台本概要

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タイトル 君からの最後の言葉は僕のケータイに
作者名 神谷りくと  (@Rikuto_Kamiya)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 3人用台本(男1、女2)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 ※台詞が長いので下読みを推奨します。
【あらすじ】
3年前、病気の治療のために海外へ行ってしまった花穂。別れの言葉も言えず過去を引きずり続け立ち直れずにいた拓真のもとにとあるメールが届いた。3年ぶりに送られてきたそのメールは彼女が最後に残したメッセージだった。

【台本を利用されるときのお願い】
商業、非商業利用関わらず、クレジットの記載をお願い致します。
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一人称変更可 言い回し変更可
ストーリーの流れやキャラクターの変わらない付け足しは可

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
拓海 25 望合拓海(もちあい たくみ) 大学近くのアパートに住む大学3年生。過去のことを引きずり続け立ち直れずにいる。
花穂 3 波並花穂(はなみ かほ) 3年前、拓海に別れを告げす病気の治療のために海外へ旅立ってしまった拓海の交際相手。
祥子 10 波並祥子(はなみ しょうこ) 花穂の母親。拓海と花穂を優しく見守ってくれた人物。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:登場人物/マーカー用 拓海:望合拓海(もちあい たくみ) 拓海:大学近くのアパートに住む大学3年生。過去のことを引きずり続け立ち直れずにいる。 花穂:波並花穂(はなみ かほ) 花穂:3年前、拓海に別れを告げす病気の治療のために海外へ旅立ってしまった拓海の交際相手。 祥子:波並祥子(はなみ しょうこ) 祥子:花穂の母親。拓海と花穂を優しく見守ってくれた人物。 拓海M:モノローグ。拓海役の方が演じてください。 0:本編スタート  :  0:扉が開く 拓海:ただいま…… 拓海M:大学近くに位置するあるアパートの一室 拓海M:一人暮らしができる家具が一式揃った 拓海M:静かで寂しい部屋 拓海M:俺はこんな部屋に住む大学三年生『望合拓海』 拓海M:アルバイトで疲れ帰宅した俺はベッドへ飛び込む 拓海:飯は――食べなくていいか 拓海:食欲ないし 拓海M:俺はポケットに入れていたスマホを取り出し起動させた 拓海M:バイト中に来たメッセージを返し”また彼女”からのメッセージがないか探した 拓海:――あるわけ無いか 拓海M:俺はベッドから降り 拓海M:冷蔵庫から缶ビールとバッグからタバコを取り出しベランダに出た 0:ベランダへ続く窓を開ける 拓海M:口にタバコを咥え百均で買ったライターで火をつけ 拓海M:肺いっぱいに煙を入れ、口から吐き出した 拓海M:灰皿に灰を落としビールを一口飲んだ 拓海:――まっず 拓海M:こんな事を言いながらもまたビールを一口飲み、タバコを吸う 拓海:あの日からもう3年か…… 拓海:…… 0:手に持っていた酒を一気に飲み干す 拓海M:普段ならこんな時間に酒なんて飲まないようにしていた 拓真M:でも今日は今日だけは酒に溺れたかった 拓海:何やってんだろうな――俺  :  0:回想 拓海:ハァハァハァ…… 拓海:なんで、なんで何も言わずに行こうとするんだよ 拓海M:今日はいつも通り花穂の見舞いに向かっていた 拓海M:だが病室に着き扉をノックしても返事が帰ってこなかった 拓海M:不思議に思い病室へ入ると 拓海M:彼女がいたはずの部屋は綺麗に片付けられていた 拓海M:大急ぎで担当の看護師さんを探した 拓海M:そして俺は話を聞いた瞬間病院から飛び出した 拓海M:どうやら彼女は海外で治療をするために今日出発するらしい 拓海M:俺には何も伝えず…… 拓海M:飛行機の出発時間に間に合うかわわからない 拓海M:でも間に合うことを信じて雨の中走り続けた  :  0:空港 ラウンジ 花穂:書き終わった…… 花穂:こんな感じでいいかな? 花穂:――これで良かったよね 花穂:でもやっぱり私は酷い女だよね…… 花穂:拓海に別れを告げずに行こうとしてるんだから 花穂:2年か…… 花穂:私がいなくなっても忘れてほしくないな 花穂:―― 花穂:そろそろ行かないと 花穂:拓海――ごめんね 0:拓海が空港に到着 拓海:着いた 拓海M:時計を見たとき搭乗まで残り10分ほどだった 拓海M:俺は搭乗口の方へまた走り出した 拓海M:肺がはち切れそうなぐらい苦しい 拓海M:でも彼女が行ってしまう前に体を動かした  :  0:拓海が花穂を探し始めてからしばらくして 拓海M:あれから拓海は全ての搭乗口を回った 拓海M:しかしどこにも彼女はいなかった 拓海M:時刻はもう出発時間をとうに過ぎていた 拓海:とっくに時間……過ぎてんじゃんか…… 拓海M:結局会うことはできなかった 拓海M:彼女は何も言わず僕を置いて海外へ行ってしまった 拓海M:『サヨナラ』 拓海M:そんな一言も言えずに  0:回想終了  :  拓海M:タバコが吸い終わった 拓海M:俺は一度部屋へ戻り 拓海M:空になった缶ビールをボミ箱に投げ捨て 拓海M:冷蔵庫から新しい缶ビールを取り出し 拓海M:またベランダへ出た 0:拓海の携帯が鳴る 拓海:ん? 拓海:メール? 拓海:こんな時間に一体誰だよ 拓海M:スマホのロックの解除をしメールの送り主を確認したその瞬間 拓海M:一気に酔いが醒めた 拓海M:送り主の名前は 拓海M:『波並花穂』 拓海M:3年間一切連絡が取れなかった彼女からの一通のメール 拓海:怖い…… 拓海M:今すぐにでもメールを見たいはずなのに 拓海M:手が動かなかった  :  拓海M:空港から病院へ荷物を取りに行ったとき 拓海M:長くても2年間治療を受けることを聞いていた 拓海M:でも見ないといけない 拓海M:真実を受け入れなければならない 拓海M:一つの希望を願い 拓海M:俺はメールを開いた 0:花穂からのメール 花穂:拓海へ 花穂:久しぶり!元気にしてるかな? 花穂:ちゃんと私のこと覚えてる? 花穂:まぁ覚えている前提で話すんだけど… 花穂:これを君が読んでいるってことは私はもうこの世にいないことになります 花穂:本題に入る前に先に謝らないといけないね 花穂:あのときは何も言わずに行っちゃってごめんなさい 花穂:もう合うこともできなし直接君の顔を見て言えないけど言わせてほしいな…… 花穂:今まで私のためにいろんなお願いを聞かせてくれて 花穂:色んな話を聞かせてくれてありがとう! 花穂:愛してるよ 花穂:本当はもっと沢山伝えたいことはあるはずなんだけど 花穂:こういうときに限って言葉が出てこないや 花穂:最後なのに短くてごめんね 花穂:じゃあ最後にお願いがあります 花穂:私はもうこの世にはいません 花穂:そんな私のことはもう忘れてください 花穂:過去を変えることはできません 花穂:いつまでも私のことを思い続けないでください 花穂:もう私のことで涙を流して悲しまないでほしいです 花穂:君は君の人生を自由に生きて幸せになってください 花穂:趣味を見つけて熱中するのも 花穂:なにかのために一生懸命になるのも 花穂:もちろん新しい恋を見つけても良いです 花穂:私のために使ってくれた時間を次は君自身のために使ってください 花穂:長い時間を行きて人生を楽しんでください 花穂:それでこっちに来たときに、またあのときのように話を聞かせてください 花穂:これが私からの最後のお願いです 花穂:幸せになってください 花穂:花穂より 花穂:じゃあね拓海 花穂:元気でね 0:花穂からのメールを読み終わって 拓海:――ずるいよ君は 拓海:サヨナラさえ言わせてくれなかったのに 拓海:君だけこんなふうに言葉を残していっちゃうなんて 拓海:ずるいよ…… 0:拓真は泣き崩れた 拓海M:胸が張り裂けそうに痛かった 拓海M:もう彼女とは会えない 拓海M:本当は薄々気づいていた 拓海M:もう彼女はいなくなってしまったのではないかと 拓海M:でも信じたくなかった 拓海M:心の何処かで彼女は行きているのではないかと信じていた 拓海M:でもそれは叶わぬ願いだった 拓海:最後にもう一度だけ会いたかった 拓海:話した…か…った… 拓海:あ…… 拓海M:ふとあることが頭によぎった 拓海M:最後に彼女と話せることができる方法が 0:拓海は部屋に戻りクローゼットから大きな段ボールを取り出した 拓海M:また彼女と話せるかはわからない 拓海M:でも可能性があるならあれにあるかもしれないと思った 拓海:あった…… 0:1週間後 拓海M:俺は花穂からメールが届いた翌日 拓海M:ある人に連絡を入れた 拓海M:彼女と最も親しく 拓海M:そして俺と花穂を一番近くで見守ってくれた人 拓海:お久しぶりです 拓海:祥子さん 祥子:久しぶりね、拓海くん 拓海M:この人は波並祥子さん 拓海M:彼女……花穂の母親だ 祥子:高校生だった君がもう20歳を過ぎた大学生か 祥子:ずいぶん立派になって…… 拓海:ありがとうございます…… 祥子:連絡もらえて嬉しかったわ 拓海:いえ、こちらこそお願いを聞いてくださりありがとうございます 祥子:そういえば、私の連絡先よく覚えていたわね 拓海:えっと……実はついこの間まで忘れていて 祥子:え? 祥子:じゃあどうやって私の連絡先を? 拓海:これです 0:拓海は鞄からあるものを取り出した 祥子:手帳? 拓海:高校生のときに使っていた手帳なんですが実はここに 拓海M:3年前、花穂の身にもしものことがあったときのために連絡先を花穂に書いてもらっていた 拓海M:まさか初めて連絡するのがこんなお願いをするためになるなんて思いもしなかった。 祥子:それじゃあそろそろ行きましょうか 拓海:はい…… 0:霊園 祥子:ここよ 祥子:あの子がいるのは 拓海:ここに花穂が…… 拓海M:俺が祥子さんに頼んだお願い 拓海M:それは花穂が眠っているお墓に連れて行ってもらうことだった 祥子:沢山話すことがあるだろうし 祥子:私は車の中で待ってるからゆっくり話して大丈夫だからね 拓海――ありがとうございます 拓海M:祥子さんが車へ戻り始めてすぐ、俺はお墓の周りを軽く掃除をし花立に花を飾った 拓海M:最後にいつも使っている百均のライターで線香に火をつけ香炉に置く 拓海M:そいて静かに手を合わせた 拓海:久しぶり……花穂 拓海:君からメールが来たときは驚いたよ 拓海:でもありがとう 拓海:また1から人生を歩もうと思う 拓海:君からの最後の言葉はまだ受け止めきれていない部分もある…… 拓海:それに忘れてほしい、悲しまないでほしいってお願いは聞いてあげられそうでもないや 拓海:ゴメンな…… 拓海:でも少しずつ幸せになれるように生きていくよ 拓海:新しい恋は見つけられそうもないけどね 拓海:後は――そうだな 拓海:次に直接顔合わせて話ができるのはいつになるかわからないけど 拓海:絶対にもう一度会いに行くから 拓海:だから君もそっちで楽しくやってくれると嬉しいな 拓海:―― 拓海:――ごめんやっぱ無理だ 拓海:君の前では笑顔でいようと思ってたんだけど 拓海M:抑え込んでいた涙 拓海M:拭っても拭っても歯止めが効かず目から溢れ出した 拓海M:3年前に言えなかった別れの言葉を告げ 拓海M:彼女との別れを受け止めたこと 拓海M:それが僕の涙腺を緩めた 拓海M:俺は一度深呼吸をし涙をこらえた 拓海:また話すときのために 拓海:しっかり長生きして話の話題を沢山持っていくから 拓海:だからそれまでそっちで元気にして待っててよ 拓海:……そろそろ行くね 拓海:サヨナラ、花穂 拓海:また会おうね 拓海:愛してるよ 0:FIN

0:登場人物/マーカー用 拓海:望合拓海(もちあい たくみ) 拓海:大学近くのアパートに住む大学3年生。過去のことを引きずり続け立ち直れずにいる。 花穂:波並花穂(はなみ かほ) 花穂:3年前、拓海に別れを告げす病気の治療のために海外へ旅立ってしまった拓海の交際相手。 祥子:波並祥子(はなみ しょうこ) 祥子:花穂の母親。拓海と花穂を優しく見守ってくれた人物。 拓海M:モノローグ。拓海役の方が演じてください。 0:本編スタート  :  0:扉が開く 拓海:ただいま…… 拓海M:大学近くに位置するあるアパートの一室 拓海M:一人暮らしができる家具が一式揃った 拓海M:静かで寂しい部屋 拓海M:俺はこんな部屋に住む大学三年生『望合拓海』 拓海M:アルバイトで疲れ帰宅した俺はベッドへ飛び込む 拓海:飯は――食べなくていいか 拓海:食欲ないし 拓海M:俺はポケットに入れていたスマホを取り出し起動させた 拓海M:バイト中に来たメッセージを返し”また彼女”からのメッセージがないか探した 拓海:――あるわけ無いか 拓海M:俺はベッドから降り 拓海M:冷蔵庫から缶ビールとバッグからタバコを取り出しベランダに出た 0:ベランダへ続く窓を開ける 拓海M:口にタバコを咥え百均で買ったライターで火をつけ 拓海M:肺いっぱいに煙を入れ、口から吐き出した 拓海M:灰皿に灰を落としビールを一口飲んだ 拓海:――まっず 拓海M:こんな事を言いながらもまたビールを一口飲み、タバコを吸う 拓海:あの日からもう3年か…… 拓海:…… 0:手に持っていた酒を一気に飲み干す 拓海M:普段ならこんな時間に酒なんて飲まないようにしていた 拓真M:でも今日は今日だけは酒に溺れたかった 拓海:何やってんだろうな――俺  :  0:回想 拓海:ハァハァハァ…… 拓海:なんで、なんで何も言わずに行こうとするんだよ 拓海M:今日はいつも通り花穂の見舞いに向かっていた 拓海M:だが病室に着き扉をノックしても返事が帰ってこなかった 拓海M:不思議に思い病室へ入ると 拓海M:彼女がいたはずの部屋は綺麗に片付けられていた 拓海M:大急ぎで担当の看護師さんを探した 拓海M:そして俺は話を聞いた瞬間病院から飛び出した 拓海M:どうやら彼女は海外で治療をするために今日出発するらしい 拓海M:俺には何も伝えず…… 拓海M:飛行機の出発時間に間に合うかわわからない 拓海M:でも間に合うことを信じて雨の中走り続けた  :  0:空港 ラウンジ 花穂:書き終わった…… 花穂:こんな感じでいいかな? 花穂:――これで良かったよね 花穂:でもやっぱり私は酷い女だよね…… 花穂:拓海に別れを告げずに行こうとしてるんだから 花穂:2年か…… 花穂:私がいなくなっても忘れてほしくないな 花穂:―― 花穂:そろそろ行かないと 花穂:拓海――ごめんね 0:拓海が空港に到着 拓海:着いた 拓海M:時計を見たとき搭乗まで残り10分ほどだった 拓海M:俺は搭乗口の方へまた走り出した 拓海M:肺がはち切れそうなぐらい苦しい 拓海M:でも彼女が行ってしまう前に体を動かした  :  0:拓海が花穂を探し始めてからしばらくして 拓海M:あれから拓海は全ての搭乗口を回った 拓海M:しかしどこにも彼女はいなかった 拓海M:時刻はもう出発時間をとうに過ぎていた 拓海:とっくに時間……過ぎてんじゃんか…… 拓海M:結局会うことはできなかった 拓海M:彼女は何も言わず僕を置いて海外へ行ってしまった 拓海M:『サヨナラ』 拓海M:そんな一言も言えずに  0:回想終了  :  拓海M:タバコが吸い終わった 拓海M:俺は一度部屋へ戻り 拓海M:空になった缶ビールをボミ箱に投げ捨て 拓海M:冷蔵庫から新しい缶ビールを取り出し 拓海M:またベランダへ出た 0:拓海の携帯が鳴る 拓海:ん? 拓海:メール? 拓海:こんな時間に一体誰だよ 拓海M:スマホのロックの解除をしメールの送り主を確認したその瞬間 拓海M:一気に酔いが醒めた 拓海M:送り主の名前は 拓海M:『波並花穂』 拓海M:3年間一切連絡が取れなかった彼女からの一通のメール 拓海:怖い…… 拓海M:今すぐにでもメールを見たいはずなのに 拓海M:手が動かなかった  :  拓海M:空港から病院へ荷物を取りに行ったとき 拓海M:長くても2年間治療を受けることを聞いていた 拓海M:でも見ないといけない 拓海M:真実を受け入れなければならない 拓海M:一つの希望を願い 拓海M:俺はメールを開いた 0:花穂からのメール 花穂:拓海へ 花穂:久しぶり!元気にしてるかな? 花穂:ちゃんと私のこと覚えてる? 花穂:まぁ覚えている前提で話すんだけど… 花穂:これを君が読んでいるってことは私はもうこの世にいないことになります 花穂:本題に入る前に先に謝らないといけないね 花穂:あのときは何も言わずに行っちゃってごめんなさい 花穂:もう合うこともできなし直接君の顔を見て言えないけど言わせてほしいな…… 花穂:今まで私のためにいろんなお願いを聞かせてくれて 花穂:色んな話を聞かせてくれてありがとう! 花穂:愛してるよ 花穂:本当はもっと沢山伝えたいことはあるはずなんだけど 花穂:こういうときに限って言葉が出てこないや 花穂:最後なのに短くてごめんね 花穂:じゃあ最後にお願いがあります 花穂:私はもうこの世にはいません 花穂:そんな私のことはもう忘れてください 花穂:過去を変えることはできません 花穂:いつまでも私のことを思い続けないでください 花穂:もう私のことで涙を流して悲しまないでほしいです 花穂:君は君の人生を自由に生きて幸せになってください 花穂:趣味を見つけて熱中するのも 花穂:なにかのために一生懸命になるのも 花穂:もちろん新しい恋を見つけても良いです 花穂:私のために使ってくれた時間を次は君自身のために使ってください 花穂:長い時間を行きて人生を楽しんでください 花穂:それでこっちに来たときに、またあのときのように話を聞かせてください 花穂:これが私からの最後のお願いです 花穂:幸せになってください 花穂:花穂より 花穂:じゃあね拓海 花穂:元気でね 0:花穂からのメールを読み終わって 拓海:――ずるいよ君は 拓海:サヨナラさえ言わせてくれなかったのに 拓海:君だけこんなふうに言葉を残していっちゃうなんて 拓海:ずるいよ…… 0:拓真は泣き崩れた 拓海M:胸が張り裂けそうに痛かった 拓海M:もう彼女とは会えない 拓海M:本当は薄々気づいていた 拓海M:もう彼女はいなくなってしまったのではないかと 拓海M:でも信じたくなかった 拓海M:心の何処かで彼女は行きているのではないかと信じていた 拓海M:でもそれは叶わぬ願いだった 拓海:最後にもう一度だけ会いたかった 拓海:話した…か…った… 拓海:あ…… 拓海M:ふとあることが頭によぎった 拓海M:最後に彼女と話せることができる方法が 0:拓海は部屋に戻りクローゼットから大きな段ボールを取り出した 拓海M:また彼女と話せるかはわからない 拓海M:でも可能性があるならあれにあるかもしれないと思った 拓海:あった…… 0:1週間後 拓海M:俺は花穂からメールが届いた翌日 拓海M:ある人に連絡を入れた 拓海M:彼女と最も親しく 拓海M:そして俺と花穂を一番近くで見守ってくれた人 拓海:お久しぶりです 拓海:祥子さん 祥子:久しぶりね、拓海くん 拓海M:この人は波並祥子さん 拓海M:彼女……花穂の母親だ 祥子:高校生だった君がもう20歳を過ぎた大学生か 祥子:ずいぶん立派になって…… 拓海:ありがとうございます…… 祥子:連絡もらえて嬉しかったわ 拓海:いえ、こちらこそお願いを聞いてくださりありがとうございます 祥子:そういえば、私の連絡先よく覚えていたわね 拓海:えっと……実はついこの間まで忘れていて 祥子:え? 祥子:じゃあどうやって私の連絡先を? 拓海:これです 0:拓海は鞄からあるものを取り出した 祥子:手帳? 拓海:高校生のときに使っていた手帳なんですが実はここに 拓海M:3年前、花穂の身にもしものことがあったときのために連絡先を花穂に書いてもらっていた 拓海M:まさか初めて連絡するのがこんなお願いをするためになるなんて思いもしなかった。 祥子:それじゃあそろそろ行きましょうか 拓海:はい…… 0:霊園 祥子:ここよ 祥子:あの子がいるのは 拓海:ここに花穂が…… 拓海M:俺が祥子さんに頼んだお願い 拓海M:それは花穂が眠っているお墓に連れて行ってもらうことだった 祥子:沢山話すことがあるだろうし 祥子:私は車の中で待ってるからゆっくり話して大丈夫だからね 拓海――ありがとうございます 拓海M:祥子さんが車へ戻り始めてすぐ、俺はお墓の周りを軽く掃除をし花立に花を飾った 拓海M:最後にいつも使っている百均のライターで線香に火をつけ香炉に置く 拓海M:そいて静かに手を合わせた 拓海:久しぶり……花穂 拓海:君からメールが来たときは驚いたよ 拓海:でもありがとう 拓海:また1から人生を歩もうと思う 拓海:君からの最後の言葉はまだ受け止めきれていない部分もある…… 拓海:それに忘れてほしい、悲しまないでほしいってお願いは聞いてあげられそうでもないや 拓海:ゴメンな…… 拓海:でも少しずつ幸せになれるように生きていくよ 拓海:新しい恋は見つけられそうもないけどね 拓海:後は――そうだな 拓海:次に直接顔合わせて話ができるのはいつになるかわからないけど 拓海:絶対にもう一度会いに行くから 拓海:だから君もそっちで楽しくやってくれると嬉しいな 拓海:―― 拓海:――ごめんやっぱ無理だ 拓海:君の前では笑顔でいようと思ってたんだけど 拓海M:抑え込んでいた涙 拓海M:拭っても拭っても歯止めが効かず目から溢れ出した 拓海M:3年前に言えなかった別れの言葉を告げ 拓海M:彼女との別れを受け止めたこと 拓海M:それが僕の涙腺を緩めた 拓海M:俺は一度深呼吸をし涙をこらえた 拓海:また話すときのために 拓海:しっかり長生きして話の話題を沢山持っていくから 拓海:だからそれまでそっちで元気にして待っててよ 拓海:……そろそろ行くね 拓海:サヨナラ、花穂 拓海:また会おうね 拓海:愛してるよ 0:FIN