台本概要

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タイトル Let's裏切りくりすます!
作者名 アール/ドラゴス  (@Dragoss_R)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男2、女3)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 シュウタは歓喜した。
今年こそはクリぼっちを回避できるのだと。
今年こそはクリスマスを友人と過ごすのだと。
シュウタの家に恋人がいない五人が集まり、哀しくも楽しい傷の舐めあいクリスマスパーティーが
始まったと思ったが…?

「芸術は…。爆発だぁっ!!」

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
シュウタ 74 恋人がいない歴=年齢。 たまにテンションと言葉遣いがおかしい。
ヒデノリ 47 ツッコミ気質。 周りが濃すぎて萎縮してるかもしれない。
リカ 39 ギャルギャルしい感じの女子。 ノリがめちゃくちゃいい。
カノコ 44 少し気の強いお姉さまな感じ。 ツッコミかと思ったらボケる。
ヒメ 43 おっとり系ドジっ子属性。皆から唯一の癒しだ、天使だと思われている。 ボクっ子でもある。かわいい。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:時は12月25日、日曜日……。 0:質素な飾り付けがされたシュウタの部屋に四人集まっている。 0: 0: シュウタ:…いやあ、本当によかったよ。今年は仲間がいてくれて…。 カノコ:ええ、本当にね。…今日はみんなでヤケ酒、しましょう。 ヒデノリ:おう。でも、あんまり酒に飲まれ過ぎると介抱役が大変になるからほどほどにしような。 リカ:でも今日いるメンツ、みんな下戸(げこ)だし、介抱役がいなくなって収拾つかなくなりそうで怖いなー…。 カノコ:大丈夫でしょ、シュウタの家だし多少汚しても。 シュウタ:なんにも良くないけど!?なんで俺の家ならいいのさ!? カノコ:ふふ。冗談よ、冗談。本当にやばくなる前にちゃんと帰るから安心してちょうだい。 リカ:…それにしても。もう予定の時間からかれこれニ十分くらい経つけど…。ヒメちゃん、まだかな? ヒデノリ:ヒメが遅いのはいつものことだろ? シュウタ:いや、待てヒデノリ。今日が何日か忘れたのか!?災厄の日、クルシミマスだぞ!! シュウタ:外にバカップルどもが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)していて、その群れに押し潰されてしまっているのかもっ…!すぐに連絡を取るぞっ!! リカ:それは大変だっ!ウチ、今すぐ電話してみる…!! ヒデノリ:無事でいてくれよ、ヒメ…! カノコ:おバカ。ヒメの家からここに来るまでずっと住宅街なんだから。道がそんなイルミネーション会場みたいになるわけないでしょ。 カノコ:それに…。ほら、「もうすぐ着きます」って連絡来たわよ。 ヒデノリ:おぉ、そんならよかった。あー、焦ったわ…。 リカ:もう、ヒメちゃんもグループの方に連絡入れてくれたらいいのにー…。 シュウタ:むぅ、リア充許すまじ。 シーン転換。 0:場面転換。ヒメ到着。 0: ヒメ:遅れましたぁー…!すみません、いつもボクが最後でぇ…。 ヒデノリ:よっ。大丈夫だよ、今日は時間たっぷりあるんだし。 ヒメ:ふぇぇ…。すみません…。 カノコ:大丈夫よ、ヒメ。今日は楽しいパーティーという名目の集まりなのだから、謝るだけじゃなく、楽しみましょう? ヒメ:カノコさんっ…!えへへ、ありがとうございますっ! ヒデノリ:…俺はヒメに恋人がいない理由がわからん。この可愛さで、何故…。 リカ:…そうだね、確かにヒメってかわいいよね。 カノコ:同感ね。…本当、かわいい。 ヒメ:なんで皆さん急に褒めるんですか、照れちゃいますよ…。 リカ:…むぅ。…ま、それはさておき。ほら、幹事。メンバー揃ったよ。 シュウタ:うん、そうだな…。じゃあ、始めるとするか! 0: 0: シュウタ:リア充撲滅委員会の委員たちよ!今日はよく集まってくれた! カノコ:そんな委員会に入った覚えはないのだけれど…。 シュウタ:…でも俺たち、今恋人いないし羨ましいし爆発してほしいじゃん? カノコ:…まぁ、そうね。 ヒデノリ:悲しいことにな。 ヒメ:ふぇぇ…。 シュウタ:と、いうわけで!もうクリスマスを一人で過ごすのは終わりだってことで!! シュウタ:今ここに、「クリスマスKNK」の開催を宣言するっ! リカ:先生ーっ!「KNK」はどういう意味なんですか! シュウタ:「傷を、舐めあう、会」。KNK。 ヒデノリ:悲しっ!?っつうかなんで某ウィッシュ方式なんだよ!? リカ:ウィッシュ☆ ヒデノリ:ノリいいな!? カノコ:裁判長。流石にパーティーにしては名前が悲しすぎるから改名を求めます。 ヒデノリ:あぁ、カノコの意見には賛成だ!なんだかカノコもテンションおかしくなってるけど! シュウタ:うぇー?気に入ってたんだがなぁ…。じゃあカノコはどんな名前がいいと思う? カノコ:そうね…。じゃあ、「CP」でどうかしら。 ヒメ:それは何の略なんですー? カノコ:決まってるじゃない。「Christmas、Party」。 ヒデノリ:お前もウィッシュ構文使うのかよ!?…まぁ、でもこっちのが(いいと思う) シュウタ:(被せる)却下だ。 ヒデノリ:えぇ!? カノコ:あら。理由をお聞かせ願えるかしら。 シュウタ:そんなの決まっておろうが……。「CP」…。読み方を間違えれば「カップル」になっちまうだろうがーーっ!!そんな名前をこの神聖なる会につけるなんて言語道断っ!おのれゴミどもめぇーー!! ヒメ:しゅ、シュウタさんっ…!落ち着いてくださいーっ…!あわわ……。 リカ:戻ってきて、シュウター!まだパーティー始まってないしまだ早いよー!! シュウタ:あぁぁーーーーっ!!クソがよぉ!マジでぇー!……。と、いうわけで他に案は? カノコ:急にスンッってなるの普通に怖いからやめてくれるかしら。 シュウタ:え?なにが? ヒデノリ:自覚症状ないのかよ怖すぎるだろ。…あー、もう名前にこだわらずに普通に飲み会、とかでいいんじゃねぇか? リカ:いや、それだけはありえないっしょ。 カノコ:せっかくのパーティーなのに名前を付けないなんてどうかしてるわ。恥を知りなさい。 シュウタ:死に晒せェ! ヒメ:…ちょっと、それはダメな気がしますね、あはは…。 ヒデノリ:なんで俺急に総攻撃受けてんのぉ!?ヒメもそっち側だしっ!?そんなにダメだったの!? リカ:んー…。ヒメちゃん、なんか良い案ない? ヒメ:ボ、ボクですかぁーっ!? リカ:だって、シュウタはいつも通りだけど、なんか今日はカノコちゃんもテンションおかしいし、私は何も浮かばないし、ヒデノリはなんかツッコミが忙しそうだし。知らんけど…。 ヒデノリ:本当に変わってほしいくらいなんだけど!?リカぁ!? リカ:だから、ヒメちゃんしかいないんだよっ!なんでもいいからさ! ヒメ:え、えーっと、そのぉ……。…ハ、「ハッピースマイル」ー、…「クリスマス会」、とかですかねぇ…。 0: シュウタ:……。 ヒデノリ:……。 リカ:……。 カノコ:……。 0: ヒメ:…あ、えと、そのぉ……。 0: リカ:やば。萌える。 カノコ:可愛すぎて死ねるわ! ヒデノリ:最高だな。 シュウタ:うん、採用。 0: ヒメ:こっ…。これでいいんですかぁーーーーっ!? シーン転換。 0:場面転換。 0: 0:「ハッピースマイルクリスマス会」、一時間ほど経過。 0:出来上がってきたシュウタとペースが遅いヒデノリ。 0: ヒメ:本当にシュウタさんペース早いですね…。大丈夫ですかー…? シュウタ:ふっふっふ…。もうすぐ五缶空く。…っつうか、俺が早いんじゃなくてお前らが遅いんだよぉ!特にヒデノリぃ!なんか今日はペースマジで遅くないかぁ!? ヒデノリ:き、気のせいだろ。それに、さっき今日は酒に飲まれないようにしようって話しただろ? シュウタ:いいや、それにしても遅いね!お前、どうせ俺が酔うと面倒くさいからってみんなより早く帰るつもりだろぉ…。 ヒデノリ:そんなこと考えてねぇよ!大丈夫だよ本当に節制してるだけだから! シュウタ:本当かよォ…。…くっそぉ、何がサンタクロースが恋人ー、だよォ…。滅べよォ……。 リカ:…あー、始まっちゃった。お酒の入ったシュウタは本当に面倒くさくなっちゃうからなぁ…。 カノコ:本当にね。……そんなだから恋人いないんじゃないかしらね…。(小声) シュウタ:あぁー!?なんか言ったかお前ぇ! カノコ:いいえ、何も。 ヒデノリ:まあまあ、そんなことよりもシュウタ!このポテチ美味いから食ってみろよ! ヒメ:……うぅ。お酒が入ったシュウタさんはやっぱり少し怖いです…。 リカ:大丈夫だよヒメちゃん。恋愛に関することを言わなければただこじらせた出会いナシ男が嘆いてるだけだから。 ヒメ:ふぇぇ…。 シュウタ:…ぁ、このポテチ美味っ。…ヒデノリ、これ何味…? ヒデノリ:「わさびのオンパレード」味。シュウタ、わさび好きだから喜ぶかなぁーって思って買ってきたんだよ。口にあったなら何よりだわ。 シュウタ:ん…。これは…。酒が進むっ…! カノコ:流石はヒデノリ、シュウタのなだめ方が上手いわね。 ヒデノリ:まぁ、高校時代からシュウタの友人やってるからなあ。 シュウタ:なぁお前らぁ、チョコ開けていいー? ヒメ:あ、それボクが買ったやつなので好きにしていいですよっ! リカ:シュウター、お手洗い借りていい? シュウタ:んー。そこに見えるドアがトイレだから好きに使ってくれぇ。 リカ:さんきゅっ。 0:リカ、一時離脱。 カノコ:そういえば、今日ケーキ用意してあるんだったかしら。 ヒメ:はい!ケーキはボクが買ってきましたー。 ヒデノリ:何ケーキ? ヒメ:チョコケーキとショートケーキを小さめのホールで買ってきましたっ! カノコ:王道でいいわね。 シュウタ:ショートケーキは好きなんだがイチゴ嫌いだからイチゴだけ代わりに食ってくれ。 ヒデノリ:なんだそりゃ。変わってんなぁ。…あぁ、チョコケーキは確かリカの好物だったから、アイツも喜ぶと思うぞ。 カノコ:あら、そうなの。良く他人の好物なんて覚えてるわね。 ヒデノリ:そういうもの覚えは良いんだよ、俺。 ヒメ:流石ヒデノリさんですっ! ヒデノリ:ハハ、さんきゅっ。 シュウタ:…そういや、いつも思うけどリカのスマホってうるせえよなあ。こうやって話してるうちにも何回かブーブー言ってたし。 カノコ:そうね。まあ彼女、かなり友達が多いみたいだし、よくメールが来るんでしょう。 ヒメ:でも、そんなにメールの通知が来てリカさんは大変にならないのでしょうか…? ヒデノリ:あぁ、アイツはちゃんと沢山の人間関係を制御できるタイプだからな。むしろ楽しんでる、ってこの間言ってたぞ。 ヒメ:す、凄いです…。ボクには絶対無理です…っ! シュウタ:…今リカいないし、どんなメール来てるか見ちまおーっと!どれどれぇ…。 ヒメ:シュウタさんにはプライベートって言葉が通用しないのでしょうか…? 0:シュウタがリカのスマホを手に取る。 カノコ:そういえば話は変わるけれどヒデノリ。貴方、(さっきから随分と) シュウタ:(被せる)あぁぁぁぁぁーーーーーー!?!? ヒメ:ど、どうしたんですかぁ!? ヒデノリ:なんでリカのスマホ見て叫んでんだよ!? シュウタ:……。 0:シュウタ、無言でヒデノリに詰め寄る。 ヒデノリ:え、なになに?怖えんだけど…。シュウター? シュウタ:…これは…。 ヒデノリ:え? シュウタ:これはどういうことだヒデノリぃぃいいいーーーーっ!! 0:シュウタがヒデノリにリカのロック画面を見せる。 ヒデノリ:…あ。やべ…。…あいつっ…! リカ:ただいまー。…って、あれ。これどういう状況? ヒメ:ボ、ボクもなにがなんだか…。 カノコ:ヒメ。…まずいことになりそうな気がするわ。 ヒメ:えぇ…? シュウタ:リカ…。 リカ:え、ウチ? シュウタ:お前が厠(かわや)に行ってる間、俺はお前のスマホの通知を閲覧させてもらった。 リカ:なんでウチ知らない間にプライベート侵害されてんの!?普通に引いたけど!? シュウタ:まあ聞けよ罪人。 リカ:罪人!? シュウタ:問題はこれだ。お前のスマホのロック背景…。 リカ:ロック画……あ。 シュウタ:カノコとヒメも見てくれ。…ヒデノリとリカ二人のプリクラだ。二人で仲睦(なかむつ)まじく抱き合って…。極めつけはデコレーションでハートマークや相合傘。 ヒメ:へ?じゃ、じゃあつまりリカさんとヒデノリさんは…。 シュウタ:正直に答えろ。今俺は冷静さを欠こうとしているんだ…。 カノコ:もうさっき十分欠いていた気がするけれど。 ヒデノリ:……すまん。実は三週間くらい前から付き合ってた。 シュウタ:ようし、刑死。打首獄門(うちくびごくもん)にしてやるよぉ!!数えろォ!罪ィ!! ヒメ:お、落ち着いてくださいシュウタさんっ!!多分二人とも悪意で隠してたわけじゃないと思いますからっ…! ヒデノリ:ほ、本当にその通りなんだ!ほら、このクリスマス会が決まったの一か月前だろ!?クリぼっちの集まりって名目の話で、その後に付き合ったんだよ俺達!! リカ:そうなの!だって考えてみ?みんな楽しみにしてる最中(さなか)、「ウチ、“ヒデりん”と付き合ったのでぼっちクリスマス会行けませーん、ごめんねぇー☆」なんて言えるわけないでしょ! カノコ:言い方がギャルギャルし過ぎるわ。 ヒメ:ヒデりん、かぁ…。三週間でそんなに距離近いんだあ…。羨ましいなあ…。 シュウタ:ぐぅ…。……そっか。そうか…。…俺たちを悲しませないために、してくれたのか…。でも…。…クッソ、くっそぉ……。妬(ねた)ましいぃぃ…っ!!! シュウタ:通りでなんか去年よりも二人とも恋人欲しいとか羨ましいとか言わないなあって思ったんだよォ…。…ぐすっ。 リカ:シュ、シュウタ? シュウタ:うぅ…。何が聖夜だよ…。ぐすっ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の百鬼夜行(ひゃっきやこう)とかに二つ名変えろよォ…。 ヒデノリ:も、もしかしてシュウタ…。泣い、てる? シュウタ:…泣いてねぇし。 ヒメ:でもシュウタさん、涙目だし、目の下あかくなってますよ…? シュウタ:違う。これは、そのー、アレだよ、アレ。わさびチップスがツンと来ただけで、悲しかったわけでは断じてないっ…。ぐすっ…。 リカ:…ウチが言うことじゃないかもだけど、強がらなくていいんだよ…? シュウタ:うるせぇぇ…。もういい、今日は死ぬまで飲む。アルコールのキャパオーバーして浄土に行く…。 ヒデノリ:おぉい、シュウタ…。大丈夫かよ…。 カノコ:…シュウタ、このパーティーの題名を思い出して。 シュウタ:……ハッピースマイルクリスマス会。 カノコ:そう。…せっかくヒメがつけてくれたのだから、その名前の通り、今夜は明るくいきましょう? シュウタ:…そう、だな。今日はもともと、楽しむために集まったんだもんな…。よし。…楽しむか! ヒメ:流石カノコさんっ…!人の立ち直らせ方が上手いです…! カノコ:これでも心理学専攻だからね。 ヒデノリ:…普通にシュウタが単純なだけな気もするけどな。 リカ:あ、じゃあさ!シュウタも立ち直ってくれたことだし、そろそろシャンパンあけない?持ってきたんだ! シュウタ:お!いいねぇ! ヒメ:ボ、ボク、シャンパンなんて飲んだことないんですけど、大丈夫ですかね…? カノコ:ヒメはお酒そこまで強くないから飲んでも三杯までにしておいた方がいいわ。 ヒデノリ:じゃあさ、シャンパンと同時にヒメのケーキも開けようぜ!シャンパンにはイチゴのケーキが合うってこの前テレビでやってたから! シュウタ:いいじゃんいいじゃん!…なんだかやっとパーティーっぽくなってきたか? リカ:最初の方のあれはただの宅飲みだったからね…。じゃ、シャンパン取ってくる! ヒメ:じゃあボクも、冷蔵庫にしまってあるケーキをっ! シュウタ:よっしゃぁ!こっからが本番だぜお前らー!! シーン転換 0:場面転換。 0: 0:ケーキを切り分け、今まさにカノコがシャンパンを開けるところ。 0: カノコ:…ねぇ、このシャンパンを開ける係、本当に私で良かったの? リカ:カノコちゃんが適任だよ!ウチかヒデりんがやるのはなんかアレだし、ヒメちゃんは慣れてないだろうし、シュウタは危なっかしいし。 シュウタ:おい危なっかしいってなんだよ。 リカ:さっきみたいなテンションでやったら吹きこぼれたり暴発しそうで怖いんだもん。 シュウタ:俺信用なさすぎじゃないか…? ヒデノリ:お前は信用がなくなる行動や言動をさっきから酔った勢いで取ってるのをいい加減自覚しろ。 シュウタ:はいはい、面倒くさくてすみませんねぇー! ヒメ:…そういうところだと思います。(小声) シュウタ:…はい、気を付けます。(小声) ヒデノリ:じゃあ、カノコ!カッコよく開けてくれ! カノコ:シャンパンを開けるのにカッコいいもカッコ悪いもあるかしら…?まあいいわ。じゃあ、栓抜くわよ。…せっかくだから、カウントダウンとかしてみる? ヒメ:おぉー!いいですねっ!楽しそう…!! シュウタ:凄ぇパーティーみたいだな! リカ:あれ、パーティーじゃなかったっけ? カノコ:じゃあ、5から一人ずつ言っていきましょうか。…準備はいいかしら?…せーのっ。 0: リカ:5! 0: ヒデノリ:4! 0: シュウタ:3! 0: ヒメ:2! 0: カノコ:1! 0: 0:「ポンッ!!」 0: シュウタ:いえーい! ヒデノリ:やっぱりこういうのをあける時の音は良い音だな! リカ:本当!なんだかドキドキしたし!! ヒメ:カノコさん…、カッコ良かったですーっ…!! カノコ:ありがとう、ヒメ。さあ、注ぐわよ。 0:カノコが上品にみんなのグラスにシャンパンを注いでいく。 シュウタ:あっ!そうだ!俺、今日お前たちと議論したいことがあったんだよ! ヒメ:ぎろん? シュウタ:そう!みんな、クリスマスという行事から恋人という不純物を抜いて考えてみてくれ。 ヒデノリ:クリスマスにすぐカップルを絡める奴はこの中にお前しかいねえよ。 カノコ:本当、もっとあるでしょう。サンタクロースとか、トナカイとか。 シュウタ:あー、そうそう!そういうの。子供の頃よく考えなかったか?「なんでサンタはトナカイで空を走るのか。」とか。馬じゃダメなのかね? ヒメ:え、でもそれって真っ赤なお鼻がライトになって便利だからなんじゃないですか? リカ:でも、現実のトナカイって、あんまり鼻赤くないし、普通のトナカイは空飛べないじゃん? ヒデノリ:リカは議論をかなり現実的に考えるタイプだな…。 シュウタ:まあ、でもそういうことだよ!そういうのを、なんでだーとか、そういうのを考えるディベートがしたい。 カノコ:シュウタにしては面白そうな提案じゃない。私、そういうの好きよ。 ヒメ:さ…、先に行っておきますが、怖いのでブラックサンタの話はナシで…!! カノコ:…ブラックサンタ、真っ先に言おうとしたのだけれど、残念ね。…さ、シュウタ。注ぎ終わったわよ。 リカ:乾杯の音頭をお願いします、理事長ーっ! ヒデノリ:さっきの醜態をチャラにするくらいカッコよく、バチっとキメてくれ!! シュウタ:おう、任せろ!じゃあみんな、グラスは持ったなー?! 0: 0:シュウタが立ち上がると、五人はシャンパングラスを掲げる。 0: シュウタ:えー、みんな今日は集まってくれて本当にありがとう…!俺は今年、このクリスマスを親愛なる友人たちと共に過ごせていることを本当に嬉しく思う…!! シュウタ:元はプチ忘年会兼クリスマスパーティー兼宅飲み、みたいな感じだったが、シャンパンやらケーキやらをみんなが持ち寄ってくれたおかげで超豪華になってて、内心結構ウキウキだ!本当ありがとう! シュウタ:そして。妬ましいけど!!…晴れて勝ち組、比翼連理(ひよくれんり)となったヒデノリとリカに祝福を……ッ! ヒデノリ:ハハ、ありがとな、シュウタ。でも絶対、シュウタにもいい人見つかるからさ! リカ:うんうん、シュウタなら大丈夫だよ。もし恋愛相談とかあったら、ウチを頼ってくれていいかんね!結構恋愛相談は得意だからさ! シュウタ:…今ようやく気付いた。持つべきものは…、やはり、友である、と。 ヒメ:そうですよ、恋人が居なくてもシュウタさんにはボクらがいるじゃないですか!恋人なんて追々見つければいいと思いますっ! カノコ:…シュウタはヒメのこの純粋スマイルの励ましをもらえたことをありがたく思ったほうがいいわよ。 シュウタ:ああ…!本当に四人ともありがとう…!って、なんか終わる感じの流れになってるが終わらないからな! シュウタ:むしろ、俺たちのクリスマスはまだこれからだ、ということで!まだまだ酔っぱらって、盛り上がっていくぞ!!乾杯ーっ!! 0: ヒデノリ:乾杯っ!!(同時に) リカ:乾杯!!(同時に) カノコ:乾杯。(同時に) ヒメ:乾杯ですっ…!!(同時に) 0: 0: シュウタ:そして、クリスマスディベート最初の議題は、最もマストな疑問であるこれから行こう!! 0: シュウタ:「そもさん、サンタクロースは存在するのか?」! 0: ヒデノリ:お前マジか!?(同時に) リカ:シュウタマジ!?(同時に) カノコ:本気で言ってるの…?(同時に) ヒメ:いきなり核心ですねっ…!(同時に) シーン転換 0:場面転換。 0: 0:時は過ぎて、12月26日月曜日。朝七時。 0:二日酔いで目覚めるシュウタ。 0: シュウタ:っあー…。頭痛い、だるい…。マジで昨日飲みすぎたな…。シャンパンでイッキやるなよ炭酸きついんだから…。ったく。 シュウタ:…アレ、アイツらどうやって帰ったんだっけ。…覚えてねえや。……。 シュウタ:…とりあえずテレビでもつけるか。 0: 0:テレビの電源がつく。やっているのは朝のニュース番組。 0:クリスマス特集らしい。 0: シュウタ:…ふぅん、イルミネーションかあ。…多分ヒデノリとリカ、もう行ったか今度行くんだろうなあ。 シュウタ:…はぁー。やっぱ羨ましいなあ…。 シュウタ:あ。イルミネーションの街頭インタビューみたいなのに切り替わった。…これ、どうせカップル共が幸せそうにインタビューに出るんだろー。 0:シュウタの予想通りカップルの幸せそうなインタビューが流れる。 シュウタ:…あー、やっぱりなぁ。…まあでも、友人にリア充できたし、少しは(耐性をつけておかないと) 0: カノコ:(被せる)はい、恋人と来ました。 0: シュウタ:…あ? 0: 0:シュウタがテレビをバッと見ると、 0:そこに映っているのは恋人繋ぎをしているヒメとカノコだった。 0: シュウタ:…こい、びと? 0: カノコ:はい、せっかくのクリスマスだし一緒に見に行こう、ということで。 カノコ:プロジェクションマッピングもとっても綺麗で、来てよかったなーって思いました。 0: シュウタ:…あれ、え?だってヒメとカノコ…。 0: ヒメ:幻想的な空気を好きな人と一緒に楽しめるのがロマンチックで、素敵だと思いますっ! 0: 0:インタビュー画像が終わり、ニュースに戻る。 0: シュウタ:…つまり。…昨日本当にボッチだったのは…。俺だけ? シュウタ:…ヒ、ヒヒヒヒ…ヒ、ヒ……。 シュウタ:リ、リア充は……、 0: 0: シュウタ:爆発だぁぁぁぁああああああーーーーーっっ!! 0: 0:Merry Christmas!!

0:時は12月25日、日曜日……。 0:質素な飾り付けがされたシュウタの部屋に四人集まっている。 0: 0: シュウタ:…いやあ、本当によかったよ。今年は仲間がいてくれて…。 カノコ:ええ、本当にね。…今日はみんなでヤケ酒、しましょう。 ヒデノリ:おう。でも、あんまり酒に飲まれ過ぎると介抱役が大変になるからほどほどにしような。 リカ:でも今日いるメンツ、みんな下戸(げこ)だし、介抱役がいなくなって収拾つかなくなりそうで怖いなー…。 カノコ:大丈夫でしょ、シュウタの家だし多少汚しても。 シュウタ:なんにも良くないけど!?なんで俺の家ならいいのさ!? カノコ:ふふ。冗談よ、冗談。本当にやばくなる前にちゃんと帰るから安心してちょうだい。 リカ:…それにしても。もう予定の時間からかれこれニ十分くらい経つけど…。ヒメちゃん、まだかな? ヒデノリ:ヒメが遅いのはいつものことだろ? シュウタ:いや、待てヒデノリ。今日が何日か忘れたのか!?災厄の日、クルシミマスだぞ!! シュウタ:外にバカップルどもが跳梁跋扈(ちょうりょうばっこ)していて、その群れに押し潰されてしまっているのかもっ…!すぐに連絡を取るぞっ!! リカ:それは大変だっ!ウチ、今すぐ電話してみる…!! ヒデノリ:無事でいてくれよ、ヒメ…! カノコ:おバカ。ヒメの家からここに来るまでずっと住宅街なんだから。道がそんなイルミネーション会場みたいになるわけないでしょ。 カノコ:それに…。ほら、「もうすぐ着きます」って連絡来たわよ。 ヒデノリ:おぉ、そんならよかった。あー、焦ったわ…。 リカ:もう、ヒメちゃんもグループの方に連絡入れてくれたらいいのにー…。 シュウタ:むぅ、リア充許すまじ。 シーン転換。 0:場面転換。ヒメ到着。 0: ヒメ:遅れましたぁー…!すみません、いつもボクが最後でぇ…。 ヒデノリ:よっ。大丈夫だよ、今日は時間たっぷりあるんだし。 ヒメ:ふぇぇ…。すみません…。 カノコ:大丈夫よ、ヒメ。今日は楽しいパーティーという名目の集まりなのだから、謝るだけじゃなく、楽しみましょう? ヒメ:カノコさんっ…!えへへ、ありがとうございますっ! ヒデノリ:…俺はヒメに恋人がいない理由がわからん。この可愛さで、何故…。 リカ:…そうだね、確かにヒメってかわいいよね。 カノコ:同感ね。…本当、かわいい。 ヒメ:なんで皆さん急に褒めるんですか、照れちゃいますよ…。 リカ:…むぅ。…ま、それはさておき。ほら、幹事。メンバー揃ったよ。 シュウタ:うん、そうだな…。じゃあ、始めるとするか! 0: 0: シュウタ:リア充撲滅委員会の委員たちよ!今日はよく集まってくれた! カノコ:そんな委員会に入った覚えはないのだけれど…。 シュウタ:…でも俺たち、今恋人いないし羨ましいし爆発してほしいじゃん? カノコ:…まぁ、そうね。 ヒデノリ:悲しいことにな。 ヒメ:ふぇぇ…。 シュウタ:と、いうわけで!もうクリスマスを一人で過ごすのは終わりだってことで!! シュウタ:今ここに、「クリスマスKNK」の開催を宣言するっ! リカ:先生ーっ!「KNK」はどういう意味なんですか! シュウタ:「傷を、舐めあう、会」。KNK。 ヒデノリ:悲しっ!?っつうかなんで某ウィッシュ方式なんだよ!? リカ:ウィッシュ☆ ヒデノリ:ノリいいな!? カノコ:裁判長。流石にパーティーにしては名前が悲しすぎるから改名を求めます。 ヒデノリ:あぁ、カノコの意見には賛成だ!なんだかカノコもテンションおかしくなってるけど! シュウタ:うぇー?気に入ってたんだがなぁ…。じゃあカノコはどんな名前がいいと思う? カノコ:そうね…。じゃあ、「CP」でどうかしら。 ヒメ:それは何の略なんですー? カノコ:決まってるじゃない。「Christmas、Party」。 ヒデノリ:お前もウィッシュ構文使うのかよ!?…まぁ、でもこっちのが(いいと思う) シュウタ:(被せる)却下だ。 ヒデノリ:えぇ!? カノコ:あら。理由をお聞かせ願えるかしら。 シュウタ:そんなの決まっておろうが……。「CP」…。読み方を間違えれば「カップル」になっちまうだろうがーーっ!!そんな名前をこの神聖なる会につけるなんて言語道断っ!おのれゴミどもめぇーー!! ヒメ:しゅ、シュウタさんっ…!落ち着いてくださいーっ…!あわわ……。 リカ:戻ってきて、シュウター!まだパーティー始まってないしまだ早いよー!! シュウタ:あぁぁーーーーっ!!クソがよぉ!マジでぇー!……。と、いうわけで他に案は? カノコ:急にスンッってなるの普通に怖いからやめてくれるかしら。 シュウタ:え?なにが? ヒデノリ:自覚症状ないのかよ怖すぎるだろ。…あー、もう名前にこだわらずに普通に飲み会、とかでいいんじゃねぇか? リカ:いや、それだけはありえないっしょ。 カノコ:せっかくのパーティーなのに名前を付けないなんてどうかしてるわ。恥を知りなさい。 シュウタ:死に晒せェ! ヒメ:…ちょっと、それはダメな気がしますね、あはは…。 ヒデノリ:なんで俺急に総攻撃受けてんのぉ!?ヒメもそっち側だしっ!?そんなにダメだったの!? リカ:んー…。ヒメちゃん、なんか良い案ない? ヒメ:ボ、ボクですかぁーっ!? リカ:だって、シュウタはいつも通りだけど、なんか今日はカノコちゃんもテンションおかしいし、私は何も浮かばないし、ヒデノリはなんかツッコミが忙しそうだし。知らんけど…。 ヒデノリ:本当に変わってほしいくらいなんだけど!?リカぁ!? リカ:だから、ヒメちゃんしかいないんだよっ!なんでもいいからさ! ヒメ:え、えーっと、そのぉ……。…ハ、「ハッピースマイル」ー、…「クリスマス会」、とかですかねぇ…。 0: シュウタ:……。 ヒデノリ:……。 リカ:……。 カノコ:……。 0: ヒメ:…あ、えと、そのぉ……。 0: リカ:やば。萌える。 カノコ:可愛すぎて死ねるわ! ヒデノリ:最高だな。 シュウタ:うん、採用。 0: ヒメ:こっ…。これでいいんですかぁーーーーっ!? シーン転換。 0:場面転換。 0: 0:「ハッピースマイルクリスマス会」、一時間ほど経過。 0:出来上がってきたシュウタとペースが遅いヒデノリ。 0: ヒメ:本当にシュウタさんペース早いですね…。大丈夫ですかー…? シュウタ:ふっふっふ…。もうすぐ五缶空く。…っつうか、俺が早いんじゃなくてお前らが遅いんだよぉ!特にヒデノリぃ!なんか今日はペースマジで遅くないかぁ!? ヒデノリ:き、気のせいだろ。それに、さっき今日は酒に飲まれないようにしようって話しただろ? シュウタ:いいや、それにしても遅いね!お前、どうせ俺が酔うと面倒くさいからってみんなより早く帰るつもりだろぉ…。 ヒデノリ:そんなこと考えてねぇよ!大丈夫だよ本当に節制してるだけだから! シュウタ:本当かよォ…。…くっそぉ、何がサンタクロースが恋人ー、だよォ…。滅べよォ……。 リカ:…あー、始まっちゃった。お酒の入ったシュウタは本当に面倒くさくなっちゃうからなぁ…。 カノコ:本当にね。……そんなだから恋人いないんじゃないかしらね…。(小声) シュウタ:あぁー!?なんか言ったかお前ぇ! カノコ:いいえ、何も。 ヒデノリ:まあまあ、そんなことよりもシュウタ!このポテチ美味いから食ってみろよ! ヒメ:……うぅ。お酒が入ったシュウタさんはやっぱり少し怖いです…。 リカ:大丈夫だよヒメちゃん。恋愛に関することを言わなければただこじらせた出会いナシ男が嘆いてるだけだから。 ヒメ:ふぇぇ…。 シュウタ:…ぁ、このポテチ美味っ。…ヒデノリ、これ何味…? ヒデノリ:「わさびのオンパレード」味。シュウタ、わさび好きだから喜ぶかなぁーって思って買ってきたんだよ。口にあったなら何よりだわ。 シュウタ:ん…。これは…。酒が進むっ…! カノコ:流石はヒデノリ、シュウタのなだめ方が上手いわね。 ヒデノリ:まぁ、高校時代からシュウタの友人やってるからなあ。 シュウタ:なぁお前らぁ、チョコ開けていいー? ヒメ:あ、それボクが買ったやつなので好きにしていいですよっ! リカ:シュウター、お手洗い借りていい? シュウタ:んー。そこに見えるドアがトイレだから好きに使ってくれぇ。 リカ:さんきゅっ。 0:リカ、一時離脱。 カノコ:そういえば、今日ケーキ用意してあるんだったかしら。 ヒメ:はい!ケーキはボクが買ってきましたー。 ヒデノリ:何ケーキ? ヒメ:チョコケーキとショートケーキを小さめのホールで買ってきましたっ! カノコ:王道でいいわね。 シュウタ:ショートケーキは好きなんだがイチゴ嫌いだからイチゴだけ代わりに食ってくれ。 ヒデノリ:なんだそりゃ。変わってんなぁ。…あぁ、チョコケーキは確かリカの好物だったから、アイツも喜ぶと思うぞ。 カノコ:あら、そうなの。良く他人の好物なんて覚えてるわね。 ヒデノリ:そういうもの覚えは良いんだよ、俺。 ヒメ:流石ヒデノリさんですっ! ヒデノリ:ハハ、さんきゅっ。 シュウタ:…そういや、いつも思うけどリカのスマホってうるせえよなあ。こうやって話してるうちにも何回かブーブー言ってたし。 カノコ:そうね。まあ彼女、かなり友達が多いみたいだし、よくメールが来るんでしょう。 ヒメ:でも、そんなにメールの通知が来てリカさんは大変にならないのでしょうか…? ヒデノリ:あぁ、アイツはちゃんと沢山の人間関係を制御できるタイプだからな。むしろ楽しんでる、ってこの間言ってたぞ。 ヒメ:す、凄いです…。ボクには絶対無理です…っ! シュウタ:…今リカいないし、どんなメール来てるか見ちまおーっと!どれどれぇ…。 ヒメ:シュウタさんにはプライベートって言葉が通用しないのでしょうか…? 0:シュウタがリカのスマホを手に取る。 カノコ:そういえば話は変わるけれどヒデノリ。貴方、(さっきから随分と) シュウタ:(被せる)あぁぁぁぁぁーーーーーー!?!? ヒメ:ど、どうしたんですかぁ!? ヒデノリ:なんでリカのスマホ見て叫んでんだよ!? シュウタ:……。 0:シュウタ、無言でヒデノリに詰め寄る。 ヒデノリ:え、なになに?怖えんだけど…。シュウター? シュウタ:…これは…。 ヒデノリ:え? シュウタ:これはどういうことだヒデノリぃぃいいいーーーーっ!! 0:シュウタがヒデノリにリカのロック画面を見せる。 ヒデノリ:…あ。やべ…。…あいつっ…! リカ:ただいまー。…って、あれ。これどういう状況? ヒメ:ボ、ボクもなにがなんだか…。 カノコ:ヒメ。…まずいことになりそうな気がするわ。 ヒメ:えぇ…? シュウタ:リカ…。 リカ:え、ウチ? シュウタ:お前が厠(かわや)に行ってる間、俺はお前のスマホの通知を閲覧させてもらった。 リカ:なんでウチ知らない間にプライベート侵害されてんの!?普通に引いたけど!? シュウタ:まあ聞けよ罪人。 リカ:罪人!? シュウタ:問題はこれだ。お前のスマホのロック背景…。 リカ:ロック画……あ。 シュウタ:カノコとヒメも見てくれ。…ヒデノリとリカ二人のプリクラだ。二人で仲睦(なかむつ)まじく抱き合って…。極めつけはデコレーションでハートマークや相合傘。 ヒメ:へ?じゃ、じゃあつまりリカさんとヒデノリさんは…。 シュウタ:正直に答えろ。今俺は冷静さを欠こうとしているんだ…。 カノコ:もうさっき十分欠いていた気がするけれど。 ヒデノリ:……すまん。実は三週間くらい前から付き合ってた。 シュウタ:ようし、刑死。打首獄門(うちくびごくもん)にしてやるよぉ!!数えろォ!罪ィ!! ヒメ:お、落ち着いてくださいシュウタさんっ!!多分二人とも悪意で隠してたわけじゃないと思いますからっ…! ヒデノリ:ほ、本当にその通りなんだ!ほら、このクリスマス会が決まったの一か月前だろ!?クリぼっちの集まりって名目の話で、その後に付き合ったんだよ俺達!! リカ:そうなの!だって考えてみ?みんな楽しみにしてる最中(さなか)、「ウチ、“ヒデりん”と付き合ったのでぼっちクリスマス会行けませーん、ごめんねぇー☆」なんて言えるわけないでしょ! カノコ:言い方がギャルギャルし過ぎるわ。 ヒメ:ヒデりん、かぁ…。三週間でそんなに距離近いんだあ…。羨ましいなあ…。 シュウタ:ぐぅ…。……そっか。そうか…。…俺たちを悲しませないために、してくれたのか…。でも…。…クッソ、くっそぉ……。妬(ねた)ましいぃぃ…っ!!! シュウタ:通りでなんか去年よりも二人とも恋人欲しいとか羨ましいとか言わないなあって思ったんだよォ…。…ぐすっ。 リカ:シュ、シュウタ? シュウタ:うぅ…。何が聖夜だよ…。ぐすっ、魑魅魍魎(ちみもうりょう)の百鬼夜行(ひゃっきやこう)とかに二つ名変えろよォ…。 ヒデノリ:も、もしかしてシュウタ…。泣い、てる? シュウタ:…泣いてねぇし。 ヒメ:でもシュウタさん、涙目だし、目の下あかくなってますよ…? シュウタ:違う。これは、そのー、アレだよ、アレ。わさびチップスがツンと来ただけで、悲しかったわけでは断じてないっ…。ぐすっ…。 リカ:…ウチが言うことじゃないかもだけど、強がらなくていいんだよ…? シュウタ:うるせぇぇ…。もういい、今日は死ぬまで飲む。アルコールのキャパオーバーして浄土に行く…。 ヒデノリ:おぉい、シュウタ…。大丈夫かよ…。 カノコ:…シュウタ、このパーティーの題名を思い出して。 シュウタ:……ハッピースマイルクリスマス会。 カノコ:そう。…せっかくヒメがつけてくれたのだから、その名前の通り、今夜は明るくいきましょう? シュウタ:…そう、だな。今日はもともと、楽しむために集まったんだもんな…。よし。…楽しむか! ヒメ:流石カノコさんっ…!人の立ち直らせ方が上手いです…! カノコ:これでも心理学専攻だからね。 ヒデノリ:…普通にシュウタが単純なだけな気もするけどな。 リカ:あ、じゃあさ!シュウタも立ち直ってくれたことだし、そろそろシャンパンあけない?持ってきたんだ! シュウタ:お!いいねぇ! ヒメ:ボ、ボク、シャンパンなんて飲んだことないんですけど、大丈夫ですかね…? カノコ:ヒメはお酒そこまで強くないから飲んでも三杯までにしておいた方がいいわ。 ヒデノリ:じゃあさ、シャンパンと同時にヒメのケーキも開けようぜ!シャンパンにはイチゴのケーキが合うってこの前テレビでやってたから! シュウタ:いいじゃんいいじゃん!…なんだかやっとパーティーっぽくなってきたか? リカ:最初の方のあれはただの宅飲みだったからね…。じゃ、シャンパン取ってくる! ヒメ:じゃあボクも、冷蔵庫にしまってあるケーキをっ! シュウタ:よっしゃぁ!こっからが本番だぜお前らー!! シーン転換 0:場面転換。 0: 0:ケーキを切り分け、今まさにカノコがシャンパンを開けるところ。 0: カノコ:…ねぇ、このシャンパンを開ける係、本当に私で良かったの? リカ:カノコちゃんが適任だよ!ウチかヒデりんがやるのはなんかアレだし、ヒメちゃんは慣れてないだろうし、シュウタは危なっかしいし。 シュウタ:おい危なっかしいってなんだよ。 リカ:さっきみたいなテンションでやったら吹きこぼれたり暴発しそうで怖いんだもん。 シュウタ:俺信用なさすぎじゃないか…? ヒデノリ:お前は信用がなくなる行動や言動をさっきから酔った勢いで取ってるのをいい加減自覚しろ。 シュウタ:はいはい、面倒くさくてすみませんねぇー! ヒメ:…そういうところだと思います。(小声) シュウタ:…はい、気を付けます。(小声) ヒデノリ:じゃあ、カノコ!カッコよく開けてくれ! カノコ:シャンパンを開けるのにカッコいいもカッコ悪いもあるかしら…?まあいいわ。じゃあ、栓抜くわよ。…せっかくだから、カウントダウンとかしてみる? ヒメ:おぉー!いいですねっ!楽しそう…!! シュウタ:凄ぇパーティーみたいだな! リカ:あれ、パーティーじゃなかったっけ? カノコ:じゃあ、5から一人ずつ言っていきましょうか。…準備はいいかしら?…せーのっ。 0: リカ:5! 0: ヒデノリ:4! 0: シュウタ:3! 0: ヒメ:2! 0: カノコ:1! 0: 0:「ポンッ!!」 0: シュウタ:いえーい! ヒデノリ:やっぱりこういうのをあける時の音は良い音だな! リカ:本当!なんだかドキドキしたし!! ヒメ:カノコさん…、カッコ良かったですーっ…!! カノコ:ありがとう、ヒメ。さあ、注ぐわよ。 0:カノコが上品にみんなのグラスにシャンパンを注いでいく。 シュウタ:あっ!そうだ!俺、今日お前たちと議論したいことがあったんだよ! ヒメ:ぎろん? シュウタ:そう!みんな、クリスマスという行事から恋人という不純物を抜いて考えてみてくれ。 ヒデノリ:クリスマスにすぐカップルを絡める奴はこの中にお前しかいねえよ。 カノコ:本当、もっとあるでしょう。サンタクロースとか、トナカイとか。 シュウタ:あー、そうそう!そういうの。子供の頃よく考えなかったか?「なんでサンタはトナカイで空を走るのか。」とか。馬じゃダメなのかね? ヒメ:え、でもそれって真っ赤なお鼻がライトになって便利だからなんじゃないですか? リカ:でも、現実のトナカイって、あんまり鼻赤くないし、普通のトナカイは空飛べないじゃん? ヒデノリ:リカは議論をかなり現実的に考えるタイプだな…。 シュウタ:まあ、でもそういうことだよ!そういうのを、なんでだーとか、そういうのを考えるディベートがしたい。 カノコ:シュウタにしては面白そうな提案じゃない。私、そういうの好きよ。 ヒメ:さ…、先に行っておきますが、怖いのでブラックサンタの話はナシで…!! カノコ:…ブラックサンタ、真っ先に言おうとしたのだけれど、残念ね。…さ、シュウタ。注ぎ終わったわよ。 リカ:乾杯の音頭をお願いします、理事長ーっ! ヒデノリ:さっきの醜態をチャラにするくらいカッコよく、バチっとキメてくれ!! シュウタ:おう、任せろ!じゃあみんな、グラスは持ったなー?! 0: 0:シュウタが立ち上がると、五人はシャンパングラスを掲げる。 0: シュウタ:えー、みんな今日は集まってくれて本当にありがとう…!俺は今年、このクリスマスを親愛なる友人たちと共に過ごせていることを本当に嬉しく思う…!! シュウタ:元はプチ忘年会兼クリスマスパーティー兼宅飲み、みたいな感じだったが、シャンパンやらケーキやらをみんなが持ち寄ってくれたおかげで超豪華になってて、内心結構ウキウキだ!本当ありがとう! シュウタ:そして。妬ましいけど!!…晴れて勝ち組、比翼連理(ひよくれんり)となったヒデノリとリカに祝福を……ッ! ヒデノリ:ハハ、ありがとな、シュウタ。でも絶対、シュウタにもいい人見つかるからさ! リカ:うんうん、シュウタなら大丈夫だよ。もし恋愛相談とかあったら、ウチを頼ってくれていいかんね!結構恋愛相談は得意だからさ! シュウタ:…今ようやく気付いた。持つべきものは…、やはり、友である、と。 ヒメ:そうですよ、恋人が居なくてもシュウタさんにはボクらがいるじゃないですか!恋人なんて追々見つければいいと思いますっ! カノコ:…シュウタはヒメのこの純粋スマイルの励ましをもらえたことをありがたく思ったほうがいいわよ。 シュウタ:ああ…!本当に四人ともありがとう…!って、なんか終わる感じの流れになってるが終わらないからな! シュウタ:むしろ、俺たちのクリスマスはまだこれからだ、ということで!まだまだ酔っぱらって、盛り上がっていくぞ!!乾杯ーっ!! 0: ヒデノリ:乾杯っ!!(同時に) リカ:乾杯!!(同時に) カノコ:乾杯。(同時に) ヒメ:乾杯ですっ…!!(同時に) 0: 0: シュウタ:そして、クリスマスディベート最初の議題は、最もマストな疑問であるこれから行こう!! 0: シュウタ:「そもさん、サンタクロースは存在するのか?」! 0: ヒデノリ:お前マジか!?(同時に) リカ:シュウタマジ!?(同時に) カノコ:本気で言ってるの…?(同時に) ヒメ:いきなり核心ですねっ…!(同時に) シーン転換 0:場面転換。 0: 0:時は過ぎて、12月26日月曜日。朝七時。 0:二日酔いで目覚めるシュウタ。 0: シュウタ:っあー…。頭痛い、だるい…。マジで昨日飲みすぎたな…。シャンパンでイッキやるなよ炭酸きついんだから…。ったく。 シュウタ:…アレ、アイツらどうやって帰ったんだっけ。…覚えてねえや。……。 シュウタ:…とりあえずテレビでもつけるか。 0: 0:テレビの電源がつく。やっているのは朝のニュース番組。 0:クリスマス特集らしい。 0: シュウタ:…ふぅん、イルミネーションかあ。…多分ヒデノリとリカ、もう行ったか今度行くんだろうなあ。 シュウタ:…はぁー。やっぱ羨ましいなあ…。 シュウタ:あ。イルミネーションの街頭インタビューみたいなのに切り替わった。…これ、どうせカップル共が幸せそうにインタビューに出るんだろー。 0:シュウタの予想通りカップルの幸せそうなインタビューが流れる。 シュウタ:…あー、やっぱりなぁ。…まあでも、友人にリア充できたし、少しは(耐性をつけておかないと) 0: カノコ:(被せる)はい、恋人と来ました。 0: シュウタ:…あ? 0: 0:シュウタがテレビをバッと見ると、 0:そこに映っているのは恋人繋ぎをしているヒメとカノコだった。 0: シュウタ:…こい、びと? 0: カノコ:はい、せっかくのクリスマスだし一緒に見に行こう、ということで。 カノコ:プロジェクションマッピングもとっても綺麗で、来てよかったなーって思いました。 0: シュウタ:…あれ、え?だってヒメとカノコ…。 0: ヒメ:幻想的な空気を好きな人と一緒に楽しめるのがロマンチックで、素敵だと思いますっ! 0: 0:インタビュー画像が終わり、ニュースに戻る。 0: シュウタ:…つまり。…昨日本当にボッチだったのは…。俺だけ? シュウタ:…ヒ、ヒヒヒヒ…ヒ、ヒ……。 シュウタ:リ、リア充は……、 0: 0: シュウタ:爆発だぁぁぁぁああああああーーーーーっっ!! 0: 0:Merry Christmas!!