台本概要
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タイトル | ようこそ猫の手霊障事務所へ ~繋がる絆~ |
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作者名 | 瓶の人 (@binbintumeru) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 5人用台本(男2、女1、不問2) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
深い深い闇の中 底の無い底へと沈んで行く 伸ばした手は絆の光を掴み取る ※ようこそ ねこのて れいしょう じむしょへ つながるきずな 7/13 ※ト書きの『』(闇くん)は臣役の方がやっていただいても構いませんし、他の役の方が兼任して頂いても構いません 又、6人目の方を用意して頂いても構いません。 最悪やらなくても構いません ※注意事項 ●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡下さい。 ●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。 ●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。 ●全力で楽しんで下さると幸いです。 1029 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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臣 | 男 | 75 | 木花臣(きのはな おみ)16~18歳 優しく穏やかな性格 リンクをすると一時的に霊力が使えるようになる特殊な力を持つ 先の戦いで意識を失っている |
猫又 | 不問 | 74 | 4本の尻尾があり、左目に傷がある隻眼の猫又の妖怪 口が悪く素直じゃないが実は心配性 尻尾にエネルギーを込めて放つ ツナマヨが大好物 |
ココ | 女 | 77 | 普段は栗色の長い髪をした女性の姿をしている管狐(くだぎつね)の妖怪 テレパシーや千里眼を用いたサポートやカウンターを得意をしている 可愛い物が大好き |
ホウゲン | 男 | 69 | 猫の手霊障事務所を設立したリーダー 長い白髭と1本に結った白髪が特徴 腰には長い刀『驚椿(おどろつばき)』を帯刀している 女性が大好き |
パンプ | 不問 | 52 | 本名パンプ・オ・ウィスプ 霊界管理局霊魂天地分別部部長(れいかいかんりきょくれいこんてんちぶんべつぶぶちょう)兼霊力研究室室長(れいりょくけんきゅうしつしつちょう)の肩書を持つカボチャ頭のゴースト |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
臣:【N】真っ暗な闇の中に体が沈んで行くのを感じる
臣:泥がまとわりついたかのように身動きが取れず、ただひたすらに底の無い闇へと落ちていく
臣:僕はどこまで沈んで行くんだろう、この闇に果てはあるのか?
臣:灯りの無い果てへと、僕はただ落ちていく…
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猫又:「おい、ココ!」
ココ:「なんだい又くん?」
猫又:「なんだって俺までこんな事に付き合わなきゃならないんだ!」
ココ:「なんでって…そりゃキミは現場に居た関係者だからだろう?」
猫又:「そんなの女だってそうだろ!」
ココ:「愛美ちゃんはキミよりもデリケートなんだ、見ただろう?あの落ち込みようをさ。」
猫又:「んぐ…」
ココ:「大好きな人が目の前で倒れたんだ。並みの精神力じゃ耐えられないさ。だから又くん、キミに着いてきてもらったんだ。」
猫又:「んぐぐ…しかしだな…」
ココ:「それに、キミだって心配なんだろう?臣くんの事が。」
猫又:「んな!?そ、そんな事ねぇ!なめんな!」
ココ:「照れなくてもいいのに。」
猫又:「照れてねぇ!!」
ココ:「はいはい。でもね、皆心配してるんだ。私達は少し臣くんに頼ってしまっていたのかもしれないね。」
猫又:「……。」
ココ:「あのリンクの力は想像以上に強力で、臣くんの体に大きなダメージをもたらす事をもう少し考えるべきだったよ。」
猫又:「…起きちまった事を後悔しても仕方ねえ。今は少しでも早くガキを起こす事に集中しろ。」
ココ:「……そうだね。起きてもらう為に早い所、山頂を目指さないとね。」
猫又:「やっぱ行かないといけねえのか?」
ココ:「当たり前だよ。他に手はないんだ、忙しいのに時間を作ってくれたんだよ?」
猫又:「…はあ…」
ココ:「キミが彼を苦手としているのは分かるけど、しょうがないんだ腹を括ってくれ。」
猫又:「ちっ…」
ココ:「あ、ほら山頂が見えてきた。」
猫又:「んなっ!?ココ、なんでアイツが居るんだ!聞いてねえぞ!」
ココ:「え?言わなかったかな?」
0:山頂の祠の前にホウゲンが居る
ホウゲン:「おーい、ココ!猫又!」
ココ:「お疲れ様ですリーダー。」
ホウゲン:「おお、この山道ご苦労だったな。して、猫又よ……久しいな!」
猫又:「…ちっ。」
ホウゲン:「相変わらずの不器用な愛情表現じゃなぁ~!」
0:猫又を抱きかかえようとするホウゲン
猫又:「だー!!近づくんじゃねえジジイ!*仙狸《せんり》!!」
0:尻尾からエネルギー波を放つ猫又
ホウゲン:「はっは!変わらないのう!良い事じゃわい!」
猫又:「くっそ…ビクともしねえのが腹立つ…」
ココ:「リーダーも又くんも遊んでないで早く準備を。」
ホウゲン:「おお、そうじゃったすまんのう。」
猫又:「その前に、なんでジジイが居んだよ。」
ホウゲン:「そりゃあワシの事務所の大事な人材が大ケガをしたと聞いたら飛んでくるじゃろうが。」
ココ:「それに、あそこへ入るにはリーダーの霊力が必要になるからね。私からお願いしたんだ。」
猫又:「ジジイの霊力…余計な仕掛けだな…」
ホウゲン:「まあ、そういうでない。さ、お前ら祠に霊力を込めるぞ。」
ココ:「はい。」
猫又:「…たく、しゃーねぇな。」
0:祠に意識を集中し霊力を込める
ココ:「祠に充分霊力が溜まりました!行けます!」
ホウゲン:「よし…では行くぞ、霊界管理局へ!」
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臣:【N】どこまで沈んだんだろう?目を開けているのか閉じているのかさえ分からない程暗い
臣:瞬間、僕の足が底のような所へとついた…
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0:霊界
ココ:「ん……無事に霊界に来れた…かな?」
ホウゲン:「の、ようじゃな。」
猫又:「相変わらず辛気臭い所だ。」
ホウゲン:「霊界管理局はこの道をまっすぐ行った所じゃったな。」
ココ:「ええ。あそこに見える大きな施設…そこが霊界管理局です。」
ホウゲン:「あいわかった、では行くとしようかの。して…猫又よ。」
猫又:「…なんだ?」
ホウゲン:「襲われた日の事、お前が知る限りを道すがら教えてくれ。」
ココ:「そうだね…私も全部を聞いたわけではないからね…聞かせて欲しい。」
猫又:「……分かった。教えてやるよ、あの時起きた事、敵の事を知る限りな。」
ホウゲン:「お前たちを襲った相手は『*崇徳《すとく》』と名乗ったのだな?」
猫又:「ああ。白い長髪に白装束みたいな恰好をしていたな。」
ホウゲン:「そやつは細身の刀を携えていなかったか?」
猫又:「使っていたな。なんだジジイ、知ってる奴なのか?」
ホウゲン:「ふむ………」
ココ:「どうかしたのですか?リーダー?」
ホウゲン:「いや…そやつは古い顔見知りの可能性が高いと思うてな。」
猫又:「顔見知り?」
ホウゲン:「もう消え去ったと思うたんだがな…まさか現世に残っていたとは思わなんだ…」
ココ:「リーダー?」
ホウゲン:「すまん、何でもないさ。もう1人臣くんの友人も立ちはだかったと聞くが、その友人はどうしたのだ?」
猫又:「あのクソガキも崇徳についていっちまった。*妬みの剣《ねたみのつるぎ》とか言う得体の知れねえ剣を崇徳に渡されて、アホみてえに強くなったんだ。」
ホウゲン:「あの剣は内なる憎悪を何倍にも膨れ上がらせるという物…並みの人間では精神を破壊されかねないというのに…なんと恐ろしい事を…」
ココ:「妬みの剣……ごめん、私がしくじらなければ…」
猫又:「…しゃーねえーだろ。今更後悔したって元にゃ戻らねえんだ。」
ホウゲン:「そうじゃな。今は崇徳たちが何を目的に行動していて、次にどう動くかを考えなければならない。」
猫又:「そういうこった。まずはこのおねんね中のガキを叩き起こして全員で作戦を立てなきゃならねえ。」
ココ:「…そうだね。いつまでも後ろばかりを見ていられないね。」
ホウゲン:「お前はまっすぐ前を向いている方が*別嬪《べっぴん》でええぞ。」
ココ:「リーダー、こんな状況でもセクハラですか?投げますよ?」
ホウゲン:「励まそうとしただけなのに…」
猫又:「遊んでんじゃねえよお前ら。おら、お目当ての場所についたぞ。」
ホウゲン:「おや、もう着いてしまったか。」
ココ:「さ、リーダー。門の結晶に霊力を。」
ホウゲン:「了解した。」
0:門に埋め込まれている結晶に手をかざし霊力を込める
ココ:「結晶が輝き始めた…」
ホウゲン:「さあ、門が開くぞ。」
0:大きな音と共に門が開く
ホウゲン:「ここから先が霊界管理局の敷地内じゃ!」
猫又:「さすが霊界管理局、色んな霊魂が居るな。」
ココ:「そりゃ死者の魂の今後を決める所だからね。」
ホウゲン:「ワシはあやつを呼び出してもらうよう申しつけてくる。」
ココ:「お願いします。」
パンプ:「その必要はないよ!!」
0:管理局の扉が勢いよく開く
ホウゲン:「むっ?」
猫又:「うげっ…」
ココ:「この声は…」
パンプ:「やあやあ!皆!久しぶりだね!ホウゲン、キミの霊力を感じてからすぐに研究室を抜け出してきたんだ!猫又、ココもずいぶん久しぶりじゃないか?ホウゲンに至ってはもう100年近くは経つのかな?
パンプ:皆変わりないようで安心したよ!私の事忘れていないかい?このパンプ・オ・ウィスプの事を!*霊界管理局霊魂天地分別部部長《れいかいかんりきょくれいこんてんちぶんべつぶぶちょう》兼*霊力研究室室長《れいりょくけんきゅうしつしつちょう》であるこのパンプ・オ・ウィスプの事を!
パンプ:キミ達から手紙を受け取ってからだいぶ時間が経ってしまって悪かったね、用事が立て込んでしまってなかなか時間を取ることが出来なかったんだ。だが安心しておくれ!今日はキミ達の為に丸1日時間を作ったんだ!
パンプ:この日の為に!旧友であるキミ達の為にこのパンプ!頑張ったんだよ!さあ!今日は目いっぱい語りつくそう!これでもかというくらいに!」
ホウゲン:「はっは!相も変わらずの饒舌(じょうぜつ)ぶりだなパンプ!」
猫又:「……っち…」
ココ:「又くんどうしたんだい私の足元に隠れて。」
パンプ:「やあやあ猫又!隠れてないで出てきてくれよ!久しぶり会ったんだ語らおうじゃないか!」
猫又:「だー!うるせえ!俺はお前のそういう所が嫌なんだ!」
パンプ:「そんな事を言わないで、さ!おいで!」
猫又:「誰が行くか!!」
ココ:「パンプ、こんな所ではなんだから研究室に案内をしてくれないか?」
パンプ:「それもそうだね。さ、ついておいで皆。案内をしよう!」
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臣:「…ここは………?立てる…床?地面がある?一体ここは…どこなんだろう…」
0:『ここはキミの深淵だよ。』
臣:「っ!?だれっ!?」
0:『そして、キミの心の底であり…檻でもある。』
臣:「キミは…一体…」
0:『僕はキミであり、裏であり、闇そのものだよ』
臣:「闇……だって…?」
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パンプ:「さあ!着いたよ、ここが私の研究室だ!」
ココ:「ありがとう、お邪魔するよ。」
ホウゲン:「臣くんはこのソファに寝させよう。」
ココ:「分かりました。」
パンプ:「その少年が手紙に書いてあった特殊な子かな?眠っているようだけど。」
ココ:「先日、敵と戦闘になってね…その時に昏睡状態になってしまったんだ。」
パンプ:「ココ、キミなら霊力の流れを見れたよね?どうなっているんだい?」
ココ:「ああ…臣くんの霊力は……全く流れが見えないんだ…」
猫又:「まさか死んだとか…言わねえよな…」
ココ:「それは大丈夫、息はしてるよ。」
ホウゲン:「パンプ、お前ならどう見る。」
パンプ:「んー、そうだねぇ…情報が足りないなぁ、誰か現場に居た人は居ないのかな?」
猫又:「俺はガキと一緒にその敵と戦った。何があったのか知ってる。」
パンプ:「じゃあ、話してもらってもいいかな?何があったのか。」
猫又:「…ガキは妬みの剣っつー憎悪を増幅させる剣を持った敵と戦っていた。その際に一緒にいた仲間とリンクをしたらしい。
猫又:リンクした後にコイツは自我を失って暴れまわって、その後意識を失ったんだ。」
パンプ:「手紙にも書いてあったけど、この少年のリンクは私たちが知っている物と少し違うらしいね?」
ココ:「ああ。本来リンクは霊力を渡すだけの力。器から器に移動するだけのはずが、臣くんの場合は違う。
ココ:臣くんとリンクをすると、渡した側もなぜか霊力量が増えて力が漲るんだ。」
パンプ:「霊力が増える…?」
ココ:「でもリンクそのものの負担自体は変わらないみたいだね…実際臣くんはこうして倒れてしまった…私たちは少々彼に頼りすぎてしまったのかもしれないね…」
猫又:「……」
ホウゲン:「臣くんは何回リンクをしたのだ?」
ココ:「初めに又くん、次にサンズイ、そのあと私で今回は愛美ちゃん…4回です。」
ホウゲン:「1度のリンクでも相当なリスクがあるというのに…皆の為に頑張ったんじゃな…」
ココ:「パンプ、キミには臣くんのリンクについて調べて欲しいと依頼をしたのだけれど、もし可能なら目覚めさせる方法についても協力をしてくれないか?」
パンプ:「初めからそのつもりでここに少年を連れてきたんだろう?もちろん、私もそのつもりでここに居るつもりだよ。安心してくれ。」
ココ:「パンプ…ありがとう。」
ホウゲン:「すまないパンプ…」
パンプ:「いいんだよ、私たちの仲じゃないか。」
猫又:「んで、そもそもの話お前にこのガキを治せんのか?」
パンプ:「リンクに関しての事ならどうにかできると思う。」
猫又:「リンクに関しての事なら?」
パンプ:「少年の意識に関しては少年次第としか言いようがない。」
ホウゲン:「それはどういう…」
パンプ:「少年は何度もリンクを続けてきた、それはつまりいくつもの霊力を取り込んだという事なんだ。
パンプ:霊力とは妖怪や霊の力の源なわけだ。それをいくつも取り込むという事は複数の妖魔の闇を取り込んだという事。少年の意識の底ではいくつもの妖魔の闇が交じり合った物が存在しているはずだよ。」
ココ:「闇…」
猫又:「その闇をガキがどうにかしない限り目を覚まさねえって事か。」
パンプ:「そういう事。少年が自らの力で闇を振り払わない限り目を覚ますのは難しいだろうね。」
ホウゲン:「それまでワシたちは何も出来ぬのか…」
パンプ:「私は少年のリンクについて調べてみる。キミ達は少年を信じて待つんだ。」
猫又:「…ガキ…」
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臣:「キミが僕の闇…?」
0:『そうさ、僕はキミの闇。キミの心の奥底に芽生えた闇。キミが抱える闇だよ。』
臣:「奥底に芽生えた闇…どうしてそんなものが僕に…」
0:『キミはたくさんの闇の力を取り込んだ、それが形を得て僕は生まれた。』
臣:「力を取り込んだ…?もしかして…リンクの事?」
0:『僕はキミでキミは僕。キミは闇に耐えきれなかった、そんなキミにはもう預けられない。この体は僕が貰う。』
臣:「えっ!?ま、まってどういう事!?」
0:『言葉通りだよ。表であるキミに裏に行って貰うだけの話………仙狸(せんり)!』
臣:「うわあっ!!待ってよ!どうしてそんな事になるんだよ!」
0:『これから先、キミはこれまで以上に強い敵と戦う事になる。今のままのキミではこの先勝ち抜くことはできない。』
臣:「……強い敵…崇徳…」
0:『必要以上に仲間を失い、大切な存在を守る事が出来ないキミにこの体を任せる事は出来ない、だから僕が貰うと言っているんだ。闇は力の源なのだからね。』
臣:「…確かに僕は闇に飲み込まれてしまった……決して強くないし皆に助けてもらってばかりだ……
臣:でも、ごめん。この体は渡せないよ。」
0:『誰も守れず、救えず、失ってもいいと言うの?』
臣:「皆守って、救って、失わない為に僕がもっと強くなる。だから渡せない。」
0:『僕の方がキミよりも強い闇そのものだというのに。』
臣:「それ以上に、僕は強くなってみせる。その為にまずはキミを…僕自身を超えてみせる!」
0:『そっか……その判断が誤りだという事を思い知らせてあげるよ………仙狸(せんり)!!』
臣:「行くよ…僕、いや……闇!仙狸(せんり)!!」
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ホウゲン:「臣くんがうなされ始めたぞ!」
パンプ:「少年と闇が衝突したようだね。体の奥で霊力の波動を感じる。」
ココ:「なんとなくだけど私にも分かるよ…不安定だけど霊力の流れを感じる。」
猫又:「おいカボチャ野郎、もしガキがその闇っつーのに負けたらどうなるんだ?」
パンプ:「考えられるのは2つ。1つは意識を失ったまま植物人間のようになる。」
ココ:「2つ目は?」
パンプ:「…その闇が表に出てきて少年の体の支配権を握られる。」
猫又:「乗っ取られるってわけか…」
ココ:「どうか打ち勝ってくれ…臣くん…!」
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0:
臣:「ぐっ!?」
0:『水泡連弾(すいほうれんだん)!』
臣:「流旋の構え(りゅうせんのかまえ)!」
0:『この量なら打ち消すことはできないよね、水泡連弾(すいほうれんだん)!』
臣:「さっきよりも数が…!!それなら…水泡連弾(すいほうれんだん)!!」
0:『数も威力も僕の方が上、無駄だよ。』
臣:「くっ…押され……うわああああああ!!」
0:『まだ終わらせないよ、捕らえろ。』
臣:「これは、愛美の…っ!ぐあっ!」
0:『そのまま…叩きつける…!』
臣:「なっ、やめ……がっあああああ!!」
0:『キミは僕に勝てない、どうあがいたところで絶対にね。』
臣:「が…はっ……はぁ…はあ…」
0:『闇は光が強くなればなるほどにその濃さを増す。キミが希望を夢見れば、その分僕は色濃い闇になるんだ。』
臣:「はあ……はあ…希望は…無いって言いたいの?」
0:『そう捉えてもらって構わないよ。』
臣:「そっか……でも僕は…」
0:『っ!?足元に触手っ!いつの間に!』
臣:「諦めないよ…キミを倒して必ず皆の所に帰る。そして、皆と一緒に崇徳を止めるんだ…!!お願い、捕らえて!」
0:『くっ…!無駄だよ!形態変化!切り裂け!』
臣:「なっ、触手を切った…?」
0:『諦めの悪いキミに思い知らせてあげなきゃね……何度も言うけど僕は闇。霊力そのものであるんだ。』
臣:「霊力そのもの…だから僕が出来ない形態変化や大量の水の弾を…」
0:『そういう事だよ。分かったかな?キミがどうやっても勝てない理由が。』
臣:「でも、ここで負けるわけには…行かないんだ!仙狸(せんり)!!」
0:『往生際が悪いね…射空の構え(しゃくうのかまえ)。』
臣:「なっ…」
0:『終わりだよ。僕。』
臣:「ぐあああああっ!!」
0:『大人しく僕に委ねるんだ。』
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0:
ココ:「っ!なんだこれは…」
パンプ:「ココ、気づいた?この黒い霊力。」
ココ:「当然だ。臣くんの内側から徐々に強まっている…」
猫又:「なんだ、一体どうしたってんだ!」
パンプ:「恐らくだけど、この少年は……闇に飲まれた。」
ホウゲン:「なんじゃと…臣くんが負けたと…言うのか…」
ココ:「信じたくはないですが……」
猫又:「ちっ…クソガキが……!!みっともねえ…!」
0:臣が目覚ましソファから身を起こす
臣:『っ……』
ココ:「臣くん…」
パンプ:「じゃ、ないだろうね。」
ホウゲン:「さすがにここまで来たら分かるわい…」
猫又:「嫌な香りがしやがる。」
臣:『……ふ…ふふふ…あっははははは!!!ようやくこの体を手に入れたよ!!』
ココ:「っ!?」
臣:『あの子結構しぶとくて大変だったなぁ…何が諦めないだよ。どんなにかっこつけたって結局僕に負けちゃってるんだから恥ずかしいよね。』
猫又:「テメエ、一体何なんだ。」
臣:『全然気が付かなかった。周りにこんなに居たんだね、ごめんねキミ達。』
猫又:「んなこたぁどうでもいい。テメエはなんなんだって聞いてんだ!!」
臣:『僕?僕は闇そのものだよ。この体の持ち主が貯めこんだ数多の闇の塊。』
パンプ:「ここまで禍々しいと否定はできないよね。どうするの皆、コレをどうする気?」
ホウゲン:「それはパンプお前。」
ココ:「もう決まってる。」
猫又:「ぶっ倒して取り返すしかねえだろっ!!!仙狸(せんり)!!」
0:尻尾からエネルギー波が放たれる
パンプ:「そうだよねぇ…私は戦えないので逃げるよっ!!」
臣:『血気盛んだね……キミの霊力も僕に流れてるんだよ?どんな性質なのかもお見通しさ。仙狸(せんり)!』
猫又:「ちいっ!!」
ホウゲン:「甘樂牡丹(あまらぼたん)!!」
0:弾ける霊力の弾が無数に放たれる
臣:『さすが…でもねえ……流旋の構え(りゅうせんのかまえ)!』
ホウゲン:「ココの技か!!」
猫又:「今までリンクしてきた奴らの技を使われんの厄介すぎるだろ…!」
臣:『どうしたの!全然勢い無いじゃん!この体が仲間のだからって手が出せないのかな?』
猫又:「こんのガキが…!!」
臣:『あははは!!蜂の巣にしてあげるよ、水泡連弾(すいほうれんだん)!!』
0:大量の水の弾が放たれる
ココ:「させない!射空の構え(しゃくうのかまえ)!!」
臣:『来ることくらいわかってるって、捕らえろ!』
0:触手が伸び、ココの足を絡めとる
ココ:「なに!?」
猫又:「くそったれが……!」
ホウゲン:「複数の霊力を同時に制御とは…恐れ入るわい……今助けるぞ、蘭牙(らんが)!」
0:空を切る腕から真空刃が飛ぶ
ココ:「助かりました…リーダー。」
ホウゲン:「油断するでないぞココ。こやつは臣くんの皮を被った妖怪じゃ。」
ココ:「そう…ですよね……すみませんもう油断しません。」
ホウゲン:「いざとなればこの刀で…彼を……」
猫又:「ジジイ、その刀はまだ使うんじゃねえぞ。」
ホウゲン:「もちろんじゃわい。」
臣:『いい加減僕の邪魔をするのは止めてよね、形態変化!全員を撃ち抜け!!』
0:複数の触手が光線状に放たれる
猫又:「んな!なんだそりゃ!」
ホウゲン:「とんでもない霊力制御じゃな…!」
ココ:「くっ…!流旋の構え(りゅうせんのかまえ)!一撃が重い…!」
臣:『これ以上僕の邪魔をするな、僕はもっと闇を広げるんだ!もっと…もっと!!さあ、撃ち抜け!!』
0:複数の触手が光線になり無差別に乱射される
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0:
0:
臣:【N】意識が薄くなっていく……僕は僕自身の闇に負けた…
臣:闇が言うように僕は弱い……こんなんじゃ誰も守れない……だったらいっそのことこのまま僕は沈んだままで……
0:
猫又:『っおいガキ!!お前の救いたいって気持ちはその程度なのか!』
0:
臣:「っ!!」
0:
猫又:『オレの力まで貸してそのザマでいいと思ってんのか!救うって決めたんなら諦めんじゃねえぞ!』
0:
臣:「猫又さん……そうだ、僕はまだ負けるわけにはいかない…!僕は僕の手で、僕の大切な人達を守るんだ。自分の闇なんかに負けられないんだ!!
臣:打ち勝って見せる。僕のこの力と、皆の力で。だから力を貸して、皆!!」
0:臣の体が淡く光る
臣:「はぁああああ!!!仙狸・結び(せんり・むすび)!!!」
0:
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0:
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0:
猫又:「こんの野郎!暴れ始めやがった!」
パンプ:「ああっ!!これ以上私の研究室を壊さないでくれぇええ!!」
ホウゲン:「このままでは研究所はおろか管理局にも被害が!やむを得ない、やはりこの刀で…!」
臣:『うっ!!うあぁあああああああ!!!』
猫又:「なんだ!?」
ホウゲン:「何事だ!何が起こっている!」
臣:『ぅがぁあああ!僕が!僕が消される!!僕がああああ!!』
ココ:「霊力の流れが変わった…黒いのから清い霊力に…この霊力は…」
パンプ:「なるほど、そういう事か。やるねえー!」
猫又:「おいカボチャ!どういうことだ!」
パンプ:「勝ったんだよ、少年。自分自身の闇にさ。」
猫又:「それは…ほんとか?」
ココ:「本当だとも。実際彼が苦しんでいるのが証拠だ。」
臣:『嫌だぁアア!せっかく体を得たのに!奪ったのに!!ちくしょおおおおお!!!』
ホウゲン:「諦めるんじゃ、哀れな闇よ。大人しく持ち主に譲るんじゃ。」
臣:『い…やだ……………』
0:意識を失い倒れる
パンプ:「完全に黒い霊力は静まったみたいだね。」
ホウゲン:「ということは…」
ココ:「臣くんの完全勝利という事だ!」
ホウゲン:「良かったわい…一時はどうなる事かと…」
猫又:「んで、ガキはいつ目覚ますんだ。」
パンプ:「落ち着いたらじきに目を覚ますと思う。霊力も安定してるよ。」
猫又:「そうか。」
ホウゲン:「猫又よ、内心かなーり安堵しておるんじゃないかぁ?んー?」
猫又:「んな!?そんなわけあるか!」
ホウゲン:「またまた~」
猫又:「サンズイと同じ手法をするな…」
臣:「…ん…」
ココ:「臣くん!」
ホウゲン:「おお、早速目を覚ましたか!」
臣:「う…ここは…」
パンプ:「やあやあ!少年!目覚めの具合はどうかな?」
臣:「え?どわああああ!!カボチャ!?」
パンプ:「カボチャじゃないよ、私の名前はパンプ・オ・ウィスプだ!気軽にパンプって呼んでくれ!さあ、起きてゆっくりしたいのは分かるけれど申し訳ないがキミと私にはやるべきことがたっくさんあるんだ。
パンプ:のんびりはしてられないんだ分かってくれるね?時間は有限、タイムイズマネーとも言うしね!さあさあこっちだ、さあさあ行くよ少年!!楽しい楽しい研究の始まりだ!!」
臣:「えっ!?ちょっ!まっ!!誰か助けてぇえええ!!」
0:パンプに臣が連れていかれる
ココ:「まあ、なんというか…」
ホウゲン:「パンプらしいのう…」
猫又:「騒がしい奴だ…」
0:
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0:
0:数時間後
パンプ:「さあ!お待たせしたね皆!無事に色々諸々な事が終わったよ!」
猫又:「ずいぶん時間がかかったな。」
パンプ:「そりゃあね、出来る限りの事もしたし、出来る限りの事を調べつくしたから。」
ココ:「それで、何かわかったのかな?」
パンプ:「うん、じゃあまず初めに手紙に書いてあったリンクについてだ。」
臣:「リンクについて…」
パンプ:「本来リンクとは、Aの霊力をBに渡すのという物だ。当然渡した者の霊力は渡した分少なくなる。
パンプ:しかし少年とリンクをした場合、渡した者の霊力は減らず、逆に増加するという。通常とは全くの別物だという事になる。」
ココ:「なぜそのような事が起きるのか、分かったの?」
パンプ:「恐らくは、少年が本来持っている謎の霊力が関係しているんだと思う。」
臣:「本来持っている霊力…全く使われないっていう…」
パンプ:「その霊力は長い時を超えて積み重なった物だ。初めは小さな霊力で、それが大きく力を持った物。今のキミでは本来の力を引き出す事が難しいだろうね。」
臣:「積み重なった霊力…なんでそんなものが僕に…」
パンプ:「そこまでは分からないけど、考えられる物としては少年の先祖の霊力が引き継がれたといった所かな。」
ココ:「しかし、本来人間には霊力は宿らないはずだ。」
パンプ:「本来なら、ね。」
臣:「どういうことですか…」
パンプ:「いくつかの例外を除いては人間に霊力は宿らないんだ。」
ココ:「愛美ちゃんのように悪霊化から脱して手に入れるケースもあれば、妖怪から授けられるケース。外的要因が無ければ霊力を持つなんてことはないんだ。」
臣:「じゃあ…まさか僕って…」
パンプ:「大丈夫、キミは妖怪じゃなく紛れもない人間だ。キミが気づいていない間に何らかの要因で霊力が宿ったんだろうね。」
ホウゲン:「その元からある霊力の力でリンクをより強力なものにしているのは分かったが、その霊力自体は使用できないのだろう?」
パンプ:「リンクを強力にしてるのは固有の性質みたいな物だと思う。ココの守りの性質やサンズイの多様変異(たようへんい)のようなね。
パンプ:そして、この霊力は100パーセントは無理だけど使えるようにしたよ。少年の霊力の門は開けるようにした。」
ココ:「ホントかい!!」
ホウゲン:「ほお!なんと!!さすがパンプじゃわい!」
パンプ:「だいぶ骨が折れたけどね。あとは少年の実力次第になってくるかな。」
臣:「はい、頑張ります!」
パンプ:「ただ気を付けて欲しいのは、キミが持っているこの霊力は他のと違って非常に強力であるという事。まだ未熟なキミでは連発はできないという事を肝に銘じておいてね。」
臣:「わかりました、いざという時に使うよう気を付けます。」
パンプ:「あと、これを。」
0:臣に1枚の手紙を渡す
臣:「これは?」
パンプ:「後で1人の時に読んで。キミにとって、そして……猫又にとっても大事な事だよ。」
臣:「え?それって…」
パンプ:「さーって、用件も済んだし私は再び研究に没頭するよ!キミ達も早く現世に帰って吉報を知らせてあげなよ!」
ココ:「しかし、私たちが壊してしまった研究室は…」
パンプ:「こんなの大丈夫だよ!ちょうど模様替えをしようと思っていたんだ、私の方でやっておくよ。」
ココ:「すまないパンプ、ありがとう。」
パンプ:「じゃあ、また何かあったらいつでも手紙を送ってくれ、親友であるキミ達の為なら時間を作るよ!」
ホウゲン:「ありがとうの、パンプ!」
臣:「ありがとうございました!!」
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0:現世、山の祠
臣:「こんな所が霊界に繋がっていたなんて。」
ココ:「妖怪の力が無いとあちらの世界には行けないからね。」
猫又:「あー、腹減った。さっさと帰るぞお前ら。」
臣:「あ、あの猫又さん!」
猫又:「…あ?」
臣:「それと、ココさん。リーダーさん。」
ココ:「なにかな?」
ホウゲン:「どうしたんじゃ臣くん。」
臣:「僕を助けてくれて、ありがとうございました!」
ホウゲン:「はっは!なんじゃそんなことか、気にするでない。お前さんはワシの大事な仲間じゃ。助けるのは当然だろう。」
ココ:「そうだよ。私たちは何度も助け合ってきた仲間、でしょ?そうだよね又くん?」
猫又:「…まあ、ガキが居ねえと女もサンズイもうるせえからな。」
ココ:「ほんっと素直じゃないよね、又くん。」
猫又:「んな!?うるせえぞココ!」
ホウゲン:「はっは!!そういう事じゃ、気なんか使わんでもいいんじゃ。ワシらは仲間であり、家族のようなものなんじゃからな。」
臣:「…はい、ありがとうございます、みんな。」
ホウゲン:「さ、ワシは今から用事があるのでここでオサラバしようかの。」
ココ:「また女性の所ですか……?」
猫又:「エロジジイが…」
ホウゲン:「ちがわい!!今回は別の所で、とても大事な用があるんじゃ。」
ココ:「ふーん…」
ホウゲン:「信用されておらんのう…ワシ悲しい…」
ココ:「くれぐれも遊びすぎないようにお願いしますね。じゃあ行こうか皆。」
猫又:「おう。」
臣:「え、あ?ええ?」
ホウゲン:「臣くんや。」
臣:「え?あ、はい。」
ホウゲン:「ココや猫又、皆クセ者ばかりだがとてもやさしく気の良い者ばかりだ。どうか……皆を頼んだぞ。」
臣:「……はい、もちろんです!」
ホウゲン:「うむ、良い返事じゃ。呼び止めて悪かった、はやく追いかけるがいい。」
臣:「は、はい!リーダー!またお会いしましょうね!!それでは!」
ホウゲン:「うむ、またの。臣くん。」
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臣:【N】霊界での出来事から数日、これといった霊障も無く平和に日常生活を送る僕ら
臣:そんな平和な日常を崩す鎖の音が徐々に近づいているのを、僕らはまだ気づいていない
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臣:【N】真っ暗な闇の中に体が沈んで行くのを感じる
臣:泥がまとわりついたかのように身動きが取れず、ただひたすらに底の無い闇へと落ちていく
臣:僕はどこまで沈んで行くんだろう、この闇に果てはあるのか?
臣:灯りの無い果てへと、僕はただ落ちていく…
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猫又:「おい、ココ!」
ココ:「なんだい又くん?」
猫又:「なんだって俺までこんな事に付き合わなきゃならないんだ!」
ココ:「なんでって…そりゃキミは現場に居た関係者だからだろう?」
猫又:「そんなの女だってそうだろ!」
ココ:「愛美ちゃんはキミよりもデリケートなんだ、見ただろう?あの落ち込みようをさ。」
猫又:「んぐ…」
ココ:「大好きな人が目の前で倒れたんだ。並みの精神力じゃ耐えられないさ。だから又くん、キミに着いてきてもらったんだ。」
猫又:「んぐぐ…しかしだな…」
ココ:「それに、キミだって心配なんだろう?臣くんの事が。」
猫又:「んな!?そ、そんな事ねぇ!なめんな!」
ココ:「照れなくてもいいのに。」
猫又:「照れてねぇ!!」
ココ:「はいはい。でもね、皆心配してるんだ。私達は少し臣くんに頼ってしまっていたのかもしれないね。」
猫又:「……。」
ココ:「あのリンクの力は想像以上に強力で、臣くんの体に大きなダメージをもたらす事をもう少し考えるべきだったよ。」
猫又:「…起きちまった事を後悔しても仕方ねえ。今は少しでも早くガキを起こす事に集中しろ。」
ココ:「……そうだね。起きてもらう為に早い所、山頂を目指さないとね。」
猫又:「やっぱ行かないといけねえのか?」
ココ:「当たり前だよ。他に手はないんだ、忙しいのに時間を作ってくれたんだよ?」
猫又:「…はあ…」
ココ:「キミが彼を苦手としているのは分かるけど、しょうがないんだ腹を括ってくれ。」
猫又:「ちっ…」
ココ:「あ、ほら山頂が見えてきた。」
猫又:「んなっ!?ココ、なんでアイツが居るんだ!聞いてねえぞ!」
ココ:「え?言わなかったかな?」
0:山頂の祠の前にホウゲンが居る
ホウゲン:「おーい、ココ!猫又!」
ココ:「お疲れ様ですリーダー。」
ホウゲン:「おお、この山道ご苦労だったな。して、猫又よ……久しいな!」
猫又:「…ちっ。」
ホウゲン:「相変わらずの不器用な愛情表現じゃなぁ~!」
0:猫又を抱きかかえようとするホウゲン
猫又:「だー!!近づくんじゃねえジジイ!*仙狸《せんり》!!」
0:尻尾からエネルギー波を放つ猫又
ホウゲン:「はっは!変わらないのう!良い事じゃわい!」
猫又:「くっそ…ビクともしねえのが腹立つ…」
ココ:「リーダーも又くんも遊んでないで早く準備を。」
ホウゲン:「おお、そうじゃったすまんのう。」
猫又:「その前に、なんでジジイが居んだよ。」
ホウゲン:「そりゃあワシの事務所の大事な人材が大ケガをしたと聞いたら飛んでくるじゃろうが。」
ココ:「それに、あそこへ入るにはリーダーの霊力が必要になるからね。私からお願いしたんだ。」
猫又:「ジジイの霊力…余計な仕掛けだな…」
ホウゲン:「まあ、そういうでない。さ、お前ら祠に霊力を込めるぞ。」
ココ:「はい。」
猫又:「…たく、しゃーねぇな。」
0:祠に意識を集中し霊力を込める
ココ:「祠に充分霊力が溜まりました!行けます!」
ホウゲン:「よし…では行くぞ、霊界管理局へ!」
0:
0:
0:
臣:【N】どこまで沈んだんだろう?目を開けているのか閉じているのかさえ分からない程暗い
臣:瞬間、僕の足が底のような所へとついた…
0:
0:
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0:霊界
ココ:「ん……無事に霊界に来れた…かな?」
ホウゲン:「の、ようじゃな。」
猫又:「相変わらず辛気臭い所だ。」
ホウゲン:「霊界管理局はこの道をまっすぐ行った所じゃったな。」
ココ:「ええ。あそこに見える大きな施設…そこが霊界管理局です。」
ホウゲン:「あいわかった、では行くとしようかの。して…猫又よ。」
猫又:「…なんだ?」
ホウゲン:「襲われた日の事、お前が知る限りを道すがら教えてくれ。」
ココ:「そうだね…私も全部を聞いたわけではないからね…聞かせて欲しい。」
猫又:「……分かった。教えてやるよ、あの時起きた事、敵の事を知る限りな。」
ホウゲン:「お前たちを襲った相手は『*崇徳《すとく》』と名乗ったのだな?」
猫又:「ああ。白い長髪に白装束みたいな恰好をしていたな。」
ホウゲン:「そやつは細身の刀を携えていなかったか?」
猫又:「使っていたな。なんだジジイ、知ってる奴なのか?」
ホウゲン:「ふむ………」
ココ:「どうかしたのですか?リーダー?」
ホウゲン:「いや…そやつは古い顔見知りの可能性が高いと思うてな。」
猫又:「顔見知り?」
ホウゲン:「もう消え去ったと思うたんだがな…まさか現世に残っていたとは思わなんだ…」
ココ:「リーダー?」
ホウゲン:「すまん、何でもないさ。もう1人臣くんの友人も立ちはだかったと聞くが、その友人はどうしたのだ?」
猫又:「あのクソガキも崇徳についていっちまった。*妬みの剣《ねたみのつるぎ》とか言う得体の知れねえ剣を崇徳に渡されて、アホみてえに強くなったんだ。」
ホウゲン:「あの剣は内なる憎悪を何倍にも膨れ上がらせるという物…並みの人間では精神を破壊されかねないというのに…なんと恐ろしい事を…」
ココ:「妬みの剣……ごめん、私がしくじらなければ…」
猫又:「…しゃーねえーだろ。今更後悔したって元にゃ戻らねえんだ。」
ホウゲン:「そうじゃな。今は崇徳たちが何を目的に行動していて、次にどう動くかを考えなければならない。」
猫又:「そういうこった。まずはこのおねんね中のガキを叩き起こして全員で作戦を立てなきゃならねえ。」
ココ:「…そうだね。いつまでも後ろばかりを見ていられないね。」
ホウゲン:「お前はまっすぐ前を向いている方が*別嬪《べっぴん》でええぞ。」
ココ:「リーダー、こんな状況でもセクハラですか?投げますよ?」
ホウゲン:「励まそうとしただけなのに…」
猫又:「遊んでんじゃねえよお前ら。おら、お目当ての場所についたぞ。」
ホウゲン:「おや、もう着いてしまったか。」
ココ:「さ、リーダー。門の結晶に霊力を。」
ホウゲン:「了解した。」
0:門に埋め込まれている結晶に手をかざし霊力を込める
ココ:「結晶が輝き始めた…」
ホウゲン:「さあ、門が開くぞ。」
0:大きな音と共に門が開く
ホウゲン:「ここから先が霊界管理局の敷地内じゃ!」
猫又:「さすが霊界管理局、色んな霊魂が居るな。」
ココ:「そりゃ死者の魂の今後を決める所だからね。」
ホウゲン:「ワシはあやつを呼び出してもらうよう申しつけてくる。」
ココ:「お願いします。」
パンプ:「その必要はないよ!!」
0:管理局の扉が勢いよく開く
ホウゲン:「むっ?」
猫又:「うげっ…」
ココ:「この声は…」
パンプ:「やあやあ!皆!久しぶりだね!ホウゲン、キミの霊力を感じてからすぐに研究室を抜け出してきたんだ!猫又、ココもずいぶん久しぶりじゃないか?ホウゲンに至ってはもう100年近くは経つのかな?
パンプ:皆変わりないようで安心したよ!私の事忘れていないかい?このパンプ・オ・ウィスプの事を!*霊界管理局霊魂天地分別部部長《れいかいかんりきょくれいこんてんちぶんべつぶぶちょう》兼*霊力研究室室長《れいりょくけんきゅうしつしつちょう》であるこのパンプ・オ・ウィスプの事を!
パンプ:キミ達から手紙を受け取ってからだいぶ時間が経ってしまって悪かったね、用事が立て込んでしまってなかなか時間を取ることが出来なかったんだ。だが安心しておくれ!今日はキミ達の為に丸1日時間を作ったんだ!
パンプ:この日の為に!旧友であるキミ達の為にこのパンプ!頑張ったんだよ!さあ!今日は目いっぱい語りつくそう!これでもかというくらいに!」
ホウゲン:「はっは!相も変わらずの饒舌(じょうぜつ)ぶりだなパンプ!」
猫又:「……っち…」
ココ:「又くんどうしたんだい私の足元に隠れて。」
パンプ:「やあやあ猫又!隠れてないで出てきてくれよ!久しぶり会ったんだ語らおうじゃないか!」
猫又:「だー!うるせえ!俺はお前のそういう所が嫌なんだ!」
パンプ:「そんな事を言わないで、さ!おいで!」
猫又:「誰が行くか!!」
ココ:「パンプ、こんな所ではなんだから研究室に案内をしてくれないか?」
パンプ:「それもそうだね。さ、ついておいで皆。案内をしよう!」
0:
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0:
臣:「…ここは………?立てる…床?地面がある?一体ここは…どこなんだろう…」
0:『ここはキミの深淵だよ。』
臣:「っ!?だれっ!?」
0:『そして、キミの心の底であり…檻でもある。』
臣:「キミは…一体…」
0:『僕はキミであり、裏であり、闇そのものだよ』
臣:「闇……だって…?」
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パンプ:「さあ!着いたよ、ここが私の研究室だ!」
ココ:「ありがとう、お邪魔するよ。」
ホウゲン:「臣くんはこのソファに寝させよう。」
ココ:「分かりました。」
パンプ:「その少年が手紙に書いてあった特殊な子かな?眠っているようだけど。」
ココ:「先日、敵と戦闘になってね…その時に昏睡状態になってしまったんだ。」
パンプ:「ココ、キミなら霊力の流れを見れたよね?どうなっているんだい?」
ココ:「ああ…臣くんの霊力は……全く流れが見えないんだ…」
猫又:「まさか死んだとか…言わねえよな…」
ココ:「それは大丈夫、息はしてるよ。」
ホウゲン:「パンプ、お前ならどう見る。」
パンプ:「んー、そうだねぇ…情報が足りないなぁ、誰か現場に居た人は居ないのかな?」
猫又:「俺はガキと一緒にその敵と戦った。何があったのか知ってる。」
パンプ:「じゃあ、話してもらってもいいかな?何があったのか。」
猫又:「…ガキは妬みの剣っつー憎悪を増幅させる剣を持った敵と戦っていた。その際に一緒にいた仲間とリンクをしたらしい。
猫又:リンクした後にコイツは自我を失って暴れまわって、その後意識を失ったんだ。」
パンプ:「手紙にも書いてあったけど、この少年のリンクは私たちが知っている物と少し違うらしいね?」
ココ:「ああ。本来リンクは霊力を渡すだけの力。器から器に移動するだけのはずが、臣くんの場合は違う。
ココ:臣くんとリンクをすると、渡した側もなぜか霊力量が増えて力が漲るんだ。」
パンプ:「霊力が増える…?」
ココ:「でもリンクそのものの負担自体は変わらないみたいだね…実際臣くんはこうして倒れてしまった…私たちは少々彼に頼りすぎてしまったのかもしれないね…」
猫又:「……」
ホウゲン:「臣くんは何回リンクをしたのだ?」
ココ:「初めに又くん、次にサンズイ、そのあと私で今回は愛美ちゃん…4回です。」
ホウゲン:「1度のリンクでも相当なリスクがあるというのに…皆の為に頑張ったんじゃな…」
ココ:「パンプ、キミには臣くんのリンクについて調べて欲しいと依頼をしたのだけれど、もし可能なら目覚めさせる方法についても協力をしてくれないか?」
パンプ:「初めからそのつもりでここに少年を連れてきたんだろう?もちろん、私もそのつもりでここに居るつもりだよ。安心してくれ。」
ココ:「パンプ…ありがとう。」
ホウゲン:「すまないパンプ…」
パンプ:「いいんだよ、私たちの仲じゃないか。」
猫又:「んで、そもそもの話お前にこのガキを治せんのか?」
パンプ:「リンクに関しての事ならどうにかできると思う。」
猫又:「リンクに関しての事なら?」
パンプ:「少年の意識に関しては少年次第としか言いようがない。」
ホウゲン:「それはどういう…」
パンプ:「少年は何度もリンクを続けてきた、それはつまりいくつもの霊力を取り込んだという事なんだ。
パンプ:霊力とは妖怪や霊の力の源なわけだ。それをいくつも取り込むという事は複数の妖魔の闇を取り込んだという事。少年の意識の底ではいくつもの妖魔の闇が交じり合った物が存在しているはずだよ。」
ココ:「闇…」
猫又:「その闇をガキがどうにかしない限り目を覚まさねえって事か。」
パンプ:「そういう事。少年が自らの力で闇を振り払わない限り目を覚ますのは難しいだろうね。」
ホウゲン:「それまでワシたちは何も出来ぬのか…」
パンプ:「私は少年のリンクについて調べてみる。キミ達は少年を信じて待つんだ。」
猫又:「…ガキ…」
0:
0:
0:
0:
0:
臣:「キミが僕の闇…?」
0:『そうさ、僕はキミの闇。キミの心の奥底に芽生えた闇。キミが抱える闇だよ。』
臣:「奥底に芽生えた闇…どうしてそんなものが僕に…」
0:『キミはたくさんの闇の力を取り込んだ、それが形を得て僕は生まれた。』
臣:「力を取り込んだ…?もしかして…リンクの事?」
0:『僕はキミでキミは僕。キミは闇に耐えきれなかった、そんなキミにはもう預けられない。この体は僕が貰う。』
臣:「えっ!?ま、まってどういう事!?」
0:『言葉通りだよ。表であるキミに裏に行って貰うだけの話………仙狸(せんり)!』
臣:「うわあっ!!待ってよ!どうしてそんな事になるんだよ!」
0:『これから先、キミはこれまで以上に強い敵と戦う事になる。今のままのキミではこの先勝ち抜くことはできない。』
臣:「……強い敵…崇徳…」
0:『必要以上に仲間を失い、大切な存在を守る事が出来ないキミにこの体を任せる事は出来ない、だから僕が貰うと言っているんだ。闇は力の源なのだからね。』
臣:「…確かに僕は闇に飲み込まれてしまった……決して強くないし皆に助けてもらってばかりだ……
臣:でも、ごめん。この体は渡せないよ。」
0:『誰も守れず、救えず、失ってもいいと言うの?』
臣:「皆守って、救って、失わない為に僕がもっと強くなる。だから渡せない。」
0:『僕の方がキミよりも強い闇そのものだというのに。』
臣:「それ以上に、僕は強くなってみせる。その為にまずはキミを…僕自身を超えてみせる!」
0:『そっか……その判断が誤りだという事を思い知らせてあげるよ………仙狸(せんり)!!』
臣:「行くよ…僕、いや……闇!仙狸(せんり)!!」
0:
0:
0:
0:
0:
ホウゲン:「臣くんがうなされ始めたぞ!」
パンプ:「少年と闇が衝突したようだね。体の奥で霊力の波動を感じる。」
ココ:「なんとなくだけど私にも分かるよ…不安定だけど霊力の流れを感じる。」
猫又:「おいカボチャ野郎、もしガキがその闇っつーのに負けたらどうなるんだ?」
パンプ:「考えられるのは2つ。1つは意識を失ったまま植物人間のようになる。」
ココ:「2つ目は?」
パンプ:「…その闇が表に出てきて少年の体の支配権を握られる。」
猫又:「乗っ取られるってわけか…」
ココ:「どうか打ち勝ってくれ…臣くん…!」
0:
0:
0:
臣:「ぐっ!?」
0:『水泡連弾(すいほうれんだん)!』
臣:「流旋の構え(りゅうせんのかまえ)!」
0:『この量なら打ち消すことはできないよね、水泡連弾(すいほうれんだん)!』
臣:「さっきよりも数が…!!それなら…水泡連弾(すいほうれんだん)!!」
0:『数も威力も僕の方が上、無駄だよ。』
臣:「くっ…押され……うわああああああ!!」
0:『まだ終わらせないよ、捕らえろ。』
臣:「これは、愛美の…っ!ぐあっ!」
0:『そのまま…叩きつける…!』
臣:「なっ、やめ……がっあああああ!!」
0:『キミは僕に勝てない、どうあがいたところで絶対にね。』
臣:「が…はっ……はぁ…はあ…」
0:『闇は光が強くなればなるほどにその濃さを増す。キミが希望を夢見れば、その分僕は色濃い闇になるんだ。』
臣:「はあ……はあ…希望は…無いって言いたいの?」
0:『そう捉えてもらって構わないよ。』
臣:「そっか……でも僕は…」
0:『っ!?足元に触手っ!いつの間に!』
臣:「諦めないよ…キミを倒して必ず皆の所に帰る。そして、皆と一緒に崇徳を止めるんだ…!!お願い、捕らえて!」
0:『くっ…!無駄だよ!形態変化!切り裂け!』
臣:「なっ、触手を切った…?」
0:『諦めの悪いキミに思い知らせてあげなきゃね……何度も言うけど僕は闇。霊力そのものであるんだ。』
臣:「霊力そのもの…だから僕が出来ない形態変化や大量の水の弾を…」
0:『そういう事だよ。分かったかな?キミがどうやっても勝てない理由が。』
臣:「でも、ここで負けるわけには…行かないんだ!仙狸(せんり)!!」
0:『往生際が悪いね…射空の構え(しゃくうのかまえ)。』
臣:「なっ…」
0:『終わりだよ。僕。』
臣:「ぐあああああっ!!」
0:『大人しく僕に委ねるんだ。』
0:
0:
0:
ココ:「っ!なんだこれは…」
パンプ:「ココ、気づいた?この黒い霊力。」
ココ:「当然だ。臣くんの内側から徐々に強まっている…」
猫又:「なんだ、一体どうしたってんだ!」
パンプ:「恐らくだけど、この少年は……闇に飲まれた。」
ホウゲン:「なんじゃと…臣くんが負けたと…言うのか…」
ココ:「信じたくはないですが……」
猫又:「ちっ…クソガキが……!!みっともねえ…!」
0:臣が目覚ましソファから身を起こす
臣:『っ……』
ココ:「臣くん…」
パンプ:「じゃ、ないだろうね。」
ホウゲン:「さすがにここまで来たら分かるわい…」
猫又:「嫌な香りがしやがる。」
臣:『……ふ…ふふふ…あっははははは!!!ようやくこの体を手に入れたよ!!』
ココ:「っ!?」
臣:『あの子結構しぶとくて大変だったなぁ…何が諦めないだよ。どんなにかっこつけたって結局僕に負けちゃってるんだから恥ずかしいよね。』
猫又:「テメエ、一体何なんだ。」
臣:『全然気が付かなかった。周りにこんなに居たんだね、ごめんねキミ達。』
猫又:「んなこたぁどうでもいい。テメエはなんなんだって聞いてんだ!!」
臣:『僕?僕は闇そのものだよ。この体の持ち主が貯めこんだ数多の闇の塊。』
パンプ:「ここまで禍々しいと否定はできないよね。どうするの皆、コレをどうする気?」
ホウゲン:「それはパンプお前。」
ココ:「もう決まってる。」
猫又:「ぶっ倒して取り返すしかねえだろっ!!!仙狸(せんり)!!」
0:尻尾からエネルギー波が放たれる
パンプ:「そうだよねぇ…私は戦えないので逃げるよっ!!」
臣:『血気盛んだね……キミの霊力も僕に流れてるんだよ?どんな性質なのかもお見通しさ。仙狸(せんり)!』
猫又:「ちいっ!!」
ホウゲン:「甘樂牡丹(あまらぼたん)!!」
0:弾ける霊力の弾が無数に放たれる
臣:『さすが…でもねえ……流旋の構え(りゅうせんのかまえ)!』
ホウゲン:「ココの技か!!」
猫又:「今までリンクしてきた奴らの技を使われんの厄介すぎるだろ…!」
臣:『どうしたの!全然勢い無いじゃん!この体が仲間のだからって手が出せないのかな?』
猫又:「こんのガキが…!!」
臣:『あははは!!蜂の巣にしてあげるよ、水泡連弾(すいほうれんだん)!!』
0:大量の水の弾が放たれる
ココ:「させない!射空の構え(しゃくうのかまえ)!!」
臣:『来ることくらいわかってるって、捕らえろ!』
0:触手が伸び、ココの足を絡めとる
ココ:「なに!?」
猫又:「くそったれが……!」
ホウゲン:「複数の霊力を同時に制御とは…恐れ入るわい……今助けるぞ、蘭牙(らんが)!」
0:空を切る腕から真空刃が飛ぶ
ココ:「助かりました…リーダー。」
ホウゲン:「油断するでないぞココ。こやつは臣くんの皮を被った妖怪じゃ。」
ココ:「そう…ですよね……すみませんもう油断しません。」
ホウゲン:「いざとなればこの刀で…彼を……」
猫又:「ジジイ、その刀はまだ使うんじゃねえぞ。」
ホウゲン:「もちろんじゃわい。」
臣:『いい加減僕の邪魔をするのは止めてよね、形態変化!全員を撃ち抜け!!』
0:複数の触手が光線状に放たれる
猫又:「んな!なんだそりゃ!」
ホウゲン:「とんでもない霊力制御じゃな…!」
ココ:「くっ…!流旋の構え(りゅうせんのかまえ)!一撃が重い…!」
臣:『これ以上僕の邪魔をするな、僕はもっと闇を広げるんだ!もっと…もっと!!さあ、撃ち抜け!!』
0:複数の触手が光線になり無差別に乱射される
0:
0:
0:
0:
0:
臣:【N】意識が薄くなっていく……僕は僕自身の闇に負けた…
臣:闇が言うように僕は弱い……こんなんじゃ誰も守れない……だったらいっそのことこのまま僕は沈んだままで……
0:
猫又:『っおいガキ!!お前の救いたいって気持ちはその程度なのか!』
0:
臣:「っ!!」
0:
猫又:『オレの力まで貸してそのザマでいいと思ってんのか!救うって決めたんなら諦めんじゃねえぞ!』
0:
臣:「猫又さん……そうだ、僕はまだ負けるわけにはいかない…!僕は僕の手で、僕の大切な人達を守るんだ。自分の闇なんかに負けられないんだ!!
臣:打ち勝って見せる。僕のこの力と、皆の力で。だから力を貸して、皆!!」
0:臣の体が淡く光る
臣:「はぁああああ!!!仙狸・結び(せんり・むすび)!!!」
0:
0:
0:
0:
0:
猫又:「こんの野郎!暴れ始めやがった!」
パンプ:「ああっ!!これ以上私の研究室を壊さないでくれぇええ!!」
ホウゲン:「このままでは研究所はおろか管理局にも被害が!やむを得ない、やはりこの刀で…!」
臣:『うっ!!うあぁあああああああ!!!』
猫又:「なんだ!?」
ホウゲン:「何事だ!何が起こっている!」
臣:『ぅがぁあああ!僕が!僕が消される!!僕がああああ!!』
ココ:「霊力の流れが変わった…黒いのから清い霊力に…この霊力は…」
パンプ:「なるほど、そういう事か。やるねえー!」
猫又:「おいカボチャ!どういうことだ!」
パンプ:「勝ったんだよ、少年。自分自身の闇にさ。」
猫又:「それは…ほんとか?」
ココ:「本当だとも。実際彼が苦しんでいるのが証拠だ。」
臣:『嫌だぁアア!せっかく体を得たのに!奪ったのに!!ちくしょおおおおお!!!』
ホウゲン:「諦めるんじゃ、哀れな闇よ。大人しく持ち主に譲るんじゃ。」
臣:『い…やだ……………』
0:意識を失い倒れる
パンプ:「完全に黒い霊力は静まったみたいだね。」
ホウゲン:「ということは…」
ココ:「臣くんの完全勝利という事だ!」
ホウゲン:「良かったわい…一時はどうなる事かと…」
猫又:「んで、ガキはいつ目覚ますんだ。」
パンプ:「落ち着いたらじきに目を覚ますと思う。霊力も安定してるよ。」
猫又:「そうか。」
ホウゲン:「猫又よ、内心かなーり安堵しておるんじゃないかぁ?んー?」
猫又:「んな!?そんなわけあるか!」
ホウゲン:「またまた~」
猫又:「サンズイと同じ手法をするな…」
臣:「…ん…」
ココ:「臣くん!」
ホウゲン:「おお、早速目を覚ましたか!」
臣:「う…ここは…」
パンプ:「やあやあ!少年!目覚めの具合はどうかな?」
臣:「え?どわああああ!!カボチャ!?」
パンプ:「カボチャじゃないよ、私の名前はパンプ・オ・ウィスプだ!気軽にパンプって呼んでくれ!さあ、起きてゆっくりしたいのは分かるけれど申し訳ないがキミと私にはやるべきことがたっくさんあるんだ。
パンプ:のんびりはしてられないんだ分かってくれるね?時間は有限、タイムイズマネーとも言うしね!さあさあこっちだ、さあさあ行くよ少年!!楽しい楽しい研究の始まりだ!!」
臣:「えっ!?ちょっ!まっ!!誰か助けてぇえええ!!」
0:パンプに臣が連れていかれる
ココ:「まあ、なんというか…」
ホウゲン:「パンプらしいのう…」
猫又:「騒がしい奴だ…」
0:
0:
0:
0:数時間後
パンプ:「さあ!お待たせしたね皆!無事に色々諸々な事が終わったよ!」
猫又:「ずいぶん時間がかかったな。」
パンプ:「そりゃあね、出来る限りの事もしたし、出来る限りの事を調べつくしたから。」
ココ:「それで、何かわかったのかな?」
パンプ:「うん、じゃあまず初めに手紙に書いてあったリンクについてだ。」
臣:「リンクについて…」
パンプ:「本来リンクとは、Aの霊力をBに渡すのという物だ。当然渡した者の霊力は渡した分少なくなる。
パンプ:しかし少年とリンクをした場合、渡した者の霊力は減らず、逆に増加するという。通常とは全くの別物だという事になる。」
ココ:「なぜそのような事が起きるのか、分かったの?」
パンプ:「恐らくは、少年が本来持っている謎の霊力が関係しているんだと思う。」
臣:「本来持っている霊力…全く使われないっていう…」
パンプ:「その霊力は長い時を超えて積み重なった物だ。初めは小さな霊力で、それが大きく力を持った物。今のキミでは本来の力を引き出す事が難しいだろうね。」
臣:「積み重なった霊力…なんでそんなものが僕に…」
パンプ:「そこまでは分からないけど、考えられる物としては少年の先祖の霊力が引き継がれたといった所かな。」
ココ:「しかし、本来人間には霊力は宿らないはずだ。」
パンプ:「本来なら、ね。」
臣:「どういうことですか…」
パンプ:「いくつかの例外を除いては人間に霊力は宿らないんだ。」
ココ:「愛美ちゃんのように悪霊化から脱して手に入れるケースもあれば、妖怪から授けられるケース。外的要因が無ければ霊力を持つなんてことはないんだ。」
臣:「じゃあ…まさか僕って…」
パンプ:「大丈夫、キミは妖怪じゃなく紛れもない人間だ。キミが気づいていない間に何らかの要因で霊力が宿ったんだろうね。」
ホウゲン:「その元からある霊力の力でリンクをより強力なものにしているのは分かったが、その霊力自体は使用できないのだろう?」
パンプ:「リンクを強力にしてるのは固有の性質みたいな物だと思う。ココの守りの性質やサンズイの多様変異(たようへんい)のようなね。
パンプ:そして、この霊力は100パーセントは無理だけど使えるようにしたよ。少年の霊力の門は開けるようにした。」
ココ:「ホントかい!!」
ホウゲン:「ほお!なんと!!さすがパンプじゃわい!」
パンプ:「だいぶ骨が折れたけどね。あとは少年の実力次第になってくるかな。」
臣:「はい、頑張ります!」
パンプ:「ただ気を付けて欲しいのは、キミが持っているこの霊力は他のと違って非常に強力であるという事。まだ未熟なキミでは連発はできないという事を肝に銘じておいてね。」
臣:「わかりました、いざという時に使うよう気を付けます。」
パンプ:「あと、これを。」
0:臣に1枚の手紙を渡す
臣:「これは?」
パンプ:「後で1人の時に読んで。キミにとって、そして……猫又にとっても大事な事だよ。」
臣:「え?それって…」
パンプ:「さーって、用件も済んだし私は再び研究に没頭するよ!キミ達も早く現世に帰って吉報を知らせてあげなよ!」
ココ:「しかし、私たちが壊してしまった研究室は…」
パンプ:「こんなの大丈夫だよ!ちょうど模様替えをしようと思っていたんだ、私の方でやっておくよ。」
ココ:「すまないパンプ、ありがとう。」
パンプ:「じゃあ、また何かあったらいつでも手紙を送ってくれ、親友であるキミ達の為なら時間を作るよ!」
ホウゲン:「ありがとうの、パンプ!」
臣:「ありがとうございました!!」
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0:現世、山の祠
臣:「こんな所が霊界に繋がっていたなんて。」
ココ:「妖怪の力が無いとあちらの世界には行けないからね。」
猫又:「あー、腹減った。さっさと帰るぞお前ら。」
臣:「あ、あの猫又さん!」
猫又:「…あ?」
臣:「それと、ココさん。リーダーさん。」
ココ:「なにかな?」
ホウゲン:「どうしたんじゃ臣くん。」
臣:「僕を助けてくれて、ありがとうございました!」
ホウゲン:「はっは!なんじゃそんなことか、気にするでない。お前さんはワシの大事な仲間じゃ。助けるのは当然だろう。」
ココ:「そうだよ。私たちは何度も助け合ってきた仲間、でしょ?そうだよね又くん?」
猫又:「…まあ、ガキが居ねえと女もサンズイもうるせえからな。」
ココ:「ほんっと素直じゃないよね、又くん。」
猫又:「んな!?うるせえぞココ!」
ホウゲン:「はっは!!そういう事じゃ、気なんか使わんでもいいんじゃ。ワシらは仲間であり、家族のようなものなんじゃからな。」
臣:「…はい、ありがとうございます、みんな。」
ホウゲン:「さ、ワシは今から用事があるのでここでオサラバしようかの。」
ココ:「また女性の所ですか……?」
猫又:「エロジジイが…」
ホウゲン:「ちがわい!!今回は別の所で、とても大事な用があるんじゃ。」
ココ:「ふーん…」
ホウゲン:「信用されておらんのう…ワシ悲しい…」
ココ:「くれぐれも遊びすぎないようにお願いしますね。じゃあ行こうか皆。」
猫又:「おう。」
臣:「え、あ?ええ?」
ホウゲン:「臣くんや。」
臣:「え?あ、はい。」
ホウゲン:「ココや猫又、皆クセ者ばかりだがとてもやさしく気の良い者ばかりだ。どうか……皆を頼んだぞ。」
臣:「……はい、もちろんです!」
ホウゲン:「うむ、良い返事じゃ。呼び止めて悪かった、はやく追いかけるがいい。」
臣:「は、はい!リーダー!またお会いしましょうね!!それでは!」
ホウゲン:「うむ、またの。臣くん。」
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臣:【N】霊界での出来事から数日、これといった霊障も無く平和に日常生活を送る僕ら
臣:そんな平和な日常を崩す鎖の音が徐々に近づいているのを、僕らはまだ気づいていない
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