台本概要

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タイトル CITRUS LOVER【BL】
作者名 蒼(あおい)  (@aoi_m_o10)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 この気持ちを、何かの形で、返したい……
お互いを想うが故に、すれ違う。
ぎこちなくも、とこか甘酸っぱい……そんな恋人の話。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
蒼汰 114 颯星 蒼汰(はやせ そうた) 28歳 子供っぽさが残る大人。雪斗の変貌に動揺が隠せない。
雪斗 112 望月 雪斗(もちづき ゆきと) 20歳 20歳になってから、蒼汰に積極的にアタックしている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0: 0:季節―冬。 0:雪斗、蒼汰、蒼汰の家。リビング。 0: 0: 0: 蒼汰:…ゆき? 雪斗:…何?そうちゃん。 蒼汰:…何でこうなった? 雪斗:…何が? 蒼汰:ゆきが、俺の作ったチョコが食べたいって言うから、キッチンで作り始めたんだよな…? 雪斗:うん。そうだね。 蒼汰:……何で、今俺はリビングのソファーに押し倒されてんの? 雪斗:チョコも食べたいけど、今は…そうちゃんの事、食べたくなっちゃったから…つい? 蒼汰:つい?…じゃねーよ!…ったく、二十歳になってから、本当に変わったよな…ゆき。 雪斗:そう? 蒼汰:そうだよ。人はここまで変わるのかと、俺は今も動揺を隠せないでいる。 雪斗:大袈裟だなぁ。俺はいつも通りだよ?ただ、そうちゃんに対する想いが強いだけ。 蒼汰:その想いの表現の仕方が、なんつーか…凄いんだよぉ…。 雪斗:こんな俺は嫌い…? 蒼汰:…っ!いや、そういう訳じゃねーけど…。 雪斗:じゃあ、そうちゃんは、俺の事どう想ってるの? 蒼汰:………言わなきゃダメか? 雪斗:言ってくれないの…? 蒼汰:そ、そんな顔するなよ……。す…好き、だよ。俺も…ゆきの事…。 雪斗:ふふっ…俺も、そうちゃんの事大好きだよ…! 蒼汰:ぅわっ…!こ、こら…急に抱きつくな…! 0: 0: 0: 蒼汰:(М)寒さが続く季節―。3年という時間をかけ、俺自身の中で色々と考え、整理して…今はゆきと付き合っている。…そう、恋人として。 蒼汰:(М)二十歳の誕生日を迎えたその日から、ゆきはそれまで以上に俺に対する想いをぶつけてくれている。 蒼汰:(М)これを、ゆきなりの甘え方と捉えるべきなのか、正直、悩ましい所ではあるが…俺に素直な感情を見せてくれているのは、嬉しいな…。 蒼汰:(М)ゆきが、俺にしか見せない姿を…独占している様な、そんな感じがして…。 0: 0: 0: 雪斗:(М)3年。この時間が、とてつもなく長く感じた。生まれてきた時間の差は、どう足掻いても埋められない。 雪斗:(М)こんな気持ちを抱いたのも、きっと、そうちゃんだからなんだろうなぁ…と、いつも思う。 雪斗:(М)好きって想いが、相手に伝わるだけでも、凄く怯えていたのに。その想いが受け入れられるって、こんなにも嬉しくて、幸せな事なんだなぁ…。 雪斗:(М)この気持ちを、何かの形で、そうちゃんに返したいな…。 0: 0: 0: 0:雪斗、蒼汰、リビングに戻り作業を再開する。 0: 0: 0: 雪斗:ほらほら、チョコ作り再開させないと…! 蒼汰:中断させたのはどこの誰だよ…。 雪斗:ふふっ…。それで?これから何を作るんだっけ? 蒼汰:チョコテリーヌを作ってく。出来たても、冷やしても勿論、美味しいんだけど、少し温めなおした方が、俺は好きなやつだな。 雪斗:へぇ~。お菓子作りって、やっぱり難しいの? 蒼汰:うーん、どうだろうな?普段から作ってれば、特に難しいと感じる事もないんだろうが、面倒くさいとはなるかもな。 雪斗:面倒くさい?何で? 蒼汰:普段の料理は、味の好みとかも人それぞれだろ?濃い目の味付けが好きだとか、あっさりした方が好きだとか。 雪斗:そうだね。俺とそうちゃんも、ちょっと味の好み違うしね。 蒼汰:だろ?料理は、その人に合わせて味付けが変えられる。なんなら、目分量でも料理は出来る。 雪斗:もともと薄味とかで作っておいて、後から調味料足して自分の好きな味にしたり? 蒼汰:そういう事も出来るな。ただ、お菓子作りはそうもいかん。分量を間違えると、上手く生地が膨らまなかったり、焦げたりする。 雪斗:あー…確かに。それは、面倒くさいってなるかも。凄い神経使いそう…。 蒼汰:まぁ、何でも回数重ねて慣れるしかないって事だな。 雪斗:…俺にも作れるかな?これ。 蒼汰:比較的、簡単な作業だし、ゆきにも出来るんじゃないか? 雪斗:そう、かな…?じゃあ、今日は先生の作り方を見て勉強しないとね! 蒼汰:先生って…誰かに教えられる程、器用じゃねーぞ? 雪斗:大丈夫、大丈夫。そこが、そうちゃんの良い所だから。 蒼汰:…褒められてんのか?それ? 雪斗:まぁまぁ…。(笑) 0: 0:間 0: 蒼汰:(咳払い)材料は、チョコレート、卵、砂糖、牛乳、インスタントコーヒーに、マーガリン。あと、ブランデーだな。 雪斗:マーガリン?バターじゃないんだ。 蒼汰:まぁな。チョコレートは、甘いのが得意じゃなかったら、ビターのやつにしたら良いし。 雪斗:なるほど。そこで少しは甘さの調整できるんだ。あと、ブランデーって…。 蒼汰:お酒だぞ。ゆきも成人してるし、そこは問題ないだろ? 雪斗:どんな味になるんだろう…?酔っぱらったりするのかなぁ? 蒼汰:香りづけ程度の量だしな。そこまで酔う感じにはならないと思うが……少し多めに入れとくか? 雪斗:わぁ~…悪い大人だぁ~…。 蒼汰:あはは!冗談だよ。でも、多少多くても大丈夫だと思うぞ? 雪斗:ふ~ん…そっか。 蒼汰:後はひたすら混ぜる作業だからな。少しずつ卵入れて混ぜてくから、中々に腕が疲れるんだよ。 蒼汰:混ぜ終わったら、型に流し込んで、オーブンは180℃で予熱して、天板にお湯張って40分焼く!それで完成! 雪斗:………。 蒼汰:…?ゆき?どうした? 雪斗:…え?何が? 蒼汰:いや、ぼーっとしてたぞ?大丈夫か? 雪斗:う、うん。大丈夫!ブランデーの香りで酔っちゃったかな?…なんて。 蒼汰:そこまでチョコには入れてな……あっ!ブランデーの蓋そのまんまだわ!オーブンの予熱で充満したのかなぁ?悪い。 雪斗:大丈夫だって。……あのさ、そうちゃん。これのレシピって、貰えないかな? 蒼汰:ん?チョコテリーヌのか?別に良いけど…珍しいな。ゆきが何かを作りたいだなんて。 雪斗:あ…いや、ほ…ほら!もう少ししたら、バレンタインだし…!ちょうどその日ぐらいに、母さんが一時期返って来るみたいでさ…。 蒼汰:おぉー!良いんじゃないか?サプライズか…。ゆきの母さんもきっと喜ぶな!! 雪斗:う、うん…。だ、だからこの事は誰にも言わないで欲しいんだ…。 蒼汰:分かった!内緒だな。頑張れよ…! 雪斗:ありがとう、そうちゃん。 0: 0: 0: 雪斗:(М)母さんへのサプライズプレゼント。……これは、口実だ。本当は、俺が作ったチョコを、そうちゃんに食べて欲しい。 雪斗:(М)そうちゃんは、鈍感だけど、変な所で勘が鋭くなるから、慎重にならないと…。 雪斗:(М)うまく、出来るかな…? 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:蒼汰の家―蒼汰、リビングでテレビを見ている。 0:雪斗、大学から帰って来る。 0: 0: 0: 雪斗:うぅ~寒い!まだまだ春は遠いね。 蒼汰:おかえり、ゆき。お疲れ様。 雪斗:ただいま。そうちゃん、何見てたの? 蒼汰:何か面白い番組やってねーかなーって思ってたけど…この時期だから、どこもバレンタイン特集だな。 雪斗:あぁーそうだね。大学の女子達も、最近その話題が多い気がする。 蒼汰:何だよ、ゆき。モテ発言かぁ?イケメンは大変だなぁ。 雪斗:そんなんじゃないって。まぁ、ちょっと声は掛けられたりはするけど…。 蒼汰:モテてんじゃん…。 雪斗:違うって。……何?どうしたの? 蒼汰:……別にぃ? 雪斗:もしかして………ヤキモチ? 蒼汰:そんなんじゃねーし…。 雪斗:えぇー…何それ。可愛いんですけど。 蒼汰:可愛い言うな…! 雪斗:心配しなくても、俺はそうちゃん一筋だよ。 0:雪斗、ソファーに座っている蒼汰の後ろから、抱きつく。 蒼汰:…んっ………!! 雪斗:…?そうちゃん?どうしたの? 蒼汰:い…いや、その…ゆきの顎が…… 雪斗:うん…? 蒼汰:さ…鎖骨に、当たってんだよ…。 雪斗:うん。後ろから抱きついてるからね。 蒼汰:……ダメなんだよ。 雪斗:何が…? 蒼汰:…鎖骨が。 0:少しの間 雪斗:…ふぅん? 蒼汰:…!何だよ?!その意味深な笑みは?! 雪斗:別に?そんな顔してないよ。 蒼汰:いいや!してた!悪い顔してた! 雪斗:それより、そうちゃん。俺、外から帰って来て、すげー寒かったんだよね。 蒼汰:だから、何だよ…? 雪斗:あっためて欲しいなぁ。…そうちゃんに。……ね?いいでしょ? 蒼汰:…?!さらっと凄い事言うなよな…。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:雪斗、蒼汰、寝室―ベッドの上。 0: 0: 0: 蒼汰:…ゆき、お前、そこばっか触んな…。 雪斗:…ん?そこって、どこの事? 蒼汰:新しいオモチャ見つけたみたいな顔しやがって…。 雪斗:だって、弱いんでしょ?…ここ。 蒼汰:…んぁ、…ば、馬鹿…やめろっ…。 雪斗:そうちゃんって、鎖骨、ダメなんだね…。 0:雪斗、蒼汰の鎖骨にキスをする。 蒼汰:………!? 雪斗:ふふっ…かわいい。 蒼汰:……かわいいって言うな。 雪斗:だって、本当の事だもん。しょうがないじゃん。 蒼汰:………。 雪斗:…?そうちゃん? 蒼汰:…俺だって、ゆきの事好きなんだぞ? 雪斗:うん?う、うん…。 蒼汰:あの時は、まだゆきの事、恋愛感情として見れてなかったけど。…今は、ちゃんと好きなんだからな…。 雪斗:うん……え、どうしたの?そうちゃん、急に… 蒼汰:俺がゆきの事どれくらい好きか、知ってもらう…! 雪斗:え?ちょ、ちょっと…ぅわっ…?! 0:蒼汰、雪斗を押し倒す。 0:蒼汰、雪斗にキスをする。(長さはお任せいたします。) 雪斗:…ん、……はぁ、そ、そうちゃ…んっ……。 蒼汰:……はぁ、はぁ。………雪斗。 雪斗:…!? 蒼汰:…好きだよ。雪斗。 雪斗:…それは、ズルくない?…今まで名前で呼んでくれた事なんて無かったのに…。 蒼汰:良いだろ?…それとも、今まで通りの呼び方の方が良かったか? 雪斗:…そういう訳じゃ、ない、けど…。 蒼汰:けど…? 雪斗:…そうちゃんって、そういう所、本当にズルイ。 蒼汰:俺の事、あんまり甘く見るなよな。…ふふっ。 0:蒼汰、雪斗の腰を指でなぞる。 雪斗:…っあ、ちょっと…?! 蒼汰:…ん?何だ?…腰、もしかして、苦手なのか? 雪斗:…!?い、いやっ、そんなんじゃないし…! 蒼汰:ふぅん…? 0:蒼汰、雪斗の腰にキスをする。 雪斗:……!! 蒼汰:俺以外に、その顔、絶対に見せるなよ…? 雪斗:…こんな事、そうちゃんとじゃないとしないよ……バカ。 0: 0: 0: 蒼汰:(М)ちょっと、強引すぎたかな…?とも思ったけど、俺の本当の気持ちだ。 蒼汰:(М)恋愛感情として、ゆきの事を意識するようになってから、ちょっとした事にドキッとしたり、恥ずかしくなったり…。 蒼汰:(М)何か、形として…ゆきに好きって気持ちを伝えられないかな…。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:2月―とある日の朝。 0:雪斗、蒼汰ともに通学・出勤の準備中。 0: 0: 0: 蒼汰:ゆき、今日、大学何時からだ? 雪斗:今日は、一限からフルだよ。そうちゃんは? 蒼汰:俺は、いつも通り定時で……あ!あぁー…いや、今日は遅くなるかも。 雪斗:そう…?残業とか? 蒼汰:お、おう、まぁ…そんな感じ、かな?…うん。 雪斗:…? 蒼汰:…ほ、ほら!一限からなんだろ?…はいっ!ゆきの弁当。早くしないと遅刻するぞ。 雪斗:う、うん…。じゃあ、行ってくるね。 蒼汰:行ってらっしゃい。気をつけてな。 雪斗:そうちゃんも、気をつけて仕事行って来てね。 蒼汰:あぁ。 0: 0: 0: 雪斗:(М)今日のそうちゃん、何か普段の感じじゃなかったなぁ…。あんなそうちゃん、初めて見たかも…。 雪斗:(М)急に動揺しだした…みたいな?………え?凄い気になるんだけど…。 雪斗:(М)っていうか、俺も、そうちゃんに内緒でチョコ作りの練習しなきゃ…!バレンタインまで、もう時間無いし…! 0: 0: 0: 蒼汰:(М)あからさまに変な態度だったよなぁ、俺…。ゆきに不思議そうな顔で見られたし…。 蒼汰:(М)でも、これは、ゆきに内緒で考えてる事だから、変に口走らない様に気をつけないと…! 蒼汰:(М)職場の同僚に、それとなく相談してみるかな…。 0: 0: 0: 0:夕方―雪斗、帰宅途中。 0:ショッピングモールで、バレンタイン用の材料等の買い物中。 0: 0: 0: 雪斗:う~ん……。こういうのって、何をどう選んだら良いんだろう…?全部同じに見える…。 雪斗:女子は、こういうのも楽しみながら選んだり作ったりしてるんだろうなぁ…。まぁ、そうちゃんも凄いんだけど。 雪斗:…誰かの為に何かを作るって、あの頃以来かなぁ…。俺、凄い小さかったけど。 雪斗:あの時は、確か…クリスマス近かったんだっけ?…体験コーナーで、手作りのスノードーム作ったんだよなぁ。 雪斗:上手く出来なくて、半泣き状態の俺に、優しく笑いながら、そうちゃん手伝ってくれてたっけ…。 雪斗:完成したのを、お互いにプレゼントしてさ……ふふっ、懐かしいなぁ…。 0:雪斗、ふと顔を見上げると、別のブースに蒼汰が居ることに気がつく。 雪斗:……ん?あれって…そうちゃん、だよね?今日、遅くなるって言ってなかったっけ? 雪斗:それに…一緒に居る男の人…誰だろう?凄い親しげに話してる…。 雪斗:…ううん!そうちゃんに限ってないない!ない…よね? 0: 0: 0: 0:同時刻―同じショッピングモール内にて。 0:蒼汰、同僚と相談しながら何かを買おうとしている。 0: 0: 0: 蒼汰:しょうがねーだろ?同じくらいの年齢で、相談できる相手がお前だったんだから。 蒼汰:…で、どう思うよ?無難に料理とか、バレンタインだし、チョコ作っても良いんだろうけどさ。俺的には、形として残したいわけ。 蒼汰:恋愛経験が一切無かった俺には、何かをプレゼントするっていうのは初めてなんだよ!……いや、一度だけ、あるか…。 蒼汰:…ん?あぁ、いや、何でもない。ちょっと昔の事思い出しただけだよ。 蒼汰:んで?お前の感想は?…正直に答えてくれ。プレゼントとして貰って、嬉しいものになるか……? 蒼汰:…あ?色?そうだなぁ…ゆ、…あいつに似合う色、かぁ……。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:2月14日。バレンタイン当日― 0:蒼汰の家。リビングのソファーに雪斗が座っている。 0:蒼汰、仕事から帰って来る。 0: 0: 0: 蒼汰:ただいまー。はぁー疲れたぁ…。 雪斗:あ、そうちゃん。おかえり…。 蒼汰:あれ?ゆき?確か、今日ゆきの母さん帰って来る日じゃなかったっけ?…あ、もう渡してきたのか。 雪斗:ううん、渡してないよ。 蒼汰:え?だって、母さんが帰って来るからって、サプライズでチョコ作るって言ってなかったか? 雪斗:あぁ…あれね。嘘だよ…。母さんは、まだ仕事で出張中。 蒼汰:え…?じゃあ、誰に……。 雪斗:……そうちゃんに、だよ…。 蒼汰:…俺に? 雪斗:…でも、俺、今すごいモヤモヤしてるんだ。 蒼汰:モヤモヤ…? 0:少しの間 雪斗:少し前に、そうちゃん、ショッピングモールで、男の人と一緒に居たよね? 雪斗:残業で遅くなるって言ってたあの日…。 蒼汰:あ、あぁ…。あの日か。……もしかして、ゆきもあそこに行ってたのか? 雪斗:チョコの材料買いにね。…それで?あの人とはどういう関係なの?……まさか、 蒼汰:…?!ご、誤解すんなよ?!あいつはただの仕事の同僚だよ!俺の相談に乗ってもらってただけだって…! 雪斗:…本当に?それだけ? 蒼汰:本当だって。……はぁ。やっぱ俺に隠し事とか向いてねーわ…。 0:蒼汰、雪斗へラッピングされた箱を手渡す。 雪斗:…?これ、何…? 蒼汰:バレンタインのプレゼントだよ。……気に入るかどうかは、分かんねーけど…。 雪斗:……。開けても、いい? 蒼汰:あぁ…。 0:雪斗、プレゼントを開けてみる。 0:箱の中に、黄色と黄緑色のストライプ柄のマフラーが入っている。 雪斗:これ…マフラー?そうちゃんが、俺の為に選んでくれたの? 蒼汰:そ、そうだよ…。気に入らなかった、か…?や、やっぱり、派手過ぎたか…?! 雪斗:…ううん!凄い、嬉しい…!ありがとう!そうちゃん…! 蒼汰:お、おう…。良かった喜んでもらえて。 雪斗:俺、変に勘違いしてたみたい…ごめんね。 蒼汰:良いよ。俺が勘違いさせるような事してたんだし…。俺の方こそ、黙ってて悪かったな。 雪斗:お、俺も……あ、あの、そうちゃんみたいに、上手くはないんだけど…。 0:雪斗、持って来ていた手作りのチョコテリーヌを渡す。 蒼汰:…!チョコテリーヌ!…ゆきが作ったのか?! 雪斗:あ、当たり前でしょ?!そうちゃんの為に、バレない様に必死になって作ったんだから…! 蒼汰:すげぇ……すっげー嬉しいよ!!ありがとうな!ゆき! 雪斗:そんなに喜ぶこと?ちょっと大袈裟じゃない? 蒼汰:だってこれは、ゆきが俺の為に作ってくれたチョコだろ?どこの店に行っても売ってない、たった一つのチョコなんだから…! 雪斗:…ふふっ。だから、大袈裟だって…。 0:雪斗、蒼汰、お互いに笑いあう。 雪斗:そうちゃん。 蒼汰:…ん? 雪斗:ハッピーバレンタイン。 蒼汰:…ハッピーバレンタイン。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:バレンタインの夜―蒼汰、雪斗、リビングにて。 0:食後に、蒼汰がお酒を準備する。 雪斗:そうちゃん、どうしたの?このお酒…。 蒼汰:んー?ちょっと作ってみたいのがあってさ。買って来てたんだ。ゆきも酒飲める年齢だしな。 雪斗:何作るの? 蒼汰:俺と、ゆきの、誕生日カクテル。 雪斗:誕生日、カクテル…?そんなのがあるんだ…。知らなかった…。 蒼汰:俺もこの前、初めて知ったんだけどさ。調べてみたら、結構楽しかったぞ? 雪斗:へぇー。俺のカクテルって、何ていう名前なの? 蒼汰:『ファイナルアプローチ』っていうらしい。ベースが、ジンだから、結構強いかもな…。 0:蒼汰、レシピを見ながら、ファイナルアプローチを作る。 蒼汰:これが、『ファイナルアプローチ』。 雪斗:うわぁ…綺麗な紫色…。 蒼汰:飲んでみるか?…無理はするなよ? 0:雪斗、一口飲んでみる。 雪斗:…!…け、結構強いんだね。喉が熱い…。 蒼汰:最初はそうだろうな。ちょっとずつ慣れてくれば、美味しく感じてくるって。 雪斗:だといいけど…。そうちゃんのカクテルは?どんなの? 蒼汰:俺のは、ゆきより種類は少なめだな。『グリーンアップルロワイヤル』…だと。 0:蒼汰、レシピを見ながら、グリーンアップルロワイヤルを作る。 蒼汰:リキュールとスパークリングワインだけなら、いつでも簡単に作れるな。 雪斗:そうちゃんのも、黄緑色で綺麗だ。カクテルって、家でも作れちゃうんだね。 蒼汰:凝りだすとキリがなさそうだけどな。これくらいなら、たまに作って飲むくらい良いだろ。 0:蒼汰、一口飲んでみる。 蒼汰:…甘めだな。ゆきも一口、飲んでみるか? 雪斗:え?いいの? 蒼汰:?何が? 雪斗:……間接キスになるけど? 蒼汰:……!?べ、別にそういう意味で言ったんじゃねーよ…! 雪斗:照れなくてもいいのに。 蒼汰:照れてねーし…! 雪斗:…………あぁー、もう、我慢できない。 蒼汰:何が?! 雪斗:そうちゃん、いじめていい……? 蒼汰:……?!いいわけあるかー!! 0: 0: 0: 0: 0: 0: 雪斗:(М)冷たい空気が、ツンと鼻を刺激する季節― 蒼汰:(М)街の至る所で、ふんわりと甘い香りが広がる中 雪斗:(М)俺達は、ちょっぴり爽やかで、ほんのり甘い世界に包まれる 蒼汰:(М)たまにほろ苦い時もあるけれど、その苦さすらも愛おしい… 雪斗:(М)初々しく、瑞々しさが、何処か甘酸っぱい… 蒼汰:(М)シトラスを感じさせるような…そんな、俺達の恋模様― 0: 0: 0: 0:fin.

0: 0: 0: 0:季節―冬。 0:雪斗、蒼汰、蒼汰の家。リビング。 0: 0: 0: 蒼汰:…ゆき? 雪斗:…何?そうちゃん。 蒼汰:…何でこうなった? 雪斗:…何が? 蒼汰:ゆきが、俺の作ったチョコが食べたいって言うから、キッチンで作り始めたんだよな…? 雪斗:うん。そうだね。 蒼汰:……何で、今俺はリビングのソファーに押し倒されてんの? 雪斗:チョコも食べたいけど、今は…そうちゃんの事、食べたくなっちゃったから…つい? 蒼汰:つい?…じゃねーよ!…ったく、二十歳になってから、本当に変わったよな…ゆき。 雪斗:そう? 蒼汰:そうだよ。人はここまで変わるのかと、俺は今も動揺を隠せないでいる。 雪斗:大袈裟だなぁ。俺はいつも通りだよ?ただ、そうちゃんに対する想いが強いだけ。 蒼汰:その想いの表現の仕方が、なんつーか…凄いんだよぉ…。 雪斗:こんな俺は嫌い…? 蒼汰:…っ!いや、そういう訳じゃねーけど…。 雪斗:じゃあ、そうちゃんは、俺の事どう想ってるの? 蒼汰:………言わなきゃダメか? 雪斗:言ってくれないの…? 蒼汰:そ、そんな顔するなよ……。す…好き、だよ。俺も…ゆきの事…。 雪斗:ふふっ…俺も、そうちゃんの事大好きだよ…! 蒼汰:ぅわっ…!こ、こら…急に抱きつくな…! 0: 0: 0: 蒼汰:(М)寒さが続く季節―。3年という時間をかけ、俺自身の中で色々と考え、整理して…今はゆきと付き合っている。…そう、恋人として。 蒼汰:(М)二十歳の誕生日を迎えたその日から、ゆきはそれまで以上に俺に対する想いをぶつけてくれている。 蒼汰:(М)これを、ゆきなりの甘え方と捉えるべきなのか、正直、悩ましい所ではあるが…俺に素直な感情を見せてくれているのは、嬉しいな…。 蒼汰:(М)ゆきが、俺にしか見せない姿を…独占している様な、そんな感じがして…。 0: 0: 0: 雪斗:(М)3年。この時間が、とてつもなく長く感じた。生まれてきた時間の差は、どう足掻いても埋められない。 雪斗:(М)こんな気持ちを抱いたのも、きっと、そうちゃんだからなんだろうなぁ…と、いつも思う。 雪斗:(М)好きって想いが、相手に伝わるだけでも、凄く怯えていたのに。その想いが受け入れられるって、こんなにも嬉しくて、幸せな事なんだなぁ…。 雪斗:(М)この気持ちを、何かの形で、そうちゃんに返したいな…。 0: 0: 0: 0:雪斗、蒼汰、リビングに戻り作業を再開する。 0: 0: 0: 雪斗:ほらほら、チョコ作り再開させないと…! 蒼汰:中断させたのはどこの誰だよ…。 雪斗:ふふっ…。それで?これから何を作るんだっけ? 蒼汰:チョコテリーヌを作ってく。出来たても、冷やしても勿論、美味しいんだけど、少し温めなおした方が、俺は好きなやつだな。 雪斗:へぇ~。お菓子作りって、やっぱり難しいの? 蒼汰:うーん、どうだろうな?普段から作ってれば、特に難しいと感じる事もないんだろうが、面倒くさいとはなるかもな。 雪斗:面倒くさい?何で? 蒼汰:普段の料理は、味の好みとかも人それぞれだろ?濃い目の味付けが好きだとか、あっさりした方が好きだとか。 雪斗:そうだね。俺とそうちゃんも、ちょっと味の好み違うしね。 蒼汰:だろ?料理は、その人に合わせて味付けが変えられる。なんなら、目分量でも料理は出来る。 雪斗:もともと薄味とかで作っておいて、後から調味料足して自分の好きな味にしたり? 蒼汰:そういう事も出来るな。ただ、お菓子作りはそうもいかん。分量を間違えると、上手く生地が膨らまなかったり、焦げたりする。 雪斗:あー…確かに。それは、面倒くさいってなるかも。凄い神経使いそう…。 蒼汰:まぁ、何でも回数重ねて慣れるしかないって事だな。 雪斗:…俺にも作れるかな?これ。 蒼汰:比較的、簡単な作業だし、ゆきにも出来るんじゃないか? 雪斗:そう、かな…?じゃあ、今日は先生の作り方を見て勉強しないとね! 蒼汰:先生って…誰かに教えられる程、器用じゃねーぞ? 雪斗:大丈夫、大丈夫。そこが、そうちゃんの良い所だから。 蒼汰:…褒められてんのか?それ? 雪斗:まぁまぁ…。(笑) 0: 0:間 0: 蒼汰:(咳払い)材料は、チョコレート、卵、砂糖、牛乳、インスタントコーヒーに、マーガリン。あと、ブランデーだな。 雪斗:マーガリン?バターじゃないんだ。 蒼汰:まぁな。チョコレートは、甘いのが得意じゃなかったら、ビターのやつにしたら良いし。 雪斗:なるほど。そこで少しは甘さの調整できるんだ。あと、ブランデーって…。 蒼汰:お酒だぞ。ゆきも成人してるし、そこは問題ないだろ? 雪斗:どんな味になるんだろう…?酔っぱらったりするのかなぁ? 蒼汰:香りづけ程度の量だしな。そこまで酔う感じにはならないと思うが……少し多めに入れとくか? 雪斗:わぁ~…悪い大人だぁ~…。 蒼汰:あはは!冗談だよ。でも、多少多くても大丈夫だと思うぞ? 雪斗:ふ~ん…そっか。 蒼汰:後はひたすら混ぜる作業だからな。少しずつ卵入れて混ぜてくから、中々に腕が疲れるんだよ。 蒼汰:混ぜ終わったら、型に流し込んで、オーブンは180℃で予熱して、天板にお湯張って40分焼く!それで完成! 雪斗:………。 蒼汰:…?ゆき?どうした? 雪斗:…え?何が? 蒼汰:いや、ぼーっとしてたぞ?大丈夫か? 雪斗:う、うん。大丈夫!ブランデーの香りで酔っちゃったかな?…なんて。 蒼汰:そこまでチョコには入れてな……あっ!ブランデーの蓋そのまんまだわ!オーブンの予熱で充満したのかなぁ?悪い。 雪斗:大丈夫だって。……あのさ、そうちゃん。これのレシピって、貰えないかな? 蒼汰:ん?チョコテリーヌのか?別に良いけど…珍しいな。ゆきが何かを作りたいだなんて。 雪斗:あ…いや、ほ…ほら!もう少ししたら、バレンタインだし…!ちょうどその日ぐらいに、母さんが一時期返って来るみたいでさ…。 蒼汰:おぉー!良いんじゃないか?サプライズか…。ゆきの母さんもきっと喜ぶな!! 雪斗:う、うん…。だ、だからこの事は誰にも言わないで欲しいんだ…。 蒼汰:分かった!内緒だな。頑張れよ…! 雪斗:ありがとう、そうちゃん。 0: 0: 0: 雪斗:(М)母さんへのサプライズプレゼント。……これは、口実だ。本当は、俺が作ったチョコを、そうちゃんに食べて欲しい。 雪斗:(М)そうちゃんは、鈍感だけど、変な所で勘が鋭くなるから、慎重にならないと…。 雪斗:(М)うまく、出来るかな…? 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:蒼汰の家―蒼汰、リビングでテレビを見ている。 0:雪斗、大学から帰って来る。 0: 0: 0: 雪斗:うぅ~寒い!まだまだ春は遠いね。 蒼汰:おかえり、ゆき。お疲れ様。 雪斗:ただいま。そうちゃん、何見てたの? 蒼汰:何か面白い番組やってねーかなーって思ってたけど…この時期だから、どこもバレンタイン特集だな。 雪斗:あぁーそうだね。大学の女子達も、最近その話題が多い気がする。 蒼汰:何だよ、ゆき。モテ発言かぁ?イケメンは大変だなぁ。 雪斗:そんなんじゃないって。まぁ、ちょっと声は掛けられたりはするけど…。 蒼汰:モテてんじゃん…。 雪斗:違うって。……何?どうしたの? 蒼汰:……別にぃ? 雪斗:もしかして………ヤキモチ? 蒼汰:そんなんじゃねーし…。 雪斗:えぇー…何それ。可愛いんですけど。 蒼汰:可愛い言うな…! 雪斗:心配しなくても、俺はそうちゃん一筋だよ。 0:雪斗、ソファーに座っている蒼汰の後ろから、抱きつく。 蒼汰:…んっ………!! 雪斗:…?そうちゃん?どうしたの? 蒼汰:い…いや、その…ゆきの顎が…… 雪斗:うん…? 蒼汰:さ…鎖骨に、当たってんだよ…。 雪斗:うん。後ろから抱きついてるからね。 蒼汰:……ダメなんだよ。 雪斗:何が…? 蒼汰:…鎖骨が。 0:少しの間 雪斗:…ふぅん? 蒼汰:…!何だよ?!その意味深な笑みは?! 雪斗:別に?そんな顔してないよ。 蒼汰:いいや!してた!悪い顔してた! 雪斗:それより、そうちゃん。俺、外から帰って来て、すげー寒かったんだよね。 蒼汰:だから、何だよ…? 雪斗:あっためて欲しいなぁ。…そうちゃんに。……ね?いいでしょ? 蒼汰:…?!さらっと凄い事言うなよな…。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:雪斗、蒼汰、寝室―ベッドの上。 0: 0: 0: 蒼汰:…ゆき、お前、そこばっか触んな…。 雪斗:…ん?そこって、どこの事? 蒼汰:新しいオモチャ見つけたみたいな顔しやがって…。 雪斗:だって、弱いんでしょ?…ここ。 蒼汰:…んぁ、…ば、馬鹿…やめろっ…。 雪斗:そうちゃんって、鎖骨、ダメなんだね…。 0:雪斗、蒼汰の鎖骨にキスをする。 蒼汰:………!? 雪斗:ふふっ…かわいい。 蒼汰:……かわいいって言うな。 雪斗:だって、本当の事だもん。しょうがないじゃん。 蒼汰:………。 雪斗:…?そうちゃん? 蒼汰:…俺だって、ゆきの事好きなんだぞ? 雪斗:うん?う、うん…。 蒼汰:あの時は、まだゆきの事、恋愛感情として見れてなかったけど。…今は、ちゃんと好きなんだからな…。 雪斗:うん……え、どうしたの?そうちゃん、急に… 蒼汰:俺がゆきの事どれくらい好きか、知ってもらう…! 雪斗:え?ちょ、ちょっと…ぅわっ…?! 0:蒼汰、雪斗を押し倒す。 0:蒼汰、雪斗にキスをする。(長さはお任せいたします。) 雪斗:…ん、……はぁ、そ、そうちゃ…んっ……。 蒼汰:……はぁ、はぁ。………雪斗。 雪斗:…!? 蒼汰:…好きだよ。雪斗。 雪斗:…それは、ズルくない?…今まで名前で呼んでくれた事なんて無かったのに…。 蒼汰:良いだろ?…それとも、今まで通りの呼び方の方が良かったか? 雪斗:…そういう訳じゃ、ない、けど…。 蒼汰:けど…? 雪斗:…そうちゃんって、そういう所、本当にズルイ。 蒼汰:俺の事、あんまり甘く見るなよな。…ふふっ。 0:蒼汰、雪斗の腰を指でなぞる。 雪斗:…っあ、ちょっと…?! 蒼汰:…ん?何だ?…腰、もしかして、苦手なのか? 雪斗:…!?い、いやっ、そんなんじゃないし…! 蒼汰:ふぅん…? 0:蒼汰、雪斗の腰にキスをする。 雪斗:……!! 蒼汰:俺以外に、その顔、絶対に見せるなよ…? 雪斗:…こんな事、そうちゃんとじゃないとしないよ……バカ。 0: 0: 0: 蒼汰:(М)ちょっと、強引すぎたかな…?とも思ったけど、俺の本当の気持ちだ。 蒼汰:(М)恋愛感情として、ゆきの事を意識するようになってから、ちょっとした事にドキッとしたり、恥ずかしくなったり…。 蒼汰:(М)何か、形として…ゆきに好きって気持ちを伝えられないかな…。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:2月―とある日の朝。 0:雪斗、蒼汰ともに通学・出勤の準備中。 0: 0: 0: 蒼汰:ゆき、今日、大学何時からだ? 雪斗:今日は、一限からフルだよ。そうちゃんは? 蒼汰:俺は、いつも通り定時で……あ!あぁー…いや、今日は遅くなるかも。 雪斗:そう…?残業とか? 蒼汰:お、おう、まぁ…そんな感じ、かな?…うん。 雪斗:…? 蒼汰:…ほ、ほら!一限からなんだろ?…はいっ!ゆきの弁当。早くしないと遅刻するぞ。 雪斗:う、うん…。じゃあ、行ってくるね。 蒼汰:行ってらっしゃい。気をつけてな。 雪斗:そうちゃんも、気をつけて仕事行って来てね。 蒼汰:あぁ。 0: 0: 0: 雪斗:(М)今日のそうちゃん、何か普段の感じじゃなかったなぁ…。あんなそうちゃん、初めて見たかも…。 雪斗:(М)急に動揺しだした…みたいな?………え?凄い気になるんだけど…。 雪斗:(М)っていうか、俺も、そうちゃんに内緒でチョコ作りの練習しなきゃ…!バレンタインまで、もう時間無いし…! 0: 0: 0: 蒼汰:(М)あからさまに変な態度だったよなぁ、俺…。ゆきに不思議そうな顔で見られたし…。 蒼汰:(М)でも、これは、ゆきに内緒で考えてる事だから、変に口走らない様に気をつけないと…! 蒼汰:(М)職場の同僚に、それとなく相談してみるかな…。 0: 0: 0: 0:夕方―雪斗、帰宅途中。 0:ショッピングモールで、バレンタイン用の材料等の買い物中。 0: 0: 0: 雪斗:う~ん……。こういうのって、何をどう選んだら良いんだろう…?全部同じに見える…。 雪斗:女子は、こういうのも楽しみながら選んだり作ったりしてるんだろうなぁ…。まぁ、そうちゃんも凄いんだけど。 雪斗:…誰かの為に何かを作るって、あの頃以来かなぁ…。俺、凄い小さかったけど。 雪斗:あの時は、確か…クリスマス近かったんだっけ?…体験コーナーで、手作りのスノードーム作ったんだよなぁ。 雪斗:上手く出来なくて、半泣き状態の俺に、優しく笑いながら、そうちゃん手伝ってくれてたっけ…。 雪斗:完成したのを、お互いにプレゼントしてさ……ふふっ、懐かしいなぁ…。 0:雪斗、ふと顔を見上げると、別のブースに蒼汰が居ることに気がつく。 雪斗:……ん?あれって…そうちゃん、だよね?今日、遅くなるって言ってなかったっけ? 雪斗:それに…一緒に居る男の人…誰だろう?凄い親しげに話してる…。 雪斗:…ううん!そうちゃんに限ってないない!ない…よね? 0: 0: 0: 0:同時刻―同じショッピングモール内にて。 0:蒼汰、同僚と相談しながら何かを買おうとしている。 0: 0: 0: 蒼汰:しょうがねーだろ?同じくらいの年齢で、相談できる相手がお前だったんだから。 蒼汰:…で、どう思うよ?無難に料理とか、バレンタインだし、チョコ作っても良いんだろうけどさ。俺的には、形として残したいわけ。 蒼汰:恋愛経験が一切無かった俺には、何かをプレゼントするっていうのは初めてなんだよ!……いや、一度だけ、あるか…。 蒼汰:…ん?あぁ、いや、何でもない。ちょっと昔の事思い出しただけだよ。 蒼汰:んで?お前の感想は?…正直に答えてくれ。プレゼントとして貰って、嬉しいものになるか……? 蒼汰:…あ?色?そうだなぁ…ゆ、…あいつに似合う色、かぁ……。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:2月14日。バレンタイン当日― 0:蒼汰の家。リビングのソファーに雪斗が座っている。 0:蒼汰、仕事から帰って来る。 0: 0: 0: 蒼汰:ただいまー。はぁー疲れたぁ…。 雪斗:あ、そうちゃん。おかえり…。 蒼汰:あれ?ゆき?確か、今日ゆきの母さん帰って来る日じゃなかったっけ?…あ、もう渡してきたのか。 雪斗:ううん、渡してないよ。 蒼汰:え?だって、母さんが帰って来るからって、サプライズでチョコ作るって言ってなかったか? 雪斗:あぁ…あれね。嘘だよ…。母さんは、まだ仕事で出張中。 蒼汰:え…?じゃあ、誰に……。 雪斗:……そうちゃんに、だよ…。 蒼汰:…俺に? 雪斗:…でも、俺、今すごいモヤモヤしてるんだ。 蒼汰:モヤモヤ…? 0:少しの間 雪斗:少し前に、そうちゃん、ショッピングモールで、男の人と一緒に居たよね? 雪斗:残業で遅くなるって言ってたあの日…。 蒼汰:あ、あぁ…。あの日か。……もしかして、ゆきもあそこに行ってたのか? 雪斗:チョコの材料買いにね。…それで?あの人とはどういう関係なの?……まさか、 蒼汰:…?!ご、誤解すんなよ?!あいつはただの仕事の同僚だよ!俺の相談に乗ってもらってただけだって…! 雪斗:…本当に?それだけ? 蒼汰:本当だって。……はぁ。やっぱ俺に隠し事とか向いてねーわ…。 0:蒼汰、雪斗へラッピングされた箱を手渡す。 雪斗:…?これ、何…? 蒼汰:バレンタインのプレゼントだよ。……気に入るかどうかは、分かんねーけど…。 雪斗:……。開けても、いい? 蒼汰:あぁ…。 0:雪斗、プレゼントを開けてみる。 0:箱の中に、黄色と黄緑色のストライプ柄のマフラーが入っている。 雪斗:これ…マフラー?そうちゃんが、俺の為に選んでくれたの? 蒼汰:そ、そうだよ…。気に入らなかった、か…?や、やっぱり、派手過ぎたか…?! 雪斗:…ううん!凄い、嬉しい…!ありがとう!そうちゃん…! 蒼汰:お、おう…。良かった喜んでもらえて。 雪斗:俺、変に勘違いしてたみたい…ごめんね。 蒼汰:良いよ。俺が勘違いさせるような事してたんだし…。俺の方こそ、黙ってて悪かったな。 雪斗:お、俺も……あ、あの、そうちゃんみたいに、上手くはないんだけど…。 0:雪斗、持って来ていた手作りのチョコテリーヌを渡す。 蒼汰:…!チョコテリーヌ!…ゆきが作ったのか?! 雪斗:あ、当たり前でしょ?!そうちゃんの為に、バレない様に必死になって作ったんだから…! 蒼汰:すげぇ……すっげー嬉しいよ!!ありがとうな!ゆき! 雪斗:そんなに喜ぶこと?ちょっと大袈裟じゃない? 蒼汰:だってこれは、ゆきが俺の為に作ってくれたチョコだろ?どこの店に行っても売ってない、たった一つのチョコなんだから…! 雪斗:…ふふっ。だから、大袈裟だって…。 0:雪斗、蒼汰、お互いに笑いあう。 雪斗:そうちゃん。 蒼汰:…ん? 雪斗:ハッピーバレンタイン。 蒼汰:…ハッピーバレンタイン。 0: 0: 0: 0:間 0: 0: 0: 0:バレンタインの夜―蒼汰、雪斗、リビングにて。 0:食後に、蒼汰がお酒を準備する。 雪斗:そうちゃん、どうしたの?このお酒…。 蒼汰:んー?ちょっと作ってみたいのがあってさ。買って来てたんだ。ゆきも酒飲める年齢だしな。 雪斗:何作るの? 蒼汰:俺と、ゆきの、誕生日カクテル。 雪斗:誕生日、カクテル…?そんなのがあるんだ…。知らなかった…。 蒼汰:俺もこの前、初めて知ったんだけどさ。調べてみたら、結構楽しかったぞ? 雪斗:へぇー。俺のカクテルって、何ていう名前なの? 蒼汰:『ファイナルアプローチ』っていうらしい。ベースが、ジンだから、結構強いかもな…。 0:蒼汰、レシピを見ながら、ファイナルアプローチを作る。 蒼汰:これが、『ファイナルアプローチ』。 雪斗:うわぁ…綺麗な紫色…。 蒼汰:飲んでみるか?…無理はするなよ? 0:雪斗、一口飲んでみる。 雪斗:…!…け、結構強いんだね。喉が熱い…。 蒼汰:最初はそうだろうな。ちょっとずつ慣れてくれば、美味しく感じてくるって。 雪斗:だといいけど…。そうちゃんのカクテルは?どんなの? 蒼汰:俺のは、ゆきより種類は少なめだな。『グリーンアップルロワイヤル』…だと。 0:蒼汰、レシピを見ながら、グリーンアップルロワイヤルを作る。 蒼汰:リキュールとスパークリングワインだけなら、いつでも簡単に作れるな。 雪斗:そうちゃんのも、黄緑色で綺麗だ。カクテルって、家でも作れちゃうんだね。 蒼汰:凝りだすとキリがなさそうだけどな。これくらいなら、たまに作って飲むくらい良いだろ。 0:蒼汰、一口飲んでみる。 蒼汰:…甘めだな。ゆきも一口、飲んでみるか? 雪斗:え?いいの? 蒼汰:?何が? 雪斗:……間接キスになるけど? 蒼汰:……!?べ、別にそういう意味で言ったんじゃねーよ…! 雪斗:照れなくてもいいのに。 蒼汰:照れてねーし…! 雪斗:…………あぁー、もう、我慢できない。 蒼汰:何が?! 雪斗:そうちゃん、いじめていい……? 蒼汰:……?!いいわけあるかー!! 0: 0: 0: 0: 0: 0: 雪斗:(М)冷たい空気が、ツンと鼻を刺激する季節― 蒼汰:(М)街の至る所で、ふんわりと甘い香りが広がる中 雪斗:(М)俺達は、ちょっぴり爽やかで、ほんのり甘い世界に包まれる 蒼汰:(М)たまにほろ苦い時もあるけれど、その苦さすらも愛おしい… 雪斗:(М)初々しく、瑞々しさが、何処か甘酸っぱい… 蒼汰:(М)シトラスを感じさせるような…そんな、俺達の恋模様― 0: 0: 0: 0:fin.