台本概要

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タイトル バディ2 ~誘惑~
作者名 赤影  (@akakage_sekiyou)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(男2、女1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 とあるところにバディを組む青年達がいた。
やたらと目の良いカイトと鉄パイプを武器に戦うケンヤ。
彼らは法の目を掻い潜るシリアルキラーを秘かに裁いていた。
今宵、彼らの標的となったのは、男を誘惑する事に長けた女で・・・

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
カイト 65 やたらと目が良い。 ケンヤと共にシリアルキラー狩りをしている。
ケンヤ 77 喧嘩っ早く脳筋気味。 鉄パイプを武器にカイトと共にシリアルキラー狩りをしている。
高野 37 高野里美。男を誘惑するシリアルキラー。 カイトとケンヤの標的。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ケンヤ:で?今回の標的は? カイト:・・・おい、俺がいつでも標的を求めて彷徨(さまよ)ってるみたいな言い方をするな ケンヤ:でも決まってんだろ? カイト:・・・・・・高野里美(たかのさとみ)。大手アパレル企業『マーチ』の幹部役員 ケンヤ:やっぱり決まってんじゃねぇか カイト:うるせぇ ケンヤ:んで?その女の罪状は? カイト:罪状って、お前なぁ・・・ ケンヤ:いいから。何したんだよ、そいつ? カイト:ツラのいい奴を手当たり次第に食い漁(あさ)ってる ケンヤ:ただの面食いじゃねぇか カイト:肉体関係って意味でならな。残念ながらそうじゃねぇ。文字通り『食い漁って』るんだよ ケンヤ:それって・・・食人って事かよ カイト:そうだ ケンヤ:で?カイトのことだ、その高野のターゲットになってる奴も目星ついてんだろ? カイト:ああ。おまえだよ、ケンヤ ケンヤ:ああ俺か。俺かっこいいもんなって・・・えっ!? カイト:ひっじょーーーうに不本意だがその通りらしい。奴(やっこ)さんのターゲットはお前だ ケンヤ:お、おお、俺か・・・そっか・・・ カイト:嬉しそうにしてんじゃねぇよクソが ケンヤ:え? カイト:なんでもねぇ。とにかく、今回の囮はお前だから、高野を殺したらお前も殺さにゃならん ケンヤ:は?え、嘘だろ?俺お前に殺されんの!? カイト:残念だがな ケンヤ:・・・はぁ・・・仕方ねぇなあ・・・お前とは殺り合いたくねぇけど、テメェが俺を殺ろうってんなら話は別だ ケンヤ:出会った時の続きと行くか? カイト:はぁ~・・・冗談に決まってんだろ。そもそも囮を殺すのは俺達の顔を見られたからだ。張本人のお前を殺す意味なんざねぇだろ。気付けバカ ケンヤ:なっ、カイトテメェ!バカとは何だバカとは! カイト:バカだろうが ケンヤ:このっ・・・ カイト:おふざけはここまでにして、今回の標的の詳細を言うぞ ケンヤ:ふざけ始めたのはテメェだろうが! カイト:標的の高野はこ憎たらしい事にそれなりに整った容姿をしてる ケンヤ:無視かよっ カイト:じゃなきゃ手当たり次第に男を捕まえることもできねぇからな カイト:で、当然といえば当然だが、ただの見た目のいい女ってわけじゃあねぇ。ひっかけた男を動けなくする術(すべ)を持ってる ケンヤ:その動けなくする術ってのは? カイト:残念な事に、そこがまだ観察出来てねぇんだ ケンヤ:なっ、カイトの目を以(もっ)てしてもわからねぇなんて、意外とやるじゃねぇか、その女 カイト:ああ。だが今回は幸いな事に、ターゲットはケンヤだ。お前の力なら小細工もそうそう効かねぇだろう。前もって食人女だともわかってるわけだしな ケンヤ:だな カイト:考えられる方法としては、飲み物や食べ物に毒を盛る、スタンガンで気絶させる・・・ ケンヤ:後はぶん殴るとか? カイト:・・・あのなぁ、相手は女だぞ。さすがに今までの被害者全員ぶん殴って気絶させるのは無理だろ ケンヤ:あー・・・そうか・・・ カイト:脳筋のお前らしい発想だな ケンヤ:うるせぇ カイト:とにかく、今回は標的に近づいたらまず口にするものと手元に気を付けておけ。いいな? ケンヤ:おう! 0: 0: 0:街中にて 0: 高野:(よろけて)あっ・・・ ケンヤ:おっと、大丈夫かよ ケンヤ:(って、こいつ標的の高野じゃねぇか) 高野:あ、ありがとうございます・・・少し眩暈(めまい)がしてしまって・・・ ケンヤ:あ?ああ、そりゃ大変だな 高野:お陰様で転ばずにすみました。本当にありがとうございま・・・っぁ ケンヤ:っと、本当に大丈夫かよ?立ててすらいねぇじゃねぇか 高野:すみません・・・お恥ずかしい話、一昨日から何も食べていなくて・・・その・・・ ケンヤ:一昨日から!?そりゃ腹減って眩暈(めまい)もするだろうよ! 高野:え、ええ・・・ ケンヤ:ったく、しょうがねぇなあ・・・どっかでなんか食わせてやるよ ケンヤ:(ん?俺は何を言ってんだ・・・?) 高野:そんな!そこまでご迷惑をおかけするわけには・・・ ケンヤ:ここで別れて倒れられる方が迷惑だっての。ほら、行くぞ ケンヤ:(なんだ・・・?何かがおかしい気もするが・・・まぁ、いいか・・・) 0: 0: 0: 0: ケンヤ:ここらでいいか? 高野:はい、ありがとうございます ケンヤ:にしても、こんな廃ビルにこんな美味そうな飯屋があるなんてな。知らなかったぜ 高野:でしょう?ここは人通りもなくて、いい穴場なんですよ ケンヤ:だろうな、ハハッ 高野:あ、ここのお店は上着は着てちゃダメなんです ケンヤ:お?そうか。じゃあ脱がねぇとな 高野:・・・わぁ、逞(たくま)しい筋肉ですね ケンヤ:ヘヘッ、自慢の筋肉だぜ! 高野:触っても・・・いいですか・・・? ケンヤ:おう! 高野:はぁ・・・弾力があって、とっても美味しそ・・・うっ!? 0: 0:何かが高野の頬をかすめ、たらりと血が垂れた 0: 高野:誰!? カイト:チッ、外したか。頭を狙ったんだがな ケンヤ:カイト・・・?お前、こんなとこで何やってんだよ? 高野:知り合い・・・? ケンヤ:おう。こいつは俺の・・・ カイト:ケンヤ!目を覚ませ!お前は暗示にかけられてる! ケンヤ:は?何言ってんだよ、カイト? 高野:耳を貸さないで!あの人は私を狙う悪党よ! ケンヤ:悪党って・・・いやいや、だからあいつは・・・あいつは・・・敵か・・・? カイト:クソッ!さっさと正気に戻れ脳筋バカ! ケンヤ:あ? 0: 0:ヒュンッと鉄パイプが空を切る 0: カイト:っぶね! ケンヤ:避けてんじゃねぇよ悪党! カイト:チィッ!洗脳の類(たぐい)かよクソッタレが!! 高野:あははははは!いいわよ!悪党を懲(こ)らしめてちょうだい! ケンヤ:お任せ、あれっ!! カイト:くっ! ケンヤ:避けんじゃ、ねぇよ! カイト:避けるに!決まってん、だろがっ! カイト:(クソッ、動きを止めようにも銃を撃つ隙もねぇ!だからこいつとは殺りあいたくねぇんだ!) ケンヤ:オラぁ! カイト:っくぁ! ケンヤ:まだまだぁ!! カイト:っそ!せめて一発撃つ隙さえありゃあ・・・ ケンヤ:よそ見、してんじゃねぇ!! カイト:ぐぁっ! 高野:きゃはははは!いったそぉう! ケンヤ:いたぶる趣味はねぇ。一発で殺してやるよ 高野:ダメよ!私に傷をつけたのよ?たぁっぷり可愛がってあげなくっちゃ! カイト:・・・調子に、乗るなぁあああ!! 0: 0:カイトは高野を睨み付けた 0: 高野:な、何!?体が・・・っ! ケンヤ:っ!?どうした高野!! カイト:今だっ! ケンヤ:ぐぁっ! カイト:俺の肩を思いっきりぶっ叩いてくれたんだ、足に一発ぐらい大目に見やがれよチクショウ! ケンヤ:クッソ!! 高野:何してんのよ!足を撃たれたくらいで立ち止まってんじゃないわよ!!早くそいつをやっつけて・・・ カイト:黙れクソが!! 高野:っ!!・・・く、ぁ・・・ カイト:ぁあクソ!調子出ねぇ・・・! ケンヤ:高野に何しやがった! カイト:うるせぇ!テメェのバディは俺だろうが!クソアマに洗脳されてんじゃねぇよ!! ケンヤ:何を言って・・・ カイト:俺の目を見ろケンヤぁ!! ケンヤ:っ!?・・・なっ・・・ぐ、ぅ、ぅう・・・っ カイト:いいか、テメェのバディはこの俺だ。カイトだ。忘れちまったようだから思い出させてやるよ。そいつの洗脳に上書きする形でな ケンヤ:ぐ、あ・・・ぁああぁああぁあぁあああ!! 高野:・・・な、に・・・を・・・ カイト:高野里美。テメェは嗅覚と視覚で男を洗脳するみてぇだな。厄介な女だぜ 高野:なっ・・・!な、ぜ、それ・・・を・・・っ! カイト:お仲間なんだよ、この俺もな 高野:能力、者か・・・っ! カイト:ああ。視界に特化した分、俺の洗脳の方が強いみたいだがな? 高野:ふざけ・・・っ! ケンヤ:・・・ぐ、あ・・・あ?・・・・・・あれ・・・カイト・・・? カイト:やっとお目覚めかよ、王子様? ケンヤ:・・・は?・・・俺は、何を・・・ 高野:わ、私の、力が・・・負け・・・っ! カイト:ケンヤ、そいつはお前を操って俺を攻撃させた。鼻に自分の血でも塗って嗅覚を封じ、その女の目を見るな ケンヤ:俺が、カイトを・・・?わ、わりぃ! カイト:謝るのは後にして早く嗅覚を・・・ 高野:なめて、いるのは、どっちよ!!! ケンヤ:うわっ! カイト:くっ! 高野:ちっ!人外を引き当てるなんてついてない!食べられないものに興味なんてないのよ! カイト:逃がすか! 高野:一度は洗脳を解いたようだけど、あんたの相手はそこの鼻のいいワンちゃんよ!味方にぐちゃぐちゃにされてしまいなさい! ケンヤ:しねぇよ 高野:は? 0: 0:鉄パイプが再び空を切り、高野はすんでのところでそれを避ける 0: 高野:くっ!! ケンヤ:くっそ、足が思うように動かねぇ・・・! カイト:わりぃな、ケンヤ。だが、充分だ 高野:っ!!きゃあああ!!! カイト:いくらすばしっこくても、ケンヤの攻撃の直後の銃弾は、避けらんねぇだろ 高野:ぐっ!・・・くっそ、がぁああああ!! ケンヤ:口が悪ぃぜ、お姉さんよぉ!! 高野:がっはっ! カイト:悪ぃが、テメェみてぇな奴は絶対に生かしておけねぇんでな 高野:ぎゃぁあああ!! カイト:ケンヤ、とどめを ケンヤ:おう! 高野:い、いや・・・いやよ!助けっ・・・ ケンヤ:あばよ 高野:ぎゃっ 0: 0:廃ビル内に鈍い音が響いた 0: ケンヤ:しっかし、今回の敵は強敵だったな。俺もお前もボロボロなんて、出会った時以来じゃねぇか? カイト:ああ、まったくだ カイト:・・・・・・悪かったな・・・ ケンヤ:あ? カイト:・・・俺の観察が甘かったせいで、このざまだ ケンヤ:あー・・・まぁ、たまにはこんな事もあった方が、お前も人間なんだなって実感できるし、いいんじゃね? カイト:・・・・・・そうか・・・ありがたく受け取っとくよ ケンヤ:うわ、素直なカイトって気持ち悪ぃ! カイト:うるせぇ。とにかくこの死体片付けて、とっとと帰るぞ ケンヤ:そうだな。早く帰って治療しねぇとな カイト:ああ。お前の足は撃ちぬいたからすぐ治るだろうが、俺の肩はいつ治る事やら・・・ ケンヤ:う、悪かったって・・・ カイト:利き腕じゃなかっただけまだよかったと思うしかねぇな ケンヤ:うぅ・・・ カイト:・・・・・・ カイト:(やっぱり、シリアルキラー狩りをしてりゃあ、今回みたいな奴にあたる事もあるよな・・・もっと俺の能力も鍛えとかねぇと・・・) ケンヤ:・・・い?おいカイト?聞いてるか? カイト:ん?ああ、悪い、聞いてなかった ケンヤ:だから、黙りこくってどうしちまったんだよって・・・ カイト:あー、いや。ちょっと考え事をしてただけだ ケンヤ:そっか・・・それにしてもほんと、俺の鼻の良さが仇(あだ)になっちまうとはなぁ・・・ カイト:ああ、誤算だった。が、これからはもっと、お前みたいな半人外にあたる可能性もあるって、頭に入れとかねぇとな ケンヤ:そうだな。俺の力だけじゃ、高野には勝てなかった。どうやったかは知らねぇが、お前が俺を正気に戻してくれたんだろ? カイト:俺の観察が甘かったせいなんだ、自分のケツくらい自分で拭くさ ケンヤ:俺はお前のケツかよ! カイト:ハハッ。ほら、さっさと帰るぞ ケンヤ:ったく・・・あー足いてぇ・・・ 0: 0:おしまい 0:

ケンヤ:で?今回の標的は? カイト:・・・おい、俺がいつでも標的を求めて彷徨(さまよ)ってるみたいな言い方をするな ケンヤ:でも決まってんだろ? カイト:・・・・・・高野里美(たかのさとみ)。大手アパレル企業『マーチ』の幹部役員 ケンヤ:やっぱり決まってんじゃねぇか カイト:うるせぇ ケンヤ:んで?その女の罪状は? カイト:罪状って、お前なぁ・・・ ケンヤ:いいから。何したんだよ、そいつ? カイト:ツラのいい奴を手当たり次第に食い漁(あさ)ってる ケンヤ:ただの面食いじゃねぇか カイト:肉体関係って意味でならな。残念ながらそうじゃねぇ。文字通り『食い漁って』るんだよ ケンヤ:それって・・・食人って事かよ カイト:そうだ ケンヤ:で?カイトのことだ、その高野のターゲットになってる奴も目星ついてんだろ? カイト:ああ。おまえだよ、ケンヤ ケンヤ:ああ俺か。俺かっこいいもんなって・・・えっ!? カイト:ひっじょーーーうに不本意だがその通りらしい。奴(やっこ)さんのターゲットはお前だ ケンヤ:お、おお、俺か・・・そっか・・・ カイト:嬉しそうにしてんじゃねぇよクソが ケンヤ:え? カイト:なんでもねぇ。とにかく、今回の囮はお前だから、高野を殺したらお前も殺さにゃならん ケンヤ:は?え、嘘だろ?俺お前に殺されんの!? カイト:残念だがな ケンヤ:・・・はぁ・・・仕方ねぇなあ・・・お前とは殺り合いたくねぇけど、テメェが俺を殺ろうってんなら話は別だ ケンヤ:出会った時の続きと行くか? カイト:はぁ~・・・冗談に決まってんだろ。そもそも囮を殺すのは俺達の顔を見られたからだ。張本人のお前を殺す意味なんざねぇだろ。気付けバカ ケンヤ:なっ、カイトテメェ!バカとは何だバカとは! カイト:バカだろうが ケンヤ:このっ・・・ カイト:おふざけはここまでにして、今回の標的の詳細を言うぞ ケンヤ:ふざけ始めたのはテメェだろうが! カイト:標的の高野はこ憎たらしい事にそれなりに整った容姿をしてる ケンヤ:無視かよっ カイト:じゃなきゃ手当たり次第に男を捕まえることもできねぇからな カイト:で、当然といえば当然だが、ただの見た目のいい女ってわけじゃあねぇ。ひっかけた男を動けなくする術(すべ)を持ってる ケンヤ:その動けなくする術ってのは? カイト:残念な事に、そこがまだ観察出来てねぇんだ ケンヤ:なっ、カイトの目を以(もっ)てしてもわからねぇなんて、意外とやるじゃねぇか、その女 カイト:ああ。だが今回は幸いな事に、ターゲットはケンヤだ。お前の力なら小細工もそうそう効かねぇだろう。前もって食人女だともわかってるわけだしな ケンヤ:だな カイト:考えられる方法としては、飲み物や食べ物に毒を盛る、スタンガンで気絶させる・・・ ケンヤ:後はぶん殴るとか? カイト:・・・あのなぁ、相手は女だぞ。さすがに今までの被害者全員ぶん殴って気絶させるのは無理だろ ケンヤ:あー・・・そうか・・・ カイト:脳筋のお前らしい発想だな ケンヤ:うるせぇ カイト:とにかく、今回は標的に近づいたらまず口にするものと手元に気を付けておけ。いいな? ケンヤ:おう! 0: 0: 0:街中にて 0: 高野:(よろけて)あっ・・・ ケンヤ:おっと、大丈夫かよ ケンヤ:(って、こいつ標的の高野じゃねぇか) 高野:あ、ありがとうございます・・・少し眩暈(めまい)がしてしまって・・・ ケンヤ:あ?ああ、そりゃ大変だな 高野:お陰様で転ばずにすみました。本当にありがとうございま・・・っぁ ケンヤ:っと、本当に大丈夫かよ?立ててすらいねぇじゃねぇか 高野:すみません・・・お恥ずかしい話、一昨日から何も食べていなくて・・・その・・・ ケンヤ:一昨日から!?そりゃ腹減って眩暈(めまい)もするだろうよ! 高野:え、ええ・・・ ケンヤ:ったく、しょうがねぇなあ・・・どっかでなんか食わせてやるよ ケンヤ:(ん?俺は何を言ってんだ・・・?) 高野:そんな!そこまでご迷惑をおかけするわけには・・・ ケンヤ:ここで別れて倒れられる方が迷惑だっての。ほら、行くぞ ケンヤ:(なんだ・・・?何かがおかしい気もするが・・・まぁ、いいか・・・) 0: 0: 0: 0: ケンヤ:ここらでいいか? 高野:はい、ありがとうございます ケンヤ:にしても、こんな廃ビルにこんな美味そうな飯屋があるなんてな。知らなかったぜ 高野:でしょう?ここは人通りもなくて、いい穴場なんですよ ケンヤ:だろうな、ハハッ 高野:あ、ここのお店は上着は着てちゃダメなんです ケンヤ:お?そうか。じゃあ脱がねぇとな 高野:・・・わぁ、逞(たくま)しい筋肉ですね ケンヤ:ヘヘッ、自慢の筋肉だぜ! 高野:触っても・・・いいですか・・・? ケンヤ:おう! 高野:はぁ・・・弾力があって、とっても美味しそ・・・うっ!? 0: 0:何かが高野の頬をかすめ、たらりと血が垂れた 0: 高野:誰!? カイト:チッ、外したか。頭を狙ったんだがな ケンヤ:カイト・・・?お前、こんなとこで何やってんだよ? 高野:知り合い・・・? ケンヤ:おう。こいつは俺の・・・ カイト:ケンヤ!目を覚ませ!お前は暗示にかけられてる! ケンヤ:は?何言ってんだよ、カイト? 高野:耳を貸さないで!あの人は私を狙う悪党よ! ケンヤ:悪党って・・・いやいや、だからあいつは・・・あいつは・・・敵か・・・? カイト:クソッ!さっさと正気に戻れ脳筋バカ! ケンヤ:あ? 0: 0:ヒュンッと鉄パイプが空を切る 0: カイト:っぶね! ケンヤ:避けてんじゃねぇよ悪党! カイト:チィッ!洗脳の類(たぐい)かよクソッタレが!! 高野:あははははは!いいわよ!悪党を懲(こ)らしめてちょうだい! ケンヤ:お任せ、あれっ!! カイト:くっ! ケンヤ:避けんじゃ、ねぇよ! カイト:避けるに!決まってん、だろがっ! カイト:(クソッ、動きを止めようにも銃を撃つ隙もねぇ!だからこいつとは殺りあいたくねぇんだ!) ケンヤ:オラぁ! カイト:っくぁ! ケンヤ:まだまだぁ!! カイト:っそ!せめて一発撃つ隙さえありゃあ・・・ ケンヤ:よそ見、してんじゃねぇ!! カイト:ぐぁっ! 高野:きゃはははは!いったそぉう! ケンヤ:いたぶる趣味はねぇ。一発で殺してやるよ 高野:ダメよ!私に傷をつけたのよ?たぁっぷり可愛がってあげなくっちゃ! カイト:・・・調子に、乗るなぁあああ!! 0: 0:カイトは高野を睨み付けた 0: 高野:な、何!?体が・・・っ! ケンヤ:っ!?どうした高野!! カイト:今だっ! ケンヤ:ぐぁっ! カイト:俺の肩を思いっきりぶっ叩いてくれたんだ、足に一発ぐらい大目に見やがれよチクショウ! ケンヤ:クッソ!! 高野:何してんのよ!足を撃たれたくらいで立ち止まってんじゃないわよ!!早くそいつをやっつけて・・・ カイト:黙れクソが!! 高野:っ!!・・・く、ぁ・・・ カイト:ぁあクソ!調子出ねぇ・・・! ケンヤ:高野に何しやがった! カイト:うるせぇ!テメェのバディは俺だろうが!クソアマに洗脳されてんじゃねぇよ!! ケンヤ:何を言って・・・ カイト:俺の目を見ろケンヤぁ!! ケンヤ:っ!?・・・なっ・・・ぐ、ぅ、ぅう・・・っ カイト:いいか、テメェのバディはこの俺だ。カイトだ。忘れちまったようだから思い出させてやるよ。そいつの洗脳に上書きする形でな ケンヤ:ぐ、あ・・・ぁああぁああぁあぁあああ!! 高野:・・・な、に・・・を・・・ カイト:高野里美。テメェは嗅覚と視覚で男を洗脳するみてぇだな。厄介な女だぜ 高野:なっ・・・!な、ぜ、それ・・・を・・・っ! カイト:お仲間なんだよ、この俺もな 高野:能力、者か・・・っ! カイト:ああ。視界に特化した分、俺の洗脳の方が強いみたいだがな? 高野:ふざけ・・・っ! ケンヤ:・・・ぐ、あ・・・あ?・・・・・・あれ・・・カイト・・・? カイト:やっとお目覚めかよ、王子様? ケンヤ:・・・は?・・・俺は、何を・・・ 高野:わ、私の、力が・・・負け・・・っ! カイト:ケンヤ、そいつはお前を操って俺を攻撃させた。鼻に自分の血でも塗って嗅覚を封じ、その女の目を見るな ケンヤ:俺が、カイトを・・・?わ、わりぃ! カイト:謝るのは後にして早く嗅覚を・・・ 高野:なめて、いるのは、どっちよ!!! ケンヤ:うわっ! カイト:くっ! 高野:ちっ!人外を引き当てるなんてついてない!食べられないものに興味なんてないのよ! カイト:逃がすか! 高野:一度は洗脳を解いたようだけど、あんたの相手はそこの鼻のいいワンちゃんよ!味方にぐちゃぐちゃにされてしまいなさい! ケンヤ:しねぇよ 高野:は? 0: 0:鉄パイプが再び空を切り、高野はすんでのところでそれを避ける 0: 高野:くっ!! ケンヤ:くっそ、足が思うように動かねぇ・・・! カイト:わりぃな、ケンヤ。だが、充分だ 高野:っ!!きゃあああ!!! カイト:いくらすばしっこくても、ケンヤの攻撃の直後の銃弾は、避けらんねぇだろ 高野:ぐっ!・・・くっそ、がぁああああ!! ケンヤ:口が悪ぃぜ、お姉さんよぉ!! 高野:がっはっ! カイト:悪ぃが、テメェみてぇな奴は絶対に生かしておけねぇんでな 高野:ぎゃぁあああ!! カイト:ケンヤ、とどめを ケンヤ:おう! 高野:い、いや・・・いやよ!助けっ・・・ ケンヤ:あばよ 高野:ぎゃっ 0: 0:廃ビル内に鈍い音が響いた 0: ケンヤ:しっかし、今回の敵は強敵だったな。俺もお前もボロボロなんて、出会った時以来じゃねぇか? カイト:ああ、まったくだ カイト:・・・・・・悪かったな・・・ ケンヤ:あ? カイト:・・・俺の観察が甘かったせいで、このざまだ ケンヤ:あー・・・まぁ、たまにはこんな事もあった方が、お前も人間なんだなって実感できるし、いいんじゃね? カイト:・・・・・・そうか・・・ありがたく受け取っとくよ ケンヤ:うわ、素直なカイトって気持ち悪ぃ! カイト:うるせぇ。とにかくこの死体片付けて、とっとと帰るぞ ケンヤ:そうだな。早く帰って治療しねぇとな カイト:ああ。お前の足は撃ちぬいたからすぐ治るだろうが、俺の肩はいつ治る事やら・・・ ケンヤ:う、悪かったって・・・ カイト:利き腕じゃなかっただけまだよかったと思うしかねぇな ケンヤ:うぅ・・・ カイト:・・・・・・ カイト:(やっぱり、シリアルキラー狩りをしてりゃあ、今回みたいな奴にあたる事もあるよな・・・もっと俺の能力も鍛えとかねぇと・・・) ケンヤ:・・・い?おいカイト?聞いてるか? カイト:ん?ああ、悪い、聞いてなかった ケンヤ:だから、黙りこくってどうしちまったんだよって・・・ カイト:あー、いや。ちょっと考え事をしてただけだ ケンヤ:そっか・・・それにしてもほんと、俺の鼻の良さが仇(あだ)になっちまうとはなぁ・・・ カイト:ああ、誤算だった。が、これからはもっと、お前みたいな半人外にあたる可能性もあるって、頭に入れとかねぇとな ケンヤ:そうだな。俺の力だけじゃ、高野には勝てなかった。どうやったかは知らねぇが、お前が俺を正気に戻してくれたんだろ? カイト:俺の観察が甘かったせいなんだ、自分のケツくらい自分で拭くさ ケンヤ:俺はお前のケツかよ! カイト:ハハッ。ほら、さっさと帰るぞ ケンヤ:ったく・・・あー足いてぇ・・・ 0: 0:おしまい 0: