台本概要

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タイトル
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「今年も、夏の喧騒が過ぎ、静かな秋がやってくる。…けれど…」

秋の、少し切ない1人読み台本になります。

女性寄りの描写にはなっていますが、男性の方でもお手にとっていただければ嬉しいです。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 - 主人公、語り手
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0:朝起きると、目覚ましのように鳴いていた蝉の声も… 0:まとわりつくように離れなかった、あの暑さも… 0:どこか、にぎやかだった街の雰囲気も… 0:気付けば、すっかりと姿を潜めてしまった。 0: 0:夏が過ぎ、秋が来る。 0:産まれた時から何回も経験した、当たり前に訪れる季節の流れ。 0: 0:当たり前… 0:そう、当たり前のように隣にいた、あなた。 0: 0:夏から秋に替わる時も… 0:秋から冬に替わる時も… 0:いつだって、隣にはあなたがいた。 0: 0:今年の秋も、その次の秋だって… 0:ずっとそれが続いていくと思っていた。 0: 0:なのに… 0: 0:今、隣にあなたはいない。 0: 0:こんなに寂しいのは… 0:聞こえなくなった蝉の声のせいでも… 0:涼しくなった空気のせいでも… 0:静かになった町のせいでもない。 0: 0:あなたが、いないから…。 0: 0:肌寒くなると、この手にいつもぬくもりをくれていた、あなたの手。 0:そのぬくもりを失った私の手は… 0:他に行き場もなく、ポケットの中で寂しく震えている。 0: 0:隣をふと見ても… 0:目があうたび、付き合ってから何年経っても恥ずかしそうに微笑んでいたあの顔はもうどこにもなく… 0:ただただ、がらんとした風景がどこまでも広がっているばかり。 0: 0:見慣れていたはずのこの風景も 0:通い慣れた、この道も… 0:こんなにも色を失って、寒くて寂しく見える。 0:あなたが居ないだけで、私の秋はこんなにも表情を変えてしまった。 0: 0:嫌いになったわけじゃなかった。 0:少し… 0:ほんの少しだけ、ボタンを掛け違えて… 0:お互いの顔が、そっぽを向いてしまっただけ。 0:どちらかが「ごめんね」さえ言えれば、元通りになったはず。 0: 0:けれど… 0: 0:つまらない意地を張ってしまって… 0:些細なすれ違いのせいで… 0:夏の喧騒と一緒に、二人の関係を置いて来てしまった。 0: 0:今更どれだけ振り返っても 0:願っても 0:呼びかけてみても… 0:もう、けっして戻ってはこなかった。 0: 0:秋… 0:こんなにも寂しくて、寒くて、つらい秋は、いつぶりだろう。 0: 0:しかし、そんな秋もすぐに過ぎて、冬がくる。 0:冬の寒さは、私のこの寂しさをもっと突き刺してくるのだろうか。 0:それとも… 0:真っ白な雪が、二人の足跡を覆って…全部忘れさせてくれるのだろうか。 0: 0:ふと、空を見上げると… 0:少し暗くなったセピア色のキャンバスに、うっすらと月が描かれていた。 0: 0:あなたも、この空を見ているのかな…? 0: 0:もう、戻れなくてもいい… 0: 0:せめてあなたがこの秋空を見て、まだ少しでも寂しさを感じてくれていたら… 0: 0:そんなワガママな願いを白い月にかけると… 0:不意に、頬を一筋の雫が伝った。 0: 0: 0:(終)

0: 0: 0:朝起きると、目覚ましのように鳴いていた蝉の声も… 0:まとわりつくように離れなかった、あの暑さも… 0:どこか、にぎやかだった街の雰囲気も… 0:気付けば、すっかりと姿を潜めてしまった。 0: 0:夏が過ぎ、秋が来る。 0:産まれた時から何回も経験した、当たり前に訪れる季節の流れ。 0: 0:当たり前… 0:そう、当たり前のように隣にいた、あなた。 0: 0:夏から秋に替わる時も… 0:秋から冬に替わる時も… 0:いつだって、隣にはあなたがいた。 0: 0:今年の秋も、その次の秋だって… 0:ずっとそれが続いていくと思っていた。 0: 0:なのに… 0: 0:今、隣にあなたはいない。 0: 0:こんなに寂しいのは… 0:聞こえなくなった蝉の声のせいでも… 0:涼しくなった空気のせいでも… 0:静かになった町のせいでもない。 0: 0:あなたが、いないから…。 0: 0:肌寒くなると、この手にいつもぬくもりをくれていた、あなたの手。 0:そのぬくもりを失った私の手は… 0:他に行き場もなく、ポケットの中で寂しく震えている。 0: 0:隣をふと見ても… 0:目があうたび、付き合ってから何年経っても恥ずかしそうに微笑んでいたあの顔はもうどこにもなく… 0:ただただ、がらんとした風景がどこまでも広がっているばかり。 0: 0:見慣れていたはずのこの風景も 0:通い慣れた、この道も… 0:こんなにも色を失って、寒くて寂しく見える。 0:あなたが居ないだけで、私の秋はこんなにも表情を変えてしまった。 0: 0:嫌いになったわけじゃなかった。 0:少し… 0:ほんの少しだけ、ボタンを掛け違えて… 0:お互いの顔が、そっぽを向いてしまっただけ。 0:どちらかが「ごめんね」さえ言えれば、元通りになったはず。 0: 0:けれど… 0: 0:つまらない意地を張ってしまって… 0:些細なすれ違いのせいで… 0:夏の喧騒と一緒に、二人の関係を置いて来てしまった。 0: 0:今更どれだけ振り返っても 0:願っても 0:呼びかけてみても… 0:もう、けっして戻ってはこなかった。 0: 0:秋… 0:こんなにも寂しくて、寒くて、つらい秋は、いつぶりだろう。 0: 0:しかし、そんな秋もすぐに過ぎて、冬がくる。 0:冬の寒さは、私のこの寂しさをもっと突き刺してくるのだろうか。 0:それとも… 0:真っ白な雪が、二人の足跡を覆って…全部忘れさせてくれるのだろうか。 0: 0:ふと、空を見上げると… 0:少し暗くなったセピア色のキャンバスに、うっすらと月が描かれていた。 0: 0:あなたも、この空を見ているのかな…? 0: 0:もう、戻れなくてもいい… 0: 0:せめてあなたがこの秋空を見て、まだ少しでも寂しさを感じてくれていたら… 0: 0:そんなワガママな願いを白い月にかけると… 0:不意に、頬を一筋の雫が伝った。 0: 0: 0:(終)