台本概要

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タイトル 君の一番になりたくて 第1話
作者名 天びん。  (@libra_micchan)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 5人用台本(男3、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 大好きな人の一番になりたい。
青春時代には誰しもが考えたことがあるだろう。
青春時代真っただ中を生きる幼馴染5人のそれぞれの想いが交錯する…

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
和真 56 峰岸和真。高校2年生、天音の兄。 勉強、運動、家事、何でもござれの超人。バスケ部に所属。 口調はぶっきらぼうで、不愛想に感じられるが、根は優しい。 名前の読みは「ミネギシ カズマ」。
天音 82 峰岸天音。高校1年生、和真の妹。 朝が非常に弱く、起こしてもらえないと起きられないほど。 天然で昔からイジられやすいことを気にしている。 名前の読みは「ミネギシ アマネ」。
椎名 33 雛森椎名。和真と天音の幼馴染で、天音の親友。 しっかりしている反面、周りに振り回されがちな苦労者。 悠人の彼女。 名前の読みは「ヒナモリ シイナ」。
悠人 19 木嶋悠人。和真と天音の幼馴染で、結構なお調子者。 和真をからかいすぎて、いつも怒られている。 椎名の彼氏。 名前の読みは「キジマ ユウト」。
28 金津徹。和真と天音の幼馴染で、真面目な男の子。 成績は学年1位。 笑顔でブラックなことを言ったりする(被害者は主に悠人)。 名前の読みは「カネヅ トオル」。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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:【タイトル】 : 君の一番になりたくて 第1話 : : :【登場人物】 : 和真:峰岸和真。高校2年生、天音の兄。 和真:勉強、運動、家事、何でもござれの超人。バスケ部に所属。 和真:口調はぶっきらぼうで、不愛想に感じられるが、根は優しい。 和真:名前の読みは「ミネギシ カズマ」。 : 天音:峰岸天音。高校1年生、和真の妹。 天音:朝が非常に弱く、起こしてもらえないと起きられないほど。 天音:天然で昔からイジられやすいことを気にしている。 天音:名前の読みは「ミネギシ アマネ」。 : 椎名:雛森椎名。和真と天音の幼馴染で、天音の親友。 椎名:しっかりしている反面、周りに振り回されがちな苦労者。 椎名:悠人の彼女。 椎名:名前の読みは「ヒナモリ シイナ」。 : 悠人:木嶋悠人。和真と天音の幼馴染で、結構なお調子者。 悠人:和真をからかいすぎて、いつも怒られている。 悠人:椎名の彼氏。 悠人:名前の読みは「キジマ ユウト」。 : 徹:金津徹。和真と天音の幼馴染で、真面目な男の子。 徹:成績は学年1位。 徹:笑顔でブラックなことを言ったりする(被害者は主に悠人)。 徹:名前の読みは「カネヅ トオル」。 : : : : : :【本編】 : 0:目覚ましのアラーム音が鳴り響く。 : : 和真:おい、天音ー。起きてるかー? : 天音:…。 : 和真:朝飯出来たぞー。 : 天音:…。 : 和真:(溜息)アイツ…まーた、夜更かししやがったな。 : 和真:―しゃーねー… : : 0:和真、強めに天音の部屋の扉を2回ノックする。 : : 和真:天音?おい、天音ー! : 天音:…。 : 和真:―入るぞ。 : : 0:和真、アラームを止めて天音を揺さぶる。 : : 和真:天音、起きろ。朝だぞ。 : 天音:んにゃ…ふふへ…ZZZ… : : 0:天音、揺さぶられて寝返りを打つも、布団がベッドから落ちただけで再び熟睡する。 : : 和真:…。 : 天音:…。 : 和真:…っ、かんっぜんに爆睡してるな…。こうなったら最後の手段―。 : 和真:―そぉい! : : 0:和真、天音の脇腹をソフトにつつく。 : : 天音:はにゃあぁぁ?! : 和真:やー…っと起きたか。 : 天音:え?え?? : 天音:…ちょっとお兄ちゃん!いつもその起こし方はやめてって言ってるでしょ!! : 和真:普通に起こしても起きないんだから仕方ないだろ…。毎朝毎朝…俺がどれだけ大変な思いで起こしてると思ってんだ…。 : 天音:そんなこと言ったって、起きれないし眠いんだもん…仕方ないじゃん。 : 和真:それは夜更かしをやめりゃいいだけの話だ。 : 和真:…ともかく早く着替えて降りてこい、朝飯が冷める。 : 天音:はい…。 : : 0:天音が制服に着替えて食卓に向かうと、和真は既に食べ始めており、英単語帳を片手にトーストを齧っていた。 : : 和真:―弁当はそこな。 : 天音:うん。…お兄ちゃん、朝から勉強熱心なのは良いことだけど、食べながらやるのはお行儀悪いよ。 : 和真:それと、今日部活で遅くなりそうだから飯当番次の金曜と交換してくれ。 : 天音:…可愛い妹の指摘は無視ですか、そーですか。 : 和真:ならまずは時間通りに起きろ。 : 天音:…っ、ごめんなさい。 : 和真:…1限から小テストなんだよ、今日だけ許せ。 : 天音:…今日だけね。 : : 0:朝食を食べていると不意にチャイムが鳴る。 : : 和真:…はい。 : 椎名:あ、和君おはよう!天音起きてる? : 和真:おはよ、天音は今飯食ってる。…中で待つか? : 椎名:いいの?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな…。 : 悠人:(椎名が言い終わる前に)お邪魔しまーす♪ : 和真:…。悠もいたのか…。 : 悠人:居たわ!バリバリ居たわ!うわ…メッチャ嫌そうな顔してるじゃんか…朝からそんな顔してたら運が逃げてくぞ☆ : 和真:お前は今後一切出禁な。 : 悠人:ちょっと、待て!俺にだけ当たり強すぎだろ!!ちょっと、何とか言って徹!!俺を助けて!! : 徹:あはは、悠残念だね。じゃあ僕たちが出てくるまで外で待ってて★ : 悠人:…え、何?何々??徹は俺を寒空の中に放置する気満々?何で?ねぇ、俺徹に何か悪いことしたっけ? : 徹:いや、特に何も?ただ、面白そうだし、いつもの光景だし、悠だからいいかなって。 : 悠人:俺の扱い!!もっと俺に優しくして?!?! : 椎名:ちょっと、悠人!朝から他人様(ひとさま)の玄関前で騒がないの!!近所迷惑になるでしょ!! : 和真:(溜息)…とりあえず上がれ。 : 悠人:お、流石和兄!根っこは優しい素敵な兄貴― : 和真:余計な事口走ったら即出禁だからな…。 : 悠人:あ…はい…。 : : 0:3人、家に上がり込む。 : : 椎名:お邪魔します。 : 徹:和君、おはよう。朝からうるさくしてごめんね。 : 和真:ああ、おはよう。まぁ、お前のせいじゃないし。基本コイツのせいだから。 : 悠人:えー…和兄、俺だけマジで扱い違くない?差別? : 和真:差別じゃねぇ、区別だ。 : 悠人:酷い!! : 椎名:天音、おはよ! : 天音:しいちゃん、おはよ!…ごめんね、もう少しで食べ終わるから…。 : 椎名:急がなくていいよー、私は悠人と徹と話しながら待ってるし。 : 天音:ありがとう…! : 徹:でも天音の朝ご飯、本当に美味しそうだよね…。いいなぁ、料理上手なお兄さんがいて。 : 天音:えー、そう? : 徹:そうだよ。ちゃんと朝ご飯食べてきたのに、天音が食べてるところ見たらお腹空いちゃった。 : 椎名:分かる!トーストもオムレツも美味しそうだし! : 天音:そうかな…じゃあ少し食べてみる? : 徹:え、いいの? : 天音:私の食べかけだからそんなに量ないけど、それでもいいなら… : 和真:―今日は茶だけで我慢しろ、他人(ひと)の食いかけ食うぐらいなら今度ちゃんと作ってやるから。 : 椎名:ホント? : 徹:やったね!ありがとう、和兄。 : 和真:…別に。大した手間でもねーし。 : 椎名:わーい!楽しみだなぁ~! : 和真:…ところで天音。手が止まっているみたいだが、俺達はいつまで待ってりゃいいんだ? : 天音:ひゃ…ひゃいぃ!ただ今!! : : 0:玄関先で4人が待っているところに天音が走ってくる。 : : 天音:みんな、待たせてごめん!! : 徹:天音、そんなに急ぐと危ないよ。 : 天音:え?わわわわっ!! : 悠人:おっとぉ! : 椎名:悠人ナイスキャッチ! : 悠人:…ほら、大丈夫か?これじゃ危なっかしくて和兄があーちゃんから目を離せないわけだな。 : 天音:悠ちゃん、ごめんね。支えてくれてありがとう。 : 椎名:まったく天音ってば、しっかりしてよー : 和真:ほら、とっとと行くぞ。 : : 0:学校に到着、昇降口で和真を見送り、徹と悠人が隣のクラスに入ると、天音と椎名も教室に入り自席に着いた。 : : 椎名:今日も何とか間に合ったねー : 天音:しいちゃん…毎度付き合わせてごめんね。 : 椎名:いーよ、いーよ。それで遅刻したことはないんだから。 : 天音:でも毎度HRギリギリで申し訳ないです…。 : 椎名:アハハ! : 椎名:…そうだ!なら放課後ちょっと付き合ってよ!行きたいお店があるの!! : 天音:あまり遅くならないならいいけど。今日お兄ちゃん部活で遅くなるらしくて夕飯当番代わったから。 : 椎名:そうなんだ?…両親共働きで、しかも2人とも海外にいるんじゃ大変だよね。 : 天音:そうでもないよ。基本家事はお兄ちゃんと分担出来てるし、何よりしいちゃん達がいるから寂しくないし! : 椎名:そっか!…とりあえず放課後の件は決まり!楽しみだなぁ~♪ : 天音:しいちゃん本当に楽しみなんだね。…何のお店なの? : 椎名:『ベルピエス』って名前のお店なんだけど、何のお店かは行ってみてからのお楽しみ!多分だけど天音も気に入ると思うよ~。 : 天音:えー!何で内緒なの?…気になる。 : 椎名:行けば分かるって~!ほら先生来たし、この話はまた後で! : 天音:…もう。 : : 0:放課後、駅前の『ベルピエス』にて。椎名は不満そうにむくれている。 : : 天音:しいちゃん、そんなに拗ねないで…。 : 椎名:無理。 : 天音:しいちゃ~ん…!! : 悠人:へーぇ!チョコレートの専門店って初めて来たわ!ホントに色んな種類のチョコレートがあるんだな! : 椎名:もうすぐバレンタインだから、天音と2人で悠人にあげるチョコレートの下見をしようと思ってたのに…何で本人が来ちゃうかなぁ?! : 天音:んー…ヨシヨシ。 : 徹:椎名、ごめんね。俺がちょっと目を離したばっかりに…。 : 悠人:まぁいーじゃん、俺が居れば好みとか分かるんだし、間違いないだろ? : 椎名:そういう問題じゃないのー!私はサプライズしたかったのに…。 : 天音:ま…まぁまぁ…。今日はあくまで下見なんだし、買う時は私と2人で買いに行こう?別にここ以外で買うかもしれないんだし。 : 椎名:天音…、うん。今日は純粋にショコラトリーを堪能することにするわ。 : 天音:でもまさか駅前にこんなお洒落なお店が出来るなんて…。どのチョコレートも美味しそうだし。 : 徹:そうだね。手作りだからなのか1個1個の値段は高いけど、どれも繊細で綺麗だ…。 : 椎名:お、流石は徹ね。このお店の名前になってる『ベルピエス』ってフランス語で『美しい作品』って意味なんだって!お店のショコラティエが1個1個丁寧に作り上げたチョコレートだからこの名前にしたみたいだよ。 : 徹:なるほど…特別な人への贈り物にはぴったりだね。 : 天音:ホント!すっごく素敵! : 悠人:おーい、椎名!こっちで幾つか試食できるみたいだぞ。せっかくだし食べてみようぜ! : 椎名:(諦めたようにクスッと笑って)…そうね、今行く―。 : : 0:椎名、悠人の元へ歩いていく。 : : 徹:椎名は本当に悠のことが好きなんだね。 : 天音:そうだね…。 : 徹:天音もここでチョコ買うの? : 天音:んーどうしようかなぁ…。見た目も素敵だし、ちょっと奮発して買っちゃうのもありかも。 : 徹:…特別な人に? : 天音:え? : 天音:…やだなぁ、そんな人いないよ~。いつも何だかんだ朝起こしてくれてるし、たまには感謝の気持ちを込めてお兄ちゃんに買ってあげてもいいかなーって思っただけ。 : 徹:…そっか。 : 徹:―ならこのお店で一番高いチョコレートを買っても足りないんじゃない?(笑) : 天音:あ、酷い!そういうこと言うんだ? : 徹:ハハハ…ごめんごめん、冗談だよ。俺達も行こっか? : : 0:天音と徹が試食コーナーに行くと、2人は幸せそうな顔でチョコレートを味わっている。 : : 天音:しーちゃん、どう?肝心のお味の方は? : 椎名:さいっこう…!! : 悠人:こんな美味いチョコレート初めて食ったわ…!! : 徹:そんなに?…じゃあ僕も食べてみようかな。 : 天音:私もー! : : 0:試食用に置かれていたチョコレートの欠片をそれぞれ口に運ぶ。 : : 徹:…!何これ、うっま…! : 天音:美味しい…!!これ絶対貰った人嬉しいやつだよ…。 : 椎名:スイス産のチョコレートを使ったプラリネショコラだって。これ絶対本命用だわ…。 : 悠人:椎名、俺貰えるならこれが良い。 : 天音:アハハ…、悠ちゃんらしいね。ド直球(笑) : 椎名:分かったわよ、考えとくー。 : 徹:じゃあ、俺は天音にお願いしようかな。俺も貰えるならこれが良い。 : 天音:残念でしたー、私はそんなにお金ありませんー。 : 徹:えー、和兄には買ってもいいかなーって言ってたのに? : 天音:いや、だって…今はお兄ちゃんのおかげで何とか遅刻してないようなものだからね…。ちゃんと感謝してるってことを形にしておかないと、その内置いて行かれちゃいそうで…。 : 悠人:あー、それマジのやつだ(笑) : 徹:それは困るな…。(苦笑) : 徹:…じゃあ天音の手作りでもいいよ。それならここまで高くはならないでしょ? : 天音:えー?私調理実習以外でお菓子作ったことないんだけど…。 : 徹:ね、幼馴染のよしみでさ。 : 天音:…失敗しても知らないからね? : 徹:天音なら大丈夫。それにこういうのは何よりも気持ちが大事なんだからさ。 : 椎名:…何やかんやで手作りチョコの予約取り付けてるし。(ボソッ) : 徹:椎名、今何か言った? : 椎名:べっつにー。 : 椎名:そうだ天音!せっかくだし自分用にも何か買って帰ろうよ。 : 天音:そうだね、あまり高くないやつあるかな…? : 悠人:あっちにはカフェスペースがあるみたいだぜ。『当店自慢のチョコレートケーキを心行くまでご堪能下さい』だってさ。 : 徹:わぁ…それいいね。 : 椎名:天音、早く行こっ☆ : : 0:帰宅後、天音はご機嫌でシチューを作っている。 : : 天音:~♪~♪♪♪ : 天音:(あー、チョコレートのお店楽しかったなぁ~!ケーキも美味しかったし…結局お兄ちゃんの分だけじゃなくて自分用に良いチョコ買っちゃったし!!) : 天音:―よし、晩御飯でーきた!ご飯ももう少しで炊けそうだね! : 天音:お兄ちゃんは…まだ帰ってこないかな、大会近いもんね…。 : 天音:…。 : 天音:…1個だけ食べちゃおうかな! : : 0:天音、部屋からチョコレートの小箱を持ってきて丁寧に丁寧に包装を解いていく。 : : 天音:やっぱりすっごく綺麗…食べちゃうのもったいないなぁ…。(はむっ) : : : : : 0:30分後、和真が帰宅。 : : 和真:ただいま。 : : 0:和真が居間に入ると、ソファに座ったままボンヤリ壁の方を見ている天音の横顔が目に入る。 : : 和真:…天音?そんな所で何してんだ? : 天音:(甘えた感じで)あー!おにーちゃんだぁー!おかえりぃ~。 : 和真:…は!? : 天音:へへ…待ってたよぉ~! : : 0:天音、ソファから立ち上がると和真に抱き着いて顔をスリスリしてくる。 : : 和真:あまっ…?!って、待て待て!!部活で汗臭いから離れろ!!くっつくな!! : 天音:えー、全然臭くないよ?寧ろおにーちゃんの匂いって感じで落ち着く~。 : 和真:おまっ…何言って…!と、とにかく一旦離れ…って力強いな!!このまま離れない気か!! : 天音:んー、…それもいいかも? : 和真:いい訳あるか!ダメに決まってんだろ!!そもそも何つーことを…頭大丈夫か?! : 天音:―ふにゅう…。 : : 0:和真、急に電池が切れたように天音が脱力したため、慌てて支える。 : : 和真:お、おい…ホントにどうした…。 : 天音:なんか…あったかくて、きもちいい… : 和真:えぇ…? : : 0:和真、テーブルに目を向けると、チョコレートが収められた高そうな箱に1箇所だけ空きがあり、クシャクシャの包み紙が転がっていることに気付く。 : : 和真:―まさか。 : 和真:(パクッ)!!コレかぁ…。 : 天音:んー?何(にゃに)がぁ? : 和真:(盛大な溜息)…コレ、ウイスキーボンボンだろ、メッチャアルコール度数高いリキュール使ってるやつ。 : 天音:んぇ?そーなのー? : 和真:これ買う時に店員から何か言われなかったのか? : 天音:んーん、特に何もぉー。 : 和真:(片手で額を押さえながら)そうかよ…。 : 和真:―とりあえず、お前が酒にメチャクチャ弱いってことは分かった。…今水汲んできてやるから、離れてそこ座っとけ。 : 天音:はぁーい。 : : 0:和真、天音が離れたのを確認して台所へ水を汲みに行く。 : : 和真:…天音サン?俺座ってろって言ったはずなんデスガ? : 天音:寂しいから、やっぱついてこって、思って。 : 和真:ソオカヨ…。 : 天音:ねぇ…ギュってしてい? : 和真:…する意味は? : 天音:何かギューってしたいから。 : 和真:…お前それさ、足元覚束なくて支えが欲しいんじゃねぇのか…? : 天音:…エヘヘェ♡ : 和真:「…エヘヘェ♡」じゃねぇ!!ほら水飲め!!そんでとっとと部屋行くぞ!! : : 0:数十分後…。 : : 天音:(あれ…何だろう…あったかくて気持ちいい…。心なしか頭もボンヤリする…) : 和真:…ったく、俺がどんな思いで…。 : 天音:(…お兄ちゃん?姿が見えないけど…近くにいるの?) : 和真:これじゃあ成人しても絶対酒なんか飲ませられねぇだろ…。 : 天音:(お酒…?私まだ未成年だし、お酒なんか飲まないよ…?気が早いなぁ、お兄ちゃんは…) : 和真:あんな姿…もう誰にも見せるんじゃねぇぞ…。 : 天音:(!頭撫でてくれてるの…?ぶっきらぼうで不愛想に見えるけど本当は優しいとこ、昔から変わってないんだね。優しい手つきだぁ…) : 天音:ふへへ…。 : 和真:何だ?寝惚けてんのか…?ったく、いい気なもんだぜ…。 : 天音:(だって久々に頭撫でてもらったんだもん…。) : 和真:いい夢でも見てんのか?…ダラしねぇ顔。 : 天音:(夢…かぁ…。だからこんなにフワフワしてるし、あったかいのかな…) : 和真:こんな無防備な顔…他の奴には絶対にするなよ…天音。 : : 0:和真、天音の額にキスをする。 : : 天音:(お兄ちゃん…今キスした…?) : 天音:(これも夢…かな?夢…だよね…。) : 天音:(…おやすみ、お兄ちゃん。)

:【タイトル】 : 君の一番になりたくて 第1話 : : :【登場人物】 : 和真:峰岸和真。高校2年生、天音の兄。 和真:勉強、運動、家事、何でもござれの超人。バスケ部に所属。 和真:口調はぶっきらぼうで、不愛想に感じられるが、根は優しい。 和真:名前の読みは「ミネギシ カズマ」。 : 天音:峰岸天音。高校1年生、和真の妹。 天音:朝が非常に弱く、起こしてもらえないと起きられないほど。 天音:天然で昔からイジられやすいことを気にしている。 天音:名前の読みは「ミネギシ アマネ」。 : 椎名:雛森椎名。和真と天音の幼馴染で、天音の親友。 椎名:しっかりしている反面、周りに振り回されがちな苦労者。 椎名:悠人の彼女。 椎名:名前の読みは「ヒナモリ シイナ」。 : 悠人:木嶋悠人。和真と天音の幼馴染で、結構なお調子者。 悠人:和真をからかいすぎて、いつも怒られている。 悠人:椎名の彼氏。 悠人:名前の読みは「キジマ ユウト」。 : 徹:金津徹。和真と天音の幼馴染で、真面目な男の子。 徹:成績は学年1位。 徹:笑顔でブラックなことを言ったりする(被害者は主に悠人)。 徹:名前の読みは「カネヅ トオル」。 : : : : : :【本編】 : 0:目覚ましのアラーム音が鳴り響く。 : : 和真:おい、天音ー。起きてるかー? : 天音:…。 : 和真:朝飯出来たぞー。 : 天音:…。 : 和真:(溜息)アイツ…まーた、夜更かししやがったな。 : 和真:―しゃーねー… : : 0:和真、強めに天音の部屋の扉を2回ノックする。 : : 和真:天音?おい、天音ー! : 天音:…。 : 和真:―入るぞ。 : : 0:和真、アラームを止めて天音を揺さぶる。 : : 和真:天音、起きろ。朝だぞ。 : 天音:んにゃ…ふふへ…ZZZ… : : 0:天音、揺さぶられて寝返りを打つも、布団がベッドから落ちただけで再び熟睡する。 : : 和真:…。 : 天音:…。 : 和真:…っ、かんっぜんに爆睡してるな…。こうなったら最後の手段―。 : 和真:―そぉい! : : 0:和真、天音の脇腹をソフトにつつく。 : : 天音:はにゃあぁぁ?! : 和真:やー…っと起きたか。 : 天音:え?え?? : 天音:…ちょっとお兄ちゃん!いつもその起こし方はやめてって言ってるでしょ!! : 和真:普通に起こしても起きないんだから仕方ないだろ…。毎朝毎朝…俺がどれだけ大変な思いで起こしてると思ってんだ…。 : 天音:そんなこと言ったって、起きれないし眠いんだもん…仕方ないじゃん。 : 和真:それは夜更かしをやめりゃいいだけの話だ。 : 和真:…ともかく早く着替えて降りてこい、朝飯が冷める。 : 天音:はい…。 : : 0:天音が制服に着替えて食卓に向かうと、和真は既に食べ始めており、英単語帳を片手にトーストを齧っていた。 : : 和真:―弁当はそこな。 : 天音:うん。…お兄ちゃん、朝から勉強熱心なのは良いことだけど、食べながらやるのはお行儀悪いよ。 : 和真:それと、今日部活で遅くなりそうだから飯当番次の金曜と交換してくれ。 : 天音:…可愛い妹の指摘は無視ですか、そーですか。 : 和真:ならまずは時間通りに起きろ。 : 天音:…っ、ごめんなさい。 : 和真:…1限から小テストなんだよ、今日だけ許せ。 : 天音:…今日だけね。 : : 0:朝食を食べていると不意にチャイムが鳴る。 : : 和真:…はい。 : 椎名:あ、和君おはよう!天音起きてる? : 和真:おはよ、天音は今飯食ってる。…中で待つか? : 椎名:いいの?じゃあお言葉に甘えちゃおうかな…。 : 悠人:(椎名が言い終わる前に)お邪魔しまーす♪ : 和真:…。悠もいたのか…。 : 悠人:居たわ!バリバリ居たわ!うわ…メッチャ嫌そうな顔してるじゃんか…朝からそんな顔してたら運が逃げてくぞ☆ : 和真:お前は今後一切出禁な。 : 悠人:ちょっと、待て!俺にだけ当たり強すぎだろ!!ちょっと、何とか言って徹!!俺を助けて!! : 徹:あはは、悠残念だね。じゃあ僕たちが出てくるまで外で待ってて★ : 悠人:…え、何?何々??徹は俺を寒空の中に放置する気満々?何で?ねぇ、俺徹に何か悪いことしたっけ? : 徹:いや、特に何も?ただ、面白そうだし、いつもの光景だし、悠だからいいかなって。 : 悠人:俺の扱い!!もっと俺に優しくして?!?! : 椎名:ちょっと、悠人!朝から他人様(ひとさま)の玄関前で騒がないの!!近所迷惑になるでしょ!! : 和真:(溜息)…とりあえず上がれ。 : 悠人:お、流石和兄!根っこは優しい素敵な兄貴― : 和真:余計な事口走ったら即出禁だからな…。 : 悠人:あ…はい…。 : : 0:3人、家に上がり込む。 : : 椎名:お邪魔します。 : 徹:和君、おはよう。朝からうるさくしてごめんね。 : 和真:ああ、おはよう。まぁ、お前のせいじゃないし。基本コイツのせいだから。 : 悠人:えー…和兄、俺だけマジで扱い違くない?差別? : 和真:差別じゃねぇ、区別だ。 : 悠人:酷い!! : 椎名:天音、おはよ! : 天音:しいちゃん、おはよ!…ごめんね、もう少しで食べ終わるから…。 : 椎名:急がなくていいよー、私は悠人と徹と話しながら待ってるし。 : 天音:ありがとう…! : 徹:でも天音の朝ご飯、本当に美味しそうだよね…。いいなぁ、料理上手なお兄さんがいて。 : 天音:えー、そう? : 徹:そうだよ。ちゃんと朝ご飯食べてきたのに、天音が食べてるところ見たらお腹空いちゃった。 : 椎名:分かる!トーストもオムレツも美味しそうだし! : 天音:そうかな…じゃあ少し食べてみる? : 徹:え、いいの? : 天音:私の食べかけだからそんなに量ないけど、それでもいいなら… : 和真:―今日は茶だけで我慢しろ、他人(ひと)の食いかけ食うぐらいなら今度ちゃんと作ってやるから。 : 椎名:ホント? : 徹:やったね!ありがとう、和兄。 : 和真:…別に。大した手間でもねーし。 : 椎名:わーい!楽しみだなぁ~! : 和真:…ところで天音。手が止まっているみたいだが、俺達はいつまで待ってりゃいいんだ? : 天音:ひゃ…ひゃいぃ!ただ今!! : : 0:玄関先で4人が待っているところに天音が走ってくる。 : : 天音:みんな、待たせてごめん!! : 徹:天音、そんなに急ぐと危ないよ。 : 天音:え?わわわわっ!! : 悠人:おっとぉ! : 椎名:悠人ナイスキャッチ! : 悠人:…ほら、大丈夫か?これじゃ危なっかしくて和兄があーちゃんから目を離せないわけだな。 : 天音:悠ちゃん、ごめんね。支えてくれてありがとう。 : 椎名:まったく天音ってば、しっかりしてよー : 和真:ほら、とっとと行くぞ。 : : 0:学校に到着、昇降口で和真を見送り、徹と悠人が隣のクラスに入ると、天音と椎名も教室に入り自席に着いた。 : : 椎名:今日も何とか間に合ったねー : 天音:しいちゃん…毎度付き合わせてごめんね。 : 椎名:いーよ、いーよ。それで遅刻したことはないんだから。 : 天音:でも毎度HRギリギリで申し訳ないです…。 : 椎名:アハハ! : 椎名:…そうだ!なら放課後ちょっと付き合ってよ!行きたいお店があるの!! : 天音:あまり遅くならないならいいけど。今日お兄ちゃん部活で遅くなるらしくて夕飯当番代わったから。 : 椎名:そうなんだ?…両親共働きで、しかも2人とも海外にいるんじゃ大変だよね。 : 天音:そうでもないよ。基本家事はお兄ちゃんと分担出来てるし、何よりしいちゃん達がいるから寂しくないし! : 椎名:そっか!…とりあえず放課後の件は決まり!楽しみだなぁ~♪ : 天音:しいちゃん本当に楽しみなんだね。…何のお店なの? : 椎名:『ベルピエス』って名前のお店なんだけど、何のお店かは行ってみてからのお楽しみ!多分だけど天音も気に入ると思うよ~。 : 天音:えー!何で内緒なの?…気になる。 : 椎名:行けば分かるって~!ほら先生来たし、この話はまた後で! : 天音:…もう。 : : 0:放課後、駅前の『ベルピエス』にて。椎名は不満そうにむくれている。 : : 天音:しいちゃん、そんなに拗ねないで…。 : 椎名:無理。 : 天音:しいちゃ~ん…!! : 悠人:へーぇ!チョコレートの専門店って初めて来たわ!ホントに色んな種類のチョコレートがあるんだな! : 椎名:もうすぐバレンタインだから、天音と2人で悠人にあげるチョコレートの下見をしようと思ってたのに…何で本人が来ちゃうかなぁ?! : 天音:んー…ヨシヨシ。 : 徹:椎名、ごめんね。俺がちょっと目を離したばっかりに…。 : 悠人:まぁいーじゃん、俺が居れば好みとか分かるんだし、間違いないだろ? : 椎名:そういう問題じゃないのー!私はサプライズしたかったのに…。 : 天音:ま…まぁまぁ…。今日はあくまで下見なんだし、買う時は私と2人で買いに行こう?別にここ以外で買うかもしれないんだし。 : 椎名:天音…、うん。今日は純粋にショコラトリーを堪能することにするわ。 : 天音:でもまさか駅前にこんなお洒落なお店が出来るなんて…。どのチョコレートも美味しそうだし。 : 徹:そうだね。手作りだからなのか1個1個の値段は高いけど、どれも繊細で綺麗だ…。 : 椎名:お、流石は徹ね。このお店の名前になってる『ベルピエス』ってフランス語で『美しい作品』って意味なんだって!お店のショコラティエが1個1個丁寧に作り上げたチョコレートだからこの名前にしたみたいだよ。 : 徹:なるほど…特別な人への贈り物にはぴったりだね。 : 天音:ホント!すっごく素敵! : 悠人:おーい、椎名!こっちで幾つか試食できるみたいだぞ。せっかくだし食べてみようぜ! : 椎名:(諦めたようにクスッと笑って)…そうね、今行く―。 : : 0:椎名、悠人の元へ歩いていく。 : : 徹:椎名は本当に悠のことが好きなんだね。 : 天音:そうだね…。 : 徹:天音もここでチョコ買うの? : 天音:んーどうしようかなぁ…。見た目も素敵だし、ちょっと奮発して買っちゃうのもありかも。 : 徹:…特別な人に? : 天音:え? : 天音:…やだなぁ、そんな人いないよ~。いつも何だかんだ朝起こしてくれてるし、たまには感謝の気持ちを込めてお兄ちゃんに買ってあげてもいいかなーって思っただけ。 : 徹:…そっか。 : 徹:―ならこのお店で一番高いチョコレートを買っても足りないんじゃない?(笑) : 天音:あ、酷い!そういうこと言うんだ? : 徹:ハハハ…ごめんごめん、冗談だよ。俺達も行こっか? : : 0:天音と徹が試食コーナーに行くと、2人は幸せそうな顔でチョコレートを味わっている。 : : 天音:しーちゃん、どう?肝心のお味の方は? : 椎名:さいっこう…!! : 悠人:こんな美味いチョコレート初めて食ったわ…!! : 徹:そんなに?…じゃあ僕も食べてみようかな。 : 天音:私もー! : : 0:試食用に置かれていたチョコレートの欠片をそれぞれ口に運ぶ。 : : 徹:…!何これ、うっま…! : 天音:美味しい…!!これ絶対貰った人嬉しいやつだよ…。 : 椎名:スイス産のチョコレートを使ったプラリネショコラだって。これ絶対本命用だわ…。 : 悠人:椎名、俺貰えるならこれが良い。 : 天音:アハハ…、悠ちゃんらしいね。ド直球(笑) : 椎名:分かったわよ、考えとくー。 : 徹:じゃあ、俺は天音にお願いしようかな。俺も貰えるならこれが良い。 : 天音:残念でしたー、私はそんなにお金ありませんー。 : 徹:えー、和兄には買ってもいいかなーって言ってたのに? : 天音:いや、だって…今はお兄ちゃんのおかげで何とか遅刻してないようなものだからね…。ちゃんと感謝してるってことを形にしておかないと、その内置いて行かれちゃいそうで…。 : 悠人:あー、それマジのやつだ(笑) : 徹:それは困るな…。(苦笑) : 徹:…じゃあ天音の手作りでもいいよ。それならここまで高くはならないでしょ? : 天音:えー?私調理実習以外でお菓子作ったことないんだけど…。 : 徹:ね、幼馴染のよしみでさ。 : 天音:…失敗しても知らないからね? : 徹:天音なら大丈夫。それにこういうのは何よりも気持ちが大事なんだからさ。 : 椎名:…何やかんやで手作りチョコの予約取り付けてるし。(ボソッ) : 徹:椎名、今何か言った? : 椎名:べっつにー。 : 椎名:そうだ天音!せっかくだし自分用にも何か買って帰ろうよ。 : 天音:そうだね、あまり高くないやつあるかな…? : 悠人:あっちにはカフェスペースがあるみたいだぜ。『当店自慢のチョコレートケーキを心行くまでご堪能下さい』だってさ。 : 徹:わぁ…それいいね。 : 椎名:天音、早く行こっ☆ : : 0:帰宅後、天音はご機嫌でシチューを作っている。 : : 天音:~♪~♪♪♪ : 天音:(あー、チョコレートのお店楽しかったなぁ~!ケーキも美味しかったし…結局お兄ちゃんの分だけじゃなくて自分用に良いチョコ買っちゃったし!!) : 天音:―よし、晩御飯でーきた!ご飯ももう少しで炊けそうだね! : 天音:お兄ちゃんは…まだ帰ってこないかな、大会近いもんね…。 : 天音:…。 : 天音:…1個だけ食べちゃおうかな! : : 0:天音、部屋からチョコレートの小箱を持ってきて丁寧に丁寧に包装を解いていく。 : : 天音:やっぱりすっごく綺麗…食べちゃうのもったいないなぁ…。(はむっ) : : : : : 0:30分後、和真が帰宅。 : : 和真:ただいま。 : : 0:和真が居間に入ると、ソファに座ったままボンヤリ壁の方を見ている天音の横顔が目に入る。 : : 和真:…天音?そんな所で何してんだ? : 天音:(甘えた感じで)あー!おにーちゃんだぁー!おかえりぃ~。 : 和真:…は!? : 天音:へへ…待ってたよぉ~! : : 0:天音、ソファから立ち上がると和真に抱き着いて顔をスリスリしてくる。 : : 和真:あまっ…?!って、待て待て!!部活で汗臭いから離れろ!!くっつくな!! : 天音:えー、全然臭くないよ?寧ろおにーちゃんの匂いって感じで落ち着く~。 : 和真:おまっ…何言って…!と、とにかく一旦離れ…って力強いな!!このまま離れない気か!! : 天音:んー、…それもいいかも? : 和真:いい訳あるか!ダメに決まってんだろ!!そもそも何つーことを…頭大丈夫か?! : 天音:―ふにゅう…。 : : 0:和真、急に電池が切れたように天音が脱力したため、慌てて支える。 : : 和真:お、おい…ホントにどうした…。 : 天音:なんか…あったかくて、きもちいい… : 和真:えぇ…? : : 0:和真、テーブルに目を向けると、チョコレートが収められた高そうな箱に1箇所だけ空きがあり、クシャクシャの包み紙が転がっていることに気付く。 : : 和真:―まさか。 : 和真:(パクッ)!!コレかぁ…。 : 天音:んー?何(にゃに)がぁ? : 和真:(盛大な溜息)…コレ、ウイスキーボンボンだろ、メッチャアルコール度数高いリキュール使ってるやつ。 : 天音:んぇ?そーなのー? : 和真:これ買う時に店員から何か言われなかったのか? : 天音:んーん、特に何もぉー。 : 和真:(片手で額を押さえながら)そうかよ…。 : 和真:―とりあえず、お前が酒にメチャクチャ弱いってことは分かった。…今水汲んできてやるから、離れてそこ座っとけ。 : 天音:はぁーい。 : : 0:和真、天音が離れたのを確認して台所へ水を汲みに行く。 : : 和真:…天音サン?俺座ってろって言ったはずなんデスガ? : 天音:寂しいから、やっぱついてこって、思って。 : 和真:ソオカヨ…。 : 天音:ねぇ…ギュってしてい? : 和真:…する意味は? : 天音:何かギューってしたいから。 : 和真:…お前それさ、足元覚束なくて支えが欲しいんじゃねぇのか…? : 天音:…エヘヘェ♡ : 和真:「…エヘヘェ♡」じゃねぇ!!ほら水飲め!!そんでとっとと部屋行くぞ!! : : 0:数十分後…。 : : 天音:(あれ…何だろう…あったかくて気持ちいい…。心なしか頭もボンヤリする…) : 和真:…ったく、俺がどんな思いで…。 : 天音:(…お兄ちゃん?姿が見えないけど…近くにいるの?) : 和真:これじゃあ成人しても絶対酒なんか飲ませられねぇだろ…。 : 天音:(お酒…?私まだ未成年だし、お酒なんか飲まないよ…?気が早いなぁ、お兄ちゃんは…) : 和真:あんな姿…もう誰にも見せるんじゃねぇぞ…。 : 天音:(!頭撫でてくれてるの…?ぶっきらぼうで不愛想に見えるけど本当は優しいとこ、昔から変わってないんだね。優しい手つきだぁ…) : 天音:ふへへ…。 : 和真:何だ?寝惚けてんのか…?ったく、いい気なもんだぜ…。 : 天音:(だって久々に頭撫でてもらったんだもん…。) : 和真:いい夢でも見てんのか?…ダラしねぇ顔。 : 天音:(夢…かぁ…。だからこんなにフワフワしてるし、あったかいのかな…) : 和真:こんな無防備な顔…他の奴には絶対にするなよ…天音。 : : 0:和真、天音の額にキスをする。 : : 天音:(お兄ちゃん…今キスした…?) : 天音:(これも夢…かな?夢…だよね…。) : 天音:(…おやすみ、お兄ちゃん。)