台本概要

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タイトル 現代妖怪理論I
作者名 てくす  (@daihooon)
ジャンル コメディ
演者人数 3人用台本(不問3)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ある学舎で不思議な授業が行われていた。
現代妖怪理論
さぁ、授業開始だ!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
生徒 不問 87 授業を受ける人
教授 不問 75 授業をする人
助手 不問 28 授業をサポートする人
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
教授:えー、では授業を始めます 教授:今回の内容は期末のテストに出る範囲なので 教授:しっかり覚えておくように 助手:一言一句、覚えなさい 生徒:はーい 生徒:今日は何を勉強するんだろうなー 教授:さて、今日の現代妖怪理論では 教授:4体の妖怪を紹介するぞ 生徒:おぉー!4体も! 助手:先生、まずはコチラを 教授:よし、ではまず一体目だ! 0:現代妖怪理論 一体目 鵺について 生徒:鵺……ですか! 教授:おお、やる気だな 助手:やる気のあることは良い事です 生徒:鵺って言えば、色んな物語でも 生徒:強いキャラとして登場するし 生徒:かっこいいですよね! 教授:うんうん、鵺と言えば 助手:頭は猿、体は狸、足は虎、尾は蛇の妖怪です 教授:……、おっほん 教授:さっき言ってくれたように 教授:色んなものが合わさった妖怪だな 生徒:おお!やっぱり強そう! 助手:一説では雷獣とも呼ばれています 生徒:雷…獣…ッッ!!! 教授:さて、では鵺の話をしよう 生徒:はい! 教授:鵺の登場する話は、平家物語や 教授:摂津名所図会(せっつめいしょずえ)に述べられている 助手:ここ、メモ! 生徒:は、はい! 教授:平安時代の末期、天皇が住む御所に 教授:毎晩のように黒い煙のような雲と不気味な声が 教授:響き渡って天皇は恐怖していたらしい 生徒:…黒い煙のような雲…雷獣… 生徒:成程、雷雲か! 教授:雷雲?…まぁ、いいか 教授:そのあと天皇は、その声を気にして 教授:病気になり、薬も効かなかった 教授:そこで 助手:そこで天皇の側近たちが源 義家に 助手:その不気味な声の主の討伐を頼むのです 助手:弓の達人であり、怪事件を解決したことのある 助手:源 義家の力を借りようとしたわけです! 生徒:お、おお!かっこいい! 教授:…続けて良いかな? 教授:それで鵺退治に向かうと 教授:黒い煙が御所を覆い始めたから 教授:その煙に向かって矢を射ったんだ 生徒:ここから鵺と人間の戦いが始まるのか! 生徒:うおお、続き気になる! 教授:すると悲鳴を上げて鵺が落ちてくる 教授:すかさず仲間がとどめ刺して終わりだ 生徒:えっ 教授:ん? 生徒:今、なんて? 教授:矢を射ったら落ちてきて 教授:とどめ刺して終わり 生徒:よっっっっっわぁぁぁあ!! 生徒:鵺、弱ぁぁぁぁあ!! 生徒:雷獣どうした!?矢で一発ぅ!? 助手:その後、天皇の体調は回復して義家は 助手:褒美に獅子王という刀を貰ったらしいですね 生徒:かっけぇぇぇぇえ!! 生徒:義家かっけぇぇぇえ!! 生徒:てか!あんたさっきから 生徒:かっこいい話だけ横取りしてるよね!? 教授:気づいた!?絶対そうだよね!? 生徒:うわぁぁぁ!!教授傷ついてたぁぁあ! 助手:?どうしたんですか? 生徒:タチ悪いやつだーーー!! 教授:…次、いこう、もう… 0: 0:二体目 魔王について 生徒:ま…魔王…… 助手:魔王とは妖怪の中にも存在ていて 助手:所謂、魔界と呼ばれるような所に住んでいて 生徒:あ、あの!質問です! 生徒:地獄とかじゃないんですか? 教授:それがまた別物とされてるな 教授:妖怪、魔王と調べるとまず出てくるのが 教授:山ン本五郎左衛門だろう 生徒:さんもとごろうざえもん? 生徒:人みたいな名前ですね 教授:これも諸説あって、元は人であった 教授:魔王が仮の名前として名乗った、などと 教授:言われている 助手:近いもので神ン野悪五郎(しんのあくごろう) 助手:という魔王もいますね 生徒:悪五郎ってまた安易な…… 教授:その中でも一番強いとされているのが 助手:造物大女王(ぞうぶつだいじょおう)です 生徒:(あ、また先取りしたぞ、この人) 教授:……魔界で悪魔のボス的な奴が数百いてな 教授:その中でも上位12体の内、一番に名が挙がるのが 教授:こいつだよ…… 生徒:明らかにテンション下がってる!? 教授:並の神の数百倍の力を持つらしい…… 教授:今から十二体の魔王を言おうと思ったが 教授:やる気……無くなっちゃった…… 生徒:それでいいの!?授業だよね!? 助手:では、私が僭越ながら 生徒:僭越の意味履き違えてるよ絶対! 教授:もう…自分で調べて…… 生徒:先生ーーー!!! 0: 教授:と、まぁ妖怪にも魔王がいるわけだな! 生徒:え?あの間で何があったの? 生徒:テンション戻ってるぞ 教授:一つ、小話程度に貪多利魔王(とんたりまおう)の話をしよう 生徒:あ、はい! 教授:宮城県と山形県の境にある 教授:船形山の伝説についての書物 教授:船形山手引草(ふながたやまてびきぐさ) 教授:に登場する魔王なのだ 生徒:船形山…なるほど 教授:簡単に言うと、日本を魔国にしようと 教授:攻め込んできて、山を陣地にしてしまい 教授:魔王が雲と霧を使い、空を覆い 教授:暴風雨を発生させ、洪水と悪病が流行する 教授:といった事態になってしまうんだ 生徒:お、おお…流石魔王! 生徒:能力も強そうだ! 助手:しかし!そこに現れるのが 助手:それを見かねた神たちなのです! 生徒:うぉ!?びっくりした 助手:神とは阿弥陀如来! 助手:天照大神などの神を連れて 助手:魔王討伐に向かうのです! 生徒:お、おお!神と魔王の戦いッッ!! 生徒:熱い、熱すぎる!! 生徒:……いや、待って! 教授:どうした? 生徒:さっきの鵺のこともある 生徒:神の一撃、バーーン!はい終了! 生徒:とかそんなやつだ!絶対! 教授:貪多利魔王は神の姿を見ると暴風を呼び、籠城戦をする 生徒:お、おお?ちょっと様子が違う 教授:そして、神側の三宝荒神(さんぼうこうじん)が 教授:山頂に現れて、雷を落とすんだ 生徒:雷VS暴風!! 生徒:凄い、ちゃんと戦ってる! 助手:雷により山を焼き払い、魔王を追い出すわけです 助手:一度は逃げる選択をとりますが、もう一度 助手:戦いの場、山頂へ 生徒:うん、うん!いいぞ、魔王! 助手:そこで 教授:そこで!魔王と荒神、互いの宝剣で対決を始める! 教授:省くが魔王軍と神軍の他の連中も戦っているぞ! 生徒:おお!教授も取り返したぞ! 教授:しかし、激しい戦いであったが、魔王は負けてしまう 教授:次々に仲間の悪魔たちも斬り伏せられ 教授:敗走、というわけだ…… 生徒:そうか…やっぱり魔王負けちゃうか… 助手:し、しかし! 助手:敗走していたはずの貪多利魔王は 助手:山へ戻ってきて神に懺悔するんです 助手:そのことを神は喜び、貪多利魔王は 助手:神の眷属として、神になるのです 生徒:魔王から神に! 生徒:改心したんだ… 生徒:うん、これは面白かったぞ! 教授:と、まぁ神対魔王の話なんだが 教授:魔王たちも頑張ったと思うだろう 生徒:まぁ、神の一撃で終わらない辺り 生徒:鵺よりかは強いのかなって 教授:三宝荒神だが、実は戦い中、全く焦ってない 生徒:えっ 教授:つまり、簡単に言えば強さも物量も神が上で 教授:ちゃんとみたら、神がオーバーキルした話だ 生徒:えええええええ!? 助手:仲間の戦いの方が善戦してますしね 教授:メインの二人は圧倒的力の差だな 生徒:嘘だろ魔王!!だったら聞きたくなかった!! 生徒:なんだ、さっきから妖怪側のあっけなさ! 生徒:ちょっと可愛く見えてきた!! 0: 0:三体目 柿 教授:さて、次は柿の妖怪だ 教授:これは注意喚起含めて話すぞ 生徒:注意喚起……まさか、実在する危険な… 教授:まずはタンタンコロリンだ 生徒:何だその変な名前 教授:柿とは、木になるあの柿だ 教授:それの精霊、付喪神、だとも言われている 生徒:お、ちょっと風向き変わった? 教授:木になった柿を放置していると 教授:それが僧侶のような姿をして町に現れるんだ 生徒:ふむふむ 教授:それで、町内を一周して 教授:柿の実をばら撒く 生徒:…そ、それで? 教授:消える 生徒:……は? 教授:終わりだ 生徒:意味無ぇぇぇぇぇえ!! 生徒:なんだそのクソ妖怪!! 生徒:助手さん全然喋んないと思ったら 生徒:かっこよくないからだ、これ! 助手:もう一説あります 生徒:な、なるほど! 生徒:そっちが危険な方か! 助手:…… 教授:なんだ?説明しないのか? 助手:どうぞ 生徒:あっ、嫌な予感がする 教授:もう一説、というのは 教授:寺に現れる方だ 生徒:寺……大丈夫かな… 教授:ある夜、小僧が寺にいると男がやってくる 生徒:ちょっと不審だな… 教授:そして、男は小僧に向かって話す 0: 教授:自分のクソを鉢で擦って食え、って 生徒:不審者だぁぁあ!! 生徒:全く違う意味の不審だぁぁぁあ!! 教授:小僧は嫌がるも男は凄い剣幕で怒り出す 教授:なので、仕方なくその男のクソを食べる 生徒:御飯時に聞きたくない話1位だ 生徒:キモっ 教授:すると、これが甘くて美味い 生徒:えっ…あっ、あーー!柿だー!こいつ柿の妖精だ! 教授:おお、察しがいいな! 教授:朝、和尚に話して男が帰った山の方を見に行くと 教授:大量の柿が落ちていて、それを集めて帰ったら 教授:二度と来なかったそうだ 生徒:どっちの話もクソだった! 生徒:いや、片方はガチのクソだったけど! 助手:先生、あとこれも 生徒:いや、マジで話に入ってこないな、アンタ… 教授:じゃあ予定を変更して四体目 教授:柿男についてだな 生徒:もう柿の奴、絶対クソ妖怪だ… 教授:ある屋敷に娘がいた 教授:屋敷には柿の木があり、大きな柿の実がなっていた 教授:娘は柿が食べたい、しかし届かない 教授:もどかしい気持ちを持ち、いつも諦めていた 生徒:手に入らないやつほど欲しくなるからなぁ 教授:ある晩、娘が寝ていると枕元に男が現れる 生徒:…あっ、もう嫌な予感しかしない 教授:驚く娘、そして、男は口を開く 生徒:うお、鳥肌!急にきた 助手:ちゃんと聞きなさい 生徒:えっ? 教授:男は娘に言う 0: 0: 教授:この棒で俺の尻をほじくり回してくれ、と 生徒:うわぁぁぁあ!!アウトーー!!! 生徒:ダメなやつ!!絶対ダメなやつ!! 助手:まだ、終わりではありませんよ 生徒:何で、二人はそんなに冷静なんですか!? 教授:断る娘、怒る男… 教授:娘は仕方ないと男の言う通りにする 生徒:なんで!?通報しよ? 教授:そして、男はまた口を開く 0: 0: 教授:その棒を舐めろ、と 生徒:ダメだ、もう終わりだよ 生徒:この妖怪作ったやつ誰だよ 教授:断る娘、怒る男… 生徒:ループしてる!?やめて!最悪のループだよ! 教授:仕方ないと娘はその棒を舐める 生徒:だから何で? 助手:しかし、棒を匂ってみると 助手:それは甘い香りがした 生徒:もう分かるよ、柿の妖精だよ 生徒:クソ異常性癖持ちの妖怪だよ 教授:娘は一舐め、これが甘美だった 生徒:なんでだよ、もう疲れたよこっちは 教授:娘はそれから、我を忘れて 教授:ほじっては舐め、ほじっては舐めを繰り返した 生徒:恐怖だよ、今日の中で一番の恐怖だよ 教授:気がつくと朝になっていて 教授:ふと、屋敷の外の柿の木に目をやると 教授:大きな柿の実に、誰かにほじられた痕があったそうだ 生徒:予想できたし、クソみたいな話だった 教授:と、これが柿の妖怪の話だ 生徒:えっ、何?柿の妖怪は性癖歪んでんの? 助手:以上、しっかり復習してテストに臨むように 生徒:柿だけは復習したくねぇ! 0: 0:EX 尻目 生徒:何ですかー、先生 生徒:もう今日はお腹いっぱいで 教授:尻目って知ってるか? 生徒:嫌な予感しかないよ! 生徒:やだよ、もう尻はいいよ! 教授:その名の通り、尻に目がある妖怪で 教授:その目は雷のように光る 生徒:ちょっとかっこよく言ってもダメだ! 生徒:もう尻の時点で今日はダメだ! 教授:その妖怪はなぁ…… 生徒:ちょ、なんですか… 教授:顔がのっぺらぼうのように何も無い 生徒:お、おお…ちょっと妖怪っぽい… 教授:コイツは、江戸時代の有名な俳人 教授:与謝蕪村に書かれた 教授:蕪村妖怪絵巻に出てくる 生徒:お、風向き変わった? 教授:京都に現れたとされてて 教授:さっきのように雷のように光る目をした 教授:のっぺらぼうの一種として登場する 生徒:おお!それだけ聞けば妖怪っぽい! 教授:この妖怪はなぁ…… 生徒:……(ごくっ) 0: 教授:急に服を脱ぎ、全裸になって 教授:いきなり尻を見せて驚かせる妖怪だ 生徒:出たーーー!!! 生徒:少しでも信じた自分を殴りたいぃい!! 生徒:後半のクソ妖怪、なんだコイツら!! 教授:諸説あるがな 生徒:意味のない諸説!! 教授:これもテストに出すぞ 生徒:絶対覚えたくない!! 0: 助手:こうして、今日もまた 助手:現代妖怪理論の授業は 助手:人を妖の世界へと、向かわせるのだった 0:終わり

教授:えー、では授業を始めます 教授:今回の内容は期末のテストに出る範囲なので 教授:しっかり覚えておくように 助手:一言一句、覚えなさい 生徒:はーい 生徒:今日は何を勉強するんだろうなー 教授:さて、今日の現代妖怪理論では 教授:4体の妖怪を紹介するぞ 生徒:おぉー!4体も! 助手:先生、まずはコチラを 教授:よし、ではまず一体目だ! 0:現代妖怪理論 一体目 鵺について 生徒:鵺……ですか! 教授:おお、やる気だな 助手:やる気のあることは良い事です 生徒:鵺って言えば、色んな物語でも 生徒:強いキャラとして登場するし 生徒:かっこいいですよね! 教授:うんうん、鵺と言えば 助手:頭は猿、体は狸、足は虎、尾は蛇の妖怪です 教授:……、おっほん 教授:さっき言ってくれたように 教授:色んなものが合わさった妖怪だな 生徒:おお!やっぱり強そう! 助手:一説では雷獣とも呼ばれています 生徒:雷…獣…ッッ!!! 教授:さて、では鵺の話をしよう 生徒:はい! 教授:鵺の登場する話は、平家物語や 教授:摂津名所図会(せっつめいしょずえ)に述べられている 助手:ここ、メモ! 生徒:は、はい! 教授:平安時代の末期、天皇が住む御所に 教授:毎晩のように黒い煙のような雲と不気味な声が 教授:響き渡って天皇は恐怖していたらしい 生徒:…黒い煙のような雲…雷獣… 生徒:成程、雷雲か! 教授:雷雲?…まぁ、いいか 教授:そのあと天皇は、その声を気にして 教授:病気になり、薬も効かなかった 教授:そこで 助手:そこで天皇の側近たちが源 義家に 助手:その不気味な声の主の討伐を頼むのです 助手:弓の達人であり、怪事件を解決したことのある 助手:源 義家の力を借りようとしたわけです! 生徒:お、おお!かっこいい! 教授:…続けて良いかな? 教授:それで鵺退治に向かうと 教授:黒い煙が御所を覆い始めたから 教授:その煙に向かって矢を射ったんだ 生徒:ここから鵺と人間の戦いが始まるのか! 生徒:うおお、続き気になる! 教授:すると悲鳴を上げて鵺が落ちてくる 教授:すかさず仲間がとどめ刺して終わりだ 生徒:えっ 教授:ん? 生徒:今、なんて? 教授:矢を射ったら落ちてきて 教授:とどめ刺して終わり 生徒:よっっっっっわぁぁぁあ!! 生徒:鵺、弱ぁぁぁぁあ!! 生徒:雷獣どうした!?矢で一発ぅ!? 助手:その後、天皇の体調は回復して義家は 助手:褒美に獅子王という刀を貰ったらしいですね 生徒:かっけぇぇぇぇえ!! 生徒:義家かっけぇぇぇえ!! 生徒:てか!あんたさっきから 生徒:かっこいい話だけ横取りしてるよね!? 教授:気づいた!?絶対そうだよね!? 生徒:うわぁぁぁ!!教授傷ついてたぁぁあ! 助手:?どうしたんですか? 生徒:タチ悪いやつだーーー!! 教授:…次、いこう、もう… 0: 0:二体目 魔王について 生徒:ま…魔王…… 助手:魔王とは妖怪の中にも存在ていて 助手:所謂、魔界と呼ばれるような所に住んでいて 生徒:あ、あの!質問です! 生徒:地獄とかじゃないんですか? 教授:それがまた別物とされてるな 教授:妖怪、魔王と調べるとまず出てくるのが 教授:山ン本五郎左衛門だろう 生徒:さんもとごろうざえもん? 生徒:人みたいな名前ですね 教授:これも諸説あって、元は人であった 教授:魔王が仮の名前として名乗った、などと 教授:言われている 助手:近いもので神ン野悪五郎(しんのあくごろう) 助手:という魔王もいますね 生徒:悪五郎ってまた安易な…… 教授:その中でも一番強いとされているのが 助手:造物大女王(ぞうぶつだいじょおう)です 生徒:(あ、また先取りしたぞ、この人) 教授:……魔界で悪魔のボス的な奴が数百いてな 教授:その中でも上位12体の内、一番に名が挙がるのが 教授:こいつだよ…… 生徒:明らかにテンション下がってる!? 教授:並の神の数百倍の力を持つらしい…… 教授:今から十二体の魔王を言おうと思ったが 教授:やる気……無くなっちゃった…… 生徒:それでいいの!?授業だよね!? 助手:では、私が僭越ながら 生徒:僭越の意味履き違えてるよ絶対! 教授:もう…自分で調べて…… 生徒:先生ーーー!!! 0: 教授:と、まぁ妖怪にも魔王がいるわけだな! 生徒:え?あの間で何があったの? 生徒:テンション戻ってるぞ 教授:一つ、小話程度に貪多利魔王(とんたりまおう)の話をしよう 生徒:あ、はい! 教授:宮城県と山形県の境にある 教授:船形山の伝説についての書物 教授:船形山手引草(ふながたやまてびきぐさ) 教授:に登場する魔王なのだ 生徒:船形山…なるほど 教授:簡単に言うと、日本を魔国にしようと 教授:攻め込んできて、山を陣地にしてしまい 教授:魔王が雲と霧を使い、空を覆い 教授:暴風雨を発生させ、洪水と悪病が流行する 教授:といった事態になってしまうんだ 生徒:お、おお…流石魔王! 生徒:能力も強そうだ! 助手:しかし!そこに現れるのが 助手:それを見かねた神たちなのです! 生徒:うぉ!?びっくりした 助手:神とは阿弥陀如来! 助手:天照大神などの神を連れて 助手:魔王討伐に向かうのです! 生徒:お、おお!神と魔王の戦いッッ!! 生徒:熱い、熱すぎる!! 生徒:……いや、待って! 教授:どうした? 生徒:さっきの鵺のこともある 生徒:神の一撃、バーーン!はい終了! 生徒:とかそんなやつだ!絶対! 教授:貪多利魔王は神の姿を見ると暴風を呼び、籠城戦をする 生徒:お、おお?ちょっと様子が違う 教授:そして、神側の三宝荒神(さんぼうこうじん)が 教授:山頂に現れて、雷を落とすんだ 生徒:雷VS暴風!! 生徒:凄い、ちゃんと戦ってる! 助手:雷により山を焼き払い、魔王を追い出すわけです 助手:一度は逃げる選択をとりますが、もう一度 助手:戦いの場、山頂へ 生徒:うん、うん!いいぞ、魔王! 助手:そこで 教授:そこで!魔王と荒神、互いの宝剣で対決を始める! 教授:省くが魔王軍と神軍の他の連中も戦っているぞ! 生徒:おお!教授も取り返したぞ! 教授:しかし、激しい戦いであったが、魔王は負けてしまう 教授:次々に仲間の悪魔たちも斬り伏せられ 教授:敗走、というわけだ…… 生徒:そうか…やっぱり魔王負けちゃうか… 助手:し、しかし! 助手:敗走していたはずの貪多利魔王は 助手:山へ戻ってきて神に懺悔するんです 助手:そのことを神は喜び、貪多利魔王は 助手:神の眷属として、神になるのです 生徒:魔王から神に! 生徒:改心したんだ… 生徒:うん、これは面白かったぞ! 教授:と、まぁ神対魔王の話なんだが 教授:魔王たちも頑張ったと思うだろう 生徒:まぁ、神の一撃で終わらない辺り 生徒:鵺よりかは強いのかなって 教授:三宝荒神だが、実は戦い中、全く焦ってない 生徒:えっ 教授:つまり、簡単に言えば強さも物量も神が上で 教授:ちゃんとみたら、神がオーバーキルした話だ 生徒:えええええええ!? 助手:仲間の戦いの方が善戦してますしね 教授:メインの二人は圧倒的力の差だな 生徒:嘘だろ魔王!!だったら聞きたくなかった!! 生徒:なんだ、さっきから妖怪側のあっけなさ! 生徒:ちょっと可愛く見えてきた!! 0: 0:三体目 柿 教授:さて、次は柿の妖怪だ 教授:これは注意喚起含めて話すぞ 生徒:注意喚起……まさか、実在する危険な… 教授:まずはタンタンコロリンだ 生徒:何だその変な名前 教授:柿とは、木になるあの柿だ 教授:それの精霊、付喪神、だとも言われている 生徒:お、ちょっと風向き変わった? 教授:木になった柿を放置していると 教授:それが僧侶のような姿をして町に現れるんだ 生徒:ふむふむ 教授:それで、町内を一周して 教授:柿の実をばら撒く 生徒:…そ、それで? 教授:消える 生徒:……は? 教授:終わりだ 生徒:意味無ぇぇぇぇぇえ!! 生徒:なんだそのクソ妖怪!! 生徒:助手さん全然喋んないと思ったら 生徒:かっこよくないからだ、これ! 助手:もう一説あります 生徒:な、なるほど! 生徒:そっちが危険な方か! 助手:…… 教授:なんだ?説明しないのか? 助手:どうぞ 生徒:あっ、嫌な予感がする 教授:もう一説、というのは 教授:寺に現れる方だ 生徒:寺……大丈夫かな… 教授:ある夜、小僧が寺にいると男がやってくる 生徒:ちょっと不審だな… 教授:そして、男は小僧に向かって話す 0: 教授:自分のクソを鉢で擦って食え、って 生徒:不審者だぁぁあ!! 生徒:全く違う意味の不審だぁぁぁあ!! 教授:小僧は嫌がるも男は凄い剣幕で怒り出す 教授:なので、仕方なくその男のクソを食べる 生徒:御飯時に聞きたくない話1位だ 生徒:キモっ 教授:すると、これが甘くて美味い 生徒:えっ…あっ、あーー!柿だー!こいつ柿の妖精だ! 教授:おお、察しがいいな! 教授:朝、和尚に話して男が帰った山の方を見に行くと 教授:大量の柿が落ちていて、それを集めて帰ったら 教授:二度と来なかったそうだ 生徒:どっちの話もクソだった! 生徒:いや、片方はガチのクソだったけど! 助手:先生、あとこれも 生徒:いや、マジで話に入ってこないな、アンタ… 教授:じゃあ予定を変更して四体目 教授:柿男についてだな 生徒:もう柿の奴、絶対クソ妖怪だ… 教授:ある屋敷に娘がいた 教授:屋敷には柿の木があり、大きな柿の実がなっていた 教授:娘は柿が食べたい、しかし届かない 教授:もどかしい気持ちを持ち、いつも諦めていた 生徒:手に入らないやつほど欲しくなるからなぁ 教授:ある晩、娘が寝ていると枕元に男が現れる 生徒:…あっ、もう嫌な予感しかしない 教授:驚く娘、そして、男は口を開く 生徒:うお、鳥肌!急にきた 助手:ちゃんと聞きなさい 生徒:えっ? 教授:男は娘に言う 0: 0: 教授:この棒で俺の尻をほじくり回してくれ、と 生徒:うわぁぁぁあ!!アウトーー!!! 生徒:ダメなやつ!!絶対ダメなやつ!! 助手:まだ、終わりではありませんよ 生徒:何で、二人はそんなに冷静なんですか!? 教授:断る娘、怒る男… 教授:娘は仕方ないと男の言う通りにする 生徒:なんで!?通報しよ? 教授:そして、男はまた口を開く 0: 0: 教授:その棒を舐めろ、と 生徒:ダメだ、もう終わりだよ 生徒:この妖怪作ったやつ誰だよ 教授:断る娘、怒る男… 生徒:ループしてる!?やめて!最悪のループだよ! 教授:仕方ないと娘はその棒を舐める 生徒:だから何で? 助手:しかし、棒を匂ってみると 助手:それは甘い香りがした 生徒:もう分かるよ、柿の妖精だよ 生徒:クソ異常性癖持ちの妖怪だよ 教授:娘は一舐め、これが甘美だった 生徒:なんでだよ、もう疲れたよこっちは 教授:娘はそれから、我を忘れて 教授:ほじっては舐め、ほじっては舐めを繰り返した 生徒:恐怖だよ、今日の中で一番の恐怖だよ 教授:気がつくと朝になっていて 教授:ふと、屋敷の外の柿の木に目をやると 教授:大きな柿の実に、誰かにほじられた痕があったそうだ 生徒:予想できたし、クソみたいな話だった 教授:と、これが柿の妖怪の話だ 生徒:えっ、何?柿の妖怪は性癖歪んでんの? 助手:以上、しっかり復習してテストに臨むように 生徒:柿だけは復習したくねぇ! 0: 0:EX 尻目 生徒:何ですかー、先生 生徒:もう今日はお腹いっぱいで 教授:尻目って知ってるか? 生徒:嫌な予感しかないよ! 生徒:やだよ、もう尻はいいよ! 教授:その名の通り、尻に目がある妖怪で 教授:その目は雷のように光る 生徒:ちょっとかっこよく言ってもダメだ! 生徒:もう尻の時点で今日はダメだ! 教授:その妖怪はなぁ…… 生徒:ちょ、なんですか… 教授:顔がのっぺらぼうのように何も無い 生徒:お、おお…ちょっと妖怪っぽい… 教授:コイツは、江戸時代の有名な俳人 教授:与謝蕪村に書かれた 教授:蕪村妖怪絵巻に出てくる 生徒:お、風向き変わった? 教授:京都に現れたとされてて 教授:さっきのように雷のように光る目をした 教授:のっぺらぼうの一種として登場する 生徒:おお!それだけ聞けば妖怪っぽい! 教授:この妖怪はなぁ…… 生徒:……(ごくっ) 0: 教授:急に服を脱ぎ、全裸になって 教授:いきなり尻を見せて驚かせる妖怪だ 生徒:出たーーー!!! 生徒:少しでも信じた自分を殴りたいぃい!! 生徒:後半のクソ妖怪、なんだコイツら!! 教授:諸説あるがな 生徒:意味のない諸説!! 教授:これもテストに出すぞ 生徒:絶対覚えたくない!! 0: 助手:こうして、今日もまた 助手:現代妖怪理論の授業は 助手:人を妖の世界へと、向かわせるのだった 0:終わり