台本概要
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タイトル | アラン・フィンリー外伝 ~ジェームス・コイルの憂鬱~ |
---|---|
作者名 | Danzig |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、不問1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず連絡不要 |
説明 |
アラン・フィンリーの外伝3です。 女×男女不問版です。 この本は、アラン・フィンリー探偵事務所3を読んでから、読む事をお勧めします。 尚、これは、アラン・フィンリー探偵事務所の別の話であって、本編を補完するものではありません。 本編とは無関係と思っていただけると有難いです。 ・・・という建前です。 ジェームスに降りかかる災難とは・・・ 250 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ジェームス | 男 | 75 | ロンドン秘密情報部のエージェント |
ローレン | 不問 | 71 | ロンドン秘密情報部の職員 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
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0:ジェームス・コイルの憂鬱
0:
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ジェームス(M):とある朝、ロンドンのイーストエンドで女性の死体が発見された。
ジェームス(M):その死体の首の左脇辺りには、刃物のような物で切られた跡があったという
ジェームス(M):通常、こういった殺人事件は、警察の仕事であり、私達、秘密情報部には無縁の仕事だ
ジェームス(M):今回事件も、当初、死体は通常通り警察により検死(けんし)が行われた。
ジェームス(M):しかし、その検死結果を受け、この事件には秘密情報部が介入する事となった。
:
ジェームス:ローレン、ちょっと頼まれてくれるか。
:
ローレン:どうしたんですか、ジェームスさん。
:
ジェームス:今日、ロンドン警視庁から死体が届けられるから、鑑識(かんしき)部門に回してくれ
ジェームス:死体をもう一度、我々の視点で調査するようにって伝えて欲しいんだ。
:
ローレン:分かりました。
ローレン:ちなみに、それはどんな死体なんですか?
ローレン:警察から死体が回ってくるなんて、そんなに無い事ですよね。
:
ジェームス:本来はそうなんだが・・・・最近続いててな
:
ローレン:前回は確か・・・あぁ、あの殺人鬼の。
ローレン:そういえば、あれもジェームスさんでしたね
:
ジェームス:ああ、嫌な事件だったよ。 いろいろとな
:
ローレン:「いろいろと」ですか・・・大変だったんですね。
ローレン:で、今回のは?
:
ジェームス:うーん・・・首の左脇辺りに刃物の切り跡があるんだが、死因が不明なんだってさ
:
ローレン:首に切り跡があるなら、普通は失血死(しっけつし)だと思うんですけどね。
:
ジェームス:そうじゃないから、うちに来るんだろ
:
ローレン:まぁ、そうですね
:
ジェームス:その死体はあまり出血をしていないらしいんだ
:
ローレン:つまり、首の傷は死んでから付けられたって事ですか?
:
ジェームス:ああ、そうなるな
ジェームス:でも、傷は首にしか付いてないし、血液からも疑わしい成分は検出されなかったって話だ
:
ローレン:それで、うちに。
:
ジェームス:そういう事。
ジェームス:嫌な事件にならなきゃいいんだが・・・
:
:
ジェームス(M):俺はそれから、資料の作成や警察から送られてきたデータや写真のファイリングなどの処理に追われ、気が付いたら昼になっていた。
:
ジェームス:うーん・・・終わったぁ。
ジェームス:あぁ、もうこんな時間かぁ・・・朝食は食べられなかったな
ジェームス:じゃぁ、仕事も一段落したし、今日のランチは、少し遠出をして、あの店まで行ってみるか。
:
ジェームス(M):この時の俺はまだ、この後に起こる一連の事件を想像すらしていなかった・・・
ジェームス(M):
ジェームス(M):そして、死体の発見から数日後の午前4時頃、突然、俺の携帯電話が鳴った。
ジェームス(M):その日夜勤をしていた職員のローレンからの電話だった。
:
ジェームス:こんな時間に・・・
ジェームス:はい、ジェームス・コイル
:
ローレン:ジェームスさん、今日、また例の殺人事件が起きたようです。
:
ジェームス:何だって・・・ちょっと待っててくれ、直ぐに行く
:
ジェームス(M):俺はローレンからの連絡を受けて、直ぐに秘密情報部のオフィスへと向かった
ジェームス(M):オフィスに到着した俺は、ローレンから今回の事件の概要(がいよう)を聞いた。
ジェームス(M):昨日の夜中にイーストエンドの路地裏で首の左脇に切り跡のある死体が発見されたらしい。
ジェームス(M):首に切り跡のある死体はこれで3体目になる。
ジェームス(M):現在、死体は警察が回収し、検死を行っているが、今の所、まだ死亡推定時刻や死因は分かっていないという事だった。
:
ローレン:一応、警察で一通りの検死を行った後、これまでと同じだったら、こちらに死体を回すそうです。
:
ジェームス:そうか、分かった
:
ローレン:あと、死体発見当時の状況や、現在分かっているデータなどの、警察から連携された情報は、全てジェームスさんのメールに送ってあります。
:
ジェームス:ありがとう、助かるよ
ジェームス:これまでの2つの死体の調査結果はまだ来てないよな?
:
ローレン:まだですね。
ローレン:もし今回の死体がこっちに来るなら、比較の為に、もう数日はかかるんじゃないですかね。
:
ジェームス:そうだな
:
ローレン:さて・・・じゃぁ、ちょっと早いですけど、私はもうこれで帰りますね。
:
ジェームス:分かったよ、お疲れ様。
:
ジェームス(M):夜勤明けのローレンを見送ったその二日後、3つの死体の調査結果が俺の元に送られてくる事となる。
0:
0:(二日後)
0:
ジェームス:はぁ・・・
ジェームス:また、あそこに行かなきゃいけないのか・・・
:
ジェームス(N):俺は、秘密情報部の一室で、調査結果を見ながら、何とも言えない失意(しつい)を噛みしめていた
:
ローレン:どうしたんですか、ジェームスさん
:
ジェームス:ちょっとな・・・
:
ローレン:例の死体の調査結果が届いたんですか?
:
ジェームス:ああ・・・そうなんだが・・・
:
ローレン:どうだったんですか?
:
ジェームス:これを見てくれ
:
ジェームス(N):そう言って俺はローレンに調査結果を見せた
:
ローレン:二つの穴と、唾液の成分?
ローレン:へー、あのナイフの傷は、噛み跡を隠す為に付けたものだったんですね。
:
ジェームス:ああ
:
ローレン:首に噛みつくなんて、まるで吸血鬼(ヴァンパイア)みたいですね。
ローレン:この犯人は、ヴァンパイアになりたかったんですかね、それとも、本当に自分がヴァンパイアだと思ってるとか。
:
ジェームス:そうだといいんだけがな
:
ローレン:どういう事ですか?
:
ジェームス:死亡推定時刻を見てくれ。
:
ローレン:この時刻がどうかしたんですか?
:
ジェームス:死体発見時とあまり変わらないんだよ。
:
ローレン:それって、死体をどっかから持って来たのではなく、死体の発見現場に被害者の死因があるって事ですか?
:
ジェームス:そう、
ジェームス:だが、死体の血液からは死因となる成分は検出されていないし、死体の傷は首にしかないんだ。
ジェームス:そして、ナイフの切り傷からは血はあまり出ていない
:
ローレン:つまり、噛みついた事が死因だと?
:
ジェームス:そういう事
:
ローレン:ショック死ですかね? でも、それだと検死での特定は難しいと思いますけど・・・
:
ジェームス:そうだな、検死ではショック死かどうかは分からない、だから、ひょっとしたら違う原因かもしれないな。
ジェームス:だが、分かっている事は、3つの死体が、どれも同じ結果だったって事だ
:
ローレン:うーん・・・なんとも不思議な話ですね。
ローレン:それじゃぁ、今回の事件は、一旦、犯人がヴァンパイアという事で動くんですか?
:
ジェームス:ああ、一応は、そうするしかないよな
:
ローレン:そうですか・・・
ローレン:そういえば、ヴァンパイアといえば、確かヨークシャーに・・・
:
ジェームス:そうなんだ、ヨークシャーのヘリンで、うちの職員がヴァンパイアの監視をしているんだが・・・
:
ローレン:それじゃぁ、その人に詳しく聞いてみるんですか?
:
ジェームス:それが、今、その職員とは連絡が取れなくなっているんだ
:
ローレン:お休みされてるって事ですか?
:
ジェームス:どうも、そうじゃないらしい、だが、幾つかの方法で連絡してみたが、どの方法でもダメなんだよ。
:
ローレン:どうしたんですかね?
:
ジェームス:それで、少し調べて見たら、どうやらヘリンでも、何軒かの殺人事件があったらしくてな・・・
:
ローレン:その職員の方も殺されたって事ですか?
:
ジェームス:いや、殺された人のリストの中には、その職員の名前はなかったよ
:
ローレン:うーん、不思議ですね。
:
ジェームス:ああ、それで、気になってそのヨークシャーの殺人事件と、ヴァンパイアの資料を一通り見てみたんだが・・・
ジェームス:これさ
:
ローレン:ん? ヨークシャーの死体にも首に切り跡ですか・・・
ローレン:しかも、この資料に書いてあるヴァンパイアの殺し方も同じ・・・・
:
ジェームス:ああ、そうなんだ
:
ローレン:じゃぁ、もう決まりですかね
:
ジェームス:はぁ・・・
:
ローレン:何をそんなに落ち込んでるんですか?
ローレン:ジェームスさんが、そんなに落ち込むなんて珍しいですね。
:
ジェームス:どうして、こういう案件が俺の所に回ってくるんだよ・・・
:
ローレン:それはたまたま・・・まぁそれか、ジェームスさんが、そういう運を持っているか
:
ジェームス:はぁ・・・俺はこういう事で協力を頼める人間を一人しか知らないのさ・・・
:
ローレン:あぁ・・あの、やたらお金のかかる民間人
:
ジェームス:ったく、今度はいくら取られるんだよ・・・
:
ローレン:ははは、またレイモンドさんにお小言を言われちゃいそうですね
ローレン:でも、まぁ、実際にはキチンと事件は解決してるんだし・・・
:
ジェームス:その解決の方法も問題なんだ
:
ローレン:・・・何かあったんですか?
:
ジェームス:思い出したくもないよ
:
ローレン:そうですか・・・
:
ジェームス:はぁ・・・
:
:
ジェームス(M):そして、その数時間後、俺は二度と行きたくないと思っていた、アラン・フィンリー探偵事務所のドアを叩いていた
ジェームス(M):
ジェームス(M):
ジェームス(M):アランの事務所で、俺はアランに今回の事件の説明をしたのだが、驚いた事に、アランはこの件に関して、俺達が調べた以上の情報を持っていた。
ジェームス(M):しかし、驚く事はそれだけではなかった。
ジェームス(M):この件には先約があり、その依頼主が、現在連絡が取れなくなっていた職員のエリス・ランシーであり、しかも、エリスは、犯人であるヴァンパイアの姉であるという話を聞かされた。
ジェームス(M):
ジェームス(M):結局、先約ありという事で、俺はアランに今回の依頼を断られてしまった。
ジェームス(M):しかし、当初の俺の目的は、危険な人外であろうと思われる「今回の犯人」を殺す事だから、
ジェームス(M):それについては、アランが先約の依頼を引き受けた事で、どうやら達成出来そうだ。
ジェームス(M):しかもタダで。
ジェームス(M):
ジェームス(M):今回の案件は、話の経緯(いきさつ)から、図(はか)らずも、俺がアランの手伝いをするという形となったが、低予算で目的が達成できるのであれば、まぁ、それもいいだろう。
ジェームス(M):
ジェームス(M):
ジェームス(M):それから暫くの間、アランの事務所で、俺とアランとエリスの三人は、ヴァンパイアの事について話をした。
ジェームス(M):その話の中で、ヴァンパイアの目的が、どうやらヴァンパイアが儀式を行う為のルビーではないかという話になったのだが、
ジェームス(M):そのルビーは、300年前に国の役人がヨークシャーから持ち去ってしまい、今はどこにあるのか分からないという事であった。
ジェームス(M):
ジェームス(M):アランには「この国の人間は、欲しいものは何でもかんでも持って来る」と、嫌味と冷ややかな目を向けられたが、
ジェームス(M):国の役人の仕業であるなら、秘密情報部で何とか分かるかもしれないと思い、俺はローレンに電話を掛ける事にした。
:
ローレン:はい、ローレンです。
:
ジェームス:ジェームスだ。
ジェームス:ちょっとローレンに大至急調べて欲しい事があるんだ
:
ローレン:なんですか、調べて欲しい事って?
:
ジェームス:300年前に、国の役人が、ヨークシャーから「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」というルビーをロンドンに持ち去ったみたいなんだ。
ジェームス:そのルビーの行方(ゆくえ)を捜して貰えないか。
:
ローレン:ちょっと待ってくださいね・・・ルベウス・・・ルナですか?
ローレン:どういう経緯(いきさつ)のルビーなのか分かりますか?
:
ジェームス:ああ、
ジェームス:ヨークシャーのヴァンパイアが儀式に使ったというルビーで、元々はレディングという一族のものだったらしい。
:
ローレン:わかりました。 あのヴァンパイア絡みの品なんですね。
ローレン:国の役人っていう話なら、案外直ぐに分かるかもしれませんね。
ローレン:それで、時間はどれくらい貰えます?
:
ジェームス:打ち合わせ中に欲しいから、なるべく早く頼みたい
:
ローレン:分かりました、では、もし時間がかかりそうでも、ある程度の段階で、一旦連絡を入れます。
:
ジェームス:分かった、頼むよ。
:
:
ジェームス(M):それから30分程過ぎた頃、ローレンから折り返しの電話が掛かって来た。
:
ローレン:ジェームスさん、分かりましたよ。
ローレン:「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」は、確かに300年程前に我々の組織の前身である「英国秘密情報局(えいこくひみつじょうほうきょく)」の人間が、治安維持の目的と称(しょう)して、ロンドンに持ち帰っているようです。
:
ジェームス:治安維持の目的?
:
ローレン:ええ、
ローレン:ヨークシャーにそのルビーがあると、ヴァンパイアが復活した時に犠牲者が大勢でるからだそうです。
:
ジェームス:それはまた、大層(たいそう)な屁理屈(へりくつ)だな
:
ローレン:まぁ、そうですね。
ローレン:で、そのルビーなんですが、ロンドンに持ち帰った当初は、ルビーの凄さに加えて、ヴァンパイアの逸話(いつわ)という付加価値が加わって、社交界ではちょっとした話題になったようです。
:
ジェームス:やっぱり、珍しいから欲しかったって事じゃないか・・・ったく・・・
ジェームス:それで?
:
ローレン:当時は誰が所有するかで揉めたようで、取り合いにまでなったそうなんです。
ローレン:ですが、最初に所有した者が不思議な死に方をして、次の所有者も不慮(ふりょ)の事故にあって死んだりと、数年間のうちに持ち主がどんどん変わって行ったようです。
:
ジェームス:そうだったのか・・・
ジェームス:それで、ルビーは、今は何処にあるんだ?
:
ローレン:それが、そのうちに社交界では「不吉なルビー」と呼ばれるようになり、いつしか、どこにあるのか、誰が持っているのかが分からなくなったという事です。
:
ジェームス:そうなのか・・・
ジェームス:結局、所在は分からなかったという事だな?
:
ローレン:いえいえ
ローレン:私はこれでも諜報機関の人間ですからね、資料に無いから分からないとは言いませんよ。
ローレン:そんな「曰く付き(いわくつき)」のルビーなら、絶対に欲しがる人がいるでしょ。
ローレン:ですから、欲しがりそうな所を探してみました。
:
ジェームス:欲しがりそうな所?
:
ローレン:ええ
ローレン:ヴァンピリウム美術館です。
ローレン:あそこは、その界隈(かいわい)では有名な「オカルト好き」ですからね、名前もヴァンピリウムってくらいですし。
:
ジェームス:ヴァンピリウムって?
:
ローレン:ラテン語で「ヴァンパイアの居場所」って感じの意味になりますかね。
ローレン:で、そこの所蔵品の一覧を調べてみたら、やっぱりありましたよ「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」が。
ローレン:他にも幾つか調査候補(ちょうさこうほ)はあったんですが、一発でヒットしましたよ。
:
ジェームス:流石だな。 で、そこにあるってのは本当なのか?
:
ローレン:ええ、でも今は一般公開はしていないようですね。
ローレン:特別な展示室という所で厳重に保管されていて、普段は人を入れないらしいです。
:
ジェームス:そうか・・・
:
ローレン:どうします、ジェームスさん、あそこは公的機関ですし、私達が頼めば見せてもらう事くらいは出来ると思いますよ。
:
ジェームス:ありがとうローレン、助かったよ。
ジェームス:見学については、ちょっとこっちで調整するから、また、後で連絡するよ。
:
ローレン:わかりました、では、連絡をお待ちしています。
:
ジェームス(M):俺はローレンとの電話を切った。
ジェームス(M):そして、アランに今電話で聞いた事を伝え、俺達は、その日のうちに、ヴァンピリウム美術館へと向う事となった。
ジェームス(M):
ジェームス(M):美術館では、ローレンが事前に連絡を入れておいてくれたお陰で、学芸員が俺達を出迎えてくれた。
ジェームス(M):
ジェームス(M):案内された展示室で、俺達は思いがけず、ヴァンパイアの、シャノン・レディングと遭遇した。
ジェームス(M):結局、展示室にあったルビーはレプリカだった為、シャノンは何も取らずに去って行ったのだが、
ジェームス(M):シャノンと遭遇する際に、展示室の大きな戸棚が倒され、俺をとっさに庇(かば)ったアランが、左腕を負傷してしまった。
ジェームス(M):
ジェームス(M):シャノンは取り逃がす、アランは負傷、ルビーはレプリカという散々な結果で、俺達は美術館を後にした。
ジェームス(M):
ジェームス(M):俺はアランと別れた後、秘密情報部のオフィスに戻って、ローレンに美術館で起きた事の次第を話した。
:
ローレン:そうですか、展示されていたルビーはレプリカだったんですか・・・
:
ジェームス:ああ、シャノンもそれに気づいて、何も取らずに去って行ったよ。
ジェームス:それにしても、どうして美術館の展示品はレプリカだったのか・・・
:
ローレン:そうですよね、美術館にレプリカがある事自体は珍しくはないのでしょうが、
ローレン:どうしてレプリカを、わざわざ人を入れない特別な展示室で厳重に保管してたのかって事ですよね。
:
ジェームス:美術館の職員がレプリカだと気づかなかったとか
:
ローレン:まさか・・・だって、ジェームスさんと一緒に行った民間人も、そのルビーがレプリカだって気が付いたんですよね?
ローレン:だったら、美術館の職員がレプリカだと気づかないって事は考えにくいんじゃないんですか?
:
ジェームス:そうだよな・・・
:
ローレン:ちなみに、ジェームスさんの連絡を受けてから、ヴァンピリウム美術館以外の候補でも「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」について、調べてみたのですが、どこにもヒットはしませんでした。
:
ジェームス:そうなると、本物の「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」は、もうどこにあるか分からない・・・か。
:
ローレン:あるいは、ヴァンピリウム美術館が本物の「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」も所蔵しているか・・・ですよね。
:
ジェームス:やっぱり、怪しいわよな。
:
ローレン:ええ、かなり。
ローレン:あの美術館は、公的機関ですからね、ルビーの存在を隠したくても所蔵品の一覧からルビーを消す訳には行きません。
:
ジェームス:だから、レプリカを作ってすり替える・・・
:
ローレン:そう考えると、レプリカを厳重に保管していたとしても、辻褄(つじつま)が合いますよね。
:
ジェームス:一度、美術館を調べてみるしかないか・・・
:
ローレン:そうですね、他にはもう当てはないですし
:
ジェームス:そうだな
:
ジェームス(M):俺とローレンがそんな会話をしていると、アランから電話が掛かって来た
:
ジェームス:はい、ジェームス・コイル
:
ジェームス(M):アランは、探偵事務所で、シャノンを殺した事を報告してくれた。
ジェームス(M):アランは電話の中で、この件の依頼人である、エリスが既にシャノンに殺されているだろうという事、
ジェームス(M):シャノンが本物のヴァンパイアだった事、そして、シャノンの死体が消えてなくなってしまった事を語った。
ジェームス(M):
ジェームス(M):アランの電話を受け、俺はアラン・フィンリー探偵事務所へ向かった
ジェームス(M):それと同時に、ローレンにエリスの宿泊先を捜索するよう依頼した。
ジェームス(M):
ジェームス(M):俺がアラン・フィンリー探偵事務所に着くと、そこにはピアノ線が不規則に巻き付いたシャノンの衣服があった。
ジェームス(M):衣服は、シャツのボタンやベルトなどがキチンと閉められており、死体だけが消えて無くなった事を物語っていた。
ジェームス(M):
ジェームス(M):俺が証拠品として衣服を回収していると、エリスの宿泊先を捜索をしているローレンから電話が入った。
:
ローレン:ジェームスさん、ジェームスさんの言った通り、エリス・ランシーの宿泊先には、エリスの死体がありました。
:
ジェームス:そうか・・・
:
ローレン:でも、この死体、同じ犯人が殺したにしては、他の死体とは、明らかに違っていますね。
:
ジェームス:どういう事だ?
:
ローレン:死体の首筋には、2つの歯の跡はありますが、ナイフで切ったような傷はありません。
ローレン:この死体に関しては、他の死体と比べると、犯人は随分と丁寧に扱ったように見られます。
ローレン:死体は、ベッドに寝かされて、衣服の乱れもなく、まるで眠るように死んでいます。
ローレン:それと、死体には、防御創(ぼうぎょそう)が見られませんから、殺される時に抵抗しなかったんじゃないかと思うんです。
:
ジェームス:防御創(ぼうぎょそう)がないのは、エリスに気づかれる前に、シャノンが殺したからとか
:
ローレン:いえ、死体は何やら見た事のないコインを、強く握りしめていました。
ローレン:死体の状態からは、死んでから握らされたものではなく、死ぬ前に握っていたと考えられます。
:
ジェームス:そうなのか・・・
:
ローレン:何か儀式のような事でも行われたのでしょうか?
:
ジェームス:それは分からないな。
ジェームス:今となっては、二人の中で何があったのかは
:
ローレン:そうですね・・・
:
ジェームス:ローレン、その死体の処理に関してなんだが、俺に一任(いちにん)させてくれないか
:
ローレン:どういう事でしょうか?
:
ジェームス:その死体は解剖するんじゃなくて、故郷のヨークシャーにそのまま葬ってやりたいんだ
:
ローレン:そうですか・・・そういう条件で何かの取引をしたって事ですね。
:
ジェームス:ああ、察しがいいな、頼めるか?
:
ローレン:分かりました、では、そのように手続きをしておきます。
:
ジェームス:ありがとう、助かるよ
:
ジェームス(M):そして、俺はエリスの死体をアランに引き渡した。
ジェームス(M):その後、アランからエリスの死体をヨークシャーに持ち帰り、丁寧に埋葬したという連絡をもらった。
0:
0:ジェームス・コイルの憂鬱
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ジェームス(M):とある朝、ロンドンのイーストエンドで女性の死体が発見された。
ジェームス(M):その死体の首の左脇辺りには、刃物のような物で切られた跡があったという
ジェームス(M):通常、こういった殺人事件は、警察の仕事であり、私達、秘密情報部には無縁の仕事だ
ジェームス(M):今回事件も、当初、死体は通常通り警察により検死(けんし)が行われた。
ジェームス(M):しかし、その検死結果を受け、この事件には秘密情報部が介入する事となった。
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ジェームス:ローレン、ちょっと頼まれてくれるか。
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ローレン:どうしたんですか、ジェームスさん。
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ジェームス:今日、ロンドン警視庁から死体が届けられるから、鑑識(かんしき)部門に回してくれ
ジェームス:死体をもう一度、我々の視点で調査するようにって伝えて欲しいんだ。
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ローレン:分かりました。
ローレン:ちなみに、それはどんな死体なんですか?
ローレン:警察から死体が回ってくるなんて、そんなに無い事ですよね。
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ジェームス:本来はそうなんだが・・・・最近続いててな
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ローレン:前回は確か・・・あぁ、あの殺人鬼の。
ローレン:そういえば、あれもジェームスさんでしたね
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ジェームス:ああ、嫌な事件だったよ。 いろいろとな
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ローレン:「いろいろと」ですか・・・大変だったんですね。
ローレン:で、今回のは?
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ジェームス:うーん・・・首の左脇辺りに刃物の切り跡があるんだが、死因が不明なんだってさ
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ローレン:首に切り跡があるなら、普通は失血死(しっけつし)だと思うんですけどね。
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ジェームス:そうじゃないから、うちに来るんだろ
:
ローレン:まぁ、そうですね
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ジェームス:その死体はあまり出血をしていないらしいんだ
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ローレン:つまり、首の傷は死んでから付けられたって事ですか?
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ジェームス:ああ、そうなるな
ジェームス:でも、傷は首にしか付いてないし、血液からも疑わしい成分は検出されなかったって話だ
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ローレン:それで、うちに。
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ジェームス:そういう事。
ジェームス:嫌な事件にならなきゃいいんだが・・・
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ジェームス(M):俺はそれから、資料の作成や警察から送られてきたデータや写真のファイリングなどの処理に追われ、気が付いたら昼になっていた。
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ジェームス:うーん・・・終わったぁ。
ジェームス:あぁ、もうこんな時間かぁ・・・朝食は食べられなかったな
ジェームス:じゃぁ、仕事も一段落したし、今日のランチは、少し遠出をして、あの店まで行ってみるか。
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ジェームス(M):この時の俺はまだ、この後に起こる一連の事件を想像すらしていなかった・・・
ジェームス(M):
ジェームス(M):そして、死体の発見から数日後の午前4時頃、突然、俺の携帯電話が鳴った。
ジェームス(M):その日夜勤をしていた職員のローレンからの電話だった。
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ジェームス:こんな時間に・・・
ジェームス:はい、ジェームス・コイル
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ローレン:ジェームスさん、今日、また例の殺人事件が起きたようです。
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ジェームス:何だって・・・ちょっと待っててくれ、直ぐに行く
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ジェームス(M):俺はローレンからの連絡を受けて、直ぐに秘密情報部のオフィスへと向かった
ジェームス(M):オフィスに到着した俺は、ローレンから今回の事件の概要(がいよう)を聞いた。
ジェームス(M):昨日の夜中にイーストエンドの路地裏で首の左脇に切り跡のある死体が発見されたらしい。
ジェームス(M):首に切り跡のある死体はこれで3体目になる。
ジェームス(M):現在、死体は警察が回収し、検死を行っているが、今の所、まだ死亡推定時刻や死因は分かっていないという事だった。
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ローレン:一応、警察で一通りの検死を行った後、これまでと同じだったら、こちらに死体を回すそうです。
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ジェームス:そうか、分かった
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ローレン:あと、死体発見当時の状況や、現在分かっているデータなどの、警察から連携された情報は、全てジェームスさんのメールに送ってあります。
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ジェームス:ありがとう、助かるよ
ジェームス:これまでの2つの死体の調査結果はまだ来てないよな?
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ローレン:まだですね。
ローレン:もし今回の死体がこっちに来るなら、比較の為に、もう数日はかかるんじゃないですかね。
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ジェームス:そうだな
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ローレン:さて・・・じゃぁ、ちょっと早いですけど、私はもうこれで帰りますね。
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ジェームス:分かったよ、お疲れ様。
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ジェームス(M):夜勤明けのローレンを見送ったその二日後、3つの死体の調査結果が俺の元に送られてくる事となる。
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0:(二日後)
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ジェームス:はぁ・・・
ジェームス:また、あそこに行かなきゃいけないのか・・・
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ジェームス(N):俺は、秘密情報部の一室で、調査結果を見ながら、何とも言えない失意(しつい)を噛みしめていた
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ローレン:どうしたんですか、ジェームスさん
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ジェームス:ちょっとな・・・
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ローレン:例の死体の調査結果が届いたんですか?
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ジェームス:ああ・・・そうなんだが・・・
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ローレン:どうだったんですか?
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ジェームス:これを見てくれ
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ジェームス(N):そう言って俺はローレンに調査結果を見せた
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ローレン:二つの穴と、唾液の成分?
ローレン:へー、あのナイフの傷は、噛み跡を隠す為に付けたものだったんですね。
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ジェームス:ああ
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ローレン:首に噛みつくなんて、まるで吸血鬼(ヴァンパイア)みたいですね。
ローレン:この犯人は、ヴァンパイアになりたかったんですかね、それとも、本当に自分がヴァンパイアだと思ってるとか。
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ジェームス:そうだといいんだけがな
:
ローレン:どういう事ですか?
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ジェームス:死亡推定時刻を見てくれ。
:
ローレン:この時刻がどうかしたんですか?
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ジェームス:死体発見時とあまり変わらないんだよ。
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ローレン:それって、死体をどっかから持って来たのではなく、死体の発見現場に被害者の死因があるって事ですか?
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ジェームス:そう、
ジェームス:だが、死体の血液からは死因となる成分は検出されていないし、死体の傷は首にしかないんだ。
ジェームス:そして、ナイフの切り傷からは血はあまり出ていない
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ローレン:つまり、噛みついた事が死因だと?
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ジェームス:そういう事
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ローレン:ショック死ですかね? でも、それだと検死での特定は難しいと思いますけど・・・
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ジェームス:そうだな、検死ではショック死かどうかは分からない、だから、ひょっとしたら違う原因かもしれないな。
ジェームス:だが、分かっている事は、3つの死体が、どれも同じ結果だったって事だ
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ローレン:うーん・・・なんとも不思議な話ですね。
ローレン:それじゃぁ、今回の事件は、一旦、犯人がヴァンパイアという事で動くんですか?
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ジェームス:ああ、一応は、そうするしかないよな
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ローレン:そうですか・・・
ローレン:そういえば、ヴァンパイアといえば、確かヨークシャーに・・・
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ジェームス:そうなんだ、ヨークシャーのヘリンで、うちの職員がヴァンパイアの監視をしているんだが・・・
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ローレン:それじゃぁ、その人に詳しく聞いてみるんですか?
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ジェームス:それが、今、その職員とは連絡が取れなくなっているんだ
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ローレン:お休みされてるって事ですか?
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ジェームス:どうも、そうじゃないらしい、だが、幾つかの方法で連絡してみたが、どの方法でもダメなんだよ。
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ローレン:どうしたんですかね?
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ジェームス:それで、少し調べて見たら、どうやらヘリンでも、何軒かの殺人事件があったらしくてな・・・
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ローレン:その職員の方も殺されたって事ですか?
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ジェームス:いや、殺された人のリストの中には、その職員の名前はなかったよ
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ローレン:うーん、不思議ですね。
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ジェームス:ああ、それで、気になってそのヨークシャーの殺人事件と、ヴァンパイアの資料を一通り見てみたんだが・・・
ジェームス:これさ
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ローレン:ん? ヨークシャーの死体にも首に切り跡ですか・・・
ローレン:しかも、この資料に書いてあるヴァンパイアの殺し方も同じ・・・・
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ジェームス:ああ、そうなんだ
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ローレン:じゃぁ、もう決まりですかね
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ジェームス:はぁ・・・
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ローレン:何をそんなに落ち込んでるんですか?
ローレン:ジェームスさんが、そんなに落ち込むなんて珍しいですね。
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ジェームス:どうして、こういう案件が俺の所に回ってくるんだよ・・・
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ローレン:それはたまたま・・・まぁそれか、ジェームスさんが、そういう運を持っているか
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ジェームス:はぁ・・・俺はこういう事で協力を頼める人間を一人しか知らないのさ・・・
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ローレン:あぁ・・あの、やたらお金のかかる民間人
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ジェームス:ったく、今度はいくら取られるんだよ・・・
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ローレン:ははは、またレイモンドさんにお小言を言われちゃいそうですね
ローレン:でも、まぁ、実際にはキチンと事件は解決してるんだし・・・
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ジェームス:その解決の方法も問題なんだ
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ローレン:・・・何かあったんですか?
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ジェームス:思い出したくもないよ
:
ローレン:そうですか・・・
:
ジェームス:はぁ・・・
:
:
ジェームス(M):そして、その数時間後、俺は二度と行きたくないと思っていた、アラン・フィンリー探偵事務所のドアを叩いていた
ジェームス(M):
ジェームス(M):
ジェームス(M):アランの事務所で、俺はアランに今回の事件の説明をしたのだが、驚いた事に、アランはこの件に関して、俺達が調べた以上の情報を持っていた。
ジェームス(M):しかし、驚く事はそれだけではなかった。
ジェームス(M):この件には先約があり、その依頼主が、現在連絡が取れなくなっていた職員のエリス・ランシーであり、しかも、エリスは、犯人であるヴァンパイアの姉であるという話を聞かされた。
ジェームス(M):
ジェームス(M):結局、先約ありという事で、俺はアランに今回の依頼を断られてしまった。
ジェームス(M):しかし、当初の俺の目的は、危険な人外であろうと思われる「今回の犯人」を殺す事だから、
ジェームス(M):それについては、アランが先約の依頼を引き受けた事で、どうやら達成出来そうだ。
ジェームス(M):しかもタダで。
ジェームス(M):
ジェームス(M):今回の案件は、話の経緯(いきさつ)から、図(はか)らずも、俺がアランの手伝いをするという形となったが、低予算で目的が達成できるのであれば、まぁ、それもいいだろう。
ジェームス(M):
ジェームス(M):
ジェームス(M):それから暫くの間、アランの事務所で、俺とアランとエリスの三人は、ヴァンパイアの事について話をした。
ジェームス(M):その話の中で、ヴァンパイアの目的が、どうやらヴァンパイアが儀式を行う為のルビーではないかという話になったのだが、
ジェームス(M):そのルビーは、300年前に国の役人がヨークシャーから持ち去ってしまい、今はどこにあるのか分からないという事であった。
ジェームス(M):
ジェームス(M):アランには「この国の人間は、欲しいものは何でもかんでも持って来る」と、嫌味と冷ややかな目を向けられたが、
ジェームス(M):国の役人の仕業であるなら、秘密情報部で何とか分かるかもしれないと思い、俺はローレンに電話を掛ける事にした。
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ローレン:はい、ローレンです。
:
ジェームス:ジェームスだ。
ジェームス:ちょっとローレンに大至急調べて欲しい事があるんだ
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ローレン:なんですか、調べて欲しい事って?
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ジェームス:300年前に、国の役人が、ヨークシャーから「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」というルビーをロンドンに持ち去ったみたいなんだ。
ジェームス:そのルビーの行方(ゆくえ)を捜して貰えないか。
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ローレン:ちょっと待ってくださいね・・・ルベウス・・・ルナですか?
ローレン:どういう経緯(いきさつ)のルビーなのか分かりますか?
:
ジェームス:ああ、
ジェームス:ヨークシャーのヴァンパイアが儀式に使ったというルビーで、元々はレディングという一族のものだったらしい。
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ローレン:わかりました。 あのヴァンパイア絡みの品なんですね。
ローレン:国の役人っていう話なら、案外直ぐに分かるかもしれませんね。
ローレン:それで、時間はどれくらい貰えます?
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ジェームス:打ち合わせ中に欲しいから、なるべく早く頼みたい
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ローレン:分かりました、では、もし時間がかかりそうでも、ある程度の段階で、一旦連絡を入れます。
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ジェームス:分かった、頼むよ。
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:
ジェームス(M):それから30分程過ぎた頃、ローレンから折り返しの電話が掛かって来た。
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ローレン:ジェームスさん、分かりましたよ。
ローレン:「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」は、確かに300年程前に我々の組織の前身である「英国秘密情報局(えいこくひみつじょうほうきょく)」の人間が、治安維持の目的と称(しょう)して、ロンドンに持ち帰っているようです。
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ジェームス:治安維持の目的?
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ローレン:ええ、
ローレン:ヨークシャーにそのルビーがあると、ヴァンパイアが復活した時に犠牲者が大勢でるからだそうです。
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ジェームス:それはまた、大層(たいそう)な屁理屈(へりくつ)だな
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ローレン:まぁ、そうですね。
ローレン:で、そのルビーなんですが、ロンドンに持ち帰った当初は、ルビーの凄さに加えて、ヴァンパイアの逸話(いつわ)という付加価値が加わって、社交界ではちょっとした話題になったようです。
:
ジェームス:やっぱり、珍しいから欲しかったって事じゃないか・・・ったく・・・
ジェームス:それで?
:
ローレン:当時は誰が所有するかで揉めたようで、取り合いにまでなったそうなんです。
ローレン:ですが、最初に所有した者が不思議な死に方をして、次の所有者も不慮(ふりょ)の事故にあって死んだりと、数年間のうちに持ち主がどんどん変わって行ったようです。
:
ジェームス:そうだったのか・・・
ジェームス:それで、ルビーは、今は何処にあるんだ?
:
ローレン:それが、そのうちに社交界では「不吉なルビー」と呼ばれるようになり、いつしか、どこにあるのか、誰が持っているのかが分からなくなったという事です。
:
ジェームス:そうなのか・・・
ジェームス:結局、所在は分からなかったという事だな?
:
ローレン:いえいえ
ローレン:私はこれでも諜報機関の人間ですからね、資料に無いから分からないとは言いませんよ。
ローレン:そんな「曰く付き(いわくつき)」のルビーなら、絶対に欲しがる人がいるでしょ。
ローレン:ですから、欲しがりそうな所を探してみました。
:
ジェームス:欲しがりそうな所?
:
ローレン:ええ
ローレン:ヴァンピリウム美術館です。
ローレン:あそこは、その界隈(かいわい)では有名な「オカルト好き」ですからね、名前もヴァンピリウムってくらいですし。
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ジェームス:ヴァンピリウムって?
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ローレン:ラテン語で「ヴァンパイアの居場所」って感じの意味になりますかね。
ローレン:で、そこの所蔵品の一覧を調べてみたら、やっぱりありましたよ「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」が。
ローレン:他にも幾つか調査候補(ちょうさこうほ)はあったんですが、一発でヒットしましたよ。
:
ジェームス:流石だな。 で、そこにあるってのは本当なのか?
:
ローレン:ええ、でも今は一般公開はしていないようですね。
ローレン:特別な展示室という所で厳重に保管されていて、普段は人を入れないらしいです。
:
ジェームス:そうか・・・
:
ローレン:どうします、ジェームスさん、あそこは公的機関ですし、私達が頼めば見せてもらう事くらいは出来ると思いますよ。
:
ジェームス:ありがとうローレン、助かったよ。
ジェームス:見学については、ちょっとこっちで調整するから、また、後で連絡するよ。
:
ローレン:わかりました、では、連絡をお待ちしています。
:
ジェームス(M):俺はローレンとの電話を切った。
ジェームス(M):そして、アランに今電話で聞いた事を伝え、俺達は、その日のうちに、ヴァンピリウム美術館へと向う事となった。
ジェームス(M):
ジェームス(M):美術館では、ローレンが事前に連絡を入れておいてくれたお陰で、学芸員が俺達を出迎えてくれた。
ジェームス(M):
ジェームス(M):案内された展示室で、俺達は思いがけず、ヴァンパイアの、シャノン・レディングと遭遇した。
ジェームス(M):結局、展示室にあったルビーはレプリカだった為、シャノンは何も取らずに去って行ったのだが、
ジェームス(M):シャノンと遭遇する際に、展示室の大きな戸棚が倒され、俺をとっさに庇(かば)ったアランが、左腕を負傷してしまった。
ジェームス(M):
ジェームス(M):シャノンは取り逃がす、アランは負傷、ルビーはレプリカという散々な結果で、俺達は美術館を後にした。
ジェームス(M):
ジェームス(M):俺はアランと別れた後、秘密情報部のオフィスに戻って、ローレンに美術館で起きた事の次第を話した。
:
ローレン:そうですか、展示されていたルビーはレプリカだったんですか・・・
:
ジェームス:ああ、シャノンもそれに気づいて、何も取らずに去って行ったよ。
ジェームス:それにしても、どうして美術館の展示品はレプリカだったのか・・・
:
ローレン:そうですよね、美術館にレプリカがある事自体は珍しくはないのでしょうが、
ローレン:どうしてレプリカを、わざわざ人を入れない特別な展示室で厳重に保管してたのかって事ですよね。
:
ジェームス:美術館の職員がレプリカだと気づかなかったとか
:
ローレン:まさか・・・だって、ジェームスさんと一緒に行った民間人も、そのルビーがレプリカだって気が付いたんですよね?
ローレン:だったら、美術館の職員がレプリカだと気づかないって事は考えにくいんじゃないんですか?
:
ジェームス:そうだよな・・・
:
ローレン:ちなみに、ジェームスさんの連絡を受けてから、ヴァンピリウム美術館以外の候補でも「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」について、調べてみたのですが、どこにもヒットはしませんでした。
:
ジェームス:そうなると、本物の「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」は、もうどこにあるか分からない・・・か。
:
ローレン:あるいは、ヴァンピリウム美術館が本物の「Rubeus luna(ルベウス・ルナ)」も所蔵しているか・・・ですよね。
:
ジェームス:やっぱり、怪しいわよな。
:
ローレン:ええ、かなり。
ローレン:あの美術館は、公的機関ですからね、ルビーの存在を隠したくても所蔵品の一覧からルビーを消す訳には行きません。
:
ジェームス:だから、レプリカを作ってすり替える・・・
:
ローレン:そう考えると、レプリカを厳重に保管していたとしても、辻褄(つじつま)が合いますよね。
:
ジェームス:一度、美術館を調べてみるしかないか・・・
:
ローレン:そうですね、他にはもう当てはないですし
:
ジェームス:そうだな
:
ジェームス(M):俺とローレンがそんな会話をしていると、アランから電話が掛かって来た
:
ジェームス:はい、ジェームス・コイル
:
ジェームス(M):アランは、探偵事務所で、シャノンを殺した事を報告してくれた。
ジェームス(M):アランは電話の中で、この件の依頼人である、エリスが既にシャノンに殺されているだろうという事、
ジェームス(M):シャノンが本物のヴァンパイアだった事、そして、シャノンの死体が消えてなくなってしまった事を語った。
ジェームス(M):
ジェームス(M):アランの電話を受け、俺はアラン・フィンリー探偵事務所へ向かった
ジェームス(M):それと同時に、ローレンにエリスの宿泊先を捜索するよう依頼した。
ジェームス(M):
ジェームス(M):俺がアラン・フィンリー探偵事務所に着くと、そこにはピアノ線が不規則に巻き付いたシャノンの衣服があった。
ジェームス(M):衣服は、シャツのボタンやベルトなどがキチンと閉められており、死体だけが消えて無くなった事を物語っていた。
ジェームス(M):
ジェームス(M):俺が証拠品として衣服を回収していると、エリスの宿泊先を捜索をしているローレンから電話が入った。
:
ローレン:ジェームスさん、ジェームスさんの言った通り、エリス・ランシーの宿泊先には、エリスの死体がありました。
:
ジェームス:そうか・・・
:
ローレン:でも、この死体、同じ犯人が殺したにしては、他の死体とは、明らかに違っていますね。
:
ジェームス:どういう事だ?
:
ローレン:死体の首筋には、2つの歯の跡はありますが、ナイフで切ったような傷はありません。
ローレン:この死体に関しては、他の死体と比べると、犯人は随分と丁寧に扱ったように見られます。
ローレン:死体は、ベッドに寝かされて、衣服の乱れもなく、まるで眠るように死んでいます。
ローレン:それと、死体には、防御創(ぼうぎょそう)が見られませんから、殺される時に抵抗しなかったんじゃないかと思うんです。
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ジェームス:防御創(ぼうぎょそう)がないのは、エリスに気づかれる前に、シャノンが殺したからとか
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ローレン:いえ、死体は何やら見た事のないコインを、強く握りしめていました。
ローレン:死体の状態からは、死んでから握らされたものではなく、死ぬ前に握っていたと考えられます。
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ジェームス:そうなのか・・・
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ローレン:何か儀式のような事でも行われたのでしょうか?
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ジェームス:それは分からないな。
ジェームス:今となっては、二人の中で何があったのかは
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ローレン:そうですね・・・
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ジェームス:ローレン、その死体の処理に関してなんだが、俺に一任(いちにん)させてくれないか
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ローレン:どういう事でしょうか?
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ジェームス:その死体は解剖するんじゃなくて、故郷のヨークシャーにそのまま葬ってやりたいんだ
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ローレン:そうですか・・・そういう条件で何かの取引をしたって事ですね。
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ジェームス:ああ、察しがいいな、頼めるか?
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ローレン:分かりました、では、そのように手続きをしておきます。
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ジェームス:ありがとう、助かるよ
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ジェームス(M):そして、俺はエリスの死体をアランに引き渡した。
ジェームス(M):その後、アランからエリスの死体をヨークシャーに持ち帰り、丁寧に埋葬したという連絡をもらった。