台本概要

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タイトル 魔王を倒しに来たらお留守でした
作者名 桜蛇あねり(おうじゃあねり)  (@aneri_writer)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ロリは世界を救…いや、ロリは世界を支配した…。
ロリ万歳……!

※なんでもアリです。節度を守って楽しく演じてください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ユーシャ 64 勇者。ツッコミ頑張ってください。 女でも可能。
ソーリョ 22 僧侶。全力で罵りましょう。 男でも可能。
クロマドー 38 黒魔導。全力で変態になりましょう。 女でも可能。
魔王の娘 33 魔族の頂点に立ちし魔王の娘。全力でロリってください。 ショタでも可能。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:『魔王を倒しに来たらお留守でした』 : : : ユーシャ:みんな、準備はいいか?いよいよ最終決戦だ…。これまでたくさんの困難を乗り越え、ようやくここまで来た。 ユーシャ:今だから言うが、俺は何度か剣を捨ててしまえば、楽になれるのではないか、もう諦めて魔王に従ってしまおうか、そんなことを考えたことがあった。 ユーシャ:…だが!ここまで諦めずに来られたのは、お前たちがずっと励まし支えてくれたからだ!!礼を言う、ありがとう。 ユーシャ: クロマドー:おいおい、何らしくないことを言ってるんだよ。俺らは仲間だ。助け合うのは当たり前だろ?礼なんていらねぇ。 クロマドー: ソーリョ:そうですよ!そういうカッコいいセリフは、魔王を倒した後に言ってください。この旅を振り返るのはその時でいいじゃないですか。 ソーリョ: ユーシャ:へへっ!それもそーだな!んじゃ、クロマドー!ソーリョ!気合い入れていくぞ! ユーシャ: クロマドー:おう! クロマドー: ソーリョ:はい! ソーリョ: : : 0:勇者一行、魔王城へ到着 : : ユーシャ:ここが最後の砦(とりで)…魔王の座…。行くぞ!! ユーシャ: : 0:ギィィィィ(扉を開く) : : 魔王の娘:よくぞここまできた、ユーシャども。 魔王の娘: ユーシャ:魔王!お前を倒しに来た!この世界を魔族で支配させるなんてこと、このユーシャが許さない!さあ、姿を現せ! ユーシャ: 魔王の娘:いいだろう、われが血祭りにあげてくれようぞ…。 魔王の娘: 0:魔王の娘登場 : 魔王の娘:フーハハハ!われは魔族の頂点に立ちち、立ち、し…立ちし者!最恐の名をとどろかしゅ、魔王である!覚悟しろ、ユーシャども! 魔王の娘: ユーシャ:え? ユーシャ: クロマドー:え? クロマドー: ソーリョ:え? ソーリョ: 魔王の娘:われの姿にきょーがくして、言葉も出ないか!だが、安心しろ!すぐにその口からはだんまつ、だ、断末魔!の叫びしか出ないよーにしてやるわ!フーハハハ! 魔王の娘: ユーシャ:幼女? ユーシャ: クロマドー:幼女、だな。 クロマドー: ソーリョ:可愛らしい女の子ですね。 ソーリョ: ユーシャ:えぇっと、お嬢ちゃん?君が、魔王? ユーシャ: 魔王の娘:そーだ!今日はおとーさんがいないから、われが魔王なのだ!おそれひれふせ!あがめたてまつれ!われを崇拝しろ! 魔王の娘: ソーリョ:あらあら。お父さんは?今日はお留守なの? ソーリョ: 魔王の娘:うん、おとーさんは、魔王城のみんなと一緒に社員旅行?ってやつに行ってる!ユーシャが来る前に、皆の士気?ってやつを高めるんだって!だからわれがお留守番なのだ! 魔王の娘: ユーシャ:いやいやいや!社員旅行ってなんだよ!?つか行くな!どーりでここに来るまで全くモンスターが出ないわけだよ! ユーシャ: クロマドー:罠かと思ったが、全然違ったな…。社員旅行などと…ここは企業なのか?ホワイト企業なのか? クロマドー: ソーリョ:じゃあ、お嬢ちゃん一人でお留守番なの?偉いわぁ! ソーリョ: 魔王の娘:さっきから、お嬢ちゃんお嬢ちゃんと、子ども扱いをするな!われはれっきとした次期魔王なんだぞ!お前らなんか、滅ぼしてやるんだからな!覚悟しろ! 魔王の娘: ユーシャ:……えーっと、どうしたらいいんだ…。あの、おじょうちゃん、いや、魔王ちゃん?ちょーっと作戦会議開いてもいいかな、俺ら。 ユーシャ: 魔王の娘:ふっふっふっ、いいだろう!猶予を与えてやる!最後の晩餐(ばんさん)、しかと有意義に過ごすがいい! 魔王の娘: クロマドー:最近覚えたであろう難しそうな言葉を使いたい年頃なのだろうな。 クロマドー: ユーシャ:おい、あんま刺激すんな!いいからこっちこい!……さて、どうするか。 ユーシャ: ソーリョ:さすがに、あんないたいけな女の子を攻撃するわけにはいきませんわ。 ソーリョ: ユーシャ:いくら魔王の子どもとはいえ、ちょっとなぁ…。いや、でも魔王の子だ!安心はできない。ものすごい力を秘めている可能性はある。 ユーシャ: ソーリョ:でしたら、クロマドーさん、「スペクトル・アイ」であの子の能力を調べてみてください。 ソーリョ: ユーシャ:そうだな、こっそりやれよ。 ユーシャ: クロマドー:わかった。分析せよ、「スペクトル・アイ」! クロマドー: ユーシャ:どうだ? ユーシャ: クロマドー:魔王(娘)、レベル5、HP95. クロマドー: ユーシャ:レベル低っ! ユーシャ: ソーリョ:私たちのレベルは60を超えてますからね…。 ソーリョ: クロマドー:弱点は…斬撃、打撃、火属性、水属性、風属性、地属性、最大弱点が闇属性。 クロマドー: ユーシャ:なんで最大弱点が闇!?魔王は基本闇属性だろ!?耐性あるだろ!?そして弱点多いな! ユーシャ: クロマドー:しかし、あの子、光属性は無効だ。 クロマドー: ソーリョ:あらあら、どうしましょう。私の唯一の攻撃魔法は光属性ですのに…効かないなんて…。 ソーリョ: ユーシャ:光が無効の魔王って何!?光属性無効になるの、天使族のやつらぐらいだろ!? ユーシャ: クロマドー:つまり、純粋無垢な存在、というわけだ。 クロマドー: ユーシャ:やっぱただの幼女じゃねーか!光属性の攻撃が無効なうえに、それ以外が弱点の魔王なんて聞いたことねーよ!? ユーシャ: クロマドー:む……どうやら使える魔法が一つあるみたいだ。 クロマドー: ユーシャ:どーせ、ファイアーボール(最弱火魔法)とかスモールヒール(最小回復魔法)とか、その辺だろ? ユーシャ: クロマドー:いや、ビッグバン、だ。 クロマドー: ユーシャ:なんでだよ!? ユーシャ: クロマドー:説明しよう、ビッグバンとは。この世界最大の爆発攻撃魔法である。 クロマドー: ユーシャ:どうせMP足りなくて撃てないやつだろ…。 ユーシャ:…っていうか、あれ?ソーリョどこ行った? ユーシャ: クロマドー:む?そういえば、いつの間にかいなくなって……。 クロマドー: ソーリョ:(魔王の娘とお絵描き中)あら、魔王ちゃんは絵が上手なのね!それはお父さん? ソーリョ: 魔王の娘:そうだ!お父さんはとても強くて大きくて優しくて、カッコいいんだ! 魔王の娘: ソーリョ:お父さん大好きなのね~。 ソーリョ: ユーシャ:いや何してんの!? ユーシャ: ソーリョ:あ、作戦会議終わりましたか?魔王ちゃんが暇そうにしてたからお相手を…。 ソーリョ: 魔王の娘:おねーちゃんも描いてあげる!! 魔王の娘: ソーリョ:ほんと?うれしいですわ! ソーリョ: ユーシャ:なつかれてんじゃねーよ!敵だぞ!?倒すべき敵なの!! ユーシャ: 魔王の娘:おい!ユーシャどもっ!作戦会議とやらは終わったか?では、いよいよ決戦の時っ!われの絶大な力の前に絶望するがいい! 魔王の娘: クロマドー:おい!来るぞ!ビッグバンの構えだっ! クロマドー: ユーシャ:く、来るのか!? ユーシャ: 魔王の娘:ここにつどえ、ちすいかふーのせーれーよ!なんだら、なんじらの、こんげんたるちから、われこここ、わ、われここに!しゅーやく、せよ! 魔王の娘: ユーシャ:おー、がんばれがんばれー。 ユーシャ: 魔王の娘:う、うるさい!話しかけるなっ!ぷろてめ、ぷ、プロメテウス!ぽせい、どん!ガイア!ぜひりす、ぜ、ぜふろす! 魔王の娘: クロマドー:言えてないぞ、ゼフュロスだ。 クロマドー: 魔王の娘:んあー!もう少しだから黙って見てろ!とどろかしぇっ!と、轟かせ!大爆発!!ビッグぅぅぅぅぅぅぅバンっ!!! 魔王の娘: : 0:【間】 : ユーシャ:ほら、何も起きねぇじゃ…。 ユーシャ: ソーリョ:くはあっっっ!(バタッ) ソーリョ: クロマドー:ソ、ソ、ソーリョー!! クロマドー: ユーシャ:ええええええええ!?なに!?何が起こった!?!? ユーシャ: クロマドー:ソーリョ、しっかりしろ…!大丈夫か? クロマドー: ソーリョ:ご、ごめんなさい、私もう、ダメみたい……。 ソーリョ: ユーシャ:えっと、ソーリョ?特に外傷はなさそうなんだけど、その鼻から出てる血は何? ユーシャ: ソーリョ:私、ダメなの、あんなに必死になって頑張ってるロリを見ると…こ、興奮が、お、おさまらなくって……ぐふっ。 ソーリョ: ユーシャ:おい今こいつ、ロリって言ったぞ。 ユーシャ: ソーリョ:幼いながら自分を強く見せようと必死で背伸びして、でもそれでもやっぱり難しいものは難しくて。だけど諦めずにやりきるその姿勢…まだ社会の恐ろしさや現実を知らないからこそ、恐れを知らないその純粋無垢な存在……っ!!あぁ、どうしてこんなにもロリやショタは素晴らしいのか…がはぁっ! ソーリョ: クロマドー:わかる、わかるぞソーリョ……だが今はもうしゃべるな!これ以上興奮したら大変なことになる! クロマドー: ユーシャ:いやどういう状況!?え、なに?ソーリョは"大きい呪文を頑張って唱えてみたけど失敗してしまった幼女の健気な姿"に悶え(もだえ)苦しんでるってことか!? ユーシャ: ソーリョ:ごめんなさい、私、もうダメみたい…。 ソーリョ: ユーシャ:うるせぇよ!おかしいだろうが!今までゾンビキングの最大闇魔法ダークホールを喰らってもピンピンしてたのに!?なんで幼女の言動だけでこんなにもひんし!? ユーシャ: クロマドー:ソーリョ……君は頑張った、頑張ったよ……。最後に聞いてほしいことがある、聞いて、くれるか? クロマドー: ユーシャ:ちょいちょいちょい、仲間が死ぬ間際の感動的な雰囲気になりかけてるからやめてくれない!? ユーシャ: クロマドー:ずっと君が好きだった…。君のその花のような素敵な笑顔に、俺はずっと励まされてきた……。この戦いが終わったら…プロポーズするつもりだったんだ。 クロマドー: ユーシャ:マジで!?そーだったの!?俺、全然知らなかったんだけど!? ユーシャ: ソーリョ:く、クロマドーさん……。 ソーリョ: クロマドー:愛している……。 クロマドー: ユーシャ:えぇー、なにこれ、感動的なシーンなのかもしれないけど、片方鼻血だしてるからね?他に傷もなく、ただただ鼻から興奮という名の血だけ出してるからね? ユーシャ: ソーリョ:クロマドーさん、私、私……。 ソーリョ: クロマドー:君の気持ちを聞かせてくれないか……。 クロマドー: ソーリョ:私、純粋無垢な存在しか愛せないから、あんたはごめんけどムリ。この世のありとあらゆる闇と鬱と欲を集約したような性格のあんたに惚れるわけないでしょ、ロリかショタに転生してから出直してきな!そう、あそこにいる可憐なロリのように……あああああああぁぁぁぁぁ!やっぱり可愛いいいいいいいいぐふうっ! ソーリョ: クロマドー:ソ、ソ、ソ、ソーリョーぉぉぉぉぉぉぉぉ!! クロマドー: ユーシャ:えええええええ!?まさかの展開!? ユーシャ: クロマドー:……し、死んでる……ぐすっ。 クロマドー: ユーシャ:死んだのかよ!?どんな最期!?これまで知らなかった本性をさらけ出して死んでいったよ!? ユーシャ: クロマドー:これは、尊死(とうとし)、だな…ぐすっ。 クロマドー: ユーシャ:尊死(とうとし)ってなに!?つか、クロマドー?大丈夫か? ユーシャ: クロマドー:わかってる、わかってたさ。ソーリョは誰にでも優しい人だってこと……。俺に優しくしてくれるのも、別に俺が特別な存在だったわけじゃなかったんだな…。勘違い、していた、ソーリョも俺のことを好きになってくれたのではないか、と。 クロマドー: ユーシャ:まぁ、その、なんだ、ドンマイ……。 ユーシャ: クロマドー:確かに俺は社会の闇と醜い欲望にまみれた人間だ…。ゴミみたいな会社でゴミみたいな扱いを受け、公園を散歩しながら遊んでいる幼女を眺めていたら通報され、友達も恋人もできず、自ら命を絶つことを選んだ時にこの世界に転生した。 クロマドー: ユーシャ:え? ユーシャ: クロマドー:生まれ変わったとはいえ、元いた世界の記憶や経験が引き継がれている限り、俺の中の闇は消えないのだな…。 クロマドー: ユーシャ:ちょっとまって!?お前、異世界から転生したの!?初耳なんだけど!ここに来て初めて知ったんだけど!?このタイミングでさらっと暴露しないで!? ユーシャ: クロマドー:ソーリョ、君にはすべてお見通しだったというわけか……。でも、でも、 クロマドー: ユーシャ:知らなかったの、もしかして俺だけ!? ユーシャ: クロマドー:そんなにバッサリ言わなくてもいいじゃないかぁぁぁぁぁ!うわあぁぁぁぁぁぁぁ!! クロマドー: ユーシャ:えぇー……、どういう展開? ユーシャ: 魔王の娘:フーハハハ!見たか、我の力!これが、魔王の力だ!!……やったぁ、はじめて呪文成功したっ! 魔王の娘: ユーシャ:いや!成功してないから! ユーシャ: クロマドー:……ぅ…じょ…。 クロマドー: ユーシャ:ん?ク、クロマドー? ユーシャ: クロマドー:ようじょ、幼女、幼女幼女幼女幼女幼女幼女……!! クロマドー: ユーシャ:え、えぇー!?クロマドーさん!? ユーシャ: クロマドー:やっぱりこの世界で愛すべきなのは純粋無垢な存在、幼女!汚い世界に晒されて、汚い欲望に侵された大人なんてクソくらえだ!!穢れを知らない幼女こそが!俺の救い、俺の生きる糧、俺の愛すべき存在!!その穢れなき眼(まなこ)で俺のすさんだ心を癒してほしい、その小さな手でヨシヨシして欲しい、可愛い声で毎日おはよう、と言って欲しい……! クロマドー: ユーシャ:おい、クロマドー、止まれって!お前も幼女が好きなのかよ!? ユーシャ: クロマドー:はぁ、はぁ、はぁ、なぜどの世界も、俺をモテさせてくれないんだ…。 クロマドー: ユーシャ:やべぇ、木っ端微塵(こっぱみじん)にフラれたショックと、抑えていた幼女への性癖が暴発して暴走してる! ユーシャ: クロマドー:はぁ、はぁ……幼女…万歳……(バタッ) クロマドー: ユーシャ:……し、死んでる…。ってお前もわけわからん死に方するな!!っていうか、お前ら死に際にいろいろと暴露すんのやめて!?ここまで長い旅路だったけど、微塵も知らなかったよ!?俺は慕われてなかったの!? ユーシャ: 魔王の娘:ふ、フーハハハ!残るは貴様だけだユーシャ!もう一度、われのビッグバンを喰らうがいい!! 魔王の娘: ユーシャ:うーん、残念ながらそれは俺には効かないんだよなぁ…。さて、どうするかな…あ、この子人質にして魔王の動きを封じるか?いやさすがにそれは勇者としてやってはいけないか、「魔王よ、選ばせてやる。貴様の命か、娘の命か、をな」なんて勇者が言うセリフじゃないよなぁ。 ユーシャ: 魔王の娘:……な、なぁ、 魔王の娘: ユーシャ:おー、どうした?急にそんなしゅんとして。 ユーシャ: 魔王の娘:あの、そのお姉ちゃんとお兄ちゃんは、死んじゃったのか…? 魔王の娘: ユーシャ:おー、そうだよ、君の意図せぬ攻撃によってな。 ユーシャ: 魔王の娘:あ、あう…われのせいで…? 魔王の娘: ユーシャ:まぁ、お前のせいでもあるし、お前のせいではないとも言える。ってか、いきなりどうした? ユーシャ: 魔王の娘:あの、し、信じてもらえないかもしれないがっ!われは殺すつもりはなかったのだ…。力の差を見せつけて、われの奴隷として、一緒にいてもらおうと思っていただけなのだ…。 魔王の娘: ユーシャ:……? ユーシャ: 魔王の娘:一人は、寂しい…。 魔王の娘: ユーシャ:お前…。 ユーシャ: 魔王の娘:ご、ごめんなさい…ホントに死んじゃうなんて思っていなかったのだ……っ!われは、われは……。 魔王の娘: ユーシャ:……。…ふぅ、調子狂うなぁ…。おい。お嬢ちゃん、泣くな、次期魔王なんだろ? ユーシャ: 魔王の娘:うっ…ひっく…。 魔王の娘: ユーシャ:魔王になったら、自分に仇(あだ)なすもの、立ち向かってくるものをひたすら倒していかなきゃいけない。お父さんはどうだ?泣きながら、立ち向かってくるやつを倒しているのか? ユーシャ: 魔王の娘:うぅん。悪逆非道なやり方で、自信に満ちた笑い声をあげながら殺してる。 魔王の娘: ユーシャ:そーだよな、それが魔王になるということだ。 ユーシャ: 魔王の娘:われは、われはおとーさんみたいな、立派な魔王になれるかな…?情け容赦のない、冷徹な魔王になれるかな…? 魔王の娘: ユーシャ:さぁな、お嬢ちゃんの努力次第だな、それは。 ユーシャ: 魔王の娘:うん……。がんばる……。われは屈しない…! 魔王の娘: ユーシャ:おう、その意気だ! ユーシャ: 魔王の娘:われが立派な魔王になったら、ユーシャ、われに立ち向かってくれるか…? 魔王の娘: ユーシャ:おう!必ず俺が倒してやるよ!約束だ! ユーシャ: 魔王の娘:……ふふっ!うん!われは負けない!必ず貴様を血祭りにあげてやるからな! 魔王の娘: ユーシャ:よし!じゃあお父さんが帰ってきたら、勇者VS魔王の迫力満載のバトルを見せてやる!……それまで、ここで待ってていいか? ユーシャ: 魔王の娘:……!おとーさんが帰ってくるまで、ここにいてくれるのか!? 魔王の娘: ユーシャ:おー、またここまでくるの面倒だからな!お父さんが帰ってくるまで、暇な俺の相手をしてくれるか? ユーシャ: 魔王の娘:うん!…し、仕方ないなぁ、われが相手をしてやろうぞ! 魔王の娘: ユーシャ:おう!よろしく頼むぜ! ユーシャ: 魔王の娘:うん…!……あ、あのね!ユーシャ! 魔王の娘: 魔王の娘:(ててて、と歩み寄ってユーシャにハグ) 魔王の娘:ぎゅっ!ユーシャ、大好きっ!! 魔王の娘: ユーシャ:……!? ユーシャ: ユーシャ:(以下、ユーシャの脳内) ユーシャ:その刹那、俺の頭の中で何かがはじけた。これまで散々耳にしてきた純粋無垢、という単語。その意味を俺は理解した理解してしまった。 ユーシャ:なんの下心も邪心もないその澄んだ瞳。俺の足にしがみつくその繊細で小さな身体。負の言葉と無関係なその唇から発せられるのは拙く、だけどハッキリとした言葉と可愛らしい声。 ユーシャ:その瞳が俺を見つめると、俺の心の隅にある暗い感情が浄化されていくようだ。そのすぐにでも折れてしまいそうな小さな身体で一生懸命生きる姿は、ずっと守ってやりたいと思う。 ユーシャ:そしてその小鳥がさえずるような、可愛らしい声で、俺のことを元気づけて欲しい。あぁ、なんて尊いんだ…! ユーシャ: 魔王の娘:ユーシャ?どうしたのだ? 魔王の娘: ユーシャ:なるほど、な……。これが、幼女の破壊力…ロリ・ビッグバン…か…ぐはっ!!(バタッ) ユーシャ: 魔王の娘:ユーシャ!?ユーシャ!! 魔王の娘: : : クロマドー:(ナレーション)魔王を倒しに行った勇者一行の行方を知るものはいない……。 クロマドー:この世界は魔族の手中におさまていくのであった…。 クロマドー: クロマドー:ロリは、世界を救……いや、 クロマドー:ロリは、世界を、支配した。 : : : 0:【完】 :

0:『魔王を倒しに来たらお留守でした』 : : : ユーシャ:みんな、準備はいいか?いよいよ最終決戦だ…。これまでたくさんの困難を乗り越え、ようやくここまで来た。 ユーシャ:今だから言うが、俺は何度か剣を捨ててしまえば、楽になれるのではないか、もう諦めて魔王に従ってしまおうか、そんなことを考えたことがあった。 ユーシャ:…だが!ここまで諦めずに来られたのは、お前たちがずっと励まし支えてくれたからだ!!礼を言う、ありがとう。 ユーシャ: クロマドー:おいおい、何らしくないことを言ってるんだよ。俺らは仲間だ。助け合うのは当たり前だろ?礼なんていらねぇ。 クロマドー: ソーリョ:そうですよ!そういうカッコいいセリフは、魔王を倒した後に言ってください。この旅を振り返るのはその時でいいじゃないですか。 ソーリョ: ユーシャ:へへっ!それもそーだな!んじゃ、クロマドー!ソーリョ!気合い入れていくぞ! ユーシャ: クロマドー:おう! クロマドー: ソーリョ:はい! ソーリョ: : : 0:勇者一行、魔王城へ到着 : : ユーシャ:ここが最後の砦(とりで)…魔王の座…。行くぞ!! ユーシャ: : 0:ギィィィィ(扉を開く) : : 魔王の娘:よくぞここまできた、ユーシャども。 魔王の娘: ユーシャ:魔王!お前を倒しに来た!この世界を魔族で支配させるなんてこと、このユーシャが許さない!さあ、姿を現せ! ユーシャ: 魔王の娘:いいだろう、われが血祭りにあげてくれようぞ…。 魔王の娘: 0:魔王の娘登場 : 魔王の娘:フーハハハ!われは魔族の頂点に立ちち、立ち、し…立ちし者!最恐の名をとどろかしゅ、魔王である!覚悟しろ、ユーシャども! 魔王の娘: ユーシャ:え? ユーシャ: クロマドー:え? クロマドー: ソーリョ:え? ソーリョ: 魔王の娘:われの姿にきょーがくして、言葉も出ないか!だが、安心しろ!すぐにその口からはだんまつ、だ、断末魔!の叫びしか出ないよーにしてやるわ!フーハハハ! 魔王の娘: ユーシャ:幼女? ユーシャ: クロマドー:幼女、だな。 クロマドー: ソーリョ:可愛らしい女の子ですね。 ソーリョ: ユーシャ:えぇっと、お嬢ちゃん?君が、魔王? ユーシャ: 魔王の娘:そーだ!今日はおとーさんがいないから、われが魔王なのだ!おそれひれふせ!あがめたてまつれ!われを崇拝しろ! 魔王の娘: ソーリョ:あらあら。お父さんは?今日はお留守なの? ソーリョ: 魔王の娘:うん、おとーさんは、魔王城のみんなと一緒に社員旅行?ってやつに行ってる!ユーシャが来る前に、皆の士気?ってやつを高めるんだって!だからわれがお留守番なのだ! 魔王の娘: ユーシャ:いやいやいや!社員旅行ってなんだよ!?つか行くな!どーりでここに来るまで全くモンスターが出ないわけだよ! ユーシャ: クロマドー:罠かと思ったが、全然違ったな…。社員旅行などと…ここは企業なのか?ホワイト企業なのか? クロマドー: ソーリョ:じゃあ、お嬢ちゃん一人でお留守番なの?偉いわぁ! ソーリョ: 魔王の娘:さっきから、お嬢ちゃんお嬢ちゃんと、子ども扱いをするな!われはれっきとした次期魔王なんだぞ!お前らなんか、滅ぼしてやるんだからな!覚悟しろ! 魔王の娘: ユーシャ:……えーっと、どうしたらいいんだ…。あの、おじょうちゃん、いや、魔王ちゃん?ちょーっと作戦会議開いてもいいかな、俺ら。 ユーシャ: 魔王の娘:ふっふっふっ、いいだろう!猶予を与えてやる!最後の晩餐(ばんさん)、しかと有意義に過ごすがいい! 魔王の娘: クロマドー:最近覚えたであろう難しそうな言葉を使いたい年頃なのだろうな。 クロマドー: ユーシャ:おい、あんま刺激すんな!いいからこっちこい!……さて、どうするか。 ユーシャ: ソーリョ:さすがに、あんないたいけな女の子を攻撃するわけにはいきませんわ。 ソーリョ: ユーシャ:いくら魔王の子どもとはいえ、ちょっとなぁ…。いや、でも魔王の子だ!安心はできない。ものすごい力を秘めている可能性はある。 ユーシャ: ソーリョ:でしたら、クロマドーさん、「スペクトル・アイ」であの子の能力を調べてみてください。 ソーリョ: ユーシャ:そうだな、こっそりやれよ。 ユーシャ: クロマドー:わかった。分析せよ、「スペクトル・アイ」! クロマドー: ユーシャ:どうだ? ユーシャ: クロマドー:魔王(娘)、レベル5、HP95. クロマドー: ユーシャ:レベル低っ! ユーシャ: ソーリョ:私たちのレベルは60を超えてますからね…。 ソーリョ: クロマドー:弱点は…斬撃、打撃、火属性、水属性、風属性、地属性、最大弱点が闇属性。 クロマドー: ユーシャ:なんで最大弱点が闇!?魔王は基本闇属性だろ!?耐性あるだろ!?そして弱点多いな! ユーシャ: クロマドー:しかし、あの子、光属性は無効だ。 クロマドー: ソーリョ:あらあら、どうしましょう。私の唯一の攻撃魔法は光属性ですのに…効かないなんて…。 ソーリョ: ユーシャ:光が無効の魔王って何!?光属性無効になるの、天使族のやつらぐらいだろ!? ユーシャ: クロマドー:つまり、純粋無垢な存在、というわけだ。 クロマドー: ユーシャ:やっぱただの幼女じゃねーか!光属性の攻撃が無効なうえに、それ以外が弱点の魔王なんて聞いたことねーよ!? ユーシャ: クロマドー:む……どうやら使える魔法が一つあるみたいだ。 クロマドー: ユーシャ:どーせ、ファイアーボール(最弱火魔法)とかスモールヒール(最小回復魔法)とか、その辺だろ? ユーシャ: クロマドー:いや、ビッグバン、だ。 クロマドー: ユーシャ:なんでだよ!? ユーシャ: クロマドー:説明しよう、ビッグバンとは。この世界最大の爆発攻撃魔法である。 クロマドー: ユーシャ:どうせMP足りなくて撃てないやつだろ…。 ユーシャ:…っていうか、あれ?ソーリョどこ行った? ユーシャ: クロマドー:む?そういえば、いつの間にかいなくなって……。 クロマドー: ソーリョ:(魔王の娘とお絵描き中)あら、魔王ちゃんは絵が上手なのね!それはお父さん? ソーリョ: 魔王の娘:そうだ!お父さんはとても強くて大きくて優しくて、カッコいいんだ! 魔王の娘: ソーリョ:お父さん大好きなのね~。 ソーリョ: ユーシャ:いや何してんの!? ユーシャ: ソーリョ:あ、作戦会議終わりましたか?魔王ちゃんが暇そうにしてたからお相手を…。 ソーリョ: 魔王の娘:おねーちゃんも描いてあげる!! 魔王の娘: ソーリョ:ほんと?うれしいですわ! ソーリョ: ユーシャ:なつかれてんじゃねーよ!敵だぞ!?倒すべき敵なの!! ユーシャ: 魔王の娘:おい!ユーシャどもっ!作戦会議とやらは終わったか?では、いよいよ決戦の時っ!われの絶大な力の前に絶望するがいい! 魔王の娘: クロマドー:おい!来るぞ!ビッグバンの構えだっ! クロマドー: ユーシャ:く、来るのか!? ユーシャ: 魔王の娘:ここにつどえ、ちすいかふーのせーれーよ!なんだら、なんじらの、こんげんたるちから、われこここ、わ、われここに!しゅーやく、せよ! 魔王の娘: ユーシャ:おー、がんばれがんばれー。 ユーシャ: 魔王の娘:う、うるさい!話しかけるなっ!ぷろてめ、ぷ、プロメテウス!ぽせい、どん!ガイア!ぜひりす、ぜ、ぜふろす! 魔王の娘: クロマドー:言えてないぞ、ゼフュロスだ。 クロマドー: 魔王の娘:んあー!もう少しだから黙って見てろ!とどろかしぇっ!と、轟かせ!大爆発!!ビッグぅぅぅぅぅぅぅバンっ!!! 魔王の娘: : 0:【間】 : ユーシャ:ほら、何も起きねぇじゃ…。 ユーシャ: ソーリョ:くはあっっっ!(バタッ) ソーリョ: クロマドー:ソ、ソ、ソーリョー!! クロマドー: ユーシャ:ええええええええ!?なに!?何が起こった!?!? ユーシャ: クロマドー:ソーリョ、しっかりしろ…!大丈夫か? クロマドー: ソーリョ:ご、ごめんなさい、私もう、ダメみたい……。 ソーリョ: ユーシャ:えっと、ソーリョ?特に外傷はなさそうなんだけど、その鼻から出てる血は何? ユーシャ: ソーリョ:私、ダメなの、あんなに必死になって頑張ってるロリを見ると…こ、興奮が、お、おさまらなくって……ぐふっ。 ソーリョ: ユーシャ:おい今こいつ、ロリって言ったぞ。 ユーシャ: ソーリョ:幼いながら自分を強く見せようと必死で背伸びして、でもそれでもやっぱり難しいものは難しくて。だけど諦めずにやりきるその姿勢…まだ社会の恐ろしさや現実を知らないからこそ、恐れを知らないその純粋無垢な存在……っ!!あぁ、どうしてこんなにもロリやショタは素晴らしいのか…がはぁっ! ソーリョ: クロマドー:わかる、わかるぞソーリョ……だが今はもうしゃべるな!これ以上興奮したら大変なことになる! クロマドー: ユーシャ:いやどういう状況!?え、なに?ソーリョは"大きい呪文を頑張って唱えてみたけど失敗してしまった幼女の健気な姿"に悶え(もだえ)苦しんでるってことか!? ユーシャ: ソーリョ:ごめんなさい、私、もうダメみたい…。 ソーリョ: ユーシャ:うるせぇよ!おかしいだろうが!今までゾンビキングの最大闇魔法ダークホールを喰らってもピンピンしてたのに!?なんで幼女の言動だけでこんなにもひんし!? ユーシャ: クロマドー:ソーリョ……君は頑張った、頑張ったよ……。最後に聞いてほしいことがある、聞いて、くれるか? クロマドー: ユーシャ:ちょいちょいちょい、仲間が死ぬ間際の感動的な雰囲気になりかけてるからやめてくれない!? ユーシャ: クロマドー:ずっと君が好きだった…。君のその花のような素敵な笑顔に、俺はずっと励まされてきた……。この戦いが終わったら…プロポーズするつもりだったんだ。 クロマドー: ユーシャ:マジで!?そーだったの!?俺、全然知らなかったんだけど!? ユーシャ: ソーリョ:く、クロマドーさん……。 ソーリョ: クロマドー:愛している……。 クロマドー: ユーシャ:えぇー、なにこれ、感動的なシーンなのかもしれないけど、片方鼻血だしてるからね?他に傷もなく、ただただ鼻から興奮という名の血だけ出してるからね? ユーシャ: ソーリョ:クロマドーさん、私、私……。 ソーリョ: クロマドー:君の気持ちを聞かせてくれないか……。 クロマドー: ソーリョ:私、純粋無垢な存在しか愛せないから、あんたはごめんけどムリ。この世のありとあらゆる闇と鬱と欲を集約したような性格のあんたに惚れるわけないでしょ、ロリかショタに転生してから出直してきな!そう、あそこにいる可憐なロリのように……あああああああぁぁぁぁぁ!やっぱり可愛いいいいいいいいぐふうっ! ソーリョ: クロマドー:ソ、ソ、ソ、ソーリョーぉぉぉぉぉぉぉぉ!! クロマドー: ユーシャ:えええええええ!?まさかの展開!? ユーシャ: クロマドー:……し、死んでる……ぐすっ。 クロマドー: ユーシャ:死んだのかよ!?どんな最期!?これまで知らなかった本性をさらけ出して死んでいったよ!? ユーシャ: クロマドー:これは、尊死(とうとし)、だな…ぐすっ。 クロマドー: ユーシャ:尊死(とうとし)ってなに!?つか、クロマドー?大丈夫か? ユーシャ: クロマドー:わかってる、わかってたさ。ソーリョは誰にでも優しい人だってこと……。俺に優しくしてくれるのも、別に俺が特別な存在だったわけじゃなかったんだな…。勘違い、していた、ソーリョも俺のことを好きになってくれたのではないか、と。 クロマドー: ユーシャ:まぁ、その、なんだ、ドンマイ……。 ユーシャ: クロマドー:確かに俺は社会の闇と醜い欲望にまみれた人間だ…。ゴミみたいな会社でゴミみたいな扱いを受け、公園を散歩しながら遊んでいる幼女を眺めていたら通報され、友達も恋人もできず、自ら命を絶つことを選んだ時にこの世界に転生した。 クロマドー: ユーシャ:え? ユーシャ: クロマドー:生まれ変わったとはいえ、元いた世界の記憶や経験が引き継がれている限り、俺の中の闇は消えないのだな…。 クロマドー: ユーシャ:ちょっとまって!?お前、異世界から転生したの!?初耳なんだけど!ここに来て初めて知ったんだけど!?このタイミングでさらっと暴露しないで!? ユーシャ: クロマドー:ソーリョ、君にはすべてお見通しだったというわけか……。でも、でも、 クロマドー: ユーシャ:知らなかったの、もしかして俺だけ!? ユーシャ: クロマドー:そんなにバッサリ言わなくてもいいじゃないかぁぁぁぁぁ!うわあぁぁぁぁぁぁぁ!! クロマドー: ユーシャ:えぇー……、どういう展開? ユーシャ: 魔王の娘:フーハハハ!見たか、我の力!これが、魔王の力だ!!……やったぁ、はじめて呪文成功したっ! 魔王の娘: ユーシャ:いや!成功してないから! ユーシャ: クロマドー:……ぅ…じょ…。 クロマドー: ユーシャ:ん?ク、クロマドー? ユーシャ: クロマドー:ようじょ、幼女、幼女幼女幼女幼女幼女幼女……!! クロマドー: ユーシャ:え、えぇー!?クロマドーさん!? ユーシャ: クロマドー:やっぱりこの世界で愛すべきなのは純粋無垢な存在、幼女!汚い世界に晒されて、汚い欲望に侵された大人なんてクソくらえだ!!穢れを知らない幼女こそが!俺の救い、俺の生きる糧、俺の愛すべき存在!!その穢れなき眼(まなこ)で俺のすさんだ心を癒してほしい、その小さな手でヨシヨシして欲しい、可愛い声で毎日おはよう、と言って欲しい……! クロマドー: ユーシャ:おい、クロマドー、止まれって!お前も幼女が好きなのかよ!? ユーシャ: クロマドー:はぁ、はぁ、はぁ、なぜどの世界も、俺をモテさせてくれないんだ…。 クロマドー: ユーシャ:やべぇ、木っ端微塵(こっぱみじん)にフラれたショックと、抑えていた幼女への性癖が暴発して暴走してる! ユーシャ: クロマドー:はぁ、はぁ……幼女…万歳……(バタッ) クロマドー: ユーシャ:……し、死んでる…。ってお前もわけわからん死に方するな!!っていうか、お前ら死に際にいろいろと暴露すんのやめて!?ここまで長い旅路だったけど、微塵も知らなかったよ!?俺は慕われてなかったの!? ユーシャ: 魔王の娘:ふ、フーハハハ!残るは貴様だけだユーシャ!もう一度、われのビッグバンを喰らうがいい!! 魔王の娘: ユーシャ:うーん、残念ながらそれは俺には効かないんだよなぁ…。さて、どうするかな…あ、この子人質にして魔王の動きを封じるか?いやさすがにそれは勇者としてやってはいけないか、「魔王よ、選ばせてやる。貴様の命か、娘の命か、をな」なんて勇者が言うセリフじゃないよなぁ。 ユーシャ: 魔王の娘:……な、なぁ、 魔王の娘: ユーシャ:おー、どうした?急にそんなしゅんとして。 ユーシャ: 魔王の娘:あの、そのお姉ちゃんとお兄ちゃんは、死んじゃったのか…? 魔王の娘: ユーシャ:おー、そうだよ、君の意図せぬ攻撃によってな。 ユーシャ: 魔王の娘:あ、あう…われのせいで…? 魔王の娘: ユーシャ:まぁ、お前のせいでもあるし、お前のせいではないとも言える。ってか、いきなりどうした? ユーシャ: 魔王の娘:あの、し、信じてもらえないかもしれないがっ!われは殺すつもりはなかったのだ…。力の差を見せつけて、われの奴隷として、一緒にいてもらおうと思っていただけなのだ…。 魔王の娘: ユーシャ:……? ユーシャ: 魔王の娘:一人は、寂しい…。 魔王の娘: ユーシャ:お前…。 ユーシャ: 魔王の娘:ご、ごめんなさい…ホントに死んじゃうなんて思っていなかったのだ……っ!われは、われは……。 魔王の娘: ユーシャ:……。…ふぅ、調子狂うなぁ…。おい。お嬢ちゃん、泣くな、次期魔王なんだろ? ユーシャ: 魔王の娘:うっ…ひっく…。 魔王の娘: ユーシャ:魔王になったら、自分に仇(あだ)なすもの、立ち向かってくるものをひたすら倒していかなきゃいけない。お父さんはどうだ?泣きながら、立ち向かってくるやつを倒しているのか? ユーシャ: 魔王の娘:うぅん。悪逆非道なやり方で、自信に満ちた笑い声をあげながら殺してる。 魔王の娘: ユーシャ:そーだよな、それが魔王になるということだ。 ユーシャ: 魔王の娘:われは、われはおとーさんみたいな、立派な魔王になれるかな…?情け容赦のない、冷徹な魔王になれるかな…? 魔王の娘: ユーシャ:さぁな、お嬢ちゃんの努力次第だな、それは。 ユーシャ: 魔王の娘:うん……。がんばる……。われは屈しない…! 魔王の娘: ユーシャ:おう、その意気だ! ユーシャ: 魔王の娘:われが立派な魔王になったら、ユーシャ、われに立ち向かってくれるか…? 魔王の娘: ユーシャ:おう!必ず俺が倒してやるよ!約束だ! ユーシャ: 魔王の娘:……ふふっ!うん!われは負けない!必ず貴様を血祭りにあげてやるからな! 魔王の娘: ユーシャ:よし!じゃあお父さんが帰ってきたら、勇者VS魔王の迫力満載のバトルを見せてやる!……それまで、ここで待ってていいか? ユーシャ: 魔王の娘:……!おとーさんが帰ってくるまで、ここにいてくれるのか!? 魔王の娘: ユーシャ:おー、またここまでくるの面倒だからな!お父さんが帰ってくるまで、暇な俺の相手をしてくれるか? ユーシャ: 魔王の娘:うん!…し、仕方ないなぁ、われが相手をしてやろうぞ! 魔王の娘: ユーシャ:おう!よろしく頼むぜ! ユーシャ: 魔王の娘:うん…!……あ、あのね!ユーシャ! 魔王の娘: 魔王の娘:(ててて、と歩み寄ってユーシャにハグ) 魔王の娘:ぎゅっ!ユーシャ、大好きっ!! 魔王の娘: ユーシャ:……!? ユーシャ: ユーシャ:(以下、ユーシャの脳内) ユーシャ:その刹那、俺の頭の中で何かがはじけた。これまで散々耳にしてきた純粋無垢、という単語。その意味を俺は理解した理解してしまった。 ユーシャ:なんの下心も邪心もないその澄んだ瞳。俺の足にしがみつくその繊細で小さな身体。負の言葉と無関係なその唇から発せられるのは拙く、だけどハッキリとした言葉と可愛らしい声。 ユーシャ:その瞳が俺を見つめると、俺の心の隅にある暗い感情が浄化されていくようだ。そのすぐにでも折れてしまいそうな小さな身体で一生懸命生きる姿は、ずっと守ってやりたいと思う。 ユーシャ:そしてその小鳥がさえずるような、可愛らしい声で、俺のことを元気づけて欲しい。あぁ、なんて尊いんだ…! ユーシャ: 魔王の娘:ユーシャ?どうしたのだ? 魔王の娘: ユーシャ:なるほど、な……。これが、幼女の破壊力…ロリ・ビッグバン…か…ぐはっ!!(バタッ) ユーシャ: 魔王の娘:ユーシャ!?ユーシャ!! 魔王の娘: : : クロマドー:(ナレーション)魔王を倒しに行った勇者一行の行方を知るものはいない……。 クロマドー:この世界は魔族の手中におさまていくのであった…。 クロマドー: クロマドー:ロリは、世界を救……いや、 クロマドー:ロリは、世界を、支配した。 : : : 0:【完】 :