台本概要

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タイトル Fighting Nurse ~ケースA_蓮沼瑞穂の場合~
作者名 Danzig
ジャンル その他
演者人数 2人用台本(男1、女1) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 汐崎(しおざき)総合病院、個人経営の中規模な大きさの病院
見た目はごく普通の病院だが、ここには特殊病棟がある。
そこに勤務する看護師の話。


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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
蓮沼 87 蓮沼 瑞穂(はすぬま みずほ) 看護師
佐藤 84 佐藤健太(さとうけんた) 入院患者
西村 6 西村 麻里(にしむら まり) 蓮沼と同じ看護師
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
:Fighting Nurse(ファイティング・ナース) :ファイルA :蓮沼 瑞穂(はすぬま みずほ)のケース。 : : 蓮沼(M):ここは、汐崎(しおざき)総合病院、個人経営の中規模な大きさの病院。 蓮沼(M):見た目はごく普通の病院だけど、ここには特殊病棟があり、この特殊病棟に入院する人間はみな、ちょっと特殊なやつばかり・・・ : :(院長室での会話) : 蓮沼:院長、今日、うちに入院患者が来るんですか? 蓮沼:へー、で、今回はどんな・・・・え? チンピラ? 蓮沼:普通のチンピラがうちに来るんですか? ・・・そうですか・・・ : : 蓮沼(M):院長からは、詳しい事情は教えて貰えなかったが、なんでも警察からの依頼があったという事らしい 蓮沼(M):犯罪関連の患者なら、普通は警察病院に入院させると思うんだけど・・・ 蓮沼(M):そう思ってたところへ、患者が運ばれてきた。 : 佐藤:放せよ、放せっつってんだろが! 佐藤:痛ててて・・・痛てぇだろうが! 気安く俺に触るんじゃねぇよ、向こう行け、クソが! : : 蓮沼:おやおや、今度の患者さんは随分元気がいいんだね。 蓮沼:(患者を運んできた救急車の隊員に向かって) 蓮沼: 蓮沼:患者の搬送(はんそう)ご苦労様です。 蓮沼:後はこちらでやりますから、もう大丈夫です。 蓮沼:ええ、連絡簿も私が預かっておきます、はい、有難うございました。 蓮沼: 蓮沼:さて、じゃぁ患者さん、早速病室に行こうか : 佐藤:何だよてめぇは : 蓮沼:私はここの看護師だよ 蓮沼:ここでは私が、あんたの面倒を見るのさ 蓮沼:しかし、拘束器具(こうそくきぐ)を付けられて搬送(はんそう)だなんて、あんた、随分暴れたんだね。 : 佐藤:うるせぇ! : 蓮沼:まぁいいさ、ここでは大人しくしてなさいよ 蓮沼:さぁ、病室まで連れて行こうか、このストレッチャーのままでね : :(ストレッチャーを動かす蓮沼) : 佐藤:ちょっ、どこに連れて行くんだよ 佐藤:ここから降ろせよ! おい、聞いてんのかよ、降ろせって : 蓮沼:病室に着いたら降ろしてあげるさ : 佐藤:てめぇ、こんな事してタダで済むと思ってんのかよ、おい、聞いてんのか、ごらぁ 降ろせ! : :(病室につく) : 蓮沼:さぁ、着いたよ。 ここがあんたの病室。 蓮沼:自分でベッドに移動できるね : 佐藤:出来ねぇ、 : 蓮沼:どうしてさ、ストレッチャーを、ベッドの横に付けてあげてるんだから、そのまま横に移動するだけだろ? : 佐藤:出来ねぇっつってんだろ、俺は怪我人だぞ、お前が俺を抱きかかえて、ベッドまで運べよ : 蓮沼:あっそ、じゃぁ、このまま転がすけど、それでいいんだね。 : 佐藤:チッ!  佐藤:分かったよ、自分で移動すりゃいいんだろ。 佐藤:じゃぁ、自分で移動するから、まず、この拘束器具を外せよ : 蓮沼:外すのはいいけど、暴れるんじゃないよ : 佐藤:分かったよ、分かったから外せよ : :(拘束器具を外す蓮沼) : 蓮沼:ほら、取れたよ、これで動けるだろ : 佐藤:ふー、やっと外れたぜ、窮屈(きゅうくつ)な想いさせやがって・・・ 佐藤:へへへ、器具が取れりゃこっちのもんよ 佐藤:おめぇにも世話になったな、これはそのお礼だ! : :(看護師に殴りかかる佐藤)、 : 佐藤:痛たたたたたた・・・ 佐藤:何すんだよ!、放せ・・・たたたた・・・ : :(パンチをかわされ、逆に腕をひねられる) : 蓮沼:さっき、暴れるなって言っただろ? 蓮沼:それに、女に手を上げるなんて、あんた最低だな : 佐藤:人の手を捻(ひね)り上げといて、何言ってやがる : 蓮沼:何? これじゃ足らないのかい? : :(もっと捻り上げる) : 佐藤:痛い痛い痛い痛い・・・おい、それが、怪我人に対する態度かよ : 蓮沼:怪我人なら、怪我人らしく、ちゃんとベッドに移動しなさい : 佐藤:分かったよ、分かったから、放せよ : 蓮沼:放したらちゃんとベッドに行く? ん? : 佐藤:痛たたた・・行くよ、行くから、放してくれよ : 蓮沼:・・・ほら : :(手を離す蓮沼) : 佐藤:・・・・ : 蓮沼:放してあげたんだから、大人しくベッドに行きなさい : 佐藤:チッ、分かったよ・・・よっ・・と・・ : :(ベッドに寝転ぶ佐藤) : 蓮沼:そう、そうやって大人しくしてるんだよ 蓮沼: 蓮沼:えーっと、これが、連絡簿(れんらくぼ)だね・・・これによると・・・なになに 蓮沼:佐藤健太(さとうけんた)、28歳・・無職 蓮沼:で・・・怪我は、全身打撲と、左足骨折か・・・ 蓮沼:これは、階段から転げ落ちたってとこか : 佐藤:ふん、放っとけ : 蓮沼:ところで、あんた、何やったのさ : 佐藤:何って何だよ? : 蓮沼:あんたは、もともと警察病院に行くはずの患者だったんだよ。 蓮沼:そういう人間は、大概(たいがい)何かやらかしてるし、ここに来る患者は、それに加えてもっと変な事情を抱えてる人間が多いのさ : 佐藤:知らねぇよ : 蓮沼:ふーん : 佐藤:何だよ : 蓮沼:別に話したくなけりゃ、話さなくてもいいさ、個人情報ってやつだからね。 蓮沼:でも、ここは病院 蓮沼:黙ってちゃ、助かるもんも助からなくなる事だってあるんだよ : 佐藤:・・・・・ : 蓮沼:まぁ好きにすればいいよ : 佐藤:・・・あんた、変わった看護師だな : 蓮沼:そう? ごく普通の看護師でしょ : 佐藤:んな訳あるかよ・・・・ところで、あんた名前は? : 蓮沼:私? 私は蓮沼(はすぬま)、胸のバッチにもそう書いてあるだろ? : 佐藤:へー、はすぬ・・・痛たたたたた : 蓮沼:女性の胸に気安く手を伸ばすんじゃないよ : 佐藤:たたたた・・・わかった、わかったよ : 蓮沼:ったく : 佐藤:ふーててて・・・ 佐藤:へへへ、「蓮沼」だな、覚えたぞ : 蓮沼:あそ、そりゃ、どうも : 佐藤:ふん、今のうちにせいぜい強がってるがいいぜ、 佐藤:俺に手を出したらどうなるか、そのうち思い知る事になると思うぜ、蓮沼さんよぉ : 蓮沼:おー、怖い怖い、怖いから思わずフラフラしちゃて・・・ : 佐藤:痛たたたたた、何しやがんだよ : 蓮沼:おや、怪我した場所だったね、ごめんごめん 蓮沼:つい怖くて、ふら付いちゃった : 佐藤:チッ・・・白々しい 佐藤:おめえ、覚えてろよ : : :(その日の夜、夜道を歩く蓮沼) : 蓮沼:じゃぁお先に失礼します 蓮沼:あー、ようやく帰れるよ、今日は遅くなったから、コンビニで何か買って帰るかな : :(物陰から出てきた男に囲まれる) : 蓮沼:ん?ちょっと・・何? あんた達、物陰からもそもそ出てきて 蓮沼:道を塞いだら通れないでしょ・・・邪魔だからどいてくんない? 蓮沼:え? 確かに私は蓮沼だけど、どうして私の名前を知ってるのさ・・ 蓮沼:1,2,3、・・・6人で寄ってたかって女性を囲むなんて、どういうつもり? : :(次の日) : 西村:佐藤さ~ん、朝の検温ですよ : 佐藤:あぁ・・ : 西村:はい、じゃぁこの体温計を脇に挟んでくださいね。 : :(体温計を脇に挟む佐藤) : 佐藤:そういえばよぉ、蓮沼っていう看護師はどうしてる? : 西村:蓮沼さん? まだ交代時間じゃないので来てませんよ? : 佐藤:へへへ、そうかい、だが、蓮沼っていう看護師は、今日は来ねぇと思うぜ : 西村:あら、どうして分かるんですか? : 佐藤:昨日の帰り道で、俺の仲間達に囲まれたはずだ、今頃、どこかの病院か、ひょっとしたら、その辺りで死んでるかもな : 西村:まぁ、可哀想に・・・ : 佐藤:だろ? 佐藤:あんたも痛い目に会いたくなかったら、俺に逆らわない方が身のためだぜ : 西村:いや、可哀想というのは、あなたのお仲間の方よ : 佐藤:何・・・おめぇ何言ってやがる、こっちは何人もいるんだぞ、あいつが幾ら強いからって・・・ : 蓮沼:佐藤さ~ん、朝の注射のお時間ですよ : 佐藤:何・・・蓮沼・・・どうしてお前が、ここにいるんだよ : 蓮沼:どうしてって、これが仕事だからね : 佐藤:そうじゃねぇよ、お前、昨日男達に囲まれたはずだろ・・・ : 蓮沼:あぁ、あれはやっぱりあんたの仕業だったのか 蓮沼:どうせ、そんな事だろと思ったよ 蓮沼:その連中なら、今頃は、どこかの病院にいるだろうね : 佐藤:そんな馬鹿な・・・ : 蓮沼:さて、まずは携帯電話は没収させてもらおうかな : 佐藤:あ、何しやがる、返せよ! : 蓮沼:ここは病院だから携帯電話は禁止 蓮沼:退院の時に返してあげるさ、麻里(まり)、これ持って行って頂戴 : 佐藤:ちょっ・・待て、返せって! : 蓮沼:さてと・・・ : 佐藤:な・・・何だよ・・・ : 蓮沼:悪戯(いたずら)をするような悪い子には、注射の前に、昨日のオイタのお仕置きをしなきゃね 蓮沼:二度と、こういう事をしようと思わないくらいにね : 佐藤:ちょっと待て・・・待ってくれよ・・・悪かった、悪かったって : 蓮沼:ダメだね、あんたのようなチンピラは、身体で分からせないとな : 佐藤:そんな・・おい、そこの看護師さん、助けてくれよ 佐藤:ちょっと看護師さん、どこ行くんだよ・・・・行くなよ・・助けてくれよ : 蓮沼:さて・・・大人しくしてなさい : 佐藤:痛たたたたた・・・ひぃ・・・助け・・・痛い痛い痛い痛い・・ : :(その少し後、すっかり大人しくなった佐藤の包帯を変えながら話をする二人) : 蓮沼:はい、次はそっちの腕の包帯変えるから : 佐藤:あぁ・・・ : :(包帯を変える蓮沼) : 蓮沼:で、あんたは運び屋をやってたの : 佐藤:あぁ・・ : 蓮沼:それで、やばい物運んで、警察に追われたと : 佐藤:あぁ・・・それで逃げる時に階段踏み外しちまってよ・・・このザマだよ・・ : 蓮沼:そういう事か・・・ 蓮沼:まぁ、お説教をする訳じゃないけど、なんでそんな仕事をしたのさ : 佐藤:金が要るんだよ・・・結構な額の金が : 蓮沼:どうしているのよ : 佐藤:うちのチームの家族がよ、何か難しい病気になっちまったみたいでよぉ 佐藤:その治療費に・・・ 佐藤:俺、チームのリーダーだし、俺が稼(かせ)いでやらないとと思って・・・ : 蓮沼:へー、案外いいとこもあるんだね。 蓮沼:はい、包帯おわり! : :(ぺちっと叩く) : 佐藤:痛っ・・・もっと優しくしてくれよ : 蓮沼:あんたが全部話したら、もう少し優しくしてあげるよ : 佐藤:全部ってなんだよ・・・話したじゃねぇかよ : 蓮沼:ふーん : 佐藤:何だよ、ふーんって、俺が何を隠してるって言うんだよ : 蓮沼:そんな程度の話なら、あんたは今頃、警察病院にいるんだよ 蓮沼:この病院に来たって事は、もっと他に理由があるって事 : 佐藤:し、知らねぇよ、そんな事・・・ 佐藤:例え知ってたって・・・言わねぇから・・ : 蓮沼:あっそ、まぁいいさ、私には関係ない事だしね 蓮沼:まぁ、あんたは大人しく、治療に専念するんだね。 : 佐藤:あぁ・・・分かってるよ・・・ : : :(そして、その日の帰り) : 蓮沼:じゃぁお先に失礼します 蓮沼:んー、今日は久しぶりに早く帰れるし、帰ったら録りためておいたドラマでも見るかなぁ : :(帰り道、数人の男に囲まれる) : 蓮沼:ん? 何よあんた達、いきなり現れて・・・ 蓮沼:それに、みんな同じような恰好して・・気持ち悪い 蓮沼: 蓮沼:この前のチンピラとは違いそうだね・・・それに、どう見ても堅気(かたぎ)な商売には見えないけど : :(男が蓮沼に話しかける) : 蓮沼:え? 佐藤健太(さとうけんた)? 蓮沼:その人がどうかしたの? : :(男が話す) : 蓮沼:うちの病院に居るかって? 蓮沼:あのね、私達看護師には『守秘義務(しゅひぎむ)』ってのがあるのさ 蓮沼:その人を知っているかどうかも言えないね 蓮沼: 蓮沼:ちょっと、何よ、放しなさいよ・・・ : :(数分後) : 蓮沼:ふー・・・あぁーあ、服が汚れちゃったじゃない、ったく 蓮沼:でも、何となく黒幕っぽいのが分かって来たな。 蓮沼:それにしても、うちの院長、この事知ってたな・・・あのタヌキめ・・・ : :(次の日) : 蓮沼:佐藤さ~ん、検温のお時間ですよ : 佐藤:なんだよ、まだそんな時間じゃないだろ? : 蓮沼:あんたに聞きたい事があって来たんだよ : 佐藤:なんだよ聞きたい事って・・・俺はもう何も話す事なんてねぇぞ : 蓮沼:あんた、運び屋で何運んだのさ : 佐藤:知らねぇよ、中身は見るなって言われてたし : 蓮沼:あそう・・・ 蓮沼:で、仲間の家族の治療費って幾ら必要なの? : 佐藤:そんな事、お前には関係ねぇよ、幾らだっていいだろ : 蓮沼:最初に言っただろ、黙ってちゃ、助かるもんも助からなくなるって : 佐藤:・・・・ : 蓮沼:いくら? : 佐藤:・・・三千万 : 蓮沼:へ、結構いるんだね・・・で、運び屋の報酬は? : 佐藤:・・・一千万 : 蓮沼:その一千万円は貰えたの? : 佐藤:あぁ現金で貰った : 蓮沼:じゃぁ、あと二千万円足らないね : 佐藤:・・・あ・・あぁ・・・ : 蓮沼:それで、運び屋の荷物に手を付けたの? : 佐藤:俺はそんな事・・・ : 蓮沼:昨日の夜、私はマフィアみたいな男達に囲まれたんだよ 蓮沼:奴ら、あんたを探してたよ : 佐藤:そんな・・・ : 蓮沼:取ったんだね? : 佐藤:・・・あぁ・・・ : 蓮沼:中身は何だったの? : 佐藤:・・・・それは・・・ : 蓮沼:中身は? : 佐藤:・・・宝石・・ 佐藤:バレるとは思わなかったんだよ、ケースの中にぐちゃぐちゃに入ってたし、 佐藤:麻薬とかだったら、俺達が持ってたって売れねぇけど、宝石なら何とかなるかもって・・・ 佐藤:一番・・・小さい奴を・・・ : 蓮沼:そう・・・ 蓮沼:それで、それは今どこにあるの? : 佐藤:それを聞いてどうすんだよ : 蓮沼:返すに決まってるでしょ : 佐藤:何言ってんだよ、折角苦労して・・・ : 蓮沼:あんたマフィアに命狙われてんだよ、このままだと殺されるんだよ : 佐藤:それは・・・ : 蓮沼:さっき、院長室に行って、院長から話を聞いて来たよ。 蓮沼:警察もマフィアも、あんたが荷物の中身を盗んだ事を、知ってるってさ。 蓮沼:あんたが警察病院じゃなくて、ここに来たのはね、あんたを餌(えさ)にしてマフィアを炙(あぶ)り出す為だったんだよ。 : 佐藤:そんな・・・嘘だろ・・・ : 蓮沼:警察もマフィアも、あんたの命なんてどうでもいいのさ : 佐藤:・・・・ : 蓮沼:このままその宝石が出て来ないと、あんただけじゃなくて、あんたのチームや、その家族にまで手が伸びるよ 蓮沼:そうなると、誰かが死ぬかもしれないけど、あんたは、それでもいいの? : 佐藤:・・・それは・・・ : 蓮沼:宝石はどこにあるの? : 佐藤:・・・でも・・・ : 蓮沼:そんなに時間はないんだよ : 佐藤:・・・サ・・サンエイデパートの・・・地下駐車場・・・ : 蓮沼(M):私は、佐藤健太(さとうけんた)の言った場所から、宝石を探し出し、院長室へと向かった : 蓮沼:はい院長、これがお目当ての宝石。これを手に入れるために、佐藤健太をうちに入院させたんですよね? : 蓮沼:これ、パチンコ玉より少し大きいくらいですけど、これってダイヤですよね? 10カラットはあるかなぁ・・・ 蓮沼:売ったら1億は下らないですよね? 蓮沼:これが無事に帰って来たとなると、院長も、さぞ警察に貸しが出来るんでしょうねぇ・・・・ 蓮沼: 蓮沼:さて、 蓮沼:ではこれを探し出した善良な市民と、この事を私に隠してた貸しとして、ご褒美をいただけますか? 蓮沼:でないと、このダイヤ・・・どこかに落としちゃうかも・・・ 蓮沼:それか、パチンコ玉に混ぜて、パチンコしてみたら面白いかもしれませんね。 蓮沼: 蓮沼: 蓮沼:フフフ、そうですか、そうですよね♪ 蓮沼:それじゃ、三千万円の治療の手配をして下さい。 蓮沼:どうやら、お金がかかる病気の患者さんがいるみたいなんで。 蓮沼:なぁに、病院同士のコネを使えば、もっと安く済むでしょ、フフフ 蓮沼: 蓮沼:ええ、それは勿論、分かってますよ。 蓮沼:その代わりに、今からそのマフィアの所に行って、この件は諦めろって、キッチリ釘を刺して来ますから : : 蓮沼(M):そして、それから間もなく、佐藤健太(さとうけんた)は警察病院に転院する事となった : : 蓮沼:じゃぁ元気でね、警察病院に行っても暴れるんじゃないよ : 佐藤:あぁ・・・ 佐藤:あんたには、いろいろ世話になったな : 蓮沼:それが看護師の仕事だからね。 : 佐藤:いや、そうじゃねえよ 佐藤:チームの奴から連絡があったよ、家族が治療出来るようになったって・・・ 佐藤:これ、あんたが何かしてくれたんだろ? : 蓮沼:さぁ、私はよく知らないけど、あんたがそう思うなら、それでいいさ。 蓮沼:お礼がしたいなら、出所したら菓子折りでも持って来なよ 蓮沼:まぁ、運び屋の刑は軽いから、直ぐに刑務所から出て来れるさ : 佐藤:あぁ・・・分かった、そうするよ。 佐藤:銀座で一番いい菓子を買ってくるよ : 蓮沼:ははは、冗談だよ、ってか、チンピラに病院来られても困るから、もう此処へは来なくていいよ : 佐藤:フ・・・分かったよ 佐藤:ありがとうな、やっぱ、あんたみたいな看護師は初めてだよ : 蓮沼:そう? ごく普通の看護師だと思うけど : 佐藤:んな訳あるかよ 佐藤:あんたみたいな看護師ばっかって、考えただけでも恐ろしいわ : 蓮沼:そうかい? 案外いいかもよ : 佐藤:冗談じゃねぇよ、そんなとこ : 蓮沼:フ・・・・ほら、もう行きな : 佐藤:あぁ、そするよ。 佐藤:じゃぁ、蓮沼さんも元気だな : 蓮沼:あぁ、分かったよ。 蓮沼:じゃぁな。 : : 蓮沼(M):こうして、佐藤健太は警察病院に運ばれて行った。。 蓮沼(M):私は暫くの間、彼を乗せた救急車を見送っていた。 : 完

:Fighting Nurse(ファイティング・ナース) :ファイルA :蓮沼 瑞穂(はすぬま みずほ)のケース。 : : 蓮沼(M):ここは、汐崎(しおざき)総合病院、個人経営の中規模な大きさの病院。 蓮沼(M):見た目はごく普通の病院だけど、ここには特殊病棟があり、この特殊病棟に入院する人間はみな、ちょっと特殊なやつばかり・・・ : :(院長室での会話) : 蓮沼:院長、今日、うちに入院患者が来るんですか? 蓮沼:へー、で、今回はどんな・・・・え? チンピラ? 蓮沼:普通のチンピラがうちに来るんですか? ・・・そうですか・・・ : : 蓮沼(M):院長からは、詳しい事情は教えて貰えなかったが、なんでも警察からの依頼があったという事らしい 蓮沼(M):犯罪関連の患者なら、普通は警察病院に入院させると思うんだけど・・・ 蓮沼(M):そう思ってたところへ、患者が運ばれてきた。 : 佐藤:放せよ、放せっつってんだろが! 佐藤:痛ててて・・・痛てぇだろうが! 気安く俺に触るんじゃねぇよ、向こう行け、クソが! : : 蓮沼:おやおや、今度の患者さんは随分元気がいいんだね。 蓮沼:(患者を運んできた救急車の隊員に向かって) 蓮沼: 蓮沼:患者の搬送(はんそう)ご苦労様です。 蓮沼:後はこちらでやりますから、もう大丈夫です。 蓮沼:ええ、連絡簿も私が預かっておきます、はい、有難うございました。 蓮沼: 蓮沼:さて、じゃぁ患者さん、早速病室に行こうか : 佐藤:何だよてめぇは : 蓮沼:私はここの看護師だよ 蓮沼:ここでは私が、あんたの面倒を見るのさ 蓮沼:しかし、拘束器具(こうそくきぐ)を付けられて搬送(はんそう)だなんて、あんた、随分暴れたんだね。 : 佐藤:うるせぇ! : 蓮沼:まぁいいさ、ここでは大人しくしてなさいよ 蓮沼:さぁ、病室まで連れて行こうか、このストレッチャーのままでね : :(ストレッチャーを動かす蓮沼) : 佐藤:ちょっ、どこに連れて行くんだよ 佐藤:ここから降ろせよ! おい、聞いてんのかよ、降ろせって : 蓮沼:病室に着いたら降ろしてあげるさ : 佐藤:てめぇ、こんな事してタダで済むと思ってんのかよ、おい、聞いてんのか、ごらぁ 降ろせ! : :(病室につく) : 蓮沼:さぁ、着いたよ。 ここがあんたの病室。 蓮沼:自分でベッドに移動できるね : 佐藤:出来ねぇ、 : 蓮沼:どうしてさ、ストレッチャーを、ベッドの横に付けてあげてるんだから、そのまま横に移動するだけだろ? : 佐藤:出来ねぇっつってんだろ、俺は怪我人だぞ、お前が俺を抱きかかえて、ベッドまで運べよ : 蓮沼:あっそ、じゃぁ、このまま転がすけど、それでいいんだね。 : 佐藤:チッ!  佐藤:分かったよ、自分で移動すりゃいいんだろ。 佐藤:じゃぁ、自分で移動するから、まず、この拘束器具を外せよ : 蓮沼:外すのはいいけど、暴れるんじゃないよ : 佐藤:分かったよ、分かったから外せよ : :(拘束器具を外す蓮沼) : 蓮沼:ほら、取れたよ、これで動けるだろ : 佐藤:ふー、やっと外れたぜ、窮屈(きゅうくつ)な想いさせやがって・・・ 佐藤:へへへ、器具が取れりゃこっちのもんよ 佐藤:おめぇにも世話になったな、これはそのお礼だ! : :(看護師に殴りかかる佐藤)、 : 佐藤:痛たたたたたた・・・ 佐藤:何すんだよ!、放せ・・・たたたた・・・ : :(パンチをかわされ、逆に腕をひねられる) : 蓮沼:さっき、暴れるなって言っただろ? 蓮沼:それに、女に手を上げるなんて、あんた最低だな : 佐藤:人の手を捻(ひね)り上げといて、何言ってやがる : 蓮沼:何? これじゃ足らないのかい? : :(もっと捻り上げる) : 佐藤:痛い痛い痛い痛い・・・おい、それが、怪我人に対する態度かよ : 蓮沼:怪我人なら、怪我人らしく、ちゃんとベッドに移動しなさい : 佐藤:分かったよ、分かったから、放せよ : 蓮沼:放したらちゃんとベッドに行く? ん? : 佐藤:痛たたた・・行くよ、行くから、放してくれよ : 蓮沼:・・・ほら : :(手を離す蓮沼) : 佐藤:・・・・ : 蓮沼:放してあげたんだから、大人しくベッドに行きなさい : 佐藤:チッ、分かったよ・・・よっ・・と・・ : :(ベッドに寝転ぶ佐藤) : 蓮沼:そう、そうやって大人しくしてるんだよ 蓮沼: 蓮沼:えーっと、これが、連絡簿(れんらくぼ)だね・・・これによると・・・なになに 蓮沼:佐藤健太(さとうけんた)、28歳・・無職 蓮沼:で・・・怪我は、全身打撲と、左足骨折か・・・ 蓮沼:これは、階段から転げ落ちたってとこか : 佐藤:ふん、放っとけ : 蓮沼:ところで、あんた、何やったのさ : 佐藤:何って何だよ? : 蓮沼:あんたは、もともと警察病院に行くはずの患者だったんだよ。 蓮沼:そういう人間は、大概(たいがい)何かやらかしてるし、ここに来る患者は、それに加えてもっと変な事情を抱えてる人間が多いのさ : 佐藤:知らねぇよ : 蓮沼:ふーん : 佐藤:何だよ : 蓮沼:別に話したくなけりゃ、話さなくてもいいさ、個人情報ってやつだからね。 蓮沼:でも、ここは病院 蓮沼:黙ってちゃ、助かるもんも助からなくなる事だってあるんだよ : 佐藤:・・・・・ : 蓮沼:まぁ好きにすればいいよ : 佐藤:・・・あんた、変わった看護師だな : 蓮沼:そう? ごく普通の看護師でしょ : 佐藤:んな訳あるかよ・・・・ところで、あんた名前は? : 蓮沼:私? 私は蓮沼(はすぬま)、胸のバッチにもそう書いてあるだろ? : 佐藤:へー、はすぬ・・・痛たたたたた : 蓮沼:女性の胸に気安く手を伸ばすんじゃないよ : 佐藤:たたたた・・・わかった、わかったよ : 蓮沼:ったく : 佐藤:ふーててて・・・ 佐藤:へへへ、「蓮沼」だな、覚えたぞ : 蓮沼:あそ、そりゃ、どうも : 佐藤:ふん、今のうちにせいぜい強がってるがいいぜ、 佐藤:俺に手を出したらどうなるか、そのうち思い知る事になると思うぜ、蓮沼さんよぉ : 蓮沼:おー、怖い怖い、怖いから思わずフラフラしちゃて・・・ : 佐藤:痛たたたたた、何しやがんだよ : 蓮沼:おや、怪我した場所だったね、ごめんごめん 蓮沼:つい怖くて、ふら付いちゃった : 佐藤:チッ・・・白々しい 佐藤:おめえ、覚えてろよ : : :(その日の夜、夜道を歩く蓮沼) : 蓮沼:じゃぁお先に失礼します 蓮沼:あー、ようやく帰れるよ、今日は遅くなったから、コンビニで何か買って帰るかな : :(物陰から出てきた男に囲まれる) : 蓮沼:ん?ちょっと・・何? あんた達、物陰からもそもそ出てきて 蓮沼:道を塞いだら通れないでしょ・・・邪魔だからどいてくんない? 蓮沼:え? 確かに私は蓮沼だけど、どうして私の名前を知ってるのさ・・ 蓮沼:1,2,3、・・・6人で寄ってたかって女性を囲むなんて、どういうつもり? : :(次の日) : 西村:佐藤さ~ん、朝の検温ですよ : 佐藤:あぁ・・ : 西村:はい、じゃぁこの体温計を脇に挟んでくださいね。 : :(体温計を脇に挟む佐藤) : 佐藤:そういえばよぉ、蓮沼っていう看護師はどうしてる? : 西村:蓮沼さん? まだ交代時間じゃないので来てませんよ? : 佐藤:へへへ、そうかい、だが、蓮沼っていう看護師は、今日は来ねぇと思うぜ : 西村:あら、どうして分かるんですか? : 佐藤:昨日の帰り道で、俺の仲間達に囲まれたはずだ、今頃、どこかの病院か、ひょっとしたら、その辺りで死んでるかもな : 西村:まぁ、可哀想に・・・ : 佐藤:だろ? 佐藤:あんたも痛い目に会いたくなかったら、俺に逆らわない方が身のためだぜ : 西村:いや、可哀想というのは、あなたのお仲間の方よ : 佐藤:何・・・おめぇ何言ってやがる、こっちは何人もいるんだぞ、あいつが幾ら強いからって・・・ : 蓮沼:佐藤さ~ん、朝の注射のお時間ですよ : 佐藤:何・・・蓮沼・・・どうしてお前が、ここにいるんだよ : 蓮沼:どうしてって、これが仕事だからね : 佐藤:そうじゃねぇよ、お前、昨日男達に囲まれたはずだろ・・・ : 蓮沼:あぁ、あれはやっぱりあんたの仕業だったのか 蓮沼:どうせ、そんな事だろと思ったよ 蓮沼:その連中なら、今頃は、どこかの病院にいるだろうね : 佐藤:そんな馬鹿な・・・ : 蓮沼:さて、まずは携帯電話は没収させてもらおうかな : 佐藤:あ、何しやがる、返せよ! : 蓮沼:ここは病院だから携帯電話は禁止 蓮沼:退院の時に返してあげるさ、麻里(まり)、これ持って行って頂戴 : 佐藤:ちょっ・・待て、返せって! : 蓮沼:さてと・・・ : 佐藤:な・・・何だよ・・・ : 蓮沼:悪戯(いたずら)をするような悪い子には、注射の前に、昨日のオイタのお仕置きをしなきゃね 蓮沼:二度と、こういう事をしようと思わないくらいにね : 佐藤:ちょっと待て・・・待ってくれよ・・・悪かった、悪かったって : 蓮沼:ダメだね、あんたのようなチンピラは、身体で分からせないとな : 佐藤:そんな・・おい、そこの看護師さん、助けてくれよ 佐藤:ちょっと看護師さん、どこ行くんだよ・・・・行くなよ・・助けてくれよ : 蓮沼:さて・・・大人しくしてなさい : 佐藤:痛たたたたた・・・ひぃ・・・助け・・・痛い痛い痛い痛い・・ : :(その少し後、すっかり大人しくなった佐藤の包帯を変えながら話をする二人) : 蓮沼:はい、次はそっちの腕の包帯変えるから : 佐藤:あぁ・・・ : :(包帯を変える蓮沼) : 蓮沼:で、あんたは運び屋をやってたの : 佐藤:あぁ・・ : 蓮沼:それで、やばい物運んで、警察に追われたと : 佐藤:あぁ・・・それで逃げる時に階段踏み外しちまってよ・・・このザマだよ・・ : 蓮沼:そういう事か・・・ 蓮沼:まぁ、お説教をする訳じゃないけど、なんでそんな仕事をしたのさ : 佐藤:金が要るんだよ・・・結構な額の金が : 蓮沼:どうしているのよ : 佐藤:うちのチームの家族がよ、何か難しい病気になっちまったみたいでよぉ 佐藤:その治療費に・・・ 佐藤:俺、チームのリーダーだし、俺が稼(かせ)いでやらないとと思って・・・ : 蓮沼:へー、案外いいとこもあるんだね。 蓮沼:はい、包帯おわり! : :(ぺちっと叩く) : 佐藤:痛っ・・・もっと優しくしてくれよ : 蓮沼:あんたが全部話したら、もう少し優しくしてあげるよ : 佐藤:全部ってなんだよ・・・話したじゃねぇかよ : 蓮沼:ふーん : 佐藤:何だよ、ふーんって、俺が何を隠してるって言うんだよ : 蓮沼:そんな程度の話なら、あんたは今頃、警察病院にいるんだよ 蓮沼:この病院に来たって事は、もっと他に理由があるって事 : 佐藤:し、知らねぇよ、そんな事・・・ 佐藤:例え知ってたって・・・言わねぇから・・ : 蓮沼:あっそ、まぁいいさ、私には関係ない事だしね 蓮沼:まぁ、あんたは大人しく、治療に専念するんだね。 : 佐藤:あぁ・・・分かってるよ・・・ : : :(そして、その日の帰り) : 蓮沼:じゃぁお先に失礼します 蓮沼:んー、今日は久しぶりに早く帰れるし、帰ったら録りためておいたドラマでも見るかなぁ : :(帰り道、数人の男に囲まれる) : 蓮沼:ん? 何よあんた達、いきなり現れて・・・ 蓮沼:それに、みんな同じような恰好して・・気持ち悪い 蓮沼: 蓮沼:この前のチンピラとは違いそうだね・・・それに、どう見ても堅気(かたぎ)な商売には見えないけど : :(男が蓮沼に話しかける) : 蓮沼:え? 佐藤健太(さとうけんた)? 蓮沼:その人がどうかしたの? : :(男が話す) : 蓮沼:うちの病院に居るかって? 蓮沼:あのね、私達看護師には『守秘義務(しゅひぎむ)』ってのがあるのさ 蓮沼:その人を知っているかどうかも言えないね 蓮沼: 蓮沼:ちょっと、何よ、放しなさいよ・・・ : :(数分後) : 蓮沼:ふー・・・あぁーあ、服が汚れちゃったじゃない、ったく 蓮沼:でも、何となく黒幕っぽいのが分かって来たな。 蓮沼:それにしても、うちの院長、この事知ってたな・・・あのタヌキめ・・・ : :(次の日) : 蓮沼:佐藤さ~ん、検温のお時間ですよ : 佐藤:なんだよ、まだそんな時間じゃないだろ? : 蓮沼:あんたに聞きたい事があって来たんだよ : 佐藤:なんだよ聞きたい事って・・・俺はもう何も話す事なんてねぇぞ : 蓮沼:あんた、運び屋で何運んだのさ : 佐藤:知らねぇよ、中身は見るなって言われてたし : 蓮沼:あそう・・・ 蓮沼:で、仲間の家族の治療費って幾ら必要なの? : 佐藤:そんな事、お前には関係ねぇよ、幾らだっていいだろ : 蓮沼:最初に言っただろ、黙ってちゃ、助かるもんも助からなくなるって : 佐藤:・・・・ : 蓮沼:いくら? : 佐藤:・・・三千万 : 蓮沼:へ、結構いるんだね・・・で、運び屋の報酬は? : 佐藤:・・・一千万 : 蓮沼:その一千万円は貰えたの? : 佐藤:あぁ現金で貰った : 蓮沼:じゃぁ、あと二千万円足らないね : 佐藤:・・・あ・・あぁ・・・ : 蓮沼:それで、運び屋の荷物に手を付けたの? : 佐藤:俺はそんな事・・・ : 蓮沼:昨日の夜、私はマフィアみたいな男達に囲まれたんだよ 蓮沼:奴ら、あんたを探してたよ : 佐藤:そんな・・・ : 蓮沼:取ったんだね? : 佐藤:・・・あぁ・・・ : 蓮沼:中身は何だったの? : 佐藤:・・・・それは・・・ : 蓮沼:中身は? : 佐藤:・・・宝石・・ 佐藤:バレるとは思わなかったんだよ、ケースの中にぐちゃぐちゃに入ってたし、 佐藤:麻薬とかだったら、俺達が持ってたって売れねぇけど、宝石なら何とかなるかもって・・・ 佐藤:一番・・・小さい奴を・・・ : 蓮沼:そう・・・ 蓮沼:それで、それは今どこにあるの? : 佐藤:それを聞いてどうすんだよ : 蓮沼:返すに決まってるでしょ : 佐藤:何言ってんだよ、折角苦労して・・・ : 蓮沼:あんたマフィアに命狙われてんだよ、このままだと殺されるんだよ : 佐藤:それは・・・ : 蓮沼:さっき、院長室に行って、院長から話を聞いて来たよ。 蓮沼:警察もマフィアも、あんたが荷物の中身を盗んだ事を、知ってるってさ。 蓮沼:あんたが警察病院じゃなくて、ここに来たのはね、あんたを餌(えさ)にしてマフィアを炙(あぶ)り出す為だったんだよ。 : 佐藤:そんな・・・嘘だろ・・・ : 蓮沼:警察もマフィアも、あんたの命なんてどうでもいいのさ : 佐藤:・・・・ : 蓮沼:このままその宝石が出て来ないと、あんただけじゃなくて、あんたのチームや、その家族にまで手が伸びるよ 蓮沼:そうなると、誰かが死ぬかもしれないけど、あんたは、それでもいいの? : 佐藤:・・・それは・・・ : 蓮沼:宝石はどこにあるの? : 佐藤:・・・でも・・・ : 蓮沼:そんなに時間はないんだよ : 佐藤:・・・サ・・サンエイデパートの・・・地下駐車場・・・ : 蓮沼(M):私は、佐藤健太(さとうけんた)の言った場所から、宝石を探し出し、院長室へと向かった : 蓮沼:はい院長、これがお目当ての宝石。これを手に入れるために、佐藤健太をうちに入院させたんですよね? : 蓮沼:これ、パチンコ玉より少し大きいくらいですけど、これってダイヤですよね? 10カラットはあるかなぁ・・・ 蓮沼:売ったら1億は下らないですよね? 蓮沼:これが無事に帰って来たとなると、院長も、さぞ警察に貸しが出来るんでしょうねぇ・・・・ 蓮沼: 蓮沼:さて、 蓮沼:ではこれを探し出した善良な市民と、この事を私に隠してた貸しとして、ご褒美をいただけますか? 蓮沼:でないと、このダイヤ・・・どこかに落としちゃうかも・・・ 蓮沼:それか、パチンコ玉に混ぜて、パチンコしてみたら面白いかもしれませんね。 蓮沼: 蓮沼: 蓮沼:フフフ、そうですか、そうですよね♪ 蓮沼:それじゃ、三千万円の治療の手配をして下さい。 蓮沼:どうやら、お金がかかる病気の患者さんがいるみたいなんで。 蓮沼:なぁに、病院同士のコネを使えば、もっと安く済むでしょ、フフフ 蓮沼: 蓮沼:ええ、それは勿論、分かってますよ。 蓮沼:その代わりに、今からそのマフィアの所に行って、この件は諦めろって、キッチリ釘を刺して来ますから : : 蓮沼(M):そして、それから間もなく、佐藤健太(さとうけんた)は警察病院に転院する事となった : : 蓮沼:じゃぁ元気でね、警察病院に行っても暴れるんじゃないよ : 佐藤:あぁ・・・ 佐藤:あんたには、いろいろ世話になったな : 蓮沼:それが看護師の仕事だからね。 : 佐藤:いや、そうじゃねえよ 佐藤:チームの奴から連絡があったよ、家族が治療出来るようになったって・・・ 佐藤:これ、あんたが何かしてくれたんだろ? : 蓮沼:さぁ、私はよく知らないけど、あんたがそう思うなら、それでいいさ。 蓮沼:お礼がしたいなら、出所したら菓子折りでも持って来なよ 蓮沼:まぁ、運び屋の刑は軽いから、直ぐに刑務所から出て来れるさ : 佐藤:あぁ・・・分かった、そうするよ。 佐藤:銀座で一番いい菓子を買ってくるよ : 蓮沼:ははは、冗談だよ、ってか、チンピラに病院来られても困るから、もう此処へは来なくていいよ : 佐藤:フ・・・分かったよ 佐藤:ありがとうな、やっぱ、あんたみたいな看護師は初めてだよ : 蓮沼:そう? ごく普通の看護師だと思うけど : 佐藤:んな訳あるかよ 佐藤:あんたみたいな看護師ばっかって、考えただけでも恐ろしいわ : 蓮沼:そうかい? 案外いいかもよ : 佐藤:冗談じゃねぇよ、そんなとこ : 蓮沼:フ・・・・ほら、もう行きな : 佐藤:あぁ、そするよ。 佐藤:じゃぁ、蓮沼さんも元気だな : 蓮沼:あぁ、分かったよ。 蓮沼:じゃぁな。 : : 蓮沼(M):こうして、佐藤健太は警察病院に運ばれて行った。。 蓮沼(M):私は暫くの間、彼を乗せた救急車を見送っていた。 : 完