台本概要

 758 views 

タイトル 魔王会議-Pentecostes-
作者名 VAL  (@bakemonohouse)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(不問5)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 全不問です

 758 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
トントロス 不問 40 本文参照
バルレイン 不問 40 本文参照
ヘルダンテ 不問 30 本文参照
ジオセータ 不問 41 本文参照
レトケネス 不問 34 本文参照
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:(登場魔王) : トントロス:壮大な魔王。領地を1番広く持つ、実質的な魔王のリーダー。常に余裕を持っており、会議の決定権も握っている。たまに投げやり。 : バルレイン:冷酷な魔王。異界人に対しての情が全く無く、一切の容赦をしない。現実的で、効率的な戦略を好んでおり、即決で全てを決めたがる。しかし、冷静でもあるため話はちゃんと聞く方。 : ジオセータ:聡明な魔王。異界人の主張も理解し、世界の安寧を願っている。しかし、魔族に対する思いやりも強く、守るために人間を掃討している。会議ではまとめ役である。 : ヘルダンテ:横暴な魔王。戦いが好きで、戦闘のために人間を敵としている。殺すよりも倒すことを大事に考えている。そのせいか結構、脳筋気味な発言が多い。 : レトケネス:狡猾な魔王。いかに敵を苦しませるかを考えている残虐性を持つ。会議中でもスプラッターな発言が目立つ一方。人間の女に好意を抱いているのを隠している。 : : : 0:(本編) : : 0:ここはトントロスがおさめる魔王領、トロスバーン。今後の方針を決めるべく、魔王会議(ペンテコステ)が開かれていた。 : トントロス:みんな今日はよく来てくれたな。五魔王が揃うのはいつぶりだ? バルレイン:確か、二百と十五年だったはずです。 ジオセータ:そうですね。流石バルレイン。ちゃんと覚えているんですね。しかし、トントロス様。まだレトケネスが来ておりません。 ヘルダンテ:面倒くせぇなぁ。もういいんじゃねぇか?あいつ放っておいて始めようや。 バルレイン:私は早く終わらせたいから別に構わないぞ。 ジオセータ:バルレインまでやめてくださいよ。折角の機会なんですから、もう少し待ちましょう。 ヘルダンテ:ふん!確か、前のときもあいつ遅れてきやがっただろ。不真面目なんだよなぁ。 バルレイン:ふっ。どの口が言ってるんだ?貴様も真面目とは言えないだろう。 ヘルダンテ:何だと? トントロス:落ち着け。お前らが争って何になる。下らんいさかいはよせ。 ヘルダンテ:ちっ! 0:扉が勢いよく開いた。 レトケネス:みんなお待たせ~あれ?どうしたの?ピリついてる? ジオセータ:やっと来ましたか。待ちくたびれましたよ。 バルレイン:遅れてきておいて、その態度か。変わらないな。レトケネス。 レトケネス:お、バルちゃんじゃない!元気だった? バルレイン:・・・その呼び方はやめろと言ったはずだが? ヘルダンテ:おい!楽しくおしゃべりしてんじゃねぇよ。毎回、何時間待たせんだ?あぁ? レトケネス:時間?今日はまだ三十分も遅れてないでしょうに。 トントロス:静まれ!!!・・・早く終わらせたいのだろう?その言い争う時間が、無駄な時間だというのだ。さぁジオセータ、始めるぞ。ペンテコステを。 ジオセータ:は、はい!それではただいまより。魔王会議、ペンテコステを開催します。 : 0:一同拍手 : ジオセータ:えー早速ですが、議題を上げさせていただきます。最初の議題は『世界の半分について』ですね。これは、どなたの議題ですかね? ヘルダンテ:これは俺だな。 ジオセータ:ほう。ヘルダンテですか。これはどう言った内容ですか? ヘルダンテ:えっと、なんだっけかな。あーそうそう。勇者が俺らの仲間になれば、世界の半分をそいつにやるって昔からのルール?みたいなやつあるだろ?あれってどう意味なんだ?俺らの領地を分けるってことか? バルレイン:お前はまたわけのわからないことを言い出すのだな。 トントロス:今は口を挟むでないぞ。お前の嫌いな残業がしたいのなら別だがな。 バルレイン:それは困りますね。少し黙っておきましょう。 トントロス:ヘルダンテ、続けろ。 ヘルダンテ:あ、ああ。それで半分の定義ってのを聞きたいんだよ。 レトケネス:まぁとりあえず、それは人間界を全て掌握した後の話なんだよね~でしょ?トントさん。 トントロス:まあそうだな。人間界を勇者と共に征服した後、その半分を分け与えるというのが文献に残るしきたりだ。 ヘルダンテ:なるほどな!俺達の領地は変わらないわけだ。 レトケネス:でもさ。その半分ってどう半分にするわけ? ジオセータ:そうですね・・・人間界は地球といって、球体と聞いています。では、北と南、もしくは東と西を丁度真ん中で切り分ける。なんてどうでしょう。 ヘルダンテ:確かにそれで半分だな! レトケネス:いや待って。陸地と海が半々にならないと、半分てことにはならなくない?そこんとこどうなの?セータくん。 ジオセータ:そう言われましても・・・そこまで人間界の地理に詳しいわけではないので。トントロス様、何か案はございませんか? トントロス:んー・・・難しいな。よし、調査班を作ろう。人間界の地図を作らせるのだ! ジオセータ:はっ!今すぐに立ち上げを・・・ バルレイン:(食い気味に)待て。人間界に地図くらいあるだろう。なんなら、球体の模型があってもおかしくはあるまい。それを持ち帰るだけで事足りるだろう。 レトケネス:さっすがバルちゃん!冴えてるねぇ~ バルレイン:・・・トントロス様。今まで異界の勇者が裏切った例はありましたか? トントロス:わしが記憶している中では、まだないな。 バルレイン:やはりか。 ヘルダンテ:ん?何かわかったのかよ。 バルレイン:この口約束は実際の効力を持っていない。 ジオセータ:ど、どういうことですか? バルレイン:これは甘い言葉で勇者を唆すためのものだ。本当に渡すつもりも無ければ、渡す理由すら存在しない。 レトケネス:なるほどね!昔から魔王ってやっぱ悪い生き物なんだよね~ ジオセータ:それは少しズル過ぎるのではありませんか・・・? バルレイン:だが、魔王とはそういうものだろう。 レトケネス:利用できるものは利用して、いらなくなれば廃棄する。それでこそ魔王だよ。 ヘルダンテ:・・・結局、これはどう言う結論になるんだ? バルレイン:トントロス様、どうしますか?これ以上、話し合うことではないと思われますが。 トントロス:ふむ。確かに、その必要は無さそうだな。 ジオセータ:では、この議題の決定はどうしましょう。 トントロス:世界の半分のことは考えず、ただ勇者を騙すことに尽力するように!! 一同:はっ! : 0: : ジオセータ:それでは、次の議題に移らせていただきます。次は・・・『警備体制の強化』ですか。これはどなたの議題で? レトケネス:これは僕だね。 ジオセータ:へぇ。あなたにしては、珍しく建設的な案を持ってきましたね。レトケネス。 レトケネス:酷いなぁ。僕を何だと思ってるんだい? ヘルダンテ:性格の悪い、クソガキ。 バルレイン:お、ヘルダンテ。珍しく意見が合うじゃないか。 レトケネス:君達ねぇ。同じようなもんでしょうに。歳だって数十歳程度しか変わらないでしょ。ま、トントさんとセータくんはもう少し上にはなるんだけど。 トントロス:おい、よしてくれ。わしは、まだまだ現役だぞ。魔王となりて、八百年。わしの千年に及ぶ帝王学の成果を・・・ ジオセータ:トントロス様!いつもあなたは私達の道標です!目指すべきお姿です!尊敬しております! トントロス:お、そうか。流石はジオセータ。世渡りが上手いな!はっはっはっは!!! ジオセータ:いえ、ほんの心の一部でございます!(あの話になると、長いんだよな・・・) トントロス:ん?何か言ったか? ジオセータ:い、いえ!滅相もございません! バルレイン:・・・進行役も大変だな。 ヘルダンテ:ああ。全くだ。 レトケネス:あのー、そろそろいいかな?説明したいんだけど。 トントロス:おっと、すまんすまん。話してくれ。 レトケネス:まず、異界の勇者が、僕達の領地。いわゆる魔界に到達するには、互いの世界を繋ぐ扉を開かなきゃならない。 レトケネス:その扉は誰にも壊せず、誰にも移動できない。そしてそれは、各魔王の統治する領地と繋がっていると。ここまではみんな知ってるよね? ヘルダンテ:当たり前だ。一般常識だぜ。 レトケネス:じゃあ、君達の領地にある扉の場所は把握してる? バルレイン:無論、把握しているさ。それに何か? レトケネス:いや、みんな固定概念に縛られすぎだと思ってね。あの扉ってさ。魔力さえあれば簡単に開いてくれるし、僕達ほどの魔力があれば、行き来するのも容易でしょ? バルレイン:何が言いたいんだ。さっさと言え。 レトケネス:もう。せっかちだねぇ。少し細工をするだけで、不届きな侵入者を一網打尽に出来るんだよ。 ジオセータ:細工!?そんなことできるわけが無いでしょう。あの扉自体に触れることさえできないのに。 トントロス:その通りだ。あの扉は形こそあるものの、現世のものではない。魔力の塊のようなもので、細工など出来ないはず。今までの魔王も、最強と謳われた大魔王様でさえ、あの扉をどうにかすることは叶わなかったのだからな。 レトケネス:扉の下は? ヘルダンテ:下・・・だと? レトケネス:そう。下の地面には、何の干渉もないんだよ。試しにくりぬいてみたんだ。扉の下の土を広範囲にね。 バルレイン:・・・なるほどな。流石、狡猾な魔王と呼ばれるだけはあるな。 レトケネス:・・・叡智の魔王とかに変えらんない?それ。 トントロス:それで、その結果どうなったんだ。 レトケネス:出てきた異界人が、扉から真っ逆さまに落ちてって虫の息だったねー。まあほっといても死にそうだったんだけど、ちゃんと魔獣のえさにしといたよ。でも次からは、めんどくさいし毒沼でも溜めておくことにするかなぁ。 ジオセータ:・・・・・っ トントロス:ん?どうした。ジオセータ。気分が優れないか? ジオセータ:い、いえ・・・大丈夫です。 バルレイン:無理をするんじゃないぞ。切り上げるか? ヘルダンテ:優しいフリをするな。お前が早く帰りたいだけじゃねえか。 ジオセータ:私は大丈夫ですから、さぁ続けましょう。レトケネス。君はその案を全魔王領に適応したいと考えているのかな? レトケネス:そんなことはないよ。だって、トントさんとダンテくんは時空は飛べても、空は飛べないし。 バルレイン:私の領では採用させていただこう。無駄な犠牲も出したくないし、手間もそんなにかからんだろうしな。 レトケネス:毎度ありー。セータくんはどうする? ジオセータ:私は・・・ ヘルダンテ:無理にやることは無えと思うぜ?やっぱ敵は自分の手でねじ伏せてだろ。なぁセータ。 ジオセータ:そ、その通りだ。私も自分の手で迎え撃ちたい。 バルレイン:ふん。非効率な。 トントロス:では、今回の議題において、レトケネスの案をバルレインのみ採用するということとする。わしとヘルダンテには不可能ではあったが、いい策略であった。我々にとっては、間違いなく叡智の魔王だろう。 レトケネス:ふふ。ありがとうございます。 ジオセータ:・・・・・ トントロス:・・・では、小休止を置いた後、再度集まるように。一時解散! : ジオセータ:私は・・・魔王でありながら、甘すぎる。こんなことでは征服はおろか、自分の領さえも守ることは出来ないだろう・・・しかし、無闇に命を奪いたくは無い。どうすれば。どうすればいいというのだ。 : : 0:小休止。自由にアドリブをしてもかまいません。魔王になりきってみましょう。 : : トントロス:よし、今度は全員そろっておるな。では、ペンテコステを再開する! ジオセータ:はい。それでは、次の議題です。『なぜ勇者を逃がしてしまうのか』。これは私の議題ですね。 ヘルダンテ:おっと、これは俺へのあてつけか? バルレイン:だろうな。お前以外に勇者を逃がすやつなど・・・いや、いるな。 レトケネス:うん。もう1人いるねー。 トントロス:ん?わしか? ジオセータ:はい。トントロス様とヘルダンテのお2人です。単刀直入に聞きます。何故ですか? トントロス:それは・・・まぁ、な? ヘルダンテ:次会った時、もっと楽しいじゃねぇか。 バルレイン:はぁ・・・ ジオセータ:そのせいで、魔族たちの暮らしが脅かされていることをわかっていますか?別に命を奪えといっているわけではありません。 ジオセータ:2度と来ないよう痛めつけるか、心を折ってもらわないと。次来た時には、どれだけの人数を引き連れてくるか、どこまでこちらの地形等がばれているかもわからない。 ジオセータ:それがどれだけの犠牲を出してしまうのか。あなた方はわかっていない・・・ ヘルダンテ:そんなこと言ってもよ。戦うために生きてるような俺にゃあ、難しい話だな。 ジオセータ:それで民が危険な目にあったとしても・・・ですか? トントロス:確かに、わしも戦いが好きだ。命を賭した戦いなら、尚更にな。民が大事なのもわかっておるが、これ種族の違いだ。戦いの中にこそ喜びを感じてしまう。それを押さえ込むのは、わしとて難しい。 ジオセータ:・・・っ レトケネス:これは仕方ない話だよ。遺伝子にそう刻まれているんだ。そもそもの価値観が違う。 レトケネス:僕は悪魔から魔王に、バルちゃんは魔人から、ダンテくんやトントさんは魔獣からだし、セータくんみたいに珍しく、堕天使からっていうように。 レトケネス:それぞれの種族の根底から違う。これは本当にどうしようもない事案なんだよ。 ヘルダンテ:そういうこったな。どうすることもできない。ま、本当に強いやつに負けたとしても俺は本望だからな。 バルレイン:もう何を言っても無駄だ。私とレトケネス、ジオセータは今まで通り、勇者を抹殺。トントロス様とヘルダンテは撃退。それで決まりだ。 ジオセータ:くっ・・・ トントロス:すまんが、これは堪えてくれ。領民も、わしのこの旨を受け止めている。 ヘルダンテ:俺のところも同じだ。腰抜けの兵はいないさ。 ジオセータ:・・・わかりました。この議題はこれで終わりとします。 バルレイン:まあ心配するな。次は私の議題だろう?さっさと行こう。全て解決するだろうさ。くっくっく・・・ ジオセータ:え?ああ。わかりました。では次の議題を・・・っ!な、何ですかこれは? バルレイン:どうした?早く発表してくれ。 ジオセータ:・・・・・ トントロス:ん?どうした。発表しなさい。 ジオセータ:は、はい。今回の議題は・・・『人間界強奪案』です。 ヘルダンテ:は?そんなのいつもやってるだろうが。 バルレイン:馬鹿は黙っていろ。 ヘルダンテ:な、何だと!? トントロス:ヘルダンテ!落ち着け。まずは聞くんだ。 バルレイン:簡単に結論から述べよう。人間を全て消す。方法は、人間界へ進軍し、王族を捕らえ、人質とし、あとは・・・一網打尽だ。 ジオセータ:なっ!?それはやりすぎだ! バルレイン:人間に情けなど必要ない!!さっきから聞いていれば、ちまちまと細かいことで話し合いおって。二百年前と何も変わっておらんでは無いか。 バルレイン:異界の中でも人間界は、愚かで浅はかで、数ばかり多いゴミだらけの世界。そこからまず消す。 レトケネス:・・・人間界は僕の管轄のはずですが? バルレイン:だからなんだ?人間どもは、科学とか言う技術を持ち出し、扉に干渉して、私の領土への侵入もしている。それを黙って見逃せとでも? ジオセータ:でも、皆殺しは違うだろう・・・ バルレイン:何が違う?侵攻してきた人間を殺せといったのもジオセータ。お前だろう。民のためにやらなきゃいけないことなんだろう?だから根本から絶とう。それだけの話じゃないか。 レトケネス:僕は反対だ。楽しみがなくなるじゃないか。僕は人間を痛ぶって・・・ バルレイン:こっちの異界人を分けてやるさ。何も問題は無いだろう? レトケネス:いや、僕は、人間が・・・ バルレイン:どうした?いつもの余裕が無いな。もしかして、人間に何か思い入れが?それとも、特定の人間がいるのか? ヘルダンテ:おい。いい加減にしろよ。魔王同士で揉めてどうすんだ? バルレイン:つくづく邪魔をするな・・・貴様は。 トントロス:やめろ。 ヘルダンテ:人間には強えやつもいる。勝手に殺されちゃ困るんだよ。 トントロス:やめろ。 バルレイン:頭まで筋肉でできてんのか?貴様は。そんな話をしてるわけじゃないんだよ! トントロス:やめろというのが聞こえんか!!!!! 一同:・・・っ!! トントロス:バルレイン。お前の案は却下だ。 バルレイン:なっ!?何故ですか!? トントロス:魔界は異界に漂う負のエネルギーを吸収し、その形を保っている。そして、その供給が1番多いのが人間界だ。全ての人間を消してしまえば、魔界の一部が消えてしまうだろう。それは度し難いことだ。 バルレイン:ちぃ・・・ならば私がここにいる意味はもうありません。自城に帰らせていただく。 : 0:バルレイン、窓から羽を広げ飛び立つ。 : ジオセータ:トントロス様。私は、負のエネルギーという話を聞いたことは無かったのですが、事実ですか? トントロス:いや、嘘だ。 ジオセータ:嘘なんですか!? トントロス:あのままじゃ、バルレインに飲まれ可決に持っていかれるとこだった。 ヘルダンテ:あんなやつ、俺が倒してやりますよ。 トントロス:無理だ。 ヘルダンテ:なっ!?そんなことありません!俺のパワーであんなやつ! トントロス:あいつはまだ全てを見せていない。油断するな。 トントロス:レトケネス! レトケネス:は、はい! トントロス:お前には頼みがある。扉に干渉するという、人間界の科学を調べてくれ。そしてその結果を報告、共有してくれ。 レトケネス:わかりました。必ず解明して見せます。 トントロス:ああ。それと、(小声で)人間の女、恐らくばれているぞ。早めに手を打て。 レトケネス:し、知っていたんですか!? トントロス:私を誰だと思っている。 レトケネス:失礼しました・・・ トントロス:ジオセータ。締めてくれ。今回の会議はこれで終わりだ。 ジオセータ:は、はい!・・・これにて!ペンテコステを終了とします! : : 0: : : バルレイン:このままでは終わらさんぞ・・・魔界は、私が手に入れる!

0:(登場魔王) : トントロス:壮大な魔王。領地を1番広く持つ、実質的な魔王のリーダー。常に余裕を持っており、会議の決定権も握っている。たまに投げやり。 : バルレイン:冷酷な魔王。異界人に対しての情が全く無く、一切の容赦をしない。現実的で、効率的な戦略を好んでおり、即決で全てを決めたがる。しかし、冷静でもあるため話はちゃんと聞く方。 : ジオセータ:聡明な魔王。異界人の主張も理解し、世界の安寧を願っている。しかし、魔族に対する思いやりも強く、守るために人間を掃討している。会議ではまとめ役である。 : ヘルダンテ:横暴な魔王。戦いが好きで、戦闘のために人間を敵としている。殺すよりも倒すことを大事に考えている。そのせいか結構、脳筋気味な発言が多い。 : レトケネス:狡猾な魔王。いかに敵を苦しませるかを考えている残虐性を持つ。会議中でもスプラッターな発言が目立つ一方。人間の女に好意を抱いているのを隠している。 : : : 0:(本編) : : 0:ここはトントロスがおさめる魔王領、トロスバーン。今後の方針を決めるべく、魔王会議(ペンテコステ)が開かれていた。 : トントロス:みんな今日はよく来てくれたな。五魔王が揃うのはいつぶりだ? バルレイン:確か、二百と十五年だったはずです。 ジオセータ:そうですね。流石バルレイン。ちゃんと覚えているんですね。しかし、トントロス様。まだレトケネスが来ておりません。 ヘルダンテ:面倒くせぇなぁ。もういいんじゃねぇか?あいつ放っておいて始めようや。 バルレイン:私は早く終わらせたいから別に構わないぞ。 ジオセータ:バルレインまでやめてくださいよ。折角の機会なんですから、もう少し待ちましょう。 ヘルダンテ:ふん!確か、前のときもあいつ遅れてきやがっただろ。不真面目なんだよなぁ。 バルレイン:ふっ。どの口が言ってるんだ?貴様も真面目とは言えないだろう。 ヘルダンテ:何だと? トントロス:落ち着け。お前らが争って何になる。下らんいさかいはよせ。 ヘルダンテ:ちっ! 0:扉が勢いよく開いた。 レトケネス:みんなお待たせ~あれ?どうしたの?ピリついてる? ジオセータ:やっと来ましたか。待ちくたびれましたよ。 バルレイン:遅れてきておいて、その態度か。変わらないな。レトケネス。 レトケネス:お、バルちゃんじゃない!元気だった? バルレイン:・・・その呼び方はやめろと言ったはずだが? ヘルダンテ:おい!楽しくおしゃべりしてんじゃねぇよ。毎回、何時間待たせんだ?あぁ? レトケネス:時間?今日はまだ三十分も遅れてないでしょうに。 トントロス:静まれ!!!・・・早く終わらせたいのだろう?その言い争う時間が、無駄な時間だというのだ。さぁジオセータ、始めるぞ。ペンテコステを。 ジオセータ:は、はい!それではただいまより。魔王会議、ペンテコステを開催します。 : 0:一同拍手 : ジオセータ:えー早速ですが、議題を上げさせていただきます。最初の議題は『世界の半分について』ですね。これは、どなたの議題ですかね? ヘルダンテ:これは俺だな。 ジオセータ:ほう。ヘルダンテですか。これはどう言った内容ですか? ヘルダンテ:えっと、なんだっけかな。あーそうそう。勇者が俺らの仲間になれば、世界の半分をそいつにやるって昔からのルール?みたいなやつあるだろ?あれってどう意味なんだ?俺らの領地を分けるってことか? バルレイン:お前はまたわけのわからないことを言い出すのだな。 トントロス:今は口を挟むでないぞ。お前の嫌いな残業がしたいのなら別だがな。 バルレイン:それは困りますね。少し黙っておきましょう。 トントロス:ヘルダンテ、続けろ。 ヘルダンテ:あ、ああ。それで半分の定義ってのを聞きたいんだよ。 レトケネス:まぁとりあえず、それは人間界を全て掌握した後の話なんだよね~でしょ?トントさん。 トントロス:まあそうだな。人間界を勇者と共に征服した後、その半分を分け与えるというのが文献に残るしきたりだ。 ヘルダンテ:なるほどな!俺達の領地は変わらないわけだ。 レトケネス:でもさ。その半分ってどう半分にするわけ? ジオセータ:そうですね・・・人間界は地球といって、球体と聞いています。では、北と南、もしくは東と西を丁度真ん中で切り分ける。なんてどうでしょう。 ヘルダンテ:確かにそれで半分だな! レトケネス:いや待って。陸地と海が半々にならないと、半分てことにはならなくない?そこんとこどうなの?セータくん。 ジオセータ:そう言われましても・・・そこまで人間界の地理に詳しいわけではないので。トントロス様、何か案はございませんか? トントロス:んー・・・難しいな。よし、調査班を作ろう。人間界の地図を作らせるのだ! ジオセータ:はっ!今すぐに立ち上げを・・・ バルレイン:(食い気味に)待て。人間界に地図くらいあるだろう。なんなら、球体の模型があってもおかしくはあるまい。それを持ち帰るだけで事足りるだろう。 レトケネス:さっすがバルちゃん!冴えてるねぇ~ バルレイン:・・・トントロス様。今まで異界の勇者が裏切った例はありましたか? トントロス:わしが記憶している中では、まだないな。 バルレイン:やはりか。 ヘルダンテ:ん?何かわかったのかよ。 バルレイン:この口約束は実際の効力を持っていない。 ジオセータ:ど、どういうことですか? バルレイン:これは甘い言葉で勇者を唆すためのものだ。本当に渡すつもりも無ければ、渡す理由すら存在しない。 レトケネス:なるほどね!昔から魔王ってやっぱ悪い生き物なんだよね~ ジオセータ:それは少しズル過ぎるのではありませんか・・・? バルレイン:だが、魔王とはそういうものだろう。 レトケネス:利用できるものは利用して、いらなくなれば廃棄する。それでこそ魔王だよ。 ヘルダンテ:・・・結局、これはどう言う結論になるんだ? バルレイン:トントロス様、どうしますか?これ以上、話し合うことではないと思われますが。 トントロス:ふむ。確かに、その必要は無さそうだな。 ジオセータ:では、この議題の決定はどうしましょう。 トントロス:世界の半分のことは考えず、ただ勇者を騙すことに尽力するように!! 一同:はっ! : 0: : ジオセータ:それでは、次の議題に移らせていただきます。次は・・・『警備体制の強化』ですか。これはどなたの議題で? レトケネス:これは僕だね。 ジオセータ:へぇ。あなたにしては、珍しく建設的な案を持ってきましたね。レトケネス。 レトケネス:酷いなぁ。僕を何だと思ってるんだい? ヘルダンテ:性格の悪い、クソガキ。 バルレイン:お、ヘルダンテ。珍しく意見が合うじゃないか。 レトケネス:君達ねぇ。同じようなもんでしょうに。歳だって数十歳程度しか変わらないでしょ。ま、トントさんとセータくんはもう少し上にはなるんだけど。 トントロス:おい、よしてくれ。わしは、まだまだ現役だぞ。魔王となりて、八百年。わしの千年に及ぶ帝王学の成果を・・・ ジオセータ:トントロス様!いつもあなたは私達の道標です!目指すべきお姿です!尊敬しております! トントロス:お、そうか。流石はジオセータ。世渡りが上手いな!はっはっはっは!!! ジオセータ:いえ、ほんの心の一部でございます!(あの話になると、長いんだよな・・・) トントロス:ん?何か言ったか? ジオセータ:い、いえ!滅相もございません! バルレイン:・・・進行役も大変だな。 ヘルダンテ:ああ。全くだ。 レトケネス:あのー、そろそろいいかな?説明したいんだけど。 トントロス:おっと、すまんすまん。話してくれ。 レトケネス:まず、異界の勇者が、僕達の領地。いわゆる魔界に到達するには、互いの世界を繋ぐ扉を開かなきゃならない。 レトケネス:その扉は誰にも壊せず、誰にも移動できない。そしてそれは、各魔王の統治する領地と繋がっていると。ここまではみんな知ってるよね? ヘルダンテ:当たり前だ。一般常識だぜ。 レトケネス:じゃあ、君達の領地にある扉の場所は把握してる? バルレイン:無論、把握しているさ。それに何か? レトケネス:いや、みんな固定概念に縛られすぎだと思ってね。あの扉ってさ。魔力さえあれば簡単に開いてくれるし、僕達ほどの魔力があれば、行き来するのも容易でしょ? バルレイン:何が言いたいんだ。さっさと言え。 レトケネス:もう。せっかちだねぇ。少し細工をするだけで、不届きな侵入者を一網打尽に出来るんだよ。 ジオセータ:細工!?そんなことできるわけが無いでしょう。あの扉自体に触れることさえできないのに。 トントロス:その通りだ。あの扉は形こそあるものの、現世のものではない。魔力の塊のようなもので、細工など出来ないはず。今までの魔王も、最強と謳われた大魔王様でさえ、あの扉をどうにかすることは叶わなかったのだからな。 レトケネス:扉の下は? ヘルダンテ:下・・・だと? レトケネス:そう。下の地面には、何の干渉もないんだよ。試しにくりぬいてみたんだ。扉の下の土を広範囲にね。 バルレイン:・・・なるほどな。流石、狡猾な魔王と呼ばれるだけはあるな。 レトケネス:・・・叡智の魔王とかに変えらんない?それ。 トントロス:それで、その結果どうなったんだ。 レトケネス:出てきた異界人が、扉から真っ逆さまに落ちてって虫の息だったねー。まあほっといても死にそうだったんだけど、ちゃんと魔獣のえさにしといたよ。でも次からは、めんどくさいし毒沼でも溜めておくことにするかなぁ。 ジオセータ:・・・・・っ トントロス:ん?どうした。ジオセータ。気分が優れないか? ジオセータ:い、いえ・・・大丈夫です。 バルレイン:無理をするんじゃないぞ。切り上げるか? ヘルダンテ:優しいフリをするな。お前が早く帰りたいだけじゃねえか。 ジオセータ:私は大丈夫ですから、さぁ続けましょう。レトケネス。君はその案を全魔王領に適応したいと考えているのかな? レトケネス:そんなことはないよ。だって、トントさんとダンテくんは時空は飛べても、空は飛べないし。 バルレイン:私の領では採用させていただこう。無駄な犠牲も出したくないし、手間もそんなにかからんだろうしな。 レトケネス:毎度ありー。セータくんはどうする? ジオセータ:私は・・・ ヘルダンテ:無理にやることは無えと思うぜ?やっぱ敵は自分の手でねじ伏せてだろ。なぁセータ。 ジオセータ:そ、その通りだ。私も自分の手で迎え撃ちたい。 バルレイン:ふん。非効率な。 トントロス:では、今回の議題において、レトケネスの案をバルレインのみ採用するということとする。わしとヘルダンテには不可能ではあったが、いい策略であった。我々にとっては、間違いなく叡智の魔王だろう。 レトケネス:ふふ。ありがとうございます。 ジオセータ:・・・・・ トントロス:・・・では、小休止を置いた後、再度集まるように。一時解散! : ジオセータ:私は・・・魔王でありながら、甘すぎる。こんなことでは征服はおろか、自分の領さえも守ることは出来ないだろう・・・しかし、無闇に命を奪いたくは無い。どうすれば。どうすればいいというのだ。 : : 0:小休止。自由にアドリブをしてもかまいません。魔王になりきってみましょう。 : : トントロス:よし、今度は全員そろっておるな。では、ペンテコステを再開する! ジオセータ:はい。それでは、次の議題です。『なぜ勇者を逃がしてしまうのか』。これは私の議題ですね。 ヘルダンテ:おっと、これは俺へのあてつけか? バルレイン:だろうな。お前以外に勇者を逃がすやつなど・・・いや、いるな。 レトケネス:うん。もう1人いるねー。 トントロス:ん?わしか? ジオセータ:はい。トントロス様とヘルダンテのお2人です。単刀直入に聞きます。何故ですか? トントロス:それは・・・まぁ、な? ヘルダンテ:次会った時、もっと楽しいじゃねぇか。 バルレイン:はぁ・・・ ジオセータ:そのせいで、魔族たちの暮らしが脅かされていることをわかっていますか?別に命を奪えといっているわけではありません。 ジオセータ:2度と来ないよう痛めつけるか、心を折ってもらわないと。次来た時には、どれだけの人数を引き連れてくるか、どこまでこちらの地形等がばれているかもわからない。 ジオセータ:それがどれだけの犠牲を出してしまうのか。あなた方はわかっていない・・・ ヘルダンテ:そんなこと言ってもよ。戦うために生きてるような俺にゃあ、難しい話だな。 ジオセータ:それで民が危険な目にあったとしても・・・ですか? トントロス:確かに、わしも戦いが好きだ。命を賭した戦いなら、尚更にな。民が大事なのもわかっておるが、これ種族の違いだ。戦いの中にこそ喜びを感じてしまう。それを押さえ込むのは、わしとて難しい。 ジオセータ:・・・っ レトケネス:これは仕方ない話だよ。遺伝子にそう刻まれているんだ。そもそもの価値観が違う。 レトケネス:僕は悪魔から魔王に、バルちゃんは魔人から、ダンテくんやトントさんは魔獣からだし、セータくんみたいに珍しく、堕天使からっていうように。 レトケネス:それぞれの種族の根底から違う。これは本当にどうしようもない事案なんだよ。 ヘルダンテ:そういうこったな。どうすることもできない。ま、本当に強いやつに負けたとしても俺は本望だからな。 バルレイン:もう何を言っても無駄だ。私とレトケネス、ジオセータは今まで通り、勇者を抹殺。トントロス様とヘルダンテは撃退。それで決まりだ。 ジオセータ:くっ・・・ トントロス:すまんが、これは堪えてくれ。領民も、わしのこの旨を受け止めている。 ヘルダンテ:俺のところも同じだ。腰抜けの兵はいないさ。 ジオセータ:・・・わかりました。この議題はこれで終わりとします。 バルレイン:まあ心配するな。次は私の議題だろう?さっさと行こう。全て解決するだろうさ。くっくっく・・・ ジオセータ:え?ああ。わかりました。では次の議題を・・・っ!な、何ですかこれは? バルレイン:どうした?早く発表してくれ。 ジオセータ:・・・・・ トントロス:ん?どうした。発表しなさい。 ジオセータ:は、はい。今回の議題は・・・『人間界強奪案』です。 ヘルダンテ:は?そんなのいつもやってるだろうが。 バルレイン:馬鹿は黙っていろ。 ヘルダンテ:な、何だと!? トントロス:ヘルダンテ!落ち着け。まずは聞くんだ。 バルレイン:簡単に結論から述べよう。人間を全て消す。方法は、人間界へ進軍し、王族を捕らえ、人質とし、あとは・・・一網打尽だ。 ジオセータ:なっ!?それはやりすぎだ! バルレイン:人間に情けなど必要ない!!さっきから聞いていれば、ちまちまと細かいことで話し合いおって。二百年前と何も変わっておらんでは無いか。 バルレイン:異界の中でも人間界は、愚かで浅はかで、数ばかり多いゴミだらけの世界。そこからまず消す。 レトケネス:・・・人間界は僕の管轄のはずですが? バルレイン:だからなんだ?人間どもは、科学とか言う技術を持ち出し、扉に干渉して、私の領土への侵入もしている。それを黙って見逃せとでも? ジオセータ:でも、皆殺しは違うだろう・・・ バルレイン:何が違う?侵攻してきた人間を殺せといったのもジオセータ。お前だろう。民のためにやらなきゃいけないことなんだろう?だから根本から絶とう。それだけの話じゃないか。 レトケネス:僕は反対だ。楽しみがなくなるじゃないか。僕は人間を痛ぶって・・・ バルレイン:こっちの異界人を分けてやるさ。何も問題は無いだろう? レトケネス:いや、僕は、人間が・・・ バルレイン:どうした?いつもの余裕が無いな。もしかして、人間に何か思い入れが?それとも、特定の人間がいるのか? ヘルダンテ:おい。いい加減にしろよ。魔王同士で揉めてどうすんだ? バルレイン:つくづく邪魔をするな・・・貴様は。 トントロス:やめろ。 ヘルダンテ:人間には強えやつもいる。勝手に殺されちゃ困るんだよ。 トントロス:やめろ。 バルレイン:頭まで筋肉でできてんのか?貴様は。そんな話をしてるわけじゃないんだよ! トントロス:やめろというのが聞こえんか!!!!! 一同:・・・っ!! トントロス:バルレイン。お前の案は却下だ。 バルレイン:なっ!?何故ですか!? トントロス:魔界は異界に漂う負のエネルギーを吸収し、その形を保っている。そして、その供給が1番多いのが人間界だ。全ての人間を消してしまえば、魔界の一部が消えてしまうだろう。それは度し難いことだ。 バルレイン:ちぃ・・・ならば私がここにいる意味はもうありません。自城に帰らせていただく。 : 0:バルレイン、窓から羽を広げ飛び立つ。 : ジオセータ:トントロス様。私は、負のエネルギーという話を聞いたことは無かったのですが、事実ですか? トントロス:いや、嘘だ。 ジオセータ:嘘なんですか!? トントロス:あのままじゃ、バルレインに飲まれ可決に持っていかれるとこだった。 ヘルダンテ:あんなやつ、俺が倒してやりますよ。 トントロス:無理だ。 ヘルダンテ:なっ!?そんなことありません!俺のパワーであんなやつ! トントロス:あいつはまだ全てを見せていない。油断するな。 トントロス:レトケネス! レトケネス:は、はい! トントロス:お前には頼みがある。扉に干渉するという、人間界の科学を調べてくれ。そしてその結果を報告、共有してくれ。 レトケネス:わかりました。必ず解明して見せます。 トントロス:ああ。それと、(小声で)人間の女、恐らくばれているぞ。早めに手を打て。 レトケネス:し、知っていたんですか!? トントロス:私を誰だと思っている。 レトケネス:失礼しました・・・ トントロス:ジオセータ。締めてくれ。今回の会議はこれで終わりだ。 ジオセータ:は、はい!・・・これにて!ペンテコステを終了とします! : : 0: : : バルレイン:このままでは終わらさんぞ・・・魔界は、私が手に入れる!