネアネ:おっけー、じゃぁ結界張るからサーシャちゃんお手伝いよろしくねー
サーシャ:はい、準備はできてます
リネアネ:はーい!てことでいきますよー
リネアネ:星海の瞬き
リネアネ:点と天を接ぐ光旋
リネアネ:地に満ち時よ待て
リネアネ:星天結界
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サーシャ:繋ぐ
サーシャ:天加閤金
サーシャ:御門の門
サーシャ:邪気払い己が心を通す
サーシャ:神紋加嗣
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リネアネ:ふぅー、これで良しっと
リネアネ:これでどんな敵が来てもダイジョブっしょ!
リネアネ:さーてさぁーてゆっくりアグレスたちの帰りを待とーー
サーシャ:そうですね。リネアネ副院長は中で休んでいてください
リネアネ:そーねー少し休も…っ誰!?
サーシャ:…っ貴方達は
ファルガ:気づかれましたか…
ファルガ:どうもこんにちは。
ファルガ:私はログルス帝国近衛師団団長、ファルガ・ミュルガイアと申します。
ファルガ:以後お見知りおきを
リネアネ:へぇ……そんな師団長様が何の用?
リネアネ:そんなに手下引き連れてさ
ファルガ:そうですね。王からここの子ども達を連れてくるよう仰せつかったので
リネアネ:ふぅん…子ども達をね
リネアネ:…そんなことさせると思ってるわけ??
ファルガ:簡単に出来るとは思っていません
ファルガ:しかしこの戦力差でそちらも勝てるとは思っていないでしょう?
リネアネ:舐めんじゃないわよ。この結界が見えないの?
ファルガ:確かに素晴らしい結界だ。並の相手なら太刀打ちできないでしょう
ファルガ:だが……
リネアネ:なっ!
サーシャ:噓…
ファルガ:私のギフトは【鑑定】。視た物の情報を全て知ることが出来る
ファルガ:どんなに素晴らしい結界でも弱点を小突けばこの通り
リネアネ:サーシャちゃん中に入ってもう一度結界張って
リネアネ:こいつらの相手はあたしがする
サーシャ:でもっ!
リネアネ:大丈夫、こう見えてもあたし結構強いんだから
ファルガ:いえ、その必要はありません
リネアネ:…なんで
ファルガ:貴方の結界は私には通じない、その上この戦力差。いくら何でも分が悪いのは理解しているでしょう
ファルガ:なので取引しませんか?
リネアネ:取引?
ファルガ:はい。私もなるべく争いたくないのでね。戦わずに目的が達成出来ることに越したことはない
リネアネ:ふーん。まぁ殺りあうのは変わらないだろうけど聞いてあげる
ファルガ:ありがとうございます。さて我々の目的は先ほども申した通りここの子供達の回収ですが…
リネアネ:それを、はいそうですかと言うわけがないよね
ファルガ:はい。ですので
ファルガ:…そこにいるサーシャ・スターシアをこちらに引き渡してください
リネアネ:はぁぁぁぁ!????
サーシャ:っ!
ファルガ:サーシャ・スターシアを渡して頂ければ、二度とこちらには来ないと約束します
リネアネ:バッッッカじゃないのぉ!?そんなの余計出来るわけないじゃない!!
ファルガ:はぁ…まあそうですよね。やはり力尽くになりますか
リネアネ:サーシャちゃんさっき言った通りにして中に隠れてて
サーシャ:一人じゃ無理です!私も一緒に…
リネアネ:ダメ!
サーシャ:どうして…
リネアネ:大丈夫…あたし負けないから!
ファルガ:さて…後ろの気持ちが逸ってる連中を抑えていられるのも時間の問題なので
ファルガ:さっさとやってしまいますか
リネアネ:ふっふー…さぁ来なさい!!!
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バラク:ふっ!はぁあっ!
バラク:はぁはぁ…こいつらキリがねぇ!切っても切っても湧いてきやがる
フォルグ:こいつらは死霊兵だな
バラク:センセェ!?ちょっこっち来て大丈夫なのか?
フォルグ:安心しろ向こうは全て片付けてきた
バラク:マジか!流石かよぉ。でもどうやってこいつら倒すんだ?
フォルグ:頭を潰せ。そうしたら動かなくなる
バラク:頭かぁ…感触残るから嫌なんだよなぁ
フォルグ:心配するな。一度死んでいる人たちだ。気にする必要はない
バラク:そこの心配はしてねーんだけどなぁ
バラク:なんだったらここセンセェに任していいか?
フォルグ:構わないが、どこに行くんだ?
バラク:アグレスんとこ。こいつらの倒し方教えねーと
フォルグ:分かった。ここは私が片付けておこう
バラク:任せたぁー
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アグレス:(M)倒しても倒しても起き上がってくる敵
アグレス:(M)足を削ることで着実に戦闘不能に追い込み、何とか数を減らしていた
アグレス:(M)敵が倒れ視界が広がる。その奥から群衆がぞろぞろと湧く
アグレス:(M)その時一人と目が合う。否、目が合ったのは今回目的の人物…
アグレス:(M)受け入れがたいその事実に、戦闘中にもかかわらず…
アグレス:(M)俺は、ただただ立ち尽くす事しか出来なかった
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アグレス:…………カール
カール:…………
アグレス:お前なんで…
アグレス:(連れ去られてまだ半日しか経っていないはず。なのに何故ここに居る?)
アグレス:(まさか…こいつらと同じ不死身の兵士にされたのか?)
アグレス:(クソッ思考が纏まらない。そもそも元に戻せるのかも分からない)
アグレス:(どうすれば…どうすればいい)
バラク:……………レス………アグレス!…アグ!!
アグレス:バラク!?何でここに…
バラク:ああ、あっちはセンセェに任せてきた
バラク:にしても足削って戦えなくするとはやるなぁ。流石アグレスだな
バラク:んでんなとこでボサっとしてどうした……っておいおいマジか
バラク:早すぎんだろ…
アグレス:カールだよな
バラク:俺たちの目が腐ってなけりゃそうだな
バラク:(小声で)チッこうなる予定じゃなかったろ…
アグレス:どうすればいい?拘束して連れ帰って戻す方法を考えるか??それとも…
バラク:バカ、落ち着け。今拘束してもこの数を突破するのは無理だ
アグレス:じゃあどうしろって言うんだよ!
バラク:ちょと待てって今考え……
カール:お……にい…ちゃん……
アグレス:!?
バラク:!?
アグレス:カールお前……意識があるのか?
バラク:まさか死霊化させられてない?
バラク:アグ、可能性が出てきた!解呪する必要がないならこの場で何とか出来る!!
アグレス:本当か!俺はどうすればいい
バラク:俺と二人でカール以外を速攻片付ける。頭を潰せ、そしたらもう動かない!
アグレス:分かった
バラク:行くぞ!!
0:
アグレス:(M)絶望が希望に変わった
アグレス:(M)それだけで、大分救われた気になっていたのかもしれない
アグレス:(M)だが、希望もすぐに瓦解した
アグレス:(M)先ほどとは違い、確実に再起不能にしていく
アグレス:(M)カールを救うべく一心不乱に剣を振る
アグレス:(M)最後の一体を倒そうと切りかかった俺の攻撃が敵の眼前で止まった
アグレス:(M)少し考えれば気づけたはずなのに、無意識にその可能性を排除していた
アグレス:(M)カールと一緒に攫われてしまった彼女の存在のことを
0:
アグレス:はぁはぁ……無理だよ
アグレス:俺がお前を斬るなんて出来るわけないだろ……ケルミア
バラク:っ避けろアグレス!!
アグレス:ぐあぁ……はぁっはぁはぁ
バラク:アグレス大丈夫か!?
アグレス:……どうしてこうなる。守るって言ったのに
カール:ダメ…だよ。兄ちゃん達でもケルミアは…傷つけさせ…ない
アグレス:カール……
バラク:ダメだ。お前を助けるためだ、そこをどけ
カール:ううん、ど…かないよ……僕を殺せば…ミアも動かなくなる……から、僕を…っが、あぁぁぁぁぁぁあ
バラク:チッ今度はなんだ!?
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ジルメナス:ほぉう、子供が我の【法典】に抵抗するか…
ジルメナス:クックックッ…ならばこうするとしよう
ジルメナス:『カール・ブライト、天能贈与を使い敵の目を奪え』
0:
カール:ぐあぁぁぁあ…兄ちゃん……達、後は…任せたよ
バラク:…これはやべぇっ
カール:先獄
カール:今際は明泪
カール:瞬間に簒奪
カール:未来の暗魔
カール:監獄は此処に輝きは永遠に視す
カール:天能贈与『明暗視獄奪』
0:
アグレス:…ここは何処だ?
カール:アグレスの兄ちゃん!
アグレス:カール…
カール:ごめん、僕やらかしちゃった
アグレス:そんなことはいい!お前が無事ならそれで…
カール:ううん…僕は死ぬよ。ケルミアを一人にしたくないもん
アグレス:っ……
カール:ケルミアは僕を守ってくれたんだ。今度は僕の番
アグレス:待ってくれ…
カール:『これ』はアグレスの兄ちゃんにあげる。だから…僕をケルミアと同じ場所に連れてって
アグレス:行かないでくれ……
カール:時間がないや…最後に一つだけ
カール:凄くカッコイイ王様になってね!!
カール:バイバイ
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アグレス:カール…………
バラク:…終わったのか?
アグレス:あぁ
バラク:カールは逝ったのか
アグレス:あぁ……
バラク:悪いな、嫌な役押しつけて…
アグレス:いや、大丈夫…大丈夫だ
フォルグ:二人共無事か
バラク:センセェ!いきなり来るなよ、ビックリするだろ!!
フォルグ:それはすまなかった。…そこで倒れてるのはカールとケルミアか
アグレス:はい。二人共……
フォルグ:言わなくていい。分かっている……辛かったな。よく頑張った
アグレス:っ…はい
バラク:んでこれからどうする?
フォルグ:長居してもいいことは起きないだろう。直ぐにフォレスに帰るぞ
バラク:りょーかいっと……ん?なんだあれ
フォルグ:……なるほど、帰らせる気はないようだな
フォルグ:アグレス、立てるか?体制を整えるぞ
アグレス:分かりました
バラク:ちょっと待て
フォルグ:どうした?
バラク:このタイミングで裏取ってくんのおかしくねーか?俺らを本気で潰すなら、挟撃して数で押すのがセオリーだ
フォルグ:確かに、それはそうだ
バラク:てことは、俺らを潰すのが目的じゃない…
バラク:(そもそもおかしい。こんな雑魚共をどれだけぶつけてきたところで足止めにしかなら……)
バラク:(そう言うことか!センセェを【千里】で見てたってことは孤児院も見てる…)
バラク:アグレスやべぇ!今すぐフォレスに戻れ!!
アグレス:どういう事だ
バラク:こいつらの狙いは最初から孤児院だ!俺らはずっと足止めされてんだ
アグレス:なに!?
バラク:俺とセンセェで道を作る!その隙に行け!!
アグレス:クソッ!!
バラク:センセェ行くぞ!
フォルグ:分かった
アグレス:サーシャ、リネアネ無事でいてくれ……
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バラク:…………ってと、アグはもう抜けたかな
フォルグ:どうする?二人で捌くのは難しい数だぞ
バラク:あーそれは大丈夫。センセェはカールとケルミアを弔ってくれ
フォルグ:あの数を一人で相手するつもりか?流石に死ぬぞ
バラク:大丈夫だってば。…『こいつらは少し先の未来ではもう居ないから』
フォルグ:なに?
バラク:ただ、今から見ることは他言無用で頼むぜーセンセェ
フォルグ:…分かった。私は何も見ないし何も知らない
フォルグ:後は任せたぞ
バラク:そう言うなんだかんだ気遣ってくれるとこ、好きだぜ
バラク:……わりぃなお前ら、救ってやれなくてよ
バラク:せめて、これ以上苦しまないよう逝かしてやる
バラク:…………天現
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リネアネ:はぁはぁはぁ……
ファルガ:ははっやりますね。まさか連れて来た[骸]を一人で倒してしまうとは
リネアネ:あんな弱い奴ら何人連れてきても無駄よ
リネアネ:それであんたは戦わないの?あたしは全然余裕なんだけど…
ファルガ:強がりが見え見えですよ…私はなるべく自分の手を汚したくないのですよ
リネアネ:こんなところにまで来ておいてよく言うわね
ファルガ:はい、だからわざわざこやつらを使ってスマートに仕事を終わらせようとしたんですけどね
ファルガ:まさかこんなにも強いとは思いませんでしたよ。ナギナ・リネアネ
リネアネ:あたしのことも調査済みってことね……それで?やるの?やらないの?
ファルガ:仕方ない。これも仕事ですからね…本気でやりますか
リネアネ:だよねー……そうなるわよね!!
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サーシャ:(M)私はいつもこう。守られてばっかで何も出来ない
サーシャ:(M)昔、お家が襲われた時も、お父さんとお母さんに守られ生かされた
サーシャ:(M)安全な箱に籠り、怖い人の手が届かない場所から
サーシャ:(M)ただ大切な人が傷ついていくことを見つめることしかできない
サーシャ:(M)今もそう。リネアネは私を守るために必死に戦ってくれている
サーシャ:(M)本当にそれでいいの?何度目かも分からない葛藤を繰り返す
サーシャ:(M)だからこそ決めた。今迄の自分とサヨウナラをしようと
サーシャ:(M)過去の守られてばかりだった、サーシャ・スターシアに別れを告げるように
サーシャ:(M)扉を開けて外に飛び出した
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サーシャ:彼の者に慈光の癒しを…刻福
リネアネ:んっ!?体の傷が治った…ってサーシャちゃん!?出てきちゃダメだよ!!
サーシャ:大丈夫です。私は戦える
リネアネ:あらーあらあらあら頼もしい目になってるじゃない…待って、これもしかしてあたし怒られるやつ?
サーシャ:その時は一緒に怒られましょう、ナギ姉
リネアネ:かーーーー
リネアネ:一層負けられないわね!!!
ファルガ:二対一になっても変わりませんよ。貴方達では私には勝てません
ファルガ:それに、目標がわざわざ前に出てきて戦いやすくもなった
リネアネ:うるっっさいわね!サーシャちゃんにそんなきったない手で触らせるわけないでしょ!
ファルガ:きたな……相変わらず元気な口だ…時間も迫ってきたことだし手加減はなしですよ!
リネアネ:最初からしてなかったくせに何が手加減よ!?
サーシャ:ナギ姉前に出すぎないで!防御は私がするからその隙を付いて!!
リネアネ:りょーかいっ!!ナギナちゃんフルパワーでいっくぞぉー
ファルガ:くっ…これは中々に厄介ですね!
リネアネ:皇国流柔術参番・波紋!!
ファルガ:ぐっ、本当にその柔術には慣れませんね…
ファルガ:(どうしたものか。私の攻撃は結界で防がれてしまいますし、割るにしてもその隙をつかれてしまう)
ファルガ:(せめてもう一人いれば…………!)
リネアネ:ほんっとにしぶといわね!!
ファルガ:こう見えても、帝国近衛師団団長ですからね。そう簡単に負けるわけにはいきません
リネアネ:なんでそんなお偉いさんがこんなとこにいるのやら…
ファルガ:どんな立場であろうとログルス帝の駒の一つにすぎませんからね
サーシャ:噓ね
ファルガ:……はい?
サーシャ:貴方はずっと噓をついてる。本当はこの国に…ジルメナスに抗いたいのではないの?
リネアネ:サーシャちゃん?
サーシャ:私も同じだった。いつも大切にされてきた。みんな傷だらけになって帰って来るのを見て悲しかった
サーシャ:だけど…私が傷ついたときに向けられる顔の方がもっと悲しかった
サーシャ:だから言い聞かせた。自分は弱いと…みんなに守られなきゃいけない存在なんだって
サーシャ:でも違うの……本当にすべきだったのは、周りに並び立てるくらい強くなること
サーシャ:貴方も同じ…ずっと何かに縛られてる。
ファルガ:…………まさか、子供に見透かされてしまうとは…私もまだまだのようですね
サーシャ:ならっ!
ファルガ:しかしながら懸かっているものがあるのでね……任務は遂行させてもらいます!!
リネアネ:っあ!こいつ生きてたの!?
ファルガ:ようやく油断してくれましたね。これで終わりです!
リネアネ:(やばっ間に合わない…死……)
アグレス:…………
ファルガ:…あ、貴方は
サーシャ:アグレス!
アグレス:サーシャ、リネアネ…下がってろ
サーシャ:アグレスその傷…
アグレス:大丈夫だ、もう塞がっている
アグレス:それとリネアネ
リネアネ:はいっ!
アグレス:後で説教な
リネアネ:はぁい…あたし頑張ったのにぃー
アグレス:……ファルガ・ミュルガイアだな
ファルガ:いかにも、私が帝国近衛師団団長ファル………
アグレス:いい。一方的に確認しただけだ…それで、今退くなら見逃すが?
ファルガ:本当に…誰も彼も舐めてくれますね!!!
アグレス:そうか、なら死ね
0:
サーシャ:(M)戦闘が始まった。互いに疲弊した中で互角かと思えたが、脇腹に深手を負っているアグレスの方が劣勢に見えた
アグレス:ふっ!はぁあああああ
ファルガ:おっと、危ない
サーシャ:(M)攻撃が空を切る。ここぞとばかりにファルガが攻撃に出て攻守が入れ替わる
アグレス:ぐっ
ファルガ:先ほどまでの威勢はどこに行ったんですか?
サーシャ:(M)血を滴らしながら防ぎ、躱す
サーシャ:(M)ファルガはギフトの能力を駆使し的確に弱点を狙い、崩していく
サーシャ:(M)その時、足元に溜まっていた血で滑りアグレスの態勢が大きく崩れた。
ファルガ:これで終わりです!!
アグレス:っ!
サーシャ:(M)止めを刺すべく繰り出された攻撃よりも速く、私はアグレスの下に飛び出していた…
0:
サーシャ:……………………
アグレス:…………サーシャ…
アグレス:サーシャ!!
ファルガ:まさか…割り込んでくるとは…
ファルガ:ここまでですね…退きます
アグレス:サーシャしっかりしろ!!
サーシャ:……ごめんね
アグレス:喋るな…今傷を……
サーシャ:無理よ……そのくらい分かるわ……
アグレス:そうだ、リネアネ回復術を…
リネアネ:……これはもう…………
アグレス:リネアネ!頼むよ………
リネアネ:……………………
サーシャ:アグレスいいの。もういいの……
アグレス:ダメ…だって……そんなの
サーシャ:そんな悲しい顔しないで…最後に見るあなたの顔がそんなのは嫌…
アグレス:でも…
リネアネ:アグレス…最後なの……
アグレス:…………
サーシャ:私ね…貴方に助けってもらった時からずっとね…………
サーシャ:好きだったの…あの瞬間に恋に落ちたの
サーシャ:前から決めてたんだ
サーシャ:貴方に全て捧げようって。
サーシャ:だからアグレス…私のすべてをあげる……
アグレス:……まさか…
アグレス:ダメだサーシャ!
サーシャ:刻福
サーシャ:天仙の海原
サーシャ:慈戒に人柱
サーシャ:苦我を廻氣
サーシャ:憩い
サーシャ:削魂に灯火を
サーシャ:貴殿に聖冠の施しを与えん
サーシャ:『 天慈戒刻天ノ榮冠』
アグレス:…どうして
サーシャ:ごめんね……でも、これが私の意志
サーシャ:…………。。。貴方が優しい王様になるって信じてる
サーシャ:アグレス……愛しているわ………………………………
アグレス:サーシャ………………サーシャ…
アグレス:うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
0:
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サーシャ:これは止まっていた針が緩やかに重なる厭世の一刻≪Crooslife≫
サーシャ:第二話【心冠の受託】
サーシャ:貴方に想いを…ずっと見守っています……
リネアネ:たっだいまーー!
フォルグ:今戻った
サーシャ:フォルグ院長!リネアネ副院長!
アグレス:……
バラク:……
リネアネ:おんやー??どうした子どもたち?
リネアネ:もしかしてぇ…リネアネお姉ちゃんが居なくて寂しかったのかー!?
バラク:うるせぇのが帰ってきやがったぁ
アグレス:居なかったの二日だけじゃないか
リネアネ:そこの男子二人!!ホンット可愛げがないわねー
バラク:今、それどころじゃないんだよ
リネアネ:んーー?
フォルグ:何かあったのか?
アグレス:はい…先生がグレアに行っている間に…
バラク:…カールとケルミアが攫われた
フォルグ:なに?
リネアネ:はぁぁぁぁ!????
サーシャ:そうなんです…
バラク:マジだ。んで、あんたらの帰りを待ちながらどうするか話し合ってた
リネアネ:話し合いって…なんですぐ助けに行かなかったのよ!
アグレス:助けに行けたのならとっくに行っている
バラク:敵の数が分からない以上、俺たちがここを離れるわけにはいかなかったし
バラク:ここの子ども達のお守りもある。だから戦力が揃うまで待つしかなかった
リネアネ:それはそうかもだけど…
リネアネ:そもそもあんたたちが居て、なんで攫われるのよ?
サーシャ:それは……
アグレス:ケルミアが孤児院全体にギフトを使ったんだ。結界を張っていたがそれも弱体化されていた
アグレス:警戒していた俺ですら気づくのが遅れたんだ、攫われたのはサーシャのせいじゃない
バラク:そうだなぁ。一人でいいって言ったのにこのざまだ
バラク:かっこつけたのに守れなかったアグが悪い
サーシャ:バラク貴方!
アグレス:そうだ、俺が悪い。
アグレス:だから気にするなサーシャ…君が責任を感じる必要はないよ
サーシャ:アグレス……でも…
アグレス:まぁ…バラクに言われるのは癪だけどな
バラク:そもそもケルミアがあそこまでギフトを使いこなせるなんて知らなかったぞ?
フォルグ:……私も知る限りでは個人の音を小さくするのが限界だったと記憶している
リネアネ:あ…あたしが仕込みましたぁぁ
バラク:はぁ!?仕込むつったってぇ限界があんだろぉ
リネアネ:いやーミアちゃん結界術の適性があってさー
リネアネ:ちょっと教えたらこーちょちょいって出来る様になっちゃてー
リネアネ:たはー!あたしが教えるの上手いだけなんだけどねーー
フォルグ:んっんー…お前達、今急がなくてはいけないことを忘れていないか?
リネアネ:ああぁ!!!!そうだった!結局どーすんのよ!!
バラク:話し逸らしといていきなり詰めてくんな
バラク:ビビるだろうが
リネアネ:それもそうね。ごめんなさい
バラク:いきなりすんとすんな
バラク:ビビるだろうが
リネアネ:じゃあどうすればいいのよ!!
アグレス:はぁ…緊張感の無いバカは置いておいて話を進めるぞ
リネアネ:うっっっざぁ。あたしバカじゃないんだけどぉ?
アグレス:うるさい、いちいち口を挿むな。話が進まないだろう
リネアネ:ぐ、ぐぬぬぬぅ
アグレス:それで、帰ってきてすぐで悪いんですが先生には俺たちと一緒にグレアに向かってもらいます
フォルグ:分かった。ここの守備はどうする?
アグレス:リネアネに残ってもらいます
フォルグ:一人でか?
アグレス:はい。結界術に関してリネアネの右に出るものはこの国にはいませんから
リネアネ:お?おぉぉぉ??なんだなんだー?
リネアネ:事実だからっていきなり褒めんなよー照れちゃうだろー?
アグレス:そうだ。事実だ…だから任せるぞ
リネアネ:おうよ!まっかせなさーーい!!
バラク:いや…やっぱりサーシャも残していくべきだ
アグレス:それはさっき話し合って、一緒に行くと決めたはずだ
サーシャ:そうよ。私にも行く意思があるの
サーシャ:それに、傷を負った時の為に私が必要のはずよ
バラク:逆だ。お前に回復させるわけにはいかない
サーシャ:どうして…
バラク:さっきはわざと聞かなかったけどなぁ…サーシャ聞いてもいいか?
サーシャ:……なによ
バラク:お前…後「どのくらい」残ってる?
サーシャ:っ……
バラク:俺はこの中で一番孤児院に来るのが遅かったが、もう三年の付き合いだ
バラク:年長組としてずっと一緒にいたから分かる。
バラク:…サーシャお前、子ども達の怪我を治すために日常的に「ギフト」を使っているな?
アグレス:……なに?
サーシャ:何故それを……
バラク:アグレスには上手く隠していたみたいだけどな
バラク:最近のお前を見てたら分かるし、そもそも子ども達が修行で負ったはずの傷がいつの間にか消えてるしな
リネアネ:確かに、最近あたし治療してないかも
バラク:これで気づかないのはアグレスかバカくらいだ
リネアネ:ぐっ…あたし馬鹿じゃないもん…
バラク:分かったろ?戦場で的になられるのも困るし、ギフト使わせるわけにもいかないんだ
バラク:だから来るだけ無駄なんだよ
リネアネ:あんた言い方とかどうにかならないわけー?
アグレス:確かに言い方は悪いがバラクが正しい
アグレス:そもそも何故言わなかったサーシャ!あれ程ギフトの使用は控えるように言ったはずだ
サーシャ:だって…それは……
アグレス:君のギフトは代償として『寿命』を消費する。分かっているはずだ!
アグレス:もう自分が長くないことを…分かっているはずだ、その【天刻】がどれだけ危険なギフトかと言うことを
アグレス:それなのに何故そんなことし……
サーシャ:そんなことなんかじゃない!そんなことなんかじゃ……
サーシャ:知ってるの…みんなが私を守るために戦ってくれてるって
サーシャ:それなのに私は戦うこともできない……
サーシャ:【天刻】が発現してからずっとそうだった。守られてばかりで何の役にも立てない……
サーシャ:お父さんも、お母さんも、貴方達も傷ついていく!
サーシャ:…役に立ちたいの…一緒に戦いたいの
サーシャ:お願い私も連れていって…
リネアネ:サーシャちゃん…
アグレス:……
フォルグ:サーシャの気持ちは分かった。だが、ダメだ
サーシャ:…どうしてですか
フォルグ:一刻を争うのに時間を掛けすぎている。サーシャの足に揃えていたのでは間に合わない可能性が高い
フォルグ:それに、リネアネもサーシャがいた方が心強いだろう
リネアネ:そうね、一緒に残って結界お手伝いしてもらえたら凄く助かるー!
フォルグ:ということだ。納得は出来ないと思うが、我慢してくれると助かる
サーシャ:分かり…ました
フォルグ:では、アグレス、バラク、十分で準備しろ。
フォルグ:揃い次第、最短でグレアに向かう
0:
0:
0:<王城・法我の間>
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ファルガ:ただいま帰還致しました
ジルメナス:戻ったかミュルガイア。ご苦労だった
ファルガ:はっ、ありがとうございます
ジルメナス:して、ミィティアはどうした
ファルガ:はい、任務中に【明点】の天能贈与に罹り現在治療中です
ジルメナス:ほう、天能贈与とな。あの孤児院に斯様な子供がいたとは
ジルメナス:…ん?左様か、相分かった。下がれ
ジルメナス:ミュルガイア戻ってきて早々だが、任務を与える
ファルガ:はっ
ジルメナス:孤児院から三人グレアに向かってきているとのことだ
ジルメナス:お前にはまたフォレスに行ってもらう。手薄となった所から更に子供を連れてこい
ファルガ:…承知致しました
ジルメナス:[骸]を連れていく事を許可する。では下がれ
ファルガ:はっ!
0:
ファルガ:……すまない
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フォルグ:よし、準備は整ったな
アグレス:はい。いつでも大丈夫です
バラク:いつでもいいぜぇ
フォルグ:それでは、行くぞ
リネアネ:ちょっと待って
フォルグ:どうした?
リネアネ:…貴方達に神のご加護があらんことを…神風纏与
リネアネ:これで並大抵の攻撃じゃ傷を負うことはないわ
フォルグ:すまない、助かった…では行くぞ
リネアネ:いってらっしゃーい
サーシャ:……
リネアネ:大丈夫よ、みんな強いもの
サーシャ:はい…分かってます
リネアネ:そっ、なら大丈夫ね。
リネアネ:あたしたちはあたしたちの仕事をしましょ!
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アグレス:バラクさっきはありがとう
バラク:ん?何のことだ?
アグレス:サーシャのことだ。お前が言ってくれなければ俺は気づかないままだった
バラク:あぁーあれか。サーシャのことだ、アグには隠しておきたかっただろうな
バラク:…だが、今回はそうわいかない
アグレス:そうだな。俺たちが傷つけば迷わずギフトを使うだろう
バラク:そー言うこった。居られたらこっちは傷を負うわけにもいかないし
バラク:守るために神経を使わなきゃいけない。そうなったら勝てるもんも勝てないからなぁ
アグレス:ああ、だから助かった
バラク:…アグが素直にお礼言うの気持ち悪ぃな
アグレス:馬鹿を言うな、俺はいつだって素直だ
バラク:ははっ確かにそーかもな
フォルグ:止まれ!…雑談はここまでのようだ
バラク:おいおいおいおい、なんだこの敵の数?多すぎるだろぉ
アグレス:待ち伏せ?数もそうだが対応が早すぎる
アグレス:カール達が攫われてまだ半日しか経っていないはずだ
フォルグ:なるほど、視られていたか
アグレス:…?それはどういう事ですか?
フォルグ:気配は感じなかったが、王都に滞在している間に【千里】を持つ者に監視されていたのだろう
バラク:そー言うことか!【千里】は一定時間視た人間を観測出来るギフト
バラク:なるほどなるほどぉ。センセェの行動は筒抜けだったってわけだ
フォルグ:そのようだな。すまない
バラク:すまないってかっるいなぁセンセェ
アグレス:今そのことを言っても仕方ないだろう
アグレス:…千はいそうだな。
バラク:こんな所で待ち伏せしてんだ、もっといてもおかしくないよなぁ
フォルグ:どうするアグレス
アグレス:そうですね…固まっていると一気に全滅しかねないので、正面と左右に展開
アグレス:正面は俺、左は先生で右がバラク。今見えていない敵に関しては臨機応変に各々が対応ということで
バラク:りょーかい
フォルグ:分かった
アグレス:では……行くぞ。散開!
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リネアネ:はいはーい子ども達!孤児院の中に入ってーー
リネアネ:おぉーーみんな偉いぞぉ…っと、これで最後かな?
サーシャ:はい、テスロで最後です
リネアネ:おっけー、じゃぁ結界張るからサーシャちゃんお手伝いよろしくねー
サーシャ:はい、準備はできてます
リネアネ:はーい!てことでいきますよー
リネアネ:星海の瞬き
リネアネ:点と天を接ぐ光旋
リネアネ:地に満ち時よ待て
リネアネ:星天結界
0:
サーシャ:繋ぐ
サーシャ:天加閤金
サーシャ:御門の門
サーシャ:邪気払い己が心を通す
サーシャ:神紋加嗣
0:
リネアネ:ふぅー、これで良しっと
リネアネ:これでどんな敵が来てもダイジョブっしょ!
リネアネ:さーてさぁーてゆっくりアグレスたちの帰りを待とーー
サーシャ:そうですね。リネアネ副院長は中で休んでいてください
リネアネ:そーねー少し休も…っ誰!?
サーシャ:…っ貴方達は
ファルガ:気づかれましたか…
ファルガ:どうもこんにちは。
ファルガ:私はログルス帝国近衛師団団長、ファルガ・ミュルガイアと申します。
ファルガ:以後お見知りおきを
リネアネ:へぇ……そんな師団長様が何の用?
リネアネ:そんなに手下引き連れてさ
ファルガ:そうですね。王からここの子ども達を連れてくるよう仰せつかったので
リネアネ:ふぅん…子ども達をね
リネアネ:…そんなことさせると思ってるわけ??
ファルガ:簡単に出来るとは思っていません
ファルガ:しかしこの戦力差でそちらも勝てるとは思っていないでしょう?
リネアネ:舐めんじゃないわよ。この結界が見えないの?
ファルガ:確かに素晴らしい結界だ。並の相手なら太刀打ちできないでしょう
ファルガ:だが……
リネアネ:なっ!
サーシャ:噓…
ファルガ:私のギフトは【鑑定】。視た物の情報を全て知ることが出来る
ファルガ:どんなに素晴らしい結界でも弱点を小突けばこの通り
リネアネ:サーシャちゃん中に入ってもう一度結界張って
リネアネ:こいつらの相手はあたしがする
サーシャ:でもっ!
リネアネ:大丈夫、こう見えてもあたし結構強いんだから
ファルガ:いえ、その必要はありません
リネアネ:…なんで
ファルガ:貴方の結界は私には通じない、その上この戦力差。いくら何でも分が悪いのは理解しているでしょう
ファルガ:なので取引しませんか?
リネアネ:取引?
ファルガ:はい。私もなるべく争いたくないのでね。戦わずに目的が達成出来ることに越したことはない
リネアネ:ふーん。まぁ殺りあうのは変わらないだろうけど聞いてあげる
ファルガ:ありがとうございます。さて我々の目的は先ほども申した通りここの子供達の回収ですが…
リネアネ:それを、はいそうですかと言うわけがないよね
ファルガ:はい。ですので
ファルガ:…そこにいるサーシャ・スターシアをこちらに引き渡してください
リネアネ:はぁぁぁぁ!????
サーシャ:っ!
ファルガ:サーシャ・スターシアを渡して頂ければ、二度とこちらには来ないと約束します
リネアネ:バッッッカじゃないのぉ!?そんなの余計出来るわけないじゃない!!
ファルガ:はぁ…まあそうですよね。やはり力尽くになりますか
リネアネ:サーシャちゃんさっき言った通りにして中に隠れてて
サーシャ:一人じゃ無理です!私も一緒に…
リネアネ:ダメ!
サーシャ:どうして…
リネアネ:大丈夫…あたし負けないから!
ファルガ:さて…後ろの気持ちが逸ってる連中を抑えていられるのも時間の問題なので
ファルガ:さっさとやってしまいますか
リネアネ:ふっふー…さぁ来なさい!!!
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バラク:ふっ!はぁあっ!
バラク:はぁはぁ…こいつらキリがねぇ!切っても切っても湧いてきやがる
フォルグ:こいつらは死霊兵だな
バラク:センセェ!?ちょっこっち来て大丈夫なのか?
フォルグ:安心しろ向こうは全て片付けてきた
バラク:マジか!流石かよぉ。でもどうやってこいつら倒すんだ?
フォルグ:頭を潰せ。そうしたら動かなくなる
バラク:頭かぁ…感触残るから嫌なんだよなぁ
フォルグ:心配するな。一度死んでいる人たちだ。気にする必要はない
バラク:そこの心配はしてねーんだけどなぁ
バラク:なんだったらここセンセェに任していいか?
フォルグ:構わないが、どこに行くんだ?
バラク:アグレスんとこ。こいつらの倒し方教えねーと
フォルグ:分かった。ここは私が片付けておこう
バラク:任せたぁー
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アグレス:(M)倒しても倒しても起き上がってくる敵
アグレス:(M)足を削ることで着実に戦闘不能に追い込み、何とか数を減らしていた
アグレス:(M)敵が倒れ視界が広がる。その奥から群衆がぞろぞろと湧く
アグレス:(M)その時一人と目が合う。否、目が合ったのは今回目的の人物…
アグレス:(M)受け入れがたいその事実に、戦闘中にもかかわらず…
アグレス:(M)俺は、ただただ立ち尽くす事しか出来なかった
0:
アグレス:…………カール
カール:…………
アグレス:お前なんで…
アグレス:(連れ去られてまだ半日しか経っていないはず。なのに何故ここに居る?)
アグレス:(まさか…こいつらと同じ不死身の兵士にされたのか?)
アグレス:(クソッ思考が纏まらない。そもそも元に戻せるのかも分からない)
アグレス:(どうすれば…どうすればいい)
バラク:……………レス………アグレス!…アグ!!
アグレス:バラク!?何でここに…
バラク:ああ、あっちはセンセェに任せてきた
バラク:にしても足削って戦えなくするとはやるなぁ。流石アグレスだな
バラク:んでんなとこでボサっとしてどうした……っておいおいマジか
バラク:早すぎんだろ…
アグレス:カールだよな
バラク:俺たちの目が腐ってなけりゃそうだな
バラク:(小声で)チッこうなる予定じゃなかったろ…
アグレス:どうすればいい?拘束して連れ帰って戻す方法を考えるか??それとも…
バラク:バカ、落ち着け。今拘束してもこの数を突破するのは無理だ
アグレス:じゃあどうしろって言うんだよ!
バラク:ちょと待てって今考え……
カール:お……にい…ちゃん……
アグレス:!?
バラク:!?
アグレス:カールお前……意識があるのか?
バラク:まさか死霊化させられてない?
バラク:アグ、可能性が出てきた!解呪する必要がないならこの場で何とか出来る!!
アグレス:本当か!俺はどうすればいい
バラク:俺と二人でカール以外を速攻片付ける。頭を潰せ、そしたらもう動かない!
アグレス:分かった
バラク:行くぞ!!
0:
アグレス:(M)絶望が希望に変わった
アグレス:(M)それだけで、大分救われた気になっていたのかもしれない
アグレス:(M)だが、希望もすぐに瓦解した
アグレス:(M)先ほどとは違い、確実に再起不能にしていく
アグレス:(M)カールを救うべく一心不乱に剣を振る
アグレス:(M)最後の一体を倒そうと切りかかった俺の攻撃が敵の眼前で止まった
アグレス:(M)少し考えれば気づけたはずなのに、無意識にその可能性を排除していた
アグレス:(M)カールと一緒に攫われてしまった彼女の存在のことを
0:
アグレス:はぁはぁ……無理だよ
アグレス:俺がお前を斬るなんて出来るわけないだろ……ケルミア
バラク:っ避けろアグレス!!
アグレス:ぐあぁ……はぁっはぁはぁ
バラク:アグレス大丈夫か!?
アグレス:……どうしてこうなる。守るって言ったのに
カール:ダメ…だよ。兄ちゃん達でもケルミアは…傷つけさせ…ない
アグレス:カール……
バラク:ダメだ。お前を助けるためだ、そこをどけ
カール:ううん、ど…かないよ……僕を殺せば…ミアも動かなくなる……から、僕を…っが、あぁぁぁぁぁぁあ
バラク:チッ今度はなんだ!?
0:
ジルメナス:ほぉう、子供が我の【法典】に抵抗するか…
ジルメナス:クックックッ…ならばこうするとしよう
ジルメナス:『カール・ブライト、天能贈与を使い敵の目を奪え』
0:
カール:ぐあぁぁぁあ…兄ちゃん……達、後は…任せたよ
バラク:…これはやべぇっ
カール:先獄
カール:今際は明泪
カール:瞬間に簒奪
カール:未来の暗魔
カール:監獄は此処に輝きは永遠に視す
カール:天能贈与『明暗視獄奪』
0:
アグレス:…ここは何処だ?
カール:アグレスの兄ちゃん!
アグレス:カール…
カール:ごめん、僕やらかしちゃった
アグレス:そんなことはいい!お前が無事ならそれで…
カール:ううん…僕は死ぬよ。ケルミアを一人にしたくないもん
アグレス:っ……
カール:ケルミアは僕を守ってくれたんだ。今度は僕の番
アグレス:待ってくれ…
カール:『これ』はアグレスの兄ちゃんにあげる。だから…僕をケルミアと同じ場所に連れてって
アグレス:行かないでくれ……
カール:時間がないや…最後に一つだけ
カール:凄くカッコイイ王様になってね!!
カール:バイバイ
0:
アグレス:カール…………
バラク:…終わったのか?
アグレス:あぁ
バラク:カールは逝ったのか
アグレス:あぁ……
バラク:悪いな、嫌な役押しつけて…
アグレス:いや、大丈夫…大丈夫だ
フォルグ:二人共無事か
バラク:センセェ!いきなり来るなよ、ビックリするだろ!!
フォルグ:それはすまなかった。…そこで倒れてるのはカールとケルミアか
アグレス:はい。二人共……
フォルグ:言わなくていい。分かっている……辛かったな。よく頑張った
アグレス:っ…はい
バラク:んでこれからどうする?
フォルグ:長居してもいいことは起きないだろう。直ぐにフォレスに帰るぞ
バラク:りょーかいっと……ん?なんだあれ
フォルグ:……なるほど、帰らせる気はないようだな
フォルグ:アグレス、立てるか?体制を整えるぞ
アグレス:分かりました
バラク:ちょっと待て
フォルグ:どうした?
バラク:このタイミングで裏取ってくんのおかしくねーか?俺らを本気で潰すなら、挟撃して数で押すのがセオリーだ
フォルグ:確かに、それはそうだ
バラク:てことは、俺らを潰すのが目的じゃない…
バラク:(そもそもおかしい。こんな雑魚共をどれだけぶつけてきたところで足止めにしかなら……)
バラク:(そう言うことか!センセェを【千里】で見てたってことは孤児院も見てる…)
バラク:アグレスやべぇ!今すぐフォレスに戻れ!!
アグレス:どういう事だ
バラク:こいつらの狙いは最初から孤児院だ!俺らはずっと足止めされてんだ
アグレス:なに!?
バラク:俺とセンセェで道を作る!その隙に行け!!
アグレス:クソッ!!
バラク:センセェ行くぞ!
フォルグ:分かった
アグレス:サーシャ、リネアネ無事でいてくれ……
0:
バラク:…………ってと、アグはもう抜けたかな
フォルグ:どうする?二人で捌くのは難しい数だぞ
バラク:あーそれは大丈夫。センセェはカールとケルミアを弔ってくれ
フォルグ:あの数を一人で相手するつもりか?流石に死ぬぞ
バラク:大丈夫だってば。…『こいつらは少し先の未来ではもう居ないから』
フォルグ:なに?
バラク:ただ、今から見ることは他言無用で頼むぜーセンセェ
フォルグ:…分かった。私は何も見ないし何も知らない
フォルグ:後は任せたぞ
バラク:そう言うなんだかんだ気遣ってくれるとこ、好きだぜ
バラク:……わりぃなお前ら、救ってやれなくてよ
バラク:せめて、これ以上苦しまないよう逝かしてやる
バラク:…………天現
0:
0:
0:
リネアネ:はぁはぁはぁ……
ファルガ:ははっやりますね。まさか連れて来た[骸]を一人で倒してしまうとは
リネアネ:あんな弱い奴ら何人連れてきても無駄よ
リネアネ:それであんたは戦わないの?あたしは全然余裕なんだけど…
ファルガ:強がりが見え見えですよ…私はなるべく自分の手を汚したくないのですよ
リネアネ:こんなところにまで来ておいてよく言うわね
ファルガ:はい、だからわざわざこやつらを使ってスマートに仕事を終わらせようとしたんですけどね
ファルガ:まさかこんなにも強いとは思いませんでしたよ。ナギナ・リネアネ
リネアネ:あたしのことも調査済みってことね……それで?やるの?やらないの?
ファルガ:仕方ない。これも仕事ですからね…本気でやりますか
リネアネ:だよねー……そうなるわよね!!
0:
0:
0:
サーシャ:(M)私はいつもこう。守られてばっかで何も出来ない
サーシャ:(M)昔、お家が襲われた時も、お父さんとお母さんに守られ生かされた
サーシャ:(M)安全な箱に籠り、怖い人の手が届かない場所から
サーシャ:(M)ただ大切な人が傷ついていくことを見つめることしかできない
サーシャ:(M)今もそう。リネアネは私を守るために必死に戦ってくれている
サーシャ:(M)本当にそれでいいの?何度目かも分からない葛藤を繰り返す
サーシャ:(M)だからこそ決めた。今迄の自分とサヨウナラをしようと
サーシャ:(M)過去の守られてばかりだった、サーシャ・スターシアに別れを告げるように
サーシャ:(M)扉を開けて外に飛び出した
0:
サーシャ:彼の者に慈光の癒しを…刻福
リネアネ:んっ!?体の傷が治った…ってサーシャちゃん!?出てきちゃダメだよ!!
サーシャ:大丈夫です。私は戦える
リネアネ:あらーあらあらあら頼もしい目になってるじゃない…待って、これもしかしてあたし怒られるやつ?
サーシャ:その時は一緒に怒られましょう、ナギ姉
リネアネ:かーーーー
リネアネ:一層負けられないわね!!!
ファルガ:二対一になっても変わりませんよ。貴方達では私には勝てません
ファルガ:それに、目標がわざわざ前に出てきて戦いやすくもなった
リネアネ:うるっっさいわね!サーシャちゃんにそんなきったない手で触らせるわけないでしょ!
ファルガ:きたな……相変わらず元気な口だ…時間も迫ってきたことだし手加減はなしですよ!
リネアネ:最初からしてなかったくせに何が手加減よ!?
サーシャ:ナギ姉前に出すぎないで!防御は私がするからその隙を付いて!!
リネアネ:りょーかいっ!!ナギナちゃんフルパワーでいっくぞぉー
ファルガ:くっ…これは中々に厄介ですね!
リネアネ:皇国流柔術参番・波紋!!
ファルガ:ぐっ、本当にその柔術には慣れませんね…
ファルガ:(どうしたものか。私の攻撃は結界で防がれてしまいますし、割るにしてもその隙をつかれてしまう)
ファルガ:(せめてもう一人いれば…………!)
リネアネ:ほんっとにしぶといわね!!
ファルガ:こう見えても、帝国近衛師団団長ですからね。そう簡単に負けるわけにはいきません
リネアネ:なんでそんなお偉いさんがこんなとこにいるのやら…
ファルガ:どんな立場であろうとログルス帝の駒の一つにすぎませんからね
サーシャ:噓ね
ファルガ:……はい?
サーシャ:貴方はずっと噓をついてる。本当はこの国に…ジルメナスに抗いたいのではないの?
リネアネ:サーシャちゃん?
サーシャ:私も同じだった。いつも大切にされてきた。みんな傷だらけになって帰って来るのを見て悲しかった
サーシャ:だけど…私が傷ついたときに向けられる顔の方がもっと悲しかった
サーシャ:だから言い聞かせた。自分は弱いと…みんなに守られなきゃいけない存在なんだって
サーシャ:でも違うの……本当にすべきだったのは、周りに並び立てるくらい強くなること
サーシャ:貴方も同じ…ずっと何かに縛られてる。
ファルガ:…………まさか、子供に見透かされてしまうとは…私もまだまだのようですね
サーシャ:ならっ!
ファルガ:しかしながら懸かっているものがあるのでね……任務は遂行させてもらいます!!
リネアネ:っあ!こいつ生きてたの!?
ファルガ:ようやく油断してくれましたね。これで終わりです!
リネアネ:(やばっ間に合わない…死……)
アグレス:…………
ファルガ:…あ、貴方は
サーシャ:アグレス!
アグレス:サーシャ、リネアネ…下がってろ
サーシャ:アグレスその傷…
アグレス:大丈夫だ、もう塞がっている
アグレス:それとリネアネ
リネアネ:はいっ!
アグレス:後で説教な
リネアネ:はぁい…あたし頑張ったのにぃー
アグレス:……ファルガ・ミュルガイアだな
ファルガ:いかにも、私が帝国近衛師団団長ファル………
アグレス:いい。一方的に確認しただけだ…それで、今退くなら見逃すが?
ファルガ:本当に…誰も彼も舐めてくれますね!!!
アグレス:そうか、なら死ね
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サーシャ:(M)戦闘が始まった。互いに疲弊した中で互角かと思えたが、脇腹に深手を負っているアグレスの方が劣勢に見えた
アグレス:ふっ!はぁあああああ
ファルガ:おっと、危ない
サーシャ:(M)攻撃が空を切る。ここぞとばかりにファルガが攻撃に出て攻守が入れ替わる
アグレス:ぐっ
ファルガ:先ほどまでの威勢はどこに行ったんですか?
サーシャ:(M)血を滴らしながら防ぎ、躱す
サーシャ:(M)ファルガはギフトの能力を駆使し的確に弱点を狙い、崩していく
サーシャ:(M)その時、足元に溜まっていた血で滑りアグレスの態勢が大きく崩れた。
ファルガ:これで終わりです!!
アグレス:っ!
サーシャ:(M)止めを刺すべく繰り出された攻撃よりも速く、私はアグレスの下に飛び出していた…
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サーシャ:……………………
アグレス:…………サーシャ…
アグレス:サーシャ!!
ファルガ:まさか…割り込んでくるとは…
ファルガ:ここまでですね…退きます
アグレス:サーシャしっかりしろ!!
サーシャ:……ごめんね
アグレス:喋るな…今傷を……
サーシャ:無理よ……そのくらい分かるわ……
アグレス:そうだ、リネアネ回復術を…
リネアネ:……これはもう…………
アグレス:リネアネ!頼むよ………
リネアネ:……………………
サーシャ:アグレスいいの。もういいの……
アグレス:ダメ…だって……そんなの
サーシャ:そんな悲しい顔しないで…最後に見るあなたの顔がそんなのは嫌…
アグレス:でも…
リネアネ:アグレス…最後なの……
アグレス:…………
サーシャ:私ね…貴方に助けってもらった時からずっとね…………
サーシャ:好きだったの…あの瞬間に恋に落ちたの
サーシャ:前から決めてたんだ
サーシャ:貴方に全て捧げようって。
サーシャ:だからアグレス…私のすべてをあげる……
アグレス:……まさか…
アグレス:ダメだサーシャ!
サーシャ:刻福
サーシャ:天仙の海原
サーシャ:慈戒に人柱
サーシャ:苦我を廻氣
サーシャ:憩い
サーシャ:削魂に灯火を
サーシャ:貴殿に聖冠の施しを与えん
サーシャ:『 天慈戒刻天ノ榮冠』
アグレス:…どうして
サーシャ:ごめんね……でも、これが私の意志
サーシャ:…………。。。貴方が優しい王様になるって信じてる
サーシャ:アグレス……愛しているわ………………………………
アグレス:サーシャ………………サーシャ…
アグレス:うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
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サーシャ:これは止まっていた針が緩やかに重なる厭世の一刻≪Crooslife≫
サーシャ:第二話【心冠の受託】
サーシャ:貴方に想いを…ずっと見守っています……