台本概要
492 views
タイトル | 現代妖怪理論I |
---|---|
作者名 | てくす (@daihooon) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 3人用台本(不問3) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ある学舎で不思議な授業が行われていた。 現代妖怪理論 さぁ、授業開始だ! 492 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
生徒 | 不問 | 87 | 授業を受ける人 |
教授 | 不問 | 75 | 授業をする人 |
助手 | 不問 | 28 | 授業をサポートする人 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
教授:えー、では授業を始めます
教授:今回の内容は期末のテストに出る範囲なので
教授:しっかり覚えておくように
助手:一言一句、覚えなさい
生徒:はーい
生徒:今日は何を勉強するんだろうなー
教授:さて、今日の現代妖怪理論では
教授:4体の妖怪を紹介するぞ
生徒:おぉー!4体も!
助手:先生、まずはコチラを
教授:よし、ではまず一体目だ!
0:現代妖怪理論 一体目 鵺について
生徒:鵺……ですか!
教授:おお、やる気だな
助手:やる気のあることは良い事です
生徒:鵺って言えば、色んな物語でも
生徒:強いキャラとして登場するし
生徒:かっこいいですよね!
教授:うんうん、鵺と言えば
助手:頭は猿、体は狸、足は虎、尾は蛇の妖怪です
教授:……、おっほん
教授:さっき言ってくれたように
教授:色んなものが合わさった妖怪だな
生徒:おお!やっぱり強そう!
助手:一説では雷獣とも呼ばれています
生徒:雷…獣…ッッ!!!
教授:さて、では鵺の話をしよう
生徒:はい!
教授:鵺の登場する話は、平家物語や
教授:摂津名所図会(せっつめいしょずえ)に述べられている
助手:ここ、メモ!
生徒:は、はい!
教授:平安時代の末期、天皇が住む御所に
教授:毎晩のように黒い煙のような雲と不気味な声が
教授:響き渡って天皇は恐怖していたらしい
生徒:…黒い煙のような雲…雷獣…
生徒:成程、雷雲か!
教授:雷雲?…まぁ、いいか
教授:そのあと天皇は、その声を気にして
教授:病気になり、薬も効かなかった
教授:そこで
助手:そこで天皇の側近たちが源 義家に
助手:その不気味な声の主の討伐を頼むのです
助手:弓の達人であり、怪事件を解決したことのある
助手:源 義家の力を借りようとしたわけです!
生徒:お、おお!かっこいい!
教授:…続けて良いかな?
教授:それで鵺退治に向かうと
教授:黒い煙が御所を覆い始めたから
教授:その煙に向かって矢を射ったんだ
生徒:ここから鵺と人間の戦いが始まるのか!
生徒:うおお、続き気になる!
教授:すると悲鳴を上げて鵺が落ちてくる
教授:すかさず仲間がとどめ刺して終わりだ
生徒:えっ
教授:ん?
生徒:今、なんて?
教授:矢を射ったら落ちてきて
教授:とどめ刺して終わり
生徒:よっっっっっわぁぁぁあ!!
生徒:鵺、弱ぁぁぁぁあ!!
生徒:雷獣どうした!?矢で一発ぅ!?
助手:その後、天皇の体調は回復して義家は
助手:褒美に獅子王という刀を貰ったらしいですね
生徒:かっけぇぇぇぇえ!!
生徒:義家かっけぇぇぇえ!!
生徒:てか!あんたさっきから
生徒:かっこいい話だけ横取りしてるよね!?
教授:気づいた!?絶対そうだよね!?
生徒:うわぁぁぁ!!教授傷ついてたぁぁあ!
助手:?どうしたんですか?
生徒:タチ悪いやつだーーー!!
教授:…次、いこう、もう…
0:
0:二体目 魔王について
生徒:ま…魔王……
助手:魔王とは妖怪の中にも存在ていて
助手:所謂、魔界と呼ばれるような所に住んでいて
生徒:あ、あの!質問です!
生徒:地獄とかじゃないんですか?
教授:それがまた別物とされてるな
教授:妖怪、魔王と調べるとまず出てくるのが
教授:山ン本五郎左衛門だろう
生徒:さんもとごろうざえもん?
生徒:人みたいな名前ですね
教授:これも諸説あって、元は人であった
教授:魔王が仮の名前として名乗った、などと
教授:言われている
助手:近いもので神ン野悪五郎(しんのあくごろう)
助手:という魔王もいますね
生徒:悪五郎ってまた安易な……
教授:その中でも一番強いとされているのが
助手:造物大女王(ぞうぶつだいじょおう)です
生徒:(あ、また先取りしたぞ、この人)
教授:……魔界で悪魔のボス的な奴が数百いてな
教授:その中でも上位12体の内、一番に名が挙がるのが
教授:こいつだよ……
生徒:明らかにテンション下がってる!?
教授:並の神の数百倍の力を持つらしい……
教授:今から十二体の魔王を言おうと思ったが
教授:やる気……無くなっちゃった……
生徒:それでいいの!?授業だよね!?
助手:では、私が僭越ながら
生徒:僭越の意味履き違えてるよ絶対!
教授:もう…自分で調べて……
生徒:先生ーーー!!!
0:
教授:と、まぁ妖怪にも魔王がいるわけだな!
生徒:え?あの間で何があったの?
生徒:テンション戻ってるぞ
教授:一つ、小話程度に貪多利魔王(とんたりまおう)の話をしよう
生徒:あ、はい!
教授:宮城県と山形県の境にある
教授:船形山の伝説についての書物
教授:船形山手引草(ふながたやまてびきぐさ)
教授:に登場する魔王なのだ
生徒:船形山…なるほど
教授:簡単に言うと、日本を魔国にしようと
教授:攻め込んできて、山を陣地にしてしまい
教授:魔王が雲と霧を使い、空を覆い
教授:暴風雨を発生させ、洪水と悪病が流行する
教授:といった事態になってしまうんだ
生徒:お、おお…流石魔王!
生徒:能力も強そうだ!
助手:しかし!そこに現れるのが
助手:それを見かねた神たちなのです!
生徒:うぉ!?びっくりした
助手:神とは阿弥陀如来!
助手:天照大神などの神を連れて
助手:魔王討伐に向かうのです!
生徒:お、おお!神と魔王の戦いッッ!!
生徒:熱い、熱すぎる!!
生徒:……いや、待って!
教授:どうした?
生徒:さっきの鵺のこともある
生徒:神の一撃、バーーン!はい終了!
生徒:とかそんなやつだ!絶対!
教授:貪多利魔王は神の姿を見ると暴風を呼び、籠城戦をする
生徒:お、おお?ちょっと様子が違う
教授:そして、神側の三宝荒神(さんぼうこうじん)が
教授:山頂に現れて、雷を落とすんだ
生徒:雷VS暴風!!
生徒:凄い、ちゃんと戦ってる!
助手:雷により山を焼き払い、魔王を追い出すわけです
助手:一度は逃げる選択をとりますが、もう一度
助手:戦いの場、山頂へ
生徒:うん、うん!いいぞ、魔王!
助手:そこで
教授:そこで!魔王と荒神、互いの宝剣で対決を始める!
教授:省くが魔王軍と神軍の他の連中も戦っているぞ!
生徒:おお!教授も取り返したぞ!
教授:しかし、激しい戦いであったが、魔王は負けてしまう
教授:次々に仲間の悪魔たちも斬り伏せられ
教授:敗走、というわけだ……
生徒:そうか…やっぱり魔王負けちゃうか…
助手:し、しかし!
助手:敗走していたはずの貪多利魔王は
助手:山へ戻ってきて神に懺悔するんです
助手:そのことを神は喜び、貪多利魔王は
助手:神の眷属として、神になるのです
生徒:魔王から神に!
生徒:改心したんだ…
生徒:うん、これは面白かったぞ!
教授:と、まぁ神対魔王の話なんだが
教授:魔王たちも頑張ったと思うだろう
生徒:まぁ、神の一撃で終わらない辺り
生徒:鵺よりかは強いのかなって
教授:三宝荒神だが、実は戦い中、全く焦ってない
生徒:えっ
教授:つまり、簡単に言えば強さも物量も神が上で
教授:ちゃんとみたら、神がオーバーキルした話だ
生徒:えええええええ!?
助手:仲間の戦いの方が善戦してますしね
教授:メインの二人は圧倒的力の差だな
生徒:嘘だろ魔王!!だったら聞きたくなかった!!
生徒:なんだ、さっきから妖怪側のあっけなさ!
生徒:ちょっと可愛く見えてきた!!
0:
0:三体目 柿
教授:さて、次は柿の妖怪だ
教授:これは注意喚起含めて話すぞ
生徒:注意喚起……まさか、実在する危険な…
教授:まずはタンタンコロリンだ
生徒:何だその変な名前
教授:柿とは、木になるあの柿だ
教授:それの精霊、付喪神、だとも言われている
生徒:お、ちょっと風向き変わった?
教授:木になった柿を放置していると
教授:それが僧侶のような姿をして町に現れるんだ
生徒:ふむふむ
教授:それで、町内を一周して
教授:柿の実をばら撒く
生徒:…そ、それで?
教授:消える
生徒:……は?
教授:終わりだ
生徒:意味無ぇぇぇぇぇえ!!
生徒:なんだそのクソ妖怪!!
生徒:助手さん全然喋んないと思ったら
生徒:かっこよくないからだ、これ!
助手:もう一説あります
生徒:な、なるほど!
生徒:そっちが危険な方か!
助手:……
教授:なんだ?説明しないのか?
助手:どうぞ
生徒:あっ、嫌な予感がする
教授:もう一説、というのは
教授:寺に現れる方だ
生徒:寺……大丈夫かな…
教授:ある夜、小僧が寺にいると男がやってくる
生徒:ちょっと不審だな…
教授:そして、男は小僧に向かって話す
0:
教授:自分のクソを鉢で擦って食え、って
生徒:不審者だぁぁあ!!
生徒:全く違う意味の不審だぁぁぁあ!!
教授:小僧は嫌がるも男は凄い剣幕で怒り出す
教授:なので、仕方なくその男のクソを食べる
生徒:御飯時に聞きたくない話1位だ
生徒:キモっ
教授:すると、これが甘くて美味い
生徒:えっ…あっ、あーー!柿だー!こいつ柿の妖精だ!
教授:おお、察しがいいな!
教授:朝、和尚に話して男が帰った山の方を見に行くと
教授:大量の柿が落ちていて、それを集めて帰ったら
教授:二度と来なかったそうだ
生徒:どっちの話もクソだった!
生徒:いや、片方はガチのクソだったけど!
助手:先生、あとこれも
生徒:いや、マジで話に入ってこないな、アンタ…
教授:じゃあ予定を変更して四体目
教授:柿男についてだな
生徒:もう柿の奴、絶対クソ妖怪だ…
教授:ある屋敷に娘がいた
教授:屋敷には柿の木があり、大きな柿の実がなっていた
教授:娘は柿が食べたい、しかし届かない
教授:もどかしい気持ちを持ち、いつも諦めていた
生徒:手に入らないやつほど欲しくなるからなぁ
教授:ある晩、娘が寝ていると枕元に男が現れる
生徒:…あっ、もう嫌な予感しかしない
教授:驚く娘、そして、男は口を開く
生徒:うお、鳥肌!急にきた
助手:ちゃんと聞きなさい
生徒:えっ?
教授:男は娘に言う
0:
0:
教授:この棒で俺の尻をほじくり回してくれ、と
生徒:うわぁぁぁあ!!アウトーー!!!
生徒:ダメなやつ!!絶対ダメなやつ!!
助手:まだ、終わりではありませんよ
生徒:何で、二人はそんなに冷静なんですか!?
教授:断る娘、怒る男…
教授:娘は仕方ないと男の言う通りにする
生徒:なんで!?通報しよ?
教授:そして、男はまた口を開く
0:
0:
教授:その棒を舐めろ、と
生徒:ダメだ、もう終わりだよ
生徒:この妖怪作ったやつ誰だよ
教授:断る娘、怒る男…
生徒:ループしてる!?やめて!最悪のループだよ!
教授:仕方ないと娘はその棒を舐める
生徒:だから何で?
助手:しかし、棒を匂ってみると
助手:それは甘い香りがした
生徒:もう分かるよ、柿の妖精だよ
生徒:クソ異常性癖持ちの妖怪だよ
教授:娘は一舐め、これが甘美だった
生徒:なんでだよ、もう疲れたよこっちは
教授:娘はそれから、我を忘れて
教授:ほじっては舐め、ほじっては舐めを繰り返した
生徒:恐怖だよ、今日の中で一番の恐怖だよ
教授:気がつくと朝になっていて
教授:ふと、屋敷の外の柿の木に目をやると
教授:大きな柿の実に、誰かにほじられた痕があったそうだ
生徒:予想できたし、クソみたいな話だった
教授:と、これが柿の妖怪の話だ
生徒:えっ、何?柿の妖怪は性癖歪んでんの?
助手:以上、しっかり復習してテストに臨むように
生徒:柿だけは復習したくねぇ!
0:
0:EX 尻目
生徒:何ですかー、先生
生徒:もう今日はお腹いっぱいで
教授:尻目って知ってるか?
生徒:嫌な予感しかないよ!
生徒:やだよ、もう尻はいいよ!
教授:その名の通り、尻に目がある妖怪で
教授:その目は雷のように光る
生徒:ちょっとかっこよく言ってもダメだ!
生徒:もう尻の時点で今日はダメだ!
教授:その妖怪はなぁ……
生徒:ちょ、なんですか…
教授:顔がのっぺらぼうのように何も無い
生徒:お、おお…ちょっと妖怪っぽい…
教授:コイツは、江戸時代の有名な俳人
教授:与謝蕪村に書かれた
教授:蕪村妖怪絵巻に出てくる
生徒:お、風向き変わった?
教授:京都に現れたとされてて
教授:さっきのように雷のように光る目をした
教授:のっぺらぼうの一種として登場する
生徒:おお!それだけ聞けば妖怪っぽい!
教授:この妖怪はなぁ……
生徒:……(ごくっ)
0:
教授:急に服を脱ぎ、全裸になって
教授:いきなり尻を見せて驚かせる妖怪だ
生徒:出たーーー!!!
生徒:少しでも信じた自分を殴りたいぃい!!
生徒:後半のクソ妖怪、なんだコイツら!!
教授:諸説あるがな
生徒:意味のない諸説!!
教授:これもテストに出すぞ
生徒:絶対覚えたくない!!
0:
助手:こうして、今日もまた
助手:現代妖怪理論の授業は
助手:人を妖の世界へと、向かわせるのだった
0:終わり
教授:えー、では授業を始めます
教授:今回の内容は期末のテストに出る範囲なので
教授:しっかり覚えておくように
助手:一言一句、覚えなさい
生徒:はーい
生徒:今日は何を勉強するんだろうなー
教授:さて、今日の現代妖怪理論では
教授:4体の妖怪を紹介するぞ
生徒:おぉー!4体も!
助手:先生、まずはコチラを
教授:よし、ではまず一体目だ!
0:現代妖怪理論 一体目 鵺について
生徒:鵺……ですか!
教授:おお、やる気だな
助手:やる気のあることは良い事です
生徒:鵺って言えば、色んな物語でも
生徒:強いキャラとして登場するし
生徒:かっこいいですよね!
教授:うんうん、鵺と言えば
助手:頭は猿、体は狸、足は虎、尾は蛇の妖怪です
教授:……、おっほん
教授:さっき言ってくれたように
教授:色んなものが合わさった妖怪だな
生徒:おお!やっぱり強そう!
助手:一説では雷獣とも呼ばれています
生徒:雷…獣…ッッ!!!
教授:さて、では鵺の話をしよう
生徒:はい!
教授:鵺の登場する話は、平家物語や
教授:摂津名所図会(せっつめいしょずえ)に述べられている
助手:ここ、メモ!
生徒:は、はい!
教授:平安時代の末期、天皇が住む御所に
教授:毎晩のように黒い煙のような雲と不気味な声が
教授:響き渡って天皇は恐怖していたらしい
生徒:…黒い煙のような雲…雷獣…
生徒:成程、雷雲か!
教授:雷雲?…まぁ、いいか
教授:そのあと天皇は、その声を気にして
教授:病気になり、薬も効かなかった
教授:そこで
助手:そこで天皇の側近たちが源 義家に
助手:その不気味な声の主の討伐を頼むのです
助手:弓の達人であり、怪事件を解決したことのある
助手:源 義家の力を借りようとしたわけです!
生徒:お、おお!かっこいい!
教授:…続けて良いかな?
教授:それで鵺退治に向かうと
教授:黒い煙が御所を覆い始めたから
教授:その煙に向かって矢を射ったんだ
生徒:ここから鵺と人間の戦いが始まるのか!
生徒:うおお、続き気になる!
教授:すると悲鳴を上げて鵺が落ちてくる
教授:すかさず仲間がとどめ刺して終わりだ
生徒:えっ
教授:ん?
生徒:今、なんて?
教授:矢を射ったら落ちてきて
教授:とどめ刺して終わり
生徒:よっっっっっわぁぁぁあ!!
生徒:鵺、弱ぁぁぁぁあ!!
生徒:雷獣どうした!?矢で一発ぅ!?
助手:その後、天皇の体調は回復して義家は
助手:褒美に獅子王という刀を貰ったらしいですね
生徒:かっけぇぇぇぇえ!!
生徒:義家かっけぇぇぇえ!!
生徒:てか!あんたさっきから
生徒:かっこいい話だけ横取りしてるよね!?
教授:気づいた!?絶対そうだよね!?
生徒:うわぁぁぁ!!教授傷ついてたぁぁあ!
助手:?どうしたんですか?
生徒:タチ悪いやつだーーー!!
教授:…次、いこう、もう…
0:
0:二体目 魔王について
生徒:ま…魔王……
助手:魔王とは妖怪の中にも存在ていて
助手:所謂、魔界と呼ばれるような所に住んでいて
生徒:あ、あの!質問です!
生徒:地獄とかじゃないんですか?
教授:それがまた別物とされてるな
教授:妖怪、魔王と調べるとまず出てくるのが
教授:山ン本五郎左衛門だろう
生徒:さんもとごろうざえもん?
生徒:人みたいな名前ですね
教授:これも諸説あって、元は人であった
教授:魔王が仮の名前として名乗った、などと
教授:言われている
助手:近いもので神ン野悪五郎(しんのあくごろう)
助手:という魔王もいますね
生徒:悪五郎ってまた安易な……
教授:その中でも一番強いとされているのが
助手:造物大女王(ぞうぶつだいじょおう)です
生徒:(あ、また先取りしたぞ、この人)
教授:……魔界で悪魔のボス的な奴が数百いてな
教授:その中でも上位12体の内、一番に名が挙がるのが
教授:こいつだよ……
生徒:明らかにテンション下がってる!?
教授:並の神の数百倍の力を持つらしい……
教授:今から十二体の魔王を言おうと思ったが
教授:やる気……無くなっちゃった……
生徒:それでいいの!?授業だよね!?
助手:では、私が僭越ながら
生徒:僭越の意味履き違えてるよ絶対!
教授:もう…自分で調べて……
生徒:先生ーーー!!!
0:
教授:と、まぁ妖怪にも魔王がいるわけだな!
生徒:え?あの間で何があったの?
生徒:テンション戻ってるぞ
教授:一つ、小話程度に貪多利魔王(とんたりまおう)の話をしよう
生徒:あ、はい!
教授:宮城県と山形県の境にある
教授:船形山の伝説についての書物
教授:船形山手引草(ふながたやまてびきぐさ)
教授:に登場する魔王なのだ
生徒:船形山…なるほど
教授:簡単に言うと、日本を魔国にしようと
教授:攻め込んできて、山を陣地にしてしまい
教授:魔王が雲と霧を使い、空を覆い
教授:暴風雨を発生させ、洪水と悪病が流行する
教授:といった事態になってしまうんだ
生徒:お、おお…流石魔王!
生徒:能力も強そうだ!
助手:しかし!そこに現れるのが
助手:それを見かねた神たちなのです!
生徒:うぉ!?びっくりした
助手:神とは阿弥陀如来!
助手:天照大神などの神を連れて
助手:魔王討伐に向かうのです!
生徒:お、おお!神と魔王の戦いッッ!!
生徒:熱い、熱すぎる!!
生徒:……いや、待って!
教授:どうした?
生徒:さっきの鵺のこともある
生徒:神の一撃、バーーン!はい終了!
生徒:とかそんなやつだ!絶対!
教授:貪多利魔王は神の姿を見ると暴風を呼び、籠城戦をする
生徒:お、おお?ちょっと様子が違う
教授:そして、神側の三宝荒神(さんぼうこうじん)が
教授:山頂に現れて、雷を落とすんだ
生徒:雷VS暴風!!
生徒:凄い、ちゃんと戦ってる!
助手:雷により山を焼き払い、魔王を追い出すわけです
助手:一度は逃げる選択をとりますが、もう一度
助手:戦いの場、山頂へ
生徒:うん、うん!いいぞ、魔王!
助手:そこで
教授:そこで!魔王と荒神、互いの宝剣で対決を始める!
教授:省くが魔王軍と神軍の他の連中も戦っているぞ!
生徒:おお!教授も取り返したぞ!
教授:しかし、激しい戦いであったが、魔王は負けてしまう
教授:次々に仲間の悪魔たちも斬り伏せられ
教授:敗走、というわけだ……
生徒:そうか…やっぱり魔王負けちゃうか…
助手:し、しかし!
助手:敗走していたはずの貪多利魔王は
助手:山へ戻ってきて神に懺悔するんです
助手:そのことを神は喜び、貪多利魔王は
助手:神の眷属として、神になるのです
生徒:魔王から神に!
生徒:改心したんだ…
生徒:うん、これは面白かったぞ!
教授:と、まぁ神対魔王の話なんだが
教授:魔王たちも頑張ったと思うだろう
生徒:まぁ、神の一撃で終わらない辺り
生徒:鵺よりかは強いのかなって
教授:三宝荒神だが、実は戦い中、全く焦ってない
生徒:えっ
教授:つまり、簡単に言えば強さも物量も神が上で
教授:ちゃんとみたら、神がオーバーキルした話だ
生徒:えええええええ!?
助手:仲間の戦いの方が善戦してますしね
教授:メインの二人は圧倒的力の差だな
生徒:嘘だろ魔王!!だったら聞きたくなかった!!
生徒:なんだ、さっきから妖怪側のあっけなさ!
生徒:ちょっと可愛く見えてきた!!
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0:三体目 柿
教授:さて、次は柿の妖怪だ
教授:これは注意喚起含めて話すぞ
生徒:注意喚起……まさか、実在する危険な…
教授:まずはタンタンコロリンだ
生徒:何だその変な名前
教授:柿とは、木になるあの柿だ
教授:それの精霊、付喪神、だとも言われている
生徒:お、ちょっと風向き変わった?
教授:木になった柿を放置していると
教授:それが僧侶のような姿をして町に現れるんだ
生徒:ふむふむ
教授:それで、町内を一周して
教授:柿の実をばら撒く
生徒:…そ、それで?
教授:消える
生徒:……は?
教授:終わりだ
生徒:意味無ぇぇぇぇぇえ!!
生徒:なんだそのクソ妖怪!!
生徒:助手さん全然喋んないと思ったら
生徒:かっこよくないからだ、これ!
助手:もう一説あります
生徒:な、なるほど!
生徒:そっちが危険な方か!
助手:……
教授:なんだ?説明しないのか?
助手:どうぞ
生徒:あっ、嫌な予感がする
教授:もう一説、というのは
教授:寺に現れる方だ
生徒:寺……大丈夫かな…
教授:ある夜、小僧が寺にいると男がやってくる
生徒:ちょっと不審だな…
教授:そして、男は小僧に向かって話す
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教授:自分のクソを鉢で擦って食え、って
生徒:不審者だぁぁあ!!
生徒:全く違う意味の不審だぁぁぁあ!!
教授:小僧は嫌がるも男は凄い剣幕で怒り出す
教授:なので、仕方なくその男のクソを食べる
生徒:御飯時に聞きたくない話1位だ
生徒:キモっ
教授:すると、これが甘くて美味い
生徒:えっ…あっ、あーー!柿だー!こいつ柿の妖精だ!
教授:おお、察しがいいな!
教授:朝、和尚に話して男が帰った山の方を見に行くと
教授:大量の柿が落ちていて、それを集めて帰ったら
教授:二度と来なかったそうだ
生徒:どっちの話もクソだった!
生徒:いや、片方はガチのクソだったけど!
助手:先生、あとこれも
生徒:いや、マジで話に入ってこないな、アンタ…
教授:じゃあ予定を変更して四体目
教授:柿男についてだな
生徒:もう柿の奴、絶対クソ妖怪だ…
教授:ある屋敷に娘がいた
教授:屋敷には柿の木があり、大きな柿の実がなっていた
教授:娘は柿が食べたい、しかし届かない
教授:もどかしい気持ちを持ち、いつも諦めていた
生徒:手に入らないやつほど欲しくなるからなぁ
教授:ある晩、娘が寝ていると枕元に男が現れる
生徒:…あっ、もう嫌な予感しかしない
教授:驚く娘、そして、男は口を開く
生徒:うお、鳥肌!急にきた
助手:ちゃんと聞きなさい
生徒:えっ?
教授:男は娘に言う
0:
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教授:この棒で俺の尻をほじくり回してくれ、と
生徒:うわぁぁぁあ!!アウトーー!!!
生徒:ダメなやつ!!絶対ダメなやつ!!
助手:まだ、終わりではありませんよ
生徒:何で、二人はそんなに冷静なんですか!?
教授:断る娘、怒る男…
教授:娘は仕方ないと男の言う通りにする
生徒:なんで!?通報しよ?
教授:そして、男はまた口を開く
0:
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教授:その棒を舐めろ、と
生徒:ダメだ、もう終わりだよ
生徒:この妖怪作ったやつ誰だよ
教授:断る娘、怒る男…
生徒:ループしてる!?やめて!最悪のループだよ!
教授:仕方ないと娘はその棒を舐める
生徒:だから何で?
助手:しかし、棒を匂ってみると
助手:それは甘い香りがした
生徒:もう分かるよ、柿の妖精だよ
生徒:クソ異常性癖持ちの妖怪だよ
教授:娘は一舐め、これが甘美だった
生徒:なんでだよ、もう疲れたよこっちは
教授:娘はそれから、我を忘れて
教授:ほじっては舐め、ほじっては舐めを繰り返した
生徒:恐怖だよ、今日の中で一番の恐怖だよ
教授:気がつくと朝になっていて
教授:ふと、屋敷の外の柿の木に目をやると
教授:大きな柿の実に、誰かにほじられた痕があったそうだ
生徒:予想できたし、クソみたいな話だった
教授:と、これが柿の妖怪の話だ
生徒:えっ、何?柿の妖怪は性癖歪んでんの?
助手:以上、しっかり復習してテストに臨むように
生徒:柿だけは復習したくねぇ!
0:
0:EX 尻目
生徒:何ですかー、先生
生徒:もう今日はお腹いっぱいで
教授:尻目って知ってるか?
生徒:嫌な予感しかないよ!
生徒:やだよ、もう尻はいいよ!
教授:その名の通り、尻に目がある妖怪で
教授:その目は雷のように光る
生徒:ちょっとかっこよく言ってもダメだ!
生徒:もう尻の時点で今日はダメだ!
教授:その妖怪はなぁ……
生徒:ちょ、なんですか…
教授:顔がのっぺらぼうのように何も無い
生徒:お、おお…ちょっと妖怪っぽい…
教授:コイツは、江戸時代の有名な俳人
教授:与謝蕪村に書かれた
教授:蕪村妖怪絵巻に出てくる
生徒:お、風向き変わった?
教授:京都に現れたとされてて
教授:さっきのように雷のように光る目をした
教授:のっぺらぼうの一種として登場する
生徒:おお!それだけ聞けば妖怪っぽい!
教授:この妖怪はなぁ……
生徒:……(ごくっ)
0:
教授:急に服を脱ぎ、全裸になって
教授:いきなり尻を見せて驚かせる妖怪だ
生徒:出たーーー!!!
生徒:少しでも信じた自分を殴りたいぃい!!
生徒:後半のクソ妖怪、なんだコイツら!!
教授:諸説あるがな
生徒:意味のない諸説!!
教授:これもテストに出すぞ
生徒:絶対覚えたくない!!
0:
助手:こうして、今日もまた
助手:現代妖怪理論の授業は
助手:人を妖の世界へと、向かわせるのだった
0:終わり