台本概要
640 views
タイトル | CHOICE |
---|---|
作者名 | やくも (@yakumo_20230707) |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女1、不問1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
密室に閉じ込められた男女2人、ふざけた言動のゲームマスターに翻弄されながらも脱出を目指すミステリー要素もあるホラー台本です
640 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ケンジ | 男 | 102 | 20代前半 |
アユミ | 女 | 103 | 20代前半 |
GM | 不問 | 96 | ハイテンション。掴みどころがない |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
『CHOICE』
配役→男1 女1 不問1(男推奨)
ケンジ→20代男
アユミ→20代女
ゲームマスター→年齢不詳
K→ケンジ A→アユミ G→ゲームマスター
ケンジ:「ん、ここは……?」
アユミ:「いったぁ……どこ、ここ?」
ケンジ:「アユミ…?お前何でこんなとこにいるんだ?」
アユミ:「ケンジ!?いやそれはこっちのセリフ……っていうかここどこなの?」
ケンジ:「わからない…どう見ても普通の建物ではなさそうだけど」
アユミ:「とりあえず、早く外に出よう、なんかここ気味が悪いし…」
ケンジ:「そうだな……ん?」
アユミ:「どうしたの?」
ケンジ:「この部屋…扉がない」
アユミ:「え!?うそ…」
ケンジ:「窓もないし、天井に通気口はあるけど、人が通れるような大きさじゃないな」
アユミ:「そ、それって閉じ込められてるってこと…!?」
ケンジ:「……たぶんな。」
アユミ:「ど、どうしよう…!!警察、警察に言わないと!あれ…携帯がない!!」
ケンジ:「俺の方もだ…持ち物は綺麗になくなってる」
アユミ:「どうしよう!どうしよう!!ねぇ私達どうなるの!!??」
ケンジ:「落ち着け!大丈夫だ。」
アユミ:「ご、ごめん……。」
ケンジ:「少なくとも俺たちをここに連れてきた元凶がいる。何の意味もなく、こんな手の込んだ事はしないはずだ……」
アユミ:「それって……」
(被せ)
GM:「ピン、ポン、パン、ポーーーーン!!」
アユミ:「ひっ…!」
GM:「やぁやぁ、御二方。楽しんでくれていますか??えぇ!!私は楽しんでいますよ!!願わくばケンジさんにも、もう少し慌てて欲しかったですが…シュン( ´・ω・`)」
ケンジ:「放送...?いったいどこから」
アユミ:「なに…なんなの……?」
GM:「おやおや、そんなに私の事が気になる?気になってしまう!!?いやぁーーー照れてしまいますねぇ!!もしや、これが恋……!?」
ケンジ:「黙れ!!お前は誰だ!!!」
GM:「私ですか?私は…………名乗るほどの者ではございませぇん!!!いやーーこれ、1回言ってみたかったんですよねぇ!!!」
アユミ:「ケンジ、こいつおかしいよ……」
ケンジ:「あぁ、まともに話す気は無いらしい」
アユミ:「あんたはなんなの!何でこんな事するのよ!!」
ケンジ:「俺達に恨みでもあるのか!」
GM:「恨み……?あぁーーーいやいや理由なんて単純でございますとも!私はね...「人間」が見たいんですよ。」
ケンジ:「は…?」
アユミ:「何言ってるの…?」
GM:「実に不思議じゃあないですか!同じ種族でありながら行動に全く一貫性がない。野生にいる生き物達から見たら理(ことわり)から逸脱していると思いませんかぁ??」
ケンジ:「何を訳のわからない...(事を言っている!)」
0:【遮って】
GM:「ならば!!!人間が野生に帰る時!!!その性質は、善なのか!!悪なのか!!その結末は絆なのか!愛なのか!はたまた憎しみなのか!!!知りたい...!私はそれを知りたいのです!!!」
ケンジ:「狂ってる……!」
アユミ:「なんで...何で私達なのよ!!!」
GM:「………そんなの、「なんとなく」ですよ。」
アユミ:「はぁ!?」
GM:「勘違いしないで下さいよ、あなた方の経歴はよく知っています。付かず離れず、何とも淡い関係の幼なじみ……。あぁ...なんて、観察しがいがある...!!私の知識欲が刺激されるぅ!!!」
ケンジ:「ふざけるな!!!こんな事して許されるとおもってるのか!!!」
GM:「はて?許す??この状況を見て何も思わない??」
アユミ:「なんだって言うのよ!アンタなんてすぐ警察に捕まえられるんだから!!」
GM:「警察……ねぇ。ふふっ、では教えて差し上げましょう。ここはとある私有地の山の中にある小さな別荘、その地下室。たとえ警察が総動員で捜査をしても、発見まで最低1ヶ月はかかるでしょうね」
アユミ:「そ、そんな……」
GM:「加えて私、少々忘れものをしていました。いやぁ、大変申し訳ない……(泣)」
ケンジ:「もったいぶるな!!早く話を進めろ!!」
GM:「つい、うっかりあなた方の"水と食料"を用意するのを忘れてしまったのです!オヨヨ…。」
アユミ:「そ、それって...」
ケンジ:「初めから俺達を生かして返す気は無いってことかよ...!!」
GM:「いやいや、勿論帰る方法はあります。まず、簡単なゲームをして貰います。2人で力を合わせてクリアできれば!ここから出られる事でしょう。」
ケンジ:「ゲームだと…?」
GM:「そう!楽しい楽しいゲームの時間!これを機に気になるあの子とお近付きになっちゃったり!?!?」
アユミ:「嫌よ!!何でアンタなんかの言うこと聞かなくちゃいけないの!!」
GM:「まぁまぁ、そう言わずに!…アッ!私の事はゲームマスター、親しみを込めてゲマちゃん☆と呼んでくださいねぇ!!」
アユミ:「呼ぶ訳ないでしょ!気持ち悪い!!ゲームなんて絶対やらないから!!」
ケンジ:「待て、アユミ!アイツの言いなりになるのは癪(しゃく)だが、このままじゃ、警察に見つけられる前に確実に死ぬ」
アユミ:「でも...」
ケンジ:「大丈夫だ。何かあっても俺がどうにかするから。」
アユミ:「ケンジ……わかった。信じるからね。」
ケンジ:「ああ、信じろ。」
GM:「相談はァ〜終わりましたかァ〜???」
ケンジ:「ああ!お前の言うゲーム。やってやるよ!」
GM:「さすが!!かっこいい!!さぞ、モテるのでしょうねぇ、羨ましいぃ!!!」
ケンジ:「御託(ごたく)はいいからさっさと始めろ!!」
GM:「それでは、まず通気口の真下の床をよ〜〜く見てみてください...何かありませんかぁ?」
ケンジ:「…(探る)...取っ手がついてるな」
アユミ:「開けってこと...?」
GM:「その通り!!さぁさぁ!!ズバッと開いちゃってください!!」
アユミ:「ほ、本当に大丈夫なの...?急に爆発したりとか...」
ケンジ:「……アユミは離れてろ、俺が開ける。」
アユミ:「わかった...気をつけてね」
ケンジ:「よし、開けるぞ…。ッッ!」(開ける)
GM:「ドカーーーーーン!!!!」
アユミ:「きゃぁあああ!!」
GM:「はっはっは!ジョークですよジョークぅ」
アユミ:「あんた...絶対に許さないから!!」
ケンジ:「これは...ブレスレットか?、」
GM:「そう、それはなんの変哲もないブレスレット...さぁさぁ!手早く付けちゃってくださいな!!」
アユミ:「絶対何かあるよ!どうしようケンジ……」
ケンジ:「わかった...付けるよ」
アユミ:「ダメ!危ないよ!!」
ケンジ:「付けたぞ。これでいいのか?」
GM:「ん素晴らしいぃん!!!よく似合ってますよぉ!!!」
ケンジ:「うるさい!!!……とりあえずは何も無さそうだ」
アユミ:「う、うん...じゃあ、私も付けるね...。」
GM:「ん素晴らしいぃん!!!よく似合ってますよぉ!!!」
アユミ:「うるさい!!!」
GM:「おやおや手厳しいぃ〜〜!!」
ケンジ:「で、今度は何をすればいいんだ?」
GM:「これから、あなた方には...…クイズをして頂きます!!!」
アユミ:「く、クイズ...?」
GM:「そ〜〜う、幼なじみの お2人なら、いとも容易く答えられる簡単なクイズです。問題は全10問。見事全問正解できたならば、ここから出る事ができるでしょう...」
ケンジ:「このブレスレットには何の意味がある?ただのオシャレって訳じゃないんだろ?」
GM:「ご名答。ブレスレットに①~③と書いてある3つのボタンが付いているでしょう?回答はそのボタンでして頂きます。」
アユミ:「私の方にもボタンが付いてるけど、一緒にに答えろってことなの?」
GM:「んんん理解が早くて助かりますぅ!そう、これから出すクイズには、同時に答えて、そして同じ回答を導き出さないといけません。」
ケンジ:「アユミ、いけそうか?」
アユミ:「うん、ケンジと一緒なら大丈夫だと思う」
ケンジ:「よし。……待たせたな、始めてくれ」
GM:「良い気概です...それでは……スターーーーーーーーッットッ!!!」
ケンジ:(間の抜けた声が響いたその瞬間、ブレスレットに残り時間のカウントダウンが表示された)
アユミ:「ちょっと何よこれ!!聞いてない!!」
GM:「私とした事が!!言い忘れていました(汗)そのブレスレットには致死性の猛毒が仕込まれています。制限時間の2時間を経過するか、回答を間違えると内側から針がプスッと刺さるので注意してくださいねっ!!!」
ケンジ:「ふざけやがって...!!!」
アユミ:「これ...とれない!とれないよ!!」
GM:「ちなみに、相談も禁止です。違反行為が見受けられた場合もプスッと刺さるので注意くださいねっ!!!」
アユミ:「ケンジ…ど、どうしよう...!!私、まだ死にたくないよ...!!」
ケンジ:「大丈夫だ、要は間違えなければいいんだろ。俺たちなら、絶対に大丈夫さ」
アユミ:「ケンジ……」
GM:「それでは!!第1問!!!ケンジさんの誕生日は何月何日????」
GM:「①.7/7 ②.7/17 ③.7/27」
アユミ:「えっ、こんな簡単なの...?」
GM:「回答が出揃いましたねぇ!ふむふむ...アユミさん、①。ケンジさん、①。……お見事!!正解です!!!」
ケンジ:「何を企んでるんだ...?」
アユミ:「わかんない...」
ケンジ:「気を緩めないようしよう、何をしてくるかわからないからな」
アユミ:「うん、そうだね」
ケンジ:(その後も、頻繁に話が脱線するゲームマスターに苛立ちながらも、驚く程あっけなく命をかけたクイズは進行していった)
アユミ:「ねぇ、これ……このまま終わるのかな?近所の川の名前とか、小学校の担任の先生は誰かとか、どうでもいい質問ばっかりだけど……」
ケンジ:「わからない……でも終わってくれるなら、それに越したことはないさ」
GM:「つ、ぎ、は〜〜…皆さんお待ちかね!!恋愛に関するクイズですよぉ!!!ヒューヒュー!!ドンドンパフパフ!!!」
ケンジ:「……」
アユミ:「えっ…!」
GM:「おんやぁ〜〜?お2人とも反応が変わりましたねぇ??やはりお年頃という事でしょうかぁぁあ???」
アユミ:「あんた本当にうるさい!!!早くしてって言ってるでしょ!!」
GM:「おやおや!相変わらず強気な態度!!でもぉ、ケンジさんにだけ見せる弱弱しい一面にグッとくる視聴者も多いのではないでしょうか!!?」
アユミ:「視聴者なんていないでしょ!!」
GM:「その辺りどうなんですかァ??当事者のケンジさん!!ふと、あーん可愛い!とか思っちゃったりしちゃったりしてるんじゃあないですかぁ〜!?」
アユミ:「あ、あんたね……!!」
ケンジ:「思ってたとしたらどうなんだ!お前には関係ないだろ」
アユミ:「えっ、ちょ…ケンジ!?」
GM:「ヤーーー!いいものを見せて頂きましたねぇ!!ここまで堂々と惚気られると、私も彼方に過ぎさった青春時代を思い出してしまいますぅ!!」
ケンジ:「アユミ、あいつの言葉を真に受けない方がいい。揺さぶりかもしれないしな」
アユミ:「う、うん!そう、だよね…」
GM:「では……第8問!!!ケンジさんの初恋の相手は誰でしょう??!」
ケンジ:「!!」
アユミ:「は、初恋……」
GM:「①幼稚園のナオコ先生②向かいの家に住んでいたヒカルお姉ちゃん ③幼なじみのアユミさん」
アユミ:「ちょ、ちょっと!!」
GM:「さぁさぁ!!お選びくださいな!!」
アユミ:「選べって言っても……」
ケンジ:「アユミ」
アユミ:「は、はい!」
ケンジ:「俺を信じてくれ」
アユミ:「信じろって…つまり……?」
GM:「おおっとぉ!!それ以上は相談とみなしますよぉ!!!」
ケンジ:「俺は押した」
アユミ:「え、えぇ……それじゃあ……」
GM:「答えが出揃いましたねぇ…。アユミさんは…③。んーーふふふ…余程自分に自信があるようだ!」
アユミ:「う、うるさい!!」
GM:「そしてケンジさんは…………」
ケンジ:「……」
GM:「③!!!お見事!!!文字通りの相思相愛!!!お熱いですねぇ!!!ドンパフドンパフ!!!」
アユミ:「ケンジ……」
ケンジ:「あんまりじっと見るなよ……」
アユミ:「ご、ごめん…」
GM:「お熱い所大変申し訳ございませんがぁ〜、次の問題にいっても大丈夫ですかぁ〜〜??」
ケンジ:「しゅ、集中しよう!!まずはこのゲームをクリアして、ここから脱出する事が先決だ」
アユミ:「う、うん!そうだね…」
GM:「では、気を取り直して第9問!!!アユミさんには昔から今に至るまでずっと好きな人がいる、それは誰か?」
アユミ:「な!ちょ!!」
ケンジ:「今度はアユミか…」
GM:「①近所に住んでいる年上お兄さんのヒロト君②幼なじみのケンジさん③ゲマちゃんことゲームマスターのこの私!」
ケンジ:「アユミ……」
アユミ:「私も…信じてほしいな……」
ケンジ:「わかった」
GM:「答えが出揃いましたね……ケンジさん、①」
ケンジ:「……」
GM:「そしてアユミさんは…………①!!!お見事!!またしても相思相愛!!!なんならここで挙式開いちゃいますかぁ!?私、幹事の腕には自信ありますよぉ!!」
ケンジ:「アユミ……」
GM:「でもでも!?今まで小粋なトークで盛り上げていた私ゲマちゃんもいい線いってたんじゃないですか!?!?もうちょっとで恋に落ちゃったんじゃないですかぁ!!??」
アユミ:「ケンジ…私はずっと……」
GM:「アッハァ---!!!清々しいまでの無視!!蚊帳の外とはまさにこの事!!いいでしょういいでしょう、私はお2人が幸せならそれで満足ですとも!!!」
ケンジ:「次で最後だ、これをクリアしたら……」
アユミ:「うん、そうだね…頑張ろう!」
GM:「それでは!次が運命の最終問題!!!
いやぁ固い絆で結ばれた2人には些か退屈だったかもしれませんねぇ!!」
ケンジ:「なんのつもりか知らないが、約束はちゃんと守るんだろうな!!」
GM:「えぇえぇ、勿論ですとも!!それでは最終問題!!……と、言いたいところですが...最後は少し趣向を変えましょう」
アユミ:「どういう事…?」
GM:「最後はクイズではなく...チョイス、選択をして頂きます。」
ケンジ:「選択...?」
GM:「その通り...。分かりやすく言うなら
"命の選択"です。」
アユミ:「なに、どういうこと...?」
GM:「実は私ぃ、こう見えて用意周到でしてぇ〜。あなた方の身の回りの人間関係も、バ〜ッチリ調べ上げているんですよぉ!!」
ケンジ:「どういう事だ、なんの関係がある?」
GM:「いやね、ケンジさんとアユミさんの観察はこれにて終了。じゃあ次の観察対象は〜誰にしようかと思いましてぇ〜〜。」
ケンジ:「お、お前!!!」
GM:「はぁ〜〜素晴らしい!!いい顔をされる...!」
アユミ:「つまり、私達が助かったとしても、身の回りの人が犠牲になるってこと!?」
GM:「犠牲とは失敬な!貴重な経験をプレゼントするだけですよぉ!」
ケンジ:「ふざけるな!!!」
GM:「おお、怖い怖い:( ;´꒳`;):それでは、最後の選択の説明をします。」
アユミ:「待ってよ!私達やるなんて……」
0:【遮って】
GM:「まずは!①を選択した場合。あなた方2人を解放しましょう。その代わり、次の観察対象は身の回りの誰か、となります。」
ケンジ:「クソ野郎...!」
GM:「そして②を選択した場合。押した当人以外の全てを助けましょう。つまる所、自己犠牲ですね。己の身を犠牲に大切な者を守る...!なんと美しい……!!」
アユミ:「③はなんなの...?」
GM:「③を選択した場合は②の反対。ケンジさんならアユミさん、アユミさんならばケンジさんを犠牲にする事で、押した当人とそれ以外の全てを助けます。」
アユミ:「相手を犠牲にするってこと…」
GM:「そして、お2人が違う選択をした場合は…数字が大きい選択肢が優先されます。どうです?理解できましたかァ?」
ケンジ:「数字が大きい選択肢が優先……」
アユミ:「待ってよ!それじゃあ2人共②か③を選んだ時はどうなるの!?」
GM:「鋭いですねぇ!!!こういうのはケンジさんの役目だったのにぃ!!!この短時間で成長していらっしゃる!!!」
ケンジ:「いいから答えろ!どうなるんだ!?」
GM:「もちろん私はその「選択」を尊重します。②が揃った場合、あなた方2人には死んで頂きます。しかし!!あなた方の周りの人間には一切手は出しません……」
ケンジ:「③が揃ったら……?」
GM:「③が揃った場合、お互いがお互いの破滅を願っているとみなして…あなた方2人には死んで貰います。そして…次の観察対象もしっかりと選ばせて頂きます!醜い責任のなすりつけあいには相応の罰を!!まさにっ!因果応報ですねっ!!!」
ケンジ:「ふざけるな!!!どれを選んだって誰かが犠牲になるじゃないか!!!」
アユミ:「そうだよ!こんなのおかしいでしょ!!」
GM:「世界は……時に無情なのですよ……」
アユミ:「こんなの、選べないよ…どうしよう...」
GM:「ア、今回は特別に相談OKとします。何を選んで何を捨てるのか......じっくり話し合ってくださいねっ☆」
アユミ:「ケンジ……私、どうしたら...」
ケンジ:「...アユミ、俺を選んでくれないか?」
アユミ:「え...」
ケンジ:「俺たち2人でここから出よう。」
アユミ:「でも、それじゃ周りの誰かが...」
ケンジ:「いいんだ!アユミは俺にとってかけがえのない存在だから。後の事は、その時考えればいいさ」
アユミ:「ケンジ……」
ケンジ:「ここを出たら、改めてちゃんと気持ちを伝えるよ。」
アユミ:「……わかった」
ケンジ:(ごめんな、アユミ...。でも1人が犠牲になって済むなら、俺は......!)
GM:「どうやら……決まったようですね?」
アユミ:「ええ!」
ケンジ:「あぁ...」
GM:「それでは……ボタンを押してください。」
ケンジ:「…」
GM:「結果がでました。……アユミさんは、①。」
アユミ:「……」
GM:「そしてケンジさんは...……おや、違う回答を選んだようですね」
アユミ:「え!?どういう事ケンジ!?」
ケンジ:「このチョイスで1番犠牲が少なくなるのは、片方が①を選んで、もう片方がそれ以外選んだ時だ」
アユミ:「そ、そうだけど!でも、それじゃあ…!」
ケンジ:「俺には守らなきゃいけない、かけがえの無い存在がいる」
アユミ:「そんなっ……、いや…嫌だよ…!!」
ケンジ:「そのためなら何だって犠牲にできる」
アユミ:「私はっ…私はケンジと一緒じゃなきゃ……!」
ケンジ:「ごめんな、アユミ。これしか思いつかなかったんだ…」
アユミ:「でもっ!でもぉ!!それでケンジが犠牲になるなんてっ……!」
GM:「③」
0:【静寂】
アユミ:「...えっ……??」
GM:「ケンジさんが選んだのは、③です。」
アユミ:「えっ...③って...」
GM:「そう、相手以外の全て。つまり、アユミさんを犠牲に他の全てを助ける、ということですね。」
アユミ:「ケ、ケン…ジ...?嘘だよね...?間違えて押しちゃっただけだよね...?」
ケンジ:「ごめん......」
アユミ:「なんで...ねぇ、なんでなの!!?」
ケンジ:「俺...職場で付き合ってる子がいてさ、そろそろ結婚も考えてるんだ...。だから今死ぬ訳にはいかないし、周りの人間に何かあるのも嫌で...。」
アユミ:「私の事…何回も抱いたよね……?その度に好きだって…愛してるって言ってくれたよね……?」
ケンジ:「そ、それは……」
GM:「私からお答えしましょう。アユミさんはケンジさんの事を想っています。昔から、一途に。でも……ケンジさんはそうではなかった」
アユミ:「いや…やめて……」
GM:「ケンジさんのお相手はご実家がそれはそれは厳しくてですねぇ、大切な一人娘の婚前交渉なんて、絶対に許さなかった…」
アユミ:「もういい、やめて……!」
GM:「ケンジさんだって年頃の男性。ずぅーっと生殺しじゃあ、溜まるものもありますよねぇ?」
アユミ:「やめ、やめてよぉ……」
GM:「そしたらほら、ちょうどいい所にいるじゃないですか……、自分に好意を寄せてる女性が、すぐ隣に……」
アユミ:「もう……もう聞きたくない!!!」
GM:「アユミさん、あなたがケンジさんと繋がっていたのは…身体だけなんですよ。」
アユミ:「嘘だよね……嘘だって言ってよぉ……」
ケンジ:「ごめん……」
アユミ:「今までの言葉は...全部、嘘だったんだ...」
ケンジ:「……本当に、ごめん」
アユミ:「ひどい...こんなの……酷過ぎるよ…!!」
GM:「それではァ!!!選ばれなかった方には退場して頂きましょう!!!!」
ケンジ:(アユミの付けていたブレスレットのカウントダウンが0になり、仰々(ぎょうぎょう)しいアラームが鳴り響く。数秒後、アユミの様子が急変した)
アユミ:「あ、あぁぁ……!ぐっ...がっ、アッ...」
ケンジ:「ア、アユミ……」
アユミ:「ケ…ケン...ジ……く、くる、しい...よ……」
GM:「そして、選ばれた方には道を示しましょう」
ケンジ:(天井の一部が開き、どこからかハシゴが降りてきた。俺は苦しむアユミから逃げるように、ハシゴを駆け上がった)
GM:「おめでとうございます!!あなたは無事!この地獄から脱け出した!『アユミさんを犠牲にして』ですが。」
ケンジ:「はぁ...はぁっ...!黙れっ!!早くこのブレスレット外せよ!!時間がないだろ!!!」
GM:「おやおやこれは失敬!では出口の扉の横に箱が2つあります。ブレスレットをかざせば、対応した箱が開くのでそこから鍵をとってください。」
ケンジ:「出口の横の箱......これかっ!」
ケンジ:(ゲームマスターの言う通り、ブレスレットをかざすと箱が開き、古めかしい鍵が入っていた)
GM:「あとはその鍵でブレスレットを外すだけですねぇ!!よく似合っていたのに...残念です」
ケンジ:「よし、これで………(ガチャガチャ)………えっ……?」
GM:「おやぁ…?どうしましたかァ?」
ケンジ:「ふざけるな......……鍵が違うじゃねぇか!!どういう事だよ!!!騙したのか!!?」
GM:「あーーそれはつまり、『アユミさんが開けるはずだった箱』にあなた用の鍵が入っていた。という事でしょうねぇ!!」
ケンジ:「なっ...!そんなっ……!!」
GM:「私は最初に言いましたよォ??『2人で力を合わせてクリアできれば』とね」
ケンジ:「ふ、ふざけんなよ!!!!じゃあ、俺は何のために……」
GM:「時間です!!!!」
ケンジ:(先程も聞いた仰々(ぎょうぎょう)しいアラーム音が鳴り響く。小さな針が刺さった感覚がした数秒後、尋常ならざる痛みと不快感が体内を駆け巡った)
GM:「ゲームオーバー……ですね。」
ケンジ:「あっ、ぐっ...ぅぅあァァァァ...!!」
(熱い、痛い、苦しい、気持ち悪い、身体の中がグチャグチャにされて瞬く間に死が迫って来る)
GM:「あぁ...残念です。結局あなたは自分を選び、そしてあなたを信じた者を裏切った。」
ケンジ:「カッ…ハッ……ア…グッ……!」
GM:「とてもとても...本当に……」
アユミ:「残念だよ。ケンジ。」
ケンジ:「......え?」
アユミ:「分かってたけどね、こうなるって。もしかしたら、とは思ってたけど、やっぱりこうなっちゃったよね。」
ケンジ:「...ゥ...ァ……」
アユミ:「もう声もでないよね、可哀想。」
ケンジ:(最期に見たのは現実なのか、後ろめたさから見えた幻覚なのか...。その答えも分からないまま、俺の意識はドス黒い暗闇に呑み込まれた)
アユミ:「さようなら...ケンジ」
0:〜Fin〜
『CHOICE』
配役→男1 女1 不問1(男推奨)
ケンジ→20代男
アユミ→20代女
ゲームマスター→年齢不詳
K→ケンジ A→アユミ G→ゲームマスター
ケンジ:「ん、ここは……?」
アユミ:「いったぁ……どこ、ここ?」
ケンジ:「アユミ…?お前何でこんなとこにいるんだ?」
アユミ:「ケンジ!?いやそれはこっちのセリフ……っていうかここどこなの?」
ケンジ:「わからない…どう見ても普通の建物ではなさそうだけど」
アユミ:「とりあえず、早く外に出よう、なんかここ気味が悪いし…」
ケンジ:「そうだな……ん?」
アユミ:「どうしたの?」
ケンジ:「この部屋…扉がない」
アユミ:「え!?うそ…」
ケンジ:「窓もないし、天井に通気口はあるけど、人が通れるような大きさじゃないな」
アユミ:「そ、それって閉じ込められてるってこと…!?」
ケンジ:「……たぶんな。」
アユミ:「ど、どうしよう…!!警察、警察に言わないと!あれ…携帯がない!!」
ケンジ:「俺の方もだ…持ち物は綺麗になくなってる」
アユミ:「どうしよう!どうしよう!!ねぇ私達どうなるの!!??」
ケンジ:「落ち着け!大丈夫だ。」
アユミ:「ご、ごめん……。」
ケンジ:「少なくとも俺たちをここに連れてきた元凶がいる。何の意味もなく、こんな手の込んだ事はしないはずだ……」
アユミ:「それって……」
(被せ)
GM:「ピン、ポン、パン、ポーーーーン!!」
アユミ:「ひっ…!」
GM:「やぁやぁ、御二方。楽しんでくれていますか??えぇ!!私は楽しんでいますよ!!願わくばケンジさんにも、もう少し慌てて欲しかったですが…シュン( ´・ω・`)」
ケンジ:「放送...?いったいどこから」
アユミ:「なに…なんなの……?」
GM:「おやおや、そんなに私の事が気になる?気になってしまう!!?いやぁーーー照れてしまいますねぇ!!もしや、これが恋……!?」
ケンジ:「黙れ!!お前は誰だ!!!」
GM:「私ですか?私は…………名乗るほどの者ではございませぇん!!!いやーーこれ、1回言ってみたかったんですよねぇ!!!」
アユミ:「ケンジ、こいつおかしいよ……」
ケンジ:「あぁ、まともに話す気は無いらしい」
アユミ:「あんたはなんなの!何でこんな事するのよ!!」
ケンジ:「俺達に恨みでもあるのか!」
GM:「恨み……?あぁーーーいやいや理由なんて単純でございますとも!私はね...「人間」が見たいんですよ。」
ケンジ:「は…?」
アユミ:「何言ってるの…?」
GM:「実に不思議じゃあないですか!同じ種族でありながら行動に全く一貫性がない。野生にいる生き物達から見たら理(ことわり)から逸脱していると思いませんかぁ??」
ケンジ:「何を訳のわからない...(事を言っている!)」
0:【遮って】
GM:「ならば!!!人間が野生に帰る時!!!その性質は、善なのか!!悪なのか!!その結末は絆なのか!愛なのか!はたまた憎しみなのか!!!知りたい...!私はそれを知りたいのです!!!」
ケンジ:「狂ってる……!」
アユミ:「なんで...何で私達なのよ!!!」
GM:「………そんなの、「なんとなく」ですよ。」
アユミ:「はぁ!?」
GM:「勘違いしないで下さいよ、あなた方の経歴はよく知っています。付かず離れず、何とも淡い関係の幼なじみ……。あぁ...なんて、観察しがいがある...!!私の知識欲が刺激されるぅ!!!」
ケンジ:「ふざけるな!!!こんな事して許されるとおもってるのか!!!」
GM:「はて?許す??この状況を見て何も思わない??」
アユミ:「なんだって言うのよ!アンタなんてすぐ警察に捕まえられるんだから!!」
GM:「警察……ねぇ。ふふっ、では教えて差し上げましょう。ここはとある私有地の山の中にある小さな別荘、その地下室。たとえ警察が総動員で捜査をしても、発見まで最低1ヶ月はかかるでしょうね」
アユミ:「そ、そんな……」
GM:「加えて私、少々忘れものをしていました。いやぁ、大変申し訳ない……(泣)」
ケンジ:「もったいぶるな!!早く話を進めろ!!」
GM:「つい、うっかりあなた方の"水と食料"を用意するのを忘れてしまったのです!オヨヨ…。」
アユミ:「そ、それって...」
ケンジ:「初めから俺達を生かして返す気は無いってことかよ...!!」
GM:「いやいや、勿論帰る方法はあります。まず、簡単なゲームをして貰います。2人で力を合わせてクリアできれば!ここから出られる事でしょう。」
ケンジ:「ゲームだと…?」
GM:「そう!楽しい楽しいゲームの時間!これを機に気になるあの子とお近付きになっちゃったり!?!?」
アユミ:「嫌よ!!何でアンタなんかの言うこと聞かなくちゃいけないの!!」
GM:「まぁまぁ、そう言わずに!…アッ!私の事はゲームマスター、親しみを込めてゲマちゃん☆と呼んでくださいねぇ!!」
アユミ:「呼ぶ訳ないでしょ!気持ち悪い!!ゲームなんて絶対やらないから!!」
ケンジ:「待て、アユミ!アイツの言いなりになるのは癪(しゃく)だが、このままじゃ、警察に見つけられる前に確実に死ぬ」
アユミ:「でも...」
ケンジ:「大丈夫だ。何かあっても俺がどうにかするから。」
アユミ:「ケンジ……わかった。信じるからね。」
ケンジ:「ああ、信じろ。」
GM:「相談はァ〜終わりましたかァ〜???」
ケンジ:「ああ!お前の言うゲーム。やってやるよ!」
GM:「さすが!!かっこいい!!さぞ、モテるのでしょうねぇ、羨ましいぃ!!!」
ケンジ:「御託(ごたく)はいいからさっさと始めろ!!」
GM:「それでは、まず通気口の真下の床をよ〜〜く見てみてください...何かありませんかぁ?」
ケンジ:「…(探る)...取っ手がついてるな」
アユミ:「開けってこと...?」
GM:「その通り!!さぁさぁ!!ズバッと開いちゃってください!!」
アユミ:「ほ、本当に大丈夫なの...?急に爆発したりとか...」
ケンジ:「……アユミは離れてろ、俺が開ける。」
アユミ:「わかった...気をつけてね」
ケンジ:「よし、開けるぞ…。ッッ!」(開ける)
GM:「ドカーーーーーン!!!!」
アユミ:「きゃぁあああ!!」
GM:「はっはっは!ジョークですよジョークぅ」
アユミ:「あんた...絶対に許さないから!!」
ケンジ:「これは...ブレスレットか?、」
GM:「そう、それはなんの変哲もないブレスレット...さぁさぁ!手早く付けちゃってくださいな!!」
アユミ:「絶対何かあるよ!どうしようケンジ……」
ケンジ:「わかった...付けるよ」
アユミ:「ダメ!危ないよ!!」
ケンジ:「付けたぞ。これでいいのか?」
GM:「ん素晴らしいぃん!!!よく似合ってますよぉ!!!」
ケンジ:「うるさい!!!……とりあえずは何も無さそうだ」
アユミ:「う、うん...じゃあ、私も付けるね...。」
GM:「ん素晴らしいぃん!!!よく似合ってますよぉ!!!」
アユミ:「うるさい!!!」
GM:「おやおや手厳しいぃ〜〜!!」
ケンジ:「で、今度は何をすればいいんだ?」
GM:「これから、あなた方には...…クイズをして頂きます!!!」
アユミ:「く、クイズ...?」
GM:「そ〜〜う、幼なじみの お2人なら、いとも容易く答えられる簡単なクイズです。問題は全10問。見事全問正解できたならば、ここから出る事ができるでしょう...」
ケンジ:「このブレスレットには何の意味がある?ただのオシャレって訳じゃないんだろ?」
GM:「ご名答。ブレスレットに①~③と書いてある3つのボタンが付いているでしょう?回答はそのボタンでして頂きます。」
アユミ:「私の方にもボタンが付いてるけど、一緒にに答えろってことなの?」
GM:「んんん理解が早くて助かりますぅ!そう、これから出すクイズには、同時に答えて、そして同じ回答を導き出さないといけません。」
ケンジ:「アユミ、いけそうか?」
アユミ:「うん、ケンジと一緒なら大丈夫だと思う」
ケンジ:「よし。……待たせたな、始めてくれ」
GM:「良い気概です...それでは……スターーーーーーーーッットッ!!!」
ケンジ:(間の抜けた声が響いたその瞬間、ブレスレットに残り時間のカウントダウンが表示された)
アユミ:「ちょっと何よこれ!!聞いてない!!」
GM:「私とした事が!!言い忘れていました(汗)そのブレスレットには致死性の猛毒が仕込まれています。制限時間の2時間を経過するか、回答を間違えると内側から針がプスッと刺さるので注意してくださいねっ!!!」
ケンジ:「ふざけやがって...!!!」
アユミ:「これ...とれない!とれないよ!!」
GM:「ちなみに、相談も禁止です。違反行為が見受けられた場合もプスッと刺さるので注意くださいねっ!!!」
アユミ:「ケンジ…ど、どうしよう...!!私、まだ死にたくないよ...!!」
ケンジ:「大丈夫だ、要は間違えなければいいんだろ。俺たちなら、絶対に大丈夫さ」
アユミ:「ケンジ……」
GM:「それでは!!第1問!!!ケンジさんの誕生日は何月何日????」
GM:「①.7/7 ②.7/17 ③.7/27」
アユミ:「えっ、こんな簡単なの...?」
GM:「回答が出揃いましたねぇ!ふむふむ...アユミさん、①。ケンジさん、①。……お見事!!正解です!!!」
ケンジ:「何を企んでるんだ...?」
アユミ:「わかんない...」
ケンジ:「気を緩めないようしよう、何をしてくるかわからないからな」
アユミ:「うん、そうだね」
ケンジ:(その後も、頻繁に話が脱線するゲームマスターに苛立ちながらも、驚く程あっけなく命をかけたクイズは進行していった)
アユミ:「ねぇ、これ……このまま終わるのかな?近所の川の名前とか、小学校の担任の先生は誰かとか、どうでもいい質問ばっかりだけど……」
ケンジ:「わからない……でも終わってくれるなら、それに越したことはないさ」
GM:「つ、ぎ、は〜〜…皆さんお待ちかね!!恋愛に関するクイズですよぉ!!!ヒューヒュー!!ドンドンパフパフ!!!」
ケンジ:「……」
アユミ:「えっ…!」
GM:「おんやぁ〜〜?お2人とも反応が変わりましたねぇ??やはりお年頃という事でしょうかぁぁあ???」
アユミ:「あんた本当にうるさい!!!早くしてって言ってるでしょ!!」
GM:「おやおや!相変わらず強気な態度!!でもぉ、ケンジさんにだけ見せる弱弱しい一面にグッとくる視聴者も多いのではないでしょうか!!?」
アユミ:「視聴者なんていないでしょ!!」
GM:「その辺りどうなんですかァ??当事者のケンジさん!!ふと、あーん可愛い!とか思っちゃったりしちゃったりしてるんじゃあないですかぁ〜!?」
アユミ:「あ、あんたね……!!」
ケンジ:「思ってたとしたらどうなんだ!お前には関係ないだろ」
アユミ:「えっ、ちょ…ケンジ!?」
GM:「ヤーーー!いいものを見せて頂きましたねぇ!!ここまで堂々と惚気られると、私も彼方に過ぎさった青春時代を思い出してしまいますぅ!!」
ケンジ:「アユミ、あいつの言葉を真に受けない方がいい。揺さぶりかもしれないしな」
アユミ:「う、うん!そう、だよね…」
GM:「では……第8問!!!ケンジさんの初恋の相手は誰でしょう??!」
ケンジ:「!!」
アユミ:「は、初恋……」
GM:「①幼稚園のナオコ先生②向かいの家に住んでいたヒカルお姉ちゃん ③幼なじみのアユミさん」
アユミ:「ちょ、ちょっと!!」
GM:「さぁさぁ!!お選びくださいな!!」
アユミ:「選べって言っても……」
ケンジ:「アユミ」
アユミ:「は、はい!」
ケンジ:「俺を信じてくれ」
アユミ:「信じろって…つまり……?」
GM:「おおっとぉ!!それ以上は相談とみなしますよぉ!!!」
ケンジ:「俺は押した」
アユミ:「え、えぇ……それじゃあ……」
GM:「答えが出揃いましたねぇ…。アユミさんは…③。んーーふふふ…余程自分に自信があるようだ!」
アユミ:「う、うるさい!!」
GM:「そしてケンジさんは…………」
ケンジ:「……」
GM:「③!!!お見事!!!文字通りの相思相愛!!!お熱いですねぇ!!!ドンパフドンパフ!!!」
アユミ:「ケンジ……」
ケンジ:「あんまりじっと見るなよ……」
アユミ:「ご、ごめん…」
GM:「お熱い所大変申し訳ございませんがぁ〜、次の問題にいっても大丈夫ですかぁ〜〜??」
ケンジ:「しゅ、集中しよう!!まずはこのゲームをクリアして、ここから脱出する事が先決だ」
アユミ:「う、うん!そうだね…」
GM:「では、気を取り直して第9問!!!アユミさんには昔から今に至るまでずっと好きな人がいる、それは誰か?」
アユミ:「な!ちょ!!」
ケンジ:「今度はアユミか…」
GM:「①近所に住んでいる年上お兄さんのヒロト君②幼なじみのケンジさん③ゲマちゃんことゲームマスターのこの私!」
ケンジ:「アユミ……」
アユミ:「私も…信じてほしいな……」
ケンジ:「わかった」
GM:「答えが出揃いましたね……ケンジさん、①」
ケンジ:「……」
GM:「そしてアユミさんは…………①!!!お見事!!またしても相思相愛!!!なんならここで挙式開いちゃいますかぁ!?私、幹事の腕には自信ありますよぉ!!」
ケンジ:「アユミ……」
GM:「でもでも!?今まで小粋なトークで盛り上げていた私ゲマちゃんもいい線いってたんじゃないですか!?!?もうちょっとで恋に落ちゃったんじゃないですかぁ!!??」
アユミ:「ケンジ…私はずっと……」
GM:「アッハァ---!!!清々しいまでの無視!!蚊帳の外とはまさにこの事!!いいでしょういいでしょう、私はお2人が幸せならそれで満足ですとも!!!」
ケンジ:「次で最後だ、これをクリアしたら……」
アユミ:「うん、そうだね…頑張ろう!」
GM:「それでは!次が運命の最終問題!!!
いやぁ固い絆で結ばれた2人には些か退屈だったかもしれませんねぇ!!」
ケンジ:「なんのつもりか知らないが、約束はちゃんと守るんだろうな!!」
GM:「えぇえぇ、勿論ですとも!!それでは最終問題!!……と、言いたいところですが...最後は少し趣向を変えましょう」
アユミ:「どういう事…?」
GM:「最後はクイズではなく...チョイス、選択をして頂きます。」
ケンジ:「選択...?」
GM:「その通り...。分かりやすく言うなら
"命の選択"です。」
アユミ:「なに、どういうこと...?」
GM:「実は私ぃ、こう見えて用意周到でしてぇ〜。あなた方の身の回りの人間関係も、バ〜ッチリ調べ上げているんですよぉ!!」
ケンジ:「どういう事だ、なんの関係がある?」
GM:「いやね、ケンジさんとアユミさんの観察はこれにて終了。じゃあ次の観察対象は〜誰にしようかと思いましてぇ〜〜。」
ケンジ:「お、お前!!!」
GM:「はぁ〜〜素晴らしい!!いい顔をされる...!」
アユミ:「つまり、私達が助かったとしても、身の回りの人が犠牲になるってこと!?」
GM:「犠牲とは失敬な!貴重な経験をプレゼントするだけですよぉ!」
ケンジ:「ふざけるな!!!」
GM:「おお、怖い怖い:( ;´꒳`;):それでは、最後の選択の説明をします。」
アユミ:「待ってよ!私達やるなんて……」
0:【遮って】
GM:「まずは!①を選択した場合。あなた方2人を解放しましょう。その代わり、次の観察対象は身の回りの誰か、となります。」
ケンジ:「クソ野郎...!」
GM:「そして②を選択した場合。押した当人以外の全てを助けましょう。つまる所、自己犠牲ですね。己の身を犠牲に大切な者を守る...!なんと美しい……!!」
アユミ:「③はなんなの...?」
GM:「③を選択した場合は②の反対。ケンジさんならアユミさん、アユミさんならばケンジさんを犠牲にする事で、押した当人とそれ以外の全てを助けます。」
アユミ:「相手を犠牲にするってこと…」
GM:「そして、お2人が違う選択をした場合は…数字が大きい選択肢が優先されます。どうです?理解できましたかァ?」
ケンジ:「数字が大きい選択肢が優先……」
アユミ:「待ってよ!それじゃあ2人共②か③を選んだ時はどうなるの!?」
GM:「鋭いですねぇ!!!こういうのはケンジさんの役目だったのにぃ!!!この短時間で成長していらっしゃる!!!」
ケンジ:「いいから答えろ!どうなるんだ!?」
GM:「もちろん私はその「選択」を尊重します。②が揃った場合、あなた方2人には死んで頂きます。しかし!!あなた方の周りの人間には一切手は出しません……」
ケンジ:「③が揃ったら……?」
GM:「③が揃った場合、お互いがお互いの破滅を願っているとみなして…あなた方2人には死んで貰います。そして…次の観察対象もしっかりと選ばせて頂きます!醜い責任のなすりつけあいには相応の罰を!!まさにっ!因果応報ですねっ!!!」
ケンジ:「ふざけるな!!!どれを選んだって誰かが犠牲になるじゃないか!!!」
アユミ:「そうだよ!こんなのおかしいでしょ!!」
GM:「世界は……時に無情なのですよ……」
アユミ:「こんなの、選べないよ…どうしよう...」
GM:「ア、今回は特別に相談OKとします。何を選んで何を捨てるのか......じっくり話し合ってくださいねっ☆」
アユミ:「ケンジ……私、どうしたら...」
ケンジ:「...アユミ、俺を選んでくれないか?」
アユミ:「え...」
ケンジ:「俺たち2人でここから出よう。」
アユミ:「でも、それじゃ周りの誰かが...」
ケンジ:「いいんだ!アユミは俺にとってかけがえのない存在だから。後の事は、その時考えればいいさ」
アユミ:「ケンジ……」
ケンジ:「ここを出たら、改めてちゃんと気持ちを伝えるよ。」
アユミ:「……わかった」
ケンジ:(ごめんな、アユミ...。でも1人が犠牲になって済むなら、俺は......!)
GM:「どうやら……決まったようですね?」
アユミ:「ええ!」
ケンジ:「あぁ...」
GM:「それでは……ボタンを押してください。」
ケンジ:「…」
GM:「結果がでました。……アユミさんは、①。」
アユミ:「……」
GM:「そしてケンジさんは...……おや、違う回答を選んだようですね」
アユミ:「え!?どういう事ケンジ!?」
ケンジ:「このチョイスで1番犠牲が少なくなるのは、片方が①を選んで、もう片方がそれ以外選んだ時だ」
アユミ:「そ、そうだけど!でも、それじゃあ…!」
ケンジ:「俺には守らなきゃいけない、かけがえの無い存在がいる」
アユミ:「そんなっ……、いや…嫌だよ…!!」
ケンジ:「そのためなら何だって犠牲にできる」
アユミ:「私はっ…私はケンジと一緒じゃなきゃ……!」
ケンジ:「ごめんな、アユミ。これしか思いつかなかったんだ…」
アユミ:「でもっ!でもぉ!!それでケンジが犠牲になるなんてっ……!」
GM:「③」
0:【静寂】
アユミ:「...えっ……??」
GM:「ケンジさんが選んだのは、③です。」
アユミ:「えっ...③って...」
GM:「そう、相手以外の全て。つまり、アユミさんを犠牲に他の全てを助ける、ということですね。」
アユミ:「ケ、ケン…ジ...?嘘だよね...?間違えて押しちゃっただけだよね...?」
ケンジ:「ごめん......」
アユミ:「なんで...ねぇ、なんでなの!!?」
ケンジ:「俺...職場で付き合ってる子がいてさ、そろそろ結婚も考えてるんだ...。だから今死ぬ訳にはいかないし、周りの人間に何かあるのも嫌で...。」
アユミ:「私の事…何回も抱いたよね……?その度に好きだって…愛してるって言ってくれたよね……?」
ケンジ:「そ、それは……」
GM:「私からお答えしましょう。アユミさんはケンジさんの事を想っています。昔から、一途に。でも……ケンジさんはそうではなかった」
アユミ:「いや…やめて……」
GM:「ケンジさんのお相手はご実家がそれはそれは厳しくてですねぇ、大切な一人娘の婚前交渉なんて、絶対に許さなかった…」
アユミ:「もういい、やめて……!」
GM:「ケンジさんだって年頃の男性。ずぅーっと生殺しじゃあ、溜まるものもありますよねぇ?」
アユミ:「やめ、やめてよぉ……」
GM:「そしたらほら、ちょうどいい所にいるじゃないですか……、自分に好意を寄せてる女性が、すぐ隣に……」
アユミ:「もう……もう聞きたくない!!!」
GM:「アユミさん、あなたがケンジさんと繋がっていたのは…身体だけなんですよ。」
アユミ:「嘘だよね……嘘だって言ってよぉ……」
ケンジ:「ごめん……」
アユミ:「今までの言葉は...全部、嘘だったんだ...」
ケンジ:「……本当に、ごめん」
アユミ:「ひどい...こんなの……酷過ぎるよ…!!」
GM:「それではァ!!!選ばれなかった方には退場して頂きましょう!!!!」
ケンジ:(アユミの付けていたブレスレットのカウントダウンが0になり、仰々(ぎょうぎょう)しいアラームが鳴り響く。数秒後、アユミの様子が急変した)
アユミ:「あ、あぁぁ……!ぐっ...がっ、アッ...」
ケンジ:「ア、アユミ……」
アユミ:「ケ…ケン...ジ……く、くる、しい...よ……」
GM:「そして、選ばれた方には道を示しましょう」
ケンジ:(天井の一部が開き、どこからかハシゴが降りてきた。俺は苦しむアユミから逃げるように、ハシゴを駆け上がった)
GM:「おめでとうございます!!あなたは無事!この地獄から脱け出した!『アユミさんを犠牲にして』ですが。」
ケンジ:「はぁ...はぁっ...!黙れっ!!早くこのブレスレット外せよ!!時間がないだろ!!!」
GM:「おやおやこれは失敬!では出口の扉の横に箱が2つあります。ブレスレットをかざせば、対応した箱が開くのでそこから鍵をとってください。」
ケンジ:「出口の横の箱......これかっ!」
ケンジ:(ゲームマスターの言う通り、ブレスレットをかざすと箱が開き、古めかしい鍵が入っていた)
GM:「あとはその鍵でブレスレットを外すだけですねぇ!!よく似合っていたのに...残念です」
ケンジ:「よし、これで………(ガチャガチャ)………えっ……?」
GM:「おやぁ…?どうしましたかァ?」
ケンジ:「ふざけるな......……鍵が違うじゃねぇか!!どういう事だよ!!!騙したのか!!?」
GM:「あーーそれはつまり、『アユミさんが開けるはずだった箱』にあなた用の鍵が入っていた。という事でしょうねぇ!!」
ケンジ:「なっ...!そんなっ……!!」
GM:「私は最初に言いましたよォ??『2人で力を合わせてクリアできれば』とね」
ケンジ:「ふ、ふざけんなよ!!!!じゃあ、俺は何のために……」
GM:「時間です!!!!」
ケンジ:(先程も聞いた仰々(ぎょうぎょう)しいアラーム音が鳴り響く。小さな針が刺さった感覚がした数秒後、尋常ならざる痛みと不快感が体内を駆け巡った)
GM:「ゲームオーバー……ですね。」
ケンジ:「あっ、ぐっ...ぅぅあァァァァ...!!」
(熱い、痛い、苦しい、気持ち悪い、身体の中がグチャグチャにされて瞬く間に死が迫って来る)
GM:「あぁ...残念です。結局あなたは自分を選び、そしてあなたを信じた者を裏切った。」
ケンジ:「カッ…ハッ……ア…グッ……!」
GM:「とてもとても...本当に……」
アユミ:「残念だよ。ケンジ。」
ケンジ:「......え?」
アユミ:「分かってたけどね、こうなるって。もしかしたら、とは思ってたけど、やっぱりこうなっちゃったよね。」
ケンジ:「...ゥ...ァ……」
アユミ:「もう声もでないよね、可哀想。」
ケンジ:(最期に見たのは現実なのか、後ろめたさから見えた幻覚なのか...。その答えも分からないまま、俺の意識はドス黒い暗闇に呑み込まれた)
アユミ:「さようなら...ケンジ」
0:〜Fin〜