台本概要
310 views
タイトル | 友達の結婚式の新郎が元カレなんですが!? |
---|---|
作者名 | しーたけ (@shiitake8888888) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(女2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【上演許可】無料配信での利用(投げ銭は有料に含みません)に関しては連絡なしで使って頂いて構いません。 よければDMなどでお知らせ頂くと作者の励みになります。 【アドリブ】過度なアドリブ、改変はNGです。語尾などを少し変える等は各自の判断にお任せします。 【性別変更】× 【上演時間】約14分 【男女比】♀2(変更不可)演者の方の性別は問いません。 310 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
仁美 | 女 | 85 | 新婦の友人で新郎の元カノ |
沙織 | 女 | 88 | 新婦の友人で新郎の元カノ |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:友達の結婚式の新郎が元カレなんですが!?
:
仁美:ねぇ、あんたいくら包んだ?
沙織:え?何が?
仁美:だからご祝儀、いくら包んだの?
沙織:3万だけど……今それ聞く?
仁美:え?なんで?
沙織:いやー、披露宴の席に着いた瞬間に久々に会った友人にご祝儀の金額聞く??
仁美:だって、あんたがいくら包んだのか気になったから。
沙織:ふーん。
仁美:……。
沙織:で?
仁美:え?
沙織:いや、あたしが言ったんだからあんたも言いなさいよ。いくら包んだのか。
仁美:あー、あたしも3万。やっぱり相場だよねー。正直この出費は色々痛いなーって。
沙織:だよねー。やっぱり時期的に重なったりするからさ、あたし今年になってもうご祝儀包むの3件目。
仁美:きついねー。
沙織:正直ね、2万にしたいなーって思ったのよ。
仁美:あー、五千円二枚入れてね。
沙織:そうそう。でも一応はホテルでやるんだし、3にすべきなのかなーって思ってねー。
仁美:まぁ、私らの歳で2はちょっとねー。
沙織:でしょー?でも、パーティードレスだって買わなきゃいけないし、二次会だって会費取るでしょ?実質の出費はもっと要ってるじゃない!それが重なってきたらそりゃー、ちょっとそんな気持ちにも、なんのよ!
仁美:確かにねー、ドレスとか毎度毎度本当に面倒!
沙織:ホントっ!……てかさ、あんたのそのドレス、去年の絢子(あやこ)の結婚式の時のドレスと一緒にじゃない?
仁美:え??
沙織:いや一緒でしょ?その紫のレースにゴールドの切り替え、私見覚えあるもん。
仁美:あれ?あたしこれ着てた?絢子の時に??
沙織:そうだよ!……ちょっと待ってね……(スマホを操作する)ほら!去年の写真。
仁美:ホントだ!これ、絢子の時に着てたのかー、職場の後輩の時だと思ってたからいけると思ってたのにー。
沙織:www確認しなよー、写真とか残ってるでしょー?
仁美:いやー、今日なんかそこまで気合い入ってなくてさー。
沙織:わかるー、それなのに友人代表のスピーチ私達でしょー?なんでー??って感じにならなかった?
仁美:なったなった。他にいないの?って
:
沙織:あっ、こっちに人来た。
仁美:新郎側の友人だっけ?
沙織:そうそう。
仁美:あ、どうも。あー、卓也さんの友人の……マサキさんと、ユウジさん。あ、あたし達新婦のユミの短大からの友人で私が仁美で、こっちが沙織です。
沙織:宜しくお願いします。
:
仁美:ねぇ、沙織、式が始まる前にお化粧直して来ない?
沙織:え?私は別にいいよ。
仁美:ほら、スピーチの事とかちょっと話たいから。
沙織:え?あぁー、それなら仕方ないわね。
仁美:ちょっと失礼しますね。
:
沙織:ねぇ、スピーチの事って何を話すの?
仁美:え?
沙織:いや、スピーチの事話すって……
仁美:そんなのどーでもいいわよ!単なる口実なんだから。
沙織:は?
仁美:何なのよ、あの新郎の友人2人!!
沙織:何が?
仁美:普通さ、未婚の友人を式に呼ぶなら、同席に優良物件ブッキングして、あわよくば!ってのが招く側の義務じゃないの?
沙織:え?そんな面倒な義務あったの?
仁美:ないわよ!ないけどさ!それが心遣いってもんでしょ?!
沙織:まぁ、期待しちゃう気持ちもあるけどね、卓也さんカッコいいし。
仁美:でしょ?なのに同席のあの二人見た?
沙織:え?一人は確かにネクラそうなデブだったけど、左の、えーっとユウジさん(?)は良くなかった?
仁美:良いわよ!見た目はね!!
沙織:??
仁美:指輪してたでしょ?
沙織:え?指輪?左手薬指に??
仁美:そうよ!
沙織:あんた良く見てたわね。
仁美:当たり前でしょ?何の為に3万も出して来てると思ってんのよ!
沙織:お祝いする気あるの?(笑)
仁美:一応はあるわよ。
沙織:一応って……
仁美:はぁー、こうなったら披露宴は料理に集中して、二次会に照準を合わせて行くわ!
沙織:他のテーブルにも良さげな男性陣居たもんねー。
仁美:そうよ!
沙織:そろそろ戻った方がいいんじゃない?始まる時間でしょ?
仁美:そうね、どんなメニューが登場するのかしら♪
沙織:本当に食い気に絞ったわねww
:
仁美:わー!おめでとー!
沙織:おめでとー!ユミ、キレイよー!
:
仁美:さて、今日の1品目は?
沙織:おっ、前菜!キレイじゃん。
仁美:え?少なっ!何これ、大きいお皿にちょこーんっ!とさー、こんなの何の腹の足しにもならないわよ。
沙織:すぐに次の料理来るって。
仁美:次のワイン早く持ってきてくれないかなー?
沙織:え?さっきのシャンパンもう飲んだの?
仁美:あんなにちょっとずつ入れる事ないのにねー、もっと並々入れりゃーいいのに。
沙織:ちょっと、仁美、ペース早いよ。スピーチもあるんだし。
仁美:大丈夫よー……あ、すいません。
仁美:(急にかわい子ぶって)え、えーと、少し弱いお酒貰えます?…はい、じゃあそれで。
沙織:……あんた、ウェイターがちょっとカッコいいってだけで良くそんなコロコロ態度変えられるわね。
仁美:当たり前でしょ!何年女やってると思ってんのよ!
沙織:怖っ!
:
沙織:次の料理は、スープかー。
仁美:これ、スープって言うか、なんか、ザラっとして、不味い……。
沙織:しかも、こんな料理に限って量多い!
仁美:ていうか、さっき頼んだ飲み物めっちゃくちゃ甘くて料理に合わないわー。
沙織:色目に眩んで変なブリっこするからでしょー?
仁美:あーぁ、次はワインにしよー。
:
沙織:次は……あれ?もう肉が来た……
仁美:え??魚は?普通、披露宴って前菜、スープ、あれこれあって、魚、肉でしょ?
沙織:まさか、ケチったわね。
仁美:しかもこの肉何?一応牛肉っぽいけど、小さい肉が3切れだけよ?
沙織:なんか肉の下のマッシュポテトの量、ヤバくない?
仁美:ボリュームだけ出してるって言うか……
沙織:まぁ、量は少なくてもさ、問題は味でしょ?
仁美:うーん……なんかモサモサしてるし、このソース、スパイスの香りだけするのに味が薄くて……
沙織:この肉、変に硬くて、いつ飲み込んでいいのかわからなくなる……
仁美:(肉を飲み込もうとして喉に詰まる)!!?……ん!んんん!!
沙織:ちょっと仁美?大丈夫?ほら、これ飲んで!
仁美:………はぁ、死ぬかと思ったー。
沙織:一気に飲み込むからー。
仁美:だって、こんな肉をいつまでも口にしていたくなかったのよ!
沙織:いやわかるけど……。
仁美:あっ!すみません!ワイン貰えます?赤で。
沙織:アンタ、大丈夫?このあとスピーチもあるのよ?
仁美:わかってるわよ。てかスピーチなんて飲まなくちゃやってらんないわよ!
仁美:そもそもなにが悲しくて元カレの結婚式で新婦の友人でスピーチしなきゃなんないのよ?
沙織:え?!
仁美:卓也も卓也よ!いくら新婦側の友人枠だからって元カノ呼ぶ?どういう神経してるんだか?
沙織:仁美!アンタも卓也と付き合ってたの?!
仁美:そうよ。言ってなかった?
沙織:知らない……え?てかどれくらい付き合ってたの?
仁美:えーっと24の時から28までだから、4年ちょっとくらい?
沙織:(声を大きくして)え?!ちょっと待って!!
仁美:沙織、ちょっと静かに。
沙織:いや、だって……
仁美:え?なになに?どうしたの??
沙織:私も付き合ってたの……卓也と。
仁美:は?!そうなの?いつ頃??
沙織:26から29になるまでだから3年。
仁美:私の方が長く付き合ってたのねー。
沙織:1年しか変わらないじゃない!
沙織:……ていうか問題はそこじゃないのよ!
仁美:え??
沙織:私達が卓也と付き合ってた期間、被ってんのよ。
仁美:ん……?そうなの??
沙織:そうでしょ!
沙織:私達同い歳なんだよ?同じ年齢の時に卓也と付き合ってたんなら、26から28までアイツ、二股掛けてたって事でしょ?!
仁美:……(大声で)はぁあ!?嘘でしょ?!
沙織:ちょ、ちょっと仁美!声が……。
仁美:あ、あぁ、(まわりに)すいません。
沙織:それにしても本当にビックリだわ。二股かけてた事もビックリだけど、その元カノ2人の友達と結婚するとか、どういう神経してるのかしら……
仁美:ねぇ、これはユミに知らせた方がいいんじゃない?
沙織:え?知らせるって……
仁美:アンタの旦那になる人は友達同士である私達に二股をかけるようなクソ男だって事をさ、この結婚が成立する前に!!
仁美:幸い婚姻届はまだ出してないって言ってたし。今なら戸籍に傷はつかないわ!
沙織:でも、こんなお祝いの席でさ、そんな……
仁美:沙織!アンタには友情ってもんがないの??
沙織:はい??
仁美:ユミがあんなクソ男に傷つけられる未来がわかっているのに、それを伝えずにいられるの?
沙織:え?……えーと。
仁美:確実にアイツは浮気するわよ!?
仁美:3年後、小さな子供を抱えてユミは自分の夫が二股クソ男だった事実に気付くのよ!
沙織:3年ってえらく具体的な妄想始まったわね。
仁美:『顔も見たくない、別れたい!』そう思いながらも、子供の事を考えると耐えるしかない。
仁美:そうやって唇を噛みしめるユミの姿。私には見えるわ!!3年後のユミの悲しむ姿が!!
沙織:……そ、そうね。後で「なんで言ってくれなったの?!」って言われるかもしれないし……
仁美:そうよ!
仁美:幸い今はお色直し中!控え室でユミにあの男の正体を暴露してやりましょう!!
沙織:えぇ!二股男と悲しい結婚をする友人を黙って見てるのは違う気がしてきた!
仁美:そうそう!さぁ、行きましょう!
:
0:間
沙織:(4時間後)
仁美:……はぁ。
沙織:なんなの……。
仁美:………はぁー。
沙織:ねぇ、一体なんなのよあいつら!!
仁美:まさか、卓也が私らと時期被って付き合ってたって事を、ユミも知ってるとはねー。
沙織:ていうかよ!ユミもその期間がずっと被ってるってどういう事なのよ!!
仁美:まさか、ユミが短大からずーっと卓也と付き合ってたなんて、知らなかったわ。
沙織:そうよ!ユミも彼氏がいるとか全然言わなかったし!!
仁美:まぁ、私達も言わなかったんだけどね。
沙織:それは……まぁ、そうだけどー。
仁美:結局私達の事はどっちも遊びで、本命はユミだったとはねー。
沙織:ていうかね!!二股する卓也も卓也だけど、それを黙認するユミって、アイツもだいぶ狂ってるわよ!
仁美:ホントー。
仁美:てか、普通自分の友達と浮気するような男と付き合い続ける?頭おかしいんじゃないの?!
沙織:……あぁぁーーっ!!もう!
沙織:スピーチで全部さらけ出してやればよかった!!
仁美:もう、衝撃が凄すぎて、恨み言が浮かんでくる前にしばらく脳が停止してたもんね。
沙織:控え室でのユミのあの笑み見た?
沙織:「あら、何を今さら?」って目が語ってたわよ!!
仁美:もうあの勝ち誇った顔見た瞬間から頭真っ白。私、スピーチで何喋ったか覚えてないもん。
沙織:私もよ。
沙織:あれは、優越感に浸るためにわざと私達を式に呼んでスピーチさせたのよ……絶対にそう!!
仁美:本当に、いい趣味してるわ!
沙織:はぁ……マスター!おかわり!!
仁美:沙織、大丈夫?そんなに飲んで?
沙織:あんなクソみたいな式の後なんだよ?飲まなきゃやってらんないっつーの!
沙織:仁美!ほら、アンタも飲みなさいよ!
仁美:う、うん。
沙織:今日はとことん飲むわよー!!
:
沙織:(1年後)。
沙織:仁美ー!結婚おめでとう。とってもキレイよー!
:
0:以下の沙織の台詞はモノローグとして。
沙織:仁美から突然届いた結婚式の招待状。
沙織:お相手はユウジさん。
沙織:……
沙織:そう。ユミの結婚式で同じテーブルだったイケメン!!
沙織:仁美、アイツが「左手薬指に指輪が……」とか言うから即ターゲットから外していたのに、まさかそれが私を出し抜く為の嘘だったなんて……
沙織:独身、彼女なし。しかもここ半年で一気に売れっ子になった木工家具の職人だと?!
沙織:ユミの結婚式では騙されてもう放心状態だったー。みたいな事言っといて、ちゃっかり男捕まえてるとか!!
沙織:……
沙織:女同士の友情なんて……もう、信じられるかっ!!
:友達の結婚式の新郎が元カレなんですが!?
:
仁美:ねぇ、あんたいくら包んだ?
沙織:え?何が?
仁美:だからご祝儀、いくら包んだの?
沙織:3万だけど……今それ聞く?
仁美:え?なんで?
沙織:いやー、披露宴の席に着いた瞬間に久々に会った友人にご祝儀の金額聞く??
仁美:だって、あんたがいくら包んだのか気になったから。
沙織:ふーん。
仁美:……。
沙織:で?
仁美:え?
沙織:いや、あたしが言ったんだからあんたも言いなさいよ。いくら包んだのか。
仁美:あー、あたしも3万。やっぱり相場だよねー。正直この出費は色々痛いなーって。
沙織:だよねー。やっぱり時期的に重なったりするからさ、あたし今年になってもうご祝儀包むの3件目。
仁美:きついねー。
沙織:正直ね、2万にしたいなーって思ったのよ。
仁美:あー、五千円二枚入れてね。
沙織:そうそう。でも一応はホテルでやるんだし、3にすべきなのかなーって思ってねー。
仁美:まぁ、私らの歳で2はちょっとねー。
沙織:でしょー?でも、パーティードレスだって買わなきゃいけないし、二次会だって会費取るでしょ?実質の出費はもっと要ってるじゃない!それが重なってきたらそりゃー、ちょっとそんな気持ちにも、なんのよ!
仁美:確かにねー、ドレスとか毎度毎度本当に面倒!
沙織:ホントっ!……てかさ、あんたのそのドレス、去年の絢子(あやこ)の結婚式の時のドレスと一緒にじゃない?
仁美:え??
沙織:いや一緒でしょ?その紫のレースにゴールドの切り替え、私見覚えあるもん。
仁美:あれ?あたしこれ着てた?絢子の時に??
沙織:そうだよ!……ちょっと待ってね……(スマホを操作する)ほら!去年の写真。
仁美:ホントだ!これ、絢子の時に着てたのかー、職場の後輩の時だと思ってたからいけると思ってたのにー。
沙織:www確認しなよー、写真とか残ってるでしょー?
仁美:いやー、今日なんかそこまで気合い入ってなくてさー。
沙織:わかるー、それなのに友人代表のスピーチ私達でしょー?なんでー??って感じにならなかった?
仁美:なったなった。他にいないの?って
:
沙織:あっ、こっちに人来た。
仁美:新郎側の友人だっけ?
沙織:そうそう。
仁美:あ、どうも。あー、卓也さんの友人の……マサキさんと、ユウジさん。あ、あたし達新婦のユミの短大からの友人で私が仁美で、こっちが沙織です。
沙織:宜しくお願いします。
:
仁美:ねぇ、沙織、式が始まる前にお化粧直して来ない?
沙織:え?私は別にいいよ。
仁美:ほら、スピーチの事とかちょっと話たいから。
沙織:え?あぁー、それなら仕方ないわね。
仁美:ちょっと失礼しますね。
:
沙織:ねぇ、スピーチの事って何を話すの?
仁美:え?
沙織:いや、スピーチの事話すって……
仁美:そんなのどーでもいいわよ!単なる口実なんだから。
沙織:は?
仁美:何なのよ、あの新郎の友人2人!!
沙織:何が?
仁美:普通さ、未婚の友人を式に呼ぶなら、同席に優良物件ブッキングして、あわよくば!ってのが招く側の義務じゃないの?
沙織:え?そんな面倒な義務あったの?
仁美:ないわよ!ないけどさ!それが心遣いってもんでしょ?!
沙織:まぁ、期待しちゃう気持ちもあるけどね、卓也さんカッコいいし。
仁美:でしょ?なのに同席のあの二人見た?
沙織:え?一人は確かにネクラそうなデブだったけど、左の、えーっとユウジさん(?)は良くなかった?
仁美:良いわよ!見た目はね!!
沙織:??
仁美:指輪してたでしょ?
沙織:え?指輪?左手薬指に??
仁美:そうよ!
沙織:あんた良く見てたわね。
仁美:当たり前でしょ?何の為に3万も出して来てると思ってんのよ!
沙織:お祝いする気あるの?(笑)
仁美:一応はあるわよ。
沙織:一応って……
仁美:はぁー、こうなったら披露宴は料理に集中して、二次会に照準を合わせて行くわ!
沙織:他のテーブルにも良さげな男性陣居たもんねー。
仁美:そうよ!
沙織:そろそろ戻った方がいいんじゃない?始まる時間でしょ?
仁美:そうね、どんなメニューが登場するのかしら♪
沙織:本当に食い気に絞ったわねww
:
仁美:わー!おめでとー!
沙織:おめでとー!ユミ、キレイよー!
:
仁美:さて、今日の1品目は?
沙織:おっ、前菜!キレイじゃん。
仁美:え?少なっ!何これ、大きいお皿にちょこーんっ!とさー、こんなの何の腹の足しにもならないわよ。
沙織:すぐに次の料理来るって。
仁美:次のワイン早く持ってきてくれないかなー?
沙織:え?さっきのシャンパンもう飲んだの?
仁美:あんなにちょっとずつ入れる事ないのにねー、もっと並々入れりゃーいいのに。
沙織:ちょっと、仁美、ペース早いよ。スピーチもあるんだし。
仁美:大丈夫よー……あ、すいません。
仁美:(急にかわい子ぶって)え、えーと、少し弱いお酒貰えます?…はい、じゃあそれで。
沙織:……あんた、ウェイターがちょっとカッコいいってだけで良くそんなコロコロ態度変えられるわね。
仁美:当たり前でしょ!何年女やってると思ってんのよ!
沙織:怖っ!
:
沙織:次の料理は、スープかー。
仁美:これ、スープって言うか、なんか、ザラっとして、不味い……。
沙織:しかも、こんな料理に限って量多い!
仁美:ていうか、さっき頼んだ飲み物めっちゃくちゃ甘くて料理に合わないわー。
沙織:色目に眩んで変なブリっこするからでしょー?
仁美:あーぁ、次はワインにしよー。
:
沙織:次は……あれ?もう肉が来た……
仁美:え??魚は?普通、披露宴って前菜、スープ、あれこれあって、魚、肉でしょ?
沙織:まさか、ケチったわね。
仁美:しかもこの肉何?一応牛肉っぽいけど、小さい肉が3切れだけよ?
沙織:なんか肉の下のマッシュポテトの量、ヤバくない?
仁美:ボリュームだけ出してるって言うか……
沙織:まぁ、量は少なくてもさ、問題は味でしょ?
仁美:うーん……なんかモサモサしてるし、このソース、スパイスの香りだけするのに味が薄くて……
沙織:この肉、変に硬くて、いつ飲み込んでいいのかわからなくなる……
仁美:(肉を飲み込もうとして喉に詰まる)!!?……ん!んんん!!
沙織:ちょっと仁美?大丈夫?ほら、これ飲んで!
仁美:………はぁ、死ぬかと思ったー。
沙織:一気に飲み込むからー。
仁美:だって、こんな肉をいつまでも口にしていたくなかったのよ!
沙織:いやわかるけど……。
仁美:あっ!すみません!ワイン貰えます?赤で。
沙織:アンタ、大丈夫?このあとスピーチもあるのよ?
仁美:わかってるわよ。てかスピーチなんて飲まなくちゃやってらんないわよ!
仁美:そもそもなにが悲しくて元カレの結婚式で新婦の友人でスピーチしなきゃなんないのよ?
沙織:え?!
仁美:卓也も卓也よ!いくら新婦側の友人枠だからって元カノ呼ぶ?どういう神経してるんだか?
沙織:仁美!アンタも卓也と付き合ってたの?!
仁美:そうよ。言ってなかった?
沙織:知らない……え?てかどれくらい付き合ってたの?
仁美:えーっと24の時から28までだから、4年ちょっとくらい?
沙織:(声を大きくして)え?!ちょっと待って!!
仁美:沙織、ちょっと静かに。
沙織:いや、だって……
仁美:え?なになに?どうしたの??
沙織:私も付き合ってたの……卓也と。
仁美:は?!そうなの?いつ頃??
沙織:26から29になるまでだから3年。
仁美:私の方が長く付き合ってたのねー。
沙織:1年しか変わらないじゃない!
沙織:……ていうか問題はそこじゃないのよ!
仁美:え??
沙織:私達が卓也と付き合ってた期間、被ってんのよ。
仁美:ん……?そうなの??
沙織:そうでしょ!
沙織:私達同い歳なんだよ?同じ年齢の時に卓也と付き合ってたんなら、26から28までアイツ、二股掛けてたって事でしょ?!
仁美:……(大声で)はぁあ!?嘘でしょ?!
沙織:ちょ、ちょっと仁美!声が……。
仁美:あ、あぁ、(まわりに)すいません。
沙織:それにしても本当にビックリだわ。二股かけてた事もビックリだけど、その元カノ2人の友達と結婚するとか、どういう神経してるのかしら……
仁美:ねぇ、これはユミに知らせた方がいいんじゃない?
沙織:え?知らせるって……
仁美:アンタの旦那になる人は友達同士である私達に二股をかけるようなクソ男だって事をさ、この結婚が成立する前に!!
仁美:幸い婚姻届はまだ出してないって言ってたし。今なら戸籍に傷はつかないわ!
沙織:でも、こんなお祝いの席でさ、そんな……
仁美:沙織!アンタには友情ってもんがないの??
沙織:はい??
仁美:ユミがあんなクソ男に傷つけられる未来がわかっているのに、それを伝えずにいられるの?
沙織:え?……えーと。
仁美:確実にアイツは浮気するわよ!?
仁美:3年後、小さな子供を抱えてユミは自分の夫が二股クソ男だった事実に気付くのよ!
沙織:3年ってえらく具体的な妄想始まったわね。
仁美:『顔も見たくない、別れたい!』そう思いながらも、子供の事を考えると耐えるしかない。
仁美:そうやって唇を噛みしめるユミの姿。私には見えるわ!!3年後のユミの悲しむ姿が!!
沙織:……そ、そうね。後で「なんで言ってくれなったの?!」って言われるかもしれないし……
仁美:そうよ!
仁美:幸い今はお色直し中!控え室でユミにあの男の正体を暴露してやりましょう!!
沙織:えぇ!二股男と悲しい結婚をする友人を黙って見てるのは違う気がしてきた!
仁美:そうそう!さぁ、行きましょう!
:
0:間
沙織:(4時間後)
仁美:……はぁ。
沙織:なんなの……。
仁美:………はぁー。
沙織:ねぇ、一体なんなのよあいつら!!
仁美:まさか、卓也が私らと時期被って付き合ってたって事を、ユミも知ってるとはねー。
沙織:ていうかよ!ユミもその期間がずっと被ってるってどういう事なのよ!!
仁美:まさか、ユミが短大からずーっと卓也と付き合ってたなんて、知らなかったわ。
沙織:そうよ!ユミも彼氏がいるとか全然言わなかったし!!
仁美:まぁ、私達も言わなかったんだけどね。
沙織:それは……まぁ、そうだけどー。
仁美:結局私達の事はどっちも遊びで、本命はユミだったとはねー。
沙織:ていうかね!!二股する卓也も卓也だけど、それを黙認するユミって、アイツもだいぶ狂ってるわよ!
仁美:ホントー。
仁美:てか、普通自分の友達と浮気するような男と付き合い続ける?頭おかしいんじゃないの?!
沙織:……あぁぁーーっ!!もう!
沙織:スピーチで全部さらけ出してやればよかった!!
仁美:もう、衝撃が凄すぎて、恨み言が浮かんでくる前にしばらく脳が停止してたもんね。
沙織:控え室でのユミのあの笑み見た?
沙織:「あら、何を今さら?」って目が語ってたわよ!!
仁美:もうあの勝ち誇った顔見た瞬間から頭真っ白。私、スピーチで何喋ったか覚えてないもん。
沙織:私もよ。
沙織:あれは、優越感に浸るためにわざと私達を式に呼んでスピーチさせたのよ……絶対にそう!!
仁美:本当に、いい趣味してるわ!
沙織:はぁ……マスター!おかわり!!
仁美:沙織、大丈夫?そんなに飲んで?
沙織:あんなクソみたいな式の後なんだよ?飲まなきゃやってらんないっつーの!
沙織:仁美!ほら、アンタも飲みなさいよ!
仁美:う、うん。
沙織:今日はとことん飲むわよー!!
:
沙織:(1年後)。
沙織:仁美ー!結婚おめでとう。とってもキレイよー!
:
0:以下の沙織の台詞はモノローグとして。
沙織:仁美から突然届いた結婚式の招待状。
沙織:お相手はユウジさん。
沙織:……
沙織:そう。ユミの結婚式で同じテーブルだったイケメン!!
沙織:仁美、アイツが「左手薬指に指輪が……」とか言うから即ターゲットから外していたのに、まさかそれが私を出し抜く為の嘘だったなんて……
沙織:独身、彼女なし。しかもここ半年で一気に売れっ子になった木工家具の職人だと?!
沙織:ユミの結婚式では騙されてもう放心状態だったー。みたいな事言っといて、ちゃっかり男捕まえてるとか!!
沙織:……
沙織:女同士の友情なんて……もう、信じられるかっ!!