台本概要

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タイトル ite-ロジカルハーツ-
作者名 桜蛇あねり×天駆ケイ
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男2、女2、不問1)
時間 60 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 白蛇石。それは、この世界を創造し、この世界のあらゆるエネルギーの源。これは、白蛇石をめぐる二つの国の物語。

※世界観を壊さない程度のアドリブ等はOKです。

桜蛇あねり、天駆ケイの共同制作台本。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ロド 106 ハウラ国のナイト。ナイトとは、ハウラ国と白蛇石を護る使命を持つ戦士。 白蛇石(はくだせき)の力を借りて展開する、石術(せきじゅつ)を使う。得意石術は、火と風。
セルフィ 53 ハウラ国で、白蛇石を護っている巫女。 白蛇石の力を借りて展開する、石術を使う。得意石術は水と地。
ラリマー 不問 75 ハウラ国のナイト。 白蛇石の力を借りて展開する、石術を使う。地水火風すべての石術を得意とする。半年前、記憶がない状態で白蛇石の前に倒れていたのを、ロドとセルフィに保護され、それからはハウラ国のナイトとして過ごしている。
ブレーカー 102 ロクド国の工事屋。工事屋とは、国から任命された、戦いのエキスパート。 電機削岩装(ロックドリスターズ)を装着して戦う。両腕に杭型の武器を備えている。
マドリ 87 ロクド国の工事屋。 電機削岩装(ロックドリスターズ)を装着して戦う。武器は先端がドリル状になっている銃。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:ite-ロジカルハーツ- : セルフィ:白蛇石。それは、この世界を創造し、この世界のあらゆるエネルギーの源。人々は白蛇石の恩恵を受け、生活してきました。これは、白蛇石をめぐる二つの国の物語。 : 0:白蛇石のある地下神殿 : ロド:セルフィ。白蛇石の様子はどうだ? セルフィ:ロド、ラリマー。大丈夫よ。ちゃんとエネルギーが溢れてる。明日は問題なく、力を発揮できると思うわ。 ロド:そうか。........ついに、明日だな。 セルフィ:えぇ。ロクド国が、この白蛇石を破壊しに攻め込んでくる....。 ロド:ロクド国…。独自の技術を生み出し、白蛇石のエネルギーに頼らず発展を遂げた国。 セルフィ:だけど、その驚異的な速さで繁栄していったせいで人口爆発が起きて…今は土地不足。だからこのハウラを侵略しようとしている。 ロド:.......もとは皆、この世界で同じように生きている人間だったのに。どうして同じ人間どうしで戦わなくちゃいけないんだ....。 ラリマー:互いの譲れないものがぶつかるからだろ。 ロド:.......ラリマー。 ラリマー:ロド、セルフィ。お前らがこの世界の平和を願っているのは分かってる。両国ともに血を流したくないというのは分かってる。でもな。お相手さんはこちらを殲滅するつもりでくるはずだ。少しの迷いが、情けが、命取りになる。......1番に護りたいものを違えるな。 セルフィ:........わかってるわ。私はこの白蛇石を護る巫女。何を犠牲にしても、この白蛇石だけは護らなきゃならない。白蛇石が壊されれば、このハウラ国は存続できなくなってしまう。たとえこの身を犠牲にしてでも....護らなくちゃいけない。 ロド:セルフィ、そんなことはさせない。巫女を守るのが、俺たち”ナイト”の使命だ。必ず護ってみせる! セルフィ:うん.....!必ず、このハウラ国を護ろうね....! ラリマー:オレも全力でこの国を護る。半年前、身寄りも記憶もないオレを、この国は暖かく受け入れてくれた。今こそ、その恩を返すときだ! ロド:そうか、もう半年も経つのか...。 セルフィ:この白蛇石の前に倒れてたのよね。記憶もない状態で。 ロド:結局、記憶は戻ってないのか?何か少しでも思い出したこととか....。 ラリマー:ないね。だが、オレにとっての記憶は、この半年、この国でお前らと過ごした幸せな日々だ。それだけで十分。 セルフィ:ふふっ。嬉しいこと言ってくれるじゃん。 ロド:俺だって、お前が来てから毎日が楽しかったぜ!一緒に石術(せきじゅつ)を磨きあってさ、良き友であり、良きライバル、だぜ!...まぁ石術のウデマエは全然勝てねぇんだけどな。 ラリマー:ロドは弱くないさ。俺が特別強いだけ、さ。 ロド:くそ〜!いつか絶対に追い抜いてやるからな! セルフィ:ラリマーの石術は特別だもんね。地水火風全てのエネルギーを最大限に使いこなすことができる。 ロド:普通は偏るはずなんだけどな。俺は火と風、セルフィは水と地、みたいにな。 ラリマー:なぜ全てを使えるのかは、俺にもわからん。失った記憶に答えはあるのかもしれないが......ま、そこに興味はないね。 ロド:明日はラリマーの力が不可欠だ。一緒に........一緒にこの国を護ろうな。 ラリマー:もちろん。お前の力も頼りにしてるぜ、ロド。 セルフィ:私も、精一杯がんばるわ。2人のこと、信じてる。.......さて、そろそろ夜ご飯の準備をしましょうか。 ロド:そだな!明日に備えていっぱい食おう!セルフィ、手伝う! セルフィ:ありがとう、ロド。 ラリマー:オレは.....ちょっと散歩してくる。この辺ぶらぶらしてるから、ロド、夜ご飯できたら声かけてくれ。 ロド:おう、わかった。 : 0:ロクド国  : ブレーカー:おい、マドリ!  マドリ:「おい、マドリ」と呼ぶくらいなら、何かしら用があるんでしょう ブレーカー:あ? マドリ:「明日の天気教えてくれ?」それとも「道に迷ったからルートを教えてくれ?」なのか。どっちにしろ、そんなこと自分で調べろイキりパンクのガラクタボーイって話でしょう? ブレーカー:何の話してんだ。ちげえよ。準備できてるかって話だ! マドリ:貴方の声はたまにノイズだから、「準備」と言われる前に、準備していたわ ブレーカー:ったく。用意ばっちりなら、皮肉なんざ便所に流せ マドリ:私達ロクド国の大抵は、皮も肉もない存在がほとんどです。自分の国の事、知らないわけではないでしょうに ブレーカー:……アンドロイドの国、「電気」のみで栄えてきた国、なんて呼ばれるが、ここまでマシンじみた国になるなんざ、当時の建国者は思ってないだろう…。しかし、限界はある。 マドリ:…… ブレーカー:「侵略」は、絶対不可欠の生きる手段だ マドリ:……侵略、ね ブレーカー:そうだ。戦いのエキスパートである、俺達「工事屋」が、国から任命されたってことは、遠回しに「指揮をとれ」って言われているようなものだ マドリ:……「白蛇石」。ハウラの脅威を消さなければ、ロクド国の人口が増え続けてしまう。生物としての根幹がなくても、生きている存在であれば、基本増え続けるもの ブレーカー:奴らが抱えてるバカでかい石を削って壊しちまえば、こっちの勝ち。土地も奪える。簡単な話だ マドリ:オペレーション名「白蛇削り(しろへびけずり)」……調査した情報によれば、殴って壊せるわけがない固い神殿の中に、白蛇石が存在する ブレーカー:なら削りとればいい。そういう作戦だ。…電機削岩装(ロックドリスターズ)の準備は…… マドリ:(かぶせる)「準備」という言葉をいちいち使わせない程度には、できていますよ ブレーカー:あーあーはいはい…。でも分かってると思うが、気を抜くなんざバカな真似するんじゃねえぞ マドリ:電気があれば、気などいりません ブレーカー:それは攻撃手段の話だろうが マドリ:小耳に挟みましたが、「気」というものは、人間の体調に関わるような説もありますね ブレーカー:ま、俺とお前も、半分人間なわけだし、気の1つでも使えそうではあるがな マドリ:それこそ、ハウラ国なんてもっと関係がありません。なぜなら、白蛇石の力があるから ブレーカー:ハウラの連中は、不思議な力を使うってきいたな。白蛇石の恩恵やらなんやらで、火でも風でも出せるとか マドリ:恩恵……とても抽象的ですね ブレーカー:ああ、影も形もない、ぼんやりした事を、まるで宝物のように大切にして、共存なんかうたっている奴らなんざ、ただの異常者だ マドリ:まるで石に心があるような捉え方をしているとききましたね、ハウラの人々は ブレーカー:馬鹿馬鹿しい マドリ:……ハウラ国のことを考えるだけ無駄と ブレーカー:その通り。いいか、マドリ?ハウラってのは…… マドリ:「いいか? マドリ」に対しての答えは、「いいえ。マドリ、良くないです。長い話になりそうなので」 ブレーカー:うるさい! それでも言うぞ。……ハウラは、論理の欠片もない奴らだ。白蛇石を守る? あいつらが守ってんのはただの石っころだ。それを、わざわざ崇めてるときた…それを至極単純な言葉で言い表すと、「理解不能」。これに尽きる マドリ:白蛇石から力を得るために、祈りを捧げている……らしいですが、力を供給するための手段と考えれば、多少は理解できます ブレーカー:でも、そこに感謝なんかいるか? ただの石に「ありがとうございます」なんてこうべを垂れてる。しかも今日に始まったことじゃなく、共に生きて歩んだ歴史なんてものも存在する マドリ:それは、そうですが ブレーカー:なんだよ? マドリ:ロクド国も「電気」によって培われてきた。つまり、それがなければ私達の存在はない、ということで… ブレーカー:ああ、そうだな。ただ生きているだけだ。腕っぷしの強い、半機械人間の「工事屋」として。 マドリ:…… ブレーカー:ロクドとハウラは違うんだよ。……じゃ、そろそろ行く時間だ 0:ブレーカーは集まったアンドロイド兵に向かって声を張る ブレーカー:……いいかお前ら! これからハウラ国に入り、白蛇石を破壊する! 奴らのアホらしい、”共存”を削って終わらせるぞ! マドリ:……ブレーカーも、固いですね ブレーカー:なんかいったか? マドリ:削るのが得意なのに、石のようだと ブレーカー:機械なんざ、石みたいなもんだろうに マドリ:一応、人間要素もそこそこ入ってるんですけど ブレーカー:じゃあアンドロイドは? マドリ:……表面的には。でも、”人間”です ブレーカー:答えになってない。とにかく、今はハウラ国を潰すことのみ考えろ。……必要なものは、削るための論理だ。 マドリ:……そう、ですね。心は、不要です 0:ハウラ国 突入前 ブレーカー:さぁ、武器を持て! マドリ:これより、オペレーション「白蛇削り(しろへびけずり)」を始めます ブレーカー:ここで一気に終わらせる。ハウラの凝り固まった土地を手に入れ、ロクドの拡大を進める! マドリ:私達二人は、敵の本丸…白蛇石のある場所へと向かいます。無駄なことは避けるように ブレーカー:さぁ、突貫工事の始まりだ! …派手に進むぜ!!!! : ロド:雄たけびが聞こえる…。始まったか。 セルフィ:白蛇石のエネルギーがすさまじい…かなり激しい戦いになってる…。 ラリマー:気を抜くな。ここは最後の砦と言えど、いつ敵が襲ってきてもおかしくない。 ロド:そうだな。もう石術の力をまとって… ブレーカー:削りに削ってきてみりゃぁ、楽しそうに喋ってんな。戦争中だってのに ロド:……っ! ラリマー:……っ! セルフィ:あな、たは…!? ブレーカー:なに、お前らが守ってる、たいそうでかい岩を壊しにきたんだ ブレーカー:俺は、ブレーカー。んで、こっちが… マドリ:他己紹介されるほど、仲が良い関係とは思っていません ブレーカー:…マドリだ。見ての通り、一言余計な女だ マドリ:半分機械であることも、付け加えたほうがいいかと ロド:ロクド国の戦士、か…! ラリマー:強い、な。トップの戦士か。 マドリ:ブレーカー。 ブレーカー:なんだ? マドリ:あの者達、見ただけで強さを判断できています ブレーカー:ああ、そうだな。こういうのは機械のほうが正確なのに、恐ろしいものだぜ マドリ:それが、ハウラ国の人間の力…侮ると、スクラップになりますね ブレーカー:……展開しろ マドリ:了解です ブレーカー:電機削岩装(ロックドリスターズ)…装着 マドリ:電機削岩装(ロックドリスターズ)…装着 0:電気がほとばしり、ブレーカーは両腕に杭型の武器を、マドリは先端がドリル状になっている銃を空間から生み出した ブレーカー:装着、完了。…じゃあ削岩(さくがん)、開始だ! ロド:来るぞ!石術の力をまとえ! : ロド:火と風、白蛇石の力よここに集い我が力の礎となれ。両手にまといし炎の力は護るための剣となり、足にまといしハヤテの力で瞬速の風となる!火炎疾風(かえんしっぷう)!ロード・ナイト! セルフィ:水と地、白蛇石の力よここに集い我が力の礎となれ。大地は我らを護る盾となり、清水(せいすい)は我らを癒す光となる。大地流水(だいちりゅうすい)!セルフィ・ナイト! ラリマー:地水火風、白蛇石の力よここに集い我が力の礎となれ。天地万物(てんちばんぶつ)を支配し、己が信念のため、その刃をふるう!森羅万象(しんらばんしょう)!ラリマー・ナイト! ブレーカー:いいねえ! その衣ごと、まるまる削り抜いてやる!! ロド:させない!火炎弾!(両手から火球を飛ばす) ブレーカー:ひゅー!お熱い弾だ! しかし!! ロド:くっ、弾かれた…! ブレーカー:痺れ崩れろ!打岩雷突(だがんらいとつ)!(腕の杭武器をロドに撃ち込む) ロド:…っ!は、はやい…っ! ラリマー:氷結せよ、アイススピア!(氷の刃をとばし、ロドへの攻撃を防ぐ) ロド:助かった、ラリマー! ラリマー:油断するなよ ブレーカー:ちっ! もうちっとで届いたけどなぁ! マドリ:その程度でいけると思った思考を、分析したいものです ブレーカー:お前な…こんな時も口が絶えないやつ マドリ:(言葉をさえぎって)喋る暇があれば、戦闘に集中してください。あなたの担当は2人なので ブレーカー:テキパキ仕事ができるやつで良かったよ マドリ:その間に、奥のお嬢様を仕留めます : ブレーカー:ってわけで…工事再開だ。よそ見してサボんなよ? マント野郎! ラリマー:ぐぁっ!くっ、なんだこのエネルギーは…体がしびれて… ブレーカー:気品な顔がゆがんでるな。ロクドの技術、舐めてもらっちゃ困るぜ ロド:ラリマー、大丈夫か! ブレーカー:手助けはさせねえ! 電機削岩装(ロックドリスターズ)、電力解放!! ロド:くそっ! : マドリ:では、こちらも突貫工事と参りましょうか。ハウラのお嬢様 ロド:セルフィ! セルフィ:大丈夫よ、ロド。守れ、アース!(地面がもりあがり、壁のようにたちはだかる) マドリ:大地の壁…技術としてみるなら優秀ですが…未知なる力ほど、危険なものはありません。螺旋(らせん)を穿(うが)て。ドリハンマ-・ショット!(マドリの銃から、ドリル状の弾が発射され、大地の壁を削る) セルフィ:っ!大地の壁が壊された!?あっ!!(粉々になった土壁が降り注ぐ) マドリ:その命、削り取らせていただきます セルフィ:まだまだっ!泡沫、アクアレーゲン!(大きな水のかたまりで自分を覆う) マドリ:っ! どうやら、その水、自由自在に…硬度すら変えられるようですね…… セルフィ:水の力は偉大なのよ。こうやって凍らせて、攻撃にも使えるからねっ!氷結弾! マドリ:なるほど、温度も自在ですと…なれば、撃ち落とすまで! セルフィ:全ての弾を…!?なんて素早い動き…! マドリ:技術の革新こそ…現実的で、貴方たちの曖昧な力より、著しく価値があるのですよ。お嬢さん : 0: : ブレーカー:はっ…!1対2でも石を護るなんざ、よほど壊されたくないらしいな!お前らの崇高な石っころってのは! ロド:なぜ壊すんだ!白蛇石はこの世界を創った存在、全てのエネルギーの源!壊してしまえば、世界は破滅するぞ…! ブレーカー:世界の破滅だぁ? アホくさいぜ。そんなもの、お前らが勝手に作った、さわりのいい宗教観念に基づいてるだけだろ!創った存在だか源だか、ロクド国からすればどうでもいいんだよ! ロド:なぜわからない…っ!ハウラもロクドも、同じ白蛇石の元で暮らしている人間のはずだ! ブレーカー:石の上で手を取り合うってか? そのうち叩き落すつもりだろうによ! ロド:そんなこと…ぐぁっ!(攻撃をくらい倒れる) ブレーカー:守り続ければ、いずれ誰かに削られちまう。崩されるのは、動かずに守ってばっかりの、石頭連中って決まってんだよ ロド:違う……。俺たちは…戦いたくないだけだ…!ただ、誰も傷つけたくない…それだけなんだ…! ブレーカー:ここまで押されてまだ言うか、この石頭め。よほど、その摩訶不思議な石を崇拝しちまってるらしい ロド:だけど、それでも俺たちの白蛇石を破壊するというのなら…俺たちだって容赦はしない!貫け!ファイアソード! ブレーカー:ぐっ! いい加減にしやがれ…! ロド:悪いが、眠ってもらう…!火炎疾風!切り裂けっ!!(無数の炎と風の刃がブレーカーを襲う) ブレーカー:なっ…!大量の炎に、風を組み合わせて…クソったれが! 轟(とどろ)き崩れろ! ロッキンダー・ブレイク!(腕の杭武器に雷を溜め、ロドへ攻撃) ロド:くっ!なんだあのエネルギーは…!ぐあああああああああっ!(ロド、倒れる) セルフィ:…っ!ロドっ! : ブレーカー:はぁ…はぁ…つくづく、岩のように頑丈なやつだ…無駄に抵抗しやがって…。だが…ここまでだ! ロド:体…がしびれて…くっ! セルフィ:だめ…!ロド…っ! マドリ:……決着とは、案外かんたんに予測できるものですね、ブレーカー ブレーカー:あぁ…まったくもって、簡単に砕けちまうくらいにな セルフィ:ロドぉぉぉぉぉ! ラリマー:焼き尽くせ。フレイムガーデン 0:(灼熱の炎がブレーカーを襲う) マドリ:!?  ブレーカー!! ブレーカー:なんだ!? …がっ…ああああああああああああああ!!! マドリ:今の攻撃は…何? あまりにも、炎の威力が…これは、ロドの攻撃ではない…? ラリマー:あー、もうちょっと様子見ようと思ったけど、もういいや。手ごたえなさそうだし。 ロド:ラリ、マー…? ラリマー:マドリ、だっけ?お前ももういいや。切り刻め。ストームカッター。(マドリへ鋭い風の刃) マドリ:っ!風が…っ…あぁぁっ!! ラリマー:っはぁ!よえーな、人間!これなら、滅亡させるのもたやすい。 ロド:え…?ラリマー、なんて…? ラリマー:次はお前だ。とどろけ、大地の刃。 ロド:ぐあああああっ! セルフィ:ロド!ラリマー、どうして…!どうしてロドまで! ラリマー:悪いなぁ、ロド、セルフィ。俺は今日、ハウラ国とロクド国が集約するこの時をずっと待っていたんだ。二つの国を殲滅するために。 セルフィ:殲滅…?待って、あなたの言ってることがわからない…。どういうこと? ラリマー:そのままの意味だ。俺は今日、この世界にいるすべての人間を消し去ってやる。 マドリ:全ての、人間…? それは…つまり…ハウラもロクドも、両方殺すと…? ブレーカー:どういう…ことだ…!? ラリマー:そう、ハウラもロクドも全て、だ。俺はそのために生まれてきた。 セルフィ:もしかして…ラリマー、記憶がもどったの…? ラリマー:記憶…?そんなもんあるわけねだろ。だって俺は、半年前に白蛇石の分身としてこの世界に生まれたんだから。 ロド:……白蛇石の分身… ラリマー:人間の滅亡が、白蛇石の願いだ。 セルフィ:どう、して…?白蛇石が、そんなこと…。 ラリマー:思うわけないってか?その考えが傲慢だっていうんだよ、人間。くだらない傲慢で、同じ人間同士で対立し、殺し合う。こんな世界、俺は望んでいなかった。 ロド:ラリマー…お前は何がしたいんだ…。 ラリマー:ロド、セルフィ。そして、ブレーカーと、マドリ、だったか。お前たちは国のトップの戦士だ。つまり、お前らを倒してしまえばこの世界をとったも同然。 マドリ:その言いよう…ロドとセルフィの驚きを見る限り…最初から計画していたとみて、間違いないようですね ラリマー:さぁ!終焉の時間だ!この腐った世界を!一度すべてリセットする!俺だけの世界にする! ブレーカー:キチガイじみたこと言いやがって…!  マドリ:ブレーカー! 来ます! ブレーカー:轟(とどろ)き崩れろ! ロッキンダー・ブレイク!(電撃を走らせた杭武器を、ラリマーに放つ) マドリ:螺旋(らせん)を穿(うが)て。ドリハンマ-・ショット!(ドリル状の弾に電気を込めて放つ) ラリマー:遮蔽せよ、ロックプロテクト。(二人の攻撃を防ぐ) マドリ:そんな…いとも簡単に弾かれて… ブレーカー:おいおい…規格外すぎやしねえか!? ラリマー:光の力よここに集え。閃光の雨、フラッシュ・レイ(光の刃の雨が降り注ぎ、二人の体を貫く) マドリ:光の雨…視界情報が追いつかないっ! ブレーカー:く、クソッタレがぁぁぁっ!! ラリマー:この程度か。独自の技術で発展したと聞いていたが…。たいしたことないな、ロクド国の民よ。 ブレーカー:く…そ…ロクドの技術が…何も通用しねぇ… マドリ:規格外…認めたくありませんが…ブレーカーの言葉には…同意できますね… ラリマー:さぁ、次はお前たちだ、ロド、セルフィ。まぁ、お前たちならすでに分かってるとは思うけどな。俺にはかなわないことを。 セルフィ:私は…あなたとは戦いたくない…。 ラリマー:そうか。だったら、そのままおとなしくやられてしまえばいい。 セルフィ:……っ! ロド:舞え、旋風!(風が土を舞い上げ、4人を覆う) ラリマー:土埃が…!ふん、目隠しでもして、逃げるつもりか? : ロド:……セルフィ、頼みがある。 セルフィ:…なに? ロド:俺がラリマーと戦うから、その間にあの二人を回復させてほしい。 セルフィ:え…? ブレーカー:あぁ? どういうつもりだ? マドリ:ハウラが、ロクドを助ける、と? ロド:力を貸してほしい。俺とセルフィじゃ、あいつにはかなわない。ずっと手合わせしてきたからわかる。このままだとあいつに…ハウラもロクドも滅ぼされてしまう…。だから頼む。一緒に、あいつを倒してほしい。 ブレーカー:はっ…今更何を言っているか マドリ:ブレーカー ブレーカー:なんだよ? マドリ:ここで協力しない選択肢は、愚策と判断します ブレーカー:お前…!? ネジが外れたか!? こいつらはハウラ国だぞ?! マドリ:では、ラリマーはどうなのです? ブレーカー:あれも、ハウラの…… マドリ:自国を破壊する存在を信じられると? マドリ:……この状況下で、ロドがここまで言うのです。果たしてこれは、私たちが認識していた「ハウラ国」ですか? ブレーカー:そ、それは… マドリ:あなたの認識しているハウラ国も…私もそうですが。どうやら、現実と違っていたようです…それに ブレーカー:…? マドリ:彼らと戦闘を行っている最中も、疑問に思っていました。ロドとセルフィ、二人の台詞の一つ一つを聞くたびに、私たちの、知識の中にある「ハウラ国」と、段々とズレが生じていた…さらにそのズレを修正するたび、一つの答えが浮かぶんです… ブレーカー:答え? マドリ:電気で培ったロクドと、白蛇石と歩んできたハウラは、同じものではないかと。それは、宗教じみてもいないし、自ら攻め入るような敵意も見えない…私達は単純に、理解しようとせずに危険なものだと決めつけていただけ……そうではないですか? ブレーカー? ブレーカー:……あぁ、分かったよ マドリ:分かっているなら、「分かったよ」など言わなくてもいいのです ブレーカー:うるせえ。……御覧の通りだ…協力する。 ロド:ありがとう。……俺が時間を稼ぐ。頼んだぞ、セルフィ! セルフィ:待って。……癒しを。アクア・エイド。(ロドの傷を癒す)……応急処置だけど、少しはマシなはず。ロド、お願いね…。 マドリ:…傷が、回復していく。 ブレーカー:となれば、これでシメの準備は万端とな… ロド:ありがとう、セルフィ。行ってくる。 ラリマー:さぁて、この中で一体何をしているのかねぇ。そろそろこっちも待ちくたびれてきたぞ。 ロド:具現化せよ、フレイムソード!!ラリマーぁぁぁぁぁ!!(炎の剣で斬りかかる) ラリマー:おっと、土埃の中から奇襲とは。だが、遅いな! ロド:俺がお前を止める…。本気で行くからな! ラリマー:いいぜ。お前とは一度、手合わせじゃなく、本気でやり合ってみたかったんだ。命がかかった、殺し合いをな!具現化せよ、ライトソード!(光の剣を備える) ロド:容赦はしない!疾風! 0:二人の斬り合いが続く。 ラリマー:さすがだなぁ、ロドぉ!風の使い手として申し分ねぇスピードだ!だが、所詮は風。光の速さには勝てねぇよ! ロド:くっ!さらに速く…っ!ぐあっ!し、しまった、剣が…っ!(腕を斬られ、炎の剣が消える) ラリマー:終わりだ、ロドぉぉぉぉぉ!! ブレーカー:ところがどっこい マドリ:「終わり」と宣言するときは、9割、終わらないものです ラリマー:なにっ! ブレーカー:痺れ崩れろ!打岩雷突(だがんらいとつ)!(杭武器に電気を走らせ、一気に撃ち抜く) マドリ:捻じり抜け、螺旋貫追(らせんかんつい)!(弾の回転力を上げ、ラリマーに向けて放つ) ラリマー:くっ、護れ、アースっ! ロド:ふたり、とも… ブレーカー:簡単に削られてんじゃねえよ、ハウラの石頭 マドリ:その言い方は、協力関係としてどうかと ブレーカー:なっ!? セルフィ:二人とも、回復できたわ。でも、完全ではないから、私たちで護りましょう、ロド。 ロド:助かった!ブレーカー、マドリ、攻撃を頼めるか? ブレーカー:攻撃?  ロド:俺たちの石術で、二人の攻撃とスピードを強化する。お互いの力を最大限に引き出すのなら、それが一番だと思うんだ。あいつの攻撃からは俺たちが守る。守りには自信があるんだ、なんたって石頭、だからな。 セルフィ:……守りを担当するの私なんだけど、それ私が石頭って言ってる? ブレーカー:はは!言うねえ! マドリ:最良の判断だと思います。それなら、ラリマーへの勝率は…8割は望めるかと ロド:よし、セルフィ、防御は任せたぞ。 セルフィ:わかった、任せて! ロド:まとえ、力の炎。まとえ、俊足のハヤテ。我が力を誰が為に。火炎疾風!(ブレーカーとマドリに火と風をまとわせる) ブレーカー:これが…ハウラの力…すげぇ マドリ:ハウラとロクドが力を合わせる…思えばこれこそ、一番合理的、ですね ロド:一緒に、あいつを倒そう。俺の力、預けるぜ。 ブレーカー:ああ、しかと受けた セルフィ:気を付けて!来るっ! ラリマー:人間ごときが何人束になってこようと、この俺に勝てるわけねぇだろっ!くらえ!フレイム・カッター! マドリ:束…ね。それが例えハウラとロクドの、ゆるぎない力だとしてもでしょうか? ブレーカー:余裕こいてたら削られるぜ! イカレ野郎!! 0:フレイムカッターを避け、ラリマーに接近する ラリマー:ちっ!全部よけるとは…じゃあ最速の攻撃で迎え撃つ!貫け!フラッシュ・スピア!!(光の槍が降り注ぐ) マドリ:っ…避けきれないか…! セルフィ:大地の脅威を! ロド:嵐の脅威を! セルフィ:サンド・トルネード! ロド:サンド・トルネード! 0:(大きな砂嵐が二人を包み、攻撃を霧散させる) ラリマー:な…っ!俺の攻撃を、霧散させた、だと…? マドリ:嵐に味方される…ロクドではありえない経験でしょう ブレーカー:…助かったぜ ロド:さらに加速だ、旋風! マドリ:電機削岩装(ロックドリスターズ)…出力最大 ブレーカー:風に電気をのせていく…このまま奴に、ブチかますぞ!!! ラリマー:くそっ…!なんだその力は!速さは! ブレーカー:倒す論理と護る心…それがあわさりゃ、どんな敵でも貫けることを、その身に教えてやるぜ!! マドリ:疾雷(しつらい)を捻じり穿(うがて)「ウィンドリラー・ショット」! 0:(風と電気を込めた、ドリル弾の銃撃) ブレーカー:迅風(じんぷう)へ巻き崩れろ!「ウィンドロック・ブレイカー」! 0:(風と電気を込めた、杭武器の突き攻撃) ラリマー:ぐあああああああああああ! マドリ:…戦闘終了…。協力から生まれた、真(まこと)の勝利です ブレーカー:世界を破壊できなくて残念だったな、ラリマー。…これでとどめだ!! ラリマー:……ここまで、か。 ロド:待ってくれ。 ブレーカー:あ? なんだよ? ロド:最後は俺にやらせてくれないか。………頼む。 セルフィ:ロド…? マドリ:それは、どういう意味です…? ロド:ラリマーは、俺たちの、ハウラとロクドの脅威だ。だけど、こいつは…短い間ではあったが、ハウラ国の民だったんだ。ハウラ国の民として、ハウラ国のナイトである俺が、終わらせないといけないと、思うんだ。 ブレーカー:…いいんじゃねえか セルフィ:でも、ロド…っ! ロド:セルフィ。これは俺の…俺たちの問題だ。 ブレーカー:国を背負っている責任は、誰かが背負わなきゃならねえ。それもとびっきり強い人間が。そして…落とし前をつけるのも、いつでもそういう人間だって決まってる。隣国のゴタゴタは黙って見るが、俺達の選択だ。 マドリ:ブレーカー… ブレーカー:たまにはらしいこと言うだろ? マドリ:常時それであってほしいものです ブレーカー:そりゃ残念だったな! ロド:ありがとう、ブレーカー。 ブレーカー:…落とし前、つけてこいよ。石頭 ロド:……ロド、だ。 (ラリマーの元へ近づく) ロド:これで、終わりだ。ラリマー。 ラリマー:……まさか、この俺が負ける、とはな。 ロド:この世界は、ハウラとロクド、俺たちが護る!焼き尽くせ、フレイムガーデンっ!!! ロド:(ラリマーにだけ聞こえる小声で)この世界の平和を護ってくれてありがとう、ラリマー。お前のことは俺が忘れない。さようなら、親友よ。 : 0:回想 : ロド:ラリマー、夕飯できたぞ。…どうしたんだ、白蛇石なんて眺めて。 ラリマー:ついに明日、か。 ロド:そうだよ。なんだ、怖くなったのか?この国トップクラスの騎士(ナイト)様がビビってんのかー? ラリマー:……そう、だな。正直、怖い。 ロド:……どうした?お前らしくない。 ラリマー:………。なぁ、ロド。 ロド:なんだ? ラリマー:……。いや、なんでもない。 ロド:なんでもないことないだろ。何を言おうとしたんだ。言ってみろよ。 ラリマー:………。オレが……オレが白蛇石の子どもだって言ったら…信じるか? ロド:え……?こど、も……?......え? ラリマー:ま、信じられねぇよな。 ロド:…....いや、お前が勇気を振り絞って言ってくれたんだ。信じるよ。 ラリマー:……そう、か。 ロド:どういうことか、話してくれる? ラリマー:あぁ…。あのな、ロド。白蛇石ってのは、ちゃんと生きてて、意思を持ってるんだ。 ロド:え、生き、てる…?石、なのに? ラリマー:白蛇石は、この世界を護りたいって思ってる。白蛇石をずっと護ってきたハウラ国の人間も、白蛇石を壊そうとしているロクド国の人間も。同じ人間同士で、同じこの世界を生きるものとして、争ってほしくないんだよ。 ロド:……それが、白蛇石の思い、なのか? ラリマー:そうだ。この戦争を止めたいと思ってる。だから、白蛇石は、戦争が激化する前に、オレを生み出した。この戦争を終わらせるために。 ロド:え…。えっと、つまり、ラリマー、君はハウラ国とロクド国の戦争を終わらせるために白蛇石が生み出した存在…そういう、こと、なのか? ラリマー:そうだ。......なぁ、ロド。対立する二つの勢力が和解するには、どうすればいいと思う? ロド:え…?それは…きちんと話し合って…ってそれができないから戦争になるのか。えっと…。 ラリマー:難しい問題だったか? ロド:うーん、それがわかれば、この戦争は起こってないもんなぁ。 ラリマー:その通り。 ロド:で、正解は? ラリマー:それは、共通の敵を作る、ことだ。 ロド:共通の…敵…? ラリマー:ハウラはこの白蛇石をまもりたい。ロクドはこの白蛇石を破壊したい。だから、両国は戦争をする。.........じゃあ、そこにその両国を滅ぼそうとする絶対的な力を持った第3勢力が現れたら?自分たちの国の力だけじゃ絶対に倒せないような敵が、現れたら? ロド:..........手を組んで、その敵を倒す......? ラリマー:そう。 ロド:..........っ!ま、まさか、お前......っ! ラリマー:それがオレの役割なんだ。オレが両国の敵として立ちはだかり、両国の敵として散ることで、2つの国は手を取り合う。 ロド:ラリマー.....っ!! ラリマー:オレが悪者になる。それが母の、白蛇石の願いだ。 ロド:そんなこと......っ!嫌だ、ラリマーがいなくなるのは......嫌だっ!どうして......どうしてラリマーが..... ラリマー:ロド。頼みがある。 ロド:......いやだ。聞きたくない。 ラリマー:ロド!聞け! ロド:........っ!! ラリマー:お前も、セルフィも、ロクド国と戦争なんてしたくないんだろ?共に手を取り合って、協力して生きていきたいんだろ? ロド:..........でもっ! ラリマー:ロド。オレだって、できることなら、お前たちと一緒に、この国で......この世界で生きていたかった。だが、この世界で平和を手に入れるには........犠牲が必要なんだ。それが白蛇石が出した答え。オレが存在する理由。 ロド:............ラリ、マー....。 ラリマー:頼む、ロド。明日、オレはこの世界を滅ぼす敵として両国に戦争をしかけるから、ロクド国と協力して、オレを倒してくれ。そして、この真実は絶対に明かさないでくれ。 ロド:.........。 ラリマー:あと.......これはオレのワガママだが........最後はお前の手で、終わらせて欲しい。 ロド:......酷なことを言うな、ラリマー。俺に友を殺せってことか。 ラリマー:お前がいいんだ、ロド。こうしてお前にだけ、この話を打ち明けたのも、お前なら全てを組んでくれると思ったからだ。最適解はなんなのか、そして、オレの恐怖と覚悟を。お前になら、オレの最期を預けられる。預けたいんだ。 ロド:..............それでも俺はお前を ラリマー:(さえぎるように)これ以上話すと俺の覚悟が揺らぎそうだ。明日は任せたぞ。親友よ。(答えを聞かずに去っていく) : 0:-1か月後、ハウラ国- : ロド:セルフィ。ロクド国から物資が届いてる。 セルフィ:ありがとう、あとで教会の方に持っていきましょう。 ロド:おう。 セルフィ:あれから、一か月たったのね。 ロド:そうだな。早いもんだ。 セルフィ:こうして、白蛇石の恩恵を変わらず受けれらているのは、ロド、あなたのおかげよ。本当にありがとう。 ロド:俺だけじゃないだろ。セルフィも白蛇石を護ってくれた。そして…… ブレーカー:ハウラとロクドは、手をつなぐ…とな マドリ:こんにちは。今日の届け分も、持ってまいりました。 ロド:よぅ、ブレーカー、マドリ! セルフィ:ありがとう。あ、そうだ、ロクド国民の移住の件だけど、土地の準備もできたみたいだから、話を進めても大丈夫よ。 マドリ:迅速な対応、ありがとうございます ブレーカー:自然…か。ここにいると、どうもあれだ マドリ:何がですか? ブレーカー:…空気が、やわらぐ マドリ:他の国民も、同じことを述べていましたよ。きっとそれが、ハウラ国の魅力、と分析しました ロド:それは嬉しいことで。 セルフィ:私たちも、ロクド国の技術を取り入れることで、いろいろ便利になってきてる。ふふ、最近ね、子どもたちの間で、あなたたちの真似をして遊ぶのが流行っているみたいよ。 ロド:「轟(とどろ)き崩れろ! ロッキンダー・ブレイク!」ってな。将来はロクド国で働く!って言ってるやつもいる。 ブレーカー:なっ…!? 冗談よせ! 石頭!! マドリ:良かったですね、ブレーカー。これこそ、感動というもの ブレーカー:ふざけるなバカ! ……あぁでも、そうだ。それこそお前らハウラだって言えないぜ? マドリ:そういえば、ロドやセルフィの真似をしようとする現象は起こっていましたね。こちらの国でも同じようです ブレーカー:「具現化せよ、フレイムソード!!」っつってな。あれは…しばらく途切れることのない人気っぷりだ マドリ:『英雄のロド』と、皆が呼んでおります。ハウラの英雄になりたいというロクドの国民も出るくらいですから ロド:おお、それは嬉しいな! セルフィ:あの戦いで、この世界は平和になった。この世界を護った。英雄、って呼ばれるのもうなずけるわ。 ロド……そう、だな。 セルフィ:ブレーカー、マドリ。一緒に戦ってくれて、この世界を護ってくれてありがとう。 ブレーカー:こっちこそ、ありがとな。…お前らみたいな優しい連中じゃなかったら、俺は…きっと過ちを犯すところだった マドリ:争えば争うほど、歪んだ認識が私達を縛っていた。…それに気づかせてくれたのは、ロド、セルフィ。貴方たち、ハウラの優しさです セルフィ:やっぱり、お互いに理解し合うことが、大切なんだろうね。 マドリ:きっとそれが、これからの未来に繋がっていくのでしょう。その可能性が著しく高いと、推測しています ブレーカー:…んじゃ、一度ロクド国に戻るわ。これから送る物資を一度チェックしたいからな。…また来るぜ、ロド、セルフィ ロド:おう、石頭。また俺らもロクド国へ行くからな ブレーカー:うるせーよ!! ……じゃあな! セルフィ:またね、気を付けて! 0:(二人は去っていく) ロド:あいつらと共闘できたのも、ラリマーっていう強大な存在が立ちはだかったからだよなぁ。あの時、みんなの力を合わせていなけりゃ、この世界は滅んでいたかもな。 セルフィ:そうだね。でもね、ロド。私思うの。ラリマーはこの世界を平和にするために居てくれたのかなって。 ロド:……何でそう思うんだ? セルフィ:だって。あの戦争、負傷者は出たけど…死者は出なかったから。ラリマーのあの力があれば、もっと簡単に殲滅できてたんじゃないかなって思うから。 ロド:……へぇ、なるほどね。 セルフィ:ロドはどう思う? ロド:さぁ。真実なんて、本人にしかわからないよ。 セルフィ:ふふっ、それもそうね。 ロド:よし、じゃあそろそろ帰ろうか! セルフィ:うん! : ラリマー:あぁ、これでこの世界はもう大丈夫だ。平和に生きろよ。……さて、俺が平和に導いたこの世界は、白蛇石の創った世界のうちのたった一つだ。まだまだ、問題を抱えた世界はたくさんある。さぁ、白蛇石。俺は次は、どの世界を救いに行けばいい?……そうか。それじゃあ、その国へ。また生まれ変わろうか。 0:【完】

0:ite-ロジカルハーツ- : セルフィ:白蛇石。それは、この世界を創造し、この世界のあらゆるエネルギーの源。人々は白蛇石の恩恵を受け、生活してきました。これは、白蛇石をめぐる二つの国の物語。 : 0:白蛇石のある地下神殿 : ロド:セルフィ。白蛇石の様子はどうだ? セルフィ:ロド、ラリマー。大丈夫よ。ちゃんとエネルギーが溢れてる。明日は問題なく、力を発揮できると思うわ。 ロド:そうか。........ついに、明日だな。 セルフィ:えぇ。ロクド国が、この白蛇石を破壊しに攻め込んでくる....。 ロド:ロクド国…。独自の技術を生み出し、白蛇石のエネルギーに頼らず発展を遂げた国。 セルフィ:だけど、その驚異的な速さで繁栄していったせいで人口爆発が起きて…今は土地不足。だからこのハウラを侵略しようとしている。 ロド:.......もとは皆、この世界で同じように生きている人間だったのに。どうして同じ人間どうしで戦わなくちゃいけないんだ....。 ラリマー:互いの譲れないものがぶつかるからだろ。 ロド:.......ラリマー。 ラリマー:ロド、セルフィ。お前らがこの世界の平和を願っているのは分かってる。両国ともに血を流したくないというのは分かってる。でもな。お相手さんはこちらを殲滅するつもりでくるはずだ。少しの迷いが、情けが、命取りになる。......1番に護りたいものを違えるな。 セルフィ:........わかってるわ。私はこの白蛇石を護る巫女。何を犠牲にしても、この白蛇石だけは護らなきゃならない。白蛇石が壊されれば、このハウラ国は存続できなくなってしまう。たとえこの身を犠牲にしてでも....護らなくちゃいけない。 ロド:セルフィ、そんなことはさせない。巫女を守るのが、俺たち”ナイト”の使命だ。必ず護ってみせる! セルフィ:うん.....!必ず、このハウラ国を護ろうね....! ラリマー:オレも全力でこの国を護る。半年前、身寄りも記憶もないオレを、この国は暖かく受け入れてくれた。今こそ、その恩を返すときだ! ロド:そうか、もう半年も経つのか...。 セルフィ:この白蛇石の前に倒れてたのよね。記憶もない状態で。 ロド:結局、記憶は戻ってないのか?何か少しでも思い出したこととか....。 ラリマー:ないね。だが、オレにとっての記憶は、この半年、この国でお前らと過ごした幸せな日々だ。それだけで十分。 セルフィ:ふふっ。嬉しいこと言ってくれるじゃん。 ロド:俺だって、お前が来てから毎日が楽しかったぜ!一緒に石術(せきじゅつ)を磨きあってさ、良き友であり、良きライバル、だぜ!...まぁ石術のウデマエは全然勝てねぇんだけどな。 ラリマー:ロドは弱くないさ。俺が特別強いだけ、さ。 ロド:くそ〜!いつか絶対に追い抜いてやるからな! セルフィ:ラリマーの石術は特別だもんね。地水火風全てのエネルギーを最大限に使いこなすことができる。 ロド:普通は偏るはずなんだけどな。俺は火と風、セルフィは水と地、みたいにな。 ラリマー:なぜ全てを使えるのかは、俺にもわからん。失った記憶に答えはあるのかもしれないが......ま、そこに興味はないね。 ロド:明日はラリマーの力が不可欠だ。一緒に........一緒にこの国を護ろうな。 ラリマー:もちろん。お前の力も頼りにしてるぜ、ロド。 セルフィ:私も、精一杯がんばるわ。2人のこと、信じてる。.......さて、そろそろ夜ご飯の準備をしましょうか。 ロド:そだな!明日に備えていっぱい食おう!セルフィ、手伝う! セルフィ:ありがとう、ロド。 ラリマー:オレは.....ちょっと散歩してくる。この辺ぶらぶらしてるから、ロド、夜ご飯できたら声かけてくれ。 ロド:おう、わかった。 : 0:ロクド国  : ブレーカー:おい、マドリ!  マドリ:「おい、マドリ」と呼ぶくらいなら、何かしら用があるんでしょう ブレーカー:あ? マドリ:「明日の天気教えてくれ?」それとも「道に迷ったからルートを教えてくれ?」なのか。どっちにしろ、そんなこと自分で調べろイキりパンクのガラクタボーイって話でしょう? ブレーカー:何の話してんだ。ちげえよ。準備できてるかって話だ! マドリ:貴方の声はたまにノイズだから、「準備」と言われる前に、準備していたわ ブレーカー:ったく。用意ばっちりなら、皮肉なんざ便所に流せ マドリ:私達ロクド国の大抵は、皮も肉もない存在がほとんどです。自分の国の事、知らないわけではないでしょうに ブレーカー:……アンドロイドの国、「電気」のみで栄えてきた国、なんて呼ばれるが、ここまでマシンじみた国になるなんざ、当時の建国者は思ってないだろう…。しかし、限界はある。 マドリ:…… ブレーカー:「侵略」は、絶対不可欠の生きる手段だ マドリ:……侵略、ね ブレーカー:そうだ。戦いのエキスパートである、俺達「工事屋」が、国から任命されたってことは、遠回しに「指揮をとれ」って言われているようなものだ マドリ:……「白蛇石」。ハウラの脅威を消さなければ、ロクド国の人口が増え続けてしまう。生物としての根幹がなくても、生きている存在であれば、基本増え続けるもの ブレーカー:奴らが抱えてるバカでかい石を削って壊しちまえば、こっちの勝ち。土地も奪える。簡単な話だ マドリ:オペレーション名「白蛇削り(しろへびけずり)」……調査した情報によれば、殴って壊せるわけがない固い神殿の中に、白蛇石が存在する ブレーカー:なら削りとればいい。そういう作戦だ。…電機削岩装(ロックドリスターズ)の準備は…… マドリ:(かぶせる)「準備」という言葉をいちいち使わせない程度には、できていますよ ブレーカー:あーあーはいはい…。でも分かってると思うが、気を抜くなんざバカな真似するんじゃねえぞ マドリ:電気があれば、気などいりません ブレーカー:それは攻撃手段の話だろうが マドリ:小耳に挟みましたが、「気」というものは、人間の体調に関わるような説もありますね ブレーカー:ま、俺とお前も、半分人間なわけだし、気の1つでも使えそうではあるがな マドリ:それこそ、ハウラ国なんてもっと関係がありません。なぜなら、白蛇石の力があるから ブレーカー:ハウラの連中は、不思議な力を使うってきいたな。白蛇石の恩恵やらなんやらで、火でも風でも出せるとか マドリ:恩恵……とても抽象的ですね ブレーカー:ああ、影も形もない、ぼんやりした事を、まるで宝物のように大切にして、共存なんかうたっている奴らなんざ、ただの異常者だ マドリ:まるで石に心があるような捉え方をしているとききましたね、ハウラの人々は ブレーカー:馬鹿馬鹿しい マドリ:……ハウラ国のことを考えるだけ無駄と ブレーカー:その通り。いいか、マドリ?ハウラってのは…… マドリ:「いいか? マドリ」に対しての答えは、「いいえ。マドリ、良くないです。長い話になりそうなので」 ブレーカー:うるさい! それでも言うぞ。……ハウラは、論理の欠片もない奴らだ。白蛇石を守る? あいつらが守ってんのはただの石っころだ。それを、わざわざ崇めてるときた…それを至極単純な言葉で言い表すと、「理解不能」。これに尽きる マドリ:白蛇石から力を得るために、祈りを捧げている……らしいですが、力を供給するための手段と考えれば、多少は理解できます ブレーカー:でも、そこに感謝なんかいるか? ただの石に「ありがとうございます」なんてこうべを垂れてる。しかも今日に始まったことじゃなく、共に生きて歩んだ歴史なんてものも存在する マドリ:それは、そうですが ブレーカー:なんだよ? マドリ:ロクド国も「電気」によって培われてきた。つまり、それがなければ私達の存在はない、ということで… ブレーカー:ああ、そうだな。ただ生きているだけだ。腕っぷしの強い、半機械人間の「工事屋」として。 マドリ:…… ブレーカー:ロクドとハウラは違うんだよ。……じゃ、そろそろ行く時間だ 0:ブレーカーは集まったアンドロイド兵に向かって声を張る ブレーカー:……いいかお前ら! これからハウラ国に入り、白蛇石を破壊する! 奴らのアホらしい、”共存”を削って終わらせるぞ! マドリ:……ブレーカーも、固いですね ブレーカー:なんかいったか? マドリ:削るのが得意なのに、石のようだと ブレーカー:機械なんざ、石みたいなもんだろうに マドリ:一応、人間要素もそこそこ入ってるんですけど ブレーカー:じゃあアンドロイドは? マドリ:……表面的には。でも、”人間”です ブレーカー:答えになってない。とにかく、今はハウラ国を潰すことのみ考えろ。……必要なものは、削るための論理だ。 マドリ:……そう、ですね。心は、不要です 0:ハウラ国 突入前 ブレーカー:さぁ、武器を持て! マドリ:これより、オペレーション「白蛇削り(しろへびけずり)」を始めます ブレーカー:ここで一気に終わらせる。ハウラの凝り固まった土地を手に入れ、ロクドの拡大を進める! マドリ:私達二人は、敵の本丸…白蛇石のある場所へと向かいます。無駄なことは避けるように ブレーカー:さぁ、突貫工事の始まりだ! …派手に進むぜ!!!! : ロド:雄たけびが聞こえる…。始まったか。 セルフィ:白蛇石のエネルギーがすさまじい…かなり激しい戦いになってる…。 ラリマー:気を抜くな。ここは最後の砦と言えど、いつ敵が襲ってきてもおかしくない。 ロド:そうだな。もう石術の力をまとって… ブレーカー:削りに削ってきてみりゃぁ、楽しそうに喋ってんな。戦争中だってのに ロド:……っ! ラリマー:……っ! セルフィ:あな、たは…!? ブレーカー:なに、お前らが守ってる、たいそうでかい岩を壊しにきたんだ ブレーカー:俺は、ブレーカー。んで、こっちが… マドリ:他己紹介されるほど、仲が良い関係とは思っていません ブレーカー:…マドリだ。見ての通り、一言余計な女だ マドリ:半分機械であることも、付け加えたほうがいいかと ロド:ロクド国の戦士、か…! ラリマー:強い、な。トップの戦士か。 マドリ:ブレーカー。 ブレーカー:なんだ? マドリ:あの者達、見ただけで強さを判断できています ブレーカー:ああ、そうだな。こういうのは機械のほうが正確なのに、恐ろしいものだぜ マドリ:それが、ハウラ国の人間の力…侮ると、スクラップになりますね ブレーカー:……展開しろ マドリ:了解です ブレーカー:電機削岩装(ロックドリスターズ)…装着 マドリ:電機削岩装(ロックドリスターズ)…装着 0:電気がほとばしり、ブレーカーは両腕に杭型の武器を、マドリは先端がドリル状になっている銃を空間から生み出した ブレーカー:装着、完了。…じゃあ削岩(さくがん)、開始だ! ロド:来るぞ!石術の力をまとえ! : ロド:火と風、白蛇石の力よここに集い我が力の礎となれ。両手にまといし炎の力は護るための剣となり、足にまといしハヤテの力で瞬速の風となる!火炎疾風(かえんしっぷう)!ロード・ナイト! セルフィ:水と地、白蛇石の力よここに集い我が力の礎となれ。大地は我らを護る盾となり、清水(せいすい)は我らを癒す光となる。大地流水(だいちりゅうすい)!セルフィ・ナイト! ラリマー:地水火風、白蛇石の力よここに集い我が力の礎となれ。天地万物(てんちばんぶつ)を支配し、己が信念のため、その刃をふるう!森羅万象(しんらばんしょう)!ラリマー・ナイト! ブレーカー:いいねえ! その衣ごと、まるまる削り抜いてやる!! ロド:させない!火炎弾!(両手から火球を飛ばす) ブレーカー:ひゅー!お熱い弾だ! しかし!! ロド:くっ、弾かれた…! ブレーカー:痺れ崩れろ!打岩雷突(だがんらいとつ)!(腕の杭武器をロドに撃ち込む) ロド:…っ!は、はやい…っ! ラリマー:氷結せよ、アイススピア!(氷の刃をとばし、ロドへの攻撃を防ぐ) ロド:助かった、ラリマー! ラリマー:油断するなよ ブレーカー:ちっ! もうちっとで届いたけどなぁ! マドリ:その程度でいけると思った思考を、分析したいものです ブレーカー:お前な…こんな時も口が絶えないやつ マドリ:(言葉をさえぎって)喋る暇があれば、戦闘に集中してください。あなたの担当は2人なので ブレーカー:テキパキ仕事ができるやつで良かったよ マドリ:その間に、奥のお嬢様を仕留めます : ブレーカー:ってわけで…工事再開だ。よそ見してサボんなよ? マント野郎! ラリマー:ぐぁっ!くっ、なんだこのエネルギーは…体がしびれて… ブレーカー:気品な顔がゆがんでるな。ロクドの技術、舐めてもらっちゃ困るぜ ロド:ラリマー、大丈夫か! ブレーカー:手助けはさせねえ! 電機削岩装(ロックドリスターズ)、電力解放!! ロド:くそっ! : マドリ:では、こちらも突貫工事と参りましょうか。ハウラのお嬢様 ロド:セルフィ! セルフィ:大丈夫よ、ロド。守れ、アース!(地面がもりあがり、壁のようにたちはだかる) マドリ:大地の壁…技術としてみるなら優秀ですが…未知なる力ほど、危険なものはありません。螺旋(らせん)を穿(うが)て。ドリハンマ-・ショット!(マドリの銃から、ドリル状の弾が発射され、大地の壁を削る) セルフィ:っ!大地の壁が壊された!?あっ!!(粉々になった土壁が降り注ぐ) マドリ:その命、削り取らせていただきます セルフィ:まだまだっ!泡沫、アクアレーゲン!(大きな水のかたまりで自分を覆う) マドリ:っ! どうやら、その水、自由自在に…硬度すら変えられるようですね…… セルフィ:水の力は偉大なのよ。こうやって凍らせて、攻撃にも使えるからねっ!氷結弾! マドリ:なるほど、温度も自在ですと…なれば、撃ち落とすまで! セルフィ:全ての弾を…!?なんて素早い動き…! マドリ:技術の革新こそ…現実的で、貴方たちの曖昧な力より、著しく価値があるのですよ。お嬢さん : 0: : ブレーカー:はっ…!1対2でも石を護るなんざ、よほど壊されたくないらしいな!お前らの崇高な石っころってのは! ロド:なぜ壊すんだ!白蛇石はこの世界を創った存在、全てのエネルギーの源!壊してしまえば、世界は破滅するぞ…! ブレーカー:世界の破滅だぁ? アホくさいぜ。そんなもの、お前らが勝手に作った、さわりのいい宗教観念に基づいてるだけだろ!創った存在だか源だか、ロクド国からすればどうでもいいんだよ! ロド:なぜわからない…っ!ハウラもロクドも、同じ白蛇石の元で暮らしている人間のはずだ! ブレーカー:石の上で手を取り合うってか? そのうち叩き落すつもりだろうによ! ロド:そんなこと…ぐぁっ!(攻撃をくらい倒れる) ブレーカー:守り続ければ、いずれ誰かに削られちまう。崩されるのは、動かずに守ってばっかりの、石頭連中って決まってんだよ ロド:違う……。俺たちは…戦いたくないだけだ…!ただ、誰も傷つけたくない…それだけなんだ…! ブレーカー:ここまで押されてまだ言うか、この石頭め。よほど、その摩訶不思議な石を崇拝しちまってるらしい ロド:だけど、それでも俺たちの白蛇石を破壊するというのなら…俺たちだって容赦はしない!貫け!ファイアソード! ブレーカー:ぐっ! いい加減にしやがれ…! ロド:悪いが、眠ってもらう…!火炎疾風!切り裂けっ!!(無数の炎と風の刃がブレーカーを襲う) ブレーカー:なっ…!大量の炎に、風を組み合わせて…クソったれが! 轟(とどろ)き崩れろ! ロッキンダー・ブレイク!(腕の杭武器に雷を溜め、ロドへ攻撃) ロド:くっ!なんだあのエネルギーは…!ぐあああああああああっ!(ロド、倒れる) セルフィ:…っ!ロドっ! : ブレーカー:はぁ…はぁ…つくづく、岩のように頑丈なやつだ…無駄に抵抗しやがって…。だが…ここまでだ! ロド:体…がしびれて…くっ! セルフィ:だめ…!ロド…っ! マドリ:……決着とは、案外かんたんに予測できるものですね、ブレーカー ブレーカー:あぁ…まったくもって、簡単に砕けちまうくらいにな セルフィ:ロドぉぉぉぉぉ! ラリマー:焼き尽くせ。フレイムガーデン 0:(灼熱の炎がブレーカーを襲う) マドリ:!?  ブレーカー!! ブレーカー:なんだ!? …がっ…ああああああああああああああ!!! マドリ:今の攻撃は…何? あまりにも、炎の威力が…これは、ロドの攻撃ではない…? ラリマー:あー、もうちょっと様子見ようと思ったけど、もういいや。手ごたえなさそうだし。 ロド:ラリ、マー…? ラリマー:マドリ、だっけ?お前ももういいや。切り刻め。ストームカッター。(マドリへ鋭い風の刃) マドリ:っ!風が…っ…あぁぁっ!! ラリマー:っはぁ!よえーな、人間!これなら、滅亡させるのもたやすい。 ロド:え…?ラリマー、なんて…? ラリマー:次はお前だ。とどろけ、大地の刃。 ロド:ぐあああああっ! セルフィ:ロド!ラリマー、どうして…!どうしてロドまで! ラリマー:悪いなぁ、ロド、セルフィ。俺は今日、ハウラ国とロクド国が集約するこの時をずっと待っていたんだ。二つの国を殲滅するために。 セルフィ:殲滅…?待って、あなたの言ってることがわからない…。どういうこと? ラリマー:そのままの意味だ。俺は今日、この世界にいるすべての人間を消し去ってやる。 マドリ:全ての、人間…? それは…つまり…ハウラもロクドも、両方殺すと…? ブレーカー:どういう…ことだ…!? ラリマー:そう、ハウラもロクドも全て、だ。俺はそのために生まれてきた。 セルフィ:もしかして…ラリマー、記憶がもどったの…? ラリマー:記憶…?そんなもんあるわけねだろ。だって俺は、半年前に白蛇石の分身としてこの世界に生まれたんだから。 ロド:……白蛇石の分身… ラリマー:人間の滅亡が、白蛇石の願いだ。 セルフィ:どう、して…?白蛇石が、そんなこと…。 ラリマー:思うわけないってか?その考えが傲慢だっていうんだよ、人間。くだらない傲慢で、同じ人間同士で対立し、殺し合う。こんな世界、俺は望んでいなかった。 ロド:ラリマー…お前は何がしたいんだ…。 ラリマー:ロド、セルフィ。そして、ブレーカーと、マドリ、だったか。お前たちは国のトップの戦士だ。つまり、お前らを倒してしまえばこの世界をとったも同然。 マドリ:その言いよう…ロドとセルフィの驚きを見る限り…最初から計画していたとみて、間違いないようですね ラリマー:さぁ!終焉の時間だ!この腐った世界を!一度すべてリセットする!俺だけの世界にする! ブレーカー:キチガイじみたこと言いやがって…!  マドリ:ブレーカー! 来ます! ブレーカー:轟(とどろ)き崩れろ! ロッキンダー・ブレイク!(電撃を走らせた杭武器を、ラリマーに放つ) マドリ:螺旋(らせん)を穿(うが)て。ドリハンマ-・ショット!(ドリル状の弾に電気を込めて放つ) ラリマー:遮蔽せよ、ロックプロテクト。(二人の攻撃を防ぐ) マドリ:そんな…いとも簡単に弾かれて… ブレーカー:おいおい…規格外すぎやしねえか!? ラリマー:光の力よここに集え。閃光の雨、フラッシュ・レイ(光の刃の雨が降り注ぎ、二人の体を貫く) マドリ:光の雨…視界情報が追いつかないっ! ブレーカー:く、クソッタレがぁぁぁっ!! ラリマー:この程度か。独自の技術で発展したと聞いていたが…。たいしたことないな、ロクド国の民よ。 ブレーカー:く…そ…ロクドの技術が…何も通用しねぇ… マドリ:規格外…認めたくありませんが…ブレーカーの言葉には…同意できますね… ラリマー:さぁ、次はお前たちだ、ロド、セルフィ。まぁ、お前たちならすでに分かってるとは思うけどな。俺にはかなわないことを。 セルフィ:私は…あなたとは戦いたくない…。 ラリマー:そうか。だったら、そのままおとなしくやられてしまえばいい。 セルフィ:……っ! ロド:舞え、旋風!(風が土を舞い上げ、4人を覆う) ラリマー:土埃が…!ふん、目隠しでもして、逃げるつもりか? : ロド:……セルフィ、頼みがある。 セルフィ:…なに? ロド:俺がラリマーと戦うから、その間にあの二人を回復させてほしい。 セルフィ:え…? ブレーカー:あぁ? どういうつもりだ? マドリ:ハウラが、ロクドを助ける、と? ロド:力を貸してほしい。俺とセルフィじゃ、あいつにはかなわない。ずっと手合わせしてきたからわかる。このままだとあいつに…ハウラもロクドも滅ぼされてしまう…。だから頼む。一緒に、あいつを倒してほしい。 ブレーカー:はっ…今更何を言っているか マドリ:ブレーカー ブレーカー:なんだよ? マドリ:ここで協力しない選択肢は、愚策と判断します ブレーカー:お前…!? ネジが外れたか!? こいつらはハウラ国だぞ?! マドリ:では、ラリマーはどうなのです? ブレーカー:あれも、ハウラの…… マドリ:自国を破壊する存在を信じられると? マドリ:……この状況下で、ロドがここまで言うのです。果たしてこれは、私たちが認識していた「ハウラ国」ですか? ブレーカー:そ、それは… マドリ:あなたの認識しているハウラ国も…私もそうですが。どうやら、現実と違っていたようです…それに ブレーカー:…? マドリ:彼らと戦闘を行っている最中も、疑問に思っていました。ロドとセルフィ、二人の台詞の一つ一つを聞くたびに、私たちの、知識の中にある「ハウラ国」と、段々とズレが生じていた…さらにそのズレを修正するたび、一つの答えが浮かぶんです… ブレーカー:答え? マドリ:電気で培ったロクドと、白蛇石と歩んできたハウラは、同じものではないかと。それは、宗教じみてもいないし、自ら攻め入るような敵意も見えない…私達は単純に、理解しようとせずに危険なものだと決めつけていただけ……そうではないですか? ブレーカー? ブレーカー:……あぁ、分かったよ マドリ:分かっているなら、「分かったよ」など言わなくてもいいのです ブレーカー:うるせえ。……御覧の通りだ…協力する。 ロド:ありがとう。……俺が時間を稼ぐ。頼んだぞ、セルフィ! セルフィ:待って。……癒しを。アクア・エイド。(ロドの傷を癒す)……応急処置だけど、少しはマシなはず。ロド、お願いね…。 マドリ:…傷が、回復していく。 ブレーカー:となれば、これでシメの準備は万端とな… ロド:ありがとう、セルフィ。行ってくる。 ラリマー:さぁて、この中で一体何をしているのかねぇ。そろそろこっちも待ちくたびれてきたぞ。 ロド:具現化せよ、フレイムソード!!ラリマーぁぁぁぁぁ!!(炎の剣で斬りかかる) ラリマー:おっと、土埃の中から奇襲とは。だが、遅いな! ロド:俺がお前を止める…。本気で行くからな! ラリマー:いいぜ。お前とは一度、手合わせじゃなく、本気でやり合ってみたかったんだ。命がかかった、殺し合いをな!具現化せよ、ライトソード!(光の剣を備える) ロド:容赦はしない!疾風! 0:二人の斬り合いが続く。 ラリマー:さすがだなぁ、ロドぉ!風の使い手として申し分ねぇスピードだ!だが、所詮は風。光の速さには勝てねぇよ! ロド:くっ!さらに速く…っ!ぐあっ!し、しまった、剣が…っ!(腕を斬られ、炎の剣が消える) ラリマー:終わりだ、ロドぉぉぉぉぉ!! ブレーカー:ところがどっこい マドリ:「終わり」と宣言するときは、9割、終わらないものです ラリマー:なにっ! ブレーカー:痺れ崩れろ!打岩雷突(だがんらいとつ)!(杭武器に電気を走らせ、一気に撃ち抜く) マドリ:捻じり抜け、螺旋貫追(らせんかんつい)!(弾の回転力を上げ、ラリマーに向けて放つ) ラリマー:くっ、護れ、アースっ! ロド:ふたり、とも… ブレーカー:簡単に削られてんじゃねえよ、ハウラの石頭 マドリ:その言い方は、協力関係としてどうかと ブレーカー:なっ!? セルフィ:二人とも、回復できたわ。でも、完全ではないから、私たちで護りましょう、ロド。 ロド:助かった!ブレーカー、マドリ、攻撃を頼めるか? ブレーカー:攻撃?  ロド:俺たちの石術で、二人の攻撃とスピードを強化する。お互いの力を最大限に引き出すのなら、それが一番だと思うんだ。あいつの攻撃からは俺たちが守る。守りには自信があるんだ、なんたって石頭、だからな。 セルフィ:……守りを担当するの私なんだけど、それ私が石頭って言ってる? ブレーカー:はは!言うねえ! マドリ:最良の判断だと思います。それなら、ラリマーへの勝率は…8割は望めるかと ロド:よし、セルフィ、防御は任せたぞ。 セルフィ:わかった、任せて! ロド:まとえ、力の炎。まとえ、俊足のハヤテ。我が力を誰が為に。火炎疾風!(ブレーカーとマドリに火と風をまとわせる) ブレーカー:これが…ハウラの力…すげぇ マドリ:ハウラとロクドが力を合わせる…思えばこれこそ、一番合理的、ですね ロド:一緒に、あいつを倒そう。俺の力、預けるぜ。 ブレーカー:ああ、しかと受けた セルフィ:気を付けて!来るっ! ラリマー:人間ごときが何人束になってこようと、この俺に勝てるわけねぇだろっ!くらえ!フレイム・カッター! マドリ:束…ね。それが例えハウラとロクドの、ゆるぎない力だとしてもでしょうか? ブレーカー:余裕こいてたら削られるぜ! イカレ野郎!! 0:フレイムカッターを避け、ラリマーに接近する ラリマー:ちっ!全部よけるとは…じゃあ最速の攻撃で迎え撃つ!貫け!フラッシュ・スピア!!(光の槍が降り注ぐ) マドリ:っ…避けきれないか…! セルフィ:大地の脅威を! ロド:嵐の脅威を! セルフィ:サンド・トルネード! ロド:サンド・トルネード! 0:(大きな砂嵐が二人を包み、攻撃を霧散させる) ラリマー:な…っ!俺の攻撃を、霧散させた、だと…? マドリ:嵐に味方される…ロクドではありえない経験でしょう ブレーカー:…助かったぜ ロド:さらに加速だ、旋風! マドリ:電機削岩装(ロックドリスターズ)…出力最大 ブレーカー:風に電気をのせていく…このまま奴に、ブチかますぞ!!! ラリマー:くそっ…!なんだその力は!速さは! ブレーカー:倒す論理と護る心…それがあわさりゃ、どんな敵でも貫けることを、その身に教えてやるぜ!! マドリ:疾雷(しつらい)を捻じり穿(うがて)「ウィンドリラー・ショット」! 0:(風と電気を込めた、ドリル弾の銃撃) ブレーカー:迅風(じんぷう)へ巻き崩れろ!「ウィンドロック・ブレイカー」! 0:(風と電気を込めた、杭武器の突き攻撃) ラリマー:ぐあああああああああああ! マドリ:…戦闘終了…。協力から生まれた、真(まこと)の勝利です ブレーカー:世界を破壊できなくて残念だったな、ラリマー。…これでとどめだ!! ラリマー:……ここまで、か。 ロド:待ってくれ。 ブレーカー:あ? なんだよ? ロド:最後は俺にやらせてくれないか。………頼む。 セルフィ:ロド…? マドリ:それは、どういう意味です…? ロド:ラリマーは、俺たちの、ハウラとロクドの脅威だ。だけど、こいつは…短い間ではあったが、ハウラ国の民だったんだ。ハウラ国の民として、ハウラ国のナイトである俺が、終わらせないといけないと、思うんだ。 ブレーカー:…いいんじゃねえか セルフィ:でも、ロド…っ! ロド:セルフィ。これは俺の…俺たちの問題だ。 ブレーカー:国を背負っている責任は、誰かが背負わなきゃならねえ。それもとびっきり強い人間が。そして…落とし前をつけるのも、いつでもそういう人間だって決まってる。隣国のゴタゴタは黙って見るが、俺達の選択だ。 マドリ:ブレーカー… ブレーカー:たまにはらしいこと言うだろ? マドリ:常時それであってほしいものです ブレーカー:そりゃ残念だったな! ロド:ありがとう、ブレーカー。 ブレーカー:…落とし前、つけてこいよ。石頭 ロド:……ロド、だ。 (ラリマーの元へ近づく) ロド:これで、終わりだ。ラリマー。 ラリマー:……まさか、この俺が負ける、とはな。 ロド:この世界は、ハウラとロクド、俺たちが護る!焼き尽くせ、フレイムガーデンっ!!! ロド:(ラリマーにだけ聞こえる小声で)この世界の平和を護ってくれてありがとう、ラリマー。お前のことは俺が忘れない。さようなら、親友よ。 : 0:回想 : ロド:ラリマー、夕飯できたぞ。…どうしたんだ、白蛇石なんて眺めて。 ラリマー:ついに明日、か。 ロド:そうだよ。なんだ、怖くなったのか?この国トップクラスの騎士(ナイト)様がビビってんのかー? ラリマー:……そう、だな。正直、怖い。 ロド:……どうした?お前らしくない。 ラリマー:………。なぁ、ロド。 ロド:なんだ? ラリマー:……。いや、なんでもない。 ロド:なんでもないことないだろ。何を言おうとしたんだ。言ってみろよ。 ラリマー:………。オレが……オレが白蛇石の子どもだって言ったら…信じるか? ロド:え……?こど、も……?......え? ラリマー:ま、信じられねぇよな。 ロド:…....いや、お前が勇気を振り絞って言ってくれたんだ。信じるよ。 ラリマー:……そう、か。 ロド:どういうことか、話してくれる? ラリマー:あぁ…。あのな、ロド。白蛇石ってのは、ちゃんと生きてて、意思を持ってるんだ。 ロド:え、生き、てる…?石、なのに? ラリマー:白蛇石は、この世界を護りたいって思ってる。白蛇石をずっと護ってきたハウラ国の人間も、白蛇石を壊そうとしているロクド国の人間も。同じ人間同士で、同じこの世界を生きるものとして、争ってほしくないんだよ。 ロド:……それが、白蛇石の思い、なのか? ラリマー:そうだ。この戦争を止めたいと思ってる。だから、白蛇石は、戦争が激化する前に、オレを生み出した。この戦争を終わらせるために。 ロド:え…。えっと、つまり、ラリマー、君はハウラ国とロクド国の戦争を終わらせるために白蛇石が生み出した存在…そういう、こと、なのか? ラリマー:そうだ。......なぁ、ロド。対立する二つの勢力が和解するには、どうすればいいと思う? ロド:え…?それは…きちんと話し合って…ってそれができないから戦争になるのか。えっと…。 ラリマー:難しい問題だったか? ロド:うーん、それがわかれば、この戦争は起こってないもんなぁ。 ラリマー:その通り。 ロド:で、正解は? ラリマー:それは、共通の敵を作る、ことだ。 ロド:共通の…敵…? ラリマー:ハウラはこの白蛇石をまもりたい。ロクドはこの白蛇石を破壊したい。だから、両国は戦争をする。.........じゃあ、そこにその両国を滅ぼそうとする絶対的な力を持った第3勢力が現れたら?自分たちの国の力だけじゃ絶対に倒せないような敵が、現れたら? ロド:..........手を組んで、その敵を倒す......? ラリマー:そう。 ロド:..........っ!ま、まさか、お前......っ! ラリマー:それがオレの役割なんだ。オレが両国の敵として立ちはだかり、両国の敵として散ることで、2つの国は手を取り合う。 ロド:ラリマー.....っ!! ラリマー:オレが悪者になる。それが母の、白蛇石の願いだ。 ロド:そんなこと......っ!嫌だ、ラリマーがいなくなるのは......嫌だっ!どうして......どうしてラリマーが..... ラリマー:ロド。頼みがある。 ロド:......いやだ。聞きたくない。 ラリマー:ロド!聞け! ロド:........っ!! ラリマー:お前も、セルフィも、ロクド国と戦争なんてしたくないんだろ?共に手を取り合って、協力して生きていきたいんだろ? ロド:..........でもっ! ラリマー:ロド。オレだって、できることなら、お前たちと一緒に、この国で......この世界で生きていたかった。だが、この世界で平和を手に入れるには........犠牲が必要なんだ。それが白蛇石が出した答え。オレが存在する理由。 ロド:............ラリ、マー....。 ラリマー:頼む、ロド。明日、オレはこの世界を滅ぼす敵として両国に戦争をしかけるから、ロクド国と協力して、オレを倒してくれ。そして、この真実は絶対に明かさないでくれ。 ロド:.........。 ラリマー:あと.......これはオレのワガママだが........最後はお前の手で、終わらせて欲しい。 ロド:......酷なことを言うな、ラリマー。俺に友を殺せってことか。 ラリマー:お前がいいんだ、ロド。こうしてお前にだけ、この話を打ち明けたのも、お前なら全てを組んでくれると思ったからだ。最適解はなんなのか、そして、オレの恐怖と覚悟を。お前になら、オレの最期を預けられる。預けたいんだ。 ロド:..............それでも俺はお前を ラリマー:(さえぎるように)これ以上話すと俺の覚悟が揺らぎそうだ。明日は任せたぞ。親友よ。(答えを聞かずに去っていく) : 0:-1か月後、ハウラ国- : ロド:セルフィ。ロクド国から物資が届いてる。 セルフィ:ありがとう、あとで教会の方に持っていきましょう。 ロド:おう。 セルフィ:あれから、一か月たったのね。 ロド:そうだな。早いもんだ。 セルフィ:こうして、白蛇石の恩恵を変わらず受けれらているのは、ロド、あなたのおかげよ。本当にありがとう。 ロド:俺だけじゃないだろ。セルフィも白蛇石を護ってくれた。そして…… ブレーカー:ハウラとロクドは、手をつなぐ…とな マドリ:こんにちは。今日の届け分も、持ってまいりました。 ロド:よぅ、ブレーカー、マドリ! セルフィ:ありがとう。あ、そうだ、ロクド国民の移住の件だけど、土地の準備もできたみたいだから、話を進めても大丈夫よ。 マドリ:迅速な対応、ありがとうございます ブレーカー:自然…か。ここにいると、どうもあれだ マドリ:何がですか? ブレーカー:…空気が、やわらぐ マドリ:他の国民も、同じことを述べていましたよ。きっとそれが、ハウラ国の魅力、と分析しました ロド:それは嬉しいことで。 セルフィ:私たちも、ロクド国の技術を取り入れることで、いろいろ便利になってきてる。ふふ、最近ね、子どもたちの間で、あなたたちの真似をして遊ぶのが流行っているみたいよ。 ロド:「轟(とどろ)き崩れろ! ロッキンダー・ブレイク!」ってな。将来はロクド国で働く!って言ってるやつもいる。 ブレーカー:なっ…!? 冗談よせ! 石頭!! マドリ:良かったですね、ブレーカー。これこそ、感動というもの ブレーカー:ふざけるなバカ! ……あぁでも、そうだ。それこそお前らハウラだって言えないぜ? マドリ:そういえば、ロドやセルフィの真似をしようとする現象は起こっていましたね。こちらの国でも同じようです ブレーカー:「具現化せよ、フレイムソード!!」っつってな。あれは…しばらく途切れることのない人気っぷりだ マドリ:『英雄のロド』と、皆が呼んでおります。ハウラの英雄になりたいというロクドの国民も出るくらいですから ロド:おお、それは嬉しいな! セルフィ:あの戦いで、この世界は平和になった。この世界を護った。英雄、って呼ばれるのもうなずけるわ。 ロド……そう、だな。 セルフィ:ブレーカー、マドリ。一緒に戦ってくれて、この世界を護ってくれてありがとう。 ブレーカー:こっちこそ、ありがとな。…お前らみたいな優しい連中じゃなかったら、俺は…きっと過ちを犯すところだった マドリ:争えば争うほど、歪んだ認識が私達を縛っていた。…それに気づかせてくれたのは、ロド、セルフィ。貴方たち、ハウラの優しさです セルフィ:やっぱり、お互いに理解し合うことが、大切なんだろうね。 マドリ:きっとそれが、これからの未来に繋がっていくのでしょう。その可能性が著しく高いと、推測しています ブレーカー:…んじゃ、一度ロクド国に戻るわ。これから送る物資を一度チェックしたいからな。…また来るぜ、ロド、セルフィ ロド:おう、石頭。また俺らもロクド国へ行くからな ブレーカー:うるせーよ!! ……じゃあな! セルフィ:またね、気を付けて! 0:(二人は去っていく) ロド:あいつらと共闘できたのも、ラリマーっていう強大な存在が立ちはだかったからだよなぁ。あの時、みんなの力を合わせていなけりゃ、この世界は滅んでいたかもな。 セルフィ:そうだね。でもね、ロド。私思うの。ラリマーはこの世界を平和にするために居てくれたのかなって。 ロド:……何でそう思うんだ? セルフィ:だって。あの戦争、負傷者は出たけど…死者は出なかったから。ラリマーのあの力があれば、もっと簡単に殲滅できてたんじゃないかなって思うから。 ロド:……へぇ、なるほどね。 セルフィ:ロドはどう思う? ロド:さぁ。真実なんて、本人にしかわからないよ。 セルフィ:ふふっ、それもそうね。 ロド:よし、じゃあそろそろ帰ろうか! セルフィ:うん! : ラリマー:あぁ、これでこの世界はもう大丈夫だ。平和に生きろよ。……さて、俺が平和に導いたこの世界は、白蛇石の創った世界のうちのたった一つだ。まだまだ、問題を抱えた世界はたくさんある。さぁ、白蛇石。俺は次は、どの世界を救いに行けばいい?……そうか。それじゃあ、その国へ。また生まれ変わろうか。 0:【完】