台本概要

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タイトル 妄想じゃなくて想像ガール
作者名 にこだあ  (@Osama_Chiru)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 5人用台本(男3、女2) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 大学生の時に書いてた話をリメイク!
性別関係なしで演じてくれて全然OKです。
♪のついてるセリフはちかの作った曲ということになっていますが普通に語っちゃってください!どっちでもいいですが!
好きなように演じてください!なんでもありです!
青春してね〜!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
西 86 西 宝(にし たから)。夢はお姫様。たまに暴走する。成績は上の下。美術部に入ってる。
せりな 95 芹澤 芹那(せりざわ せりな)。名前がせりせりなのがちょっと嫌。よく暴走する。成績は上の中。努力型。帰宅部。「?」兼役でお願いします。
先輩 76 遠野 渚(とおの なぎさ)。色々拗らせてる。無気力系男子。成績は上の上。美術部。実は部長ではない。
ちか 76 内河 日翔(うちかわ にちか)。女の子が苦手。可愛い系男子でクラスメイトからは密かにモテているが高嶺の花的存在。成績は下の中。軽音部。僕はチカチカになるね。
瀬名 37 瀬名 港(せな みなと)。背が高い。顔も小さい。割とモテるがアホなのでみんな友だち止まり。実はせりなの幼馴染。成績は下の下。バスケ部。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
西:(夢はお姫様になること。 西:素敵なお城で王子様とダンス。 西:2人だけの世界。周りの人なんて2人の目には映ってないの。 西: 西:12時の鐘がなる。 西:2人の顔は少しずつ近づいて、そして…) 西: 西:そんな私は、妄想じゃなくて想像ガールです! せりな:おっはよ〜西〜! せりな:今日は遅かったねぇ? 西:おはよ、せりな。 西:ちょっと寝坊しちゃって せりな:ふむふむ、なるほどねぇ せりな:てかそんな事よりも聞いてよ! せりな:朝の先輩とちかくんが尊すぎる件について!! 西:な、なになに?! せりな:先輩が買ったジュースの味が気になるからって、ちかくんがさぁ!!! 西:うんうん! 瀬名:はよ〜す。なになに?また先輩とちか丸の話? 西:瀬名くん! せりな:うっわ、邪魔すんなよな瀬名 瀬名:朝から辛辣〜!お前らも飽きないよな、あの2人の話なんて毎日してんじゃん せりな:は?あの2人が生きてる限り話は尽きませんけど? 瀬名:意味ふめ〜!てかさ、そんなに気になるなら話しかけりゃいいのに。ちか丸なんて同じクラスなんだし。 せりな:ば〜か!遠くから眺めてるのがいいんじゃん!ねぇ!西!! 西:うんうん 瀬名:いやなに西さんまで頷いてんだよ!全然わかんねーし! せりな:一生分かんなくていーわ!瀬名のあほちん! 瀬名:なんだとチビ助! 西:まぁまぁ(苦笑)  :間 せりな:(はぁ…朝の先輩とちかくん、尊かったなぁ〜) ちか:あの… せりな:(特にちかくんにジュース奪われた後の先輩がちかくんにこちょこちょするとこなんて…周りの人の目がなかったら動画撮りながら連写物だよ…) ちか:芹澤さん…? せりな:(てか、そこまで西に話してなくない?!あいつに邪魔されたから…!) ちか:おーい…? せりな:(思い出したら腹たってきた!毎回毎回話の腰をおってなんなのあいつ!せりなは西と2人の話で盛り上がりたいのに…!) せりな: せりな:…潰すか ちか:ひぇ!?せ、芹澤さん…? せりな:は?…て、ええええええ?!?!ちかきゅ…だぁぁぁぁぁ!!!!!内河くん?!?! ちか:あ、え、えと…これ…後ろから回収って…言ってたから… せりな:えぁ、あっ、こ、これね?!ご、ごめんごめん考え事してて…! ちか:や、えと、うん、大丈夫… せりな:ほ、ほんとごめんね…?なんか変なこと言っちゃってたかも… ちか::あー…ははっ、誰かを潰したいとか? せりな:ふぁ!?そ、そんなこと言ってた?! ちか:ふふ、うん。言ってた。 せりな:あ… せりな:(笑った) ちか:これ、僕が集めちゃうね。 せりな:あ、うん… ちか:瀬名〜、これ後ろから回収だよ 瀬名:げ、まじ?ちか丸一緒に集めてよ ちか:ダメ。瀬名も後ろの席なんだから一緒に回収だもん。 瀬名:なんだよ。ケチ せりな:だもんって… せりな:(指、綺麗だったな…)  :間 西:せりな? せりな:… 西:どしたの、さっきからなんか変だよ? せりな:…西 西:うん? せりな:私…とんでもない大罪犯したかも… 西:えええ?!なに?!急にスケールが大きい!どうしたの?! せりな:…天使とお喋りしちゃった… 西:あぁ…さっきの…お喋りくらい普通でしょ。同じクラスなんだし。私だって先輩とお喋りくらいはするよ?同じ部活だし。 せりな:西ぃ〜!!!!この大罪人がぁ!!!!!ギルティ!!!! 西:ちょ、やめてよ(笑)くすぐったい! 瀬名:…  :間 ちか:…ね〜瀬名 瀬名:んぁ? ちか:芹澤さん…ってさ 瀬名:ん〜? ちか:なんか…面白いね 瀬名:…んん? ちか:もっと話しかけたら、仲良くなれたりするのかな… 瀬名:…え? 瀬名:(チビ助に…春が来ている…?)  :間 西:遅れてすみませ〜ん…て、あ… 先輩:…よっ 西:先輩…お疲れ様です。 先輩:お〜… 西:先輩だけですか? 先輩:いつもの事ながらな〜… 西:ふふ、みんな幽霊部員みたいなものですもんね 先輩:まぁな〜… 西:… 西: 西:(キャンパスに向かう先輩の横顔。 西:いつもの放課後。いつもの光景。 西:だけど何故かいつも、目を離せなくなる) 先輩:…西 西:あ、え、な、なんですか? 先輩:見すぎ… 西:あ、あぁ!すみません…つい… 先輩:ふふ、そんな面白い?今回の絵、別に面白みのある絵じゃないと思うけど? 西:いや、その… 西:(先輩に見とれていました、なんて。 西:そんなこと) 先輩:この桜をさ、来年見る時には…俺はもうここには居ないんだな 西:…あ 先輩:なんて、思いながら描いてると一つ一つの線も色も。大切に描きたくなるんだよね、よく分からんけど 西:… 先輩:ね 西:…分かりますよ、私も 先輩:… 西:今日見てる先輩は、明日にはもう居ないんだなって思うと…つい見ちゃうんですよね。よく、分からんですけど 先輩:…よく分からんね 西:ふふ、はい。よく分からんです(笑) 西: 西:(このまま時間が止まればいいのになんて、何度思っただろう。 西:キャンパスに向かう先輩の横顔。 西:それをこの時間に閉じ込めて、私だけのものに出来たなら) 先輩:…あ、ちかからメール…やべ、放課後付き合って欲しいって言われてたんだった。 西:あ、先輩! 先輩:ん…? 西:か、片付け!やっておきますね 先輩:え、いいの? 西:はい! 西:(笑ってお礼を言う先輩。 西:私はさっき、何を言おうとしたんだろう。 西: 西:何を、伝えようとしたんだろう)  :間 せりな:ん〜 ちか:どうしたの? せりな:何食べようかな〜って…て、でぇぇぇぇ?!?!ちか…内河くん!!!! ちか:ふふ、ちかでいいよ。よく言い間違えてるよね? せりな:や、あの、その…!身分が違いすぎると言いますか…!!!! ちか:僕がちかって呼ばれたいの…だめ? せりな:ダメじゃないですうううう… ちか:ふふ、じゃあちかで。よろしくね、せりなちゃん せりな:せ、せり…! ちか:芹澤せりなちゃんだよね?間違ってた? せりな:ああああってるけど…! ちか:で、何食べようかな〜って言ってたよね、何と迷ってるの?あれ…てかさっきお弁当食べてた…よね? せりな:あ、あの!!!! ちか:? せりな:あ、あんまり言いたくないんだけど…その、お弁当足りなくて… ちか:そーなの? せりな:う、うん。私のお弁当箱…その、ち、小さいから! ちか:ふーん?(見た感じ、普通の大きさだったような…) せりな:男の子に見られるの、恥ずかしかったんだけど…私結構大食いなんだよね…あはは… ちか:そーなんだ!いいね、沢山食べる子って可愛いよね せりな:えぇ?!?! ちか:何と迷ってるの?一緒に買って半分こする? せりな:は、半分こ?!?! ちか:あ、もしかしてこれ?僕も気になってたんだ〜!渚さん、甘いもの食べないから貰えなくてさ〜 せりな:そ、その… ちか:ん? せりな:ち…ちかくんって、先輩と仲いいよね… ちか:うん、そうだね。中学の時から一緒だし せりな:よくジュースとかシェアしてたり… ちか:よく知ってるね(笑)いっつも怒られちゃうんだけど(笑) せりな:よ、よく見てたから… ちか:え…? せりな:つ、通学路!!!!一緒なんだよね!!!だからっ!その…よく目にしてた、というか… ちか:そうなんだ、声かけてくれればよかったのに せりな:むっ、無理だよ!!!!住む世界が違いすぎる!!!!! ちか:ぷっ、なにそれ(笑) せりな:え… せりな:(ちかくんの手が、私の手を握る。 せりな:あ、意外と大きいんだな。やっぱり男の子なんだな…とか、そんな的はずれなことを考えた) ちか:僕だって人間だよ?せりなちゃんと同じ。 せりな:むむむむむむ せりな:(胸!!!!!!!心臓!!!!!!生きてる!!!!!!ちかくん生きてる!!!!!!!!ノンフィクション!!!!!!!!に、西ぃ〜!!!!!)  :間 西:…最近さぁ〜 せりな:…ん〜 西:私たち、想像じゃなくて現実を生きてるよね〜… せりな:それな〜… 西:毎日さぁ… せりな:うん… 西:刺激が強すぎて心臓がもたんというか… 西:これは現実なのか想像なのか分からんくなる時があるというか… 西:最終女子に刺されそうだなというか… せりな:めっちゃわかる… 西:私さぁ… せりな:うん… 西:多分、好き せりな:…うん 西:…せりなは? せりな:…実は、私も 西:…世知辛いね せりな:辛すぎ…  :  せりな:…だってさ、瀬名 瀬名:… せりな:あんたがモタモタしてたから、西。自分の気持ちに気づいちゃったね。 瀬名:… せりな:…瀬名 瀬名:…うん せりな:せりなはさ、あんたに諦めななんて無責任なこと言えないよ 瀬名:…うん せりな:西は大事な友だちだけど、あんたも大事な幼なじみだし。だからって、応援も出来ない。 瀬名:…うん せりな:… 瀬名:… せりな:瀬名… 瀬名:…心のどっかでさ、先輩と西さんはお似合いだな〜とか、西さん先輩のこと好きなんだろうな〜とか。そんな事は思ってたんだよな、俺。 せりな:… 瀬名:でもさ、やっぱり上手くいくなとか、遠目で見つめるだけで留めてくれたらな〜とかさ、そんな醜いことも思っちゃってたわけ。 せりな:…うん 瀬名:好きな人が自分を好きになってくれるってさ、すげーよな。 せりな:…うん 瀬名:心配すんなよ、西さん困らせたくないし。この気持ちは少しずつ自分の中で消化してくからさ! せりな:…あんたはさ。 瀬名:… せりな:あんたは…それでいいの? 瀬名:いいよ せりな:瀬名っ! 瀬名:…好きな人が笑ってられるなら、俺はそれでいい。好きな人が俺のせいで笑えないなら、それは望まない。だから告白はしないよ。 せりな:… 瀬名:いい男だろ〜俺(笑) せりな:…うん、最高にかっこいいよ。あんた。 瀬名:…ん、ありがと 瀬名: 瀬名:(好きだなぁ…って気持ちが。 瀬名:好きだったなぁ…に変わるまで、俺はきっと何度でも傷ついて、泣くんだろう。 瀬名:きっとそれは、無駄に察しのいい幼なじみには筒抜けだ。 瀬名:それでもなにも言わないでいてくれるこいつの存在に、俺は何度も救われた。 瀬名:これからは1人で乗り越えなきゃいけない。 瀬名:それはとても怖いことだけど。 瀬名:君が幸せそうに笑ってるところを見れたなら、俺は心から君の幸せを願える) 瀬名: 瀬名: 瀬名:はぁ…っ…好きだったなぁ…  :間 先輩:ちか ちか:…嫌です 先輩:はぁ… ちか:渚さんがなんと言おうと、僕はせりなちゃんが好きです。その気持ちは、渚さんにだって変えられないですよ。 先輩:…ちか ちか:嫌です!絶対嫌です! 先輩:はぁ…ちか! ちか:なんですか! 先輩:…それで傷つくのはお前なんだぞ ちか:それでも…それでも。 先輩:…もう助けてやれないぞ。 ちか:いいですよ別に。 先輩:…ちか ちか:なんなんですか!家族でもないくせに僕の好きな人にまで口を出さないでください! 先輩:っ! ちか:もう、これ以上話すのはお互いに辛いと思うので。…失礼します。 先輩:…  :間 西:お疲れ様で〜す…先輩? 先輩:…あー、西。よっす。 西:はい… 先輩:… 西:(なんか…元気ない?) 西:えと…なにかありました? 先輩:…ん? 西:あ… 西:(まただ…また、壁ができた) :   先輩:『部活は基本俺しかいないから。 先輩:他の奴らは名前だけの幽霊部員。 先輩:君も別に来ても来なくてもどっちでもいーよ』 :   西:(どうして…) 先輩:西はさ、俺のことが好きなの? 西:…え? 先輩:俺を見てるよね、いつも。絵じゃなくてさ。 西:な、なんで… 先輩:気づいてたから。西が俺を見てること。 西:あ、あの。先輩 先輩:ダメだよ。 西:…………え? 先輩:俺はダメ。 先輩:西のこと、ただの後輩としか思ってないし。 先輩:正直そーゆー目で見てくるやつのことは分かる。 先輩:ほら、俺顔いいし?昔から少なくないんだよね。俺の顔目当てで近づいてきて、本当の俺を知って離れてく。 先輩:顔だけなんだってさ、俺。 先輩:中身がすっからかんなんだって。 先輩: 先輩:西もなんでしょ? 先輩:西も、離れてくんでしょ? 先輩: 先輩:だったら最初から何もいらない。 先輩:俺はお前なんか、いらない。 西:っ!  :バチン! 先輩:…ってぇ… 西:先輩のバカ!!!!厨二病!!!!そうやって孤独ぶって一生1人で生きてくつもりなの?!?! 先輩:は? 西:最初から何もいらないって、そんなのただカッコつけてるだけじゃん!!!!素直に寂しいって言えよ!!!!バカ!!!! 先輩:ば、ばか?! 西:先輩の顔目当てで近づいた…?バカにしないで!!!!本当の先輩を知ったからってなんなのよ?!?! 先輩:に、西 西:そんなことで離れてくような奴らと一緒にしないでよ!!!!私は!!!! 西:私は…先輩の優しいところもちゃんと知ってる… 先輩:…ぁ 西:絵に対する真摯な姿勢も…笑うと少しだけ幼くなるところも…野菜が苦手なところも…自分だけ傷ついて、それで全部解決させちゃうところも…私が悩んでる時、1番に気づいて…何も言わずに一緒に居てくれるところも…全部全部…大好きなんだよ… 先輩:… 西:私の好きな人のこと…顔だけだなんて言わないで…薄っぺらくなんかない…本当は寂しがり屋で、不器用な…優しい先輩なんだよ… 先輩:西… 西:…帰ります 先輩:あっ 西:お疲れ様でしたっ! 西:(やってしまった〜〜〜!!!!泣き顔晒して挙句なんか暴言吐いて逃げてしまったぁ…!!!!せりなぁ!!!!せりなぁぁ〜〜!!!!!)  :間 せりな:あれ、なんか元気ない?ちかくん ちか:…せりなちゃん せりな:その顔は…大好きなプリン落としちゃった〜とか、そんなことではなさそうだね ちか:… せりな:先輩と喧嘩でもした? ちか:っ!な、なんで… せりな:当たった? ちか:なんでわかるの…? せりな:ん〜女の勘ってやつ?もっと言えばオタクの勘ってやつ? ちか:…好きな人が出来たって言ったら、やめておけって。 せりな:あ、あー…そ、なんだ… せりな:(好きな人、いるんだ) ちか:でも、違うんだ。 ちか:こんな気持ち初めてで。 ちか:仲良くなりたいって思ったのも、話しかけたいって思ったのも…全部初めてだったから。 せりな:…うん ちか:だから…勝手に渚さんは応援してくれるって思ってた。でも違った。だから…渚さんに、酷いこと言っちゃった。 せりな:…そっか。 ちか:ごめん、せりなちゃんにこんな話。 せりな:んーん、いいよ。せりなに解決出来るかは分からんけど(笑) ちか:…中学のときさ、僕女の子と揉めたことがあって。それで一時期、学校に行けなくなっちゃったんだよね。 せりな:え… ちか:その時に助けてくれて、支えてくれたのが渚さん。渚さんのお陰で学校に行けるようになって、揉めた女の子とも何事もなく卒業することが出来た。 せりな:そうなんだ… ちか:それからね、女の子と関わるのはやめようって思ってたの。渚さんとも約束したし。 せりな:あ…うん。せ、せりなは〜?せりなも一応女子なんだけどな〜? ちか:ふふ、うん。だから君が初めてなんだ。 せりな:…え? ちか:君が僕に初めての気持ちをくれたんだ。 せりな:……え? ちか:ありがとう。君と話したら気持ちが落ち着いた。もっかい渚さんと話してくる。…と、もし良かったらなんだけど。明日の昼の放送、少しでも耳を傾けてくれると嬉しいな。 せりな:ひ、昼の放送ね…りょ… ちか:うん、じゃあね。  :  ちか:(思えば誰かを思う気持ちなんて、自分のエゴでしかないんだと。そう思ったのはいつの事だっけ。中学の時、あれほど傷ついて泣いて、自分の殻に閉じこもっていたくせに。それでもまた、恋がしたいだなんて。 ちか:笑っちゃうよね、うん。笑える。 ちか:だけど思うんだ。 ちか:エゴでもなんでも、僕は君が欲しい。 ちか:君が笑う顔を見たい。 ちか:君が流す涙を拭いたい。 ちか:笑う理由は僕であって欲しい。 ちか:涙は嬉し涙であって欲しい。 ちか:その隣に、僕がいたらいい。 ちか:自分勝手でワガママな、僕のエゴ。 ちか:どうか届いて、君の心に)  :間 せりな:お昼の放送…そゆこと…? せりな:(みんなはただのBGMとして聴いてる、その曲。私には分かる。これは大好きな君の歌だ。 せりな:甘くて切ない歌声。素直で不器用な歌詞。 せりな:まるでラブレターのようなその歌は周りの音をかき消した)  :  先輩:…なるほどねぇ、歌でラブレターか。お前らしい…聴いてなかったらどうするつもりだったんだよ。 ちか:聴いてますよ。聴いてくれるあの子だから、僕は好きになったんだ。 先輩:惚気けてくれるね ちか:渚さんだってそうでしょう? 先輩:なにが? ちか:とぼけちゃって。西さんですよ。 先輩:…あー…ね。 ちか:僕にとっての光が、あの子だったように。 ちか:渚さんにとっての光は、西さんなんでしょ? 先輩:… ちか:西さんなら大丈夫ですよ。渚さんだってわかってるんでしょ? 先輩:… ちか:僕たちは自分から世界と切り離された。だけど、世界に戻るのはいつだって出来たんだ。必要なのは素直な言葉と、ほんと少しの勇気だけ。 先輩:…お前はカッコイイな ちか:カッコよくなりたいんです。好きな子の前ではいつだってカッコつけていたいでしょう? 先輩:カッコよくなりたい…か。俺もそうだったんかな… ちか:今からでも遅くないですよ。自分の本当の気持ち、西さんに伝えましょう? 先輩:…ちか、俺は ちか:大丈夫。離れてなんていきませんよ。西さんは。知ってますか? 先輩:え…? ちか:あの2人、ずっと僕らのこと見てたんです。ふふっ、ジュース取り合ってる時も、くだらない事で喧嘩してる時も、嫌いな食べ物を押し付けあっている時も。 先輩:それは…ちと怖いな(笑) ちか:ね(笑)でも、見ていてくれたんです。世界から切り離された僕らのこと。2人は。見放さないでいてくれたんです。それって、僕らのこと大好きだって。そういう事じゃないですか? 先輩:…ちか ちか:はい。僕も離れてなんてあげませんよ。なんてったって僕の好きな人は渚さんと2人でいる僕のことも大好きみたいですから(笑) 先輩:…ごめん、ちょっと席外す。 ちか:はい。いってらしゃい。 先輩:あの、ちか。 ちか:はい。 先輩:…あのとき、否定してごめん。さっきも言ったけど、お前…ほんとカッコイイよ(笑) ちか:わかりましたから〜!僕もごめんなさい!渚さんもさっさとカッコつけてきてください! ちか:(♪本当は弱い僕だけど。 ちか:カッコつけたいだけだけど。 ちか:それでも君がみていてくれるなら。 ちか:僕は勇気を出して一歩踏み出す。 ちか: ちか:君が大好きだ)  :間 西:先輩が部活に来なくなってもう一週間…か。 西:(いつも先輩が使っている窓際の席。なんだか酷く寂しそうだ。そういえば席なんて決まってないのに先輩はいつも決まってそこにいたっけ) 西:あったかくてよく眠れるから〜…だっけ。部活に寝に来てるんか、あの人は。 先輩:…違う 西:え、先輩? 先輩:あったかくてよく眠れる、確かにそうだった。お前が来るまでは。 西:は、はい… 先輩:だけどいつしか、その席が。部室の扉から1番近いその席が、お前が来るってすぐに分かるから。か、顔とか!寝癖とか!大丈夫かなってすぐ確認できるように!そこに、座るようになった… 西:…え 先輩:俺の前を横切るとき、お前からするシャンプーの匂いとか。光に照らされてるお前の横顔とか。あ、あのときはああ言ったけど!俺も見てた!実は!ごめん! 西:や、その…先輩? 先輩:…あのときお前が言った言葉。全部図星だった。カッコつけたくて自分から離れたつもりだったけど全然ダメだった。部室の前、本当は毎日言ってた。だけど、中にお前がいたら俺…どんな顔したらいいか分からんし!居なかったら居なかったで辛いし!あ〜〜もうよく分からん!!!! 西:… 先輩:酷いこと、言ってごめん。 西:… 先輩:素直になれなくて、お前を傷つけて、ほんとにごめん。 西:…いいですよ 先輩:…あ…うん… 西:それで?ほんとに伝えたいことはそれだけですか? 先輩:え…? 西:酷いこと言ってごめんって?続きは? 先輩:あ…その… 西:はい 先輩:お、俺… 西:… 先輩:(ふっと笑ったその顔。 先輩:それを見て、何故か安心して。 先輩:今なら言える。そう思った) 先輩: 先輩:西が好きだ。 西:…ふふ、はい。 先輩:す、好き 西:はい、ありがとうございます。 先輩:好き 西:はい 先輩:大好き! 西:ふふ、はい。私も先輩が好きです。 先輩:…ぁ 先輩:(なんだ、こんなに簡単な事だったのか) 西:わっ…先輩…心臓の音早い… 先輩:そ、それは西もでしょ… 先輩:(それはすごく自然に、西のことを抱きしめていた。お互いの心臓の音がまるで交奏曲を奏でているように早い。でもそれが心地よかった) 西:私、先輩の彼女になれますか? 先輩:…お付き合いして欲しいデス 西:ふ、ふふ…っ 先輩:な、なんで泣く?! 西:キャパオーバーですよぉ〜!!!! 西:(夢はお姫様になることだった。 西:素敵なお城で王子様とダンス。 西:2人だけの世界。周りの人なんてここには居ない。 西: 西:12時の鐘なんてものも、ない。 西:2人の顔は少しずつ近づいて、そして…) 西:先輩となら、たとえここが部室でも。素敵なお城に見えますね。 先輩:はぁ〜〜?意味わからん…  :間 瀬名:めでたしめでたしってか〜? せりな:めでたしでしょ。あんた以外は。 瀬名:辛辣〜!!!!もうちょっとないの!?失恋して傷心中だよ?!俺!!!! せりな:あ〜はいはい。 瀬名:適当!!!! せりな:でもさ、瀬名 瀬名:なんですかぁ〜 せりな:見てよ、西のあの顔。 瀬名:…おー せりな:ほんと幸せそうだよね。お姫様みたい。 瀬名:…そーね。 せりな:きっとさ、誰だって王子様になれるんだよ。 瀬名:急にどしたよ? せりな:だってさぁ ちか:2人で何コソコソ話ししてんの… せりな:ん〜ちかくんは王子様だねって話! ちか:じゃあせりなちゃんはお姫様だね。 せりな:そう!だからさ、なれるよ。あんただって。誰かの王子様に。 瀬名:…すげーわお前ら。失恋したての可哀想な子羊の前で堂々とイチャつきやがって。 西:(季節は巡る。私たちを置いて、いそいそと。 西:だけど、歩いていこう。私たちのペースで。 西:2人で。一緒に。いつまでも) ?:ご、ごめんなさい! 瀬名:あ〜わり。俺も前見てなかったわ。怪我ない?歩ける?てか荷物重そう。俺代わりに持ってくよ。 ?:あ… 西:(そんな私たちは) 西: 西:想像じゃなくて現実ガールです!

西:(夢はお姫様になること。 西:素敵なお城で王子様とダンス。 西:2人だけの世界。周りの人なんて2人の目には映ってないの。 西: 西:12時の鐘がなる。 西:2人の顔は少しずつ近づいて、そして…) 西: 西:そんな私は、妄想じゃなくて想像ガールです! せりな:おっはよ〜西〜! せりな:今日は遅かったねぇ? 西:おはよ、せりな。 西:ちょっと寝坊しちゃって せりな:ふむふむ、なるほどねぇ せりな:てかそんな事よりも聞いてよ! せりな:朝の先輩とちかくんが尊すぎる件について!! 西:な、なになに?! せりな:先輩が買ったジュースの味が気になるからって、ちかくんがさぁ!!! 西:うんうん! 瀬名:はよ〜す。なになに?また先輩とちか丸の話? 西:瀬名くん! せりな:うっわ、邪魔すんなよな瀬名 瀬名:朝から辛辣〜!お前らも飽きないよな、あの2人の話なんて毎日してんじゃん せりな:は?あの2人が生きてる限り話は尽きませんけど? 瀬名:意味ふめ〜!てかさ、そんなに気になるなら話しかけりゃいいのに。ちか丸なんて同じクラスなんだし。 せりな:ば〜か!遠くから眺めてるのがいいんじゃん!ねぇ!西!! 西:うんうん 瀬名:いやなに西さんまで頷いてんだよ!全然わかんねーし! せりな:一生分かんなくていーわ!瀬名のあほちん! 瀬名:なんだとチビ助! 西:まぁまぁ(苦笑)  :間 せりな:(はぁ…朝の先輩とちかくん、尊かったなぁ〜) ちか:あの… せりな:(特にちかくんにジュース奪われた後の先輩がちかくんにこちょこちょするとこなんて…周りの人の目がなかったら動画撮りながら連写物だよ…) ちか:芹澤さん…? せりな:(てか、そこまで西に話してなくない?!あいつに邪魔されたから…!) ちか:おーい…? せりな:(思い出したら腹たってきた!毎回毎回話の腰をおってなんなのあいつ!せりなは西と2人の話で盛り上がりたいのに…!) せりな: せりな:…潰すか ちか:ひぇ!?せ、芹澤さん…? せりな:は?…て、ええええええ?!?!ちかきゅ…だぁぁぁぁぁ!!!!!内河くん?!?! ちか:あ、え、えと…これ…後ろから回収って…言ってたから… せりな:えぁ、あっ、こ、これね?!ご、ごめんごめん考え事してて…! ちか:や、えと、うん、大丈夫… せりな:ほ、ほんとごめんね…?なんか変なこと言っちゃってたかも… ちか::あー…ははっ、誰かを潰したいとか? せりな:ふぁ!?そ、そんなこと言ってた?! ちか:ふふ、うん。言ってた。 せりな:あ… せりな:(笑った) ちか:これ、僕が集めちゃうね。 せりな:あ、うん… ちか:瀬名〜、これ後ろから回収だよ 瀬名:げ、まじ?ちか丸一緒に集めてよ ちか:ダメ。瀬名も後ろの席なんだから一緒に回収だもん。 瀬名:なんだよ。ケチ せりな:だもんって… せりな:(指、綺麗だったな…)  :間 西:せりな? せりな:… 西:どしたの、さっきからなんか変だよ? せりな:…西 西:うん? せりな:私…とんでもない大罪犯したかも… 西:えええ?!なに?!急にスケールが大きい!どうしたの?! せりな:…天使とお喋りしちゃった… 西:あぁ…さっきの…お喋りくらい普通でしょ。同じクラスなんだし。私だって先輩とお喋りくらいはするよ?同じ部活だし。 せりな:西ぃ〜!!!!この大罪人がぁ!!!!!ギルティ!!!! 西:ちょ、やめてよ(笑)くすぐったい! 瀬名:…  :間 ちか:…ね〜瀬名 瀬名:んぁ? ちか:芹澤さん…ってさ 瀬名:ん〜? ちか:なんか…面白いね 瀬名:…んん? ちか:もっと話しかけたら、仲良くなれたりするのかな… 瀬名:…え? 瀬名:(チビ助に…春が来ている…?)  :間 西:遅れてすみませ〜ん…て、あ… 先輩:…よっ 西:先輩…お疲れ様です。 先輩:お〜… 西:先輩だけですか? 先輩:いつもの事ながらな〜… 西:ふふ、みんな幽霊部員みたいなものですもんね 先輩:まぁな〜… 西:… 西: 西:(キャンパスに向かう先輩の横顔。 西:いつもの放課後。いつもの光景。 西:だけど何故かいつも、目を離せなくなる) 先輩:…西 西:あ、え、な、なんですか? 先輩:見すぎ… 西:あ、あぁ!すみません…つい… 先輩:ふふ、そんな面白い?今回の絵、別に面白みのある絵じゃないと思うけど? 西:いや、その… 西:(先輩に見とれていました、なんて。 西:そんなこと) 先輩:この桜をさ、来年見る時には…俺はもうここには居ないんだな 西:…あ 先輩:なんて、思いながら描いてると一つ一つの線も色も。大切に描きたくなるんだよね、よく分からんけど 西:… 先輩:ね 西:…分かりますよ、私も 先輩:… 西:今日見てる先輩は、明日にはもう居ないんだなって思うと…つい見ちゃうんですよね。よく、分からんですけど 先輩:…よく分からんね 西:ふふ、はい。よく分からんです(笑) 西: 西:(このまま時間が止まればいいのになんて、何度思っただろう。 西:キャンパスに向かう先輩の横顔。 西:それをこの時間に閉じ込めて、私だけのものに出来たなら) 先輩:…あ、ちかからメール…やべ、放課後付き合って欲しいって言われてたんだった。 西:あ、先輩! 先輩:ん…? 西:か、片付け!やっておきますね 先輩:え、いいの? 西:はい! 西:(笑ってお礼を言う先輩。 西:私はさっき、何を言おうとしたんだろう。 西: 西:何を、伝えようとしたんだろう)  :間 せりな:ん〜 ちか:どうしたの? せりな:何食べようかな〜って…て、でぇぇぇぇ?!?!ちか…内河くん!!!! ちか:ふふ、ちかでいいよ。よく言い間違えてるよね? せりな:や、あの、その…!身分が違いすぎると言いますか…!!!! ちか:僕がちかって呼ばれたいの…だめ? せりな:ダメじゃないですうううう… ちか:ふふ、じゃあちかで。よろしくね、せりなちゃん せりな:せ、せり…! ちか:芹澤せりなちゃんだよね?間違ってた? せりな:ああああってるけど…! ちか:で、何食べようかな〜って言ってたよね、何と迷ってるの?あれ…てかさっきお弁当食べてた…よね? せりな:あ、あの!!!! ちか:? せりな:あ、あんまり言いたくないんだけど…その、お弁当足りなくて… ちか:そーなの? せりな:う、うん。私のお弁当箱…その、ち、小さいから! ちか:ふーん?(見た感じ、普通の大きさだったような…) せりな:男の子に見られるの、恥ずかしかったんだけど…私結構大食いなんだよね…あはは… ちか:そーなんだ!いいね、沢山食べる子って可愛いよね せりな:えぇ?!?! ちか:何と迷ってるの?一緒に買って半分こする? せりな:は、半分こ?!?! ちか:あ、もしかしてこれ?僕も気になってたんだ〜!渚さん、甘いもの食べないから貰えなくてさ〜 せりな:そ、その… ちか:ん? せりな:ち…ちかくんって、先輩と仲いいよね… ちか:うん、そうだね。中学の時から一緒だし せりな:よくジュースとかシェアしてたり… ちか:よく知ってるね(笑)いっつも怒られちゃうんだけど(笑) せりな:よ、よく見てたから… ちか:え…? せりな:つ、通学路!!!!一緒なんだよね!!!だからっ!その…よく目にしてた、というか… ちか:そうなんだ、声かけてくれればよかったのに せりな:むっ、無理だよ!!!!住む世界が違いすぎる!!!!! ちか:ぷっ、なにそれ(笑) せりな:え… せりな:(ちかくんの手が、私の手を握る。 せりな:あ、意外と大きいんだな。やっぱり男の子なんだな…とか、そんな的はずれなことを考えた) ちか:僕だって人間だよ?せりなちゃんと同じ。 せりな:むむむむむむ せりな:(胸!!!!!!!心臓!!!!!!生きてる!!!!!!ちかくん生きてる!!!!!!!!ノンフィクション!!!!!!!!に、西ぃ〜!!!!!)  :間 西:…最近さぁ〜 せりな:…ん〜 西:私たち、想像じゃなくて現実を生きてるよね〜… せりな:それな〜… 西:毎日さぁ… せりな:うん… 西:刺激が強すぎて心臓がもたんというか… 西:これは現実なのか想像なのか分からんくなる時があるというか… 西:最終女子に刺されそうだなというか… せりな:めっちゃわかる… 西:私さぁ… せりな:うん… 西:多分、好き せりな:…うん 西:…せりなは? せりな:…実は、私も 西:…世知辛いね せりな:辛すぎ…  :  せりな:…だってさ、瀬名 瀬名:… せりな:あんたがモタモタしてたから、西。自分の気持ちに気づいちゃったね。 瀬名:… せりな:…瀬名 瀬名:…うん せりな:せりなはさ、あんたに諦めななんて無責任なこと言えないよ 瀬名:…うん せりな:西は大事な友だちだけど、あんたも大事な幼なじみだし。だからって、応援も出来ない。 瀬名:…うん せりな:… 瀬名:… せりな:瀬名… 瀬名:…心のどっかでさ、先輩と西さんはお似合いだな〜とか、西さん先輩のこと好きなんだろうな〜とか。そんな事は思ってたんだよな、俺。 せりな:… 瀬名:でもさ、やっぱり上手くいくなとか、遠目で見つめるだけで留めてくれたらな〜とかさ、そんな醜いことも思っちゃってたわけ。 せりな:…うん 瀬名:好きな人が自分を好きになってくれるってさ、すげーよな。 せりな:…うん 瀬名:心配すんなよ、西さん困らせたくないし。この気持ちは少しずつ自分の中で消化してくからさ! せりな:…あんたはさ。 瀬名:… せりな:あんたは…それでいいの? 瀬名:いいよ せりな:瀬名っ! 瀬名:…好きな人が笑ってられるなら、俺はそれでいい。好きな人が俺のせいで笑えないなら、それは望まない。だから告白はしないよ。 せりな:… 瀬名:いい男だろ〜俺(笑) せりな:…うん、最高にかっこいいよ。あんた。 瀬名:…ん、ありがと 瀬名: 瀬名:(好きだなぁ…って気持ちが。 瀬名:好きだったなぁ…に変わるまで、俺はきっと何度でも傷ついて、泣くんだろう。 瀬名:きっとそれは、無駄に察しのいい幼なじみには筒抜けだ。 瀬名:それでもなにも言わないでいてくれるこいつの存在に、俺は何度も救われた。 瀬名:これからは1人で乗り越えなきゃいけない。 瀬名:それはとても怖いことだけど。 瀬名:君が幸せそうに笑ってるところを見れたなら、俺は心から君の幸せを願える) 瀬名: 瀬名: 瀬名:はぁ…っ…好きだったなぁ…  :間 先輩:ちか ちか:…嫌です 先輩:はぁ… ちか:渚さんがなんと言おうと、僕はせりなちゃんが好きです。その気持ちは、渚さんにだって変えられないですよ。 先輩:…ちか ちか:嫌です!絶対嫌です! 先輩:はぁ…ちか! ちか:なんですか! 先輩:…それで傷つくのはお前なんだぞ ちか:それでも…それでも。 先輩:…もう助けてやれないぞ。 ちか:いいですよ別に。 先輩:…ちか ちか:なんなんですか!家族でもないくせに僕の好きな人にまで口を出さないでください! 先輩:っ! ちか:もう、これ以上話すのはお互いに辛いと思うので。…失礼します。 先輩:…  :間 西:お疲れ様で〜す…先輩? 先輩:…あー、西。よっす。 西:はい… 先輩:… 西:(なんか…元気ない?) 西:えと…なにかありました? 先輩:…ん? 西:あ… 西:(まただ…また、壁ができた) :   先輩:『部活は基本俺しかいないから。 先輩:他の奴らは名前だけの幽霊部員。 先輩:君も別に来ても来なくてもどっちでもいーよ』 :   西:(どうして…) 先輩:西はさ、俺のことが好きなの? 西:…え? 先輩:俺を見てるよね、いつも。絵じゃなくてさ。 西:な、なんで… 先輩:気づいてたから。西が俺を見てること。 西:あ、あの。先輩 先輩:ダメだよ。 西:…………え? 先輩:俺はダメ。 先輩:西のこと、ただの後輩としか思ってないし。 先輩:正直そーゆー目で見てくるやつのことは分かる。 先輩:ほら、俺顔いいし?昔から少なくないんだよね。俺の顔目当てで近づいてきて、本当の俺を知って離れてく。 先輩:顔だけなんだってさ、俺。 先輩:中身がすっからかんなんだって。 先輩: 先輩:西もなんでしょ? 先輩:西も、離れてくんでしょ? 先輩: 先輩:だったら最初から何もいらない。 先輩:俺はお前なんか、いらない。 西:っ!  :バチン! 先輩:…ってぇ… 西:先輩のバカ!!!!厨二病!!!!そうやって孤独ぶって一生1人で生きてくつもりなの?!?! 先輩:は? 西:最初から何もいらないって、そんなのただカッコつけてるだけじゃん!!!!素直に寂しいって言えよ!!!!バカ!!!! 先輩:ば、ばか?! 西:先輩の顔目当てで近づいた…?バカにしないで!!!!本当の先輩を知ったからってなんなのよ?!?! 先輩:に、西 西:そんなことで離れてくような奴らと一緒にしないでよ!!!!私は!!!! 西:私は…先輩の優しいところもちゃんと知ってる… 先輩:…ぁ 西:絵に対する真摯な姿勢も…笑うと少しだけ幼くなるところも…野菜が苦手なところも…自分だけ傷ついて、それで全部解決させちゃうところも…私が悩んでる時、1番に気づいて…何も言わずに一緒に居てくれるところも…全部全部…大好きなんだよ… 先輩:… 西:私の好きな人のこと…顔だけだなんて言わないで…薄っぺらくなんかない…本当は寂しがり屋で、不器用な…優しい先輩なんだよ… 先輩:西… 西:…帰ります 先輩:あっ 西:お疲れ様でしたっ! 西:(やってしまった〜〜〜!!!!泣き顔晒して挙句なんか暴言吐いて逃げてしまったぁ…!!!!せりなぁ!!!!せりなぁぁ〜〜!!!!!)  :間 せりな:あれ、なんか元気ない?ちかくん ちか:…せりなちゃん せりな:その顔は…大好きなプリン落としちゃった〜とか、そんなことではなさそうだね ちか:… せりな:先輩と喧嘩でもした? ちか:っ!な、なんで… せりな:当たった? ちか:なんでわかるの…? せりな:ん〜女の勘ってやつ?もっと言えばオタクの勘ってやつ? ちか:…好きな人が出来たって言ったら、やめておけって。 せりな:あ、あー…そ、なんだ… せりな:(好きな人、いるんだ) ちか:でも、違うんだ。 ちか:こんな気持ち初めてで。 ちか:仲良くなりたいって思ったのも、話しかけたいって思ったのも…全部初めてだったから。 せりな:…うん ちか:だから…勝手に渚さんは応援してくれるって思ってた。でも違った。だから…渚さんに、酷いこと言っちゃった。 せりな:…そっか。 ちか:ごめん、せりなちゃんにこんな話。 せりな:んーん、いいよ。せりなに解決出来るかは分からんけど(笑) ちか:…中学のときさ、僕女の子と揉めたことがあって。それで一時期、学校に行けなくなっちゃったんだよね。 せりな:え… ちか:その時に助けてくれて、支えてくれたのが渚さん。渚さんのお陰で学校に行けるようになって、揉めた女の子とも何事もなく卒業することが出来た。 せりな:そうなんだ… ちか:それからね、女の子と関わるのはやめようって思ってたの。渚さんとも約束したし。 せりな:あ…うん。せ、せりなは〜?せりなも一応女子なんだけどな〜? ちか:ふふ、うん。だから君が初めてなんだ。 せりな:…え? ちか:君が僕に初めての気持ちをくれたんだ。 せりな:……え? ちか:ありがとう。君と話したら気持ちが落ち着いた。もっかい渚さんと話してくる。…と、もし良かったらなんだけど。明日の昼の放送、少しでも耳を傾けてくれると嬉しいな。 せりな:ひ、昼の放送ね…りょ… ちか:うん、じゃあね。  :  ちか:(思えば誰かを思う気持ちなんて、自分のエゴでしかないんだと。そう思ったのはいつの事だっけ。中学の時、あれほど傷ついて泣いて、自分の殻に閉じこもっていたくせに。それでもまた、恋がしたいだなんて。 ちか:笑っちゃうよね、うん。笑える。 ちか:だけど思うんだ。 ちか:エゴでもなんでも、僕は君が欲しい。 ちか:君が笑う顔を見たい。 ちか:君が流す涙を拭いたい。 ちか:笑う理由は僕であって欲しい。 ちか:涙は嬉し涙であって欲しい。 ちか:その隣に、僕がいたらいい。 ちか:自分勝手でワガママな、僕のエゴ。 ちか:どうか届いて、君の心に)  :間 せりな:お昼の放送…そゆこと…? せりな:(みんなはただのBGMとして聴いてる、その曲。私には分かる。これは大好きな君の歌だ。 せりな:甘くて切ない歌声。素直で不器用な歌詞。 せりな:まるでラブレターのようなその歌は周りの音をかき消した)  :  先輩:…なるほどねぇ、歌でラブレターか。お前らしい…聴いてなかったらどうするつもりだったんだよ。 ちか:聴いてますよ。聴いてくれるあの子だから、僕は好きになったんだ。 先輩:惚気けてくれるね ちか:渚さんだってそうでしょう? 先輩:なにが? ちか:とぼけちゃって。西さんですよ。 先輩:…あー…ね。 ちか:僕にとっての光が、あの子だったように。 ちか:渚さんにとっての光は、西さんなんでしょ? 先輩:… ちか:西さんなら大丈夫ですよ。渚さんだってわかってるんでしょ? 先輩:… ちか:僕たちは自分から世界と切り離された。だけど、世界に戻るのはいつだって出来たんだ。必要なのは素直な言葉と、ほんと少しの勇気だけ。 先輩:…お前はカッコイイな ちか:カッコよくなりたいんです。好きな子の前ではいつだってカッコつけていたいでしょう? 先輩:カッコよくなりたい…か。俺もそうだったんかな… ちか:今からでも遅くないですよ。自分の本当の気持ち、西さんに伝えましょう? 先輩:…ちか、俺は ちか:大丈夫。離れてなんていきませんよ。西さんは。知ってますか? 先輩:え…? ちか:あの2人、ずっと僕らのこと見てたんです。ふふっ、ジュース取り合ってる時も、くだらない事で喧嘩してる時も、嫌いな食べ物を押し付けあっている時も。 先輩:それは…ちと怖いな(笑) ちか:ね(笑)でも、見ていてくれたんです。世界から切り離された僕らのこと。2人は。見放さないでいてくれたんです。それって、僕らのこと大好きだって。そういう事じゃないですか? 先輩:…ちか ちか:はい。僕も離れてなんてあげませんよ。なんてったって僕の好きな人は渚さんと2人でいる僕のことも大好きみたいですから(笑) 先輩:…ごめん、ちょっと席外す。 ちか:はい。いってらしゃい。 先輩:あの、ちか。 ちか:はい。 先輩:…あのとき、否定してごめん。さっきも言ったけど、お前…ほんとカッコイイよ(笑) ちか:わかりましたから〜!僕もごめんなさい!渚さんもさっさとカッコつけてきてください! ちか:(♪本当は弱い僕だけど。 ちか:カッコつけたいだけだけど。 ちか:それでも君がみていてくれるなら。 ちか:僕は勇気を出して一歩踏み出す。 ちか: ちか:君が大好きだ)  :間 西:先輩が部活に来なくなってもう一週間…か。 西:(いつも先輩が使っている窓際の席。なんだか酷く寂しそうだ。そういえば席なんて決まってないのに先輩はいつも決まってそこにいたっけ) 西:あったかくてよく眠れるから〜…だっけ。部活に寝に来てるんか、あの人は。 先輩:…違う 西:え、先輩? 先輩:あったかくてよく眠れる、確かにそうだった。お前が来るまでは。 西:は、はい… 先輩:だけどいつしか、その席が。部室の扉から1番近いその席が、お前が来るってすぐに分かるから。か、顔とか!寝癖とか!大丈夫かなってすぐ確認できるように!そこに、座るようになった… 西:…え 先輩:俺の前を横切るとき、お前からするシャンプーの匂いとか。光に照らされてるお前の横顔とか。あ、あのときはああ言ったけど!俺も見てた!実は!ごめん! 西:や、その…先輩? 先輩:…あのときお前が言った言葉。全部図星だった。カッコつけたくて自分から離れたつもりだったけど全然ダメだった。部室の前、本当は毎日言ってた。だけど、中にお前がいたら俺…どんな顔したらいいか分からんし!居なかったら居なかったで辛いし!あ〜〜もうよく分からん!!!! 西:… 先輩:酷いこと、言ってごめん。 西:… 先輩:素直になれなくて、お前を傷つけて、ほんとにごめん。 西:…いいですよ 先輩:…あ…うん… 西:それで?ほんとに伝えたいことはそれだけですか? 先輩:え…? 西:酷いこと言ってごめんって?続きは? 先輩:あ…その… 西:はい 先輩:お、俺… 西:… 先輩:(ふっと笑ったその顔。 先輩:それを見て、何故か安心して。 先輩:今なら言える。そう思った) 先輩: 先輩:西が好きだ。 西:…ふふ、はい。 先輩:す、好き 西:はい、ありがとうございます。 先輩:好き 西:はい 先輩:大好き! 西:ふふ、はい。私も先輩が好きです。 先輩:…ぁ 先輩:(なんだ、こんなに簡単な事だったのか) 西:わっ…先輩…心臓の音早い… 先輩:そ、それは西もでしょ… 先輩:(それはすごく自然に、西のことを抱きしめていた。お互いの心臓の音がまるで交奏曲を奏でているように早い。でもそれが心地よかった) 西:私、先輩の彼女になれますか? 先輩:…お付き合いして欲しいデス 西:ふ、ふふ…っ 先輩:な、なんで泣く?! 西:キャパオーバーですよぉ〜!!!! 西:(夢はお姫様になることだった。 西:素敵なお城で王子様とダンス。 西:2人だけの世界。周りの人なんてここには居ない。 西: 西:12時の鐘なんてものも、ない。 西:2人の顔は少しずつ近づいて、そして…) 西:先輩となら、たとえここが部室でも。素敵なお城に見えますね。 先輩:はぁ〜〜?意味わからん…  :間 瀬名:めでたしめでたしってか〜? せりな:めでたしでしょ。あんた以外は。 瀬名:辛辣〜!!!!もうちょっとないの!?失恋して傷心中だよ?!俺!!!! せりな:あ〜はいはい。 瀬名:適当!!!! せりな:でもさ、瀬名 瀬名:なんですかぁ〜 せりな:見てよ、西のあの顔。 瀬名:…おー せりな:ほんと幸せそうだよね。お姫様みたい。 瀬名:…そーね。 せりな:きっとさ、誰だって王子様になれるんだよ。 瀬名:急にどしたよ? せりな:だってさぁ ちか:2人で何コソコソ話ししてんの… せりな:ん〜ちかくんは王子様だねって話! ちか:じゃあせりなちゃんはお姫様だね。 せりな:そう!だからさ、なれるよ。あんただって。誰かの王子様に。 瀬名:…すげーわお前ら。失恋したての可哀想な子羊の前で堂々とイチャつきやがって。 西:(季節は巡る。私たちを置いて、いそいそと。 西:だけど、歩いていこう。私たちのペースで。 西:2人で。一緒に。いつまでも) ?:ご、ごめんなさい! 瀬名:あ〜わり。俺も前見てなかったわ。怪我ない?歩ける?てか荷物重そう。俺代わりに持ってくよ。 ?:あ… 西:(そんな私たちは) 西: 西:想像じゃなくて現実ガールです!