台本概要

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タイトル 闇に染まりしこの街で
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 50 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
この世界は悪こそが全て。そんな世界に迷い込んだ一人の少女は仲間と共に自らの正義を賭けて戦う!

【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
あいな 119 白石 あいな・・・高校2年生。人一倍正義感が強く、困っている人を見ると放っておけない性格。【あいな】と兼役。
さゆり 54 三井 さゆり・・・中学3年生。「この世界」の住人。引っ込み思案であまり自分のことを話さない。過去に何か抱えている。【さゆり】、少女、女性と兼役。
ゆうま 52 秋本 ゆうま・・・高校1年生。「この世界」の住人。大人しいが正義を愛する心を内に秘めている。過去にトラウマあり。【ゆうま】、警官と兼役。
施設長 33 善人更生施設「ヘルリボーン」の施設長。デスゲームのゲームマスターでもある。悪趣味。男と兼役。
【あいな】 27 デスゲームの対戦相手。あいなのコピー。
【さゆり】 10 デスゲームの対戦相手。さゆりのコピー。
【ゆうま】 11 デスゲームの対戦相手。ゆうまのコピー。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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タイトル:闇に染まりしこの街で : 登場人物: あいな:白石あいな・・・高校2年生。人一倍正義感が強く、困っている人を見ると放っておけない性格。【あいな】と兼役。 さゆり:三井さゆり・・・中学3年生。「この世界」の住人。引っ込み思案であまり自分のことを話さない。過去に何か抱えている。【さゆり】、少女、女性と兼役。 ゆうま:秋本ゆうま・・・高校1年生。「この世界」の住人。大人しいが正義を愛する心を内に秘めている。過去にトラウマあり。【ゆうま】、警官と兼役。 施設長:善人更生施設「ヘルリボーン」の施設長。デスゲームのゲームマスターでもある。悪趣味。男と兼役。 【あいな】:デスゲームの対戦相手。あいなのコピー。 【さゆり】:デスゲームの対戦相手。さゆりのコピー。 【ゆうま】:デスゲームの対戦相手。ゆうまのコピー。 少女:見知らぬ少女。さゆり役の方が演じてください。 女性:見知らぬ女性。さゆり役の方が演じてください。 男:チンピラ。施設長役の方が演じてください。 警官:この世界の秩序を守る警察官。ゆうま役の方が演じてください。 : :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : 本編: あいな:あー…今日も暑っついなぁ。 あいな:(M)私の名前は「白石 あいな」。部活に勉強に大忙しの今をときめく高校2年生だ。 : あいな:夏休みだってのに夏期講習かぁ…。まあでも、ちょっとずつだけど学力も上がってきてるし頑張って行くかー。さて、いつも通り神社を抜けてショートカットだ! あいな:(M)そう言うと私は神社に続く長い階段をかけ登った。 : あいな:よっ!はっ!ほっ!っと…あれ? あいな:(M)見上げると階段の先に一人のおばあさんが見えた。 : あいな:大丈夫かな?すごくふらふらして今にも落ちて来そう…って!危ない!! あいな:(M)私の悪い予感は見事に的中した。一瞬よろけたおばあさんが階段を転がり落ちて来たのだ。私は*咄嗟《とっさ》におばあさんを体で受け止めた。だが…。 : あいな:きゃあああ!! :----------------------------- : あいな:う、うーん…。あれ…確か私…落ちて来るおばあさんを受け止めて…。え!?ここは一体…? あいな:(M)どす黒い空、荒廃した街並み…目の前に広がる見たこともない光景に私は言葉を失った。 : あいな:私は…一体…。 少女:お姉ちゃん大丈夫? あいな:え?あ、ああ。大丈夫よ。ありがとう。それより、ここはどこなの? 少女:ここはねぇ…ふふふ。とっても素敵な世界だよ。 あいな:素敵な世界? 少女:そう。でも気をつけてね。ここでは優しさは罪だから。 あいな:え?どういうこと? 少女:ごめんね。これ以上は言えないの。じゃあね! あいな:ちょっと待って!…って行っちゃった。優しさが罪?どういうこと? あいな:(M)少女の言葉に困惑しつつ、とぼとぼと街を歩く。私はこれから一体どうすればいいのだろう…。不安ばかりが頭をよぎる。すると…。 女性:だ、誰か!助けて! あいな:(M)声のする方に行ってみると、男に暴行を受けている一人の女性の姿があった。 男:おらぁ!とっとと金出せって言ってんだろーが! 女性:い、いや!やめて! あいな:やめなさい! 男:あん?なんだテメーは?やんのか? あいな:良いわよ。相手してあげるからかかってきなさい! 男:へへへ…いいぜ!せいぜい楽しませてくれよな!おらぁ! あいな:〈男の拳をかわし〉 あいな:はっ!!〈みぞおちに一発〉 男:ぐふっ!! あいな:そりゃ!!〈顔面に一発〉 男:ぐぁっ!! あいな:おりゃー!!〈頭部に強烈な回し蹴り〉 男:がはっ!!〈失神する〉 あいな:ふぅ…大したことないわね。大丈夫ですか? 女性:あ、ありがとうございます!なんとお礼を言ったらいいか。 あいな:いいんですよ。たまたま通り掛かっただけですから。 女性:でも…私…。 あいな:ん?どうかなさいましたか? 女性:い、いえ…それよりあなたもここから早く立ち去った方が良いですよ。捕まる前に。 あいな:え?捕まる? 女性:そ、それじゃあ私はこれで。本当にありがとうございました! あいな:あ!ちょっと!…もう、さっきから何なのよ。 警察:犯罪者1名発見! あいな:あ、ちょうど良いところに!おまわりさーん!この男を捕まえてください! 警察:何を言う。犯罪者はお前だ! あいな:え? 警察:19時30分。男性の暴力行為を阻止した罪でお前を逮捕する! あいな:ちょ!ちょっと待ってください!私は襲われている女性を助けただけで…。 警察:だからそれが罪だと言っているんだ! あいな:意味分かんない!なんで私が捕まらなきゃいけないのよ! 警察:事情は施設でたっぷり聞いてやる。連行する! あいな:いや!離して!離せー!! :----------------------------- : 施設長:ふふふ…ようこそ!我が施設へ!俺は君たちを大いに歓迎するよ! さゆり:…なんだか怖い。お家に帰して! ゆうま:は、離してください!僕が何したって言うんですか! あいな:ちょっと!いい加減手錠を外しなさいよ!私は何も悪いことなんてしてないじゃない! 施設長:おうおう、今回はずいぶんと活きのいいヤツらばかりだな。こいつは楽しめそうだ。ペロリ〈舌なめずり〉 施設長:おい!そこの威勢のいい女! あいな:は?もしかして私のことかしら? 施設長:おう。お前だよ。 あいな:何よ!私はあんたなんかに用なんてないわよ! 施設長:残念だがこっちは大ありでね。そもそもお前、ここがどこだか分かってんのか? あいな:知らないわよ!でも、少なくとも私がいるべき所じゃないってことだけは分かるわ! 施設長:いいねぇ!その正義に満ちた反抗的な眼差し、ゾクゾクするぜ!いいだろう。分かんねえみてぇだから教えてやるよ。この施設はな、通称「ヘルリボーン」って言ってな、お前らみてぇな甘ちゃんをまっとうな人間にするための更生施設なのさ。 あいな:ふん!これのどこがまっとうなのよ!いいからとっとと解放しなさい! 施設長:そいつぁできねぇ相談だなぁ あいな:なんですって! 施設長:良い機会だから教えておいてやる。この世界はなぁ、悪こそが正義。善人なんてのはな、世界を堕落させる諸悪の根源なんだよ。世界は悪で満たされてこそ人類は繁栄するってもんだ。だから、お前らみたいな腐った心を持った奴らを根底から叩き直す場所…それがここってわけだ。 あいな:おかしい…そんなの間違ってるわ! ゆうま:そうですよ!正しいことをして裁かれるなんて絶対変です! さゆり:わたし…悪いことキライ。 施設長:ふふふ…いいぜ。せいぜい吠えてな。ここを出る頃にはどうなっているか見物だがな。あ、そうそう…お前らに一つ良いことを教えてやろう。これからお前らには俺の用意したデスゲームに参加してもらう。それにもし勝つことが出来たら…お前らをここから解放し、特例として今後全ての善行に対して一切罪に問わないことを約束しよう。 あいな:ほ、本当でしょうね? 施設長:ああ、本当だとも。これはこの世界の法律でもちゃんと決まっていることだからな。ただし、勝てなかった時は…ふふふ。 ゆうま:勝てなかったらどうなるんですか? 施設長:それはその時までのお楽しみだ。 あいな:くっ…。 さゆり:わたし、頑張る! ゆうま:え? さゆり:だって、これに勝ったら悪いことしなくて済むんでしょ?だったらわたし絶対負けない! あいな:そうね。その通りだわ。ありがとう。あなた、お名前は? さゆり:三井 さゆり。 あいな:さゆりちゃんね。私は白石 あいな。よろしくね! さゆり:よろしく。 あいな:あなたは? ゆうま:ぼ、僕は秋本 ゆうまです!よろしくお願いします! あいな:ゆうま君。こちらこそよろしく!みんなで一緒に勝ち抜いてこんな所とっとと出ましょう! さゆり:うん!頑張ろうね! ゆうま:はい! 施設長:おい、もう自己紹介は済んだか?犯罪者同士の熱い友情…全く、*反吐《へど》が出るぜ。 あいな:いいから早くそのデスゲームとやらの説明を聞かせなさいよ! 施設長:まあそう焦るなって。時間はたっぷりあるんだからよ。じゃあ説明を始めるぜ。お前らは3人チームとしてゲームに参加してもらう。ルールは簡単。お前らにはそれぞれ3点ずつの持ち点を与える。そのうえで俺が用意したチームとドッジボールをしてもらい、先に相手チームの持ち点を0点にした方が勝ちだ。 ゆうま:でも…それだと相手がめちゃくちゃ強かったら僕らに勝ち目なんてないじゃないか! あいな:ゆうま君の言う通りだわ。 さゆり:わたし…ドッジボール苦手。 施設長:まあ安心しろって。俺だってこのゲームを心から楽しみたいんだ。だからそんなつまんねーことはしねーよ。 あいな:相手は一体誰なのよ。 施設長:ふふふ…それじゃあ紹介するぜ。お前らが対戦するのはコイツらだ! あいな:…なっ!あれはもしかして…私? さゆり:ああ!…わたしもいる! ゆうま:ぼ、僕もいます! 施設長:その通り!コイツらはお前らのコピーそのもの。だから能力や力量に差なんてない。な?これで文句ないだろ? あいな:た、確かにそれならフェアだわ。 施設長:まあ、差があるとすれば…コイツらに良心なんてものはかけらもない。純粋な悪の心を持つ存在ってことくらいか。 あいな:なっ! さゆり:え!? ゆうま:それって…どういうこと? 施設長:まあなんだ。俺から一つアドバイスがあるとすれば…自分相手だからって油断してると負けるぜ。 あいな:くっ…。 ゆうま:と、とにかく頑張りましょう! さゆり:う、うん。 施設長:じゃあ次にルールについて説明する。今回は3対3のチーム戦ということで、外野はなし。四方を壁で囲まれた特設コートで試合をしてもらう。体の一部にボールが当たり、地面に落ちた時点でそいつの持ち点から1点減点される。ただし、仮にボールに当たっても減点されるだけでそのまま試合続行となる。また、壁に当てて跳ね返ったボールに当たった場合は無効だ。あくまで直接ノーバウンドで当たった場合のみ有効とする。前にも言ったが先に相手チームの持ち点を0点にした方が勝ちとなる。説明は以上だ。何か質問はあるか? あいな:いえ。特にないわ。 さゆり:わたしもないです。 ゆうま:僕も大丈夫です。 施設長:それじゃあ俺からのスペシャルサービスだ!先行はお前らからでいいぜ。ほら、誰でも良いからボールを受け取りな。 ゆうま:あの、あいなさん、お任せしてもいいですか? さゆり:わたしも賛成。あいな、いい? あいな:分かった。任せて!〈ボールを受け取る〉 施設長:それじゃあ、デスゲームドッジボール始め!! :【 】が付いた名前は相手チームです。 : あいな:(相手チームが私たちのコピーなら、まず狙うのは!)おりゃー!! 【さゆり】:あっ!〈肩に当たって地面に落ちる〉 あいな:よし!まずは1点! ゆうま:さすがです!あいなさん! さゆり:なんかすごく複雑な気分…。 あいな:あはは…なんかごめんね…。 さゆり:いいの。それより来るわよ! 【ゆうま】:ふん! あいな:なんの!〈キャッチする〉お返しよ! 【ゆうま】:ぐぁ!!〈足に当たって地面に落ちる〉 あいな:よっしゃ!これで2点! ゆうま:確かに…やられたのが自分だと素直に喜べませんね…。 さゆり:分かる。 あいな:もう~だからごめんて。 ゆうま:あ、すみません。そんなつもりじゃ。 あいな:分かってるわよ。集中しましょう! ゆうま:はい! さゆり:今度は向こうも【あいな】で来るみたい!気をつけて! 【あいな】:どりゃあ! ゆうま:(え!?壁に当てた?)ぐぁぁ!!〈跳ね返ったボールが顔面に当たる〉 あいな:ちょっと!ゆうま君大丈夫?…ねぇ、今のは無効でしょ? 施設長:ああ、もちろん無効だ。 さゆり:ゆうま、大丈夫? ゆうま:ぐっ…だ、大丈夫です。これくらい。 あいな:まさか…こちらの動きを封じるためにわざと狙って…。 施設長:さぁ、休んでないで試合を続けるんだ。 さゆり:くっ…。 あいな:許さない…。はぁぁ!! 【さゆり】:〈キャッチする〉よっと。ふふふ…。 あいな:なっ!あれをキャッチするなんて…。 【さゆり】:行くわよ!それっ! あいな:さゆりちゃん!危ない!!ぐっ!〈キャッチする〉 さゆり:あ、ありがとう…。 あいな:はぁ…はぁ。これで、どうだぁ!! 【ゆうま】:なっ!!〈腕に当たって地面に落ちる〉 あいな:これで…3点。 ゆうま:あいなさん。息が上がっています。無理しないでください。 あいな:でも…。 さゆり:あいながやられたら勝ち目がないんだから。少し下がってて。 あいな:分かったわ。ありがとう。 【ゆうま】:食らえ! さゆり:(また壁を狙って!?)きゃあああ!!〈跳ね返ったボールが胸を直撃する〉 あいな:さゆりちゃん!!…ちょっと!これって卑怯じゃないの!? 施設長:ふふふ…だから言ったじゃないか。油断するなと。 あいな:くっ!もうあったまきた!!うぉりゃ!! 【あいな】:よっと。〈余裕でキャッチする〉 【あいな】:ふふふ…ダメじゃない。ボールはこうやって投げるのよ!! さゆり:きゃあ!! さゆり:〈腕に当たってゆうまの方へ〉 ゆうま:なっ!! ゆうま:〈足に当たって地面に落ちる〉 【あいな】:はい、2点マイナスね。 さゆり:う、うう…。 ゆうま:はぁ…はぁ…。 あいな:二人とも大丈夫!? さゆり:大丈夫…。 ゆうま:まだ…いけます。 あいな:(やばい…このままだと体力ばかり削られて勝ち目がない。どうしたら…。) さゆり:ねぇ、あいな。今度はわたしに投げさせて。 あいな:え…でも。 さゆり:コピーに出来ることが、オリジナルのわたしに出来ないはずはないから。お願い。 あいな:…分かった。 さゆり:ありがとう。(闇雲に投げたんじゃすぐに取られちゃう。狙うは膝より下!)えいっ!! 【さゆり】:きゃあ!!〈膝に当たって地面に落ちる〉 さゆり:やった!!あと1点! あいな:さゆりちゃんすごい!! ゆうま:ほんとすごいです!びっくりしました! 【あいな】:やるわね。じゃあこういうのはどうかしら! さゆり:あっ!! さゆり:〈腕に当たってあいなの方へ〉 あいな:きゃ!! あいな:〈腕に当たってゆうまの方へ〉 ゆうま:えっ!! ゆうま:〈足に当たって地面に落ちる〉 施設長:おお!!これは!!一気に3点マイナスとはな! さゆり:うそ…。わたしあと1点しかない…。 ゆうま:さゆりさん、しっかりしてください!まだ勝負は終わっていません! あいな:そうよ!これからが本番なんだから! さゆり:でも…。 あいな:行くわよ!おりゃ!! 【さゆり】:おっと危ない。〈ボールをかわす〉 あいな:くそ…かわされたか。 【ゆうま】:さゆり、トドメを。 【さゆり】:分かったわ。これで…終わりよ!! ゆうま:ぐっ!〈ボールをキャッチする〉 あいな:ゆうま君!ナイスキャッチ! さゆり:ゆうま…ありがとう…。 ゆうま:うぉりゃぁぁ!! 【あいな】:なっ!!〈膝に当たって地面に落ちる〉 ゆうま:やった!! さゆり:すごい…【あいな】から1点取るなんて。 あいな:ゆうま君すごい!! ゆうま:何とか1点取りましたよ! 【あいな】:なーんてね。ふふふ…。そこ! さゆり:あっ…。〈足に当たって地面に落ちる〉 あいな:さゆりちゃん!! ゆうま:さゆりさん!! さゆり:わ、わたし…。 施設長:おっと!ついに持ち点が0点になったな。ってことで、お待ちかねのお楽しみタイムだ!フリーズ!! あいな:(なっ!体が動かない…。) ゆうま:(くっ…何がどうなって…。) さゆり:(なんで!なんで体が動かないの!) 施設長:【さゆり】、よろしく頼むぜ。 【さゆり】:はい。お任せください。 さゆり:(やだ…来ないで!) : :-------------------(回想シーン) さゆり:(M)わたしはこの世界でずっと一人ぼっちだった。「この世界は悪が全て。悪いことを平気でできる人が認められて出世する世の中。だからお前も悪になれ!」幼い頃からそうやってずっと教育を受けてきた。頭では分かっていた。でも…どうしてもわたしにはその考えが正しいとは思えなかった。「どうして良いことをしちゃいけないの?目の前で困っている人がいるのにどうして手を差し伸べちゃいけないの?」そんな疑問を持ちながら今までずっと生きてきた。だからわたしは誰にも理解してもらえなかった。本当はとっても寂しかった…。 : 【さゆり】:あら、そんなに怯えなくていいのよ。そう…今まで一人ぼっちで寂しかったのね。可哀想に。わたしがあなたの心を救ってあげるわ。 さゆり:え…。わたしの気持ち、分かってくれるの? 【さゆり】:ええ。もちろんよ。だからおいで。わたしが抱きしめてあげる。 さゆり:うん…。(はぁぁ…わたしの中に黒い何かが入ってくる!ああ!!だんだん心が真っ黒に染まっていくの!!あああああ!!!) さゆり:ふふふ…闇に染まるってとっても気持ち良いわぁ♡ 最高の気分よ! 施設長:ふははは!これでさゆりの更生は完了したな。さて、ゲーム続行といくか!リリース!! あいな:(か、体が動く…。)さゆりちゃん! さゆり:なぁに?あいな。 あいな:大丈夫…なの? さゆり:ふふふ…わたしは大丈夫よぉ♡ 早くゲームの続き、やりましょう。 ゆうま:あいなさん!気をつけてください。何かおかしいです!相手チームのさゆりさんの姿が見えません。 さゆり:あら、ゆうま。おかしくなんかないわよ。わたしならちゃんとここにいるんだから。 あいな:ここにいるって…ねぇ!さゆりちゃんをどこにやったの!? さゆり:だから、さゆりは更生したの。ここにいるのは新しく生まれ変わったわたしよ♡ あいな:なっ!! ゆうま:そんな…。 さゆり:さぁ、分かったらゲームを再開しましょう。 あいな:くっ…とりあえず今はゲームに集中しないと。おりゃ!! 【ゆうま】:おっと!〈ボールをかわす〉 【ゆうま】:ボールに迷いが出てますよ。あいなさん! あいな:ぐっ!!〈キャッチする〉 あいな:行けぇ!! 【あいな】:よっ!!〈ボールをかわす〉 【あいな】:ふふふ…。 ゆうま:な、何がおかしいんですか! 【あいな】:いい加減、気付いたらどうなの?今の状況、かなりヤバいわよ。 ゆうま:ヤバいって…なっ!羽交い絞め! ゆうま:〈さゆりに後ろから羽交い締めにされる〉 ゆうま:さ、さゆりさん!何の真似ですか!離してください! さゆり:うふふふ…イヤよ。さぁ【あいな】、やっちゃって! あいな:さゆりちゃん!あなた何やってるのよ!ゆうま君から離れなさい! さゆり:あらぁ?良いのかしら?わたしに近づけば格好の的になるわよ。 あいな:くっ! 【あいな】:じゃあ、行くわよ!ふん!! あいな:ぐっ!!〈キャッチする〉 ゆうま:あいなさん!! 【あいな】:あら?よく取ったわね。それにしても、動けないゆうま君を身を*挺《てい》して*庇《かば》うとは…泣けるわねぇ。 あいな:う、うう…。絶対に負けないんだから!はぁぁ!!…がっ!〈さゆりに足を捕まれ転倒する〉 さゆり:うふふふ…させないよ。 あいな:さ、さゆりちゃん…。 ゆうま:あいなさん!! ゆうま:(まずい…同じコートの中に敵がいるということは、攻撃も防御も邪魔されるということ。一体どうすれば…。) ゆうま:あいなさん!僕にボールを回して! あいな:分かったわ!それっ! ゆうま:〈あいなからのパスを受け取る〉 ゆうま:よし!(さゆりさんが倒れている今なら僕はフリーだ!)うおおおお!! 【あいな】:きゃあ!!〈足に当たって地面に落ちる〉 ゆうま:や、やった…。 あいな:ゆうま君やるじゃん!見直したよ! ゆうま:あ、ありがとうございます。 さゆり:ちっ!なかなかやるじゃない。でもね! あいな:ちょ、ちょっと!さゆりちゃん私から離れて! 【あいな】:うふふふ!覚悟はいいかしら?おりゃ!! ゆうま:あいなさん!ぐぁ!!〈つかみ切れず地面に落ちる〉 あいな:ゆうま君!! 【あいな】:ふふふ…馬鹿ねぇ。自分から当たりに来るなんて。 ゆうま:あぁ…ごめんなさい。あいなさん。僕は…もう…。 施設長:がははは!!またまた0点になった者が出たな!そんじゃお楽しみタイム第二弾といくか!フリーズ! あいな:(ぐっ…まただ。体が動かない…。) ゆうま:(あ、あぁ…) 施設長:それじゃあ【ゆうま】、次はお前の番だ。 【ゆうま】:承知しました。 ゆうま:(や、やめろ…やめてくれ!) : :-------------------(回想シーン) ゆうま:(M)今でも鮮明に覚えていることがある。僕の両親は二人とも平和主義で、常日頃から悪を軸としたこの世界の考え方は間違っていると僕に教えてくれた。だから僕もいつかは偉くなって、人と人とが助け合う素敵な世界を作るんだって、いつも両親に語っていたんだ。両親は僕の夢をいつもニコニコしながら聞いてくれた。僕にとって、二人は世界一大好きで誰よりも尊敬できる存在だった。でもあの日、突如として家に押し入った強盗によって二人は僕の目の前で殺されたんだ。僕は恐怖で震えながらじっと身を潜めていることしか出来なかった。こんな世の中だ。強盗の行為は罪に問われるどころか、悪の鏡として新聞の一面を飾った。僕は…自分が許せなかった…。僕にもっと力があれば、あの時二人を助けることができたのに…。力…力が欲しい…! : 【ゆうま】:ゆうま、辛かったね。君がそんなにも力を欲しているのなら、僕が協力してあげよっか? ゆうま:え…?僕に力をくれるの? 【ゆうま】:ああそうだよ。僕なら君の望みを叶えてあげられる。壊したいんだろ?全てを。ぶっ潰したいんだろ? ゆうま:うん…! 【ゆうま】:分かった。じゃあ僕を受け入れるんだ。深呼吸して僕をめいっぱい吸い込んで…。 ゆうま:すぅ…。(あぁ…彼が僕の中にどんどん入ってくる!!それと同時に、力が…真っ黒な力が全身にみなぎってくる!!ふふふ…あははは!!すごい!すごいぞ!もう何の恐れも感じない!) ゆうま:ふはははは!俺はこの力と共に世界の王として君臨してやるんだ! 施設長:ほぅ…これは実に見事に生まれ変わったな!上出来だ!!さてと、残るは一人だけだな。続きといこうか。リリース! あいな:(はっ!体の自由が効くようになったわ!)ゆうま君!無事なの? ゆうま:おい、誰に向かって口をきいてるんだ? あいな:なっ!まさか…!ゆうま君まで! ゆうま:ふふふ…俺は生まれ変わったんだ!この世の悪を統べる存在としてな!さて、ゲームの続きといこうじゃないか。 あいな:そんな…。 さゆり:あいなぁ♡どぉしたのぉ?もしかして、もう諦めちゃったのかなぁ?うふふ…。 あいな:誰が…誰が諦めるんもんですか!〈全力でさゆりを振りほどき立ち上がる〉 さゆり:なんて力!?きゃあ! あいな:せいや!!〈さゆりのみぞおちに一発〉 さゆり:ぐはっ!!な、なんだと…。〈さゆり気絶する〉 あいな:今度はこっちよ!そりゃ!!〈ゆうまの頭部に回し蹴りを食らわす〉 ゆうま:がはっ!!ばか…な。〈ゆうま気絶する〉 あいな:はぁ…はぁ。これでようやく1対1ね! 【あいな】:ふふふ。*咄嗟《とっさ》に二人を気絶させて動きを封じるとは…さすが私ね。いいわ。勝負しましょう! あいな:望むところよ!はぁぁ!! 【あいな】:ぐっ!!(さっきよりも格段にボールが重い!)〈キャッチする〉 【あいな】:これならどう!! あいな:なんの!!〈キャッチする〉 あいな:うぉぉりゃ!! 【あいな】:うぐっ!こんなもの!〈キャッチする〉 【あいな】:じゃあ!これで仕留める!〈あえてゆっくり投げる〉 あいな:えっ…?ヤバい!ボールが遅い…。あぁ!〈スピードの変化について行けず、つかみ損ねて地面に落とす〉 【あいな】:はぁ…はぁ。これでお互い持ち点は1点ずつね! あいな:はぁ…はぁ。そうね、最後の勝負よ! 施設長:おおお!まさかあの小娘がここまで粘るとは!いやはや!愉快愉快!これだからやめられない! あいな:行くわよ!はぁぁ!!…えっ!足が!きゃあ!〈足がもつれて転倒し、ボールが相手コートに転がる〉 【あいな】:ふふふ…残念ね。あれだけ動いたんだもの。いくら体力に自信があるとは言え、体は限界を迎えていたようね。これで終わりよ! あいな:ぐぁ!!〈背中に当たり地面に転がる〉 【あいな】:勝負あったわ。 あいな:あぁ…私…負けちゃったんだ。こんなに頑張ったのに…!!あとちょっとだったのに!!なんで!なんでなの!うあああ!!悔しいよぉ!!〈号泣する〉 施設長:〈拍手〉実に良き戦いであった!!両者ともよく健闘したな!俺は今とても感動しているぞ!!だから特別にフリーズは使わないでおいてやろう。さぁ【あいな】、彼女を生まれ変わらせてやってくれ。 【あいな】:仰せのままに。さぁ、起き上がって。 あいな:うぅ…ぐすん…私、どうなっちゃうの? 【あいな】:大丈夫よ。何も怖くない…私に全てを委ねなさい。 あいな:いや…私、悪になんて染まりたくない! 【あいな】:それは違うわ。 あいな:えっ? 【あいな】:あなたは私で、私はあなた。染まるんじゃなくて溶け合うの。 あいな:溶け…合う…? 【あいな】:そう…。混ざりあって進化するの。 あいな:進化…。 【あいな】:そうよ。そうしたら今よりずっと素敵なあなたになれるわ。 あいな:素敵な…私に?…なりたい。私、もっと素敵になりたいよぉ! 【あいな】:分かったわ。じゃあ目をつむって私の胸に手を当てて。 あいな:うん…。(ふぁぁ…手の平から直接私が流れ込んでくる!!あぁ!!私の中で溶け合って…真っ黒な何かに変化していく!) あいな:ふふふ…ははは…あはははは!!素敵…とっても素敵だわ!!心のタガが全て外れていくのが分かる!!もう今の私を縛るものはなーんにもないの!!なんて素晴らしいの!!あはははは!!! : :-------------------数年後 あいな:ようこそ!更生施設「ヘルリボーン」へ!私がここの施設長のあいな様よ!善人の心を持った貴様らを私の更生プログラムで極上の悪人に生まれ変わらせてあげるわ!この世界は悪こそが全て!さぁ、この私に華麗な悪へと変貌する*様《さま》を見せてちょうだい!!ふふふ…あははは!! : :~完~

タイトル:闇に染まりしこの街で : 登場人物: あいな:白石あいな・・・高校2年生。人一倍正義感が強く、困っている人を見ると放っておけない性格。【あいな】と兼役。 さゆり:三井さゆり・・・中学3年生。「この世界」の住人。引っ込み思案であまり自分のことを話さない。過去に何か抱えている。【さゆり】、少女、女性と兼役。 ゆうま:秋本ゆうま・・・高校1年生。「この世界」の住人。大人しいが正義を愛する心を内に秘めている。過去にトラウマあり。【ゆうま】、警官と兼役。 施設長:善人更生施設「ヘルリボーン」の施設長。デスゲームのゲームマスターでもある。悪趣味。男と兼役。 【あいな】:デスゲームの対戦相手。あいなのコピー。 【さゆり】:デスゲームの対戦相手。さゆりのコピー。 【ゆうま】:デスゲームの対戦相手。ゆうまのコピー。 少女:見知らぬ少女。さゆり役の方が演じてください。 女性:見知らぬ女性。さゆり役の方が演じてください。 男:チンピラ。施設長役の方が演じてください。 警官:この世界の秩序を守る警察官。ゆうま役の方が演じてください。 : :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声です。 : 本編: あいな:あー…今日も暑っついなぁ。 あいな:(M)私の名前は「白石 あいな」。部活に勉強に大忙しの今をときめく高校2年生だ。 : あいな:夏休みだってのに夏期講習かぁ…。まあでも、ちょっとずつだけど学力も上がってきてるし頑張って行くかー。さて、いつも通り神社を抜けてショートカットだ! あいな:(M)そう言うと私は神社に続く長い階段をかけ登った。 : あいな:よっ!はっ!ほっ!っと…あれ? あいな:(M)見上げると階段の先に一人のおばあさんが見えた。 : あいな:大丈夫かな?すごくふらふらして今にも落ちて来そう…って!危ない!! あいな:(M)私の悪い予感は見事に的中した。一瞬よろけたおばあさんが階段を転がり落ちて来たのだ。私は*咄嗟《とっさ》におばあさんを体で受け止めた。だが…。 : あいな:きゃあああ!! :----------------------------- : あいな:う、うーん…。あれ…確か私…落ちて来るおばあさんを受け止めて…。え!?ここは一体…? あいな:(M)どす黒い空、荒廃した街並み…目の前に広がる見たこともない光景に私は言葉を失った。 : あいな:私は…一体…。 少女:お姉ちゃん大丈夫? あいな:え?あ、ああ。大丈夫よ。ありがとう。それより、ここはどこなの? 少女:ここはねぇ…ふふふ。とっても素敵な世界だよ。 あいな:素敵な世界? 少女:そう。でも気をつけてね。ここでは優しさは罪だから。 あいな:え?どういうこと? 少女:ごめんね。これ以上は言えないの。じゃあね! あいな:ちょっと待って!…って行っちゃった。優しさが罪?どういうこと? あいな:(M)少女の言葉に困惑しつつ、とぼとぼと街を歩く。私はこれから一体どうすればいいのだろう…。不安ばかりが頭をよぎる。すると…。 女性:だ、誰か!助けて! あいな:(M)声のする方に行ってみると、男に暴行を受けている一人の女性の姿があった。 男:おらぁ!とっとと金出せって言ってんだろーが! 女性:い、いや!やめて! あいな:やめなさい! 男:あん?なんだテメーは?やんのか? あいな:良いわよ。相手してあげるからかかってきなさい! 男:へへへ…いいぜ!せいぜい楽しませてくれよな!おらぁ! あいな:〈男の拳をかわし〉 あいな:はっ!!〈みぞおちに一発〉 男:ぐふっ!! あいな:そりゃ!!〈顔面に一発〉 男:ぐぁっ!! あいな:おりゃー!!〈頭部に強烈な回し蹴り〉 男:がはっ!!〈失神する〉 あいな:ふぅ…大したことないわね。大丈夫ですか? 女性:あ、ありがとうございます!なんとお礼を言ったらいいか。 あいな:いいんですよ。たまたま通り掛かっただけですから。 女性:でも…私…。 あいな:ん?どうかなさいましたか? 女性:い、いえ…それよりあなたもここから早く立ち去った方が良いですよ。捕まる前に。 あいな:え?捕まる? 女性:そ、それじゃあ私はこれで。本当にありがとうございました! あいな:あ!ちょっと!…もう、さっきから何なのよ。 警察:犯罪者1名発見! あいな:あ、ちょうど良いところに!おまわりさーん!この男を捕まえてください! 警察:何を言う。犯罪者はお前だ! あいな:え? 警察:19時30分。男性の暴力行為を阻止した罪でお前を逮捕する! あいな:ちょ!ちょっと待ってください!私は襲われている女性を助けただけで…。 警察:だからそれが罪だと言っているんだ! あいな:意味分かんない!なんで私が捕まらなきゃいけないのよ! 警察:事情は施設でたっぷり聞いてやる。連行する! あいな:いや!離して!離せー!! :----------------------------- : 施設長:ふふふ…ようこそ!我が施設へ!俺は君たちを大いに歓迎するよ! さゆり:…なんだか怖い。お家に帰して! ゆうま:は、離してください!僕が何したって言うんですか! あいな:ちょっと!いい加減手錠を外しなさいよ!私は何も悪いことなんてしてないじゃない! 施設長:おうおう、今回はずいぶんと活きのいいヤツらばかりだな。こいつは楽しめそうだ。ペロリ〈舌なめずり〉 施設長:おい!そこの威勢のいい女! あいな:は?もしかして私のことかしら? 施設長:おう。お前だよ。 あいな:何よ!私はあんたなんかに用なんてないわよ! 施設長:残念だがこっちは大ありでね。そもそもお前、ここがどこだか分かってんのか? あいな:知らないわよ!でも、少なくとも私がいるべき所じゃないってことだけは分かるわ! 施設長:いいねぇ!その正義に満ちた反抗的な眼差し、ゾクゾクするぜ!いいだろう。分かんねえみてぇだから教えてやるよ。この施設はな、通称「ヘルリボーン」って言ってな、お前らみてぇな甘ちゃんをまっとうな人間にするための更生施設なのさ。 あいな:ふん!これのどこがまっとうなのよ!いいからとっとと解放しなさい! 施設長:そいつぁできねぇ相談だなぁ あいな:なんですって! 施設長:良い機会だから教えておいてやる。この世界はなぁ、悪こそが正義。善人なんてのはな、世界を堕落させる諸悪の根源なんだよ。世界は悪で満たされてこそ人類は繁栄するってもんだ。だから、お前らみたいな腐った心を持った奴らを根底から叩き直す場所…それがここってわけだ。 あいな:おかしい…そんなの間違ってるわ! ゆうま:そうですよ!正しいことをして裁かれるなんて絶対変です! さゆり:わたし…悪いことキライ。 施設長:ふふふ…いいぜ。せいぜい吠えてな。ここを出る頃にはどうなっているか見物だがな。あ、そうそう…お前らに一つ良いことを教えてやろう。これからお前らには俺の用意したデスゲームに参加してもらう。それにもし勝つことが出来たら…お前らをここから解放し、特例として今後全ての善行に対して一切罪に問わないことを約束しよう。 あいな:ほ、本当でしょうね? 施設長:ああ、本当だとも。これはこの世界の法律でもちゃんと決まっていることだからな。ただし、勝てなかった時は…ふふふ。 ゆうま:勝てなかったらどうなるんですか? 施設長:それはその時までのお楽しみだ。 あいな:くっ…。 さゆり:わたし、頑張る! ゆうま:え? さゆり:だって、これに勝ったら悪いことしなくて済むんでしょ?だったらわたし絶対負けない! あいな:そうね。その通りだわ。ありがとう。あなた、お名前は? さゆり:三井 さゆり。 あいな:さゆりちゃんね。私は白石 あいな。よろしくね! さゆり:よろしく。 あいな:あなたは? ゆうま:ぼ、僕は秋本 ゆうまです!よろしくお願いします! あいな:ゆうま君。こちらこそよろしく!みんなで一緒に勝ち抜いてこんな所とっとと出ましょう! さゆり:うん!頑張ろうね! ゆうま:はい! 施設長:おい、もう自己紹介は済んだか?犯罪者同士の熱い友情…全く、*反吐《へど》が出るぜ。 あいな:いいから早くそのデスゲームとやらの説明を聞かせなさいよ! 施設長:まあそう焦るなって。時間はたっぷりあるんだからよ。じゃあ説明を始めるぜ。お前らは3人チームとしてゲームに参加してもらう。ルールは簡単。お前らにはそれぞれ3点ずつの持ち点を与える。そのうえで俺が用意したチームとドッジボールをしてもらい、先に相手チームの持ち点を0点にした方が勝ちだ。 ゆうま:でも…それだと相手がめちゃくちゃ強かったら僕らに勝ち目なんてないじゃないか! あいな:ゆうま君の言う通りだわ。 さゆり:わたし…ドッジボール苦手。 施設長:まあ安心しろって。俺だってこのゲームを心から楽しみたいんだ。だからそんなつまんねーことはしねーよ。 あいな:相手は一体誰なのよ。 施設長:ふふふ…それじゃあ紹介するぜ。お前らが対戦するのはコイツらだ! あいな:…なっ!あれはもしかして…私? さゆり:ああ!…わたしもいる! ゆうま:ぼ、僕もいます! 施設長:その通り!コイツらはお前らのコピーそのもの。だから能力や力量に差なんてない。な?これで文句ないだろ? あいな:た、確かにそれならフェアだわ。 施設長:まあ、差があるとすれば…コイツらに良心なんてものはかけらもない。純粋な悪の心を持つ存在ってことくらいか。 あいな:なっ! さゆり:え!? ゆうま:それって…どういうこと? 施設長:まあなんだ。俺から一つアドバイスがあるとすれば…自分相手だからって油断してると負けるぜ。 あいな:くっ…。 ゆうま:と、とにかく頑張りましょう! さゆり:う、うん。 施設長:じゃあ次にルールについて説明する。今回は3対3のチーム戦ということで、外野はなし。四方を壁で囲まれた特設コートで試合をしてもらう。体の一部にボールが当たり、地面に落ちた時点でそいつの持ち点から1点減点される。ただし、仮にボールに当たっても減点されるだけでそのまま試合続行となる。また、壁に当てて跳ね返ったボールに当たった場合は無効だ。あくまで直接ノーバウンドで当たった場合のみ有効とする。前にも言ったが先に相手チームの持ち点を0点にした方が勝ちとなる。説明は以上だ。何か質問はあるか? あいな:いえ。特にないわ。 さゆり:わたしもないです。 ゆうま:僕も大丈夫です。 施設長:それじゃあ俺からのスペシャルサービスだ!先行はお前らからでいいぜ。ほら、誰でも良いからボールを受け取りな。 ゆうま:あの、あいなさん、お任せしてもいいですか? さゆり:わたしも賛成。あいな、いい? あいな:分かった。任せて!〈ボールを受け取る〉 施設長:それじゃあ、デスゲームドッジボール始め!! :【 】が付いた名前は相手チームです。 : あいな:(相手チームが私たちのコピーなら、まず狙うのは!)おりゃー!! 【さゆり】:あっ!〈肩に当たって地面に落ちる〉 あいな:よし!まずは1点! ゆうま:さすがです!あいなさん! さゆり:なんかすごく複雑な気分…。 あいな:あはは…なんかごめんね…。 さゆり:いいの。それより来るわよ! 【ゆうま】:ふん! あいな:なんの!〈キャッチする〉お返しよ! 【ゆうま】:ぐぁ!!〈足に当たって地面に落ちる〉 あいな:よっしゃ!これで2点! ゆうま:確かに…やられたのが自分だと素直に喜べませんね…。 さゆり:分かる。 あいな:もう~だからごめんて。 ゆうま:あ、すみません。そんなつもりじゃ。 あいな:分かってるわよ。集中しましょう! ゆうま:はい! さゆり:今度は向こうも【あいな】で来るみたい!気をつけて! 【あいな】:どりゃあ! ゆうま:(え!?壁に当てた?)ぐぁぁ!!〈跳ね返ったボールが顔面に当たる〉 あいな:ちょっと!ゆうま君大丈夫?…ねぇ、今のは無効でしょ? 施設長:ああ、もちろん無効だ。 さゆり:ゆうま、大丈夫? ゆうま:ぐっ…だ、大丈夫です。これくらい。 あいな:まさか…こちらの動きを封じるためにわざと狙って…。 施設長:さぁ、休んでないで試合を続けるんだ。 さゆり:くっ…。 あいな:許さない…。はぁぁ!! 【さゆり】:〈キャッチする〉よっと。ふふふ…。 あいな:なっ!あれをキャッチするなんて…。 【さゆり】:行くわよ!それっ! あいな:さゆりちゃん!危ない!!ぐっ!〈キャッチする〉 さゆり:あ、ありがとう…。 あいな:はぁ…はぁ。これで、どうだぁ!! 【ゆうま】:なっ!!〈腕に当たって地面に落ちる〉 あいな:これで…3点。 ゆうま:あいなさん。息が上がっています。無理しないでください。 あいな:でも…。 さゆり:あいながやられたら勝ち目がないんだから。少し下がってて。 あいな:分かったわ。ありがとう。 【ゆうま】:食らえ! さゆり:(また壁を狙って!?)きゃあああ!!〈跳ね返ったボールが胸を直撃する〉 あいな:さゆりちゃん!!…ちょっと!これって卑怯じゃないの!? 施設長:ふふふ…だから言ったじゃないか。油断するなと。 あいな:くっ!もうあったまきた!!うぉりゃ!! 【あいな】:よっと。〈余裕でキャッチする〉 【あいな】:ふふふ…ダメじゃない。ボールはこうやって投げるのよ!! さゆり:きゃあ!! さゆり:〈腕に当たってゆうまの方へ〉 ゆうま:なっ!! ゆうま:〈足に当たって地面に落ちる〉 【あいな】:はい、2点マイナスね。 さゆり:う、うう…。 ゆうま:はぁ…はぁ…。 あいな:二人とも大丈夫!? さゆり:大丈夫…。 ゆうま:まだ…いけます。 あいな:(やばい…このままだと体力ばかり削られて勝ち目がない。どうしたら…。) さゆり:ねぇ、あいな。今度はわたしに投げさせて。 あいな:え…でも。 さゆり:コピーに出来ることが、オリジナルのわたしに出来ないはずはないから。お願い。 あいな:…分かった。 さゆり:ありがとう。(闇雲に投げたんじゃすぐに取られちゃう。狙うは膝より下!)えいっ!! 【さゆり】:きゃあ!!〈膝に当たって地面に落ちる〉 さゆり:やった!!あと1点! あいな:さゆりちゃんすごい!! ゆうま:ほんとすごいです!びっくりしました! 【あいな】:やるわね。じゃあこういうのはどうかしら! さゆり:あっ!! さゆり:〈腕に当たってあいなの方へ〉 あいな:きゃ!! あいな:〈腕に当たってゆうまの方へ〉 ゆうま:えっ!! ゆうま:〈足に当たって地面に落ちる〉 施設長:おお!!これは!!一気に3点マイナスとはな! さゆり:うそ…。わたしあと1点しかない…。 ゆうま:さゆりさん、しっかりしてください!まだ勝負は終わっていません! あいな:そうよ!これからが本番なんだから! さゆり:でも…。 あいな:行くわよ!おりゃ!! 【さゆり】:おっと危ない。〈ボールをかわす〉 あいな:くそ…かわされたか。 【ゆうま】:さゆり、トドメを。 【さゆり】:分かったわ。これで…終わりよ!! ゆうま:ぐっ!〈ボールをキャッチする〉 あいな:ゆうま君!ナイスキャッチ! さゆり:ゆうま…ありがとう…。 ゆうま:うぉりゃぁぁ!! 【あいな】:なっ!!〈膝に当たって地面に落ちる〉 ゆうま:やった!! さゆり:すごい…【あいな】から1点取るなんて。 あいな:ゆうま君すごい!! ゆうま:何とか1点取りましたよ! 【あいな】:なーんてね。ふふふ…。そこ! さゆり:あっ…。〈足に当たって地面に落ちる〉 あいな:さゆりちゃん!! ゆうま:さゆりさん!! さゆり:わ、わたし…。 施設長:おっと!ついに持ち点が0点になったな。ってことで、お待ちかねのお楽しみタイムだ!フリーズ!! あいな:(なっ!体が動かない…。) ゆうま:(くっ…何がどうなって…。) さゆり:(なんで!なんで体が動かないの!) 施設長:【さゆり】、よろしく頼むぜ。 【さゆり】:はい。お任せください。 さゆり:(やだ…来ないで!) : :-------------------(回想シーン) さゆり:(M)わたしはこの世界でずっと一人ぼっちだった。「この世界は悪が全て。悪いことを平気でできる人が認められて出世する世の中。だからお前も悪になれ!」幼い頃からそうやってずっと教育を受けてきた。頭では分かっていた。でも…どうしてもわたしにはその考えが正しいとは思えなかった。「どうして良いことをしちゃいけないの?目の前で困っている人がいるのにどうして手を差し伸べちゃいけないの?」そんな疑問を持ちながら今までずっと生きてきた。だからわたしは誰にも理解してもらえなかった。本当はとっても寂しかった…。 : 【さゆり】:あら、そんなに怯えなくていいのよ。そう…今まで一人ぼっちで寂しかったのね。可哀想に。わたしがあなたの心を救ってあげるわ。 さゆり:え…。わたしの気持ち、分かってくれるの? 【さゆり】:ええ。もちろんよ。だからおいで。わたしが抱きしめてあげる。 さゆり:うん…。(はぁぁ…わたしの中に黒い何かが入ってくる!ああ!!だんだん心が真っ黒に染まっていくの!!あああああ!!!) さゆり:ふふふ…闇に染まるってとっても気持ち良いわぁ♡ 最高の気分よ! 施設長:ふははは!これでさゆりの更生は完了したな。さて、ゲーム続行といくか!リリース!! あいな:(か、体が動く…。)さゆりちゃん! さゆり:なぁに?あいな。 あいな:大丈夫…なの? さゆり:ふふふ…わたしは大丈夫よぉ♡ 早くゲームの続き、やりましょう。 ゆうま:あいなさん!気をつけてください。何かおかしいです!相手チームのさゆりさんの姿が見えません。 さゆり:あら、ゆうま。おかしくなんかないわよ。わたしならちゃんとここにいるんだから。 あいな:ここにいるって…ねぇ!さゆりちゃんをどこにやったの!? さゆり:だから、さゆりは更生したの。ここにいるのは新しく生まれ変わったわたしよ♡ あいな:なっ!! ゆうま:そんな…。 さゆり:さぁ、分かったらゲームを再開しましょう。 あいな:くっ…とりあえず今はゲームに集中しないと。おりゃ!! 【ゆうま】:おっと!〈ボールをかわす〉 【ゆうま】:ボールに迷いが出てますよ。あいなさん! あいな:ぐっ!!〈キャッチする〉 あいな:行けぇ!! 【あいな】:よっ!!〈ボールをかわす〉 【あいな】:ふふふ…。 ゆうま:な、何がおかしいんですか! 【あいな】:いい加減、気付いたらどうなの?今の状況、かなりヤバいわよ。 ゆうま:ヤバいって…なっ!羽交い絞め! ゆうま:〈さゆりに後ろから羽交い締めにされる〉 ゆうま:さ、さゆりさん!何の真似ですか!離してください! さゆり:うふふふ…イヤよ。さぁ【あいな】、やっちゃって! あいな:さゆりちゃん!あなた何やってるのよ!ゆうま君から離れなさい! さゆり:あらぁ?良いのかしら?わたしに近づけば格好の的になるわよ。 あいな:くっ! 【あいな】:じゃあ、行くわよ!ふん!! あいな:ぐっ!!〈キャッチする〉 ゆうま:あいなさん!! 【あいな】:あら?よく取ったわね。それにしても、動けないゆうま君を身を*挺《てい》して*庇《かば》うとは…泣けるわねぇ。 あいな:う、うう…。絶対に負けないんだから!はぁぁ!!…がっ!〈さゆりに足を捕まれ転倒する〉 さゆり:うふふふ…させないよ。 あいな:さ、さゆりちゃん…。 ゆうま:あいなさん!! ゆうま:(まずい…同じコートの中に敵がいるということは、攻撃も防御も邪魔されるということ。一体どうすれば…。) ゆうま:あいなさん!僕にボールを回して! あいな:分かったわ!それっ! ゆうま:〈あいなからのパスを受け取る〉 ゆうま:よし!(さゆりさんが倒れている今なら僕はフリーだ!)うおおおお!! 【あいな】:きゃあ!!〈足に当たって地面に落ちる〉 ゆうま:や、やった…。 あいな:ゆうま君やるじゃん!見直したよ! ゆうま:あ、ありがとうございます。 さゆり:ちっ!なかなかやるじゃない。でもね! あいな:ちょ、ちょっと!さゆりちゃん私から離れて! 【あいな】:うふふふ!覚悟はいいかしら?おりゃ!! ゆうま:あいなさん!ぐぁ!!〈つかみ切れず地面に落ちる〉 あいな:ゆうま君!! 【あいな】:ふふふ…馬鹿ねぇ。自分から当たりに来るなんて。 ゆうま:あぁ…ごめんなさい。あいなさん。僕は…もう…。 施設長:がははは!!またまた0点になった者が出たな!そんじゃお楽しみタイム第二弾といくか!フリーズ! あいな:(ぐっ…まただ。体が動かない…。) ゆうま:(あ、あぁ…) 施設長:それじゃあ【ゆうま】、次はお前の番だ。 【ゆうま】:承知しました。 ゆうま:(や、やめろ…やめてくれ!) : :-------------------(回想シーン) ゆうま:(M)今でも鮮明に覚えていることがある。僕の両親は二人とも平和主義で、常日頃から悪を軸としたこの世界の考え方は間違っていると僕に教えてくれた。だから僕もいつかは偉くなって、人と人とが助け合う素敵な世界を作るんだって、いつも両親に語っていたんだ。両親は僕の夢をいつもニコニコしながら聞いてくれた。僕にとって、二人は世界一大好きで誰よりも尊敬できる存在だった。でもあの日、突如として家に押し入った強盗によって二人は僕の目の前で殺されたんだ。僕は恐怖で震えながらじっと身を潜めていることしか出来なかった。こんな世の中だ。強盗の行為は罪に問われるどころか、悪の鏡として新聞の一面を飾った。僕は…自分が許せなかった…。僕にもっと力があれば、あの時二人を助けることができたのに…。力…力が欲しい…! : 【ゆうま】:ゆうま、辛かったね。君がそんなにも力を欲しているのなら、僕が協力してあげよっか? ゆうま:え…?僕に力をくれるの? 【ゆうま】:ああそうだよ。僕なら君の望みを叶えてあげられる。壊したいんだろ?全てを。ぶっ潰したいんだろ? ゆうま:うん…! 【ゆうま】:分かった。じゃあ僕を受け入れるんだ。深呼吸して僕をめいっぱい吸い込んで…。 ゆうま:すぅ…。(あぁ…彼が僕の中にどんどん入ってくる!!それと同時に、力が…真っ黒な力が全身にみなぎってくる!!ふふふ…あははは!!すごい!すごいぞ!もう何の恐れも感じない!) ゆうま:ふはははは!俺はこの力と共に世界の王として君臨してやるんだ! 施設長:ほぅ…これは実に見事に生まれ変わったな!上出来だ!!さてと、残るは一人だけだな。続きといこうか。リリース! あいな:(はっ!体の自由が効くようになったわ!)ゆうま君!無事なの? ゆうま:おい、誰に向かって口をきいてるんだ? あいな:なっ!まさか…!ゆうま君まで! ゆうま:ふふふ…俺は生まれ変わったんだ!この世の悪を統べる存在としてな!さて、ゲームの続きといこうじゃないか。 あいな:そんな…。 さゆり:あいなぁ♡どぉしたのぉ?もしかして、もう諦めちゃったのかなぁ?うふふ…。 あいな:誰が…誰が諦めるんもんですか!〈全力でさゆりを振りほどき立ち上がる〉 さゆり:なんて力!?きゃあ! あいな:せいや!!〈さゆりのみぞおちに一発〉 さゆり:ぐはっ!!な、なんだと…。〈さゆり気絶する〉 あいな:今度はこっちよ!そりゃ!!〈ゆうまの頭部に回し蹴りを食らわす〉 ゆうま:がはっ!!ばか…な。〈ゆうま気絶する〉 あいな:はぁ…はぁ。これでようやく1対1ね! 【あいな】:ふふふ。*咄嗟《とっさ》に二人を気絶させて動きを封じるとは…さすが私ね。いいわ。勝負しましょう! あいな:望むところよ!はぁぁ!! 【あいな】:ぐっ!!(さっきよりも格段にボールが重い!)〈キャッチする〉 【あいな】:これならどう!! あいな:なんの!!〈キャッチする〉 あいな:うぉぉりゃ!! 【あいな】:うぐっ!こんなもの!〈キャッチする〉 【あいな】:じゃあ!これで仕留める!〈あえてゆっくり投げる〉 あいな:えっ…?ヤバい!ボールが遅い…。あぁ!〈スピードの変化について行けず、つかみ損ねて地面に落とす〉 【あいな】:はぁ…はぁ。これでお互い持ち点は1点ずつね! あいな:はぁ…はぁ。そうね、最後の勝負よ! 施設長:おおお!まさかあの小娘がここまで粘るとは!いやはや!愉快愉快!これだからやめられない! あいな:行くわよ!はぁぁ!!…えっ!足が!きゃあ!〈足がもつれて転倒し、ボールが相手コートに転がる〉 【あいな】:ふふふ…残念ね。あれだけ動いたんだもの。いくら体力に自信があるとは言え、体は限界を迎えていたようね。これで終わりよ! あいな:ぐぁ!!〈背中に当たり地面に転がる〉 【あいな】:勝負あったわ。 あいな:あぁ…私…負けちゃったんだ。こんなに頑張ったのに…!!あとちょっとだったのに!!なんで!なんでなの!うあああ!!悔しいよぉ!!〈号泣する〉 施設長:〈拍手〉実に良き戦いであった!!両者ともよく健闘したな!俺は今とても感動しているぞ!!だから特別にフリーズは使わないでおいてやろう。さぁ【あいな】、彼女を生まれ変わらせてやってくれ。 【あいな】:仰せのままに。さぁ、起き上がって。 あいな:うぅ…ぐすん…私、どうなっちゃうの? 【あいな】:大丈夫よ。何も怖くない…私に全てを委ねなさい。 あいな:いや…私、悪になんて染まりたくない! 【あいな】:それは違うわ。 あいな:えっ? 【あいな】:あなたは私で、私はあなた。染まるんじゃなくて溶け合うの。 あいな:溶け…合う…? 【あいな】:そう…。混ざりあって進化するの。 あいな:進化…。 【あいな】:そうよ。そうしたら今よりずっと素敵なあなたになれるわ。 あいな:素敵な…私に?…なりたい。私、もっと素敵になりたいよぉ! 【あいな】:分かったわ。じゃあ目をつむって私の胸に手を当てて。 あいな:うん…。(ふぁぁ…手の平から直接私が流れ込んでくる!!あぁ!!私の中で溶け合って…真っ黒な何かに変化していく!) あいな:ふふふ…ははは…あはははは!!素敵…とっても素敵だわ!!心のタガが全て外れていくのが分かる!!もう今の私を縛るものはなーんにもないの!!なんて素晴らしいの!!あはははは!!! : :-------------------数年後 あいな:ようこそ!更生施設「ヘルリボーン」へ!私がここの施設長のあいな様よ!善人の心を持った貴様らを私の更生プログラムで極上の悪人に生まれ変わらせてあげるわ!この世界は悪こそが全て!さぁ、この私に華麗な悪へと変貌する*様《さま》を見せてちょうだい!!ふふふ…あははは!! : :~完~