台本概要

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タイトル 祓い屋物語 - 消滅集落と桜の精霊 -
作者名 そらいろ  (@sorairo_0801)
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 消滅集落に現れる謎の子どもの霊
家を取り壊そうとすると機械が故障し毎回中止になる
また、季節ではないのに桜が咲いているのを見たという情報も
祓い屋は解決するためにその集落を訪れると…。

・一人称、語尾、アドリブ〇
・世界観を壊すような過度なアドリブはご遠慮ください
・台本を利用の際は、作者名、タイトル、URLの記載をお願いします

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
祓い屋 53 祓い屋。依頼を受けて消滅集落に訪れる
精霊 47 消滅集落にある桜の木の精霊
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:オフィスの電話が鳴る 祓い屋:はい。こちら祓い屋です 祓い屋:はい、はい。あぁなるほど… 祓い屋:消滅集落の空き家ですか 祓い屋:分かりました。後日現地に向かってみます 0:電話を切る   祓い屋:はぁ…今回は消滅集落の空き家に出る謎の子供の霊か 祓い屋:何度家を取り壊そうとしても 祓い屋:不可解な故障が起こり工事は毎回中止 祓い屋:従業員の何人かは子供の姿を目撃していることから 祓い屋:現在では心霊スポットとして有名になり困っていると 祓い屋:他の目撃情報だと 祓い屋:「季節でもないのに桜が咲いていたのを見た」 祓い屋:なんてのもあるな 祓い屋:とりあえずその集落に明日向かうとするか 0:翌日 祓い屋:ここが例の集落か 祓い屋:消滅集落の空き家っていうからもっと汚いようなイメージがあったんだが 祓い屋:とてもそんな感じじゃないな 祓い屋:まるでここだけ当時から時間が止まってるような…ん? 0:   祓い屋(M):その時風に乗って花びらが部屋に入ってきた 0:   祓い屋:これは…桜か 祓い屋:確かに今は桜の季節だが、ここに来たとき桜の木なんてあったか? 精霊:お主何者だ? 祓い屋:うわっ…って子供か 精霊:子供とは失礼な。我はもうかれこれ120年は生きておる 祓い屋:お前が例の子供の幽霊だな 精霊:失礼な。そこら辺の霊体と一緒にしてもらっては困るぞ 祓い屋:幽霊…じゃないのか 精霊:うむ 祓い屋:確かに見た感じ他の霊体とは何か違うな 祓い屋:この感じ…もしかしてお前は…精霊か? 精霊:あぁ。人間の間ではそう呼ばれていたこともあるな 祓い屋:でもいったい何の 精霊:我はいかにも桜の精霊である 祓い屋:桜?でもここら辺に桜の木なんてあったか? 0:  祓い屋(M):すると精霊は家の外にある枯れた木を指さした 0:  祓い屋:あれは… 精霊:しばらく花を咲かせてはいないがこの木は桜だ 精霊:しかし十年前に雷に打たれてしまってな 精霊:それ以来花を咲かせてはいないのだが 祓い屋:酷いな…。もう花を咲かすことはできないのか 精霊:この木は死んでしまったわけではない 精霊:まだ生きておる。ただ花を咲かせる力が足りなくてな 祓い屋:そうか…。 精霊:そんなことより。こんなところになぜ来たのだ 祓い屋:ちょっと調査にな 精霊:調査? 祓い屋:解体工事に来た人間の邪魔をしているのはお前か 精霊:あぁ。この前来た人間のことか 精霊:ちょっと機械を故障させただけなのに大げさな反応しとったわ 祓い屋:みんなお前にビビッて工事は中止だと 精霊:ほう。それは良かった 祓い屋:なぜこんなことをする。別に木を切り倒そうとしているわけじゃないだろう 精霊:それは…。この村を守る為だ 祓い屋:この村を? 精霊:我はずっと昔からこの村を見守ってきた 精霊:ここの村人はいつも桜の木を大切に扱ってくれてな 精霊:春になればみんな集まってよくこの木の下でお花見をしたものだ 精霊:それはそれは賑やかだった 祓い屋:でもそれは昔の話だろ。もうここには誰も住んでいないんだぞ 精霊:あぁ。でもいつか戻ってくるかもしれぬだろう 精霊:だから我は例えこの村に人がいなくなっても守り続けなければならぬのだ 精霊:この前来た人間には悪いことをしたと思っているがこの村を守る為だ、仕方があるまい 祓い屋:ここに住んでいた人達はもう別の地で暮らしている 精霊:…。 祓い屋:ここは人口減少によって物流の流通や移動手段が立ちいかなくなってな 祓い屋:一年前に他の町に移住した老人が最後の一人だったんだ 精霊:そんなの…分かっておる 精霊:でももしかしたら誰か戻ってくるかもしれぬだろう 精霊:我はこの村を守ると皆に約束したのだ 祓い屋:だが… 精霊:それを壊そうとするものは我が許さぬ 精霊:我は一人でもこの村を守ってみせる 精霊:この先もずっとな 祓い屋:…そうか。じゃあもう一つ聞く 祓い屋:心霊スポット目当てで来た人はみんな口をそろえてこう言っていた 祓い屋:桜の季節ではないのに桜が咲いていたと 祓い屋:それもお前の仕業だな 精霊:あぁ。所詮は幻影だがな。この綺麗な桜の存在を皆にも知ってほしかったのだ 精霊:今ではこの村に桜の木があったことを知る者もいなくなってしまったからな 祓い屋:…。さっきも言ったがここに人が戻ってくることはもうない 祓い屋:別の場所に移る気はないか? 精霊:言ったであろう。我はここを動かぬ。誰になんと言われようとな 精霊:この村は我の全てなのだ。お主も諦めてさっさと帰れ 祓い屋:あっ 0:   祓い屋(M):そういうと精霊は俺の前から姿を消した 0:   祓い屋:…そうか。また来る 0:夜。桜の木の上で村を眺める精霊 精霊:やっと帰ったか 精霊:我も分かっとるのだ。もうあの村人達が帰ってこないことは 精霊:それでも我はここを離れたくないのだ 精霊:…ここには思い出が沢山あるのだ 精霊:ここの村人は我の姿が見えていなくてもいつも話しかけてくれた 精霊:我も声が届かないと分かっていたが答えていた 精霊:それだけでも我にとってはとてもうれしかったのだ 精霊:賑やかだったころが懐かしいな 0:精霊は瞳を閉じ優しく微笑む 精霊:ちょうどこの季節になると村田さんが花見の準備を始めて 精霊:川村さんの家族が子供たちを連れて毎日遊びに来てくれて 精霊:満開になるとみんなが私の周りに集まって歌ったり食べたりしとったな 精霊:そうそう 精霊:小川さんの子供たちがこの木に登ろうとしてハラハラしながら見守っていたときもあったな 精霊:加藤さんのお団子は大人気でみんな狙っておって 精霊:佐藤さん家の子供たちがそれで毎年喧嘩して 精霊:飯島さん家のお父さんはお酒に酔ってくるとお気に入りの歌を歌って 精霊:あの頃は…楽しかったな 精霊:当時の村人達はみんな死に、もう我のことを覚えてくれる人なんていないのだな 精霊:我ももう、潔く消えるべきなのだろうか 精霊:……。 精霊:あぁ…今年ももうすぐ桜が満開の季節になるというのに、さびしいものだな… 0:  祓い屋(M):2カ月後 0:  祓い屋:よう。また来たぞ 精霊:お主…また来たのか。何度来ても私の意志は変わら…っ祓い屋よ、その者たちは… 祓い屋:あぁ。以前この村に関係のある人達を探してな 祓い屋:みんなに来てもらったんだ 精霊:…この子供たちは…まさか、小川さんの子供たちの孫なのか 祓い屋:あぁ。そうだ 精霊:小川さんの子どもの頃に顔がよく似ておる 祓い屋:今日はここで花見をしようと思ってな。ほら、食べ物もしっかりと用意してきたぞ 精霊:こ、このお団子は加藤さんがよく花見の時に作ってた 祓い屋:あと皆にはこれを探して持ってきてもらった 精霊:写真…?こ、この写真は…飯島さんの旦那さんに佐藤さんではないか… 祓い屋:当時の村人たちの写真だ。この写真の背景に移っているのはこの桜の木か 精霊:あぁ… 祓い屋:本当に美しい花を咲かせていたんだな 精霊:懐かしいな。まるで昨日のことのようだ。この写真をみているとまだ村に皆がいるように感じるよ 祓い屋:みんな住んでるところがバラバラで探し出すの苦労したんだからな 精霊:そうか…みんなここを離れてからも元気に暮らせとったのだな 精霊:本当に…よかった 祓い屋:あぁ。…なぁ精霊 精霊:…なんだ 祓い屋:みんなほかに移住しても良くこの村の話をしていたそうだぞ 精霊:話? 祓い屋:以前住んでいた村には、自慢の綺麗な桜の木があったんだってな 精霊:…!。そうか。皆ここを離れても…我を…忘れたわけではなかったのか 祓い屋:そうみたいだな 精霊:…(涙ぐむ) 祓い屋:よーし。準備もできたし今日は一晩ここで飲むぞ!花見だ! 精霊:あぁ! 0:  祓い屋(M):そのとき枯れていたはずの桜がきれいに咲き誇った 0:  祓い屋:…綺麗な桜だな 精霊:そうだろう。我はこの村の自慢の桜の木だからな 0:  祓い屋(M):はじめはみんな驚いていたが精霊の気持ちが伝わったのか 祓い屋(M):それからみんなで楽しそうに乾杯し飲んで食べて歌った 祓い屋(M):精霊はとても楽しそうに、そしてどこか懐かしそうに 祓い屋(M):みんなのことを見つめていた 0:  祓い屋:あっという間に時間は過ぎ 祓い屋:次の日みんなはまたそれぞれが住む町へと帰っていった 精霊:祓い屋。ありがとう 祓い屋:ああ。これも祓い屋の仕事なもんでね 祓い屋:気にするな 精霊:楽しかった。そしてとても懐かしかったよ 精霊:まるであの頃に戻ったようだった 祓い屋:それはよかったな 精霊:あの者たちは今日見た桜を覚えていてくれるだろうか 祓い屋:あぁ。覚えているさ。俺が見た桜の中でも一番きれいだっだぜ 精霊:そう言ってもらえると嬉しいよ。なぁ祓い屋よ 祓い屋:なんだ 精霊:もう決心はついた。これ以上工事の邪魔はしない 精霊:今まで申し訳なかった 祓い屋:そうか 精霊:我のことも切り倒してくれ。もう我は満足だ 精霊:村人たちの子孫の元気な姿も見ることができた 精霊:だからしばらく眠りにつこうと思うのだ 祓い屋:…精霊 精霊:なんだ? 祓い屋:まだ眠るには早いぞ 精霊:え? 祓い屋:この桜の木はある小学校の校庭に植えてもらえることになった 精霊:小学校? 祓い屋:そうだ。だから今度は小学校の子供たちを見守ってくれ 精霊:よいのか? 祓い屋:もちろんだ 精霊:祓い屋よ。本当にありがとな 0: 祓い屋(M):それから工事は順調に進み、桜の木はある小学校の校庭に移された 祓い屋(M):不思議なことに雷に打たれて花を咲かすことができないはずだった桜の木は 祓い屋(M):毎年きれいな花を咲かせているようだ。あの時みた桜よりも更に綺麗に 0: 祓い屋:今回も大変だったなぁ 祓い屋:電話しても最初は不審者扱いされたし 祓い屋:でもまぁ、無事解決してよかったよ 祓い屋:よっし!じゃあ今日は休も…って 祓い屋:まーた電話かよ…また今週も休みなしだな 0:受話器をとる 祓い屋:はい。こちら祓い屋です

0:オフィスの電話が鳴る 祓い屋:はい。こちら祓い屋です 祓い屋:はい、はい。あぁなるほど… 祓い屋:消滅集落の空き家ですか 祓い屋:分かりました。後日現地に向かってみます 0:電話を切る   祓い屋:はぁ…今回は消滅集落の空き家に出る謎の子供の霊か 祓い屋:何度家を取り壊そうとしても 祓い屋:不可解な故障が起こり工事は毎回中止 祓い屋:従業員の何人かは子供の姿を目撃していることから 祓い屋:現在では心霊スポットとして有名になり困っていると 祓い屋:他の目撃情報だと 祓い屋:「季節でもないのに桜が咲いていたのを見た」 祓い屋:なんてのもあるな 祓い屋:とりあえずその集落に明日向かうとするか 0:翌日 祓い屋:ここが例の集落か 祓い屋:消滅集落の空き家っていうからもっと汚いようなイメージがあったんだが 祓い屋:とてもそんな感じじゃないな 祓い屋:まるでここだけ当時から時間が止まってるような…ん? 0:   祓い屋(M):その時風に乗って花びらが部屋に入ってきた 0:   祓い屋:これは…桜か 祓い屋:確かに今は桜の季節だが、ここに来たとき桜の木なんてあったか? 精霊:お主何者だ? 祓い屋:うわっ…って子供か 精霊:子供とは失礼な。我はもうかれこれ120年は生きておる 祓い屋:お前が例の子供の幽霊だな 精霊:失礼な。そこら辺の霊体と一緒にしてもらっては困るぞ 祓い屋:幽霊…じゃないのか 精霊:うむ 祓い屋:確かに見た感じ他の霊体とは何か違うな 祓い屋:この感じ…もしかしてお前は…精霊か? 精霊:あぁ。人間の間ではそう呼ばれていたこともあるな 祓い屋:でもいったい何の 精霊:我はいかにも桜の精霊である 祓い屋:桜?でもここら辺に桜の木なんてあったか? 0:  祓い屋(M):すると精霊は家の外にある枯れた木を指さした 0:  祓い屋:あれは… 精霊:しばらく花を咲かせてはいないがこの木は桜だ 精霊:しかし十年前に雷に打たれてしまってな 精霊:それ以来花を咲かせてはいないのだが 祓い屋:酷いな…。もう花を咲かすことはできないのか 精霊:この木は死んでしまったわけではない 精霊:まだ生きておる。ただ花を咲かせる力が足りなくてな 祓い屋:そうか…。 精霊:そんなことより。こんなところになぜ来たのだ 祓い屋:ちょっと調査にな 精霊:調査? 祓い屋:解体工事に来た人間の邪魔をしているのはお前か 精霊:あぁ。この前来た人間のことか 精霊:ちょっと機械を故障させただけなのに大げさな反応しとったわ 祓い屋:みんなお前にビビッて工事は中止だと 精霊:ほう。それは良かった 祓い屋:なぜこんなことをする。別に木を切り倒そうとしているわけじゃないだろう 精霊:それは…。この村を守る為だ 祓い屋:この村を? 精霊:我はずっと昔からこの村を見守ってきた 精霊:ここの村人はいつも桜の木を大切に扱ってくれてな 精霊:春になればみんな集まってよくこの木の下でお花見をしたものだ 精霊:それはそれは賑やかだった 祓い屋:でもそれは昔の話だろ。もうここには誰も住んでいないんだぞ 精霊:あぁ。でもいつか戻ってくるかもしれぬだろう 精霊:だから我は例えこの村に人がいなくなっても守り続けなければならぬのだ 精霊:この前来た人間には悪いことをしたと思っているがこの村を守る為だ、仕方があるまい 祓い屋:ここに住んでいた人達はもう別の地で暮らしている 精霊:…。 祓い屋:ここは人口減少によって物流の流通や移動手段が立ちいかなくなってな 祓い屋:一年前に他の町に移住した老人が最後の一人だったんだ 精霊:そんなの…分かっておる 精霊:でももしかしたら誰か戻ってくるかもしれぬだろう 精霊:我はこの村を守ると皆に約束したのだ 祓い屋:だが… 精霊:それを壊そうとするものは我が許さぬ 精霊:我は一人でもこの村を守ってみせる 精霊:この先もずっとな 祓い屋:…そうか。じゃあもう一つ聞く 祓い屋:心霊スポット目当てで来た人はみんな口をそろえてこう言っていた 祓い屋:桜の季節ではないのに桜が咲いていたと 祓い屋:それもお前の仕業だな 精霊:あぁ。所詮は幻影だがな。この綺麗な桜の存在を皆にも知ってほしかったのだ 精霊:今ではこの村に桜の木があったことを知る者もいなくなってしまったからな 祓い屋:…。さっきも言ったがここに人が戻ってくることはもうない 祓い屋:別の場所に移る気はないか? 精霊:言ったであろう。我はここを動かぬ。誰になんと言われようとな 精霊:この村は我の全てなのだ。お主も諦めてさっさと帰れ 祓い屋:あっ 0:   祓い屋(M):そういうと精霊は俺の前から姿を消した 0:   祓い屋:…そうか。また来る 0:夜。桜の木の上で村を眺める精霊 精霊:やっと帰ったか 精霊:我も分かっとるのだ。もうあの村人達が帰ってこないことは 精霊:それでも我はここを離れたくないのだ 精霊:…ここには思い出が沢山あるのだ 精霊:ここの村人は我の姿が見えていなくてもいつも話しかけてくれた 精霊:我も声が届かないと分かっていたが答えていた 精霊:それだけでも我にとってはとてもうれしかったのだ 精霊:賑やかだったころが懐かしいな 0:精霊は瞳を閉じ優しく微笑む 精霊:ちょうどこの季節になると村田さんが花見の準備を始めて 精霊:川村さんの家族が子供たちを連れて毎日遊びに来てくれて 精霊:満開になるとみんなが私の周りに集まって歌ったり食べたりしとったな 精霊:そうそう 精霊:小川さんの子供たちがこの木に登ろうとしてハラハラしながら見守っていたときもあったな 精霊:加藤さんのお団子は大人気でみんな狙っておって 精霊:佐藤さん家の子供たちがそれで毎年喧嘩して 精霊:飯島さん家のお父さんはお酒に酔ってくるとお気に入りの歌を歌って 精霊:あの頃は…楽しかったな 精霊:当時の村人達はみんな死に、もう我のことを覚えてくれる人なんていないのだな 精霊:我ももう、潔く消えるべきなのだろうか 精霊:……。 精霊:あぁ…今年ももうすぐ桜が満開の季節になるというのに、さびしいものだな… 0:  祓い屋(M):2カ月後 0:  祓い屋:よう。また来たぞ 精霊:お主…また来たのか。何度来ても私の意志は変わら…っ祓い屋よ、その者たちは… 祓い屋:あぁ。以前この村に関係のある人達を探してな 祓い屋:みんなに来てもらったんだ 精霊:…この子供たちは…まさか、小川さんの子供たちの孫なのか 祓い屋:あぁ。そうだ 精霊:小川さんの子どもの頃に顔がよく似ておる 祓い屋:今日はここで花見をしようと思ってな。ほら、食べ物もしっかりと用意してきたぞ 精霊:こ、このお団子は加藤さんがよく花見の時に作ってた 祓い屋:あと皆にはこれを探して持ってきてもらった 精霊:写真…?こ、この写真は…飯島さんの旦那さんに佐藤さんではないか… 祓い屋:当時の村人たちの写真だ。この写真の背景に移っているのはこの桜の木か 精霊:あぁ… 祓い屋:本当に美しい花を咲かせていたんだな 精霊:懐かしいな。まるで昨日のことのようだ。この写真をみているとまだ村に皆がいるように感じるよ 祓い屋:みんな住んでるところがバラバラで探し出すの苦労したんだからな 精霊:そうか…みんなここを離れてからも元気に暮らせとったのだな 精霊:本当に…よかった 祓い屋:あぁ。…なぁ精霊 精霊:…なんだ 祓い屋:みんなほかに移住しても良くこの村の話をしていたそうだぞ 精霊:話? 祓い屋:以前住んでいた村には、自慢の綺麗な桜の木があったんだってな 精霊:…!。そうか。皆ここを離れても…我を…忘れたわけではなかったのか 祓い屋:そうみたいだな 精霊:…(涙ぐむ) 祓い屋:よーし。準備もできたし今日は一晩ここで飲むぞ!花見だ! 精霊:あぁ! 0:  祓い屋(M):そのとき枯れていたはずの桜がきれいに咲き誇った 0:  祓い屋:…綺麗な桜だな 精霊:そうだろう。我はこの村の自慢の桜の木だからな 0:  祓い屋(M):はじめはみんな驚いていたが精霊の気持ちが伝わったのか 祓い屋(M):それからみんなで楽しそうに乾杯し飲んで食べて歌った 祓い屋(M):精霊はとても楽しそうに、そしてどこか懐かしそうに 祓い屋(M):みんなのことを見つめていた 0:  祓い屋:あっという間に時間は過ぎ 祓い屋:次の日みんなはまたそれぞれが住む町へと帰っていった 精霊:祓い屋。ありがとう 祓い屋:ああ。これも祓い屋の仕事なもんでね 祓い屋:気にするな 精霊:楽しかった。そしてとても懐かしかったよ 精霊:まるであの頃に戻ったようだった 祓い屋:それはよかったな 精霊:あの者たちは今日見た桜を覚えていてくれるだろうか 祓い屋:あぁ。覚えているさ。俺が見た桜の中でも一番きれいだっだぜ 精霊:そう言ってもらえると嬉しいよ。なぁ祓い屋よ 祓い屋:なんだ 精霊:もう決心はついた。これ以上工事の邪魔はしない 精霊:今まで申し訳なかった 祓い屋:そうか 精霊:我のことも切り倒してくれ。もう我は満足だ 精霊:村人たちの子孫の元気な姿も見ることができた 精霊:だからしばらく眠りにつこうと思うのだ 祓い屋:…精霊 精霊:なんだ? 祓い屋:まだ眠るには早いぞ 精霊:え? 祓い屋:この桜の木はある小学校の校庭に植えてもらえることになった 精霊:小学校? 祓い屋:そうだ。だから今度は小学校の子供たちを見守ってくれ 精霊:よいのか? 祓い屋:もちろんだ 精霊:祓い屋よ。本当にありがとな 0: 祓い屋(M):それから工事は順調に進み、桜の木はある小学校の校庭に移された 祓い屋(M):不思議なことに雷に打たれて花を咲かすことができないはずだった桜の木は 祓い屋(M):毎年きれいな花を咲かせているようだ。あの時みた桜よりも更に綺麗に 0: 祓い屋:今回も大変だったなぁ 祓い屋:電話しても最初は不審者扱いされたし 祓い屋:でもまぁ、無事解決してよかったよ 祓い屋:よっし!じゃあ今日は休も…って 祓い屋:まーた電話かよ…また今週も休みなしだな 0:受話器をとる 祓い屋:はい。こちら祓い屋です