台本概要

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タイトル ハロウィンロード
作者名 801らぃと  (@puchin_smile)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男1、女1、不問3) ※兼役あり
時間 50 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 801らぃとの2作目台本として書きました…
ジャンルは、「ホラーファンタジー」です。
ハロウィンとついていますが、時期関係なく使ってくださいませ〜世界観を楽しんでいただけたら幸いです∩^ω^∩ 楽しく遊んでくだされば本望です〜!

⚫︎演者人数について
・セリフバランス的には…3人?4人でも良いかもしれまてん…グザとリァノは誰か兼ね役でも⚪︎
・モブ(一)・モブ(二)はリァノとグザ役の人がセリフ数的に兼役されると良いかと思います。

⚫︎キャラクター性別について
・男とリァノ以外は、不問にしました。
・クーは不問にしたことで、キャラが掴みにくいとは思いますが、物語をぜひ読んでみてくださいませ(^ω^

⚫︎キャラクターのイメージについて
・シナリオ最後に、各キャラクターを参考にした設定先を記載してます。興味があったら調べてみてください〜(神話とか、大好物っ!

※漢字も読み難そうなところは、補足させていただきました!
※もし台本使用した際、「使います」「使ったよ」と教えてくれたら、全身全霊で喜びますので、良かったらXにて教えてくださいませ…\(^q^)/(リアタイできなくても、アーカイブ等あれば聴きに行きます)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ジャック 100 とある男。 生前色々やらかした自業自得な奴。ハロウィンロードをずっと探している。ウィルとの付き合いは永い。
ウィル 不問 83 ジャックオランタン。“鬼火” 男のことを「兄弟」と呼ぶ。男のハロウィンロード探しに付き合っている。男との付き合いは永い。
クー 不問 88 名前以外の記憶がない、謎の子ども。暗闇の道で灯りを頼りに行った先で、男と灯りに出会う。
グザ 不問 18 悪魔。男と生前から色々あった。いい加減、男の我儘にうんざりしていた。
リァノ 22 リャナンシー(サキュバス)泉などの水辺に出没し、“男”を誘惑して食べる存在。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
「ハロウィンロード」 クー:(ナレ)一寸先は、深い、深い闇… クー:私は、何処へ向かえばいいのだろう…灯りが…欲しいな。 0:タイトルコール クー:“ハロウィンロード” グザ:(ナレ)今宵は、ハロウィンナイト!その夜に何が起ころうとも、誰も咎(とが)められない 全てが許される日!一年に一度、こちらの世界とニンゲン界が繋がることで、自由に往来できる唯一の日。 ニンゲン界へ繋がる道…ハロウィンロードまでの道は、自分がよぉく知ってるはず!さぁ!!騒ごう!楽しもう!ハロウィンナイトをーーー 0:場面転換)あの世のハロウィンマーケットにてーーー モブ(一):今宵のハロウィンも、賑わってるなぁ〜!こりゃあニンゲン界も期待できそうだ。 モブ(二):おいおい、楽しむのは良いが…あまり羽目を外しすぎるなよ?お前も濃い闇に紛れて消えちまうかもしんねぇぞ? モブ(一):はぁ?消えちまう?なんじゃそりゃ? モブ(二):お前しらねぇのか?!今ウワサになってるぞ…ハロウィンナイトの前に、死神(グリム)が一人行方不明になったらしいって… モブ(一):行方不明??ははははは!ハロウィンナイトにそんな事件はよくある話だろうが!まぁ、死神(グリム)が行方不明なんて話は滅多に聞かねぇが、気にすることでもねぇだろ! モブ(二):まぁ、そうなんだけどな…その消えた死神(グリム)が、特に曰く付きってことで、皆んな騒いでるんだよ。かなり仕事が出来る奴みたいで、地獄の猟犬(ヘルハウンド)の異名もあるとか…だから、捜索隊に死神夜行(ワイルドハント)も動き出してるって話だぜ… モブ(一):うっひゃ〜まじかよぉ…おっかねぇなぁ〜!でも曰く付きな犬にしろなんにせよ、ペーペーな俺らには関係ない話だろうよ…!!ハロウィンナイトは、楽しんだ者勝ちなんだぜ!ほら、先いくぞ…!おっ先〜!! モブ(二):あっ…ちょっ、おい!待てよっっ!!抜け駆けはなしだぜ!! 0:モブ二人組と灯りを持った男がすれ違ったーーー ジャック:チッ…みんな、ハロウィンナイトに浮かれやがって… ウィル:ギャハハハ!死神(グリム)も行方不明になっちまうくらい楽しみってか…!(皮肉気味に)お気楽でいいですねぇ〜 ジャック:全く…人の気も知らねぇでよぉ…。にしても…ここは眩しすぎる場所だな…こんなところさっさと出て、今年こそは、辿り着かねぇと… ウィル:おぅ!俺の灯りが霞(かす)んじまうところなんか、とっととおさらばだ! 0:場面転換)かぼちゃの灯りが輝く暗闇の道に、男は向かったーーー ウィル:あぁ〜…闇は、馴染むなぁ…最高だぁ…落ち着くぜ… ジャック:(鼻で笑うように)ふっ…うるさくねぇしな… ウィル:おうよ!俺たちには闇がお似合いだ!そしてここが、俺の真骨頂よ! ジャック:おめぇの灯りは貴重だからな…この先も頼むぞ。 0:男は、暗闇の中にある道を進み続けるーーー ジャック:…くっそ…次は、どっちだ?あ?右?いや斜め左か? ウィル:今回もまた分岐が多いなぁ…なぁ、兄弟…俺は詳しく分らねぇが…ハロウィンロードへの道は、みんなこんなもんなのか? 0:(少し間) ジャック:だぁああ!なんで!!俺は!!毎度毎度毎度!!ハロウィンロードまでの道が、分からないんだぁああ! ウィル:あ〜あ…また始まった… ジャック:俺だって行きてぇよ!ニンゲン界で騒ぎてぇえよちくしょぉお!今年もダメなのか!?今年も行けずして終わるのかぁあ…!! ウィル:ま、まぁ落ち着けって(兄弟…) クー:(ウィルのセリフに被せ気味で)あ、灯りだ…! 0:急に幼い声が、暗闇から聞こえてきたーーー 0:(同時に) ウィル:お? ジャック:“あ? 0:男が声のする方向へ灯りを向けると、そこには、ボロいフードを被った子どもの姿があったーーー ジャック:あん?なんだぁ、お前。こちとら見せ物じゃねぇんだぞ… クー:ご…めんなさい…。灯りが見えたと思って…それが嬉しくて… ジャック:灯り…? ウィル:お前、灯り持ってねぇのか?一人なのか? クー:うわぁあ…この灯り、しゃべるんだ… ウィル:お、おう…俺様はすごいんだぞ! クー:うん、すごいねぇ! ジャック:…おい、聞かれたことに答えろ。(苛立ち気味で) クー:あっ…ごめんなさい…誰かと話すのが、嬉しくて…灯り…持ってない…し…ずっと一人だった。 ジャック:(小声で:チッ…めんどくせぇ…)灯りも持ってないやつが、なんでこんなとこにいるんだよ…俺は今忙しいんだ、さっさと行けもしくは帰れ。 クー:…気づいたら、この暗闇の中にいたの…ここが何処かも知らない、どこに行きたいかも、分からないの。 ウィル:…つまり… ジャック:…帰る場所も… クー:…分からない…私が知ってるのは自分の名前、くらい…私はどこに行こうとしてるんだろう… ジャック:………(呆れと苛立ち) ウィル:クックックッ…(笑いを堪えるように) ジャック:だぁあああ!くっそめんどくせぇやつじゃねぇか!!今日はハロウィンナイトだぞ!お前が誰で、どこに行きたいかなんて知るか!俺は忙しいんだ!じゃあな。 クー:まっ、待ってよおじさんっ! ジャック:おい、ついてくるなよ!!俺はガキが嫌いだ。 クー:私はガキじゃないっ、“クー”って名前があるの!灯りがないの…お願いっ… ウィル:クククッ…(笑いを堪えながら)なぁ兄弟、ガキが”クー“と呼べってさ、なかなか肝が据(す)わってる奴だなぁ((二人のやり取りを高みの見物としている)) ジャック:知るか!ここにいる理由も、灯りを持ってないのも、全部、お前が悪いんだろ!自分で探せ、思い出せ。俺は関係ねぇ。 クー:やだっ…灯りが…やっと、誰かと会えたのに!一人にしないでっ! ジャック:っっ俺が知ったことか!じゃあな。 0:男は苛立ちながら、子どもと反対側に灯りを向けて歩き出し、徐々に子どもとの距離が離れていったーーーー クー:…っ……ハロウィンロード…(叫ぶように) 0:男と灯りが立ち止まったーーー 0:(同時) ウィル:ほぉ…? ジャック:“あ? 0:男と灯りが子どもの方へ振り向いたーーー ジャック:…今なんつった? 0:子どもが男の方へ駆け寄ったーーー クー:ハロウィンロード…おじさん、ハロウィンロードが分からないって…さっき言ってた…探してるの? ジャック:チッ…それがなんだ、どうした? 笑いたきゃ笑えよ、だから俺は忙し(いんだよ) クー:(後半ジャックの言葉に被せ気味で)私のっ!ハロウィンロード…教えてあげるっ…だから、一緒にいきたいっ! ウィル:ッギャハハハハハハハ(大爆笑) ジャック:…は?…お前、分かってるのか?ハ ロウィンロードを教えることがどいうことか…てか、お前さっき行く先も帰る先も分からないって言ったじゃないか、嘘言ったのかお前!! クー:違う!嘘じゃないの!でもハロウィンロードとそれは違うの! ウィル:(笑い疲れたように)クヒヒヒヒ…なぁ、兄弟…このガキおもしれぇな…俺、こんなに笑ったの久々だぜ。 ジャック:違う…って、どういうことだ…? 0:(少し間) ジャック:(鼻で笑いながら)ふっ…まぁいいさ、良いんだな、俺にハロウィンロードを教えるってことは、もうお前はニンゲン界に行けなくなるってことだが? クー:…また暗闇の中で一人きりになるよりは、ずっといい…から。 ジャック:くっ…ははははは!俺が言うのもなんだが、勿体ねぇことするなぁお前は!ニンゲン界の良さを何も分かっちゃいねぇ…!いいところだぞぉ…ニンゲン界は…。だから俺は、もう一度行くんだ。 クー:おじさんは、目的があっていいな…私は何もない…から。おじさんと一緒にいたら、私も何か…思い出すかもしれない。 ジャック:はぁ?思い出す?何をだ? クー:全部だよ…何のためにここにいるのか、私が何者なのか…思い出せる気がする… ジャック:よく分からねぇが、思い出したとしても、その後にやっぱりハロウィンロードは教えない!は、無しだからな。 クー:そんなことはしないよ…約束は守る。だから…ついていっても、いい? ジャック:ふん、ちゃんと道案内しろよな。 クー:うん、ちゃんと案内する…ありがとう…(安堵) ウィル:クククッ…良かったなぁ、兄弟。今年はハロウィンロード、辿り着けるかもしれないぜぇ! ジャック:うるせぇぞ、ウィル。余計なことは喋るな。 ウィル:へいへい〜… クー:あ、えっと… ウィル:あぁ、俺はウィルってんだ!こっちの兄弟は、ジャックって名前だ! クー:ウィル…ジャックおじさん…ふふっ、よろしく… ウィル:おう、短い間だがよろしくな! ジャック:ふん、モタモタするんじゃねぇぞ… 0:(少し間) グザ:(ナレ)男と子どもは、喋るジャックオランタンが照らす灯りを頼りに、ハロウィンロードを目指して歩み出したのであった。無事に、辿りつくのか否か、ハロウィンナイトが終わるまで、それは誰にも分からない。何が起こってもおかしくない…それがハロウィンナイトのハロウィンロード… 0: グザ:(ナレ)さぁさ!ハロウィンナイトの夜は永い(ながい)。ここからが、お楽しみの時間だ……ふははははは 0:場面転換)暗闇の中、仄(ほの)かな灯りで照らされた道を男と子どもが順調に進んでいる道中… ジャック:チッ…今年は、道が拓(ひら)けてるな… ウィル:ギャハハハハ!良かったじゃねぇか兄弟!!! ジャック:ふん…黙ってろ、ウィル… ウィル:あぁ〜、今年のハロウィンナイトは新鮮だなぁ〜、ガキっ…じゃなかった、クーがいるってだけでよぉ〜なんか一味違うっていうかよぉ〜 クー:へぇ〜そうなんだ、ウィルと…ジャックおじさんは永く(ながく)一緒にいるんだね… ウィル:そうだなぁ、もう結構経つなぁ、経ち過ぎて覚えてねぇくらいはな! クー:ふふ…仲良しなんだね。 ジャック:おい、うるせぇぞ。…くっだらねぇ腐れ縁だ… クー:腐れ…縁? ウィル:クククっ…まぁそうだな。道中暇だし、暇潰し程度に話すけどよ、兄弟とは悪魔を介して出会ったんだ! クー:悪魔…? ウィル:クククっ…そう、悪魔だ。この兄弟は、察しの通りとんでもねぇ悪人でなぁ〜ずる賢くて乱暴者で、おまけに嘘つきのケチな男でなぁ〜悪魔に対しても…変わらずその悪人ぶりを発揮してよぉ、死後にゃ、天国はもちろん…地獄すらも、どうにもできなくなっちまってよぉ… クー:へ…へぇ〜。 0:子どもは、ちらりと男の方を見るーーー 0:男は、子どもの視線に気づいたーーー ジャック:(鼻で笑いながら)ふっ…なんだ、怖気(おじけ)付いたか。 クー:っ…そんなことない…! ウィル:クククっ…それでなぁ、兄弟はどこにも行けず…結局適当なそこら辺で放り出されちまってよぉ、アテもなく彷徨(さまよ)う羽目になっちまってーーー 0:男と子どもに聞かせるように、灯りが話し出すーーー 0:(回想) 灯りと男が出逢う話ーーー 0:  0: 0:場面転換)何も見えない暗闇の中へ、悪魔は男を放り出したーーー ジャック:っってぇ…な…っおいっ! グザ:あ?どうした?達者でな。 ジャック:俺をっ…ここに放り出して終わりかよ!!!悪魔だからって、お粗末すぎるだろうがっ!仕事放棄してんじゃねぇっ… グザ:だーから、何度も説明しただろうが。いつまでも煮えきらない奴だ。 ジャック:くっ…そが…! グザ:大体、お前がまいた種だろう…。私はお前の魂を取らないと約束した。だから地獄には連れて行けない。ふっ…良かったじゃないか!地獄に行かなくて。 ジャック:良くねぇだろうが!!こんな…なにも、先も見えない闇に放り出して、それであばよってか!ふざけんな!!! グザ:あーあーあー…もうずっとそればっかり…いい加減聞き飽きたんだよ… 0:悪魔が男に近づき、髪を鷲掴みながら言ったーーー ジャック:っ…うっ。 グザ:これで、最後だ…いいか?悪魔とて約束は守る。散々約束を破ったのは、どこのどいつだ?あぁ?今頃になってキャンキャン喚(わめ)いてるお前だ。分かるか?自業自得なんだよ…いい加減分かれ、立場を弁(わきま)えろ。 0:悪魔が、男を再び暗闇へ投げ捨てたーーー ジャック:っ…く…っそが…! 0:(少し長い間) グザ:(ため息)はぁ…別に、お前が認めなくとも、私はここにお前を置いていくしかないんだ…では、さようなら…ジャック、もう関わることもないだろう。 0:男の元から立ち去ろうとする悪魔ーーー ジャック:っ…ま…待ってくれっ…!! 0:男は立ち去る寸前の悪魔の端を掴んだーーー グザ:あ?なんだお前…弁(わきま)えろ、と先程言ったばかりだが… 0:男は、悪魔に対して懇願したーーー ジャック:くっ…お…願いっ…です…ぁ…灯りを…せめてっ…灯りを…くださ…いっ…! グザ:…それが、お願いする奴の態度か? 0:男は焦りながら体勢を整え、地に顔を擦り付けながら、悪魔に向かって再び懇願したーーー ジャック:…お許しくださいっ…お慈悲(じひ)を…せめて、この暗闇の中を進むためにっ…灯りを…お恵みください… グザ:ふっ…最初からそうしておけばいいものを…ふむ…だが、ちょうどいい奴がいる。お前と似たようなものだ…灯りは、こいつを使え。せめてもの慈悲(じひ)だ…この先、迷い消えぬよう気をつけるんだな。 0:悪魔は、地獄の小さな炎を男に与えると、静かに消えていったーーー ジャック:あ…灯りだっ…ぁあああ…火が、消えちまう…何か…あぁ… 0:男は消え入りそうな灯りを使って辺りを見回すと、腐ったカボチャが落ちていることに気づいたーーー ジャック:このカボチャ…腐ってる中身をくり抜けば使えそうだな… ジャック:よし…ふぅ…これで、火は消えにくくなったか… 0:かぼちゃの中で炎が大きくなると、炎からまるで目醒めたような声が聞こえたーーー ウィル:ぅ…ん…お前が、新しい相棒か? ジャック:うぉあぁあ…!!火が喋った…なんだ…!お前も悪魔か?! ウィル:悪魔とは違うが…俺の名前は、ウィルってんだ!お前、灯りが欲しいんだろ…俺を使えば、照らせない道はない。だから、俺を使え…!へっ…!よろしくな…兄弟! 0:(回想終了) 0:場面転換) 暗闇を歩きながら男と子どもは、灯りの話を聞きながら先を急いでいたーーー ウィル:と、まぁ出会いはこんな感じでなぁ〜! クー:そんな出会いだったんだねぇ… ジャック:…くだらねぇ話をペラペラと。 ウィル:んで、暗闇を彷徨(さまよ)ってよぉ。情報収集してるうちに、ハロウィンロードの存在を知ってからの兄弟は、懲(こ)りずにまたニンゲン界で悪事(あくじ)をはたらくために今躍起(やっき)になってるってとこだ。 ジャック:うるせぇぞ…こんな暗闇を彷徨(さまよ)うのが、もううんざりなだけだ。 ウィル:あーあ、素直じゃねぇな〜兄弟。 クー:ふふっ… ジャック:チッ…おいガキ、くだらねぇ話聞くのはいいが、道は合ってるんだろうな?間違ってたもんなら…! クー:っうん、大丈夫!!ちゃんと合ってる。ハロウィンロードに。あと少しだと思う、そんな気がする。 ジャック:ふっ…(嘲笑う)気がする、か…。そういうもんなのか…なんでずっと俺は、自分のハロウィンロードまで行くのに、近づいている気すら、起きなかったんだろうなぁ… ウィル:兄弟…(憐れむように) クー:…… ジャック:おい…なんだこの空気は…やめろ。 クー:あっ…ごめんなさいっ… ウィル:ギャハハハ!!こんな兄弟見るのも新鮮だなぁ〜…いやぁ、ハロウィンロードかぁ、どんな道なんだろうなぁ? ジャック:ウィル…少しは黙って道を照らすのに専念し(ろ…) リァノ:(ジャックの台詞に被せて)(囁くように)ふっ…ふふふ… ジャック:な…なんだ…声が… ウィル:んぁ?どうした?兄弟? クー:? リァノ:(囁き)ねぇ…こっち… ジャック:っおい…悪ふざけは、やめろ!聞こえるだろ…声が!甘ったるい声がよ! ウィル:?何言ってんだ?なぁ? クー:うん、何にも聞こえないよ? リァノ:(囁き)こっちよ… ジャック:ほら、今!聞こえただろ…!“こっち”って!!! ウィル:おいおいおい!マジでどうしたんだよぉ、兄弟?! クー:ウィル…ジャックおじさんの様子が、普通じゃないよ! ウィル:っまずい…クー!俺を!兄弟から奪え!灯りをクーが持つんだ! クー:うっ、うん…! 0:子どもは男から、灯りを奪うと少し距離をとり、灯りを男の方へ向けたーーー 0:男は耳を塞ぐように、頭を抱えて苦しみだしたーーー ジャック:だ…れだ…やめ…ろぉ リァノ:(囁き)さぁ…いらっしゃい…ここまで…さぁ…早く… ジャック:っ…やめ…ぁ”あ“あ”あ… ジャック:ぅ……… 0:男が突然苦しんだと思うと、突然脱力し、目に光がない…怪しい顔つきになったーーーー 0:灯りと子どもは、恐る恐る男に声をかけたーーー ウィル:…兄弟? クー:ジャック…おじさん…? リァノ:(力強い囁き)来るのよ、ここへ! ジャック:(脱力した感じで)あぁ…今いくよ…リァノ…君の元へ… ウィル:…リァノ? クー:?リァノ…っ…!まさか! 0:男は突然、笑いながら暗闇の中へ走りだしたーーー ジャック:ぁははははははははははは(狂気) ウィル:!!!兄弟?! クー:っ!!!やっぱり…!ウィル!きっとこれは、洗礼だよ…! ウィル:はぁ??洗礼?!何じゃそりゃあ! クー:えっ…!?洗礼も知らないでハロウィンロードを探してたの?! ウィル:あぁそうだ!!悪いかよ!!ぅあぁあ!!クー!!そんなことより!!兄弟を追いかけないとっ、見失っちまうぜ! クー:っ!それもそうか…!追いかけながら説明するっ!行こう!! 0:灯りと子どもは、狂乱に陥った男の後を追いかけたーーーー 0:  0:  0:場面転換)暗闇の中…男が一目散に向かった先には、泉があったーーー 0:泉のほとりに、一人の美しい女が怪しく笑みを浮かべて座っていたーーー リァノ:うふふふふふ…さぁ…早くいらっしゃい…私の可愛い…愛しの人…今回の血は…どんな味がするのかしらぁ…んふふふふふ。 0:子どもは、灯りを持ちながら先を照らし、男の後を必死に追いかけたーーー ウィル:っ…クー!お前だけが頼りだ!!見失わないように追いかけてくれっ! クー:はぁっ…はぁっ…分かってるよ!はぁっ…ジャックおじさんの姿は、まだ確認出来てる! ウィル:…ちっくしょう!何がどうなってるんだぁああ?俺は全くついていけてねぇぞぉお!洗礼ってなんなんだよぉお! クー:洗礼っていうのは、ハロウィンロードに辿り着くにあたっての、その…トラップみたいなものだよ!! ウィル:はぁあ?!トラップだぁ?! クー:うん、まず基本的にハロウィンロードへの道は、自分だけが感覚的にしか知り得ないことであって、おのおので道のりは違うから、赤の他人が通ることは出来ないんだ…。ただ、今回みたいに、自分のハロウィンロードを第三者に譲(ゆず)った場合にも備えて、本人以外の通行を許さず、排除させるためのトラップが存在するんだよ。 ウィル:はぁあ!?…そんな情報、全く入らなかったぞ!誰からも!そんな話を聞いてたら、もう少し別の方法を考えてたぜ! クー:…多分、ハロウィンロードを譲(ゆず)るってこと自体が、今まで誰もいなかったんじゃないかな!…一人一つあるものだから…そもそも欲しがるものじゃ、ないんだよ… ウィル:う…確かに…それもそうだな。 クー:だからっ、私も不思議に思ったの。自分のハロウィンロードが分からないって言ってたジャックおじさんのことが… ウィル:…兄弟は…なんで今まで辿りつけなかったんだろうな… クー:それは、ジャックおじさんが一番知りたいことかもね…ハロウィンロードのトラップは、自分が通る時も実は発動してるんだけど、自分には無害なトラップが発動するから、トラップがあることすら気づかずにハロウィンロードに辿り着けるんだよ。だから、私も一緒に向かっているし、大丈夫だと思ったんだけど…トラップが思ってたものと違ったからっ! ウィル:……… クー:はぁっ…はぁっ…ウィル?どうしたの?急に静かになって… ウィル:…なぁ…クー。お前、ここに来てよく喋ってるが…なんでそんなこと知ってるんだぁ?お前、名前以外知らない筈だろ? クー:っあ…わ、私… 0:不意打ちの質問に子どもは立ち止まったーーー クー:はぁっ…はぁっ…っなんで…こんなこと知ってるんだろう… ウィル:ぅおおおい!止まるな!兄弟を追いかけろ!!! クー:(我に返って)っは!!ごめんなさい! ウィル:いや…俺も急に悪かった、きっと自分のこと、なんか思い出したんだろ!でも、とにかく今は兄弟を追うぞ!さっきの話は、この状況が片付いてからだ! クー:…うんっ! ウィル:あ…おいっ…あそこ!曲がったぞ! クー:(息を切らしながら)…なんで…こんなところに…泉が…? 0:場面転換)男は、泉の中にいる美女の元へゆっくりと歩み寄ったーーー リァノ:うふふふ、よく来てくれたわぁ…さぁ…こちらにいらっしゃい…待ってたのよぉ… さぁ…泉の中へ…さぁ!!!! ジャック:あぁ…愛しのリァノ…今そっちへ行くよ。 0:男はそのまま泉の中へ飛び込んだーーー 0:(水の中) ジャック:((自我を取り戻した))ぐぼはぁ…なんで溺れて…っぐ…息が…蔦(つた)が手足に…くそっ… リァノ:うふふふふ、今更意識を取り戻したって、もう遅いわぁ…!!そのまま溺(おぼ)れて苦しみながら、私に食べられなさぁい!!あははははは! 0:美女は、苦しみながらもがく男に近づき、首筋に噛みつこうとした、その瞬間ーーー 0:地上から泉へ飛び込んだ子どもが、美女の腕に噛み付いたーーー クー:ジャックおじさんを離せぇええ! クー:(美女の腕に)がぶッ! リァノ:きゃぁああああああっ!!! 0:美女が噛みつかれた痛みで叫んだと同時に、男から離れると、蔦が一瞬緩んだ隙をついて男は地上へと這い上がったーーー ジャック:はぁっ…げっほ…ごほごほっ…! ウィル:ぅあああ…無事か!兄弟! ジャック:っごほっ…ウィル…か、なんとか、な… ウィル:うっ…無事で良かったぜぇ…!クーは??どこいった? ジャック:…っ!…ガキは… 0:男は泉の方をみた…水面は特に動いた様子はなかったーーー ジャック:!っあのガキ…まさか… 0:場面転換) (水の中)美女は、噛みつかれた子どもを引き離そうと抵抗した。しかし、子どもも離れまいと必死に噛みついて離さなかったーーー リァノ:っこの…ガキがっ…痛いのよ、さっさと、離れなさい…! クー:(噛みつきながら)グルルルルっ! リァノ:くっ、何なの!?しつこい“男”は、嫌われる…わよっっ!!はぁっ!!! 0:女が蔦を操り、噛み付いた子どもを縛りあげたーーー クー:っっっ…!! リァノ:うふふふ…やってくれるじゃないの、ガキが…よくも邪魔してくれたわね!!!私の食事が逃げちゃったじゃないの!!ふんっ!! クー:うぁっ…! 0:美女が蔦で子どもの頬を平手打ちし、子どもは気を失った。美女はゆっくり子どもに近づいたーーー リァノ:ふんっ…全く!私に噛み付くなんて…三百年早いわよ!私の食事の邪魔をしたツケは、あなたが払ってくれるのよねぇ…!うふふ…気絶しちゃって…あらぁ!あなた、とっても可愛い顔してるじゃないのぉ…まだ子どもだから食べるのが勿体無いけど、さっきの男を食べ逃したから…もうお腹がぺこぺこなのぉ…ごめんなさいねぇ…!うふふ…いただきまぁす! 0:美女は、子どもの首筋に牙をたて美味しそうに吸血したーーー 0:そして、その直後に、突然子どもが覚醒ーーー クー:っっっ! クー:…何を、している… 0:子どもの眼が開眼したと同時に、美女は困惑し、子どもから離れたーーー リァノ:あっ…そんなっ!えっ…なんで…こんなところに、あ…あぁあぁああ……(困惑) 0:場面転換)(地上)男と灯りは、泉の中に飛び込んだ子どもが無事に上がってくるのを待っていたーーー ウィル:なぁ…!兄弟っ!ちょっと、遅くないか? ジャック:…うるせぇ…黙って待ってろ。 ウィル:で…でもよぉ…!クーから聞いた話だが、相手はあの吸血鬼、リャナンシーだぜ!?あいつはまだ子どもだ!明らかにやられるのはクーの方だろ! ジャック:だから、しょうがないだろうが…!俺らには、どうすることもできないんだ!ハロウィンロードも、まだ辿り着かないし、このまま諦めきれるかよっ! ウィル:〜っ兄弟…っ!(ちょっと諫めるように) ジャック:俺だって…あのガkっ!〜ッ…クーに助けられたんだ…感謝は、してるさ… ウィル:あぁあ…兄弟!!(喜) ジャック:っうるせぇ!深い意味はねぇぞ!黙ってあいつを信じて待ちやがれ! 0:場面転換)男と灯りが言い合っている間に、泉の水面が揺れ、子どもが地上に這い上がったーーー クー:っぷはぁ…ごっ…ほ…ごほごほっはぁっ…はぁ… 0:(同時) ウィル:クーっ!!! ジャック:クーっ!! 0:男と灯りが、子どものもとに駆け寄り、様子を窺ったーーー ウィル:ぅおい!大丈夫か! クー:はぁっ…はぁっ…うん… ジャック:ふん…よく助かったなっ… ウィル:あぁ!兄弟の言うおりだ!リャナンシーはどうなったんだ!! クー:はぁっ…ジャックおじさんを助けた時に、噛み付いて…そしたら逃げたんだ。蔦(つた)が足に絡まってなかなか上がって来れなかっただけだよ。 ウィル:なぁんだー!そうかぁ!それにしても、クーはすげぇぜ!兄弟が飛び込んだ後、すぐ飛び込んじまうんだからよぉ!リャナンシーにも噛み付いて撃退するしよぉ!いやぁ〜なにはともあれ!無事に助かってよかったよ、なぁ!兄弟! ジャック:ふん…まぁ、そうだな。…(小声で)ありがとよ。 クー:っあはははっ… ウィル:クククッ…素直じゃねぇなぁ兄弟! ジャック:っ…!お前ら!笑う元気があるなら、さっさといくぞ!ハロウィンロードはもうすぐなんだろっ! クー:…うん…そうだね…あと、ほんの少しだ。 ウィル:おおお!あとすぐなのか!いよいよなのかぁ! 0:場面転換)男と子どもは、ジャックオランタンの灯りを頼りに、再び暗闇の中を進んだーーー 0:少し歩くと、拓けた道に辿り着き、そこで子どもが立ち止まったーーー ジャック:…おい…どうした? ウィル:ん?クー? クー:ハロウィンロード…もうすぐ、この道の先に三つの分かれ道があって、その中の真ん中の道を進めば、ハロウィンロードに辿り着けるはずだよ。 ジャック:なっ!!本当か!この先に、ハロウィンロードが…!ニンゲン界に!行けるのか! ウィル:おおおお!やったなぁ!兄弟!遂にハロウィンロードに来たのかぁ!! クー:…ねぇ、ジャックおじさん。 ジャック:あ?なんだ?…まさか、ここにきてハロウィンロードを譲(ゆず)らねぇなんて、言うんじゃないだろうな! ウィル:あっ、兄弟!言い忘れてたけどよぉ!リャナンシーで兄弟がおかしくなってる時に、クーが自分のことを何か思い出したみたいなんだ!急にペラペラ喋ってたんだ!! ジャック:なんだと…!まさか色々思い出した末に…ハロウィンロードを譲ら(ねぇとか) クー:(男のセリフに被せるように)別に…ハロウィンロードはジャックおじさんにあげるよ… ジャック:(安堵)へっ…なんだよ、紛らわしい言い方しやがって。 ウィル:わりぃ兄弟。でも何か思い出しているのは本当だぞ、たぶん。 クー:ウィルの言ってることは本当だよ。思い出したんだ。自分が何者なのか、なんで暗闇の道にいたのか、帰る場所も。…なんで記憶を無くしたのかは、思い出せないけど…それ以外は、全部、思い出した。それでも、ハロウィンロードは別に必要ないから、ジャックおじさんにあげるよ。ただ、最後に一つだけ聞きたいんだ。 ジャック:チッ…何だよ…最後に一つくらい、答えてやるよ。ここまで連れてきてもらった恩もあるからな… ジャック:だから、なんだ?聞きたいことはよ。 クー:ハロウィンナイトが終わったら、ニンゲン界から…帰って来るんだよね? ジャック:…はぁ?お前、何言ってんだ。 ウィル:ギャハハハハハ!!!クー!今更その質問はないぜ!! クー:うん。ジャックおじさんがなんて答えるかは、大体想像がつくけど…ちゃんと聞きたいな、って思って。ハロウィンナイトが終わったら、ハロウィンロードは閉じられる。その前に、こちらの世界に帰ってくるのが、この世界の理(ことわり)であることは、おじさんも知ってるよね?だから、改めて教えてよ…ジャックおじさんは、帰ってくるよね? ジャック:(嘲笑うように)ふっ…俺は帰って…来るわけねぇだろ!!バァカが!言ったはずだ!!あんな冷たくて何もねぇ、灯りがなけりゃ先すら見えない闇を!彷徨(さまよ)い歩くなんてよぉ!誰も戻りたくねぇだろうが!何回も言わせるな!! クー:……… ジャック:チッ…くっだらねぇ。質問に応えた俺がバカみてぇじゃねぇか!じゃあな!俺はハロウィンロードでニンゲン界にいくんだ!悪事をたらふく愉(たの)しむんだ、この先ずっとな!じゃあな、お前もせいぜい気をつけて帰れ!あばよ… ウィル:あぁっ…兄弟っ!!(名残惜しそうに) ジャック:いくぞ、ウィル。まだ灯りが必要だ…ガキに付き合う暇はねぇんだ! ウィル:そうだけどよぉ…!クー!達者でな!あばよー! 0:場面転換) リァノ:(ナレ)男と灯りは、暗闇の中をまっすぐ突き進んでいったーーーー リァノ:残された子どもは、暗闇の中、一人ぽつんと、佇(たたず)んでいたーーー クー:あばよ…かぁ…はははっ… リァノ:(ナレ)男と灯りは、まっすぐ暗闇を進むと子どもが言った通り、三つの分かれ道があり、そのまま真ん中の道を進んだーーー リァノ:すると、その先は行き止まりだったーーー ジャック:っおい、どういうことだ?行き止まりだぞ?っあのガキ…まさか騙(だま)したんじゃ…! ウィル:そんなぁ!クーがそんなことするとは思えねぇ…!っ兄弟!下だ!!足元になんかあるぞ!! リァノ:(ナレ)男は、灯りが言うように、自分の足元に目を向けると、取っ手の様なものが地面から生え出ているのを見つけたーーーー ジャック:はっ…はははははっ!でかしたぞウィル…!これがハロウィンロードの入り口だ! ウィル:おおおお!これが!この先がハロウィンロードなのかぁあ!!やったなぁ!兄弟!! ジャック:あぁ…ほんとうに…永(なが)かったなぁ…これで、この世界ともおさらばだっ…さぁ…開けるぞ…! リァノ:(ナレ)男は、取っ手に手をかけ、それを持ちあげた、その時ーーー 0:(同時) ジャック:っうぐぁっ…!! ウィル:ぐぇっ…!! 0:  リァノ:(ナレ)男と灯りは、鈍い痛みとともに、暗闇に放り出されたーーー ジャック:っかはっ…なんだ…??何が起こったんだ?! ウィル:いってぇっ…あ!…兄弟!!どこだー!! ジャック:ウィル!大丈夫だ!灯りは見える!今行くから待ってろ…!! ジャック:ったく…なんなんだ!くそがっ!これもトラップの一つかなにかな(のか) クー:(男のセリフに被せるように)いいえ。 ジャック:うわぁぁあ!…誰だ! クー:はははっ…仕留め損ねちゃったかぁ…記憶をなくすと攻撃まで鈍(にぶ)るんだなぁ… ジャック:んな…っ…ガキかっ…?なんでここにいるんだ!! ウィル:??クー??クーがいるのか?! クー:やぁ…ジャックおじさん…“僕”は、思い出したんだよ…ガキじゃぁない…名前も、クー・フランだ…ジャックおじさんと、あばよするために来たんだよ…永久(えいきゅう)にね。 ジャック:…はぁ?ガキが、何言ってんだ!ふざけるのも大概(たいがい)にしろよ!! クー:…大概にするのは、お前の方だ…お前の生前の行いなら、即刻消し炭(ずみ)にされても良いものだが…大悪魔グザ様の恩恵で、暗闇を彷徨(さまよ)う業(ごう)しか担(にな)っていなかったというのに…よもや、ハロウィンロードを使ってニンゲン界に行こうなどと…はなはだ図々しい奴。 ジャック:…グザ…だと…じゃあ…お前は、まさか… クー:僕は、この世の番犬。地獄の猟犬(ヘルハウンド)とも呼ばれている…死神(グリム)だ…秩序を乱すものは喰い殺す…例外なく…だ。 ジャック:なっ死神(グリム)…だと?!なんでっ…い、いやだ!やめろっ…俺は!俺はぁ!!! クー:…あばよ…ジャック、永久(とわ)に… グザ:(ナレ)暗闇の中では存在し得ない“影”が、子どもの背後から延びて、怯(ひる)む男の存在を覆(おお)い被せたーーー ジャック:やめろぉおおおぉおおお!!(断末魔) 0:(少し間) グザ:(ナレ)静寂(せいじゃく)に包まれた暗闇の中で、地面に転がったジャックオランタンの灯りだけが仄(ほの)かに輝いていたーーー グザ:灯りは…男の断末魔を静かに聴いた後、暗闇の中で、ただただ転がっていた…子どもが、灯りを拾い上げるまでーーー ウィル:…… クー:…… クー:ウィル…君も、ジャックがこうなることは、頭の何処(どこ)かでは分かっていたことだろ… ウィル:…… クー:(ため息)はぁ…。本来なら、魂だけの存在である君さえも、ジャックと同罪で消えてなくなるのが道理だけれど、それじゃあ君の処罰にはならないんだよなぁ。 ウィル:けっ…さっさと、喰い殺せばいいだろうがよぉ… クー:まぁ…僕のお腹は今満たされているし、ちょうど灯りも必要だ、しばらくは使われてくれ。 ウィル:…チッ…またかよ… クー:…僕は、全部分かっているんだからな…ジャックをハロウィンロードに辿り着けなくしていたのは…君だろ? ウィル:チッ(舌打ち)……ちげぇよ…あいつが、ただの方向音痴だっただけだ… クー:はははっ…まぁ…それもあるか… グザ:(ナレ)子どもは、ジャックオランタンの灯りを持って、暗闇の道を照らし、どこかの闇へと消えていったーーーー グザ:ハロウィンロードとは、逆の方向へーーー 0:完〜 0:気になる人用〜補足解説〜 0:キャラクターについての由来をまとめてみました〜世界観がわかってくるかもしれないし、しないかもしれません。笑 ジャック:「ジャックオランタンの発祥」について。 ウィル:「ウィルオウィスプ」について。 クー:「クー・フラン」「ワイルドハント」について。 グザ:「グザファン」について。 リァノ:「マン島のラナンシー」について。

「ハロウィンロード」 クー:(ナレ)一寸先は、深い、深い闇… クー:私は、何処へ向かえばいいのだろう…灯りが…欲しいな。 0:タイトルコール クー:“ハロウィンロード” グザ:(ナレ)今宵は、ハロウィンナイト!その夜に何が起ころうとも、誰も咎(とが)められない 全てが許される日!一年に一度、こちらの世界とニンゲン界が繋がることで、自由に往来できる唯一の日。 ニンゲン界へ繋がる道…ハロウィンロードまでの道は、自分がよぉく知ってるはず!さぁ!!騒ごう!楽しもう!ハロウィンナイトをーーー 0:場面転換)あの世のハロウィンマーケットにてーーー モブ(一):今宵のハロウィンも、賑わってるなぁ〜!こりゃあニンゲン界も期待できそうだ。 モブ(二):おいおい、楽しむのは良いが…あまり羽目を外しすぎるなよ?お前も濃い闇に紛れて消えちまうかもしんねぇぞ? モブ(一):はぁ?消えちまう?なんじゃそりゃ? モブ(二):お前しらねぇのか?!今ウワサになってるぞ…ハロウィンナイトの前に、死神(グリム)が一人行方不明になったらしいって… モブ(一):行方不明??ははははは!ハロウィンナイトにそんな事件はよくある話だろうが!まぁ、死神(グリム)が行方不明なんて話は滅多に聞かねぇが、気にすることでもねぇだろ! モブ(二):まぁ、そうなんだけどな…その消えた死神(グリム)が、特に曰く付きってことで、皆んな騒いでるんだよ。かなり仕事が出来る奴みたいで、地獄の猟犬(ヘルハウンド)の異名もあるとか…だから、捜索隊に死神夜行(ワイルドハント)も動き出してるって話だぜ… モブ(一):うっひゃ〜まじかよぉ…おっかねぇなぁ〜!でも曰く付きな犬にしろなんにせよ、ペーペーな俺らには関係ない話だろうよ…!!ハロウィンナイトは、楽しんだ者勝ちなんだぜ!ほら、先いくぞ…!おっ先〜!! モブ(二):あっ…ちょっ、おい!待てよっっ!!抜け駆けはなしだぜ!! 0:モブ二人組と灯りを持った男がすれ違ったーーー ジャック:チッ…みんな、ハロウィンナイトに浮かれやがって… ウィル:ギャハハハ!死神(グリム)も行方不明になっちまうくらい楽しみってか…!(皮肉気味に)お気楽でいいですねぇ〜 ジャック:全く…人の気も知らねぇでよぉ…。にしても…ここは眩しすぎる場所だな…こんなところさっさと出て、今年こそは、辿り着かねぇと… ウィル:おぅ!俺の灯りが霞(かす)んじまうところなんか、とっととおさらばだ! 0:場面転換)かぼちゃの灯りが輝く暗闇の道に、男は向かったーーー ウィル:あぁ〜…闇は、馴染むなぁ…最高だぁ…落ち着くぜ… ジャック:(鼻で笑うように)ふっ…うるさくねぇしな… ウィル:おうよ!俺たちには闇がお似合いだ!そしてここが、俺の真骨頂よ! ジャック:おめぇの灯りは貴重だからな…この先も頼むぞ。 0:男は、暗闇の中にある道を進み続けるーーー ジャック:…くっそ…次は、どっちだ?あ?右?いや斜め左か? ウィル:今回もまた分岐が多いなぁ…なぁ、兄弟…俺は詳しく分らねぇが…ハロウィンロードへの道は、みんなこんなもんなのか? 0:(少し間) ジャック:だぁああ!なんで!!俺は!!毎度毎度毎度!!ハロウィンロードまでの道が、分からないんだぁああ! ウィル:あ〜あ…また始まった… ジャック:俺だって行きてぇよ!ニンゲン界で騒ぎてぇえよちくしょぉお!今年もダメなのか!?今年も行けずして終わるのかぁあ…!! ウィル:ま、まぁ落ち着けって(兄弟…) クー:(ウィルのセリフに被せ気味で)あ、灯りだ…! 0:急に幼い声が、暗闇から聞こえてきたーーー 0:(同時に) ウィル:お? ジャック:“あ? 0:男が声のする方向へ灯りを向けると、そこには、ボロいフードを被った子どもの姿があったーーー ジャック:あん?なんだぁ、お前。こちとら見せ物じゃねぇんだぞ… クー:ご…めんなさい…。灯りが見えたと思って…それが嬉しくて… ジャック:灯り…? ウィル:お前、灯り持ってねぇのか?一人なのか? クー:うわぁあ…この灯り、しゃべるんだ… ウィル:お、おう…俺様はすごいんだぞ! クー:うん、すごいねぇ! ジャック:…おい、聞かれたことに答えろ。(苛立ち気味で) クー:あっ…ごめんなさい…誰かと話すのが、嬉しくて…灯り…持ってない…し…ずっと一人だった。 ジャック:(小声で:チッ…めんどくせぇ…)灯りも持ってないやつが、なんでこんなとこにいるんだよ…俺は今忙しいんだ、さっさと行けもしくは帰れ。 クー:…気づいたら、この暗闇の中にいたの…ここが何処かも知らない、どこに行きたいかも、分からないの。 ウィル:…つまり… ジャック:…帰る場所も… クー:…分からない…私が知ってるのは自分の名前、くらい…私はどこに行こうとしてるんだろう… ジャック:………(呆れと苛立ち) ウィル:クックックッ…(笑いを堪えるように) ジャック:だぁあああ!くっそめんどくせぇやつじゃねぇか!!今日はハロウィンナイトだぞ!お前が誰で、どこに行きたいかなんて知るか!俺は忙しいんだ!じゃあな。 クー:まっ、待ってよおじさんっ! ジャック:おい、ついてくるなよ!!俺はガキが嫌いだ。 クー:私はガキじゃないっ、“クー”って名前があるの!灯りがないの…お願いっ… ウィル:クククッ…(笑いを堪えながら)なぁ兄弟、ガキが”クー“と呼べってさ、なかなか肝が据(す)わってる奴だなぁ((二人のやり取りを高みの見物としている)) ジャック:知るか!ここにいる理由も、灯りを持ってないのも、全部、お前が悪いんだろ!自分で探せ、思い出せ。俺は関係ねぇ。 クー:やだっ…灯りが…やっと、誰かと会えたのに!一人にしないでっ! ジャック:っっ俺が知ったことか!じゃあな。 0:男は苛立ちながら、子どもと反対側に灯りを向けて歩き出し、徐々に子どもとの距離が離れていったーーーー クー:…っ……ハロウィンロード…(叫ぶように) 0:男と灯りが立ち止まったーーー 0:(同時) ウィル:ほぉ…? ジャック:“あ? 0:男と灯りが子どもの方へ振り向いたーーー ジャック:…今なんつった? 0:子どもが男の方へ駆け寄ったーーー クー:ハロウィンロード…おじさん、ハロウィンロードが分からないって…さっき言ってた…探してるの? ジャック:チッ…それがなんだ、どうした? 笑いたきゃ笑えよ、だから俺は忙し(いんだよ) クー:(後半ジャックの言葉に被せ気味で)私のっ!ハロウィンロード…教えてあげるっ…だから、一緒にいきたいっ! ウィル:ッギャハハハハハハハ(大爆笑) ジャック:…は?…お前、分かってるのか?ハ ロウィンロードを教えることがどいうことか…てか、お前さっき行く先も帰る先も分からないって言ったじゃないか、嘘言ったのかお前!! クー:違う!嘘じゃないの!でもハロウィンロードとそれは違うの! ウィル:(笑い疲れたように)クヒヒヒヒ…なぁ、兄弟…このガキおもしれぇな…俺、こんなに笑ったの久々だぜ。 ジャック:違う…って、どういうことだ…? 0:(少し間) ジャック:(鼻で笑いながら)ふっ…まぁいいさ、良いんだな、俺にハロウィンロードを教えるってことは、もうお前はニンゲン界に行けなくなるってことだが? クー:…また暗闇の中で一人きりになるよりは、ずっといい…から。 ジャック:くっ…ははははは!俺が言うのもなんだが、勿体ねぇことするなぁお前は!ニンゲン界の良さを何も分かっちゃいねぇ…!いいところだぞぉ…ニンゲン界は…。だから俺は、もう一度行くんだ。 クー:おじさんは、目的があっていいな…私は何もない…から。おじさんと一緒にいたら、私も何か…思い出すかもしれない。 ジャック:はぁ?思い出す?何をだ? クー:全部だよ…何のためにここにいるのか、私が何者なのか…思い出せる気がする… ジャック:よく分からねぇが、思い出したとしても、その後にやっぱりハロウィンロードは教えない!は、無しだからな。 クー:そんなことはしないよ…約束は守る。だから…ついていっても、いい? ジャック:ふん、ちゃんと道案内しろよな。 クー:うん、ちゃんと案内する…ありがとう…(安堵) ウィル:クククッ…良かったなぁ、兄弟。今年はハロウィンロード、辿り着けるかもしれないぜぇ! ジャック:うるせぇぞ、ウィル。余計なことは喋るな。 ウィル:へいへい〜… クー:あ、えっと… ウィル:あぁ、俺はウィルってんだ!こっちの兄弟は、ジャックって名前だ! クー:ウィル…ジャックおじさん…ふふっ、よろしく… ウィル:おう、短い間だがよろしくな! ジャック:ふん、モタモタするんじゃねぇぞ… 0:(少し間) グザ:(ナレ)男と子どもは、喋るジャックオランタンが照らす灯りを頼りに、ハロウィンロードを目指して歩み出したのであった。無事に、辿りつくのか否か、ハロウィンナイトが終わるまで、それは誰にも分からない。何が起こってもおかしくない…それがハロウィンナイトのハロウィンロード… 0: グザ:(ナレ)さぁさ!ハロウィンナイトの夜は永い(ながい)。ここからが、お楽しみの時間だ……ふははははは 0:場面転換)暗闇の中、仄(ほの)かな灯りで照らされた道を男と子どもが順調に進んでいる道中… ジャック:チッ…今年は、道が拓(ひら)けてるな… ウィル:ギャハハハハ!良かったじゃねぇか兄弟!!! ジャック:ふん…黙ってろ、ウィル… ウィル:あぁ〜、今年のハロウィンナイトは新鮮だなぁ〜、ガキっ…じゃなかった、クーがいるってだけでよぉ〜なんか一味違うっていうかよぉ〜 クー:へぇ〜そうなんだ、ウィルと…ジャックおじさんは永く(ながく)一緒にいるんだね… ウィル:そうだなぁ、もう結構経つなぁ、経ち過ぎて覚えてねぇくらいはな! クー:ふふ…仲良しなんだね。 ジャック:おい、うるせぇぞ。…くっだらねぇ腐れ縁だ… クー:腐れ…縁? ウィル:クククっ…まぁそうだな。道中暇だし、暇潰し程度に話すけどよ、兄弟とは悪魔を介して出会ったんだ! クー:悪魔…? ウィル:クククっ…そう、悪魔だ。この兄弟は、察しの通りとんでもねぇ悪人でなぁ〜ずる賢くて乱暴者で、おまけに嘘つきのケチな男でなぁ〜悪魔に対しても…変わらずその悪人ぶりを発揮してよぉ、死後にゃ、天国はもちろん…地獄すらも、どうにもできなくなっちまってよぉ… クー:へ…へぇ〜。 0:子どもは、ちらりと男の方を見るーーー 0:男は、子どもの視線に気づいたーーー ジャック:(鼻で笑いながら)ふっ…なんだ、怖気(おじけ)付いたか。 クー:っ…そんなことない…! ウィル:クククっ…それでなぁ、兄弟はどこにも行けず…結局適当なそこら辺で放り出されちまってよぉ、アテもなく彷徨(さまよ)う羽目になっちまってーーー 0:男と子どもに聞かせるように、灯りが話し出すーーー 0:(回想) 灯りと男が出逢う話ーーー 0:  0: 0:場面転換)何も見えない暗闇の中へ、悪魔は男を放り出したーーー ジャック:っってぇ…な…っおいっ! グザ:あ?どうした?達者でな。 ジャック:俺をっ…ここに放り出して終わりかよ!!!悪魔だからって、お粗末すぎるだろうがっ!仕事放棄してんじゃねぇっ… グザ:だーから、何度も説明しただろうが。いつまでも煮えきらない奴だ。 ジャック:くっ…そが…! グザ:大体、お前がまいた種だろう…。私はお前の魂を取らないと約束した。だから地獄には連れて行けない。ふっ…良かったじゃないか!地獄に行かなくて。 ジャック:良くねぇだろうが!!こんな…なにも、先も見えない闇に放り出して、それであばよってか!ふざけんな!!! グザ:あーあーあー…もうずっとそればっかり…いい加減聞き飽きたんだよ… 0:悪魔が男に近づき、髪を鷲掴みながら言ったーーー ジャック:っ…うっ。 グザ:これで、最後だ…いいか?悪魔とて約束は守る。散々約束を破ったのは、どこのどいつだ?あぁ?今頃になってキャンキャン喚(わめ)いてるお前だ。分かるか?自業自得なんだよ…いい加減分かれ、立場を弁(わきま)えろ。 0:悪魔が、男を再び暗闇へ投げ捨てたーーー ジャック:っ…く…っそが…! 0:(少し長い間) グザ:(ため息)はぁ…別に、お前が認めなくとも、私はここにお前を置いていくしかないんだ…では、さようなら…ジャック、もう関わることもないだろう。 0:男の元から立ち去ろうとする悪魔ーーー ジャック:っ…ま…待ってくれっ…!! 0:男は立ち去る寸前の悪魔の端を掴んだーーー グザ:あ?なんだお前…弁(わきま)えろ、と先程言ったばかりだが… 0:男は、悪魔に対して懇願したーーー ジャック:くっ…お…願いっ…です…ぁ…灯りを…せめてっ…灯りを…くださ…いっ…! グザ:…それが、お願いする奴の態度か? 0:男は焦りながら体勢を整え、地に顔を擦り付けながら、悪魔に向かって再び懇願したーーー ジャック:…お許しくださいっ…お慈悲(じひ)を…せめて、この暗闇の中を進むためにっ…灯りを…お恵みください… グザ:ふっ…最初からそうしておけばいいものを…ふむ…だが、ちょうどいい奴がいる。お前と似たようなものだ…灯りは、こいつを使え。せめてもの慈悲(じひ)だ…この先、迷い消えぬよう気をつけるんだな。 0:悪魔は、地獄の小さな炎を男に与えると、静かに消えていったーーー ジャック:あ…灯りだっ…ぁあああ…火が、消えちまう…何か…あぁ… 0:男は消え入りそうな灯りを使って辺りを見回すと、腐ったカボチャが落ちていることに気づいたーーー ジャック:このカボチャ…腐ってる中身をくり抜けば使えそうだな… ジャック:よし…ふぅ…これで、火は消えにくくなったか… 0:かぼちゃの中で炎が大きくなると、炎からまるで目醒めたような声が聞こえたーーー ウィル:ぅ…ん…お前が、新しい相棒か? ジャック:うぉあぁあ…!!火が喋った…なんだ…!お前も悪魔か?! ウィル:悪魔とは違うが…俺の名前は、ウィルってんだ!お前、灯りが欲しいんだろ…俺を使えば、照らせない道はない。だから、俺を使え…!へっ…!よろしくな…兄弟! 0:(回想終了) 0:場面転換) 暗闇を歩きながら男と子どもは、灯りの話を聞きながら先を急いでいたーーー ウィル:と、まぁ出会いはこんな感じでなぁ〜! クー:そんな出会いだったんだねぇ… ジャック:…くだらねぇ話をペラペラと。 ウィル:んで、暗闇を彷徨(さまよ)ってよぉ。情報収集してるうちに、ハロウィンロードの存在を知ってからの兄弟は、懲(こ)りずにまたニンゲン界で悪事(あくじ)をはたらくために今躍起(やっき)になってるってとこだ。 ジャック:うるせぇぞ…こんな暗闇を彷徨(さまよ)うのが、もううんざりなだけだ。 ウィル:あーあ、素直じゃねぇな〜兄弟。 クー:ふふっ… ジャック:チッ…おいガキ、くだらねぇ話聞くのはいいが、道は合ってるんだろうな?間違ってたもんなら…! クー:っうん、大丈夫!!ちゃんと合ってる。ハロウィンロードに。あと少しだと思う、そんな気がする。 ジャック:ふっ…(嘲笑う)気がする、か…。そういうもんなのか…なんでずっと俺は、自分のハロウィンロードまで行くのに、近づいている気すら、起きなかったんだろうなぁ… ウィル:兄弟…(憐れむように) クー:…… ジャック:おい…なんだこの空気は…やめろ。 クー:あっ…ごめんなさいっ… ウィル:ギャハハハ!!こんな兄弟見るのも新鮮だなぁ〜…いやぁ、ハロウィンロードかぁ、どんな道なんだろうなぁ? ジャック:ウィル…少しは黙って道を照らすのに専念し(ろ…) リァノ:(ジャックの台詞に被せて)(囁くように)ふっ…ふふふ… ジャック:な…なんだ…声が… ウィル:んぁ?どうした?兄弟? クー:? リァノ:(囁き)ねぇ…こっち… ジャック:っおい…悪ふざけは、やめろ!聞こえるだろ…声が!甘ったるい声がよ! ウィル:?何言ってんだ?なぁ? クー:うん、何にも聞こえないよ? リァノ:(囁き)こっちよ… ジャック:ほら、今!聞こえただろ…!“こっち”って!!! ウィル:おいおいおい!マジでどうしたんだよぉ、兄弟?! クー:ウィル…ジャックおじさんの様子が、普通じゃないよ! ウィル:っまずい…クー!俺を!兄弟から奪え!灯りをクーが持つんだ! クー:うっ、うん…! 0:子どもは男から、灯りを奪うと少し距離をとり、灯りを男の方へ向けたーーー 0:男は耳を塞ぐように、頭を抱えて苦しみだしたーーー ジャック:だ…れだ…やめ…ろぉ リァノ:(囁き)さぁ…いらっしゃい…ここまで…さぁ…早く… ジャック:っ…やめ…ぁ”あ“あ”あ… ジャック:ぅ……… 0:男が突然苦しんだと思うと、突然脱力し、目に光がない…怪しい顔つきになったーーーー 0:灯りと子どもは、恐る恐る男に声をかけたーーー ウィル:…兄弟? クー:ジャック…おじさん…? リァノ:(力強い囁き)来るのよ、ここへ! ジャック:(脱力した感じで)あぁ…今いくよ…リァノ…君の元へ… ウィル:…リァノ? クー:?リァノ…っ…!まさか! 0:男は突然、笑いながら暗闇の中へ走りだしたーーー ジャック:ぁははははははははははは(狂気) ウィル:!!!兄弟?! クー:っ!!!やっぱり…!ウィル!きっとこれは、洗礼だよ…! ウィル:はぁ??洗礼?!何じゃそりゃあ! クー:えっ…!?洗礼も知らないでハロウィンロードを探してたの?! ウィル:あぁそうだ!!悪いかよ!!ぅあぁあ!!クー!!そんなことより!!兄弟を追いかけないとっ、見失っちまうぜ! クー:っ!それもそうか…!追いかけながら説明するっ!行こう!! 0:灯りと子どもは、狂乱に陥った男の後を追いかけたーーーー 0:  0:  0:場面転換)暗闇の中…男が一目散に向かった先には、泉があったーーー 0:泉のほとりに、一人の美しい女が怪しく笑みを浮かべて座っていたーーー リァノ:うふふふふふ…さぁ…早くいらっしゃい…私の可愛い…愛しの人…今回の血は…どんな味がするのかしらぁ…んふふふふふ。 0:子どもは、灯りを持ちながら先を照らし、男の後を必死に追いかけたーーー ウィル:っ…クー!お前だけが頼りだ!!見失わないように追いかけてくれっ! クー:はぁっ…はぁっ…分かってるよ!はぁっ…ジャックおじさんの姿は、まだ確認出来てる! ウィル:…ちっくしょう!何がどうなってるんだぁああ?俺は全くついていけてねぇぞぉお!洗礼ってなんなんだよぉお! クー:洗礼っていうのは、ハロウィンロードに辿り着くにあたっての、その…トラップみたいなものだよ!! ウィル:はぁあ?!トラップだぁ?! クー:うん、まず基本的にハロウィンロードへの道は、自分だけが感覚的にしか知り得ないことであって、おのおので道のりは違うから、赤の他人が通ることは出来ないんだ…。ただ、今回みたいに、自分のハロウィンロードを第三者に譲(ゆず)った場合にも備えて、本人以外の通行を許さず、排除させるためのトラップが存在するんだよ。 ウィル:はぁあ!?…そんな情報、全く入らなかったぞ!誰からも!そんな話を聞いてたら、もう少し別の方法を考えてたぜ! クー:…多分、ハロウィンロードを譲(ゆず)るってこと自体が、今まで誰もいなかったんじゃないかな!…一人一つあるものだから…そもそも欲しがるものじゃ、ないんだよ… ウィル:う…確かに…それもそうだな。 クー:だからっ、私も不思議に思ったの。自分のハロウィンロードが分からないって言ってたジャックおじさんのことが… ウィル:…兄弟は…なんで今まで辿りつけなかったんだろうな… クー:それは、ジャックおじさんが一番知りたいことかもね…ハロウィンロードのトラップは、自分が通る時も実は発動してるんだけど、自分には無害なトラップが発動するから、トラップがあることすら気づかずにハロウィンロードに辿り着けるんだよ。だから、私も一緒に向かっているし、大丈夫だと思ったんだけど…トラップが思ってたものと違ったからっ! ウィル:……… クー:はぁっ…はぁっ…ウィル?どうしたの?急に静かになって… ウィル:…なぁ…クー。お前、ここに来てよく喋ってるが…なんでそんなこと知ってるんだぁ?お前、名前以外知らない筈だろ? クー:っあ…わ、私… 0:不意打ちの質問に子どもは立ち止まったーーー クー:はぁっ…はぁっ…っなんで…こんなこと知ってるんだろう… ウィル:ぅおおおい!止まるな!兄弟を追いかけろ!!! クー:(我に返って)っは!!ごめんなさい! ウィル:いや…俺も急に悪かった、きっと自分のこと、なんか思い出したんだろ!でも、とにかく今は兄弟を追うぞ!さっきの話は、この状況が片付いてからだ! クー:…うんっ! ウィル:あ…おいっ…あそこ!曲がったぞ! クー:(息を切らしながら)…なんで…こんなところに…泉が…? 0:場面転換)男は、泉の中にいる美女の元へゆっくりと歩み寄ったーーー リァノ:うふふふ、よく来てくれたわぁ…さぁ…こちらにいらっしゃい…待ってたのよぉ… さぁ…泉の中へ…さぁ!!!! ジャック:あぁ…愛しのリァノ…今そっちへ行くよ。 0:男はそのまま泉の中へ飛び込んだーーー 0:(水の中) ジャック:((自我を取り戻した))ぐぼはぁ…なんで溺れて…っぐ…息が…蔦(つた)が手足に…くそっ… リァノ:うふふふふ、今更意識を取り戻したって、もう遅いわぁ…!!そのまま溺(おぼ)れて苦しみながら、私に食べられなさぁい!!あははははは! 0:美女は、苦しみながらもがく男に近づき、首筋に噛みつこうとした、その瞬間ーーー 0:地上から泉へ飛び込んだ子どもが、美女の腕に噛み付いたーーー クー:ジャックおじさんを離せぇええ! クー:(美女の腕に)がぶッ! リァノ:きゃぁああああああっ!!! 0:美女が噛みつかれた痛みで叫んだと同時に、男から離れると、蔦が一瞬緩んだ隙をついて男は地上へと這い上がったーーー ジャック:はぁっ…げっほ…ごほごほっ…! ウィル:ぅあああ…無事か!兄弟! ジャック:っごほっ…ウィル…か、なんとか、な… ウィル:うっ…無事で良かったぜぇ…!クーは??どこいった? ジャック:…っ!…ガキは… 0:男は泉の方をみた…水面は特に動いた様子はなかったーーー ジャック:!っあのガキ…まさか… 0:場面転換) (水の中)美女は、噛みつかれた子どもを引き離そうと抵抗した。しかし、子どもも離れまいと必死に噛みついて離さなかったーーー リァノ:っこの…ガキがっ…痛いのよ、さっさと、離れなさい…! クー:(噛みつきながら)グルルルルっ! リァノ:くっ、何なの!?しつこい“男”は、嫌われる…わよっっ!!はぁっ!!! 0:女が蔦を操り、噛み付いた子どもを縛りあげたーーー クー:っっっ…!! リァノ:うふふふ…やってくれるじゃないの、ガキが…よくも邪魔してくれたわね!!!私の食事が逃げちゃったじゃないの!!ふんっ!! クー:うぁっ…! 0:美女が蔦で子どもの頬を平手打ちし、子どもは気を失った。美女はゆっくり子どもに近づいたーーー リァノ:ふんっ…全く!私に噛み付くなんて…三百年早いわよ!私の食事の邪魔をしたツケは、あなたが払ってくれるのよねぇ…!うふふ…気絶しちゃって…あらぁ!あなた、とっても可愛い顔してるじゃないのぉ…まだ子どもだから食べるのが勿体無いけど、さっきの男を食べ逃したから…もうお腹がぺこぺこなのぉ…ごめんなさいねぇ…!うふふ…いただきまぁす! 0:美女は、子どもの首筋に牙をたて美味しそうに吸血したーーー 0:そして、その直後に、突然子どもが覚醒ーーー クー:っっっ! クー:…何を、している… 0:子どもの眼が開眼したと同時に、美女は困惑し、子どもから離れたーーー リァノ:あっ…そんなっ!えっ…なんで…こんなところに、あ…あぁあぁああ……(困惑) 0:場面転換)(地上)男と灯りは、泉の中に飛び込んだ子どもが無事に上がってくるのを待っていたーーー ウィル:なぁ…!兄弟っ!ちょっと、遅くないか? ジャック:…うるせぇ…黙って待ってろ。 ウィル:で…でもよぉ…!クーから聞いた話だが、相手はあの吸血鬼、リャナンシーだぜ!?あいつはまだ子どもだ!明らかにやられるのはクーの方だろ! ジャック:だから、しょうがないだろうが…!俺らには、どうすることもできないんだ!ハロウィンロードも、まだ辿り着かないし、このまま諦めきれるかよっ! ウィル:〜っ兄弟…っ!(ちょっと諫めるように) ジャック:俺だって…あのガkっ!〜ッ…クーに助けられたんだ…感謝は、してるさ… ウィル:あぁあ…兄弟!!(喜) ジャック:っうるせぇ!深い意味はねぇぞ!黙ってあいつを信じて待ちやがれ! 0:場面転換)男と灯りが言い合っている間に、泉の水面が揺れ、子どもが地上に這い上がったーーー クー:っぷはぁ…ごっ…ほ…ごほごほっはぁっ…はぁ… 0:(同時) ウィル:クーっ!!! ジャック:クーっ!! 0:男と灯りが、子どものもとに駆け寄り、様子を窺ったーーー ウィル:ぅおい!大丈夫か! クー:はぁっ…はぁっ…うん… ジャック:ふん…よく助かったなっ… ウィル:あぁ!兄弟の言うおりだ!リャナンシーはどうなったんだ!! クー:はぁっ…ジャックおじさんを助けた時に、噛み付いて…そしたら逃げたんだ。蔦(つた)が足に絡まってなかなか上がって来れなかっただけだよ。 ウィル:なぁんだー!そうかぁ!それにしても、クーはすげぇぜ!兄弟が飛び込んだ後、すぐ飛び込んじまうんだからよぉ!リャナンシーにも噛み付いて撃退するしよぉ!いやぁ〜なにはともあれ!無事に助かってよかったよ、なぁ!兄弟! ジャック:ふん…まぁ、そうだな。…(小声で)ありがとよ。 クー:っあはははっ… ウィル:クククッ…素直じゃねぇなぁ兄弟! ジャック:っ…!お前ら!笑う元気があるなら、さっさといくぞ!ハロウィンロードはもうすぐなんだろっ! クー:…うん…そうだね…あと、ほんの少しだ。 ウィル:おおお!あとすぐなのか!いよいよなのかぁ! 0:場面転換)男と子どもは、ジャックオランタンの灯りを頼りに、再び暗闇の中を進んだーーー 0:少し歩くと、拓けた道に辿り着き、そこで子どもが立ち止まったーーー ジャック:…おい…どうした? ウィル:ん?クー? クー:ハロウィンロード…もうすぐ、この道の先に三つの分かれ道があって、その中の真ん中の道を進めば、ハロウィンロードに辿り着けるはずだよ。 ジャック:なっ!!本当か!この先に、ハロウィンロードが…!ニンゲン界に!行けるのか! ウィル:おおおお!やったなぁ!兄弟!遂にハロウィンロードに来たのかぁ!! クー:…ねぇ、ジャックおじさん。 ジャック:あ?なんだ?…まさか、ここにきてハロウィンロードを譲(ゆず)らねぇなんて、言うんじゃないだろうな! ウィル:あっ、兄弟!言い忘れてたけどよぉ!リャナンシーで兄弟がおかしくなってる時に、クーが自分のことを何か思い出したみたいなんだ!急にペラペラ喋ってたんだ!! ジャック:なんだと…!まさか色々思い出した末に…ハロウィンロードを譲ら(ねぇとか) クー:(男のセリフに被せるように)別に…ハロウィンロードはジャックおじさんにあげるよ… ジャック:(安堵)へっ…なんだよ、紛らわしい言い方しやがって。 ウィル:わりぃ兄弟。でも何か思い出しているのは本当だぞ、たぶん。 クー:ウィルの言ってることは本当だよ。思い出したんだ。自分が何者なのか、なんで暗闇の道にいたのか、帰る場所も。…なんで記憶を無くしたのかは、思い出せないけど…それ以外は、全部、思い出した。それでも、ハロウィンロードは別に必要ないから、ジャックおじさんにあげるよ。ただ、最後に一つだけ聞きたいんだ。 ジャック:チッ…何だよ…最後に一つくらい、答えてやるよ。ここまで連れてきてもらった恩もあるからな… ジャック:だから、なんだ?聞きたいことはよ。 クー:ハロウィンナイトが終わったら、ニンゲン界から…帰って来るんだよね? ジャック:…はぁ?お前、何言ってんだ。 ウィル:ギャハハハハハ!!!クー!今更その質問はないぜ!! クー:うん。ジャックおじさんがなんて答えるかは、大体想像がつくけど…ちゃんと聞きたいな、って思って。ハロウィンナイトが終わったら、ハロウィンロードは閉じられる。その前に、こちらの世界に帰ってくるのが、この世界の理(ことわり)であることは、おじさんも知ってるよね?だから、改めて教えてよ…ジャックおじさんは、帰ってくるよね? ジャック:(嘲笑うように)ふっ…俺は帰って…来るわけねぇだろ!!バァカが!言ったはずだ!!あんな冷たくて何もねぇ、灯りがなけりゃ先すら見えない闇を!彷徨(さまよ)い歩くなんてよぉ!誰も戻りたくねぇだろうが!何回も言わせるな!! クー:……… ジャック:チッ…くっだらねぇ。質問に応えた俺がバカみてぇじゃねぇか!じゃあな!俺はハロウィンロードでニンゲン界にいくんだ!悪事をたらふく愉(たの)しむんだ、この先ずっとな!じゃあな、お前もせいぜい気をつけて帰れ!あばよ… ウィル:あぁっ…兄弟っ!!(名残惜しそうに) ジャック:いくぞ、ウィル。まだ灯りが必要だ…ガキに付き合う暇はねぇんだ! ウィル:そうだけどよぉ…!クー!達者でな!あばよー! 0:場面転換) リァノ:(ナレ)男と灯りは、暗闇の中をまっすぐ突き進んでいったーーーー リァノ:残された子どもは、暗闇の中、一人ぽつんと、佇(たたず)んでいたーーー クー:あばよ…かぁ…はははっ… リァノ:(ナレ)男と灯りは、まっすぐ暗闇を進むと子どもが言った通り、三つの分かれ道があり、そのまま真ん中の道を進んだーーー リァノ:すると、その先は行き止まりだったーーー ジャック:っおい、どういうことだ?行き止まりだぞ?っあのガキ…まさか騙(だま)したんじゃ…! ウィル:そんなぁ!クーがそんなことするとは思えねぇ…!っ兄弟!下だ!!足元になんかあるぞ!! リァノ:(ナレ)男は、灯りが言うように、自分の足元に目を向けると、取っ手の様なものが地面から生え出ているのを見つけたーーーー ジャック:はっ…はははははっ!でかしたぞウィル…!これがハロウィンロードの入り口だ! ウィル:おおおお!これが!この先がハロウィンロードなのかぁあ!!やったなぁ!兄弟!! ジャック:あぁ…ほんとうに…永(なが)かったなぁ…これで、この世界ともおさらばだっ…さぁ…開けるぞ…! リァノ:(ナレ)男は、取っ手に手をかけ、それを持ちあげた、その時ーーー 0:(同時) ジャック:っうぐぁっ…!! ウィル:ぐぇっ…!! 0:  リァノ:(ナレ)男と灯りは、鈍い痛みとともに、暗闇に放り出されたーーー ジャック:っかはっ…なんだ…??何が起こったんだ?! ウィル:いってぇっ…あ!…兄弟!!どこだー!! ジャック:ウィル!大丈夫だ!灯りは見える!今行くから待ってろ…!! ジャック:ったく…なんなんだ!くそがっ!これもトラップの一つかなにかな(のか) クー:(男のセリフに被せるように)いいえ。 ジャック:うわぁぁあ!…誰だ! クー:はははっ…仕留め損ねちゃったかぁ…記憶をなくすと攻撃まで鈍(にぶ)るんだなぁ… ジャック:んな…っ…ガキかっ…?なんでここにいるんだ!! ウィル:??クー??クーがいるのか?! クー:やぁ…ジャックおじさん…“僕”は、思い出したんだよ…ガキじゃぁない…名前も、クー・フランだ…ジャックおじさんと、あばよするために来たんだよ…永久(えいきゅう)にね。 ジャック:…はぁ?ガキが、何言ってんだ!ふざけるのも大概(たいがい)にしろよ!! クー:…大概にするのは、お前の方だ…お前の生前の行いなら、即刻消し炭(ずみ)にされても良いものだが…大悪魔グザ様の恩恵で、暗闇を彷徨(さまよ)う業(ごう)しか担(にな)っていなかったというのに…よもや、ハロウィンロードを使ってニンゲン界に行こうなどと…はなはだ図々しい奴。 ジャック:…グザ…だと…じゃあ…お前は、まさか… クー:僕は、この世の番犬。地獄の猟犬(ヘルハウンド)とも呼ばれている…死神(グリム)だ…秩序を乱すものは喰い殺す…例外なく…だ。 ジャック:なっ死神(グリム)…だと?!なんでっ…い、いやだ!やめろっ…俺は!俺はぁ!!! クー:…あばよ…ジャック、永久(とわ)に… グザ:(ナレ)暗闇の中では存在し得ない“影”が、子どもの背後から延びて、怯(ひる)む男の存在を覆(おお)い被せたーーー ジャック:やめろぉおおおぉおおお!!(断末魔) 0:(少し間) グザ:(ナレ)静寂(せいじゃく)に包まれた暗闇の中で、地面に転がったジャックオランタンの灯りだけが仄(ほの)かに輝いていたーーー グザ:灯りは…男の断末魔を静かに聴いた後、暗闇の中で、ただただ転がっていた…子どもが、灯りを拾い上げるまでーーー ウィル:…… クー:…… クー:ウィル…君も、ジャックがこうなることは、頭の何処(どこ)かでは分かっていたことだろ… ウィル:…… クー:(ため息)はぁ…。本来なら、魂だけの存在である君さえも、ジャックと同罪で消えてなくなるのが道理だけれど、それじゃあ君の処罰にはならないんだよなぁ。 ウィル:けっ…さっさと、喰い殺せばいいだろうがよぉ… クー:まぁ…僕のお腹は今満たされているし、ちょうど灯りも必要だ、しばらくは使われてくれ。 ウィル:…チッ…またかよ… クー:…僕は、全部分かっているんだからな…ジャックをハロウィンロードに辿り着けなくしていたのは…君だろ? ウィル:チッ(舌打ち)……ちげぇよ…あいつが、ただの方向音痴だっただけだ… クー:はははっ…まぁ…それもあるか… グザ:(ナレ)子どもは、ジャックオランタンの灯りを持って、暗闇の道を照らし、どこかの闇へと消えていったーーーー グザ:ハロウィンロードとは、逆の方向へーーー 0:完〜 0:気になる人用〜補足解説〜 0:キャラクターについての由来をまとめてみました〜世界観がわかってくるかもしれないし、しないかもしれません。笑 ジャック:「ジャックオランタンの発祥」について。 ウィル:「ウィルオウィスプ」について。 クー:「クー・フラン」「ワイルドハント」について。 グザ:「グザファン」について。 リァノ:「マン島のラナンシー」について。