台本概要

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タイトル ~闘戦2~風闇雷炎
作者名 あまくケイ  (@amak0331)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 自分の名前がわからないサイボーグ少女は、ふと知らない場所で目覚める
他にも、彼女と同じように名前も記憶もない者たちも居て
それぞれ嚙み合わないコミュニケーションの末、戦うことになる

男2:女2
性別不問
30分程度の、夢オチバトルファンタジー
前作「闘戦~炎雷銃水~」を知らなくても問題ありません

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
83 知らない場所へやってきたサイボーグ少女 いたって冷静な性格 謎の場所に関して疑問を持ちつつも、戦いに巻き込まれる 風の刀を使って戦う
88 風と同じく、名前と記憶がない青年 ぶっきらぼうで口が悪い 赤い戦士に変身して戦う
77 クリーチャーを退治しにきたという青年 クールだが、サイボーグ少女の風に対して恨みがあるらしい(?) 闇の剣術を使って戦う
73 騒ぎを聞きつけてやってきた、帝国の騎士らしい 女王気質。力のないものや邪魔者を、弱者だったり蟻と呼ぶ 雷の剣で戦う
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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風:周囲の視界情報分析…… 風:白線と、砂の大地……あれは、外敵から守る網かしら……?それにしては不完全な造りね… 風:っ? データベースにアクセス不可? これでは、情報すら手に入らないわ…… 炎:何を一人でブツブツ喋ってんだ? 風:あなたは、誰? 炎:俺か? 俺……は、あれ? 誰だ? 風:記憶喪失……。私と同じようね 炎:あんたは? 風:風と名乗るわ 風:互いに呼びあう名前があるほうが、効率がいい 炎:なんで風だよ 風:私の、この武器の属性から引用したの。記憶が修復されないうちは、そう名乗るわ 炎:……機関にも、変わった奴がいるもんだ 風:何の話? 炎:あ? 違うのか? ……つか、なんだその……全身まるまる機械だよな……? 風:その通り、機械よ 炎:……マジの話してんのか? 風:ええ 炎:……どういうことだ……? 風:今は名前を聞いているわ。私は風と名乗った。そっちは? 炎:俺は……そうだな。お前のルールに従うなら、炎(ほのお)と名乗るか 風:自分のことを「炎」とはっきり言えるその様子、戦闘経験を詰んでいる人間のようね 炎:言い方が冷めてるなぁ。誰かと似てるっつーか…… 風:どこから来たの? 炎:こっちが知りたいぜ。気づいたらグラウンドだ……どこの学校だここ? 風:……学校? ここが? 炎:お前、まさか学校もわかんねえのか? 風:……この男の異常なリアクション。情報の誤差が大きすぎる……どういうこと? 闇:……クリーチャーが一体か 炎:ん? 闇:そこの男、邪魔だ 炎:知らない奴に向かって、いきなり「邪魔」扱いかよ 風:あなたこそ何者? 闇:闇(やみ)だ 炎:そりゃかっこいい名前だな 闇:自分の扱う技から、そう呼んでいるだけだ 風:同じ名称の付け方をするとは、思考回路が似通っているわね。あなたも記憶を 闇:……似通っているだと? 炎:ん? なんかえらい不機嫌だな? 闇:その口を閉じろ、機械人……! 闇:スティンガー! 風:除去コード10(いちぜろ) 風:鎌鼬(かまいたち)! 闇:くっ…! 炎:待ちな! 闇:どけ! 炎:突然どうしたよ?  闇:見ればわかるだろ 炎:お前にとって、こいつは敵ってことか? 闇:そうだ。機械人は、一つ残らず、壊すべきクリーチャーだ 炎:壊すべきクリーチャー、か 闇:一般人は失せろ 炎:悪いが、一般人じゃねえんだわ 闇:何? 風:炎? それは、どういう意味? 炎:こういう意味だよ 炎:魔血 転命(まけつ てんめい) 0:炎の姿が、人間から赤い戦士へと変わる 風:姿が……変わった? 炎:お前が風の事をクリーチャーっていうんなら、俺も同じだ 炎:かかってこいよ 闇:……人間になれるクリーチャーなど、聞いたことがない 闇:もしや…… 炎:心当たりがあるのか? 闇:…クリーチャーを束ねる存在に、言語能力があると、噂で聞いたことがあるが、お前の事か…… 闇:人間に化けた上位クリーチャーとは、タチが悪いな 風:その姿になったことで、更に警戒されたらしいわね 炎:どっちにしろだ。お前の味方になるつもりはねえよ、闇 闇:2対1……少々分が悪いが…… 雷:なんだ、この騒ぎは 風:っ? 雷:耳に障る喧噪(けんそう)だと思い、来てみれば、どういう状況だ 闇:何者だ? 炎:お望みの味方じゃねえのか? 闇:こんな奴は知り合いにいない 雷:こんな奴だと……? ただの騎士団兵が、随分な口の聞き方じゃないか。どこの所属だ? 闇:所属? 風:闇に聞いているということは……二人は、クリーチャー退治を目的とした……組織の人間。あの人のいうことが正しければ、そう推測できるわね 炎:二人そろって倒しに来たか。人気者だな、俺ら 闇:間違いもいいところだ。俺は帝国を辞めた身だぞ 雷:……なんだと? 闇:どこの誰だか知らないが、クリーチャー退治の邪魔をしないでもらえるか? 雷:貴様……口を開けば生意気なことを。私の名は……。私の……? 風:あの人も、自分の名前を忘れているようね 炎:……ほんとに皆、忘れてんのか? そんな馬鹿な話があるのかよ 風:馬鹿な話も、具体的なデータが集まれば、現実よ 雷:……貴様ら、名前は? 風:自分達の力の、属性からつけている。私は風(かぜ)よ 炎:炎(ほのお)だ 闇:俺は、闇(やみ)だ 雷:っ……!? 闇:どうした? 雷:……まさか、禁固(きんこ)を犯した騎士がいるとはな……!! 雷:よもや貴様が裏切り者か……! 闇:裏切り者……? それに、闇の術が、禁固(きんこ)? 雷:知らないなどと、たわごとを吐くなよ? 闇:いや、随分昔の話をしていると思ってな 雷:何…? 闇:あと、裏切るも何も、さっき辞めたと言ったはずだぞ 風:この反応……さっきの私達と同じ。ここにいる4人の情報は、思っている以上に、大きく食い違っている……? 炎:一応、あんたも名乗ったらどうだ? 名前も無いんじゃ、話しずらいだろ? 雷:「名前」が無い、だと? 生意気に、上から物をいうではないか、クリーチャー如きが 雷:その口ごと、叩き潰してくれよう 0:雷は、剣を高く天に挙げ、雷を落とし、高らかに名乗る 雷:なら、今の私の名は「雷(かみなり)」! 雷:我らの国こそ、強者の国! 雷:それを阻害する貴様らは、ただの蟻だ……! だから貴様らには、この私がじきじきに……そう……あれだ。あれを、するのだ 風:あれ?  雷:くそ……なぜこうも思い出せない! 風:……名前以外に、他の記憶の混乱もあると分析したわ 闇:……なら雷、俺と協力しろ。クリーチャー側につくメリットは何もない 雷:指図をするな、この裏切り者が……! 闇:裏切ったのは帝国じゃないか……! 炎:おい。喧嘩するならよそでやれ 雷:……ここまでシャクに障る騎士も珍しい。まるで誰かとよく似ている 闇:帝国の人間が、クリーチャーに味方するつもりか? 雷:いいや。蟻は二匹、まとめて消し去る 闇:せいぜい足を引っ張るなよ 雷:ふざけるな。そのあとに貴様も消し去ってくれる 闇:……面倒な奴だ 風:言葉の強さから、自分への信頼度、特に力の信頼度が強いと推測するわ 炎:これで2対2か。どうする? 風:私が、闇を相手をするわ。覚えのない恨みを、買われているようだから 炎:厄介だな。勝手に敵だと思われるなんざ 風:あなたはまだ、この状況に対して落ち着いている。あの二人よりも、コミュニケーションが取れると分析した。雷の対処をお願いできる? 炎:分かった 0: 闇:機械人……見れば見るほど、虫唾が走る 風:歯に力が入っている……手にも。怒りが溜まっていると容易に判断できるわね 0:風は細い刀身を闇に向ける 闇:お前達がいる限り……俺の曇り傷は晴れないんだよ 風:何かを失ったのね 闇:……はは。神経を逆撫でするのが得意らしいな……! 風:マイナスの感情で戦うエネルギー……力として利用するなら、有効な手段 風:でも、同時に自分の中の、もっと大事なものも見失う……ゆえん、私が導き出した最適解は、「比較」から抜け出すことだった 闇:説教を垂れるな 風:どのような事情があるのか知らないけど、無力化させてもらうわ 闇:やれるものならやってみろ、機械人 風:戦闘モード起動 風:戦闘バッテリー消費予測開始 風:風神刀(ふうじんとう)の風力エネルギー、チャージ 風:ターゲット、「闇」 風:これより攻撃を開始する! 0: 炎:さて、とっとと始めるか 雷:我々こそ強者。ゆえん、騎士だろうとクリーチャーだろうと、弱者にすぎん 炎:強者だから、どうすんだよ? 雷:国を守るためだ。何者にも脅かされないための強さこそ、絶対的に必要なものだ 炎:……成程。平和を守るためってか 雷:クリーチャーの分際で、我らに立てつきおって……。いかに愚かである行為であるか、分からせてやろう 炎:なら、先に焼かれてもらうぜ 雷:焼く、とな。人の平穏を脅かす化物が、随分と威勢をはる 炎:あんたのいう通り、俺は化物だ。そんな奴が、国を守るなんて御大層な事は出来ない。あんたが守っているものがどれだけでかいのか、想像がつかねえが……今は関係ねえ 炎:俺がやるのは、そのふざけた勘違いを焼き壊すことだ! 雷:たわごとを吐くな! 雷:雷帝術(らいていじゅつ) 第1番 雷:ボルテックブレイク! 炎:ぶちかましてくるじゃねえか! 雷:化物風情が、余裕を見せるじゃないか 炎:こっちの番だ! 炎:殴り燃えろ、破炎掌(はえんしょう)! 雷:っ!!! たかが拳だというのに……なんだ……このパワーは 炎:拳だけじゃねえぜ! 雷:何っ! 炎:周り焦がせ、炎旋蹴(えんせんしゅう)! 雷:今度は、回し蹴りか…! 炎:殴る蹴るは、俺の性にあってんだ 炎:次は倒すぜ、雷 雷:こざかしいぞ、クリーチャー如きが! 雷:雷帝術 第25番 雷回旋(らいかいせん)! 炎:ぐ……おっ!? 0:炎は雷の攻撃に飛ばされる 炎:なんだよ……人の事が言えねえくらい、馬鹿でかい攻撃じゃねえか……! 雷:一撃のみでひるんでくれるなよ、弱者? 炎:っ。嫌な予感がするぜ……! 雷:雷帝術 第45番 雷:天雷一閃(てんらいいっせん)! 0:雷が攻撃を繰り出すが、炎にあたっていないことに気づく 雷:……っ? 居ない……? いや。 炎:赤に焼かれろ…… 雷:……上か! 炎:赤魔 爆炎蹴(せきま ばくえんしゅう)! 雷:こざかしい真似を! 0: 風:除去コード 10(いちぜろ) 風:鎌鼬(かまいたち) 風:はぁぁッ! 闇:冥(めい)を歩け 闇:ハディスタ・ウォーク 風:っ……! 幻影……? 本体は……!? 闇:こっちだ 闇:二連抜突(にれんばっとつ)! 風:くっ……! 闇:こちらのペースに持ち込む……! 風:それは、こっちの台詞……! 風:除去コード 80(はちぜろ) 風:風霧ノ連撃(かぜきりのれんげき) 闇:っ………風を纏った、連続攻撃か……速い! 風:弾かれれば、闇ごと一刀両断よ 闇:自分が優勢だと思いあがるなよ……! 風:次の攻撃手段を予測…! っ!? 0:闇はすぐさま風の刀を大きく弾き飛ばし、離れたと同時に、構え、辺りが暗くなる 風:これは、何? 闇:黒殺流奥義(こくさつりゅうおうぎ) 闇:黒(くろ)に報(むく)いよ 闇:闇夜(やみよ)の魔を刻み、その名を、永久(えいきゅう)の冥王(めいおう)に返還せん! 闇:黒魔 燕活殺(こくま えんかっさつ)! 風:ぐっ……! 闇:……急所を外すか……なれば 風:っ、除去コード23(にーさん) 風:風壊波(ふうかいは)! 闇:っ……がぁっ……! 風の、衝撃波っ……くそ…! 風:闇の、あの技……まともに喰らっていたら……損傷度は、70%を超えていたかしらね…… 炎:そこまでだぜ 闇:っ! お前…… 炎:雷のやつには、少しひるんでもらったぜ 雷:貴様……ッ、まだ終わってはいないぞ! 風:炎、これ以上は 炎:分かってる 0:炎は、赤い戦士の状態から、人間の姿へ戻った 雷:なっ……!?  炎:そういや、あんたには見せてなかったな 雷:クリーチャーが、人間……? ……理解がおいつかん 風:自分達の知っている世界の常識と照合しようとすればするほど、誤差はどんどん大きくなるはずよ 雷:世界の常識だと? どういうことだ? 風:今一番近い答えとして……おそらく私たちは……別々の世界からきていると、推測するわ 風:ただ、肝心な名前や他の記憶を失っている 風:もし、世界の違う者同士が来ているとしたら……それぞれの事情で戦う意味はない 闇:……お前は、機械人ではないと? 風:自分を機械人と名乗った覚えはないわ 風:サイボーグと、誰かによく言われた記憶はあるけど 闇:…… 風:あなたも、うすうす勘づいていたでしょ? 闇:なぜわかる? 風:戦っている間の挙動がおかしかったからよ 風:最初に私に襲い掛かった一撃と、その後の剣撃……特に後半は、剣の勢いが低下していたわ 闇:……よく分析している 風:疑心を持っていなければ、ああいった戦い方にはならない 闇:……俺が知ってる機械人は、そんな事を言うような奴らではないな 0:闇は剣を収めた 闇:勝手に勘違いしていた……すまない 風:謝ることができる人は、強い人よ。本で読んだ記憶があるわ 闇:おまけに読書好きと 0:闇は小さく笑う 闇:それで、今、判明していることはあるのか? 風:……いえ。まだ何も情報が得られていないわ 炎:なら、学校ん中にでも入ってみるか? 0:炎は親指を学校にむけた 雷:クリーチャーが支部の中に入るなど、許されると思うか 雷:そこの裏切り者も、同罪だぞ 炎:まだそんなこと言ってんのか  風:ずっとこの食い違いが続いている事に気づかない? 雷 雷:……本当に、私の知っている支部ではないと? 炎:さっきからそう言ってんじゃねえか 雷:黙れ。……なら、ここは何なのだ? 0:キーンコーンカーンコーン 炎:チャイムだけは鳴るのな 雷:貴様は、ここに詳しいのか? 炎:学校だ。……それくらいしか分からねえけど 雷:学び舎ということか?  炎:いや、学び舎って…… 雷:あのような建物が、か。信じられんな 炎:学校って言葉は一応、通じてるみたいだな 雷:……しかし、ますます訳が分からない。大体、クリーチャーだろうが、貴様 炎:さっきの風(かぜ)の話、聞いてなかったのかよ? 雷:……各々の常識が、通用しない世界……だったな 闇:ここがどういう場所かわかったところで、どうするんだ?  風:今の音は、あの建物の屋上に備え付けてある機械からきこえている。もし、ここを管理している人間が居るならば、何か情報を得られるかもしれない。それこそ、ここから出られる手段などね 炎:じゃ、さっそく入ってみるか 闇:そうするしかないなら、賛成する 風:雷は? 雷:別に。私は構わん 風:初めて意見が一致したわね、雷と、闇と 0:そのあと、風たちは、学校の中を調べて、屋上へと出る 闇:中を調べたはいいものの 炎:誰もいないって、マジかよ 風:管理人がいると予測はしたのだけど 闇:……しかし 風:どうしたの? 闇:いや、見慣れないものばかりだったから……落ち着かないな 風:歩いている間、辺りをよく見回していたよね、闇は 闇:子供のようだったか? 風:いいえ、私もそうだったから、分かるわ 闇:何? 風:造られて間もない頃、私にとっては、命令ばかりが日常だったけど、人間の部分があるからか……気になるものには、無意識に目を奪われていた。それが何だったのか、詳しい記憶は、ないけれどね 闇:……機械なのにか? 風:機械だから、機械じゃないものを知りたいんでしょう、きっと。その頃の私を、今の私が分析するなら、こういう答えになるわ 闇:……そうか 風:ただ、こんな建物は、おそらく私の世界には……なかったと推測するけど 闇:同感だ。帝国の資料でも……いや、資料すら当てにならないな。仮に覚えていても、何の役にも立たない。知らなすぎる、ここは 炎:本当に見たことがないんだな……お前ら 雷:そういう貴様こそ、何食わぬ顔で慣れた様子だったな、クリーチャー 雷:……すまぬ、違うのであったな 炎:構わねえよ 雷:ここでは私の常識を、持ち込んではいけない 炎:まぁ無理もねえよ。俺の世界でも、あんたと同じ反応する連中ばっかりだからな 雷:一体なんなのだ、貴様は 炎:別に何でもいいぜ、人間でも、化物でも 雷:自分がどう呼ばれるかに、疑問を持たぬのか 炎:周りにどう呼ばれるか、俺が決める権利はねえってことだ 雷:貴様自身が決めてもいいのではないか? 炎:あ? 雷:貴様がクリーチャーであれ、人間であれ、どちらにしろ、強者に変わりはない 雷:あれは強者の戦い方だ。この私を、少しでもひるませたわけだからな。あと、仮に貴様が我らの国に居たとしても……自ら進んで、住民を脅かす存在には見えぬ 雷:そのような強者には、権利が与えられるべきだ 炎:……そりゃどうも 風:お話し中、失礼するわ 風:どう、炎? この場所を見て何か思い出した? 炎:いや、全然…… 風:おそらく、炎が一番見慣れているはず。とすれば、炎の記憶を基準にして考えると、この場所について推察ができるのだけど 炎:ただな……中にも外にも人がいる気配がねえ……何とも言えないな、これじゃ 闇:なら、建物の外に出るか? 雷:外に出ても、住民一人見つからなければどうする? いくら行動したところで無意味だ 闇:ここでぼさっとしていても、ラチがあかない 雷:面倒なものだな 炎:なんだ、探すのがダルいってか? 雷:いや、弱者にそのような言葉は無い 炎:そうかよ 風:誰もいない無人の学校……。そもそもこの世界に、人は住んでるの? 雷:気配を微塵もかんじぬ 闇:人の気配も、クリーチャーの気配も、何もないな…… 雷:クリーチャーだけ姿をあらわすのなら、ここは人間が喰われた世界ということになるな 炎:ただのホラーじゃねえか 雷:しかし、どんな存在だろうと、私の雷で叩き潰してくれる 風:戦闘欲が旺盛ね 雷:このまま無様に探すよりはマシだ 闇:そんなに退屈か? 雷:黙れ、裏切り者が 風:雷 雷:……すまない 闇:気にするな。俺も人の事はいえない 雷:お前は、帝国から出たと言っていたな 闇:……俺が知っている帝国は、信用できない 闇:思い出せないが、俺の過去が……俺の傷が、許すことはできない 雷:悪いが、私自身は、自分の帝国に誇りを持っている 闇:…… 雷:ただ、貴様自身が発するその強さは、過去から来ているものなのだろう 雷:だとすれば、お前のことを一概に否定はできない。そもそも別の国であるわけだからな 雷:風と戦っている時を、片目に見ていたが……いい腕前だ 闇:慰めか? 雷:強者からの言葉だ。ありがたく受け取れ 闇:ふっ、そうするよ 炎:さっきまでの退屈な顔はどこにいったんだか 雷:いいや! そんな顔などしておらぬ。強者は、常に退屈を凌駕する 風:今の発言は、「退屈だ」と心中で呟いていると分析したわ 炎:要は図星か 雷:貴様ら……。ここから出る前に、一撃喰らわせてやってもいいのだぞ? 風:この状況、おおよそ70%以上は打ち解けていると分析するわ 炎:どんな分析だよ…… 0:そこで、地震が起こる 炎:っ、地震か!? 風:待って……っ、床に、ひびが……? この建物自体が損傷を起こしている? 闇:このままだと、俺達も巻き込まれるぞ! 炎:どうなってんだ全く! 雷:ここから出るしかあるまい! 風:入口まで走るわ! 0:4人は屋上から校内に入り、一気に、学校の玄関まで走り抜ける 炎:玄関まで着いたぞ! 闇:っ、あれは!? 風:……瓦礫が、大量に……! 入口がふさがれてる!? 炎:なら……魔血転命(まけつてんめい)! 0:炎はすかさず、赤い戦士へ姿を変える 炎:意地でも、どかしてやる! 雷:当たり前だ! 0:闇は剣を構え、瓦礫に向かって黒い波を放つ 闇:黒へと引き逝(ゆ)け 闇:ブラック・ウェイブ! 闇:っ……!? 駄目か……! 炎:頑丈だな……俺も闇に続くぜ! 0:炎は燃える拳で瓦礫を壊そうとする 炎:殴り燃えろ! 破炎掌(はえんしょう)! 炎:…まだ壊れねえか! 風:除去コード 70(ななぜろ) 風:風車(かざぐるま)! 0:風が空中からの斬り下ろし攻撃を行い、瓦礫の間に外の光が見えはじめる 風:瓦礫の間に光が! あと少しよ! 雷:雷帝術 第45番 雷:天雷一閃(てんらいいっせん)! 0:雷が、電気を纏った突き攻撃を放つと、入口の瓦礫が全て崩れ去った 雷:ふん、話にならん 闇:よし、これで外に……っ!? 風:外の景色が……どんどん……湾曲していく? 炎:おいおい、異次元空間ってか!?  風:機械でも、予測がつかない展開ね……! 雷:どうする!? このまま引くわけにもいかんぞ…! 闇:進むしか、選択肢はない! 炎:ああ、仲良く下敷きはごめんだぜ! 風:満場一致。外に出るわ! 雷:行くぞ! 0:崩れ逝く音の中、4人は学校の玄関から、外に出る 炎:っ、うおおおっ!? 吸い込まれる!? 闇:体が……動かないっ!? 雷:ッ……たかが、この程度のことでっ! 風:予測不能……意識が……消えていく…! 0: 風:っ……! 風:……夢、かしら 風:駄目ね、もう思い出せない…… 0:風はため息をつく 風:……機械でも、夢を見るのね

風:周囲の視界情報分析…… 風:白線と、砂の大地……あれは、外敵から守る網かしら……?それにしては不完全な造りね… 風:っ? データベースにアクセス不可? これでは、情報すら手に入らないわ…… 炎:何を一人でブツブツ喋ってんだ? 風:あなたは、誰? 炎:俺か? 俺……は、あれ? 誰だ? 風:記憶喪失……。私と同じようね 炎:あんたは? 風:風と名乗るわ 風:互いに呼びあう名前があるほうが、効率がいい 炎:なんで風だよ 風:私の、この武器の属性から引用したの。記憶が修復されないうちは、そう名乗るわ 炎:……機関にも、変わった奴がいるもんだ 風:何の話? 炎:あ? 違うのか? ……つか、なんだその……全身まるまる機械だよな……? 風:その通り、機械よ 炎:……マジの話してんのか? 風:ええ 炎:……どういうことだ……? 風:今は名前を聞いているわ。私は風と名乗った。そっちは? 炎:俺は……そうだな。お前のルールに従うなら、炎(ほのお)と名乗るか 風:自分のことを「炎」とはっきり言えるその様子、戦闘経験を詰んでいる人間のようね 炎:言い方が冷めてるなぁ。誰かと似てるっつーか…… 風:どこから来たの? 炎:こっちが知りたいぜ。気づいたらグラウンドだ……どこの学校だここ? 風:……学校? ここが? 炎:お前、まさか学校もわかんねえのか? 風:……この男の異常なリアクション。情報の誤差が大きすぎる……どういうこと? 闇:……クリーチャーが一体か 炎:ん? 闇:そこの男、邪魔だ 炎:知らない奴に向かって、いきなり「邪魔」扱いかよ 風:あなたこそ何者? 闇:闇(やみ)だ 炎:そりゃかっこいい名前だな 闇:自分の扱う技から、そう呼んでいるだけだ 風:同じ名称の付け方をするとは、思考回路が似通っているわね。あなたも記憶を 闇:……似通っているだと? 炎:ん? なんかえらい不機嫌だな? 闇:その口を閉じろ、機械人……! 闇:スティンガー! 風:除去コード10(いちぜろ) 風:鎌鼬(かまいたち)! 闇:くっ…! 炎:待ちな! 闇:どけ! 炎:突然どうしたよ?  闇:見ればわかるだろ 炎:お前にとって、こいつは敵ってことか? 闇:そうだ。機械人は、一つ残らず、壊すべきクリーチャーだ 炎:壊すべきクリーチャー、か 闇:一般人は失せろ 炎:悪いが、一般人じゃねえんだわ 闇:何? 風:炎? それは、どういう意味? 炎:こういう意味だよ 炎:魔血 転命(まけつ てんめい) 0:炎の姿が、人間から赤い戦士へと変わる 風:姿が……変わった? 炎:お前が風の事をクリーチャーっていうんなら、俺も同じだ 炎:かかってこいよ 闇:……人間になれるクリーチャーなど、聞いたことがない 闇:もしや…… 炎:心当たりがあるのか? 闇:…クリーチャーを束ねる存在に、言語能力があると、噂で聞いたことがあるが、お前の事か…… 闇:人間に化けた上位クリーチャーとは、タチが悪いな 風:その姿になったことで、更に警戒されたらしいわね 炎:どっちにしろだ。お前の味方になるつもりはねえよ、闇 闇:2対1……少々分が悪いが…… 雷:なんだ、この騒ぎは 風:っ? 雷:耳に障る喧噪(けんそう)だと思い、来てみれば、どういう状況だ 闇:何者だ? 炎:お望みの味方じゃねえのか? 闇:こんな奴は知り合いにいない 雷:こんな奴だと……? ただの騎士団兵が、随分な口の聞き方じゃないか。どこの所属だ? 闇:所属? 風:闇に聞いているということは……二人は、クリーチャー退治を目的とした……組織の人間。あの人のいうことが正しければ、そう推測できるわね 炎:二人そろって倒しに来たか。人気者だな、俺ら 闇:間違いもいいところだ。俺は帝国を辞めた身だぞ 雷:……なんだと? 闇:どこの誰だか知らないが、クリーチャー退治の邪魔をしないでもらえるか? 雷:貴様……口を開けば生意気なことを。私の名は……。私の……? 風:あの人も、自分の名前を忘れているようね 炎:……ほんとに皆、忘れてんのか? そんな馬鹿な話があるのかよ 風:馬鹿な話も、具体的なデータが集まれば、現実よ 雷:……貴様ら、名前は? 風:自分達の力の、属性からつけている。私は風(かぜ)よ 炎:炎(ほのお)だ 闇:俺は、闇(やみ)だ 雷:っ……!? 闇:どうした? 雷:……まさか、禁固(きんこ)を犯した騎士がいるとはな……!! 雷:よもや貴様が裏切り者か……! 闇:裏切り者……? それに、闇の術が、禁固(きんこ)? 雷:知らないなどと、たわごとを吐くなよ? 闇:いや、随分昔の話をしていると思ってな 雷:何…? 闇:あと、裏切るも何も、さっき辞めたと言ったはずだぞ 風:この反応……さっきの私達と同じ。ここにいる4人の情報は、思っている以上に、大きく食い違っている……? 炎:一応、あんたも名乗ったらどうだ? 名前も無いんじゃ、話しずらいだろ? 雷:「名前」が無い、だと? 生意気に、上から物をいうではないか、クリーチャー如きが 雷:その口ごと、叩き潰してくれよう 0:雷は、剣を高く天に挙げ、雷を落とし、高らかに名乗る 雷:なら、今の私の名は「雷(かみなり)」! 雷:我らの国こそ、強者の国! 雷:それを阻害する貴様らは、ただの蟻だ……! だから貴様らには、この私がじきじきに……そう……あれだ。あれを、するのだ 風:あれ?  雷:くそ……なぜこうも思い出せない! 風:……名前以外に、他の記憶の混乱もあると分析したわ 闇:……なら雷、俺と協力しろ。クリーチャー側につくメリットは何もない 雷:指図をするな、この裏切り者が……! 闇:裏切ったのは帝国じゃないか……! 炎:おい。喧嘩するならよそでやれ 雷:……ここまでシャクに障る騎士も珍しい。まるで誰かとよく似ている 闇:帝国の人間が、クリーチャーに味方するつもりか? 雷:いいや。蟻は二匹、まとめて消し去る 闇:せいぜい足を引っ張るなよ 雷:ふざけるな。そのあとに貴様も消し去ってくれる 闇:……面倒な奴だ 風:言葉の強さから、自分への信頼度、特に力の信頼度が強いと推測するわ 炎:これで2対2か。どうする? 風:私が、闇を相手をするわ。覚えのない恨みを、買われているようだから 炎:厄介だな。勝手に敵だと思われるなんざ 風:あなたはまだ、この状況に対して落ち着いている。あの二人よりも、コミュニケーションが取れると分析した。雷の対処をお願いできる? 炎:分かった 0: 闇:機械人……見れば見るほど、虫唾が走る 風:歯に力が入っている……手にも。怒りが溜まっていると容易に判断できるわね 0:風は細い刀身を闇に向ける 闇:お前達がいる限り……俺の曇り傷は晴れないんだよ 風:何かを失ったのね 闇:……はは。神経を逆撫でするのが得意らしいな……! 風:マイナスの感情で戦うエネルギー……力として利用するなら、有効な手段 風:でも、同時に自分の中の、もっと大事なものも見失う……ゆえん、私が導き出した最適解は、「比較」から抜け出すことだった 闇:説教を垂れるな 風:どのような事情があるのか知らないけど、無力化させてもらうわ 闇:やれるものならやってみろ、機械人 風:戦闘モード起動 風:戦闘バッテリー消費予測開始 風:風神刀(ふうじんとう)の風力エネルギー、チャージ 風:ターゲット、「闇」 風:これより攻撃を開始する! 0: 炎:さて、とっとと始めるか 雷:我々こそ強者。ゆえん、騎士だろうとクリーチャーだろうと、弱者にすぎん 炎:強者だから、どうすんだよ? 雷:国を守るためだ。何者にも脅かされないための強さこそ、絶対的に必要なものだ 炎:……成程。平和を守るためってか 雷:クリーチャーの分際で、我らに立てつきおって……。いかに愚かである行為であるか、分からせてやろう 炎:なら、先に焼かれてもらうぜ 雷:焼く、とな。人の平穏を脅かす化物が、随分と威勢をはる 炎:あんたのいう通り、俺は化物だ。そんな奴が、国を守るなんて御大層な事は出来ない。あんたが守っているものがどれだけでかいのか、想像がつかねえが……今は関係ねえ 炎:俺がやるのは、そのふざけた勘違いを焼き壊すことだ! 雷:たわごとを吐くな! 雷:雷帝術(らいていじゅつ) 第1番 雷:ボルテックブレイク! 炎:ぶちかましてくるじゃねえか! 雷:化物風情が、余裕を見せるじゃないか 炎:こっちの番だ! 炎:殴り燃えろ、破炎掌(はえんしょう)! 雷:っ!!! たかが拳だというのに……なんだ……このパワーは 炎:拳だけじゃねえぜ! 雷:何っ! 炎:周り焦がせ、炎旋蹴(えんせんしゅう)! 雷:今度は、回し蹴りか…! 炎:殴る蹴るは、俺の性にあってんだ 炎:次は倒すぜ、雷 雷:こざかしいぞ、クリーチャー如きが! 雷:雷帝術 第25番 雷回旋(らいかいせん)! 炎:ぐ……おっ!? 0:炎は雷の攻撃に飛ばされる 炎:なんだよ……人の事が言えねえくらい、馬鹿でかい攻撃じゃねえか……! 雷:一撃のみでひるんでくれるなよ、弱者? 炎:っ。嫌な予感がするぜ……! 雷:雷帝術 第45番 雷:天雷一閃(てんらいいっせん)! 0:雷が攻撃を繰り出すが、炎にあたっていないことに気づく 雷:……っ? 居ない……? いや。 炎:赤に焼かれろ…… 雷:……上か! 炎:赤魔 爆炎蹴(せきま ばくえんしゅう)! 雷:こざかしい真似を! 0: 風:除去コード 10(いちぜろ) 風:鎌鼬(かまいたち) 風:はぁぁッ! 闇:冥(めい)を歩け 闇:ハディスタ・ウォーク 風:っ……! 幻影……? 本体は……!? 闇:こっちだ 闇:二連抜突(にれんばっとつ)! 風:くっ……! 闇:こちらのペースに持ち込む……! 風:それは、こっちの台詞……! 風:除去コード 80(はちぜろ) 風:風霧ノ連撃(かぜきりのれんげき) 闇:っ………風を纏った、連続攻撃か……速い! 風:弾かれれば、闇ごと一刀両断よ 闇:自分が優勢だと思いあがるなよ……! 風:次の攻撃手段を予測…! っ!? 0:闇はすぐさま風の刀を大きく弾き飛ばし、離れたと同時に、構え、辺りが暗くなる 風:これは、何? 闇:黒殺流奥義(こくさつりゅうおうぎ) 闇:黒(くろ)に報(むく)いよ 闇:闇夜(やみよ)の魔を刻み、その名を、永久(えいきゅう)の冥王(めいおう)に返還せん! 闇:黒魔 燕活殺(こくま えんかっさつ)! 風:ぐっ……! 闇:……急所を外すか……なれば 風:っ、除去コード23(にーさん) 風:風壊波(ふうかいは)! 闇:っ……がぁっ……! 風の、衝撃波っ……くそ…! 風:闇の、あの技……まともに喰らっていたら……損傷度は、70%を超えていたかしらね…… 炎:そこまでだぜ 闇:っ! お前…… 炎:雷のやつには、少しひるんでもらったぜ 雷:貴様……ッ、まだ終わってはいないぞ! 風:炎、これ以上は 炎:分かってる 0:炎は、赤い戦士の状態から、人間の姿へ戻った 雷:なっ……!?  炎:そういや、あんたには見せてなかったな 雷:クリーチャーが、人間……? ……理解がおいつかん 風:自分達の知っている世界の常識と照合しようとすればするほど、誤差はどんどん大きくなるはずよ 雷:世界の常識だと? どういうことだ? 風:今一番近い答えとして……おそらく私たちは……別々の世界からきていると、推測するわ 風:ただ、肝心な名前や他の記憶を失っている 風:もし、世界の違う者同士が来ているとしたら……それぞれの事情で戦う意味はない 闇:……お前は、機械人ではないと? 風:自分を機械人と名乗った覚えはないわ 風:サイボーグと、誰かによく言われた記憶はあるけど 闇:…… 風:あなたも、うすうす勘づいていたでしょ? 闇:なぜわかる? 風:戦っている間の挙動がおかしかったからよ 風:最初に私に襲い掛かった一撃と、その後の剣撃……特に後半は、剣の勢いが低下していたわ 闇:……よく分析している 風:疑心を持っていなければ、ああいった戦い方にはならない 闇:……俺が知ってる機械人は、そんな事を言うような奴らではないな 0:闇は剣を収めた 闇:勝手に勘違いしていた……すまない 風:謝ることができる人は、強い人よ。本で読んだ記憶があるわ 闇:おまけに読書好きと 0:闇は小さく笑う 闇:それで、今、判明していることはあるのか? 風:……いえ。まだ何も情報が得られていないわ 炎:なら、学校ん中にでも入ってみるか? 0:炎は親指を学校にむけた 雷:クリーチャーが支部の中に入るなど、許されると思うか 雷:そこの裏切り者も、同罪だぞ 炎:まだそんなこと言ってんのか  風:ずっとこの食い違いが続いている事に気づかない? 雷 雷:……本当に、私の知っている支部ではないと? 炎:さっきからそう言ってんじゃねえか 雷:黙れ。……なら、ここは何なのだ? 0:キーンコーンカーンコーン 炎:チャイムだけは鳴るのな 雷:貴様は、ここに詳しいのか? 炎:学校だ。……それくらいしか分からねえけど 雷:学び舎ということか?  炎:いや、学び舎って…… 雷:あのような建物が、か。信じられんな 炎:学校って言葉は一応、通じてるみたいだな 雷:……しかし、ますます訳が分からない。大体、クリーチャーだろうが、貴様 炎:さっきの風(かぜ)の話、聞いてなかったのかよ? 雷:……各々の常識が、通用しない世界……だったな 闇:ここがどういう場所かわかったところで、どうするんだ?  風:今の音は、あの建物の屋上に備え付けてある機械からきこえている。もし、ここを管理している人間が居るならば、何か情報を得られるかもしれない。それこそ、ここから出られる手段などね 炎:じゃ、さっそく入ってみるか 闇:そうするしかないなら、賛成する 風:雷は? 雷:別に。私は構わん 風:初めて意見が一致したわね、雷と、闇と 0:そのあと、風たちは、学校の中を調べて、屋上へと出る 闇:中を調べたはいいものの 炎:誰もいないって、マジかよ 風:管理人がいると予測はしたのだけど 闇:……しかし 風:どうしたの? 闇:いや、見慣れないものばかりだったから……落ち着かないな 風:歩いている間、辺りをよく見回していたよね、闇は 闇:子供のようだったか? 風:いいえ、私もそうだったから、分かるわ 闇:何? 風:造られて間もない頃、私にとっては、命令ばかりが日常だったけど、人間の部分があるからか……気になるものには、無意識に目を奪われていた。それが何だったのか、詳しい記憶は、ないけれどね 闇:……機械なのにか? 風:機械だから、機械じゃないものを知りたいんでしょう、きっと。その頃の私を、今の私が分析するなら、こういう答えになるわ 闇:……そうか 風:ただ、こんな建物は、おそらく私の世界には……なかったと推測するけど 闇:同感だ。帝国の資料でも……いや、資料すら当てにならないな。仮に覚えていても、何の役にも立たない。知らなすぎる、ここは 炎:本当に見たことがないんだな……お前ら 雷:そういう貴様こそ、何食わぬ顔で慣れた様子だったな、クリーチャー 雷:……すまぬ、違うのであったな 炎:構わねえよ 雷:ここでは私の常識を、持ち込んではいけない 炎:まぁ無理もねえよ。俺の世界でも、あんたと同じ反応する連中ばっかりだからな 雷:一体なんなのだ、貴様は 炎:別に何でもいいぜ、人間でも、化物でも 雷:自分がどう呼ばれるかに、疑問を持たぬのか 炎:周りにどう呼ばれるか、俺が決める権利はねえってことだ 雷:貴様自身が決めてもいいのではないか? 炎:あ? 雷:貴様がクリーチャーであれ、人間であれ、どちらにしろ、強者に変わりはない 雷:あれは強者の戦い方だ。この私を、少しでもひるませたわけだからな。あと、仮に貴様が我らの国に居たとしても……自ら進んで、住民を脅かす存在には見えぬ 雷:そのような強者には、権利が与えられるべきだ 炎:……そりゃどうも 風:お話し中、失礼するわ 風:どう、炎? この場所を見て何か思い出した? 炎:いや、全然…… 風:おそらく、炎が一番見慣れているはず。とすれば、炎の記憶を基準にして考えると、この場所について推察ができるのだけど 炎:ただな……中にも外にも人がいる気配がねえ……何とも言えないな、これじゃ 闇:なら、建物の外に出るか? 雷:外に出ても、住民一人見つからなければどうする? いくら行動したところで無意味だ 闇:ここでぼさっとしていても、ラチがあかない 雷:面倒なものだな 炎:なんだ、探すのがダルいってか? 雷:いや、弱者にそのような言葉は無い 炎:そうかよ 風:誰もいない無人の学校……。そもそもこの世界に、人は住んでるの? 雷:気配を微塵もかんじぬ 闇:人の気配も、クリーチャーの気配も、何もないな…… 雷:クリーチャーだけ姿をあらわすのなら、ここは人間が喰われた世界ということになるな 炎:ただのホラーじゃねえか 雷:しかし、どんな存在だろうと、私の雷で叩き潰してくれる 風:戦闘欲が旺盛ね 雷:このまま無様に探すよりはマシだ 闇:そんなに退屈か? 雷:黙れ、裏切り者が 風:雷 雷:……すまない 闇:気にするな。俺も人の事はいえない 雷:お前は、帝国から出たと言っていたな 闇:……俺が知っている帝国は、信用できない 闇:思い出せないが、俺の過去が……俺の傷が、許すことはできない 雷:悪いが、私自身は、自分の帝国に誇りを持っている 闇:…… 雷:ただ、貴様自身が発するその強さは、過去から来ているものなのだろう 雷:だとすれば、お前のことを一概に否定はできない。そもそも別の国であるわけだからな 雷:風と戦っている時を、片目に見ていたが……いい腕前だ 闇:慰めか? 雷:強者からの言葉だ。ありがたく受け取れ 闇:ふっ、そうするよ 炎:さっきまでの退屈な顔はどこにいったんだか 雷:いいや! そんな顔などしておらぬ。強者は、常に退屈を凌駕する 風:今の発言は、「退屈だ」と心中で呟いていると分析したわ 炎:要は図星か 雷:貴様ら……。ここから出る前に、一撃喰らわせてやってもいいのだぞ? 風:この状況、おおよそ70%以上は打ち解けていると分析するわ 炎:どんな分析だよ…… 0:そこで、地震が起こる 炎:っ、地震か!? 風:待って……っ、床に、ひびが……? この建物自体が損傷を起こしている? 闇:このままだと、俺達も巻き込まれるぞ! 炎:どうなってんだ全く! 雷:ここから出るしかあるまい! 風:入口まで走るわ! 0:4人は屋上から校内に入り、一気に、学校の玄関まで走り抜ける 炎:玄関まで着いたぞ! 闇:っ、あれは!? 風:……瓦礫が、大量に……! 入口がふさがれてる!? 炎:なら……魔血転命(まけつてんめい)! 0:炎はすかさず、赤い戦士へ姿を変える 炎:意地でも、どかしてやる! 雷:当たり前だ! 0:闇は剣を構え、瓦礫に向かって黒い波を放つ 闇:黒へと引き逝(ゆ)け 闇:ブラック・ウェイブ! 闇:っ……!? 駄目か……! 炎:頑丈だな……俺も闇に続くぜ! 0:炎は燃える拳で瓦礫を壊そうとする 炎:殴り燃えろ! 破炎掌(はえんしょう)! 炎:…まだ壊れねえか! 風:除去コード 70(ななぜろ) 風:風車(かざぐるま)! 0:風が空中からの斬り下ろし攻撃を行い、瓦礫の間に外の光が見えはじめる 風:瓦礫の間に光が! あと少しよ! 雷:雷帝術 第45番 雷:天雷一閃(てんらいいっせん)! 0:雷が、電気を纏った突き攻撃を放つと、入口の瓦礫が全て崩れ去った 雷:ふん、話にならん 闇:よし、これで外に……っ!? 風:外の景色が……どんどん……湾曲していく? 炎:おいおい、異次元空間ってか!?  風:機械でも、予測がつかない展開ね……! 雷:どうする!? このまま引くわけにもいかんぞ…! 闇:進むしか、選択肢はない! 炎:ああ、仲良く下敷きはごめんだぜ! 風:満場一致。外に出るわ! 雷:行くぞ! 0:崩れ逝く音の中、4人は学校の玄関から、外に出る 炎:っ、うおおおっ!? 吸い込まれる!? 闇:体が……動かないっ!? 雷:ッ……たかが、この程度のことでっ! 風:予測不能……意識が……消えていく…! 0: 風:っ……! 風:……夢、かしら 風:駄目ね、もう思い出せない…… 0:風はため息をつく 風:……機械でも、夢を見るのね