台本概要

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タイトル 半透明の檻
作者名 ぐら  (@gura2943)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 僕はどんな存在なんだろうか。
僕はどんな存在が良いのだろうか。
道化のように流動的に
表に出すのは喜楽だけ。

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※サシ劇、10~15分程度。
※性別変更可。
※語尾変更や世界観を壊さない程度のアドリブ可。
※※ハッピーエンドはありません※※

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
39 男性。
39 女性。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
○:また会ったね。 ○:今日も楽しかったよ。 ○:耳障りの良い言葉を羅列すれば自然と人は群れを成して ○:その分自分と周りの距離が開く。 ○:いいや、きっと距離は縮まっているんだろうけれど。それを甘受しきれない自分がいる。 ○:僕はどんな存在なんだろうか ○:僕はどんな存在が良いのだろうか。 ○:道化のように流動的に ○:表に出すのは喜楽だけ。 : : : : : △:○さんってさ、何考えてるか分からないよね。 ○:…え?そうかな。 △:そうだよ。皆にいい顔してるけどさ、でも○さんの気持ちは全然分からない。 ○:分かり易いと思うんだけどな。 △:人に好かれたいんだろうなっては思うよ。 ○:やっぱりよく解ってるじゃない。 △:そういう事じゃないって分かって言ってるよね? : : : : : △:○さんは狡い人だ。 △:人をよく見ているせいで、自分を見せないようにしている。 △:その癖、心を開いているように振る舞うからタチが悪い。 △:そのほんの少しの優遇で、喜んでる自分もどうかしていると思うけれど。 △:また会ったね。 △:今日も楽しかったよ。 △:あまりにも耳障りが良過ぎて、微温湯に浸りきってしまうんだ。 : : : : : ○:じゃあさ、△は僕に何を求めてるの? △:何を求めてる、って言われても…困る。 ○:困られても困るよ。 △:求めたら応えてくれるの? ○:それは…難しいかな。 △:ほら、やっぱり。狡いだけだ。 ○:ほらやっぱり…って、心外だな。 △:寄り添うようで、肝心な所でのらりくらり躱していくじゃない。 ○:それは… △:違う、なんて言えないよね? ○:……… △:…意地悪だった、今のは。ごめん。 ○:いや、僕も…ごめん? △:それは、なんのごめん? ○:…応えられなくて、のごめんかな。 △:謝られたら、余計に虚しくなるよ。 ○:ごめ…ッ、あ…。 △:もういいよ、最初から期待はしてなかったし。 ○:うん…。 △:でも、さ。もし、もしもだよ。 ○:うん。 △:応えてくれる世界線があったら、もっと楽しかったのかもしれない。 ○:そっか。 △:そうしたら、私はまだここに居たのかもしれないな。 ○:うん…そうだね。 : : : : : ○:彼女は目の前から消えた。 ○:痕跡すら綺麗に消して、最初から存在しなかったかのように。 ○:僕の耳の奥には、声が未だに染み付いているというのに。 ○:狡いのは、どちらだったんだろう。 : : : : : △:最初に逃げたのは私。 △:これ以上、耐えられそうには無かったから。 △:安易な道を辿ったと、彼は叱るだろうか。 △:それとも、笑うんだろうか。 △:それ位は知りたかったかもしれない。 △:○さん、私もうやめる。 ○:やめる、って? △:○さんに頼るの、やめる。 ○:そんなに頼られてたっけ? △:うん、頼ってた。でも、このままだと私は駄目になると思うから。 ○:そっか。 △:うん、そうなの。 ○:寂しくなるな。△が居なくなるのは。 △:本当に思ってる? ○:思ってるよ。仲の良い人が居なくなるのは寂しいし悲しい。 △:ほら、結局は大勢の中の一人だった。 ○:それは最初から解ってた事でしょう? △:それでも、少しは特別になれたと思ってたんだけどな。 ○:特別だったよ、そりゃあ。 △:…そういう言葉が、一番狡い。 ○:狡くてごめん。でも、これが僕だから。 △:知ってる。そんな○さんだから私は救われたの。 ○:それなら… △:だからダメなの。このままじゃ私は余計に駄目になる。 ○:…… △:私はちゃんとしなきゃいけないんだ。そう、ちゃんと。 ○:ちゃんと、って? △:今はまだ私も分からないけど…でも、きっとそのうち分かるんだと思う。少なくとも、このままじゃいけないのは確か。 ○:そっか。 △:うん、だからバイバイ。 : : : : : ○:バイバイ、と告げた彼女と二度と会えないなんて思っていなかった。 ○:否、理解したく無かったという方が正しいのかもしれない。自らの心地よい空間を崩したくなかったから。 ○:彼女が居なくなってからも、いつも通りの生活が続く。ただ、周りに彼女の姿が無いだけ。 ○:周りを構成する不特定多数のうちの一人。ただその認識だけだったはずなのに、気が付けば今何をしているんだろうなんて考えた。 ○:一度考えて仕舞えば、最近元気ないねなんて言われることが増えて気が付く。 ○:彼女が居なくて駄目になるのは自分の方だったんだ。 : : : : : △:自分で○さんと距離を置いた。 △:それが正しい判断だと信じて。 △:これ以上○さんと居るのは自分が辛くて、自分可愛さに会う事をしなくなった。 △:知人伝てに最近元気がないときいて、心配になりつつも興味が無い振りをする。 △:自分の態度は露骨だったらしく、いいの?なんて聞かれたりもした。 △:ここで会ってしまったらダメになる。 △:それは、相手も同じことを思っているはずだから。 △:…というのは、単なる希望だけれど。 : : : : : ○:あっ…久しぶり、△。 △:あれ、○さん。久しぶりだね。 ○:うん、凄く久しぶりだ。元気にしてた? △:お陰様で、ボチボチかなぁ。○さんは? ○:僕?僕も…ぼちぼちかなぁ。 △:そっか、それなら良かった。 ○:そうだね、あの…それでさ─ △:っと、ちょっと待って旦那から連絡だ。 ○:旦那…さん? △:そう、今や人妻だよ私。あの時は考えられなかったや。 ○:そっ…か。 △:それで、何だっけ?話遮ってごめんね。 ○:いや、何でもないよ。幸せにしてるか聞きたかっただけだから。 △:変なの。幸せだよ、すっごくね! : : : : : △:他愛もない話をして別れた。 △:正直、直ぐに別れることが出来て良かったとさえ思っている。 △:自分でも、こんなに未練たらしく想っていただなんて思わなかった。 △:幸せだよ、なんて咄嗟に言ったけれど幸せなんてヒトカケすら無くて △:実際は束縛が酷い男にまんまと捕まっただけ。 △:でも、頼る事は辞めたんだ。 △:そう、自分に言い聞かせて振り返らず歩みを進めた。 : : : : : ○:幸せだと笑った顔が忘れられない。 ○:脳裏に焼き付いた綺麗な顔は、歳を経て更に輝いていたように思える。 ○:変わらないのは、変わらない事を選択したのは自分。 ○:爪が食い込むほど拳を握っては、立ち去る彼女の後ろ姿を見ていた。 ○:きっと、二度ともう会うことは無いだろうという気持ちを噛み締めながら。 : : : END

○:また会ったね。 ○:今日も楽しかったよ。 ○:耳障りの良い言葉を羅列すれば自然と人は群れを成して ○:その分自分と周りの距離が開く。 ○:いいや、きっと距離は縮まっているんだろうけれど。それを甘受しきれない自分がいる。 ○:僕はどんな存在なんだろうか ○:僕はどんな存在が良いのだろうか。 ○:道化のように流動的に ○:表に出すのは喜楽だけ。 : : : : : △:○さんってさ、何考えてるか分からないよね。 ○:…え?そうかな。 △:そうだよ。皆にいい顔してるけどさ、でも○さんの気持ちは全然分からない。 ○:分かり易いと思うんだけどな。 △:人に好かれたいんだろうなっては思うよ。 ○:やっぱりよく解ってるじゃない。 △:そういう事じゃないって分かって言ってるよね? : : : : : △:○さんは狡い人だ。 △:人をよく見ているせいで、自分を見せないようにしている。 △:その癖、心を開いているように振る舞うからタチが悪い。 △:そのほんの少しの優遇で、喜んでる自分もどうかしていると思うけれど。 △:また会ったね。 △:今日も楽しかったよ。 △:あまりにも耳障りが良過ぎて、微温湯に浸りきってしまうんだ。 : : : : : ○:じゃあさ、△は僕に何を求めてるの? △:何を求めてる、って言われても…困る。 ○:困られても困るよ。 △:求めたら応えてくれるの? ○:それは…難しいかな。 △:ほら、やっぱり。狡いだけだ。 ○:ほらやっぱり…って、心外だな。 △:寄り添うようで、肝心な所でのらりくらり躱していくじゃない。 ○:それは… △:違う、なんて言えないよね? ○:……… △:…意地悪だった、今のは。ごめん。 ○:いや、僕も…ごめん? △:それは、なんのごめん? ○:…応えられなくて、のごめんかな。 △:謝られたら、余計に虚しくなるよ。 ○:ごめ…ッ、あ…。 △:もういいよ、最初から期待はしてなかったし。 ○:うん…。 △:でも、さ。もし、もしもだよ。 ○:うん。 △:応えてくれる世界線があったら、もっと楽しかったのかもしれない。 ○:そっか。 △:そうしたら、私はまだここに居たのかもしれないな。 ○:うん…そうだね。 : : : : : ○:彼女は目の前から消えた。 ○:痕跡すら綺麗に消して、最初から存在しなかったかのように。 ○:僕の耳の奥には、声が未だに染み付いているというのに。 ○:狡いのは、どちらだったんだろう。 : : : : : △:最初に逃げたのは私。 △:これ以上、耐えられそうには無かったから。 △:安易な道を辿ったと、彼は叱るだろうか。 △:それとも、笑うんだろうか。 △:それ位は知りたかったかもしれない。 △:○さん、私もうやめる。 ○:やめる、って? △:○さんに頼るの、やめる。 ○:そんなに頼られてたっけ? △:うん、頼ってた。でも、このままだと私は駄目になると思うから。 ○:そっか。 △:うん、そうなの。 ○:寂しくなるな。△が居なくなるのは。 △:本当に思ってる? ○:思ってるよ。仲の良い人が居なくなるのは寂しいし悲しい。 △:ほら、結局は大勢の中の一人だった。 ○:それは最初から解ってた事でしょう? △:それでも、少しは特別になれたと思ってたんだけどな。 ○:特別だったよ、そりゃあ。 △:…そういう言葉が、一番狡い。 ○:狡くてごめん。でも、これが僕だから。 △:知ってる。そんな○さんだから私は救われたの。 ○:それなら… △:だからダメなの。このままじゃ私は余計に駄目になる。 ○:…… △:私はちゃんとしなきゃいけないんだ。そう、ちゃんと。 ○:ちゃんと、って? △:今はまだ私も分からないけど…でも、きっとそのうち分かるんだと思う。少なくとも、このままじゃいけないのは確か。 ○:そっか。 △:うん、だからバイバイ。 : : : : : ○:バイバイ、と告げた彼女と二度と会えないなんて思っていなかった。 ○:否、理解したく無かったという方が正しいのかもしれない。自らの心地よい空間を崩したくなかったから。 ○:彼女が居なくなってからも、いつも通りの生活が続く。ただ、周りに彼女の姿が無いだけ。 ○:周りを構成する不特定多数のうちの一人。ただその認識だけだったはずなのに、気が付けば今何をしているんだろうなんて考えた。 ○:一度考えて仕舞えば、最近元気ないねなんて言われることが増えて気が付く。 ○:彼女が居なくて駄目になるのは自分の方だったんだ。 : : : : : △:自分で○さんと距離を置いた。 △:それが正しい判断だと信じて。 △:これ以上○さんと居るのは自分が辛くて、自分可愛さに会う事をしなくなった。 △:知人伝てに最近元気がないときいて、心配になりつつも興味が無い振りをする。 △:自分の態度は露骨だったらしく、いいの?なんて聞かれたりもした。 △:ここで会ってしまったらダメになる。 △:それは、相手も同じことを思っているはずだから。 △:…というのは、単なる希望だけれど。 : : : : : ○:あっ…久しぶり、△。 △:あれ、○さん。久しぶりだね。 ○:うん、凄く久しぶりだ。元気にしてた? △:お陰様で、ボチボチかなぁ。○さんは? ○:僕?僕も…ぼちぼちかなぁ。 △:そっか、それなら良かった。 ○:そうだね、あの…それでさ─ △:っと、ちょっと待って旦那から連絡だ。 ○:旦那…さん? △:そう、今や人妻だよ私。あの時は考えられなかったや。 ○:そっ…か。 △:それで、何だっけ?話遮ってごめんね。 ○:いや、何でもないよ。幸せにしてるか聞きたかっただけだから。 △:変なの。幸せだよ、すっごくね! : : : : : △:他愛もない話をして別れた。 △:正直、直ぐに別れることが出来て良かったとさえ思っている。 △:自分でも、こんなに未練たらしく想っていただなんて思わなかった。 △:幸せだよ、なんて咄嗟に言ったけれど幸せなんてヒトカケすら無くて △:実際は束縛が酷い男にまんまと捕まっただけ。 △:でも、頼る事は辞めたんだ。 △:そう、自分に言い聞かせて振り返らず歩みを進めた。 : : : : : ○:幸せだと笑った顔が忘れられない。 ○:脳裏に焼き付いた綺麗な顔は、歳を経て更に輝いていたように思える。 ○:変わらないのは、変わらない事を選択したのは自分。 ○:爪が食い込むほど拳を握っては、立ち去る彼女の後ろ姿を見ていた。 ○:きっと、二度ともう会うことは無いだろうという気持ちを噛み締めながら。 : : : END