台本概要
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タイトル | 【前編】「劇場版!女児たちのお戯(たわむ)れ」 |
---|---|
作者名 | ふらん☆くりん (@Frank_lin01) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 7人用台本(男1、女6) ※兼役あり |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
【あらすじ】 ついにあの作品が劇場版に! ある日、女児たち5人組に相談に来た一人の園児。それをきっかけとして事態はとんでもない方向に動くのであった! ※この作品は「女児たちのお戯(たわむ)れ」の劇場版【前編】となっております。3部作構成となっておりますので、前編・中編・後編を通しで演じてくださるとありがたいです。 【著作権について】 本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。 また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。 【禁止事項】 ●商業目的での利用 ●台本の無断使用、無断転載、自作発言等 ●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等 【ご利用に際してのお願い】 ●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。 ●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。 ●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。 565 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
まさみ | 女 | 19 | さくら組の幼稚園児。少しお転婆な女の子。 |
ゆず子 | 女 | 26 | いちご組の幼稚園児。しっかり者でお姉さんタイプの女の子。 |
えりな | 女 | 18 | もも組の幼稚園児。少し幼い感じの女の子。 |
たえこ | 女 | 30 | ひまわり組の幼稚園児。元気いっぱいの女の子。 |
さゆり | 女 | 22 | ばら組の幼稚園児。優しくて真面目な性格の女の子。 |
ふとし | 男 | 28 | たんぽぽ組の幼稚園児。あかねと同じクラスでガキ大将的存在だが、実は寂しがり屋な一面もある。 |
あかね | 女 | 26 | たんぽぽ組の幼稚園児。大人しい性格で人見知り。 |
ナレーション | 女 | 3 | どなたかが兼ね役で読んでください。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
タイトル:劇場版!女児たちのお*戯《たわむ》れ【前編 】
:
登場人物:
まさみ:さくら組の幼稚園児。少しお転婆な女の子。
ゆず子:いちご組の幼稚園児。しっかり者でお姉さんタイプの女の子。
えりな:もも組の幼稚園児。少し幼い感じの女の子。
たえこ:ひまわり組の幼稚園児。元気いっぱいの女の子。
さゆり:ばら組の幼稚園児。優しくて真面目な性格の女の子。
ふとし:たんぽぽ組の幼稚園児。あかねと同じクラスでガキ大将的存在だが、実は寂しがり屋な一面もある。
あかね:たんぽぽ組の幼稚園児。大人しい性格で人見知り。
ナレーション:どなたかが兼役で読んでください。
:
:『』のセリフ以外は基本的に幼稚園児の声で演じてください。
:(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書きです。
:
本編:
ナレーション:これは、とある幼稚園を舞台にした仲良し女児5人組が織り成すハートフルコメディの「劇場版【前編】」である。
:
:-------------------
あかね:ゆず子ちゃん、ちょっとそうだんにのってくれる?
:
:-------------------(とある日のお昼休み)
ゆず子:ねぇみんな、ちょっといいかな?
えりな:ん?ゆず子ちゃんどうしたの?
まさみ:なになに?
たえこ:なんでもきくよ。
さゆり:なにがあったの?
ゆず子:みんなありがとう。じつはね…さ、はいって。〈あかねが入ってくる〉
あかね:うう…。
ゆず子:このこね、たんぽぽぐみのおともだちなんだけど、さいきんつきまとってくるおとこのこがいるらしくてちょっとこまってるんだって。
あかね:おねがい、たすけてほしいの…。
えりな:えっ?もしかしてすとーかー?
ゆず子:ううん…すとーかーじゃないんだけどね。ことあるごとにからんでくるらしくて、しつこいんだって。
たえこ:それはたいへんだね。ちなみにそのおとこのこってだれなの?
あかね:おなじくらすの「ふとしくん」…。
まさみ:あ!そのこわたししってる!がきだいしょうでしょ?
あかね:そう。
さゆり:あたしもきいたことある。いろんなひとにからんでるってうわさだよね。
あかね:うん。もうげんかいなの…。
たえこ:うんうん。わかるよ。あ!あれってもしかしてふとしくんじゃない?
あかね:え…どうしよう。こっちにくるよ…。
ゆず子:だいじょうぶ。わたしたちがあかねちゃんをまもるからあんしんして。
さゆり:そうだよ。あたしたちにまかせて。あかねちゃんはかくれてて。
あかね:うぅ…ありがとう。
ふとし:おいおまえら!さっかーしようぜ!お!あかねじゃねぇか。きょうおまえぼーるな!
あかね:い、いや。はなしかけないで!
ふとし:ははは!てれるなって。
あかね:うう…。
まさみ:やめなさいよ!あかねちゃんいやがってるじゃないの!
ふとし:じゃあおまえぼーるな!
まさみ:うっ!いやよ!
たえこ:ねぇ、あんた。
ふとし:あ?なんだよ?
たえこ:そんなにアタイたちとあそびたいの?
ふとし:べ、べつに。そんなんじゃねぇし。
たえこ:ふーん。アタイはあそんであげてもいいよ。
ゆず子:え…?たえこちゃん…?
ふとし:ほんとか!じゃあおまえぼーる…
たえこ:〈被せて〉いっとくけど、さっかーはやらないよ。
ふとし:じゃ、じゃあなにしてあそぶんだよ。
たえこ:そうねぇ、せっかくだし「ひーろーごっこ」なんてどうかしら?
ふとし:お!いいじゃねーか!じゃあおれひーろーな!
たえこ:まあ、まちなさいな。おちついて。
ふとし:な、なんだよ。
たえこ:ただのひーろーごっこなんてつまんないじゃない。ね、みんな?
えりな:そうそう。どうせならみんなでとっておきのやつやろーよ。
まさみ:ふふふ…そうね。
さゆり:とってもたのしみ!
ゆず子:ねぇ、あかねちゃんもいっしょにやろ!
あかね:で、でも…。
ゆず子:だいじょうぶよ。わたしたちもついてるから。
あかね:じゃ、じゃあ…わたしもやる。
ふとし:それで、なにがちがうんだよ。つまんなかったらおまえらぜんいんあしたからおれのぼーるだからな!
たえこ:いいわよ。ぼーるでもなんでもなってあげるわ。ただし、おもしろかったらこれからあかねちゃんにつきまとわないこと。わかった?
ふとし:わかったからはやくせつめいしろよ!
たえこ:はいはい。もう、せっかちさんね。
たえこ:〈急に大人口調になって〉『「ごっこ遊び」…それは誰しも人生において一度は経験する最もポピュラーな遊びと言っても過言ではないわ。その中でも「ヒーローごっこ」は個人の演技力の良し悪しが直接その世界観に影響を及ぼすことから、一度踏み込んだが最後、誰一人としてエンディングまで気を抜くことは許されない究極の耐久エンターテインメントショーよ。』
ふとし:そ、そんなおおげさな。
ゆず子:おおげさじゃないよ。
ゆず子:〈急に大人口調になって〉『思い返してみなさい。君が今までやってきた「ヒーローごっこ」を。登場シーンのポーズと名乗り*口上《こうじょう》ばかりにこだわって、それ以降のプランを全く考えていない無計画ヒーロー、不本意な役を押し付けられ、渋々それっぽいセリフと動きをするやる気なし怪人、何となくその場にいるだけのガヤともモブとも言えない中途半端で無関心なギャラリーたち…開始直後こそそれっぽい雰囲気にはなるものの、ヒーロー登場以降はただ意味もなく「ぐはっ!」だの「うぎゃー」だの叫びながらお互い殴り合うだけのグダグダなストーリー展開。果たしてこれを*真《しん》の「ヒーローごっこ」と呼べるだろうか!*否《いな》!私は断じて認めない!』
ふとし:お、おまえらただのあそびになにまじになってんの?ばかじゃねぇか?
まさみ:ふーん。「ただのあそび」ねぇ…。
まさみ:〈急に大人口調になって〉『私はとても残念だよ。君も遊びに全力を傾けられない人間の一人なんだね。もっと周りを見てみなさい。きっと思い知ることになるわ。世の中にどれだけ君のような「もったいない」人間が*溢《あふ》れているかをね。人間はね、遊びがあるから日々を充実して生きられるの。「遊びこそ人生」と言っても良いくらいよ。そして過去の歴史を*紐解《ひもと》いてみても人類の進化に遊びが密接に関わってきたことは言うまでもない事実。ふとしくんと言ったわね。君は今、私達と遊ぶ機会を得た。それはつまりアダムとイブが禁断の果実の味を知ることと同じ。この瞬間から君はもうちっぽけなガキ大将ではいられなくなるのよ。うふふ…あなたはどんな風に変わっていくんでしょうね。楽しみだわ♡』
ふとし:び、びびらせようたってそうはいかないんだからな!さっさとつづきをせつめいしろよ!
たえこ:わかったわ。
たえこ:〈大人口調で〉『で、ここからが本題なんだけど、*巷《ちまた》に*溢《あふ》れる既存のヒーローごっこに圧倒的に不足している要素は何か…。それは先に述べた個々の演技力はもちろんだけど、それにも増して足りないのは世界観を形作るのに必要な重厚なストーリー…つまり脚本よ。それも戦闘シーンの一部を切り取っただけの薄っぺらい物ではなく、ヒロイン、怪人、ヒーローそれぞれの登場人物の生い立ちや背景、人間関係はもちろんのこと、最終的に戦うに至るまでの壮大なストーリーが必要だわ。そうねぇ…具体的には「メインストーリー」の他にそれぞれ「ヒロイン編」、「怪人編」、「ヒーロー編」、の3つのサイドストーリーが必要ね。そして脚本の次に大事なことは、その脚本に描かれた世界観にどれだけ演者が入り込めるか、これが重要な鍵となるわ。ヒーローごっこはね、それぞれに課された役割に沿ってキャスト全員で作り上げる共同作業なの。誰か一人が目立とうなどと浅はかな行動に出た時点で、それまで築き上げてきた世界は一瞬で崩壊するわ。各自これだけは肝に銘じておくように。』
あかね:わたし…できるかな。
たえこ:だいじょうぶよ。だいじなのはたのしむことよ。
あかね:わかった!ありがとう、たえこちゃん!
たえこ:あなたもわかった?
ふとし:お、おう。
ゆず子:じゃあさ、いつもどおりすとーりーかんがえていこっか。
えりな:はいはーい!めいんすとーりーかんがえたよー!
さゆり:わぁ!もうできたの?さすがえりなちゃんだね!
えりな:えへへ。こういうのはぱっとおもいつくんだ。じゃあきいててね。
えりな:〈急に大人口調になって〉『(M)時は2050年。これはそう遠くない未来の話。平和の裏側でひっそりと進行する謎の計画があった。その名も「全人類*闇人化《やみびとか》計画」これは闇皇帝ヘンゲルによる地球侵略作戦のことで、人間の心の*隙間《すきま》に闇の種子を埋め込むことで人間を*闇人《やみびと》に作り変えてしまうという恐ろしい物であった。闇皇帝ヘンゲルは街に工作員を送り込み、一人、また一人と人間を洗脳し*闇人化《やみびとか》することで、外側からではなく内側から世界を乗っ取ろうと*目論《もくろ》んでいた。そんな中、事態を重く見た国の上層部たちは、打開策として*極秘《ごくひり》に特殊戦隊「光の戦士エンジェル・クリスタル」を結成する。選ばれた5人の戦士達の活躍で、事態はみるみるうちに収束する…はずであった。あんな事が起きなければ…。』
えりな:っていうかんじなんだけどどうかな?
ゆず子:すごいすご〜い!
まさみ:わぁ!めっちゃつづきがきになる~!
たえこ:さすがえりなちゃんだね!
さゆり:あたしどきどきしちゃったよ。
あかね:わたしも!
ふとし:お、おれもだ…。
えりな:じゃあつぎは「ひろいんへん」だね。
あかね:あ、あの…わたしかんがえてみたんだけどいいかな?
ゆず子:えっ!あかねちゃんすごいじゃん!ききたい!
さゆり:あたしもききたい!
あかね:じゃ、じゃあはなすね。
あかね:〈急に大人口調になって〉『(M)「私は誰?どこから来たの?」毎晩のように夢の中で私は叫んでいた。何も見えない暗闇の中、幼い私は泣きじゃくりながら声が*涸《か》れるまで問い続ける。叫べば叫ぶほど誰も応えてくれない虚しさと寂しさに心が押し潰されそうになりながら朝を迎える…。
あかね:私には幼い頃の記憶がない。預けられた施設で私の両親は私が生まれてすぐ事故で亡くなったと聞かされて育った。周りの大人達は私に対してどこかよそよそしく、*腫《は》れ物を扱うかのように接してきた。私はどこへ行っても一人ぼっちだった。そんな中、ふと目に*留《と》まった「エンジェル」という名の雑貨屋。ピンクを基調としたオシャレな店内は、まるでメルヘンの世界に迷い込んだかのような雰囲気を*醸《かも》し出していた。数々の可愛らしい雑貨と店員さんの優しさに触れ、私は一瞬でこの店の大ファンになった。それから通い詰めること約半年。いつしかこの場所で過ごすひと時が私にとって唯一安らぎを感じられる時間になっていた。「このままずっとこの人たちと一緒にいられたらいいのに。」この時の私は、この願いが*後《のち》に全く違う形で実現することになろうとは予想だにしていなかった。』
あかね:こんなかんじなんだけど…。
えりな:え?え?あかねちゃんすごくない?
ゆず子:…てんさいだよね。
たえこ:まさかこんなすてきなすとーりーをかんがえてくれるなんておもわなかったよ。
あかね:そ、そうかなぁ…。
さゆり:そうだよ!あたし、びっくりしたもん。
まさみ:もっとじしんもっていいとおもうよ!
ふとし:おまえ、なかなかやるじゃん。
あかね:あ、ありがとう…。
ゆず子:じゃあつぎはどっちからかんがえよっか?
ふとし:なぁ…おれ、「かいじんへん」やってもいいか?
たえこ:もしかしてふとしくんもかんがえてくれたの?
ふとし:お、おう…おれもあかねにまけてらんねぇからな。
まさみ:いいね、いいね!
さゆり:これはきたいしちゃうね!
えりな:うんうん!
ふとし:ちょっ!あおるなよ!…てれるじゃんか。
ゆず子:あはは。ごめんごめん。じゃあどうぞ。
ふとし:おう…。
ふとし:〈急に大人口調になって〉『(M)俺の名は闇皇帝ヘンゲル。この地球を我が物にするために生まれた闇帝国の王だ。俺は幼少の頃から父である先代の闇皇帝バイドルによって、拷問とも言える程の徹底的な英才教育を受けてきた。「全ては帝国繁栄のため」…そう自分に言い聞かせ、どんな苦しい試練にも耐えてきたのだ。そんな矢先、父が突然病に倒れ息を引き取った。あんなにも強かった父がこんなにも*呆気《あっけ》なく死んでしまうとは…俺は父の*亡骸《なきがら》を前にして、悲しむどころか胸の奥から*沸《わ》き起こる高揚感を抑えることに必死だった。「ふふふ…今この時を*以《もっ》て闇帝国は俺が支配することとなった!亡き父に替わり、地球侵略を*完遂《かんすい》するのだ!」俺は強い決意を胸に着々と作戦を遂行していった。しかし、*程《ほど》なくして順調かと思われた作戦に*翳《かげ》りが見え始める。帝国への対抗措置として、地球側が新たに特殊戦隊「光の戦士エンジェル・クリスタル」を結成したのだ。彼女らの活躍により*闇人化《やみびとか》した人間だけでなく、俺が街に放った工作員までもが*尽《ことごと》く浄化されていった。帝国側も負けじと新戦力を投入するも戦況を*覆《くつがえ》す程の効果は得られず両勢力は*膠着《こうちゃく》状態に*陥《おちい》る。そして事態は全く予期せぬ方向に動き出すのであった。』
ふとし:どうだ?すげぇだろ?
まさみ:へぇー、やるじゃないの。
たえこ:しょうじき、みなおしたわ。
ゆず子:ふとしくんすごいね!
あかね:なんかかっこいい…。
えりな:じゃあさいごは「ひーろーへん」ね!だれかやりたいひといる?
さゆり:はーい!あたしやるやるー!
たえこ:お!さゆりちゃんまってました!
さゆり:えへへ…じゃあみんなきいててね!
さゆり:〈急に大人口調になって〉『(M)「地球は今、狙われている!」急遽、国家のエージェントによって、とある場所に連行された私達5人は酷く困惑していた。それもそのはず、先程まで私達は職業や住んでいる場所さえも違う全くの赤の他人同士だったからだ。なんでも偉い人の話によると適性?が合致していたとか何とかで、とにかく地球がヤバいから力を貸して欲しいっていう訳分かんない理由を告げられ、半ば強制連行に近い形でここに連れて来られたのだ。しかもこれからは「光の戦士エンジェル・クリスタル」とかいう戦隊のメンバーになって、このブレスレットで変身して敵と戦って欲しいなんて*真顔《まがお》で言われるもんだから、みんな何かのドッキリ企画じゃないかって隠しカメラを探して辺りを見回していたものだ。それでもまあ、給料は前職と比べても破格の高さだったし、アニメや特撮番組でしか見たことがない存在に自分達がなれると思うとワクワクしていたのも事実だ。また戦隊と言っても常時変身して戦う訳ではなく、出動命令がない時は雑貨屋「エンジェル」での接客が主な仕事だった。変身して戦うこと自体は最初は抵抗があったけど、可愛い姿で*闇人《やみびと》になった人達を浄化できるから今は気に入っている。そして最近、雑貨屋「エンジェル」に可愛らしい女の子が通ってくれるようになった。幸せそうに店内で*寛《くつろ》ぐ彼女を見てるとこっちまで嬉しくなっちゃって、ついついお*喋《しゃべ》りが止まらなくなってしまう。でも私達は*後《あと》になって知ることとなる。彼女に隠された衝撃の事実を。』
さゆり:てなかんじなんだけどどうかな?
えりな:さゆりちゃんすごい!
ふとし:おお!おもしろいじゃねぇか!
たえこ:アタイ、どきどきがとまらないよ!
まさみ:これはたのしくなってきたぞ!
ゆず子:それじゃあそれぞれのすとーりーのとうじょうじんぶつをきめていこっか。
たえこ:まずは「めいんすとーりー」からだね。これはやみこうてい、ひろいん、そしてひかりのせんしが5にんでいいよね。
さゆり:うん。いいとおもう。
えりな:じゃあつぎは「ひろいんへん」だね。ふむ…ざっかやさんのしーんがあるから、ひろいんと5にんのてんいんはきまりだね。
まさみ:そうだね。あと、しせつのひととかいるんじゃない?
えりな:あ、いるいる!よし、これできまりっと。
ゆず子:おつぎは「かいじんへん」だね。これはやみこうていと…あ、おとうさんどうしよっか?おとこのこひとりしかないや…。
ふとし:しんだあとからはじめたらいいんじゃないか?
ゆず子:お!ないすあいであ!じゃあそれでいこー!あとはおかあさんと、ていこくのみんしゅうがひつようだね。
あかね:あの…めしつかいとかは?
ゆず子:いいね!じゃあそれもいれとこう!
さゆり:さいごは「ひーろーへん」だね!これはひかりのせんしにえらばれた5にんと、くにのおえらいさんかな?
たえこ:あと、かのじょたちをつれてくるひとがいるんじゃない?
さゆり:あ…わすれてた。たえこちゃんありがとう。
まさみ:これでぜんぶきまったね!あとははいやくだけか。
たえこ:そうだね。まずはひかりのせんしからきめていこうか。そういやさ、ひかりのせんしってなにいろにしよっか?
えりな:そうねぇ…くりすたるだからほうせきをいめーじすると、れっど、ぶるー、ぐりーん、いえろーはきまりとして、あとは…
あかね:ぱーぷるはどう?
えりな:いいね!いろはこれでいいかな?
ゆず子:いいとおもうよ!
さゆり:だれがどのいろやる?
まさみ:じゃあわたしぶるーやりたい!
たえこ:アタイはいえろーやりたい。
えりな:アタチぐりーんがいい!
さゆり:あたしはぱーぷる!
ゆず子:わたしれっどやってみたいな。
さゆり:きまったね!あかねちゃんはひかりのせんしじゃなくてよかったの?
あかね:わたしはひろいんやりたいなっておもってたからだいじょうぶだよ。
さゆり:おっけー!あとふとしくんはおとこのこだから、やみこうていでいい?
ふとし:おう!てかそれしかできんし。
さゆり:ありがと。あとはかねやくだね。
ゆず子:「ひろいんへん」のしせつのひとはだれがやる?
ふとし:おれやるよ。そこにでてないのはおれだけだから。あと、「ひーろーへん」にでてくるくにのおえらいさんも。
たえこ:おー!ふとしくんありがとう。たよりになるねぇ。
ふとし:よせよ。てれるじゃんか。
えりな:じゃああとは「かいじんへん」のおかあさんとめしつかい、「ひーろーへん」の5にんをつれてくるひとかな?
まさみ:じゃあわたしおかあさんやる!
さゆり:あたしはめしつかいやるよ。
あかね:わたしは5にんをつれてくるひとやる!
まさみ:あれ?そういれば「かいじんへん」のみんしゅうはだれがやるの?
ゆず子:それはふとしくん、まさみちゃん、さゆりちゃんいがいのぜんいんでやればいいんじゃない?
まさみ:あ、そっか。わかった!
たえこ:あとははなしのながれだけど、めいんすとーりーをじくにそれぞれのさいどすとーりーのないようをふまえつつ、ぜんたいにちりばめていくのはどうかな?
さゆり:それすごくいいよ!さすがたえこちゃんだね!
たえこ:えへへ、ありがとう。
えりな:いよいよはじまるね!
あかね:あー…わたしきんちょうしてきたよ。
ふとし:おれもだ。
まさみ:でもわくわくするね!
ゆず子:うん!たのしみ!
たえこ:じゃあそろそろはじめよっか。3・2・1あくしょん!!
:
ナレーション:というわけで、女児たちのお*戯《たわむ》れは中編に続くのであった。
:
:【前編】~完~
タイトル:劇場版!女児たちのお*戯《たわむ》れ【前編 】
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登場人物:
まさみ:さくら組の幼稚園児。少しお転婆な女の子。
ゆず子:いちご組の幼稚園児。しっかり者でお姉さんタイプの女の子。
えりな:もも組の幼稚園児。少し幼い感じの女の子。
たえこ:ひまわり組の幼稚園児。元気いっぱいの女の子。
さゆり:ばら組の幼稚園児。優しくて真面目な性格の女の子。
ふとし:たんぽぽ組の幼稚園児。あかねと同じクラスでガキ大将的存在だが、実は寂しがり屋な一面もある。
あかね:たんぽぽ組の幼稚園児。大人しい性格で人見知り。
ナレーション:どなたかが兼役で読んでください。
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:『』のセリフ以外は基本的に幼稚園児の声で演じてください。
:(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書きです。
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本編:
ナレーション:これは、とある幼稚園を舞台にした仲良し女児5人組が織り成すハートフルコメディの「劇場版【前編】」である。
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あかね:ゆず子ちゃん、ちょっとそうだんにのってくれる?
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:-------------------(とある日のお昼休み)
ゆず子:ねぇみんな、ちょっといいかな?
えりな:ん?ゆず子ちゃんどうしたの?
まさみ:なになに?
たえこ:なんでもきくよ。
さゆり:なにがあったの?
ゆず子:みんなありがとう。じつはね…さ、はいって。〈あかねが入ってくる〉
あかね:うう…。
ゆず子:このこね、たんぽぽぐみのおともだちなんだけど、さいきんつきまとってくるおとこのこがいるらしくてちょっとこまってるんだって。
あかね:おねがい、たすけてほしいの…。
えりな:えっ?もしかしてすとーかー?
ゆず子:ううん…すとーかーじゃないんだけどね。ことあるごとにからんでくるらしくて、しつこいんだって。
たえこ:それはたいへんだね。ちなみにそのおとこのこってだれなの?
あかね:おなじくらすの「ふとしくん」…。
まさみ:あ!そのこわたししってる!がきだいしょうでしょ?
あかね:そう。
さゆり:あたしもきいたことある。いろんなひとにからんでるってうわさだよね。
あかね:うん。もうげんかいなの…。
たえこ:うんうん。わかるよ。あ!あれってもしかしてふとしくんじゃない?
あかね:え…どうしよう。こっちにくるよ…。
ゆず子:だいじょうぶ。わたしたちがあかねちゃんをまもるからあんしんして。
さゆり:そうだよ。あたしたちにまかせて。あかねちゃんはかくれてて。
あかね:うぅ…ありがとう。
ふとし:おいおまえら!さっかーしようぜ!お!あかねじゃねぇか。きょうおまえぼーるな!
あかね:い、いや。はなしかけないで!
ふとし:ははは!てれるなって。
あかね:うう…。
まさみ:やめなさいよ!あかねちゃんいやがってるじゃないの!
ふとし:じゃあおまえぼーるな!
まさみ:うっ!いやよ!
たえこ:ねぇ、あんた。
ふとし:あ?なんだよ?
たえこ:そんなにアタイたちとあそびたいの?
ふとし:べ、べつに。そんなんじゃねぇし。
たえこ:ふーん。アタイはあそんであげてもいいよ。
ゆず子:え…?たえこちゃん…?
ふとし:ほんとか!じゃあおまえぼーる…
たえこ:〈被せて〉いっとくけど、さっかーはやらないよ。
ふとし:じゃ、じゃあなにしてあそぶんだよ。
たえこ:そうねぇ、せっかくだし「ひーろーごっこ」なんてどうかしら?
ふとし:お!いいじゃねーか!じゃあおれひーろーな!
たえこ:まあ、まちなさいな。おちついて。
ふとし:な、なんだよ。
たえこ:ただのひーろーごっこなんてつまんないじゃない。ね、みんな?
えりな:そうそう。どうせならみんなでとっておきのやつやろーよ。
まさみ:ふふふ…そうね。
さゆり:とってもたのしみ!
ゆず子:ねぇ、あかねちゃんもいっしょにやろ!
あかね:で、でも…。
ゆず子:だいじょうぶよ。わたしたちもついてるから。
あかね:じゃ、じゃあ…わたしもやる。
ふとし:それで、なにがちがうんだよ。つまんなかったらおまえらぜんいんあしたからおれのぼーるだからな!
たえこ:いいわよ。ぼーるでもなんでもなってあげるわ。ただし、おもしろかったらこれからあかねちゃんにつきまとわないこと。わかった?
ふとし:わかったからはやくせつめいしろよ!
たえこ:はいはい。もう、せっかちさんね。
たえこ:〈急に大人口調になって〉『「ごっこ遊び」…それは誰しも人生において一度は経験する最もポピュラーな遊びと言っても過言ではないわ。その中でも「ヒーローごっこ」は個人の演技力の良し悪しが直接その世界観に影響を及ぼすことから、一度踏み込んだが最後、誰一人としてエンディングまで気を抜くことは許されない究極の耐久エンターテインメントショーよ。』
ふとし:そ、そんなおおげさな。
ゆず子:おおげさじゃないよ。
ゆず子:〈急に大人口調になって〉『思い返してみなさい。君が今までやってきた「ヒーローごっこ」を。登場シーンのポーズと名乗り*口上《こうじょう》ばかりにこだわって、それ以降のプランを全く考えていない無計画ヒーロー、不本意な役を押し付けられ、渋々それっぽいセリフと動きをするやる気なし怪人、何となくその場にいるだけのガヤともモブとも言えない中途半端で無関心なギャラリーたち…開始直後こそそれっぽい雰囲気にはなるものの、ヒーロー登場以降はただ意味もなく「ぐはっ!」だの「うぎゃー」だの叫びながらお互い殴り合うだけのグダグダなストーリー展開。果たしてこれを*真《しん》の「ヒーローごっこ」と呼べるだろうか!*否《いな》!私は断じて認めない!』
ふとし:お、おまえらただのあそびになにまじになってんの?ばかじゃねぇか?
まさみ:ふーん。「ただのあそび」ねぇ…。
まさみ:〈急に大人口調になって〉『私はとても残念だよ。君も遊びに全力を傾けられない人間の一人なんだね。もっと周りを見てみなさい。きっと思い知ることになるわ。世の中にどれだけ君のような「もったいない」人間が*溢《あふ》れているかをね。人間はね、遊びがあるから日々を充実して生きられるの。「遊びこそ人生」と言っても良いくらいよ。そして過去の歴史を*紐解《ひもと》いてみても人類の進化に遊びが密接に関わってきたことは言うまでもない事実。ふとしくんと言ったわね。君は今、私達と遊ぶ機会を得た。それはつまりアダムとイブが禁断の果実の味を知ることと同じ。この瞬間から君はもうちっぽけなガキ大将ではいられなくなるのよ。うふふ…あなたはどんな風に変わっていくんでしょうね。楽しみだわ♡』
ふとし:び、びびらせようたってそうはいかないんだからな!さっさとつづきをせつめいしろよ!
たえこ:わかったわ。
たえこ:〈大人口調で〉『で、ここからが本題なんだけど、*巷《ちまた》に*溢《あふ》れる既存のヒーローごっこに圧倒的に不足している要素は何か…。それは先に述べた個々の演技力はもちろんだけど、それにも増して足りないのは世界観を形作るのに必要な重厚なストーリー…つまり脚本よ。それも戦闘シーンの一部を切り取っただけの薄っぺらい物ではなく、ヒロイン、怪人、ヒーローそれぞれの登場人物の生い立ちや背景、人間関係はもちろんのこと、最終的に戦うに至るまでの壮大なストーリーが必要だわ。そうねぇ…具体的には「メインストーリー」の他にそれぞれ「ヒロイン編」、「怪人編」、「ヒーロー編」、の3つのサイドストーリーが必要ね。そして脚本の次に大事なことは、その脚本に描かれた世界観にどれだけ演者が入り込めるか、これが重要な鍵となるわ。ヒーローごっこはね、それぞれに課された役割に沿ってキャスト全員で作り上げる共同作業なの。誰か一人が目立とうなどと浅はかな行動に出た時点で、それまで築き上げてきた世界は一瞬で崩壊するわ。各自これだけは肝に銘じておくように。』
あかね:わたし…できるかな。
たえこ:だいじょうぶよ。だいじなのはたのしむことよ。
あかね:わかった!ありがとう、たえこちゃん!
たえこ:あなたもわかった?
ふとし:お、おう。
ゆず子:じゃあさ、いつもどおりすとーりーかんがえていこっか。
えりな:はいはーい!めいんすとーりーかんがえたよー!
さゆり:わぁ!もうできたの?さすがえりなちゃんだね!
えりな:えへへ。こういうのはぱっとおもいつくんだ。じゃあきいててね。
えりな:〈急に大人口調になって〉『(M)時は2050年。これはそう遠くない未来の話。平和の裏側でひっそりと進行する謎の計画があった。その名も「全人類*闇人化《やみびとか》計画」これは闇皇帝ヘンゲルによる地球侵略作戦のことで、人間の心の*隙間《すきま》に闇の種子を埋め込むことで人間を*闇人《やみびと》に作り変えてしまうという恐ろしい物であった。闇皇帝ヘンゲルは街に工作員を送り込み、一人、また一人と人間を洗脳し*闇人化《やみびとか》することで、外側からではなく内側から世界を乗っ取ろうと*目論《もくろ》んでいた。そんな中、事態を重く見た国の上層部たちは、打開策として*極秘《ごくひり》に特殊戦隊「光の戦士エンジェル・クリスタル」を結成する。選ばれた5人の戦士達の活躍で、事態はみるみるうちに収束する…はずであった。あんな事が起きなければ…。』
えりな:っていうかんじなんだけどどうかな?
ゆず子:すごいすご〜い!
まさみ:わぁ!めっちゃつづきがきになる~!
たえこ:さすがえりなちゃんだね!
さゆり:あたしどきどきしちゃったよ。
あかね:わたしも!
ふとし:お、おれもだ…。
えりな:じゃあつぎは「ひろいんへん」だね。
あかね:あ、あの…わたしかんがえてみたんだけどいいかな?
ゆず子:えっ!あかねちゃんすごいじゃん!ききたい!
さゆり:あたしもききたい!
あかね:じゃ、じゃあはなすね。
あかね:〈急に大人口調になって〉『(M)「私は誰?どこから来たの?」毎晩のように夢の中で私は叫んでいた。何も見えない暗闇の中、幼い私は泣きじゃくりながら声が*涸《か》れるまで問い続ける。叫べば叫ぶほど誰も応えてくれない虚しさと寂しさに心が押し潰されそうになりながら朝を迎える…。
あかね:私には幼い頃の記憶がない。預けられた施設で私の両親は私が生まれてすぐ事故で亡くなったと聞かされて育った。周りの大人達は私に対してどこかよそよそしく、*腫《は》れ物を扱うかのように接してきた。私はどこへ行っても一人ぼっちだった。そんな中、ふと目に*留《と》まった「エンジェル」という名の雑貨屋。ピンクを基調としたオシャレな店内は、まるでメルヘンの世界に迷い込んだかのような雰囲気を*醸《かも》し出していた。数々の可愛らしい雑貨と店員さんの優しさに触れ、私は一瞬でこの店の大ファンになった。それから通い詰めること約半年。いつしかこの場所で過ごすひと時が私にとって唯一安らぎを感じられる時間になっていた。「このままずっとこの人たちと一緒にいられたらいいのに。」この時の私は、この願いが*後《のち》に全く違う形で実現することになろうとは予想だにしていなかった。』
あかね:こんなかんじなんだけど…。
えりな:え?え?あかねちゃんすごくない?
ゆず子:…てんさいだよね。
たえこ:まさかこんなすてきなすとーりーをかんがえてくれるなんておもわなかったよ。
あかね:そ、そうかなぁ…。
さゆり:そうだよ!あたし、びっくりしたもん。
まさみ:もっとじしんもっていいとおもうよ!
ふとし:おまえ、なかなかやるじゃん。
あかね:あ、ありがとう…。
ゆず子:じゃあつぎはどっちからかんがえよっか?
ふとし:なぁ…おれ、「かいじんへん」やってもいいか?
たえこ:もしかしてふとしくんもかんがえてくれたの?
ふとし:お、おう…おれもあかねにまけてらんねぇからな。
まさみ:いいね、いいね!
さゆり:これはきたいしちゃうね!
えりな:うんうん!
ふとし:ちょっ!あおるなよ!…てれるじゃんか。
ゆず子:あはは。ごめんごめん。じゃあどうぞ。
ふとし:おう…。
ふとし:〈急に大人口調になって〉『(M)俺の名は闇皇帝ヘンゲル。この地球を我が物にするために生まれた闇帝国の王だ。俺は幼少の頃から父である先代の闇皇帝バイドルによって、拷問とも言える程の徹底的な英才教育を受けてきた。「全ては帝国繁栄のため」…そう自分に言い聞かせ、どんな苦しい試練にも耐えてきたのだ。そんな矢先、父が突然病に倒れ息を引き取った。あんなにも強かった父がこんなにも*呆気《あっけ》なく死んでしまうとは…俺は父の*亡骸《なきがら》を前にして、悲しむどころか胸の奥から*沸《わ》き起こる高揚感を抑えることに必死だった。「ふふふ…今この時を*以《もっ》て闇帝国は俺が支配することとなった!亡き父に替わり、地球侵略を*完遂《かんすい》するのだ!」俺は強い決意を胸に着々と作戦を遂行していった。しかし、*程《ほど》なくして順調かと思われた作戦に*翳《かげ》りが見え始める。帝国への対抗措置として、地球側が新たに特殊戦隊「光の戦士エンジェル・クリスタル」を結成したのだ。彼女らの活躍により*闇人化《やみびとか》した人間だけでなく、俺が街に放った工作員までもが*尽《ことごと》く浄化されていった。帝国側も負けじと新戦力を投入するも戦況を*覆《くつがえ》す程の効果は得られず両勢力は*膠着《こうちゃく》状態に*陥《おちい》る。そして事態は全く予期せぬ方向に動き出すのであった。』
ふとし:どうだ?すげぇだろ?
まさみ:へぇー、やるじゃないの。
たえこ:しょうじき、みなおしたわ。
ゆず子:ふとしくんすごいね!
あかね:なんかかっこいい…。
えりな:じゃあさいごは「ひーろーへん」ね!だれかやりたいひといる?
さゆり:はーい!あたしやるやるー!
たえこ:お!さゆりちゃんまってました!
さゆり:えへへ…じゃあみんなきいててね!
さゆり:〈急に大人口調になって〉『(M)「地球は今、狙われている!」急遽、国家のエージェントによって、とある場所に連行された私達5人は酷く困惑していた。それもそのはず、先程まで私達は職業や住んでいる場所さえも違う全くの赤の他人同士だったからだ。なんでも偉い人の話によると適性?が合致していたとか何とかで、とにかく地球がヤバいから力を貸して欲しいっていう訳分かんない理由を告げられ、半ば強制連行に近い形でここに連れて来られたのだ。しかもこれからは「光の戦士エンジェル・クリスタル」とかいう戦隊のメンバーになって、このブレスレットで変身して敵と戦って欲しいなんて*真顔《まがお》で言われるもんだから、みんな何かのドッキリ企画じゃないかって隠しカメラを探して辺りを見回していたものだ。それでもまあ、給料は前職と比べても破格の高さだったし、アニメや特撮番組でしか見たことがない存在に自分達がなれると思うとワクワクしていたのも事実だ。また戦隊と言っても常時変身して戦う訳ではなく、出動命令がない時は雑貨屋「エンジェル」での接客が主な仕事だった。変身して戦うこと自体は最初は抵抗があったけど、可愛い姿で*闇人《やみびと》になった人達を浄化できるから今は気に入っている。そして最近、雑貨屋「エンジェル」に可愛らしい女の子が通ってくれるようになった。幸せそうに店内で*寛《くつろ》ぐ彼女を見てるとこっちまで嬉しくなっちゃって、ついついお*喋《しゃべ》りが止まらなくなってしまう。でも私達は*後《あと》になって知ることとなる。彼女に隠された衝撃の事実を。』
さゆり:てなかんじなんだけどどうかな?
えりな:さゆりちゃんすごい!
ふとし:おお!おもしろいじゃねぇか!
たえこ:アタイ、どきどきがとまらないよ!
まさみ:これはたのしくなってきたぞ!
ゆず子:それじゃあそれぞれのすとーりーのとうじょうじんぶつをきめていこっか。
たえこ:まずは「めいんすとーりー」からだね。これはやみこうてい、ひろいん、そしてひかりのせんしが5にんでいいよね。
さゆり:うん。いいとおもう。
えりな:じゃあつぎは「ひろいんへん」だね。ふむ…ざっかやさんのしーんがあるから、ひろいんと5にんのてんいんはきまりだね。
まさみ:そうだね。あと、しせつのひととかいるんじゃない?
えりな:あ、いるいる!よし、これできまりっと。
ゆず子:おつぎは「かいじんへん」だね。これはやみこうていと…あ、おとうさんどうしよっか?おとこのこひとりしかないや…。
ふとし:しんだあとからはじめたらいいんじゃないか?
ゆず子:お!ないすあいであ!じゃあそれでいこー!あとはおかあさんと、ていこくのみんしゅうがひつようだね。
あかね:あの…めしつかいとかは?
ゆず子:いいね!じゃあそれもいれとこう!
さゆり:さいごは「ひーろーへん」だね!これはひかりのせんしにえらばれた5にんと、くにのおえらいさんかな?
たえこ:あと、かのじょたちをつれてくるひとがいるんじゃない?
さゆり:あ…わすれてた。たえこちゃんありがとう。
まさみ:これでぜんぶきまったね!あとははいやくだけか。
たえこ:そうだね。まずはひかりのせんしからきめていこうか。そういやさ、ひかりのせんしってなにいろにしよっか?
えりな:そうねぇ…くりすたるだからほうせきをいめーじすると、れっど、ぶるー、ぐりーん、いえろーはきまりとして、あとは…
あかね:ぱーぷるはどう?
えりな:いいね!いろはこれでいいかな?
ゆず子:いいとおもうよ!
さゆり:だれがどのいろやる?
まさみ:じゃあわたしぶるーやりたい!
たえこ:アタイはいえろーやりたい。
えりな:アタチぐりーんがいい!
さゆり:あたしはぱーぷる!
ゆず子:わたしれっどやってみたいな。
さゆり:きまったね!あかねちゃんはひかりのせんしじゃなくてよかったの?
あかね:わたしはひろいんやりたいなっておもってたからだいじょうぶだよ。
さゆり:おっけー!あとふとしくんはおとこのこだから、やみこうていでいい?
ふとし:おう!てかそれしかできんし。
さゆり:ありがと。あとはかねやくだね。
ゆず子:「ひろいんへん」のしせつのひとはだれがやる?
ふとし:おれやるよ。そこにでてないのはおれだけだから。あと、「ひーろーへん」にでてくるくにのおえらいさんも。
たえこ:おー!ふとしくんありがとう。たよりになるねぇ。
ふとし:よせよ。てれるじゃんか。
えりな:じゃああとは「かいじんへん」のおかあさんとめしつかい、「ひーろーへん」の5にんをつれてくるひとかな?
まさみ:じゃあわたしおかあさんやる!
さゆり:あたしはめしつかいやるよ。
あかね:わたしは5にんをつれてくるひとやる!
まさみ:あれ?そういれば「かいじんへん」のみんしゅうはだれがやるの?
ゆず子:それはふとしくん、まさみちゃん、さゆりちゃんいがいのぜんいんでやればいいんじゃない?
まさみ:あ、そっか。わかった!
たえこ:あとははなしのながれだけど、めいんすとーりーをじくにそれぞれのさいどすとーりーのないようをふまえつつ、ぜんたいにちりばめていくのはどうかな?
さゆり:それすごくいいよ!さすがたえこちゃんだね!
たえこ:えへへ、ありがとう。
えりな:いよいよはじまるね!
あかね:あー…わたしきんちょうしてきたよ。
ふとし:おれもだ。
まさみ:でもわくわくするね!
ゆず子:うん!たのしみ!
たえこ:じゃあそろそろはじめよっか。3・2・1あくしょん!!
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ナレーション:というわけで、女児たちのお*戯《たわむ》れは中編に続くのであった。
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:【前編】~完~