台本概要

 145 views 

タイトル 耳に誘う ~雪解けの日差し~
作者名 天びん。  (@libra_micchan)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(男1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 一目惚れならぬその人の声に恋をした男性の話
※本作は男性のソロ台本ですが、性別変更したい場合は女性のソロ台本「耳に誘う ~深夜の雷(かみなり)~」をご利用下さい。

 145 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
翔太 21 本作の語り手。名前の読みは「ショウタ」。 ※翔太は男性役ですが、一人称は「私」です。誤植ではありませんし、オネェでもありません。ご了承下さい。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
:【タイトル】 : 耳に誘う ~雪解けの日差し~ : : :【登場人物】 : 翔太:本作の語り手。名前の読みは「ショウタ」。 翔太:※翔太は男性役ですが、一人称は「私」です。誤植ではありませんし、オネェでもありません。ご了承下さい。 翔太:※本作は男性のソロ台本ですが、性別変更したい場合は女性のソロ台本「耳に誘う ~深夜の雷(かみなり)~」をご利用下さい。 : : : : : :【本編】 : 翔太:俗に「凍えた心を解かしていく」という言葉がある。 : 翔太:私は少し前まで(そんな風に癒せる存在が現実に居るわけがない…)と思っていた。 : 翔太:安定しない勤務時間、仕事や人間関係のストレスに辟易していた私にはとにかく居場所がなかった。唯一心穏やかでいられる場所はスマホの中にしかなくて…今日も青い鳥のアイコンをタップし、色々な呟きを見ていると、あるアプリの広告に目が留まった。 : 翔太:最近話題の配信アプリ…自分の好きにアバターを組んで、好きな時間に好きなことをやれる。試しにそのアプリをインストールしてアバターを作ってみて思った。 : 翔太:(ここなら別の自分に…自由になれる気がする…!) : 翔太:…かといって、いきなり配信を始めるような思い切りの良さは持ち合わせてなくて、私はまず他の人の配信に飛び込んでみることにした。 : 翔太:まず目についたのは、夜更けの空と同じ色の髪をアバターに使っている女の子。少し高めの可愛らしい声で雑談配信をしていた彼女はとても人気で、たくさんの視聴者からギフトを投げられたり、弄られたりしていて見ていてとてもホッコリすることができた。 : 翔太:そのやり取りを見て何となくアプリの仕様を理解した私は、彼女とその視聴者達と話して仲良くなった。お喋りを終え、彼女が配信を閉じたことを確認すると、次の枠に飛ぶ。 : 翔太:次に目についたのは、渋い声でセリフ枠を開いていた男性配信者。アニメや漫画が好きな人で、自分の好きなアニメの台詞を投げたら、ノリノリで答えてくれる。こんなに楽しく他人と話せたのは久々で、私は思わず(心の底から笑ったのはいつぶりだろう…)と考えてしまった。 : 翔太:周りの配信者達に優しく色々と教えてもらえたことで、私も少しずつ配信活動を始めていく…。元々コミュ障だった私は誰かと話すことも苦手だったけど、アプリ内のゲームで視聴者と一緒に熱中して攻略することに躍起になったり、私より10歳も下の男の子の配信で自分の恋愛観を語ったりして、束の間の自由を楽しんでいた。 : 翔太:ある休日の午後、仲の良い女性配信者が配信を始めたようで、配信開始の通知が来た。その日は夜勤明けで疲れていたものの、これまで行った彼女の配信では機材トラブルなのか声がほとんど聞こえないくらい小さかったため、今度こそちゃんと声が聞けるかもと期待した私は、配信タイトルが「カラオケ配信」と書かれていたのも気になり、いつものように通知をタップし、枠に飛び込んだ。 : 翔太:―瞬間、私は圧倒された。 : 翔太:私に投げかけられたのは「あ、翔太さんだ!いらっしゃい!今カラオケ配信やってまーす、良かったらゆっくり聞いていって下さいねー!」という何気ない挨拶。 : 翔太:女性の中では割と低めの声。かといって低すぎるでもなく、まさにちょうどいい高さのそれが耳に到達すると、自分の顔はたちまち朱くなった。 : 翔太:まるで止まっていた時が再び動き出したかのように、自分の心臓が脈を打ち、身体全体に熱を送っていくのを感じる。 : 翔太:次の曲のメロディが流れ始め、耳を澄ませると、それは私も好きな男性アーティストの有名な曲で。それを彼女は持ち前のクールな歌声で難なく歌い上げていく。彼女の歌唱力の上手さもあっただろうが、その少し低めの声がまた曲の良さを引き出していた。 : 翔太:例えるなら陽だまりのような暖かい光に満ちた空間で、何をするにも楽しそうな笑みを向け、些細なことで一喜一憂しながらも、訪れた視聴者に分け隔てなく寄り添える優しい聖母…。私はそんな雰囲気を感じ取っていた。 : 翔太:この時から私はまるで魔法にかかってしまったかのようにその人の声の虜になった。…それこそ、その人の声を常に傍で聞いていたいと思ってしまうほどに。 : 翔太:あなたの声で安堵したい、癒されたい、満たされたい…。 : 翔太:声の魔法は優しく、暖かく…さながら春の訪れを告げる日差しのように私を包み、真冬の雪のように凍えていた私の心をゆっくりと解かしていった。

:【タイトル】 : 耳に誘う ~雪解けの日差し~ : : :【登場人物】 : 翔太:本作の語り手。名前の読みは「ショウタ」。 翔太:※翔太は男性役ですが、一人称は「私」です。誤植ではありませんし、オネェでもありません。ご了承下さい。 翔太:※本作は男性のソロ台本ですが、性別変更したい場合は女性のソロ台本「耳に誘う ~深夜の雷(かみなり)~」をご利用下さい。 : : : : : :【本編】 : 翔太:俗に「凍えた心を解かしていく」という言葉がある。 : 翔太:私は少し前まで(そんな風に癒せる存在が現実に居るわけがない…)と思っていた。 : 翔太:安定しない勤務時間、仕事や人間関係のストレスに辟易していた私にはとにかく居場所がなかった。唯一心穏やかでいられる場所はスマホの中にしかなくて…今日も青い鳥のアイコンをタップし、色々な呟きを見ていると、あるアプリの広告に目が留まった。 : 翔太:最近話題の配信アプリ…自分の好きにアバターを組んで、好きな時間に好きなことをやれる。試しにそのアプリをインストールしてアバターを作ってみて思った。 : 翔太:(ここなら別の自分に…自由になれる気がする…!) : 翔太:…かといって、いきなり配信を始めるような思い切りの良さは持ち合わせてなくて、私はまず他の人の配信に飛び込んでみることにした。 : 翔太:まず目についたのは、夜更けの空と同じ色の髪をアバターに使っている女の子。少し高めの可愛らしい声で雑談配信をしていた彼女はとても人気で、たくさんの視聴者からギフトを投げられたり、弄られたりしていて見ていてとてもホッコリすることができた。 : 翔太:そのやり取りを見て何となくアプリの仕様を理解した私は、彼女とその視聴者達と話して仲良くなった。お喋りを終え、彼女が配信を閉じたことを確認すると、次の枠に飛ぶ。 : 翔太:次に目についたのは、渋い声でセリフ枠を開いていた男性配信者。アニメや漫画が好きな人で、自分の好きなアニメの台詞を投げたら、ノリノリで答えてくれる。こんなに楽しく他人と話せたのは久々で、私は思わず(心の底から笑ったのはいつぶりだろう…)と考えてしまった。 : 翔太:周りの配信者達に優しく色々と教えてもらえたことで、私も少しずつ配信活動を始めていく…。元々コミュ障だった私は誰かと話すことも苦手だったけど、アプリ内のゲームで視聴者と一緒に熱中して攻略することに躍起になったり、私より10歳も下の男の子の配信で自分の恋愛観を語ったりして、束の間の自由を楽しんでいた。 : 翔太:ある休日の午後、仲の良い女性配信者が配信を始めたようで、配信開始の通知が来た。その日は夜勤明けで疲れていたものの、これまで行った彼女の配信では機材トラブルなのか声がほとんど聞こえないくらい小さかったため、今度こそちゃんと声が聞けるかもと期待した私は、配信タイトルが「カラオケ配信」と書かれていたのも気になり、いつものように通知をタップし、枠に飛び込んだ。 : 翔太:―瞬間、私は圧倒された。 : 翔太:私に投げかけられたのは「あ、翔太さんだ!いらっしゃい!今カラオケ配信やってまーす、良かったらゆっくり聞いていって下さいねー!」という何気ない挨拶。 : 翔太:女性の中では割と低めの声。かといって低すぎるでもなく、まさにちょうどいい高さのそれが耳に到達すると、自分の顔はたちまち朱くなった。 : 翔太:まるで止まっていた時が再び動き出したかのように、自分の心臓が脈を打ち、身体全体に熱を送っていくのを感じる。 : 翔太:次の曲のメロディが流れ始め、耳を澄ませると、それは私も好きな男性アーティストの有名な曲で。それを彼女は持ち前のクールな歌声で難なく歌い上げていく。彼女の歌唱力の上手さもあっただろうが、その少し低めの声がまた曲の良さを引き出していた。 : 翔太:例えるなら陽だまりのような暖かい光に満ちた空間で、何をするにも楽しそうな笑みを向け、些細なことで一喜一憂しながらも、訪れた視聴者に分け隔てなく寄り添える優しい聖母…。私はそんな雰囲気を感じ取っていた。 : 翔太:この時から私はまるで魔法にかかってしまったかのようにその人の声の虜になった。…それこそ、その人の声を常に傍で聞いていたいと思ってしまうほどに。 : 翔太:あなたの声で安堵したい、癒されたい、満たされたい…。 : 翔太:声の魔法は優しく、暖かく…さながら春の訪れを告げる日差しのように私を包み、真冬の雪のように凍えていた私の心をゆっくりと解かしていった。