台本概要

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タイトル アンダーインクコリダー第4場
作者名 冷凍みかん-光柑-  (@mikanchilled)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(男2、女1、不問2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 第4場『はじまりのオラトリオ』イオニアと合流したアイオリスは、残る一人の仲間ドーリアを救出すべく、オラトリオのもとへ訪れる。そこにいたのは変わり果てたドーリアの姿だった!?地下世界を巡る冒険ファンタジー!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
アイオリス 不問 24 仲間と共に地下世界からの脱出を試みる。
ルビ 18 地下書庫で暮らす女の子。オラトリオには恨みがある。
オラトリオ 不問 26 製紙工場で紙の兵器を開発している。紙になりたい。
ドーリア 11 オラトリオについてしまったが運の尽き。悲惨な最期を遂げる。
イオニア 12 12月の焚書を行ったロザリオブルク家の末裔。ロザリオに自我を乗っ取られている。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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オラトリオ:はじめに暗がりの洞窟があった。 オラトリオ:地下の水脈から雫が生まれ、雫は霧となって立ち込めた。 オラトリオ:白い霧は洞窟の闇を揺蕩い、やがて天井で薄く延ばされた。 オラトリオ:延ばされた霧は紙となり、洞窟の底へ重なり堕ちた。 オラトリオ:漆黒の墨は底の底。 オラトリオ:アンダーインクコリダーから湧き上がる。 オラトリオ:やがて純白の紙と漆黒の墨が交わると、 オラトリオ:模様が生まれ、文字になり、 オラトリオ:連なる文字は紙を埋め尽くした。 オラトリオ:そうして本が生まれた。 ドーリア:『アンダーインクコリダー第4章”はじまりのオラトリオ”』 ルビ:オラトリオと交渉するのは骨が折れるから、覚悟してね。 アイオリス:そんなに厄介なの? イオニア:話が通じない上に、破滅的な思想の持ち主なんだ。 イオニア:ってロザリオさんが言ってたよ。 アイオリス:そうなの? ルビ:彼、”紙”になりたいのよ アイオリス:えっと、”神”じゃなくて?? ルビ:そう。紙にね。白紙になりたいんだって。 ルビ:積み上げた関係も、地下書庫の文献も、全部なかったことにしたいのよ。 イオニア:積み木を倒して崩すために、わざとキレイに積むような男さ。 アイオリス:そっか、うん。気をつける。 ルビ:じゃあ、扉を開けるね。 0:ギイイイ…扉が開くと、三人は真っ白な霧に包まれた。 オラトリオ:やあ、ルビ。こんなところまで来てどうしたのですか。 ルビ:オラトリオ、あなたなのですね。 オラトリオ:君はすべての書物を復元するまで、遊ぶ暇なんてないはずですよ。 オラトリオ:私との約束はどうしたのですか? ルビ:約束?破るのはいつだってあなたからでしょう。 オラトリオ:ノヴァのことを言っているのでしょうか。また新しいのをあげますよ。 オラトリオ:また一から仲良くしてください。 ルビ:どうしていつも取り上げるような真似をするの。何故ノヴァはあんなにも自身の命を大切にしないの? オラトリオ:ノヴァの役目はキミを守ること、それだけです。君が入れ込み過ぎなのです。 オラトリオ:しょせん私の紙細工(ペーパーワークス)の切れ端に過ぎないのに。 アイオリス:オラトリオ!ドーリアを返してもらおうか! オラトリオ:ああ、貴方がアイオリスですね。ロザリオが連れてなかった方(ほう)。三人目の冒険者。 オラトリオ:ロザリオはどこですか? イオニア:ここにはいない。 オラトリオ:おや?なるほど、”そういうこと”でしたか。 オラトリオ:ですが貴方たちは、ドーリアと会って何がしたいのですか。 アイオリス:地上へ帰るんだ。ルビも一緒に四人で。 ルビ:え、アイオリス? アイオリス:ルビ、こんな奴のもとで暮らすことなんてないさ。写本は地上で続ければいい。 アイオリス:日焼けもしよう。きみの肌白すぎ。まるで死人みたいだよ ルビ:アイオリス… オラトリオ:ははは、死人みたいだと! アイオリス:笑うなッ!お前が飼い殺してるんじゃないかッ!! オラトリオ:飼い殺す、ですか。それで、4人一緒に地上へ出たいという君の頼みですが。 オラトリオ:お断りします。私はまだこの地下を明るみに出したくないのです。 オラトリオ:もっと完璧にしないと。 アイオリス:”白紙にする”というやつか?いったいどういうことだ! アイオリス:自分の理想に他人を巻き込むなよッ! オラトリオ:くくく…お互い様ではありませんか。 イオニア:落ち着け、アイオリス。僕は地上に出たいだけだ。 イオニア:オラトリオさん。地下のことは何もしゃべらない。誓っていい。 イオニア:だから見逃してはくれないだろうか。 オラトリオ:4人で地上に出ること自体が私にとって不都合です。 オラトリオ:ドーリアを連れて行くことが、私の研究成果を明るみに出すということですから。 ルビ:まさか… アイオリス:お前!!ドーリアに何をしたッ! オラトリオ:自分の目で確かめて下さい。感動の再開と行きましょう。 ドーリア:対象を補足。戦闘モードに移行。 アイオリス:ドーリア!ドーリア、なのか!? イオニア:近づいてはダメだ!様子がおかしい!ヒトではない! ドーリア:トラッシュ圧縮率79%…85…93…硬度臨界点に到達。 ドーリア:安全装置解除。インクゲージ、センサ感度ともに正常。 オラトリオ:上質な紙は鉄をも穿(うが)つ。やってしまえッ!『紙装甲兵(ペーパーバックソルジャー)』!! ドーリア:PBS01(ゼロワン)。目標を破壊する。 イオニア:紙の大剣!? オラトリオ:切れ味は折り紙つきです。 0:ズバアン!! ルビ:床が割れた!気を付けて!アイオリス! アイオリス:ドーリア!僕だ!アイオリスだ! オラトリオ:無駄ですよ。ドーリアの記憶は削除しました。 オラトリオ:精神的な免疫機能があると、紙との融合を拒絶するものですから。 アイオリス:なんてことを…!人の心を何だと思っているんだ!? オラトリオ:キャンバス。 アイオリス:キャン、バス…? オラトリオ:原稿用紙、と言いたいところだけどアレはダメになったら捨てますしね。 ルビ:…! オラトリオ:ヒトは絵具を重ねて、油で塗って…気に入らなければやり直すことができる。 オラトリオ:何度も何度も ルビ:やめて! オラトリオ:何度もね アイオリス:いま!ようやく分かった!オラトリオ、お前は救いようのないクズだ! オラトリオ:ふふふ、君との会話は楽しいですねッ! オラトリオ:ドーリア、アイオリスを紙くず同然に潰してしまえッ! ドーリア:伝達回路に異状を確認。攻撃できません。 オラトリオ:馬鹿な。そんな不具合、今まで一度も。 オラトリオ:ドーリア、ふざけている場合ではないッ! ドーリア:攻撃したく、ありません。 オラトリオ:なんだと。 ドーリア:攻撃、したくないんだ… アイオリス:ドーリア… イオニア:アイオリス!どいていろ! ルビ:何をする気!? イオニア:どれだけ硬かろうと、所詮は紙だッ! アイオリス:待てイオニア!! イオニア:燃えろおお!! ドーリア:ーーッ!! オラトリオ:くっ、弱点に気づかれましたか…! アイオリス:やめろ!イオニアやめてくれよ!! イオニア:だまれ!こんな姿のまま地上に出てドーリアは幸せなのか!? イオニア:ここで燃やしてしまうことが優しさじゃあないのか!? オラトリオ:ロザリオブルク…君たちは本当に火が好きですね… オラトリオ:終わらせることでしか、優しさを表せないとは…! オラトリオ:しかし私には奥の手がある… ドーリア:アイオ、リス… アイオリス:ドーリア! ドーリア:イオニアを、頼む… オラトリオ:おとなしく地下に戻って下さい。 オラトリオ:起動しろ、PBS02『ペーパーワームスケルター』 0:ズゴゴゴゴ… ルビ:この揺れ…!あの時と同じ…!! オラトリオ:ワームスケルターの驚異的な貫通力は、硬質紙にとても相性が良かったッ! オラトリオ:地下最悪の”災害”は私の手により、掘削専用兵器となったのだッ! オラトリオ:底の底”アンダーインクコリダー”まで! オラトリオ:振り出し、いいやマイナスまでッ!! オラトリオ:堕ちろッ!痴(し)れ者!! アイオリス:うああああ!!! ルビ:アイオリス!駄目よ!落ちてはダメ! ルビ:お願い、イオニア!手を貸してッ! イオニア:わかった。 0:イオニアは燃える松明をアイオリスの手甲に押し付ける アイオリス:ぐあああ!! ルビ:アイオリス! イオニア:キミがいけないんだよ、アイオリス。 イオニア:僕は地上に戻りたい。誰にも邪魔を赦さない。 アイオリス:うあああ! ルビ:アイオリスー! アイオリス:〈モノローグ〉巨大な虫が掘り進む振動で、 アイオリス:僕の体は深い穴へと投げ出される。 アイオリス:無数の瓦礫が下から上へと、流れていく狭間には アイオリス:もはや原型を留めていない、頭と片腕だけのドーリアが見えた ドーリア:さようなら…アイオリス… 0:涙でドーリアの輪郭がぼやけていく アイオリス:〈驚く〉ハッ!! アイオリス:~~ッ! アイオリス:ドーリアアアッ!! 0:つづく

オラトリオ:はじめに暗がりの洞窟があった。 オラトリオ:地下の水脈から雫が生まれ、雫は霧となって立ち込めた。 オラトリオ:白い霧は洞窟の闇を揺蕩い、やがて天井で薄く延ばされた。 オラトリオ:延ばされた霧は紙となり、洞窟の底へ重なり堕ちた。 オラトリオ:漆黒の墨は底の底。 オラトリオ:アンダーインクコリダーから湧き上がる。 オラトリオ:やがて純白の紙と漆黒の墨が交わると、 オラトリオ:模様が生まれ、文字になり、 オラトリオ:連なる文字は紙を埋め尽くした。 オラトリオ:そうして本が生まれた。 ドーリア:『アンダーインクコリダー第4章”はじまりのオラトリオ”』 ルビ:オラトリオと交渉するのは骨が折れるから、覚悟してね。 アイオリス:そんなに厄介なの? イオニア:話が通じない上に、破滅的な思想の持ち主なんだ。 イオニア:ってロザリオさんが言ってたよ。 アイオリス:そうなの? ルビ:彼、”紙”になりたいのよ アイオリス:えっと、”神”じゃなくて?? ルビ:そう。紙にね。白紙になりたいんだって。 ルビ:積み上げた関係も、地下書庫の文献も、全部なかったことにしたいのよ。 イオニア:積み木を倒して崩すために、わざとキレイに積むような男さ。 アイオリス:そっか、うん。気をつける。 ルビ:じゃあ、扉を開けるね。 0:ギイイイ…扉が開くと、三人は真っ白な霧に包まれた。 オラトリオ:やあ、ルビ。こんなところまで来てどうしたのですか。 ルビ:オラトリオ、あなたなのですね。 オラトリオ:君はすべての書物を復元するまで、遊ぶ暇なんてないはずですよ。 オラトリオ:私との約束はどうしたのですか? ルビ:約束?破るのはいつだってあなたからでしょう。 オラトリオ:ノヴァのことを言っているのでしょうか。また新しいのをあげますよ。 オラトリオ:また一から仲良くしてください。 ルビ:どうしていつも取り上げるような真似をするの。何故ノヴァはあんなにも自身の命を大切にしないの? オラトリオ:ノヴァの役目はキミを守ること、それだけです。君が入れ込み過ぎなのです。 オラトリオ:しょせん私の紙細工(ペーパーワークス)の切れ端に過ぎないのに。 アイオリス:オラトリオ!ドーリアを返してもらおうか! オラトリオ:ああ、貴方がアイオリスですね。ロザリオが連れてなかった方(ほう)。三人目の冒険者。 オラトリオ:ロザリオはどこですか? イオニア:ここにはいない。 オラトリオ:おや?なるほど、”そういうこと”でしたか。 オラトリオ:ですが貴方たちは、ドーリアと会って何がしたいのですか。 アイオリス:地上へ帰るんだ。ルビも一緒に四人で。 ルビ:え、アイオリス? アイオリス:ルビ、こんな奴のもとで暮らすことなんてないさ。写本は地上で続ければいい。 アイオリス:日焼けもしよう。きみの肌白すぎ。まるで死人みたいだよ ルビ:アイオリス… オラトリオ:ははは、死人みたいだと! アイオリス:笑うなッ!お前が飼い殺してるんじゃないかッ!! オラトリオ:飼い殺す、ですか。それで、4人一緒に地上へ出たいという君の頼みですが。 オラトリオ:お断りします。私はまだこの地下を明るみに出したくないのです。 オラトリオ:もっと完璧にしないと。 アイオリス:”白紙にする”というやつか?いったいどういうことだ! アイオリス:自分の理想に他人を巻き込むなよッ! オラトリオ:くくく…お互い様ではありませんか。 イオニア:落ち着け、アイオリス。僕は地上に出たいだけだ。 イオニア:オラトリオさん。地下のことは何もしゃべらない。誓っていい。 イオニア:だから見逃してはくれないだろうか。 オラトリオ:4人で地上に出ること自体が私にとって不都合です。 オラトリオ:ドーリアを連れて行くことが、私の研究成果を明るみに出すということですから。 ルビ:まさか… アイオリス:お前!!ドーリアに何をしたッ! オラトリオ:自分の目で確かめて下さい。感動の再開と行きましょう。 ドーリア:対象を補足。戦闘モードに移行。 アイオリス:ドーリア!ドーリア、なのか!? イオニア:近づいてはダメだ!様子がおかしい!ヒトではない! ドーリア:トラッシュ圧縮率79%…85…93…硬度臨界点に到達。 ドーリア:安全装置解除。インクゲージ、センサ感度ともに正常。 オラトリオ:上質な紙は鉄をも穿(うが)つ。やってしまえッ!『紙装甲兵(ペーパーバックソルジャー)』!! ドーリア:PBS01(ゼロワン)。目標を破壊する。 イオニア:紙の大剣!? オラトリオ:切れ味は折り紙つきです。 0:ズバアン!! ルビ:床が割れた!気を付けて!アイオリス! アイオリス:ドーリア!僕だ!アイオリスだ! オラトリオ:無駄ですよ。ドーリアの記憶は削除しました。 オラトリオ:精神的な免疫機能があると、紙との融合を拒絶するものですから。 アイオリス:なんてことを…!人の心を何だと思っているんだ!? オラトリオ:キャンバス。 アイオリス:キャン、バス…? オラトリオ:原稿用紙、と言いたいところだけどアレはダメになったら捨てますしね。 ルビ:…! オラトリオ:ヒトは絵具を重ねて、油で塗って…気に入らなければやり直すことができる。 オラトリオ:何度も何度も ルビ:やめて! オラトリオ:何度もね アイオリス:いま!ようやく分かった!オラトリオ、お前は救いようのないクズだ! オラトリオ:ふふふ、君との会話は楽しいですねッ! オラトリオ:ドーリア、アイオリスを紙くず同然に潰してしまえッ! ドーリア:伝達回路に異状を確認。攻撃できません。 オラトリオ:馬鹿な。そんな不具合、今まで一度も。 オラトリオ:ドーリア、ふざけている場合ではないッ! ドーリア:攻撃したく、ありません。 オラトリオ:なんだと。 ドーリア:攻撃、したくないんだ… アイオリス:ドーリア… イオニア:アイオリス!どいていろ! ルビ:何をする気!? イオニア:どれだけ硬かろうと、所詮は紙だッ! アイオリス:待てイオニア!! イオニア:燃えろおお!! ドーリア:ーーッ!! オラトリオ:くっ、弱点に気づかれましたか…! アイオリス:やめろ!イオニアやめてくれよ!! イオニア:だまれ!こんな姿のまま地上に出てドーリアは幸せなのか!? イオニア:ここで燃やしてしまうことが優しさじゃあないのか!? オラトリオ:ロザリオブルク…君たちは本当に火が好きですね… オラトリオ:終わらせることでしか、優しさを表せないとは…! オラトリオ:しかし私には奥の手がある… ドーリア:アイオ、リス… アイオリス:ドーリア! ドーリア:イオニアを、頼む… オラトリオ:おとなしく地下に戻って下さい。 オラトリオ:起動しろ、PBS02『ペーパーワームスケルター』 0:ズゴゴゴゴ… ルビ:この揺れ…!あの時と同じ…!! オラトリオ:ワームスケルターの驚異的な貫通力は、硬質紙にとても相性が良かったッ! オラトリオ:地下最悪の”災害”は私の手により、掘削専用兵器となったのだッ! オラトリオ:底の底”アンダーインクコリダー”まで! オラトリオ:振り出し、いいやマイナスまでッ!! オラトリオ:堕ちろッ!痴(し)れ者!! アイオリス:うああああ!!! ルビ:アイオリス!駄目よ!落ちてはダメ! ルビ:お願い、イオニア!手を貸してッ! イオニア:わかった。 0:イオニアは燃える松明をアイオリスの手甲に押し付ける アイオリス:ぐあああ!! ルビ:アイオリス! イオニア:キミがいけないんだよ、アイオリス。 イオニア:僕は地上に戻りたい。誰にも邪魔を赦さない。 アイオリス:うあああ! ルビ:アイオリスー! アイオリス:〈モノローグ〉巨大な虫が掘り進む振動で、 アイオリス:僕の体は深い穴へと投げ出される。 アイオリス:無数の瓦礫が下から上へと、流れていく狭間には アイオリス:もはや原型を留めていない、頭と片腕だけのドーリアが見えた ドーリア:さようなら…アイオリス… 0:涙でドーリアの輪郭がぼやけていく アイオリス:〈驚く〉ハッ!! アイオリス:~~ッ! アイオリス:ドーリアアアッ!! 0:つづく