台本概要

 164 views 

タイトル 手が繋ぎたくて何が悪い!
作者名 天びん。  (@libra_micchan)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「○○したくて何が悪い!」シリーズ 第5話
密な時間を過ごしたい旦那さんと、素直になれない奥さんの攻防戦。
ラブコメ的なお話です。

 164 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
悠莉 72 四宮悠莉。普通の会社員。隆とは結婚2年目。 隆のことは普通に愛しているものの、押しに弱い性格であるため、隆に振り回される日々を送っている。 長期休暇に突入したことを嘆いている今日この頃。 素直になれない自分をもどかしく感じている。 名前の読みは「シノミヤユウリ」。
50 四宮隆。普通の会社員。悠莉とは結婚2年目。 妻の悠莉を超溺愛している。 長期休暇に入り、悠莉との密な時間を過ごしたいと思っているがなかなか実現しない。 名前の読みは「シノミヤタカシ」。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
:【タイトル】 : 「○○したくて何が悪い!」シリーズ 第5話 : 手が繋ぎたくて何が悪い! : : :【登場人物】 : 悠莉:四宮悠莉。普通の会社員。隆とは結婚2年目。 悠莉:隆のことは普通に愛しているものの、押しに弱い性格であるため、隆に振り回される日々を送っている。 悠莉:長期休暇に突入したことを嘆いている今日この頃。 悠莉:素直になれない自分をもどかしく感じている。 悠莉:名前の読みは「シノミヤユウリ」。 : 隆:四宮隆。普通の会社員。悠莉とは結婚2年目。 隆:妻の悠莉を超溺愛している。 隆:長期休暇に入り、悠莉との密な時間を過ごしたいと思っているがなかなか実現しない。 隆:名前の読みは「シノミヤタカシ」。 : : : : : :【本編】 : 悠莉:(端的に言って、長期休みは苦痛だ。) : 悠莉:(仕事で疲れた身体を休められると言えば聞こえはいいが、私にとっては「忍耐」、この一言に尽きる。) : : 0:四宮家夫婦の寝室にて。 : : 隆:悠莉…こっちおいで。 : 悠莉:…。 : 隆:もしかして怖がってる?…大丈夫、俺に全部任せて。悠莉はいつも通り普通にしてくれていればいいから。 : 悠莉:…。 : 隆:(少し笑って)じゃあ…やろうか? : 悠莉:―っ!!やっぱ無理!! : 隆:悠莉?まだ始まってもないよ?無理って何が無理なんだい? : 隆:ほら…乱暴にしちゃダメだろ?ちゃんと握って、優しくね…。 : 悠莉:だって…だって!!隆ったらいつも意地悪だし…。 : 隆:意地悪…?俺のどこが意地悪なのかなー?悠莉ちゃん、詳しく教えてー! : 悠莉:だって… : 悠莉:―だって!私が苦手なの知ってるくせに!隆ってば長期休暇のたびにホラーゲーム買ってきたりホラー映画大量に借りて来たりするじゃん!! : 隆:そうだね。(ニコニコ) : 悠莉:そうだね…じゃないよ!嫌だって言ってるのにどうして毎回こういうことするの? : 隆:そんなの…怖がってる悠莉が最高に可愛いからに決まってるだろ★ : 悠莉:可愛くないし!本当に嫌だって言ってるのに!! : 隆:でも元はと言えば悠莉が言い出したことじゃないか…何年か前に「ホラー苦手って言ったら友達にメッチャからかわれた…何とかしてホラー耐性つけたい…」って。 : 悠莉:そうだけど…!確かにそう言ったけど!!でも無理なの!!怖いんだもん!!何度チャレンジしても慣れないし!! : 隆:だからってゲームが始まる前からコントローラーを他人の顔面目掛けて投げちゃダメでしょ。精密機器なんだから投げたら壊れちゃうよ。 : 悠莉:じゃあ素手でいい。 : : 0:悠莉、低めの声で握り拳を作り、隆を威圧する。 : : 隆:(棒読みっぽく)わぁー…悠莉が素晴らしいほどに暴力的だぁー… : 隆:…でも真面目な話、悠莉の反応が本当に可愛くて俺のドストライクでさ…ついイジめたくなっちゃうんだよね。 : 隆:時々わざとやってるんじゃないかって思う時あるよ。 : 悠莉:わざとでこんなに怖がらないよ!! : 隆:だって…怖いシーンになると怖すぎて固まっちゃう所とか最高に可愛いし、しかも油断している時にいきなり脅かし要素がきたら悠莉猫みたいに叫ぶじゃん、「―にゃんっ!?」って。あれ超好きなんだよね。 : 悠莉:いや、わざとじゃないから!そもそもそうやってからかわれるのが嫌だから何とかしたくて頑張ってるのに!一向に耐性つかないし…。 : 隆:悠莉…可愛いから諦めよう、また見たいあの反応。 : 悠莉:諦めたくないです!ってかやめて下さい!! : 隆:…はぁ、まったく悠莉は仕方ないなぁ…。 : 隆:じゃあ、ホラゲはやめにして、ホラー映画鑑賞会かな。 : 悠莉:ホラーから離れてない!! : 隆:これも慣れるためだよ。幾つか怖さの程度が違う映画借りてきたから、悠莉が選んで? : 悠莉:…。 : : 0:悠莉、気が進まないながらもDVDを手に取り、睨めっこをするかのように、それぞれの概要を確認していく。 : : 悠莉:海外映画と日本映画…どっちが怖いの? : 隆:んー…俺的には海外作品の方が怖い気がするけど、いい作品に国境なんてないよ★ : 悠莉:…あっそ。 : 隆:ちなみに、これは邦画だけど、この監督が撮るホラー映画はどれも結構怖いことで有名だね。 : 隆:この洋画はコメディっぽいシーンもあるからホラー初心者向けかな? : 隆:それで、この映画は前の長期休暇に一緒にやったホラゲ作品の映画版だからプレイ内容を思い返しながら観たら面白いかもね。 : 悠莉:そう…なんだ。 : 悠莉:(何だかんだ言いつつも、隆って私が怖すぎて泣いたりしないように、幾つか違うレベルの映画を借りてくるんだよね…。概要の説明もしてくれるし…。) : 悠莉:…じゃ、これ。 : 隆:おっ!イイの選んだね!じゃあ2人でゆっくり観ようか。 : : 0:隆と悠莉、ベッドに並んで座りながらホラー映画を観始める。 : : 悠莉:…っ!…ハッ!~っ!! : 隆:…。 : 隆:(ヤッベー!怖いの我慢してプルプルしてる悠莉超可愛い!!ヤバい!抱き締めたい!!) : 悠莉:…っ!! : : 0:怨霊が不意に現れ、画面全体に血飛沫が飛んだシーンで悠莉が静かに泣き出す。 : : 隆:…悠莉、おいで。 : : 0:隆が優しく手を広げると、悠莉は素直に腕の中に収まる。 : : 隆:よしよし…。 : 悠莉:無理…今日絶対夜トイレ行けない…。 : 隆:悠莉、俺がいるんだぞ?大丈夫、悠莉が怖いと思うようなことなんて何もないよ。 : 悠莉:…。 : 隆:今日はもうやめとこうか? : 悠莉:…それも嫌。話が中途半端だとジャンルが何であれ気になる。 : 隆:悠莉は怖いの苦手なのに、好奇心はあるからな…。 : 悠莉:なまじっか記憶力が良いから夜寝る時とかに鮮明に思い出しちゃうだけだよ…。 : 隆:能力があるばかりに、大変だねぇ… : : 0:その後、何とか最後まで映画を観終え、満身創痍の悠莉を憐れみながら隆が時刻を確認した頃にはとうに深夜を過ぎていた。 : : 隆:あぁ…もうこんな時間か。やっぱり作品の世界観に浸かっちゃうと時間が経つのも早いね。 : 悠莉:グロい…最後がグロすぎる…いきなり来るのもダメだって…本当心臓に悪い… : 隆:悠莉…大丈夫か? : 悠莉:無理…そもそもこれが大丈夫に見えるなら相当ヤバいよ? : 隆:ハハハ、だよなぁ。 : 隆:…ホットミルクでも作ろうか? : 悠莉:うん…お願い。寒くて仕方がない。 : 隆:悠莉がホラー映画見るといつもこうだよね。前に腕全体で鳥肌が立ってるのを見た時はビックリしたなぁ。 : 悠莉:ホラー映画だけじゃないけどね…ホラーゲームをプレイしたり、心霊番組とか見たりしてたら身体の熱が吸われていくみたいに凄く冷えてくるの。 : 悠莉:まぁ、霊感は無いみたいだから、それがせめてもの救いではあるけど。 : 隆:人間って寝る時には体が暖かくなるみたいだからね。…こんなに冷えてるなら、暖かい飲み物飲んで、身体をしっかり暖めないとね。…はい、熱いから気を付けて。 : 悠莉:うん、ありがとう。 : 隆:それとも俺が悠莉を暖めてあげよう― : 悠莉:ホットミルクだけで充分ですー。 : : 0:隆、目に見えて凹むが、悠莉はそれを気にせず、ゆっくりとホットミルクを堪能する。 : : 隆:俺の包容力たっぷりのハグはお気に召さない? : 悠莉:暑苦しいし、くっつかれてると気になって寝れなくなる。 : 隆:俺の愛が…!! : 悠莉:ま…毎回毎回大袈裟なんだよ…。少しだったら、私だって… : 隆:―暑苦しいだって?!そんな馬鹿な!! : 悠莉:いや、自覚なかったの?!頼むから少しは自覚して?! : 隆:だが断る!! : 悠莉:(諦めの境地で)知ってた…隆が絶対こういう返しするって私分かってた…。 : 隆:!…飲み終えた? : 悠莉:うん、身体も少し暖かくなってきたみたい。 : 隆:良かった…。じゃあ、歯磨きして寝ようか。 : : : : : 0:数時間後、悠莉がふと目を覚ます。 : : 悠莉:(…んぅ…今何時…?) : 悠莉:(2時過ぎかぁ…全然寝れてないじゃん…) : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:(小声で)…あ、あれ…? : 悠莉:(どうしよう…!眠気飛んじゃった…!) : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:(…ダメ…、全然寝れない…。) : : 0:不意に部屋の隅からピシッという音(木材が乾燥した時に鳴る音)が聞こえる。 : : 悠莉:―!! : 悠莉:(い、今のってラップ音…?あれ?そういえばさっき観たホラー映画でもこういうラップ音鳴ってたな…確かラップ音が聞こえた時って霊がすぐ近くに居て、自分の領域を侵攻されたって怒り狂って襲ってきたような…。) : : 0:突如天井の方からゴンっという音がする。 : : 悠莉:―ぴぃ!! : 悠莉:(―ビッ…クリした…。何か物でも落としたのかな…。…え、でもこんな時間に?普通寝てるよね?) : 悠莉:(…ダメ。ちょっと水飲んで落ち着こう…。) : : 0:悠莉、そっとベッドを抜け出し、台所で水を汲んでその場で飲む。 : : 悠莉:ふぅ…。 : 悠莉:(よし…少し落ち着いてきたかな。この分なら寝られそうかも。) : : 0:それまで静かだった冷蔵庫から急に駆動音が鳴り始める。 : : 悠莉:(軽く悲鳴に近い感じで)―にゃん!?!? : 悠莉:…。 : 悠莉:(…冷蔵庫か。もう、本当に脅かさないでよ…。) : : 0:悠莉、寝室に戻り、静かにベッドに入るが、まったく寝付けない。 : : 悠莉:(ヤバい…どんどん怖い事想像しちゃって目が冴えてきちゃった…) : 悠莉:…。 : : 0:悠莉、隣で静かに寝息を立てている隆をチラリと横目で見る。 : : 隆:…ZZZ。 : 悠莉:…。 : 悠莉:(隆…気持ち良さそうに寝てる…。驚きすぎて声出しちゃったけど、起こしてないよね…?) : 隆:…ZZZ。 : 悠莉:…。 : 悠莉:…へへ。 : : 0:悠莉、寝ている隆の手にそっと自分の手を絡め、軽く握る。 : : 悠莉:(このくらいなら、許される…よね?) : 悠莉:(不思議だなぁ…こうしてるだけで、一人じゃないって感じるし、少しだけ安心できる…。) : 悠莉:(小さい声で)隆の手、暖かい…。 : : 0:悠莉が手を繋ぎ、安心しきって寝た直後。 : : 隆:(怖がってる悠莉も可愛いけど、隠れてデレる悠莉最高に可愛すぎる…!!悠莉って普段は素直になれないのに怖くて寝れなくなった時はこうやって寝てる間に手を繋いで甘えてくるんだよね…!!) : 隆:(しかも手をつないだまま!あどけない顔で寝ている!!寝たふりがしんどい!辛い!!) : 隆:(「にゃん」も聞けたし、今日は最高か?最高なのか??) : : : : : 悠莉:(―翌朝、私が鼻血を流した状態で寝ている隆を発見したのは言うまでもない。)

:【タイトル】 : 「○○したくて何が悪い!」シリーズ 第5話 : 手が繋ぎたくて何が悪い! : : :【登場人物】 : 悠莉:四宮悠莉。普通の会社員。隆とは結婚2年目。 悠莉:隆のことは普通に愛しているものの、押しに弱い性格であるため、隆に振り回される日々を送っている。 悠莉:長期休暇に突入したことを嘆いている今日この頃。 悠莉:素直になれない自分をもどかしく感じている。 悠莉:名前の読みは「シノミヤユウリ」。 : 隆:四宮隆。普通の会社員。悠莉とは結婚2年目。 隆:妻の悠莉を超溺愛している。 隆:長期休暇に入り、悠莉との密な時間を過ごしたいと思っているがなかなか実現しない。 隆:名前の読みは「シノミヤタカシ」。 : : : : : :【本編】 : 悠莉:(端的に言って、長期休みは苦痛だ。) : 悠莉:(仕事で疲れた身体を休められると言えば聞こえはいいが、私にとっては「忍耐」、この一言に尽きる。) : : 0:四宮家夫婦の寝室にて。 : : 隆:悠莉…こっちおいで。 : 悠莉:…。 : 隆:もしかして怖がってる?…大丈夫、俺に全部任せて。悠莉はいつも通り普通にしてくれていればいいから。 : 悠莉:…。 : 隆:(少し笑って)じゃあ…やろうか? : 悠莉:―っ!!やっぱ無理!! : 隆:悠莉?まだ始まってもないよ?無理って何が無理なんだい? : 隆:ほら…乱暴にしちゃダメだろ?ちゃんと握って、優しくね…。 : 悠莉:だって…だって!!隆ったらいつも意地悪だし…。 : 隆:意地悪…?俺のどこが意地悪なのかなー?悠莉ちゃん、詳しく教えてー! : 悠莉:だって… : 悠莉:―だって!私が苦手なの知ってるくせに!隆ってば長期休暇のたびにホラーゲーム買ってきたりホラー映画大量に借りて来たりするじゃん!! : 隆:そうだね。(ニコニコ) : 悠莉:そうだね…じゃないよ!嫌だって言ってるのにどうして毎回こういうことするの? : 隆:そんなの…怖がってる悠莉が最高に可愛いからに決まってるだろ★ : 悠莉:可愛くないし!本当に嫌だって言ってるのに!! : 隆:でも元はと言えば悠莉が言い出したことじゃないか…何年か前に「ホラー苦手って言ったら友達にメッチャからかわれた…何とかしてホラー耐性つけたい…」って。 : 悠莉:そうだけど…!確かにそう言ったけど!!でも無理なの!!怖いんだもん!!何度チャレンジしても慣れないし!! : 隆:だからってゲームが始まる前からコントローラーを他人の顔面目掛けて投げちゃダメでしょ。精密機器なんだから投げたら壊れちゃうよ。 : 悠莉:じゃあ素手でいい。 : : 0:悠莉、低めの声で握り拳を作り、隆を威圧する。 : : 隆:(棒読みっぽく)わぁー…悠莉が素晴らしいほどに暴力的だぁー… : 隆:…でも真面目な話、悠莉の反応が本当に可愛くて俺のドストライクでさ…ついイジめたくなっちゃうんだよね。 : 隆:時々わざとやってるんじゃないかって思う時あるよ。 : 悠莉:わざとでこんなに怖がらないよ!! : 隆:だって…怖いシーンになると怖すぎて固まっちゃう所とか最高に可愛いし、しかも油断している時にいきなり脅かし要素がきたら悠莉猫みたいに叫ぶじゃん、「―にゃんっ!?」って。あれ超好きなんだよね。 : 悠莉:いや、わざとじゃないから!そもそもそうやってからかわれるのが嫌だから何とかしたくて頑張ってるのに!一向に耐性つかないし…。 : 隆:悠莉…可愛いから諦めよう、また見たいあの反応。 : 悠莉:諦めたくないです!ってかやめて下さい!! : 隆:…はぁ、まったく悠莉は仕方ないなぁ…。 : 隆:じゃあ、ホラゲはやめにして、ホラー映画鑑賞会かな。 : 悠莉:ホラーから離れてない!! : 隆:これも慣れるためだよ。幾つか怖さの程度が違う映画借りてきたから、悠莉が選んで? : 悠莉:…。 : : 0:悠莉、気が進まないながらもDVDを手に取り、睨めっこをするかのように、それぞれの概要を確認していく。 : : 悠莉:海外映画と日本映画…どっちが怖いの? : 隆:んー…俺的には海外作品の方が怖い気がするけど、いい作品に国境なんてないよ★ : 悠莉:…あっそ。 : 隆:ちなみに、これは邦画だけど、この監督が撮るホラー映画はどれも結構怖いことで有名だね。 : 隆:この洋画はコメディっぽいシーンもあるからホラー初心者向けかな? : 隆:それで、この映画は前の長期休暇に一緒にやったホラゲ作品の映画版だからプレイ内容を思い返しながら観たら面白いかもね。 : 悠莉:そう…なんだ。 : 悠莉:(何だかんだ言いつつも、隆って私が怖すぎて泣いたりしないように、幾つか違うレベルの映画を借りてくるんだよね…。概要の説明もしてくれるし…。) : 悠莉:…じゃ、これ。 : 隆:おっ!イイの選んだね!じゃあ2人でゆっくり観ようか。 : : 0:隆と悠莉、ベッドに並んで座りながらホラー映画を観始める。 : : 悠莉:…っ!…ハッ!~っ!! : 隆:…。 : 隆:(ヤッベー!怖いの我慢してプルプルしてる悠莉超可愛い!!ヤバい!抱き締めたい!!) : 悠莉:…っ!! : : 0:怨霊が不意に現れ、画面全体に血飛沫が飛んだシーンで悠莉が静かに泣き出す。 : : 隆:…悠莉、おいで。 : : 0:隆が優しく手を広げると、悠莉は素直に腕の中に収まる。 : : 隆:よしよし…。 : 悠莉:無理…今日絶対夜トイレ行けない…。 : 隆:悠莉、俺がいるんだぞ?大丈夫、悠莉が怖いと思うようなことなんて何もないよ。 : 悠莉:…。 : 隆:今日はもうやめとこうか? : 悠莉:…それも嫌。話が中途半端だとジャンルが何であれ気になる。 : 隆:悠莉は怖いの苦手なのに、好奇心はあるからな…。 : 悠莉:なまじっか記憶力が良いから夜寝る時とかに鮮明に思い出しちゃうだけだよ…。 : 隆:能力があるばかりに、大変だねぇ… : : 0:その後、何とか最後まで映画を観終え、満身創痍の悠莉を憐れみながら隆が時刻を確認した頃にはとうに深夜を過ぎていた。 : : 隆:あぁ…もうこんな時間か。やっぱり作品の世界観に浸かっちゃうと時間が経つのも早いね。 : 悠莉:グロい…最後がグロすぎる…いきなり来るのもダメだって…本当心臓に悪い… : 隆:悠莉…大丈夫か? : 悠莉:無理…そもそもこれが大丈夫に見えるなら相当ヤバいよ? : 隆:ハハハ、だよなぁ。 : 隆:…ホットミルクでも作ろうか? : 悠莉:うん…お願い。寒くて仕方がない。 : 隆:悠莉がホラー映画見るといつもこうだよね。前に腕全体で鳥肌が立ってるのを見た時はビックリしたなぁ。 : 悠莉:ホラー映画だけじゃないけどね…ホラーゲームをプレイしたり、心霊番組とか見たりしてたら身体の熱が吸われていくみたいに凄く冷えてくるの。 : 悠莉:まぁ、霊感は無いみたいだから、それがせめてもの救いではあるけど。 : 隆:人間って寝る時には体が暖かくなるみたいだからね。…こんなに冷えてるなら、暖かい飲み物飲んで、身体をしっかり暖めないとね。…はい、熱いから気を付けて。 : 悠莉:うん、ありがとう。 : 隆:それとも俺が悠莉を暖めてあげよう― : 悠莉:ホットミルクだけで充分ですー。 : : 0:隆、目に見えて凹むが、悠莉はそれを気にせず、ゆっくりとホットミルクを堪能する。 : : 隆:俺の包容力たっぷりのハグはお気に召さない? : 悠莉:暑苦しいし、くっつかれてると気になって寝れなくなる。 : 隆:俺の愛が…!! : 悠莉:ま…毎回毎回大袈裟なんだよ…。少しだったら、私だって… : 隆:―暑苦しいだって?!そんな馬鹿な!! : 悠莉:いや、自覚なかったの?!頼むから少しは自覚して?! : 隆:だが断る!! : 悠莉:(諦めの境地で)知ってた…隆が絶対こういう返しするって私分かってた…。 : 隆:!…飲み終えた? : 悠莉:うん、身体も少し暖かくなってきたみたい。 : 隆:良かった…。じゃあ、歯磨きして寝ようか。 : : : : : 0:数時間後、悠莉がふと目を覚ます。 : : 悠莉:(…んぅ…今何時…?) : 悠莉:(2時過ぎかぁ…全然寝れてないじゃん…) : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:(小声で)…あ、あれ…? : 悠莉:(どうしよう…!眠気飛んじゃった…!) : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:…。 : 悠莉:(…ダメ…、全然寝れない…。) : : 0:不意に部屋の隅からピシッという音(木材が乾燥した時に鳴る音)が聞こえる。 : : 悠莉:―!! : 悠莉:(い、今のってラップ音…?あれ?そういえばさっき観たホラー映画でもこういうラップ音鳴ってたな…確かラップ音が聞こえた時って霊がすぐ近くに居て、自分の領域を侵攻されたって怒り狂って襲ってきたような…。) : : 0:突如天井の方からゴンっという音がする。 : : 悠莉:―ぴぃ!! : 悠莉:(―ビッ…クリした…。何か物でも落としたのかな…。…え、でもこんな時間に?普通寝てるよね?) : 悠莉:(…ダメ。ちょっと水飲んで落ち着こう…。) : : 0:悠莉、そっとベッドを抜け出し、台所で水を汲んでその場で飲む。 : : 悠莉:ふぅ…。 : 悠莉:(よし…少し落ち着いてきたかな。この分なら寝られそうかも。) : : 0:それまで静かだった冷蔵庫から急に駆動音が鳴り始める。 : : 悠莉:(軽く悲鳴に近い感じで)―にゃん!?!? : 悠莉:…。 : 悠莉:(…冷蔵庫か。もう、本当に脅かさないでよ…。) : : 0:悠莉、寝室に戻り、静かにベッドに入るが、まったく寝付けない。 : : 悠莉:(ヤバい…どんどん怖い事想像しちゃって目が冴えてきちゃった…) : 悠莉:…。 : : 0:悠莉、隣で静かに寝息を立てている隆をチラリと横目で見る。 : : 隆:…ZZZ。 : 悠莉:…。 : 悠莉:(隆…気持ち良さそうに寝てる…。驚きすぎて声出しちゃったけど、起こしてないよね…?) : 隆:…ZZZ。 : 悠莉:…。 : 悠莉:…へへ。 : : 0:悠莉、寝ている隆の手にそっと自分の手を絡め、軽く握る。 : : 悠莉:(このくらいなら、許される…よね?) : 悠莉:(不思議だなぁ…こうしてるだけで、一人じゃないって感じるし、少しだけ安心できる…。) : 悠莉:(小さい声で)隆の手、暖かい…。 : : 0:悠莉が手を繋ぎ、安心しきって寝た直後。 : : 隆:(怖がってる悠莉も可愛いけど、隠れてデレる悠莉最高に可愛すぎる…!!悠莉って普段は素直になれないのに怖くて寝れなくなった時はこうやって寝てる間に手を繋いで甘えてくるんだよね…!!) : 隆:(しかも手をつないだまま!あどけない顔で寝ている!!寝たふりがしんどい!辛い!!) : 隆:(「にゃん」も聞けたし、今日は最高か?最高なのか??) : : : : : 悠莉:(―翌朝、私が鼻血を流した状態で寝ている隆を発見したのは言うまでもない。)