台本概要
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タイトル | チックタックのブルーチーズ大作戦 |
---|---|
作者名 | レンga (@renganovel) |
ジャンル | 童話 |
演者人数 | 2人用台本(不問2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
チックタックシリーズ第六弾 ◆◆あらすじ◆◆ ブルーチーズ それはネズミたちにとって 至高の香りと、濃厚な味わいをもつ 別格のチーズだった。 二匹のネズミ チックとタックは、とあるレストランで ブルーチーズを見つけてしまう。 二匹は、レストランからブルーチーズを盗み出すことができるのか? ハラハラドキドキな、アクションたっぷりカートゥーンコメディ! 「チックタックのブルーチーズ大作戦」 ◆◆◆◆◆◆◆◆ ディズニーチックな、カートゥーンな雰囲気の台本です。 登場人物がネズミなので どちらも男女不問です。 男×男 女×女 男×女 好きな組み合わせで楽しんでいただけます。 159 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
チック | 不問 | 70 | 楽観主義、何とかなると思ってる。 チーズが大好き。 金色の懐中時計が宝物。 ひらめきが得意。 他の鼠より長いしっぽがトレードマーク 探偵を目指している。 タックは友人兼助手だと思ってる。 |
タック | 不問 | 69 | 現実主義で心配性であわてんぼう 昔ねこにしっぽを半分かじられて 猫が大嫌い。 茶色のハンチング帽を被ってる。 夢は探偵になること。 チックは友人兼助手だと思ってる。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:タイトルコール
:
タック:「チックタックのーー!!」
チック:「ブルーチーズ大作戦!!!」
:
:
0:間
:
:
0:とあるレストランの、厨房の棚の下。
0:薄暗い隅っこの方で、ネズミのタックが、チックを揺さぶって起こそうとしています。
タック:おーい!チック!
タック:チック!起きてくれ!大変だ!大変なことになった!
タック:チック!チックってば!チック!
:
チック:んぅ……ふわあ。
タック:チック!起きたかい!
タック:大変なんだ!早くここから逃げなきゃ!
チック:……むにゃむにゃ
チック:……まだ、食べられるよ……
タック:まったくもう!まだ寝てるのかい!
タック:ああ、もう!
タック:大変だってのに、なんだってこんな状況で寝れるんだい、チック!
タック:ここがどこなのか、もう忘れちゃったのか?
:
0:チックは、目をぱちくりとして、ゆっくりと上半身まで起こして
0:もう一度、寝っ転がりました。
チック:……ふわあ。
チック:なんだい、タック……朝っぱらから……
チック:僕はもうちょっと寝させてもらうよ……今良いところなんだ。
タック:チック!ダメだ!早く起きるんだ!
チック:なんでだい、タック。
チック:それじゃあ君に、山より大きなパルメザンチーズが用意出来るってのかい?
タック:何の話かまったく分からないよ!チック!
タック:夢の話は後で聞くから、早く起きるんだ!
タック:見つかっちゃったんだよ!君が昨日かじったチーズの噛み後が!
タック:このレストランの、料理長に!
:
チック:僕が昨日かじった……
チック:ああ!あのとんでもなくおいしいブルーチーズの事かい?
0:チックは、素敵な思い出を思い返すように、目をぱちくりさせました。
タック:ああそうさ!
タック:君ほどのチーズ好きが!たったの3口で!おいしさのあまり失神した!
タック:あの、ブルーチーズのことだよ!
チック:ああ……思い出しただけで……良い夢が見られそうだよタック……じゅるり
タック:また寝ないでおくれよ、チック!
タック:君を起こすのにどれだけ苦労したと思っているんだい!?
:
チック:ああ……そうだ、タック。
タック:なんだい、チック。
チック:……口の中で、爆発したんだ。
タック:……ば、爆発!?
チック:濃厚で独特な、深い深い香りの爆弾が
チック:僕の口の中で、爆発したんだよ、タック。
タック:なんだ!ブルーチーズの感想か、びっくりしたよ、チック!
チック:タック、君はあの時、食べなかったのかい?
タック:チック、俺は食べちゃいないよ。
チック:なんだって!
チック:なんてもったいないことをするんだ!タック!
タック:まったくもう
タック:君が、厨房のど真ん中で
タック:ブルーチーズをかじって失神するから
タック:俺が一匹で君を、この隠れ家まで引きずってきてやったってのに!
0:タックは、腰に手を当てて、ぷんすかと頬を膨らませます。
チック:わあお
チック:僕はそんなところで寝ちゃったのかい?
チック:それはタック、君には迷惑をかけたね。
チック:いやいや、まさか僕がチーズを食べて失神しちゃうなんてね
チック:あのブルーチーズは罪深いよ。
:
タック:でもまあ、君が無事で何よりだ!
タック:さ、早く、このレストランから逃げよう!
チック:どうしてそんなに、君は慌てているんだい?
チック:噛み後が見つかっただけだろう?
チック:のんびりで良いじゃないか、ゆっくり行こうよ、タック。
タック:チック……
タック:ネズミの噛み後をみつけた人間の取る行動はひとつだ。
タック:じきに、ラットバスターズが……
0:ラットバスターズと言うのは、人間業界に根を張る、ネズミ駆除のプロフェッショナルの事のようです。
チック:……それで、タック。
チック:ブルーチーズはどこにあるんだい?
タック:……え?
チック:せっかく見つけたブルーチーズだからね
チック:当然、僕と一緒に持ってきてくれているんだろう?
タック:……
タック:チック。
チック:なんだい、タック。
タック:ブルーチーズは持ってきてないよ。
タック:君を一匹で、料理長に見つからないようにここまで運んでくるのが
タック:どれだけ大変だったか、君に想像が出来るかい?
:
0:チックは、タックの言葉を聞き、露骨に残念そうな顔をしました。
チック:……タック
タック:なんだい、チック。
チック:君の言葉を借りれば
チック:……これは大変なことになったみたいだ。
タック:そうさ、大変なことなんだ!
タック:早くここから逃げなきゃ!
チック:ちがうよタック!
チック:僕だけがブルーチーズを食べていて
チック:君がブルーチーズを食べていないなんて!これは大変なことだ!
タック:え!そっちかい!?
タック:それは別にそんなに大変なことじゃないよ、チック!
チック:タック!
チック:なにを言っているのさ、これは大変だ。
0:チックは、いつになく真剣な表情で言います。
タック:どうしてだい、チック。
タック:説明してくれるかい?
:
チック:いいとも!
チック:僕と君は、二匹で一匹だ、タック。そうだね。
タック:ああ、そうだろうとも。
チック:そんな二匹の片方がブルーチーズの味を知っていて
チック:もう片方が知らないなんて事になったら……
タック:それの何がそんなに大変なことなんだい!?
チック:これから先、どんなチーズを食べても
チック:きっと僕は、あのブルーチーズを引き合いに出すだろう。
チック:その味を君が知らないとなったら
チック:僕は君にチーズの味をどう表現したら良い?
チック:ああ、考えるだけで恐ろしい!
0:チックは、体をぷるぷると振るわせました。
:
タック:チック……
タック:君は俺にも、ブルーチーズを食べさせてくれようとしているんだね。
タック:でも大丈夫、これは仕方のないことだ。
タック:料理長に俺たちが捕まってしまったら
タック:ブルーチーズ以外のチーズも、食べれなくなっちゃうからな。
タック:それだけは、絶対に避けないと!
0:タックがブルーチーズはあきらめようと声をかけると
0:チックはそれに、両手をぱたぱたさせて、猛反発するのです。
チック:タック!諦めちゃダメだ!
チック:僕と君は、二匹で一匹だろう?
チック:同じチーズを、二匹で食べるんだよ、タック!
チック:僕も一口……いや、二口か三口くらいはもらうけど。
タック:チック、そっちが本音だな……!
チック:何を言っているのさ、タック。
チック:そんなことないに、決まってるじゃないか。
チック:まったくもう。失礼しちゃうな。
:
タック:でもわかったよ、チック。
タック:君がそこまで言うなら、ラットバスターズが来る前に
タック:ブルーチーズを少しいただいていこう。
チック:そうでなくっちゃ!タック!
チック:やっぱり君は、僕のことを分かってくれるいい相棒さ!
タック:なんか都合の良いように使われてる気がするなあ。
タック:でも、今はそんなこと考えていても仕方ない!
タック:大急ぎでブルーチーズまで行こう!チック!
チック:わかったよ!タック!
:
0:チックの頭に、ひらめきの電球がポコッと現れました。
チック:そうだ!僕に、良い考えがあるんだ!
タック:さすがチック!
タック:君はチーズが絡むと途端に頭が冴えるね!
チック:題して、ブルーチーズ大作戦さ!
:
チック:タック!耳を貸してくれるかい?
タック:ああ、いいとも!
0:チックとタックは、お互いに内緒話で
0:こそこそと作戦会議をはじめました。
チック:ええと……ごにょごにょ
タック:なるほど、つまり……ひそひそ
チック:ごにょごにょごにょ……
タック:ひそひそひそ……
チック:……で、最後にドカン!
タック:さっすがチック!
タック:おもしろいね!これなら料理長を出し抜けそうだ!
チック:でしょー!
チック:タック、君にブルーチーズを味わってもらうためさ!
チック:危険をかえりみず、頑張ろう!
タック:ラットバスターズが来るまでがタイムリミットだからな!チック!
タック:もし万が一、やつらが現れたら
タック:諦めて逃げることに徹するんだぞ!
チック:……不服だけど、わかったよ、タック。
タック:慎重に、かつ大胆に行くぞ!
チック:いつもどおりだね!
タック:ようし、それじゃあ早速!
チック:ブルーチーズ大作戦!
タック:スタートだー!!
チック:おー!!!!
:
0:間
:
0:チックとタックは、それぞれ自分の仕事を全うするために
0:それぞれレストランの厨房の、別々の場所まで走っていきました。
タック:(てってけ、とっとこタック走る。)
タック:ふう、ついた。
タック:この調理台を登って、隣の火の付いてないコンロの向こうに
タック:チックの言ってた、ダストシュートがあるんだな……
タック:登るのは得意なんだ、これくらいの調理台、あっという間さ!
タック:……よっと! よいしょ……よいしょ……
0:タックは、調理台をスムーズに登っていきます。
タック:よいしょ……よいしょ……
0:さすがはタック、よどみなく調理台を登りきることに成功しました。
タック:よーっと、ふう。
タック:これくらいおちゃのこさいさいさ。
タック:チックじゃ、途中でへばってたろうな!
タック:ここからなら、チックの様子も見れるぞ……!
タック:どれどれ、ええと、チックは……っと。
0:タックは、小さな手のひらを双眼鏡のようにして、チックを探します。
タック:あ、いたいた……
タック:ブルーチーズがしまってあった棚の前まではたどり着いてるみたいだ……
:
チック:んはあー
チック:いーい香り、ブルーチーズの香りだあ。
チック:でも困ったぞ、僕にはこの棚は、いささか高すぎるみたいだ。
チック:タックの登った調理台より、少し大きいんじゃないか?
チック:タックみたいに登り上手じゃないから、一苦労しそうだなあ。
0:チックは、ブルーチーズを目前に、棚の高さに愕然としています。
0:タックの登った調理台より、少し大きいのです。
0:普通のネズミであれば、お茶の子さいさいで登れるはずですが
0:いままでチーズばかり食べてきたお腹が、ネズミらしさを損なわせているのかもしれません。
チック:でも、これもブルーチーズのためだ
チック:がんばるぞー!おー!
0:チックは、棚の前に立てかけてあったホウキによじ登ります。
チック:この……立てかけてあるホウキを登れば……っと
チック:んよいしょ……こらしょ……えっこらしょ……よいしょ……
0:ちょっとずつのぼっては、少しずり落ちてを繰り返し
0:チックは、ブルーチーズが置いてある場所にたどり着きました。
チック:すごい時間が掛かっちゃったな……
チック:でも!この香り……ふわあ……
チック:ブルーチーズのかぐわしい香り……ああ……なんてこと……
チック:僕の鼻のひくひくが止まらないよ……
チック:ああ、体が勝手に!
チック:喜びで踊ってしまう~あ~ブルーチーズ~
0:チックは、ブルーチーズの目の前で、ゆらゆらふらふらと踊り始めました。
:
タック:な、なにやってるんだ、チック。
0:タックはと言うと、もうすでに、ダストシュートの前までたどり着いていて
0:なかなか来ないチックを心配そうに
0:また、手のひらを双眼鏡のようにして眺めているのです。
タック:俺はとっくに、ダストシュートまで走ってきてるってのに
タック:チーズの目の前で踊りだしたぞ!
タック:まったく!
タック:やっぱりチックと別れて行動するのは危険だったかもしれない!
タック:……
タック:でも、もう信じるしかないからな……!
タック:あとは、チックがこっちにブルーチーズを持ってきて
タック:俺がダストシュートを開けて、一緒に外に逃げるだけ!
タック:さ!はやくブルーチーズをこっちに持ってくるんだ!
タック:……ん?
タック:そういえば、どうやってブルーチーズをこっちに運ぶ予定なんだ?
タック:あの大きさのを、一匹でどうやって……!
タック:……!!!!
タック:あ゛!
タック:チックのやつ!まさか!!
:
チック:あむあむ(ひょいぱく……ひょいぱく)
0:チックは、ブルーチーズを細かくちぎっては、口の中に放り込んでいきます。
チック:ブルーチーズをちぎって、口の中に入れる幸せを
チック:こんなにたくさん体験できるなんて……夢みたいだ……
チック:あむあむ(ひょいぱく……ひょいぱく)
チック:ふわあ、なんて濃厚な味わい
チック:口の中が香りの爆弾でいっぱいだ……
チック:これは止まらないぞ……(ひょいぱく……ひょいぱく)
チック:うるさいタックがいないと、僕とチーズだけの幸せな空間が出来上がるなあ……
チック:あむあむ(ひょいぱく……ひょいぱく……)
0:見る見るうちに、こぶし大くらいのブルーチーズはなくなっていき
0:すべてが、チックの口の中に入りました。
チック:もごもご……もごもご……
チック:ようし!ブルーチーズは全部頬袋に入ったぞ!(口ぱんぱん)
チック:僕の頬袋の中は、チーズならいくらでも入っちゃうのさ!(口ぱんぱん)
0:ででーん!と、大きな顔でポーズを決めたとき
0:ガチャ……と音がして、コック帽子をかぶった料理長が、厨房に入ってきたのです。
チック:げ!!
:
タック:わああああ!!!
タック:料理長が入ってきた!!!
タック:あんな口いっぱいにチーズを詰め込んでたら!!!
タック:すぐに見つかっちまうよー!!!
0:タックは、頭を抱えてダストシュートのすぐそばで、パタパタと駆け回ります。
タック:どうしようどうしよう、どうしたらいい!どうしたらいい!
タック:えっと、ええと……!
タック:そうだ!もうこれしかない!一か八かだ!
0:何かをひらめいたタックは、大きな声でチックに声をかけます。
タック:チックー!!!聞こえるかー!
:
0:チックは、ずっと口がパンパンですが、
0:頬袋が普通のネズミの4倍以上大きいので、口がパンパンでも意外とスムーズにおしゃべりできるようです。
チック:タック、君の言葉を借りれば
チック:これは、大変なことになった。
チック:僕は、もう、おしまいみたいだ。
チック:おしまいなら……
チック:このブルーチーズ、僕が全部食べてしまっても、問題ないよね……
チック:君は……一匹で逃げておくれ…
0:部屋に入ってくる料理長を眺め、スローモーションで時が過ぎていく中
0:不意に、反対側のダストシュート側から、声が聞こえてきたのです。
タック:チック-!!!聞こえるかー!
タック:ホウキの先っちょにつかまって!!!
タック:ホウキが倒れるのを利用して!ダストシュートに入るんだ!!!
チック:ホウキの先っちょにつかまるだって……!
チック:まったく!僕があきらめようとしているのに!タック!
チック:君はいつだって、僕には無茶なことばかり言ってくれるね……!
チック:でも!君にブルーチーズを食べてもらうためだ!
チック:どんな無茶も!やって見せようじゃないか……!!
チック:……とう!!
0:チックは、ぱんぱんに膨らませた顔のまま、走っていき
0:ホウキの先っちょに飛びつきました。
0:ホウキが、チックの勢いで、ダストシュートのあるほうまで倒れていきます。
タック:ホウキの長さが足りない!!そこから飛ぶんだ!!!
チック:タック!君は無茶ばっかりだ!!!
タック:ダストシュートを開けるぞ!チック!いちにのさんで、ジャンプだぞ!
タック:顔からだと危ないから、お尻から飛ぶんだぞ!
チック:まったく!君は仕方のないネズミだな!
タック:いくぞ!いち!
チック:にの!
タック:さーん!
チック:……えーい!!!(ぴょーん!)
タック:よいしょ!(ダストシュートのふたを開ける)
チック:……ぐえ!
タック:わあ!チック!大丈夫かい!?
チック:いたたたた……僕、今どうなっているんだい?
タック:お尻は入ったけど……
タック:ほっぺたがパンパンで顔がダストシュートに挟まったみたいだ!
チック:な、なんてこった!
タック:チック、ブルーチーズは置いて行こう。
タック:大丈夫さ、俺がブルーチーズを食べたことがなくたって
タック:君が語るチーズの話は、ちゃんと理解できるから。
チック:ダメだよ、タック。
チック:僕と君は、二匹で一匹だろう?
チック:ブルーチーズは、君も食べないといけない。
:
タック:チック!!!料理長が俺たちに気づいたぞ!!!
タック:ほら、早く!
タック:わがままを言わずに、ブルーチーズを吐き出すんだ!
チック:わわわ!ほっぺたを押さないでおくれよ!!(もごもご)
チック:でちゃう!でちゃうからー!!
タック:えーーーーい!!!
チック:うわあああー!!!(口からブルーチーズがぽぽぽぽぽ……っと飛んでいく)
0:料理長が、悶え始めました。
0:ぽぽぽぽぽぽぽ……っと飛んで行ったブルーチーズが
0:二匹を捕まえようとしていた料理長の両目に直撃したのです。
タック:チックの口から飛び出したブルーチーズが!!
タック:料理長の目に直撃だー!!
チック:わあ!ブルーチーズがあああ!!
チック:タックーーー!落ちるよーーー!
タック:俺もすぐに落ちる!!先に落ちててくれー!!
チック:わあああああああああああああ!!!(ひゅーんと、ダストシュートに落ちていく)
タック:よし、じゃあ俺も!
タック:ん……これは……
タック:よし。
タック:……よーっと!!!
タック:うわああああああ!!!!(ひゅーんと、ダストシュートに落ちていく)
0:チックとタックは、ダストシュートの中へと、ひゅーんと落ちていったのでした。
:
0:間
:
0:ダストシュートから外に投げ出された二匹は
0:ゴミ袋の上に落っこちました。
0:ここは、レストランの外のごみ置き場のようです。
チック:あいたたた……タック、大丈夫かい?
タック:俺は大丈夫さ、ごみ袋がクッションになってくれたみたいだ。
タック:でもなんで、俺の方が後に落ちたのに
タック:君のおしりが、俺の顔の上にあるんだい?
チック:えへへ、途中でおなかが引っ掛かって止まってたのさ
タック:きみはもう少しだけ、やせたほうがいいと思うぞ!
チック:まったく!余計なことを言わないでくれるかい!
チック:でも、やっぱり
チック:僕の思った通り、外にあったゴミ置き場に落ちたね……
タック:なんとかなったみたいだね、よかったよ、チック。
チック:一件落着……と言いたいけど、ブルーチーズは全部出しちゃったみたいだ。
チック:タック、君にあの素晴らしい味を体験してもらうことはできそうにない……
:
0:タックが、ニコニコしながら、握りしめていた手を開きます。
タック:ふっふっふ。
チック:なんだい、タック、突然笑いだして。
タック:見てごらん!
タック:ひとかけらだけ、君の頬袋から飛び出たブルーチーズをキャッチしていたのさ!チック!
チック:わお!すごいじゃないか!タック!
タック:君が食べるかい、チック。
タック:すごいよだれだよ。
チック:いや……そんな……そりゃあ……僕だってたべたいよ?じゅるり。
チック:でも、それはタック、君が食べるべきだ。
タック:俺たちは、二匹で一匹だもんな。
チック:うん。ささ、どうぞ、僕の気が変わらないうちに……じゅるり。
タック:ようし、それじゃあ……
タック:いただきます。
タック:ぱくっ!
タック:……あ……おいし……
タック:頭がふらふらして……
タック:わああああおいしい……俺はもうダメみたいだ……(ばたんきゅー)
0:タックは、ブルーチーズを一切れ食べると。
0:ふらふらしだして、そのまま気を失ってしまいました。
チック:そうだろうとも、おいしいだろうとも、タック。
チック:タック?
チック:あ、タック……!タック!
チック:タックー!!!君は一口でダメだったかー!!!
チック:タックううううう!起きるんだ!タック!タックってば!!!
チック:タックってばーーーー!!!!
0:ごみ置き場で、チックの叫び声が響いたのでした。
:
:
タック:おしまい!!
:
:
0:めでたし、めでたし。
:
0:タイトルコール
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タック:「チックタックのーー!!」
チック:「ブルーチーズ大作戦!!!」
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0:間
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0:とあるレストランの、厨房の棚の下。
0:薄暗い隅っこの方で、ネズミのタックが、チックを揺さぶって起こそうとしています。
タック:おーい!チック!
タック:チック!起きてくれ!大変だ!大変なことになった!
タック:チック!チックってば!チック!
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チック:んぅ……ふわあ。
タック:チック!起きたかい!
タック:大変なんだ!早くここから逃げなきゃ!
チック:……むにゃむにゃ
チック:……まだ、食べられるよ……
タック:まったくもう!まだ寝てるのかい!
タック:ああ、もう!
タック:大変だってのに、なんだってこんな状況で寝れるんだい、チック!
タック:ここがどこなのか、もう忘れちゃったのか?
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0:チックは、目をぱちくりとして、ゆっくりと上半身まで起こして
0:もう一度、寝っ転がりました。
チック:……ふわあ。
チック:なんだい、タック……朝っぱらから……
チック:僕はもうちょっと寝させてもらうよ……今良いところなんだ。
タック:チック!ダメだ!早く起きるんだ!
チック:なんでだい、タック。
チック:それじゃあ君に、山より大きなパルメザンチーズが用意出来るってのかい?
タック:何の話かまったく分からないよ!チック!
タック:夢の話は後で聞くから、早く起きるんだ!
タック:見つかっちゃったんだよ!君が昨日かじったチーズの噛み後が!
タック:このレストランの、料理長に!
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チック:僕が昨日かじった……
チック:ああ!あのとんでもなくおいしいブルーチーズの事かい?
0:チックは、素敵な思い出を思い返すように、目をぱちくりさせました。
タック:ああそうさ!
タック:君ほどのチーズ好きが!たったの3口で!おいしさのあまり失神した!
タック:あの、ブルーチーズのことだよ!
チック:ああ……思い出しただけで……良い夢が見られそうだよタック……じゅるり
タック:また寝ないでおくれよ、チック!
タック:君を起こすのにどれだけ苦労したと思っているんだい!?
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チック:ああ……そうだ、タック。
タック:なんだい、チック。
チック:……口の中で、爆発したんだ。
タック:……ば、爆発!?
チック:濃厚で独特な、深い深い香りの爆弾が
チック:僕の口の中で、爆発したんだよ、タック。
タック:なんだ!ブルーチーズの感想か、びっくりしたよ、チック!
チック:タック、君はあの時、食べなかったのかい?
タック:チック、俺は食べちゃいないよ。
チック:なんだって!
チック:なんてもったいないことをするんだ!タック!
タック:まったくもう
タック:君が、厨房のど真ん中で
タック:ブルーチーズをかじって失神するから
タック:俺が一匹で君を、この隠れ家まで引きずってきてやったってのに!
0:タックは、腰に手を当てて、ぷんすかと頬を膨らませます。
チック:わあお
チック:僕はそんなところで寝ちゃったのかい?
チック:それはタック、君には迷惑をかけたね。
チック:いやいや、まさか僕がチーズを食べて失神しちゃうなんてね
チック:あのブルーチーズは罪深いよ。
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タック:でもまあ、君が無事で何よりだ!
タック:さ、早く、このレストランから逃げよう!
チック:どうしてそんなに、君は慌てているんだい?
チック:噛み後が見つかっただけだろう?
チック:のんびりで良いじゃないか、ゆっくり行こうよ、タック。
タック:チック……
タック:ネズミの噛み後をみつけた人間の取る行動はひとつだ。
タック:じきに、ラットバスターズが……
0:ラットバスターズと言うのは、人間業界に根を張る、ネズミ駆除のプロフェッショナルの事のようです。
チック:……それで、タック。
チック:ブルーチーズはどこにあるんだい?
タック:……え?
チック:せっかく見つけたブルーチーズだからね
チック:当然、僕と一緒に持ってきてくれているんだろう?
タック:……
タック:チック。
チック:なんだい、タック。
タック:ブルーチーズは持ってきてないよ。
タック:君を一匹で、料理長に見つからないようにここまで運んでくるのが
タック:どれだけ大変だったか、君に想像が出来るかい?
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0:チックは、タックの言葉を聞き、露骨に残念そうな顔をしました。
チック:……タック
タック:なんだい、チック。
チック:君の言葉を借りれば
チック:……これは大変なことになったみたいだ。
タック:そうさ、大変なことなんだ!
タック:早くここから逃げなきゃ!
チック:ちがうよタック!
チック:僕だけがブルーチーズを食べていて
チック:君がブルーチーズを食べていないなんて!これは大変なことだ!
タック:え!そっちかい!?
タック:それは別にそんなに大変なことじゃないよ、チック!
チック:タック!
チック:なにを言っているのさ、これは大変だ。
0:チックは、いつになく真剣な表情で言います。
タック:どうしてだい、チック。
タック:説明してくれるかい?
:
チック:いいとも!
チック:僕と君は、二匹で一匹だ、タック。そうだね。
タック:ああ、そうだろうとも。
チック:そんな二匹の片方がブルーチーズの味を知っていて
チック:もう片方が知らないなんて事になったら……
タック:それの何がそんなに大変なことなんだい!?
チック:これから先、どんなチーズを食べても
チック:きっと僕は、あのブルーチーズを引き合いに出すだろう。
チック:その味を君が知らないとなったら
チック:僕は君にチーズの味をどう表現したら良い?
チック:ああ、考えるだけで恐ろしい!
0:チックは、体をぷるぷると振るわせました。
:
タック:チック……
タック:君は俺にも、ブルーチーズを食べさせてくれようとしているんだね。
タック:でも大丈夫、これは仕方のないことだ。
タック:料理長に俺たちが捕まってしまったら
タック:ブルーチーズ以外のチーズも、食べれなくなっちゃうからな。
タック:それだけは、絶対に避けないと!
0:タックがブルーチーズはあきらめようと声をかけると
0:チックはそれに、両手をぱたぱたさせて、猛反発するのです。
チック:タック!諦めちゃダメだ!
チック:僕と君は、二匹で一匹だろう?
チック:同じチーズを、二匹で食べるんだよ、タック!
チック:僕も一口……いや、二口か三口くらいはもらうけど。
タック:チック、そっちが本音だな……!
チック:何を言っているのさ、タック。
チック:そんなことないに、決まってるじゃないか。
チック:まったくもう。失礼しちゃうな。
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タック:でもわかったよ、チック。
タック:君がそこまで言うなら、ラットバスターズが来る前に
タック:ブルーチーズを少しいただいていこう。
チック:そうでなくっちゃ!タック!
チック:やっぱり君は、僕のことを分かってくれるいい相棒さ!
タック:なんか都合の良いように使われてる気がするなあ。
タック:でも、今はそんなこと考えていても仕方ない!
タック:大急ぎでブルーチーズまで行こう!チック!
チック:わかったよ!タック!
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0:チックの頭に、ひらめきの電球がポコッと現れました。
チック:そうだ!僕に、良い考えがあるんだ!
タック:さすがチック!
タック:君はチーズが絡むと途端に頭が冴えるね!
チック:題して、ブルーチーズ大作戦さ!
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チック:タック!耳を貸してくれるかい?
タック:ああ、いいとも!
0:チックとタックは、お互いに内緒話で
0:こそこそと作戦会議をはじめました。
チック:ええと……ごにょごにょ
タック:なるほど、つまり……ひそひそ
チック:ごにょごにょごにょ……
タック:ひそひそひそ……
チック:……で、最後にドカン!
タック:さっすがチック!
タック:おもしろいね!これなら料理長を出し抜けそうだ!
チック:でしょー!
チック:タック、君にブルーチーズを味わってもらうためさ!
チック:危険をかえりみず、頑張ろう!
タック:ラットバスターズが来るまでがタイムリミットだからな!チック!
タック:もし万が一、やつらが現れたら
タック:諦めて逃げることに徹するんだぞ!
チック:……不服だけど、わかったよ、タック。
タック:慎重に、かつ大胆に行くぞ!
チック:いつもどおりだね!
タック:ようし、それじゃあ早速!
チック:ブルーチーズ大作戦!
タック:スタートだー!!
チック:おー!!!!
:
0:間
:
0:チックとタックは、それぞれ自分の仕事を全うするために
0:それぞれレストランの厨房の、別々の場所まで走っていきました。
タック:(てってけ、とっとこタック走る。)
タック:ふう、ついた。
タック:この調理台を登って、隣の火の付いてないコンロの向こうに
タック:チックの言ってた、ダストシュートがあるんだな……
タック:登るのは得意なんだ、これくらいの調理台、あっという間さ!
タック:……よっと! よいしょ……よいしょ……
0:タックは、調理台をスムーズに登っていきます。
タック:よいしょ……よいしょ……
0:さすがはタック、よどみなく調理台を登りきることに成功しました。
タック:よーっと、ふう。
タック:これくらいおちゃのこさいさいさ。
タック:チックじゃ、途中でへばってたろうな!
タック:ここからなら、チックの様子も見れるぞ……!
タック:どれどれ、ええと、チックは……っと。
0:タックは、小さな手のひらを双眼鏡のようにして、チックを探します。
タック:あ、いたいた……
タック:ブルーチーズがしまってあった棚の前まではたどり着いてるみたいだ……
:
チック:んはあー
チック:いーい香り、ブルーチーズの香りだあ。
チック:でも困ったぞ、僕にはこの棚は、いささか高すぎるみたいだ。
チック:タックの登った調理台より、少し大きいんじゃないか?
チック:タックみたいに登り上手じゃないから、一苦労しそうだなあ。
0:チックは、ブルーチーズを目前に、棚の高さに愕然としています。
0:タックの登った調理台より、少し大きいのです。
0:普通のネズミであれば、お茶の子さいさいで登れるはずですが
0:いままでチーズばかり食べてきたお腹が、ネズミらしさを損なわせているのかもしれません。
チック:でも、これもブルーチーズのためだ
チック:がんばるぞー!おー!
0:チックは、棚の前に立てかけてあったホウキによじ登ります。
チック:この……立てかけてあるホウキを登れば……っと
チック:んよいしょ……こらしょ……えっこらしょ……よいしょ……
0:ちょっとずつのぼっては、少しずり落ちてを繰り返し
0:チックは、ブルーチーズが置いてある場所にたどり着きました。
チック:すごい時間が掛かっちゃったな……
チック:でも!この香り……ふわあ……
チック:ブルーチーズのかぐわしい香り……ああ……なんてこと……
チック:僕の鼻のひくひくが止まらないよ……
チック:ああ、体が勝手に!
チック:喜びで踊ってしまう~あ~ブルーチーズ~
0:チックは、ブルーチーズの目の前で、ゆらゆらふらふらと踊り始めました。
:
タック:な、なにやってるんだ、チック。
0:タックはと言うと、もうすでに、ダストシュートの前までたどり着いていて
0:なかなか来ないチックを心配そうに
0:また、手のひらを双眼鏡のようにして眺めているのです。
タック:俺はとっくに、ダストシュートまで走ってきてるってのに
タック:チーズの目の前で踊りだしたぞ!
タック:まったく!
タック:やっぱりチックと別れて行動するのは危険だったかもしれない!
タック:……
タック:でも、もう信じるしかないからな……!
タック:あとは、チックがこっちにブルーチーズを持ってきて
タック:俺がダストシュートを開けて、一緒に外に逃げるだけ!
タック:さ!はやくブルーチーズをこっちに持ってくるんだ!
タック:……ん?
タック:そういえば、どうやってブルーチーズをこっちに運ぶ予定なんだ?
タック:あの大きさのを、一匹でどうやって……!
タック:……!!!!
タック:あ゛!
タック:チックのやつ!まさか!!
:
チック:あむあむ(ひょいぱく……ひょいぱく)
0:チックは、ブルーチーズを細かくちぎっては、口の中に放り込んでいきます。
チック:ブルーチーズをちぎって、口の中に入れる幸せを
チック:こんなにたくさん体験できるなんて……夢みたいだ……
チック:あむあむ(ひょいぱく……ひょいぱく)
チック:ふわあ、なんて濃厚な味わい
チック:口の中が香りの爆弾でいっぱいだ……
チック:これは止まらないぞ……(ひょいぱく……ひょいぱく)
チック:うるさいタックがいないと、僕とチーズだけの幸せな空間が出来上がるなあ……
チック:あむあむ(ひょいぱく……ひょいぱく……)
0:見る見るうちに、こぶし大くらいのブルーチーズはなくなっていき
0:すべてが、チックの口の中に入りました。
チック:もごもご……もごもご……
チック:ようし!ブルーチーズは全部頬袋に入ったぞ!(口ぱんぱん)
チック:僕の頬袋の中は、チーズならいくらでも入っちゃうのさ!(口ぱんぱん)
0:ででーん!と、大きな顔でポーズを決めたとき
0:ガチャ……と音がして、コック帽子をかぶった料理長が、厨房に入ってきたのです。
チック:げ!!
:
タック:わああああ!!!
タック:料理長が入ってきた!!!
タック:あんな口いっぱいにチーズを詰め込んでたら!!!
タック:すぐに見つかっちまうよー!!!
0:タックは、頭を抱えてダストシュートのすぐそばで、パタパタと駆け回ります。
タック:どうしようどうしよう、どうしたらいい!どうしたらいい!
タック:えっと、ええと……!
タック:そうだ!もうこれしかない!一か八かだ!
0:何かをひらめいたタックは、大きな声でチックに声をかけます。
タック:チックー!!!聞こえるかー!
:
0:チックは、ずっと口がパンパンですが、
0:頬袋が普通のネズミの4倍以上大きいので、口がパンパンでも意外とスムーズにおしゃべりできるようです。
チック:タック、君の言葉を借りれば
チック:これは、大変なことになった。
チック:僕は、もう、おしまいみたいだ。
チック:おしまいなら……
チック:このブルーチーズ、僕が全部食べてしまっても、問題ないよね……
チック:君は……一匹で逃げておくれ…
0:部屋に入ってくる料理長を眺め、スローモーションで時が過ぎていく中
0:不意に、反対側のダストシュート側から、声が聞こえてきたのです。
タック:チック-!!!聞こえるかー!
タック:ホウキの先っちょにつかまって!!!
タック:ホウキが倒れるのを利用して!ダストシュートに入るんだ!!!
チック:ホウキの先っちょにつかまるだって……!
チック:まったく!僕があきらめようとしているのに!タック!
チック:君はいつだって、僕には無茶なことばかり言ってくれるね……!
チック:でも!君にブルーチーズを食べてもらうためだ!
チック:どんな無茶も!やって見せようじゃないか……!!
チック:……とう!!
0:チックは、ぱんぱんに膨らませた顔のまま、走っていき
0:ホウキの先っちょに飛びつきました。
0:ホウキが、チックの勢いで、ダストシュートのあるほうまで倒れていきます。
タック:ホウキの長さが足りない!!そこから飛ぶんだ!!!
チック:タック!君は無茶ばっかりだ!!!
タック:ダストシュートを開けるぞ!チック!いちにのさんで、ジャンプだぞ!
タック:顔からだと危ないから、お尻から飛ぶんだぞ!
チック:まったく!君は仕方のないネズミだな!
タック:いくぞ!いち!
チック:にの!
タック:さーん!
チック:……えーい!!!(ぴょーん!)
タック:よいしょ!(ダストシュートのふたを開ける)
チック:……ぐえ!
タック:わあ!チック!大丈夫かい!?
チック:いたたたた……僕、今どうなっているんだい?
タック:お尻は入ったけど……
タック:ほっぺたがパンパンで顔がダストシュートに挟まったみたいだ!
チック:な、なんてこった!
タック:チック、ブルーチーズは置いて行こう。
タック:大丈夫さ、俺がブルーチーズを食べたことがなくたって
タック:君が語るチーズの話は、ちゃんと理解できるから。
チック:ダメだよ、タック。
チック:僕と君は、二匹で一匹だろう?
チック:ブルーチーズは、君も食べないといけない。
:
タック:チック!!!料理長が俺たちに気づいたぞ!!!
タック:ほら、早く!
タック:わがままを言わずに、ブルーチーズを吐き出すんだ!
チック:わわわ!ほっぺたを押さないでおくれよ!!(もごもご)
チック:でちゃう!でちゃうからー!!
タック:えーーーーい!!!
チック:うわあああー!!!(口からブルーチーズがぽぽぽぽぽ……っと飛んでいく)
0:料理長が、悶え始めました。
0:ぽぽぽぽぽぽぽ……っと飛んで行ったブルーチーズが
0:二匹を捕まえようとしていた料理長の両目に直撃したのです。
タック:チックの口から飛び出したブルーチーズが!!
タック:料理長の目に直撃だー!!
チック:わあ!ブルーチーズがあああ!!
チック:タックーーー!落ちるよーーー!
タック:俺もすぐに落ちる!!先に落ちててくれー!!
チック:わあああああああああああああ!!!(ひゅーんと、ダストシュートに落ちていく)
タック:よし、じゃあ俺も!
タック:ん……これは……
タック:よし。
タック:……よーっと!!!
タック:うわああああああ!!!!(ひゅーんと、ダストシュートに落ちていく)
0:チックとタックは、ダストシュートの中へと、ひゅーんと落ちていったのでした。
:
0:間
:
0:ダストシュートから外に投げ出された二匹は
0:ゴミ袋の上に落っこちました。
0:ここは、レストランの外のごみ置き場のようです。
チック:あいたたた……タック、大丈夫かい?
タック:俺は大丈夫さ、ごみ袋がクッションになってくれたみたいだ。
タック:でもなんで、俺の方が後に落ちたのに
タック:君のおしりが、俺の顔の上にあるんだい?
チック:えへへ、途中でおなかが引っ掛かって止まってたのさ
タック:きみはもう少しだけ、やせたほうがいいと思うぞ!
チック:まったく!余計なことを言わないでくれるかい!
チック:でも、やっぱり
チック:僕の思った通り、外にあったゴミ置き場に落ちたね……
タック:なんとかなったみたいだね、よかったよ、チック。
チック:一件落着……と言いたいけど、ブルーチーズは全部出しちゃったみたいだ。
チック:タック、君にあの素晴らしい味を体験してもらうことはできそうにない……
:
0:タックが、ニコニコしながら、握りしめていた手を開きます。
タック:ふっふっふ。
チック:なんだい、タック、突然笑いだして。
タック:見てごらん!
タック:ひとかけらだけ、君の頬袋から飛び出たブルーチーズをキャッチしていたのさ!チック!
チック:わお!すごいじゃないか!タック!
タック:君が食べるかい、チック。
タック:すごいよだれだよ。
チック:いや……そんな……そりゃあ……僕だってたべたいよ?じゅるり。
チック:でも、それはタック、君が食べるべきだ。
タック:俺たちは、二匹で一匹だもんな。
チック:うん。ささ、どうぞ、僕の気が変わらないうちに……じゅるり。
タック:ようし、それじゃあ……
タック:いただきます。
タック:ぱくっ!
タック:……あ……おいし……
タック:頭がふらふらして……
タック:わああああおいしい……俺はもうダメみたいだ……(ばたんきゅー)
0:タックは、ブルーチーズを一切れ食べると。
0:ふらふらしだして、そのまま気を失ってしまいました。
チック:そうだろうとも、おいしいだろうとも、タック。
チック:タック?
チック:あ、タック……!タック!
チック:タックー!!!君は一口でダメだったかー!!!
チック:タックううううう!起きるんだ!タック!タックってば!!!
チック:タックってばーーーー!!!!
0:ごみ置き場で、チックの叫び声が響いたのでした。
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タック:おしまい!!
:
:
0:めでたし、めでたし。
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