声劇台本置き場

0：なぁ僕？怖い話は好きかい？そうかそうか 0：じゃあおじさんのとっておきを聞かせてあげよう 0：なに？普通のはもう聞き飽きた？ 0：なかなか生意気なこと言うねぇ 0：なら「意味が分かると怖い話」ってのを話してあげよう 0：どこが怖いか考えながら聞いておくれ 0： 0：ある村の男の子の話 0：お母さんに怒られて家を飛び出した男の子はいつも友達と遊んでいる神社の境内にやってきました 0：家に帰るつもりなんてちっともない男の子は、そこで時間を潰しながらこれからどうするか考えていました 0：すると昼間から雲で薄暗かった空から案の定雨が降ってきました 0：男の子は濡れるのは嫌だったから「神様、今日だけ泊まらせてください」と言ってお社の中に入っていきました 0：その内に寝てしまった男の子はお父さんの自分の名前を呼ぶ声で目を覚ましました 0：心配したお父さんが探しに来てくれたのでしょう 0：男の子は雨で寒かったし一人ぼっちで寂しかったし心配かけて申し訳ない気持ちでいっぱいでお父さんに駆け寄って泣きながら謝りました 0：そうしてそのまま手を繋いで家に帰ろうとしました 0：けれどもお父さんは動きません 0：男の子が手を引いていこうとしても力が強くて動かせません 0：お父さんは神社の隅にある祠を見つめています 0：「お父さん？どうしたの？早くお家に帰ろうよ」 0：「あれはお前が壊したのか…？」 0：それはその日男の子が鬼ごっこをしていてぶつかって壊してしまった祠でした 0：「うん…鬼ごっこしてたらぶつかっちゃったの」 0：「そうか…おまえだったノカ」 0：お父さんはにんまりと笑みを浮かべるとそのまま大口を開けて男の子を喰ってしまいました 0：その後、その男の子の姿を見たものは誰もいませんでした 0： 0：どうだったかな？ 0：普通？いやいや、これは「意味が分かると怖い話」だからね 0：どこが怖いところだったか分かったかな？ 0：そうか分からないか… 0：なら特別にヒントをあげよう 0：このお話は男の子が体験したお話だろ？ 0：でもその男の子は食べられて生きてはいないはず 0：なら、どうしてこのお話が語り継がれていると思う 0：作り話？いやいやこれは「実話」だよ 0：ちなみにこれを見た人は誰も居ないからね 0： 0：正解は 0：この話には男の子以外にもう1人出てくる人が居るだろ？ 0：それが人と呼べるかは分からないが 0： 0：分かったようだね 0： 0：男の子を喰ったやつがこの話を伝えてるんだ 0： 0：君も知らないおじさんには気をつけた方がいいよ 0：ちょうどこんな風に喰われちまうからね 0：