台本概要
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タイトル | 盗賊ネズミのパンナとコッタ |
---|---|
作者名 | レンga (@renganovel) |
ジャンル | 童話 |
演者人数 | 2人用台本(不問2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
チックタックシリーズ第三弾 ◆◆あらすじ◆◆ チューチュー盗賊団の2匹のネズミ 白い毛に黒い眼帯をした盗賊団第二隊長の『パンナ』 黒い毛に赤いバンダナを巻いたパンナの部下『コッタ』 幻のチーズの地図をなくしてしまった2匹は 失敗を取り戻すために自分たちで幻のチーズを見つけようと ふんわりとした記憶を頼りに森へと歩みだす! そして現れる…… ライバルの2匹のネズミ……! 2匹は、幻のチーズを手に入れることができるのか!? そして2匹の運命は!? ◆◆◆◆◆◆◆◆ ディズニーチックな、カートゥーンな雰囲気の台本です。 登場人物がネズミなので どちらも男女不問です。 男×男 女×女 男×女 好きな組み合わせで楽しんでいただけます。 パンナは一人称が私で、女性のような雰囲気はありますが 男性として演じていただいても、オカマで演じていただいても構いません! 110 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
パンナ | 不問 | 70 | 白い毛に黒い眼帯をした盗賊団第二隊長 厳しいが、部下想い。 |
コッタ | 不問 | 70 | 黒い毛に赤いバンダナを巻いたパンナの部下 そそっかしいが、一生懸命。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:右目に黒い眼帯を付けた白いネズミのパンナが、森の前で途方に暮れている。
:
パンナ:なんで、こんなことになってしまったんだろうな。コッタ団員。
パンナ:森の前で、こうも途方に暮れることになろうとは……
:
コッタ:そりゃあ、パンナ隊長が幻のチーズの地図をなくしたからっスよ!
パンナ:……なっ!
パンナ:コッタ団員、君は直截≪ちょくさい≫にモノを言いすぎだ
パンナ:私はチューチュー盗賊団の第2番隊の隊長ネズミ。 君の上司にあたる。
パンナ:少しはオブラートに包むか、歯に衣≪きぬ≫を着せて言ってもらえると助かる。
:
0:しょんぼりとしてしまったパンナのそばで、
0:頭に赤いバンダナを巻いた黒いネズミが少し慌てる。
:
コッタ:わわ! パンナ隊長申し訳ないっス!
コッタ:責めるつもりはなかったんス。
コッタ:ええと、言い換えるなら、そうっスね……
:
0:コッタ、あごに手を当てて少し考える。
:
コッタ:そもそもクロック団長が幻のチーズの地図をなくすから悪いんスよ!
パンナ:こら! コッタ団員! 団長の悪口はよすんだ!
パンナ:団長はただの野ネズミだった私たちを救ってくれた恩人だぞ!
コッタ:わわわ! また間違えちゃったっス!
コッタ:団長のためにも、幻のチーズを持ち帰らないとっスね!
コッタ:えっと……地図はーっと。
パンナ:コッタ団員、地図は私がなくしてしまった。
パンナ:不意の突風に吹き飛ばされたんだ。
パンナ:コッタ団員、このやり取りはもう3回目だ。
パンナ:君、わざとだろう?
:
コッタ:わわわわ! 違うっス! わざとじゃないっスよ!
コッタ:うっかりしてしまってたんス。
コッタ:許してほしいっス……!
:
0:コッタ、慌てた様子でぺこぺこと頭を下げる。
0:その時、頭に巻いていたバンダナが落ちてしまう。
:
パンナ:まあいい
パンナ:私のせいでこのような状況になっているのは間違いないさ
パンナ:コッタ団員、頭を下げて謝るのはいいが……
パンナ:大切な赤いバンダナが外れてしまったぞ
コッタ:わ! パンナ隊長からもらった大事なバンダナが!
コッタ:申し訳ないっス!
パンナ:ほら、後ろを向け。
パンナ:外れないようにギュッと絞めてやる。
コッタ:わわ! パンナ隊長! ありがとうっスぅ!
:
0:パンナ、コッタにバンダナを付けてやる。
0:ギュッと、きつくバンダナを付ける。
:
コッタ:グギギ……ちょっと、きつすぎるっスよ……!
パンナ:これくらいの方がいいんだ。
パンナ:これから地図もなく、森の中を探索するんだからな
パンナ:大事なものはしっかり持っておくんだぞ
コッタ:パンナ隊長……!
コッタ:隊長が言うと説得力があるっスね!
:
0:パンナ、さらにギュッと強く締める。
:
パンナ:コッタ団員、一言余分だ!
コッタ:ぐえ! 強く締めすぎっスー!
:
0:コッタ、きつく締められたバンダナと頭をさすりながら
0:森の方を見る。
:
パンナ:コッタ団員、地図に森の絵が描かれていたのは覚えているな?
コッタ:もちろんっス! パンナ隊長!
コッタ:森の絵の中の何かに、星印のマークが書かれたっス!
パンナ:それが何かは、覚えていなんだな。
コッタ:確か、なんか大きな何かだと思うっスけど……
コッタ:そこまで真剣に見てなかったっス……!
:
パンナ:いいんだ、コッタ団員。
パンナ:地図をなくしてしまったのだから仕方がない。
パンナ:クロック団長へ、幻のチーズそのものを持って帰って差し上げよう。
コッタ:他の団員たちよりも早く地図を見つけて
コッタ:団長に喜んでもらえると、張り切ってましたもんね、パンナ隊長。
コッタ:地図をなくした直後のパンナ隊長は見るに堪えなかったっス……!
:
0:コッタ、涙をぬぐう仕草
:
パンナ:もう思い出させないでくれ、コッタ団員。
パンナ:ほら、はやく幻のチーズを見つけてしまおう。
パンナ:あの地図を、万が一食いしん坊なネズミが拾ったら大変なことだ。
コッタ:そうっスね! 急ぎましょう!
コッタ:パンナ隊長、おいらに任せてくださいっス!
コッタ:こう見えて、宝さがしは得意なんスよ!
パンナ:おお! そうか。それは心強いな!
パンナ:であれば、先行はコッタ団員、君に任せよう。
コッタ:わわ! ありがたき幸せっス!
パンナ:満月の明かりがあるとはいえ、薄暗い! 気を付けるんだ!
コッタ:わかりました! 早速行きましょう!
パンナ:ああ! 行こう!
:
0:パンナとコッタ、森の中へと走り出す。
0:夜が今から深まろうという頃。
0:四本足でぱたぱたと森の中を駆けていく。
:
コッタ:(走りながら)パンナ隊長……! 大変っス!
パンナ:(走りながら)コッタ団員……! いったいどうした!
コッタ:大きな何かと言うのはいったい何っスか?
コッタ:探すのは得意っスけど、なにを探したらいいかわからいっス……!
パンナ:確かにそうだな。
パンナ:森の中にある大きなもの、いったい何があるだろうか。
:
0:二匹は大きな木の下でぴたりと立ち止まり
0:2人してあごに手をやって考え込む。
:
コッタ:大きな虫ですかね、バッタとかカブトムシかもしれないっス。
パンナ:虫は嫌いだ。
コッタ:じゃあ、他に何があるっスか?
パンナ:大きなもの……
:
0:パンナ、大きな木の幹に背を預ける。
:
パンナ:大きな池なんてどうだ!?
コッタ:パンナ隊長! さすがっス!
コッタ:確かこの森には、精霊の泉と呼ばれる大きな池があるらしいっスよ!
パンナ:精霊の泉!? またなんか仰々しい名前の泉だな!
コッタ:なんでも、その泉にチーズを投げ込むと
パンナ:コッタ団員、チーズを投げ込むとどうなるんだ?
コッタ:倍になって戻ってくるらしいっス!
パンナ:それじゃあ、その泉に幻のチーズを投げ込めば……!
コッタ:倍っス!
パンナ:早速行こう! コッタ団員!
コッタ:パンナ隊長! こっちっス!
:
0:二匹ならんで、森の奥へと走っていく。
0:その後ろから、パンナとコッタと入れ替わるように
0:別の二匹のネズミが大きな木の元へと向かっていることに気が付かない。
:
パンナ:(息を切らせて)おお! これはきれいな泉だな!
パンナ:満月が池に映って、とても美しい!
コッタ:(息を切らせて)わ! 精霊の泉と言う名前がぴったりな泉っスね!
パンナ:さて、じゃあこの泉のどこかに幻のチーズがあるってことだな!
コッタ:パンナ隊長! オイラがこの泉の周りを一回りしてくるっス!
パンナ:コッタ団員、頼んだ。
パンナ:私も、この辺りに何かないか調べてみる。
:
0:コッタは泉をくるりと一周して
0:パンナは森の近くをきょろきょろ調べる
:
コッタ:(少し息を切らせて)パンナ隊長……!
パンナ:コッタ団員、何か見つけたか?
コッタ:ダメっス。なぁんにも見つからなかったっス……
コッタ:苔≪こけ≫のびっしり生えた石しかなかったっスよ。
パンナ:残念だが、苔はチーズではないからな。
パンナ:ここが違うとなると、全く見当もつかないな。
コッタ:なんてこった! って感じっスね。
パンナ:まったく、コッタ団員。
パンナ:もっと真剣に考えてくれ、これは大変困った問題だ。
:
0:コッタ、悩んで上を見上げたとき
0:さっきまでいた、大きな木を登る二匹のネズミを見つける。
:
コッタ:わわわ! パンナ隊長! パンナ隊長!
パンナ:どうした、コッタ団員。
コッタ:大変っス! 大変っスよパンナ隊長!
パンナ:どうしたんだコッタ団員、落ち着いて話をしてくれ!
:
0:コッタ、わたわた。
0:両手をわたわたさせる。
:
コッタ:見てほしいっス! ほら! あそこっス!
:
0:コッタ、大きな木を指さす。
0:パンナ、月明かりに照らされた大きな木を見やる。
:
パンナ:大きな木を、変なネズミが二匹、登っている……!
パンナ:っは! そうか! 大きな木か! なんで気が付かなかったんだ!?
コッタ:パンナ隊長! こうしちゃいられないっス! 先を越される前に追いかけましょう!
パンナ:そうだな! コッタ団員! あの大きな木に急ごう!
パンナ:いったい、あのネズミたちは何者なんだ!?
コッタ:さあ! はやくいくっス!
パンナ:ああ! 行こう! コッタ団員!
:
0:二匹、慌てて走り出す。
0:バタバタって感じで走る。
:
0:パンナとコッタがたどり着くと、すでに二匹のネズミはもう遥か上の方まで登ってしまっている。
:
パンナ:(息切れ)くそう……! もうあんな高いところまで登っているじゃないか!
コッタ:(息切れ)……! これは、今から追いかけても追いつきそうにないっス!
コッタ:オイラ、木登りは得意っスけど……! たぶん間に合わないっス!
:
パンナ:木の根元に、つたで……トランポリン?
コッタ:落ちたときのことを考えて、作っておいたんスかね!?
パンナ:器用な奴らめ……!
コッタ:パンナ隊長! 見てほしいっス! 木の幹に文字が掘ってあるっス!
パンナ:何……? ええと、『俺様のチーズは、夜空に隠した。-クロック-』……だとっ!?
コッタ:パンナ隊長! これって! クロック団長の文字じゃないっスか!?
パンナ:間違いない! クロック団長は、この木の上に幻のチーズを隠したんだ!
:
0:木を登っていた二匹のネズミが、落っこちてくる。
:
コッタ:あ! 上のネズミが! 手を滑らせたのか落ちてきます!!
パンナ:なに!? この高さから落ちたら助からないぞ! 助けよう!
コッタ:パンナ隊長! 無理っス! 受け止めるなんてできないっス!
パンナ:コッタ団員! 大丈夫さ! 私に任せろ!
コッタ:パンナ隊長! あのネズミたち、トランポリンに落ちそうっスよ!
パンナ:もしものことがあるだろう!? 私はここで待機する!
コッタ:わわわわ! 危ないっス! パンナ隊長!
パンナ:どんなネズミも仲間だ! 見捨てることなどできるものか!
:
0:落ちてきたネズミはトランポリンではねて夜空へ飛んでいく。
0:落ちてきたネズミが持っていた木の棒が、パンナの頭に直撃する。
:
パンナ:よかった! トランポリンで跳ね返って……ぐえっ! (バタンキュー)
コッタ:パンナたいちょおおおおおおおお!!!!!!
コッタ:わわわ! あいつら! 持ってた木の棒をパンナ隊長に当てるなんて!
:
コッタM:(それからしばらく、パンナ隊長は目を覚まさなかったっス……)
コッタM:(あの二匹のネズミが、月を食べ始めて少しして……)
コッタM:(パンナ隊長は目を覚ましたっス)
:
パンナ:……うう。
コッタ:パンナ隊長! 大丈夫っスか!?
パンナ:少し頭が痛いが、大したことはない、大丈夫だ。
コッタ:よかったっス! よかったっス!
パンナ:あの二匹のネズミは、大丈夫だったか……? コッタ団員。
コッタ:あいつらはあそこっス!
:
0:コッタ、月を指さす。
:
パンナ:……! なに!? 月を食べているだと!?
コッタ:きっと、満月こそが幻のチーズだったんス。
コッタ:それをあいつら……! 食べてるんスよ!
パンナ:な……なんてこった。
コッタ:許せないっス! クロック団長の幻のチーズを盗むだけじゃなく
コッタ:パンナ隊長に木の棒をぶつけるなんて!
パンナ:あの木の棒は、きっとわざとじゃないだろうが
パンナ:幻のチーズを奪ったのは、許しがたいな。
コッタ:悔しいっス! パンナ隊長!
コッタ:オイラ達の元にあるのは、このこぶし大くらいの幻のチーズの食べかすだけっス!
パンナ:なんだ、コッタ団員、幻のチーズの食べかすがあるのか!?
コッタ:さっき、ぼろぼろ落ちてきたやつを固めたっス!
:
0:パンナ、頭に電球が出てきてひらめいた! って感じ。
:
パンナ:コッタ団員! その食べかすがあれば十分だ!
コッタ:ダメっスよ、パンナ隊長……! 食べかすをクロック団長に届けるわけにはいかないっス。
パンナ:確かにそのままではいけないだろう!
パンナ:だが! 増やして立派にして差し上げるんだ!
コッタ:そんなこと……どうやって……! あ!
パンナ:そうさコッタ団員! 精霊の泉にチーズを投げ込めば
パンナ:倍になって帰ってくるのだろう?
コッタ:さすがっス! パンナ隊長! そんな迷信忘れてたっス!
パンナ:とっておきのアイデアを迷信と言うんじゃないコッタ団員!
コッタ:わわ! また失言してしまったっス! 申し訳ないっス!
:
パンナ:試してみるに越したことはないだろう。
パンナ:コッタ団員、走ってばかりで疲れるだろうが
パンナ:急いで泉へ向かおう!
コッタ:何を言うんっスかパンナ隊長! そんなのへいちゃらっス!
コッタ:急いで向かいましょう!
パンナ:よし、行こう! コッタ団員!
コッタ:わかったっス!!
:
0:パンナとコッタ、二匹のネズミは急いで精霊の泉へと走っていく。
0:満月が、三日月になっていく姿を眺めながら
0:二匹は精霊の泉にかけていく。
:
パンナ:(息切れ)何度も通った道だと、あっという間だな。
コッタ:(息切れ)そっスね! 何度だって走れるっスよ!
パンナ:泉に映ってた満月が、いつの間にか三日月になってしまったな
コッタ:あいつら食べすぎっス! 許せないっス! 羨ましいっス!
パンナ:そうはいっても仕方がない! さあ、幻のチーズを泉に投げ込むぞ!
コッタ:承知っス! いきますよー!
パンナ:さーん!
コッタ:にーい!
パンナ:いーーち!!(同時)
コッタ:いーーち!!(同時)
パンナ:えーい!
:
0:幻のチーズの食べかすが、コッタの手から離れ、泉へポチャんと投げ込まれる。
0:泉へと、チーズが溶けていくのが見て取れる。
:
コッタ:大丈夫っスかね……パンナ隊長。
パンナ:信じて待とう、コッタ団員。
:
0:少しして、泉が黄色に輝きだす。
0:泉に映っていた三日月が、泉からゆっくりせりあがってくる。
:
コッタ:わわわわ! 泉に映ってた三日月が!
パンナ:チーズになって泉から出てきたぞ!
コッタ:これは大変っス! 持って帰れるっスかね!
パンナ:二人で背負っていけば、きっと大丈夫だ!
コッタ:クロック団長の喜ぶ顔が、目に浮かぶようっスね!
パンナ:よし、それじゃあせーので持ち上げて
パンナ:人間たちが目を覚ます前に、アジトまで戻ろう!
コッタ:わかったっス! 急いで帰るっスよ!
パンナ:準備はいいかー!?
コッタ:いつでも行けるっス!!
:
パンナ:せーーの!!(同時)
コッタ:せーーの!!(同時)
:
コッタ:よいしょーーーーーっス!!!
:
:
0:おしまい(続く!?)
:
0:右目に黒い眼帯を付けた白いネズミのパンナが、森の前で途方に暮れている。
:
パンナ:なんで、こんなことになってしまったんだろうな。コッタ団員。
パンナ:森の前で、こうも途方に暮れることになろうとは……
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コッタ:そりゃあ、パンナ隊長が幻のチーズの地図をなくしたからっスよ!
パンナ:……なっ!
パンナ:コッタ団員、君は直截≪ちょくさい≫にモノを言いすぎだ
パンナ:私はチューチュー盗賊団の第2番隊の隊長ネズミ。 君の上司にあたる。
パンナ:少しはオブラートに包むか、歯に衣≪きぬ≫を着せて言ってもらえると助かる。
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0:しょんぼりとしてしまったパンナのそばで、
0:頭に赤いバンダナを巻いた黒いネズミが少し慌てる。
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コッタ:わわ! パンナ隊長申し訳ないっス!
コッタ:責めるつもりはなかったんス。
コッタ:ええと、言い換えるなら、そうっスね……
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0:コッタ、あごに手を当てて少し考える。
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コッタ:そもそもクロック団長が幻のチーズの地図をなくすから悪いんスよ!
パンナ:こら! コッタ団員! 団長の悪口はよすんだ!
パンナ:団長はただの野ネズミだった私たちを救ってくれた恩人だぞ!
コッタ:わわわ! また間違えちゃったっス!
コッタ:団長のためにも、幻のチーズを持ち帰らないとっスね!
コッタ:えっと……地図はーっと。
パンナ:コッタ団員、地図は私がなくしてしまった。
パンナ:不意の突風に吹き飛ばされたんだ。
パンナ:コッタ団員、このやり取りはもう3回目だ。
パンナ:君、わざとだろう?
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コッタ:わわわわ! 違うっス! わざとじゃないっスよ!
コッタ:うっかりしてしまってたんス。
コッタ:許してほしいっス……!
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0:コッタ、慌てた様子でぺこぺこと頭を下げる。
0:その時、頭に巻いていたバンダナが落ちてしまう。
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パンナ:まあいい
パンナ:私のせいでこのような状況になっているのは間違いないさ
パンナ:コッタ団員、頭を下げて謝るのはいいが……
パンナ:大切な赤いバンダナが外れてしまったぞ
コッタ:わ! パンナ隊長からもらった大事なバンダナが!
コッタ:申し訳ないっス!
パンナ:ほら、後ろを向け。
パンナ:外れないようにギュッと絞めてやる。
コッタ:わわ! パンナ隊長! ありがとうっスぅ!
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0:パンナ、コッタにバンダナを付けてやる。
0:ギュッと、きつくバンダナを付ける。
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コッタ:グギギ……ちょっと、きつすぎるっスよ……!
パンナ:これくらいの方がいいんだ。
パンナ:これから地図もなく、森の中を探索するんだからな
パンナ:大事なものはしっかり持っておくんだぞ
コッタ:パンナ隊長……!
コッタ:隊長が言うと説得力があるっスね!
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0:パンナ、さらにギュッと強く締める。
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パンナ:コッタ団員、一言余分だ!
コッタ:ぐえ! 強く締めすぎっスー!
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0:コッタ、きつく締められたバンダナと頭をさすりながら
0:森の方を見る。
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パンナ:コッタ団員、地図に森の絵が描かれていたのは覚えているな?
コッタ:もちろんっス! パンナ隊長!
コッタ:森の絵の中の何かに、星印のマークが書かれたっス!
パンナ:それが何かは、覚えていなんだな。
コッタ:確か、なんか大きな何かだと思うっスけど……
コッタ:そこまで真剣に見てなかったっス……!
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パンナ:いいんだ、コッタ団員。
パンナ:地図をなくしてしまったのだから仕方がない。
パンナ:クロック団長へ、幻のチーズそのものを持って帰って差し上げよう。
コッタ:他の団員たちよりも早く地図を見つけて
コッタ:団長に喜んでもらえると、張り切ってましたもんね、パンナ隊長。
コッタ:地図をなくした直後のパンナ隊長は見るに堪えなかったっス……!
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0:コッタ、涙をぬぐう仕草
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パンナ:もう思い出させないでくれ、コッタ団員。
パンナ:ほら、はやく幻のチーズを見つけてしまおう。
パンナ:あの地図を、万が一食いしん坊なネズミが拾ったら大変なことだ。
コッタ:そうっスね! 急ぎましょう!
コッタ:パンナ隊長、おいらに任せてくださいっス!
コッタ:こう見えて、宝さがしは得意なんスよ!
パンナ:おお! そうか。それは心強いな!
パンナ:であれば、先行はコッタ団員、君に任せよう。
コッタ:わわ! ありがたき幸せっス!
パンナ:満月の明かりがあるとはいえ、薄暗い! 気を付けるんだ!
コッタ:わかりました! 早速行きましょう!
パンナ:ああ! 行こう!
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0:パンナとコッタ、森の中へと走り出す。
0:夜が今から深まろうという頃。
0:四本足でぱたぱたと森の中を駆けていく。
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コッタ:(走りながら)パンナ隊長……! 大変っス!
パンナ:(走りながら)コッタ団員……! いったいどうした!
コッタ:大きな何かと言うのはいったい何っスか?
コッタ:探すのは得意っスけど、なにを探したらいいかわからいっス……!
パンナ:確かにそうだな。
パンナ:森の中にある大きなもの、いったい何があるだろうか。
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0:二匹は大きな木の下でぴたりと立ち止まり
0:2人してあごに手をやって考え込む。
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コッタ:大きな虫ですかね、バッタとかカブトムシかもしれないっス。
パンナ:虫は嫌いだ。
コッタ:じゃあ、他に何があるっスか?
パンナ:大きなもの……
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0:パンナ、大きな木の幹に背を預ける。
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パンナ:大きな池なんてどうだ!?
コッタ:パンナ隊長! さすがっス!
コッタ:確かこの森には、精霊の泉と呼ばれる大きな池があるらしいっスよ!
パンナ:精霊の泉!? またなんか仰々しい名前の泉だな!
コッタ:なんでも、その泉にチーズを投げ込むと
パンナ:コッタ団員、チーズを投げ込むとどうなるんだ?
コッタ:倍になって戻ってくるらしいっス!
パンナ:それじゃあ、その泉に幻のチーズを投げ込めば……!
コッタ:倍っス!
パンナ:早速行こう! コッタ団員!
コッタ:パンナ隊長! こっちっス!
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0:二匹ならんで、森の奥へと走っていく。
0:その後ろから、パンナとコッタと入れ替わるように
0:別の二匹のネズミが大きな木の元へと向かっていることに気が付かない。
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パンナ:(息を切らせて)おお! これはきれいな泉だな!
パンナ:満月が池に映って、とても美しい!
コッタ:(息を切らせて)わ! 精霊の泉と言う名前がぴったりな泉っスね!
パンナ:さて、じゃあこの泉のどこかに幻のチーズがあるってことだな!
コッタ:パンナ隊長! オイラがこの泉の周りを一回りしてくるっス!
パンナ:コッタ団員、頼んだ。
パンナ:私も、この辺りに何かないか調べてみる。
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0:コッタは泉をくるりと一周して
0:パンナは森の近くをきょろきょろ調べる
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コッタ:(少し息を切らせて)パンナ隊長……!
パンナ:コッタ団員、何か見つけたか?
コッタ:ダメっス。なぁんにも見つからなかったっス……
コッタ:苔≪こけ≫のびっしり生えた石しかなかったっスよ。
パンナ:残念だが、苔はチーズではないからな。
パンナ:ここが違うとなると、全く見当もつかないな。
コッタ:なんてこった! って感じっスね。
パンナ:まったく、コッタ団員。
パンナ:もっと真剣に考えてくれ、これは大変困った問題だ。
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0:コッタ、悩んで上を見上げたとき
0:さっきまでいた、大きな木を登る二匹のネズミを見つける。
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コッタ:わわわ! パンナ隊長! パンナ隊長!
パンナ:どうした、コッタ団員。
コッタ:大変っス! 大変っスよパンナ隊長!
パンナ:どうしたんだコッタ団員、落ち着いて話をしてくれ!
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0:コッタ、わたわた。
0:両手をわたわたさせる。
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コッタ:見てほしいっス! ほら! あそこっス!
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0:コッタ、大きな木を指さす。
0:パンナ、月明かりに照らされた大きな木を見やる。
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パンナ:大きな木を、変なネズミが二匹、登っている……!
パンナ:っは! そうか! 大きな木か! なんで気が付かなかったんだ!?
コッタ:パンナ隊長! こうしちゃいられないっス! 先を越される前に追いかけましょう!
パンナ:そうだな! コッタ団員! あの大きな木に急ごう!
パンナ:いったい、あのネズミたちは何者なんだ!?
コッタ:さあ! はやくいくっス!
パンナ:ああ! 行こう! コッタ団員!
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0:二匹、慌てて走り出す。
0:バタバタって感じで走る。
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0:パンナとコッタがたどり着くと、すでに二匹のネズミはもう遥か上の方まで登ってしまっている。
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パンナ:(息切れ)くそう……! もうあんな高いところまで登っているじゃないか!
コッタ:(息切れ)……! これは、今から追いかけても追いつきそうにないっス!
コッタ:オイラ、木登りは得意っスけど……! たぶん間に合わないっス!
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パンナ:木の根元に、つたで……トランポリン?
コッタ:落ちたときのことを考えて、作っておいたんスかね!?
パンナ:器用な奴らめ……!
コッタ:パンナ隊長! 見てほしいっス! 木の幹に文字が掘ってあるっス!
パンナ:何……? ええと、『俺様のチーズは、夜空に隠した。-クロック-』……だとっ!?
コッタ:パンナ隊長! これって! クロック団長の文字じゃないっスか!?
パンナ:間違いない! クロック団長は、この木の上に幻のチーズを隠したんだ!
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0:木を登っていた二匹のネズミが、落っこちてくる。
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コッタ:あ! 上のネズミが! 手を滑らせたのか落ちてきます!!
パンナ:なに!? この高さから落ちたら助からないぞ! 助けよう!
コッタ:パンナ隊長! 無理っス! 受け止めるなんてできないっス!
パンナ:コッタ団員! 大丈夫さ! 私に任せろ!
コッタ:パンナ隊長! あのネズミたち、トランポリンに落ちそうっスよ!
パンナ:もしものことがあるだろう!? 私はここで待機する!
コッタ:わわわわ! 危ないっス! パンナ隊長!
パンナ:どんなネズミも仲間だ! 見捨てることなどできるものか!
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0:落ちてきたネズミはトランポリンではねて夜空へ飛んでいく。
0:落ちてきたネズミが持っていた木の棒が、パンナの頭に直撃する。
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パンナ:よかった! トランポリンで跳ね返って……ぐえっ! (バタンキュー)
コッタ:パンナたいちょおおおおおおおお!!!!!!
コッタ:わわわ! あいつら! 持ってた木の棒をパンナ隊長に当てるなんて!
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コッタM:(それからしばらく、パンナ隊長は目を覚まさなかったっス……)
コッタM:(あの二匹のネズミが、月を食べ始めて少しして……)
コッタM:(パンナ隊長は目を覚ましたっス)
:
パンナ:……うう。
コッタ:パンナ隊長! 大丈夫っスか!?
パンナ:少し頭が痛いが、大したことはない、大丈夫だ。
コッタ:よかったっス! よかったっス!
パンナ:あの二匹のネズミは、大丈夫だったか……? コッタ団員。
コッタ:あいつらはあそこっス!
:
0:コッタ、月を指さす。
:
パンナ:……! なに!? 月を食べているだと!?
コッタ:きっと、満月こそが幻のチーズだったんス。
コッタ:それをあいつら……! 食べてるんスよ!
パンナ:な……なんてこった。
コッタ:許せないっス! クロック団長の幻のチーズを盗むだけじゃなく
コッタ:パンナ隊長に木の棒をぶつけるなんて!
パンナ:あの木の棒は、きっとわざとじゃないだろうが
パンナ:幻のチーズを奪ったのは、許しがたいな。
コッタ:悔しいっス! パンナ隊長!
コッタ:オイラ達の元にあるのは、このこぶし大くらいの幻のチーズの食べかすだけっス!
パンナ:なんだ、コッタ団員、幻のチーズの食べかすがあるのか!?
コッタ:さっき、ぼろぼろ落ちてきたやつを固めたっス!
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0:パンナ、頭に電球が出てきてひらめいた! って感じ。
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パンナ:コッタ団員! その食べかすがあれば十分だ!
コッタ:ダメっスよ、パンナ隊長……! 食べかすをクロック団長に届けるわけにはいかないっス。
パンナ:確かにそのままではいけないだろう!
パンナ:だが! 増やして立派にして差し上げるんだ!
コッタ:そんなこと……どうやって……! あ!
パンナ:そうさコッタ団員! 精霊の泉にチーズを投げ込めば
パンナ:倍になって帰ってくるのだろう?
コッタ:さすがっス! パンナ隊長! そんな迷信忘れてたっス!
パンナ:とっておきのアイデアを迷信と言うんじゃないコッタ団員!
コッタ:わわ! また失言してしまったっス! 申し訳ないっス!
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パンナ:試してみるに越したことはないだろう。
パンナ:コッタ団員、走ってばかりで疲れるだろうが
パンナ:急いで泉へ向かおう!
コッタ:何を言うんっスかパンナ隊長! そんなのへいちゃらっス!
コッタ:急いで向かいましょう!
パンナ:よし、行こう! コッタ団員!
コッタ:わかったっス!!
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0:パンナとコッタ、二匹のネズミは急いで精霊の泉へと走っていく。
0:満月が、三日月になっていく姿を眺めながら
0:二匹は精霊の泉にかけていく。
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パンナ:(息切れ)何度も通った道だと、あっという間だな。
コッタ:(息切れ)そっスね! 何度だって走れるっスよ!
パンナ:泉に映ってた満月が、いつの間にか三日月になってしまったな
コッタ:あいつら食べすぎっス! 許せないっス! 羨ましいっス!
パンナ:そうはいっても仕方がない! さあ、幻のチーズを泉に投げ込むぞ!
コッタ:承知っス! いきますよー!
パンナ:さーん!
コッタ:にーい!
パンナ:いーーち!!(同時)
コッタ:いーーち!!(同時)
パンナ:えーい!
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0:幻のチーズの食べかすが、コッタの手から離れ、泉へポチャんと投げ込まれる。
0:泉へと、チーズが溶けていくのが見て取れる。
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コッタ:大丈夫っスかね……パンナ隊長。
パンナ:信じて待とう、コッタ団員。
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0:少しして、泉が黄色に輝きだす。
0:泉に映っていた三日月が、泉からゆっくりせりあがってくる。
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コッタ:わわわわ! 泉に映ってた三日月が!
パンナ:チーズになって泉から出てきたぞ!
コッタ:これは大変っス! 持って帰れるっスかね!
パンナ:二人で背負っていけば、きっと大丈夫だ!
コッタ:クロック団長の喜ぶ顔が、目に浮かぶようっスね!
パンナ:よし、それじゃあせーので持ち上げて
パンナ:人間たちが目を覚ます前に、アジトまで戻ろう!
コッタ:わかったっス! 急いで帰るっスよ!
パンナ:準備はいいかー!?
コッタ:いつでも行けるっス!!
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パンナ:せーーの!!(同時)
コッタ:せーーの!!(同時)
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コッタ:よいしょーーーーーっス!!!
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0:おしまい(続く!?)
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