台本概要

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タイトル ずっと不安な夜だったから。
作者名 春歌叶汰  (@toughta)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 商用、非商用問わず連絡不要
説明 笑って過ごしていた。
家族から感じる感情は
呆れ、怒り、疲労、軽蔑。
皆が下向いていて、空気が澱んでいた。
だから、僕は蛍光灯のような人間になりたかった。
友達に話したら、変な奴だと馬鹿にされた。
元々人とは違った感性がある自覚はあった。
沢山虐められて、死にたくなった時もあった。
僕はそんな、普通の人間。
よく聞く、よくある話の1つ。
そんな僕にも、春がやってきた。
すごく優しくて、可愛い人。
自分に自信の無い僕は、その子を束縛した。
無意識下の内に、自分以外を見せない事で、
自分が1番だと洗脳しようとしていた。
けど、そんな身勝手が許されるわけもなかった。
僕は必死に代わる努力をした。
自分に自信を付けた。暇な時間を減らした。
会える時間は全て合わせた。欲も減らした。
我ながらかなりいい人になれたと思う。
結果出来た僕の人物像は、
都合のいい人間に成り下がった馬鹿だった。
1回変わってしまったら、
更に上書きをするのはもう厳しかった。
そうして僕は、無関心を手に入れた。
都合が良くてもいい。相手の事を考えるから
辛いのだ、考えるなと自らに言い聞かせ続けた。
上々。何ヶ月もの時間をかけ、
あまり考えないようになった。
自分の欲を表に出す事が無くなった。
心がスッキリした。そして、病んだ。
このままいけば、本当に無関心になりそうで。
一緒に居る意味を失ってしまいそうで。
すり減っていく何かを無視し続ける内に
もうとっくに限界まで擦り切れていた事に
気付けなかった。気付こうとしなかった。
それが正しいと思っていた。
相手を想ってした事は、
恋情さえも奪っていってしまった。
泣きたくなるほど苦しい。
泣きたいのはきっと相手なのに。
それでも、知らぬ所で涙を流すぐらい
良いだろと感傷に浸った。
数時間かけて出たのは、乾いた笑い1つだった。
数日後、数少ない友人と喧嘩した。
友人は今までに見た事ない程怒っていて
原因は自分にあって、とても暴言を吐かれた。
何も思えなかった。
麻痺しているのを感じた。
でも、僕は、もう引けない。
シュレッダーをかけた紙が
二度とくっつく事は無いのと同じく、
削りきってしまった僕の何かは
もう取り戻す事は出来ない。
これは、そんな僕の走馬灯。
もうきっとあと数cmで僕は消える。
骨は残っても、僕という人物像は消える。
最期に思う事は何も無い。
ああ、でも、1つだけ。
やっと、安らかに眠る事が出来る。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 -
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
笑って過ごしていた。 家族から感じる感情は 呆れ、怒り、疲労、軽蔑。 皆が下向いていて、空気が澱んでいた。 だから、僕は蛍光灯のような人間になりたかった。 友達に話したら、変な奴だと馬鹿にされた。 元々人とは違った感性がある自覚はあった。 沢山虐められて、死にたくなった時もあった。 僕はそんな、普通の人間。 よく聞く、よくある話の1つ。 そんな僕にも、春がやってきた。 すごく優しくて、可愛い人。 自分に自信の無い僕は、その子を束縛した。 無意識下の内に、自分以外を見せない事で、 自分が1番だと洗脳しようとしていた。 けど、そんな身勝手が許されるわけもなかった。 僕は必死に代わる努力をした。 自分に自信を付けた。暇な時間を減らした。 会える時間は全て合わせた。欲も減らした。 我ながらかなりいい人になれたと思う。 結果出来た僕の人物像は、 都合のいい人間に成り下がった馬鹿だった。 1回変わってしまったら、 更に上書きをするのはもう厳しかった。 そうして僕は、無関心を手に入れた。 都合が良くてもいい。相手の事を考えるから 辛いのだ、考えるなと自らに言い聞かせ続けた。 上々。何ヶ月もの時間をかけ、 あまり考えないようになった。 自分の欲を表に出す事が無くなった。 心がスッキリした。そして、病んだ。 このままいけば、本当に無関心になりそうで。 一緒に居る意味を失ってしまいそうで。 すり減っていく何かを無視し続ける内に もうとっくに限界まで擦り切れていた事に 気付けなかった。気付こうとしなかった。 それが正しいと思っていた。 相手を想ってした事は、 恋情さえも奪っていってしまった。 泣きたくなるほど苦しい。 泣きたいのはきっと相手なのに。 それでも、知らぬ所で涙を流すぐらい 良いだろと感傷に浸った。 数時間かけて出たのは、乾いた笑い1つだった。 数日後、数少ない友人と喧嘩した。 友人は今までに見た事ない程怒っていて 原因は自分にあって、とても暴言を吐かれた。 何も思えなかった。 麻痺しているのを感じた。 でも、僕は、もう引けない。 シュレッダーをかけた紙が 二度とくっつく事は無いのと同じく、 削りきってしまった僕の何かは もう取り戻す事は出来ない。 これは、そんな僕の走馬灯。 もうきっとあと数cmで僕は消える。 骨は残っても、僕という人物像は消える。 最期に思う事は何も無い。 ああ、でも、1つだけ。 やっと、安らかに眠る事が出来る。

笑って過ごしていた。 家族から感じる感情は 呆れ、怒り、疲労、軽蔑。 皆が下向いていて、空気が澱んでいた。 だから、僕は蛍光灯のような人間になりたかった。 友達に話したら、変な奴だと馬鹿にされた。 元々人とは違った感性がある自覚はあった。 沢山虐められて、死にたくなった時もあった。 僕はそんな、普通の人間。 よく聞く、よくある話の1つ。 そんな僕にも、春がやってきた。 すごく優しくて、可愛い人。 自分に自信の無い僕は、その子を束縛した。 無意識下の内に、自分以外を見せない事で、 自分が1番だと洗脳しようとしていた。 けど、そんな身勝手が許されるわけもなかった。 僕は必死に代わる努力をした。 自分に自信を付けた。暇な時間を減らした。 会える時間は全て合わせた。欲も減らした。 我ながらかなりいい人になれたと思う。 結果出来た僕の人物像は、 都合のいい人間に成り下がった馬鹿だった。 1回変わってしまったら、 更に上書きをするのはもう厳しかった。 そうして僕は、無関心を手に入れた。 都合が良くてもいい。相手の事を考えるから 辛いのだ、考えるなと自らに言い聞かせ続けた。 上々。何ヶ月もの時間をかけ、 あまり考えないようになった。 自分の欲を表に出す事が無くなった。 心がスッキリした。そして、病んだ。 このままいけば、本当に無関心になりそうで。 一緒に居る意味を失ってしまいそうで。 すり減っていく何かを無視し続ける内に もうとっくに限界まで擦り切れていた事に 気付けなかった。気付こうとしなかった。 それが正しいと思っていた。 相手を想ってした事は、 恋情さえも奪っていってしまった。 泣きたくなるほど苦しい。 泣きたいのはきっと相手なのに。 それでも、知らぬ所で涙を流すぐらい 良いだろと感傷に浸った。 数時間かけて出たのは、乾いた笑い1つだった。 数日後、数少ない友人と喧嘩した。 友人は今までに見た事ない程怒っていて 原因は自分にあって、とても暴言を吐かれた。 何も思えなかった。 麻痺しているのを感じた。 でも、僕は、もう引けない。 シュレッダーをかけた紙が 二度とくっつく事は無いのと同じく、 削りきってしまった僕の何かは もう取り戻す事は出来ない。 これは、そんな僕の走馬灯。 もうきっとあと数cmで僕は消える。 骨は残っても、僕という人物像は消える。 最期に思う事は何も無い。 ああ、でも、1つだけ。 やっと、安らかに眠る事が出来る。