台本概要

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タイトル 「うぃざーず/うぃっちーず」第二話「Beginning of ending.」
作者名 なぎ@泣き虫保護者  (@fuyu_number10)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 第一話を受けて、魔法に改めて目覚めたものの、二人の生活はいつも通り動いているように見えた。
しかし・・・。

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お伺いできる限り聴かせていただければと存じます。

なお、特に商用利用の場合において、著作権は放棄していません。無断での転載はお断りします。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
52 天野 彗(あまの すい)。姉弟の姉。幼いころに弟の昴とキスをして魔法に目覚める。炎魔法の能力持ち。
38 天野 昴(あまの すばる)。姉弟の弟。幼いころに姉の彗にキスをされて魔法に目覚める。氷魔法の能力持ち。
橙花 38 宮泉 橙花(みやいずみ とうか)。彗のクラスメイトで、昴とも面識アリ。反魔法集団に属している。
20 謎の男。反魔法集団に属している。
クラスメイト 6 彗のクラスメイト。「男」と兼ね役。
バスケ部監督 2 彗の所属するバスケ部の監督。「男」と兼ね役。
バスケ部員 2 彗の所属するバスケ部の部員。橙花と兼ね役。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
昴:(N)「彗の潤んだ瞳は、鮮やかなオレンジ色に光っていて。」 彗:(N)「昴の驚いた瞳は、深海のようなブルーの光を帯びて。」 昴:(N)「唇が触れ合ったその時。」 彗:(N)「私は、一瞬、ふっ、と力が抜けるのを感じた。」 昴:(N)「彗の瞳の光は・・・まるで蠟燭(ろうそく)の灯(ともしび)が、消えるように、」 昴:(N)「一瞬の強い光の後、黒く戻っていった。」 彗or昴:「うぃざーず/うぃっちーず(仮)」第二話「Beginning of ending.」 0:第1話の続き。深夜、とある民家の屋上。天野家を見つめる男女二人。 橙花:「はぁ・・・。」 男:「どうした?」 橙花:「あのさ・・・前にも言ったけど、あの子、私のクラスメイトなんだけど。」 男:「で?」 橙花:「・・・。」 男:「殺したくない、なんて・・・今更言わないよな?」 橙花:「・・・他に誰か居なかったの?」 男:「俺たちは「魔法使い」を始末する。それだけだ。違うか?」 橙花:「(ため息)はぁ・・・。」 男:「この世界に魔法使いは不要。」 橙花:「だからって、あの子たちは目覚めたばかりでしょ?」 男:「危険な芽は摘んでおくに限る。あの子供二人を始末し、両親も消す。」 橙花:「・・・(切なげに)そう・・・。」 男:「早いうちに覚悟を決めておくんだな。」 0:男の姿は闇に溶けるように消えていく。 橙花:「彗ちゃん、昴君、どうして、あなたたちなの・・・?」 0:朝、昴の部屋。 0:昴、彗の夢を見てうなされる。 彗:「(昴の夢の中、消え入りそうな彗の声)昴・・・アタシ、待ってるから・・・。」 昴:「嫌な・・・夢・・・。」 昴:「彗・・・泣いてた・・・。何だろ、この感じ・・・。」 0:彗が昴を起こしに来る。(≧▽≦)←こんな表情で 彗:「(できるだけ大声で)おぉ~い!早く起きろぉ~!」 0:彗、おたまでフライパンを叩きながら登場。 昴:「(寝起きでうなるように)うーるーさーいー!」 彗:「(呆れながら)アンタ何してんのよ!今日からまた学校でしょ!?」 昴:「彗がうるさいから行かない!!」 彗:「起きないとこれ鳴らし続けるわよ!!」 0:彗がフライパンを「カカカン!」と連打。 昴:「近所迷惑だからね!」 彗:「ほら、さっさと起きる!」 昴:「いやだ・・・学校行きたくない・・・。」 彗:「バカなこと言ってないで!ほぉら!」 昴:「ううう・・・起きる・・・着替えるから・・・。」 彗:「はいはい!んじゃ下で待ってる!」 昴:「ん・・・。」 0:間。朝の食卓の上。焼き鮭にご飯、味噌汁、生卵、海苔、納豆etc。 昴:「・・・。」 彗:「・・・昴?」 昴:「(眠そうに)んー・・・?」 彗:「アンタそんなに朝弱かったっけ?ってか学校行きたくないって・・・。」 昴:「彗は・・・昨日のことさ・・・気にしてないの?」 彗:「うん?何を?」 昴:「いきなり・・・魔法とかさ・・・。」 彗:「そっち?」 昴:「え?」 彗:「え?・・・いやまぁ・・・そりゃぁ、気にはしてるよ?」 昴:「うん。だからさ、・・・色々考えちゃってさ・・・。」 彗:「例えば?」 昴:「昨日のコトがバレる、とか。」 彗:「ん」 昴:「何でこんなチカラがあるのかな、とか・・・。」 彗:「・・・(渋い顔をする)。」 昴:「あれ?」 0:すぱーん!と彗がテーブルを手のひらで叩く。 彗:「・・・いやキスのコト触れんかいっ!」 0:彗の手のひらで火花が散る。 昴:「やっぱりそっちだった!」 昴:(N)「彗には言えないけど、本当は、必死に調べていたんだ。二人の魔法のコト、僕と彗の、過去のコト。」 0:場面転換。二人の通う学校の教室にて。 彗:「おはよー!」 橙花:「彗ちゃんおはよー」 クラスメイト:「彗、ちーっす!」 彗:「おっすおっすー!みんな昨日のみずがめ座流星群、見た~?」 橙花:「彗ちゃんに教えてもらったから、気になってずっと眺めちゃってたわ。」 クラスメイト:「あー、部活帰りに見てたけど・・・方角が分かんなくってさー!あんま見れんかった・・・!」 彗:「そっかそっか、うちは昴が望遠鏡で必死に見ててさー!」 橙花:「昴君、そういうの詳しいもんね。さすが天文部。」 彗:「アイツほぼ幽霊なんだけどなぁ・・・。」 クラスメイト:「彗は見てたん?」 彗:「あー、昴に望遠鏡覗かせてもらったわー。流星群ってすご、ってなったわ。あんなに飛ぶと思わなかった!」 橙花:「望遠鏡で見れるっていいわね、めちゃくちゃ見れそうじゃない?」 彗:「うん、凄い良く見えてさー!でも昴が言うには、もっと街の明かりのないところがいいんだって。」 クラスメイト:「それ聞いたことあるなー。街の灯りがあると、その光のせいでよく見えないんだってさ。」 彗:「そうそう、だから昴、将来は山に籠(こも)りたいって言ってる・・・。」 橙花:「さすが名前が「昴」ってだけあるわねー。星とかのことに目がないっていうか。」 彗:「まぁその前にアイツ体力付けないと、山で生きていけないっしょ・・・。」 クラスメイト:「あー、それなー。」 橙花:「彗ちゃん、鍛えてあげたら?バスケ部なんだし。」 彗:「絶対アイツ、「めんどくさーい」って言って聞かないわよ。そんなんで山で暮らせるかってーの!」 3人:(笑う) 橙花:「あ!噂をすれば、じゃない?昴君、おはよう。」 昴:「あ、おはようございます。どもです・・・。」 彗:「昴、どうしたの?」 昴:「うん。これ持ってきた。」 0:昴、彗のお弁当箱を差し出す。 彗:「え?アタシお弁当忘れてた?嘘でしょ?」 0:彗、自分の鞄を漁るが弁当箱が見つからない。 彗:「あー、忘れてたみたい・・・さんきゅ、昴!」 昴:「うん。それじゃ」 橙花:「(帰ろうとする昴にかぶせて)まーまー昴君!もう少し居なさいよ。」 昴:「はい・・・?」 橙花:「昴君、彗ちゃんと暮らすようになってどう?何か変わった?」 昴:「いえ、特には・・・。」 クラスメイト:「えー?彗となんか変なイベントとか発生してね?」 昴:「変な・・・?」 橙花:「そうそう!あの・・・ほら、ラッキースケb・・・いたっ!?」 0:彗、橙花をはたく。 彗:「(恥ずかしそうに)ちょっと!橙花やめてよねそういうの!昴も何か言いなさいよ!」 橙花:「んん~?彗ちゃん、顔が赤いわよ?実は何かあったんでしょ?」 彗:(真っ赤になって全否定する)「ないない!ないってば!」 昴:(N)このときは、あんなに早く「終わりの始まり」が訪れるなんて・・・思わなかった。 0:場面転換。放課後の部活、バスケ部にて。彗が試合に出ている。彗のシュートチャンス。 バスケ部員:「彗!撃って!」 彗:「っ!!・・・え・・・?」 0:ボールは力なくふわっと放物線を描き、リングには届かず、相手チームの手に渡る。呆然とする彗。 彗:「嘘・・・?」 バスケ部監督:「彗!ディフェンス!」 彗:「はい!あっ!!」 0:彗が足をもつれさせて、膝から崩れるように転倒する。そのまま動けない彗。 バスケ部員:「彗!?」 バスケ部監督:「彗!大丈夫か!?」 彗:(N)「その後のことは、よく覚えてない。」 彗:(N)「ただ、シュートのとき、力が全然入らなかったことだけは、はっきり覚えている。それがとても、ショックだったから。」 彗:(N)「目が覚めたら、アタシは自分のベッドの上に寝ていた。」 彗:「すばる・・・?」 昴:「あ、彗。気分は?」 彗:「ん・・・大丈夫。」 昴:「うん。よかった。何か食べられそう?」 彗:「・・・うん。・・・ねぇ、昴?」 昴:「なに?」 彗:「・・・アタシ・・・病気じゃない、よね・・・?」 昴:「先生は「疲れてるんだろう」だって。検査も問題ないって言ってたし、頑張りすぎじゃない?バスケ。」 彗:「そうなのかな・・・アタシさ、凄く調子よかったんだ。」 昴:「うん。」 彗:「でも、・・・でもさ・・・。」 昴:「彗、休むことも大事だよ?」 彗:「昴・・・。」 昴:「・・・って、言われてるんじゃない?カミサマ的な何かに。」 彗:「何よそれ・・・昴は幽霊部員のくせにー・・・(少し笑う)。」 昴:「むー・・・それよりごはん、うどんでいい?冷凍の。」 彗:「うん・・・昴?」 昴:「んー?」 彗:「・・・それって昴が魔法で冷凍したの?」 昴:「え?」 彗:「・・・なんてねっ!冗談っ!・・・ありがと!」 0:彗、毛布で顔を半分隠す。 0:昴が部屋を出てしばらくして、彗のスマホが鳴る。 彗:「もしもし、橙花?電話なんて珍しいね・・・どうしたの?」 橙花:「うん、部活で倒れた、って聞いたから・・・ちょっとね。その、心配で。声が聴けたら、って思って。」 彗:「そっかー、ごめんね?」 橙花:「いいよ、大丈夫。・・・具合はどう?」 彗:「うん、今は落ち着いてるよ。明日は学校行けそう。」 橙花:「そのことなんだけど、彗ちゃん・・・。」 彗:「ん?」 橙花:「絶対に昴君から、離れちゃだめよ。」 彗:「へ?昴?なんで?」 橙花:「(なんで?にかぶせるように)それだけ。それじゃ。」 0:一方的に電話は切れる。 彗:「・・・橙花・・・?」 0:その日の夜中。とある民家の屋上。橙花。 橙花:「彗ちゃん・・・あとどれくらい生きられるんだろう・・・。」 男:「なぜあんなことを話した?」 橙花:「・・・。」 男:「お前のことだ。あの姉弟(きょうだい)を守ろう、などと考えているのかも知れないが・・・。」 橙花:「二人が一緒に居たほうが、都合がいいでしょ。」 男:「本当にそう思っているのか?」 橙花:「・・・何が言いたいの?」 男:「あの二人はお前に任せるが・・・くれぐれも、魔法をこの先の世界に残してはいけない。」 橙花:「どうして?」 男:「・・・「どうして」?」 橙花:「私は・・・まだ完全に納得が出来てない。」 男:「・・・(ため息)あの少年は・・・接吻(せっぷん)により姉から魔法を譲渡された。」 橙花:「え?」 男:「そもそも魔法の譲渡は禁忌なのだが・・・譲渡した相手があの少年、というのがまずいのだ。」 橙花:「それって、・・・どういう・・・?」 男:「あの少年は・・・「魔を統べる者」。」 橙花:「昴君が・・・?」 男:「遥か昔から、「魔を統べる者」は・・・世の破滅をもたらさんとしてきた。」 橙花:「破滅・・・?」 男:「一度目の接吻は・・・「魔を統べる者」を目覚めさせ・・・二度目はあの娘を「贄(にえ)」とする。」 橙花:「贄・・・?まさか!」 男:「あの娘・・・永くはないぞ。そしてあの少年も、この先このようなことが起きないようにせねばならん。」 橙花:「なん、で・・・?」 男:「「魔を統べる者」を滅ぼすために、我々は存在する。」 橙花:「・・・。」 男:「まさか・・・我々の時代に現れるとは、思いもしなかったが、な・・・。」 0:男の姿、再び掻(か)き消える。 橙花:「(辛さで泣き出しながら)ぐ・・・く、っ・・・!」 0:ほぼ同時刻。昴の部屋。 昴:「接吻(せっぷん)による魔法の譲渡・・・禁忌の行為・・・その代償・・・じゃあ彗は何で・・・?」 昴:「わからない・・・僕は・・・どうしたらいい・・・このままじゃ・・・時間がない・・・!」 0:続く。

昴:(N)「彗の潤んだ瞳は、鮮やかなオレンジ色に光っていて。」 彗:(N)「昴の驚いた瞳は、深海のようなブルーの光を帯びて。」 昴:(N)「唇が触れ合ったその時。」 彗:(N)「私は、一瞬、ふっ、と力が抜けるのを感じた。」 昴:(N)「彗の瞳の光は・・・まるで蠟燭(ろうそく)の灯(ともしび)が、消えるように、」 昴:(N)「一瞬の強い光の後、黒く戻っていった。」 彗or昴:「うぃざーず/うぃっちーず(仮)」第二話「Beginning of ending.」 0:第1話の続き。深夜、とある民家の屋上。天野家を見つめる男女二人。 橙花:「はぁ・・・。」 男:「どうした?」 橙花:「あのさ・・・前にも言ったけど、あの子、私のクラスメイトなんだけど。」 男:「で?」 橙花:「・・・。」 男:「殺したくない、なんて・・・今更言わないよな?」 橙花:「・・・他に誰か居なかったの?」 男:「俺たちは「魔法使い」を始末する。それだけだ。違うか?」 橙花:「(ため息)はぁ・・・。」 男:「この世界に魔法使いは不要。」 橙花:「だからって、あの子たちは目覚めたばかりでしょ?」 男:「危険な芽は摘んでおくに限る。あの子供二人を始末し、両親も消す。」 橙花:「・・・(切なげに)そう・・・。」 男:「早いうちに覚悟を決めておくんだな。」 0:男の姿は闇に溶けるように消えていく。 橙花:「彗ちゃん、昴君、どうして、あなたたちなの・・・?」 0:朝、昴の部屋。 0:昴、彗の夢を見てうなされる。 彗:「(昴の夢の中、消え入りそうな彗の声)昴・・・アタシ、待ってるから・・・。」 昴:「嫌な・・・夢・・・。」 昴:「彗・・・泣いてた・・・。何だろ、この感じ・・・。」 0:彗が昴を起こしに来る。(≧▽≦)←こんな表情で 彗:「(できるだけ大声で)おぉ~い!早く起きろぉ~!」 0:彗、おたまでフライパンを叩きながら登場。 昴:「(寝起きでうなるように)うーるーさーいー!」 彗:「(呆れながら)アンタ何してんのよ!今日からまた学校でしょ!?」 昴:「彗がうるさいから行かない!!」 彗:「起きないとこれ鳴らし続けるわよ!!」 0:彗がフライパンを「カカカン!」と連打。 昴:「近所迷惑だからね!」 彗:「ほら、さっさと起きる!」 昴:「いやだ・・・学校行きたくない・・・。」 彗:「バカなこと言ってないで!ほぉら!」 昴:「ううう・・・起きる・・・着替えるから・・・。」 彗:「はいはい!んじゃ下で待ってる!」 昴:「ん・・・。」 0:間。朝の食卓の上。焼き鮭にご飯、味噌汁、生卵、海苔、納豆etc。 昴:「・・・。」 彗:「・・・昴?」 昴:「(眠そうに)んー・・・?」 彗:「アンタそんなに朝弱かったっけ?ってか学校行きたくないって・・・。」 昴:「彗は・・・昨日のことさ・・・気にしてないの?」 彗:「うん?何を?」 昴:「いきなり・・・魔法とかさ・・・。」 彗:「そっち?」 昴:「え?」 彗:「え?・・・いやまぁ・・・そりゃぁ、気にはしてるよ?」 昴:「うん。だからさ、・・・色々考えちゃってさ・・・。」 彗:「例えば?」 昴:「昨日のコトがバレる、とか。」 彗:「ん」 昴:「何でこんなチカラがあるのかな、とか・・・。」 彗:「・・・(渋い顔をする)。」 昴:「あれ?」 0:すぱーん!と彗がテーブルを手のひらで叩く。 彗:「・・・いやキスのコト触れんかいっ!」 0:彗の手のひらで火花が散る。 昴:「やっぱりそっちだった!」 昴:(N)「彗には言えないけど、本当は、必死に調べていたんだ。二人の魔法のコト、僕と彗の、過去のコト。」 0:場面転換。二人の通う学校の教室にて。 彗:「おはよー!」 橙花:「彗ちゃんおはよー」 クラスメイト:「彗、ちーっす!」 彗:「おっすおっすー!みんな昨日のみずがめ座流星群、見た~?」 橙花:「彗ちゃんに教えてもらったから、気になってずっと眺めちゃってたわ。」 クラスメイト:「あー、部活帰りに見てたけど・・・方角が分かんなくってさー!あんま見れんかった・・・!」 彗:「そっかそっか、うちは昴が望遠鏡で必死に見ててさー!」 橙花:「昴君、そういうの詳しいもんね。さすが天文部。」 彗:「アイツほぼ幽霊なんだけどなぁ・・・。」 クラスメイト:「彗は見てたん?」 彗:「あー、昴に望遠鏡覗かせてもらったわー。流星群ってすご、ってなったわ。あんなに飛ぶと思わなかった!」 橙花:「望遠鏡で見れるっていいわね、めちゃくちゃ見れそうじゃない?」 彗:「うん、凄い良く見えてさー!でも昴が言うには、もっと街の明かりのないところがいいんだって。」 クラスメイト:「それ聞いたことあるなー。街の灯りがあると、その光のせいでよく見えないんだってさ。」 彗:「そうそう、だから昴、将来は山に籠(こも)りたいって言ってる・・・。」 橙花:「さすが名前が「昴」ってだけあるわねー。星とかのことに目がないっていうか。」 彗:「まぁその前にアイツ体力付けないと、山で生きていけないっしょ・・・。」 クラスメイト:「あー、それなー。」 橙花:「彗ちゃん、鍛えてあげたら?バスケ部なんだし。」 彗:「絶対アイツ、「めんどくさーい」って言って聞かないわよ。そんなんで山で暮らせるかってーの!」 3人:(笑う) 橙花:「あ!噂をすれば、じゃない?昴君、おはよう。」 昴:「あ、おはようございます。どもです・・・。」 彗:「昴、どうしたの?」 昴:「うん。これ持ってきた。」 0:昴、彗のお弁当箱を差し出す。 彗:「え?アタシお弁当忘れてた?嘘でしょ?」 0:彗、自分の鞄を漁るが弁当箱が見つからない。 彗:「あー、忘れてたみたい・・・さんきゅ、昴!」 昴:「うん。それじゃ」 橙花:「(帰ろうとする昴にかぶせて)まーまー昴君!もう少し居なさいよ。」 昴:「はい・・・?」 橙花:「昴君、彗ちゃんと暮らすようになってどう?何か変わった?」 昴:「いえ、特には・・・。」 クラスメイト:「えー?彗となんか変なイベントとか発生してね?」 昴:「変な・・・?」 橙花:「そうそう!あの・・・ほら、ラッキースケb・・・いたっ!?」 0:彗、橙花をはたく。 彗:「(恥ずかしそうに)ちょっと!橙花やめてよねそういうの!昴も何か言いなさいよ!」 橙花:「んん~?彗ちゃん、顔が赤いわよ?実は何かあったんでしょ?」 彗:(真っ赤になって全否定する)「ないない!ないってば!」 昴:(N)このときは、あんなに早く「終わりの始まり」が訪れるなんて・・・思わなかった。 0:場面転換。放課後の部活、バスケ部にて。彗が試合に出ている。彗のシュートチャンス。 バスケ部員:「彗!撃って!」 彗:「っ!!・・・え・・・?」 0:ボールは力なくふわっと放物線を描き、リングには届かず、相手チームの手に渡る。呆然とする彗。 彗:「嘘・・・?」 バスケ部監督:「彗!ディフェンス!」 彗:「はい!あっ!!」 0:彗が足をもつれさせて、膝から崩れるように転倒する。そのまま動けない彗。 バスケ部員:「彗!?」 バスケ部監督:「彗!大丈夫か!?」 彗:(N)「その後のことは、よく覚えてない。」 彗:(N)「ただ、シュートのとき、力が全然入らなかったことだけは、はっきり覚えている。それがとても、ショックだったから。」 彗:(N)「目が覚めたら、アタシは自分のベッドの上に寝ていた。」 彗:「すばる・・・?」 昴:「あ、彗。気分は?」 彗:「ん・・・大丈夫。」 昴:「うん。よかった。何か食べられそう?」 彗:「・・・うん。・・・ねぇ、昴?」 昴:「なに?」 彗:「・・・アタシ・・・病気じゃない、よね・・・?」 昴:「先生は「疲れてるんだろう」だって。検査も問題ないって言ってたし、頑張りすぎじゃない?バスケ。」 彗:「そうなのかな・・・アタシさ、凄く調子よかったんだ。」 昴:「うん。」 彗:「でも、・・・でもさ・・・。」 昴:「彗、休むことも大事だよ?」 彗:「昴・・・。」 昴:「・・・って、言われてるんじゃない?カミサマ的な何かに。」 彗:「何よそれ・・・昴は幽霊部員のくせにー・・・(少し笑う)。」 昴:「むー・・・それよりごはん、うどんでいい?冷凍の。」 彗:「うん・・・昴?」 昴:「んー?」 彗:「・・・それって昴が魔法で冷凍したの?」 昴:「え?」 彗:「・・・なんてねっ!冗談っ!・・・ありがと!」 0:彗、毛布で顔を半分隠す。 0:昴が部屋を出てしばらくして、彗のスマホが鳴る。 彗:「もしもし、橙花?電話なんて珍しいね・・・どうしたの?」 橙花:「うん、部活で倒れた、って聞いたから・・・ちょっとね。その、心配で。声が聴けたら、って思って。」 彗:「そっかー、ごめんね?」 橙花:「いいよ、大丈夫。・・・具合はどう?」 彗:「うん、今は落ち着いてるよ。明日は学校行けそう。」 橙花:「そのことなんだけど、彗ちゃん・・・。」 彗:「ん?」 橙花:「絶対に昴君から、離れちゃだめよ。」 彗:「へ?昴?なんで?」 橙花:「(なんで?にかぶせるように)それだけ。それじゃ。」 0:一方的に電話は切れる。 彗:「・・・橙花・・・?」 0:その日の夜中。とある民家の屋上。橙花。 橙花:「彗ちゃん・・・あとどれくらい生きられるんだろう・・・。」 男:「なぜあんなことを話した?」 橙花:「・・・。」 男:「お前のことだ。あの姉弟(きょうだい)を守ろう、などと考えているのかも知れないが・・・。」 橙花:「二人が一緒に居たほうが、都合がいいでしょ。」 男:「本当にそう思っているのか?」 橙花:「・・・何が言いたいの?」 男:「あの二人はお前に任せるが・・・くれぐれも、魔法をこの先の世界に残してはいけない。」 橙花:「どうして?」 男:「・・・「どうして」?」 橙花:「私は・・・まだ完全に納得が出来てない。」 男:「・・・(ため息)あの少年は・・・接吻(せっぷん)により姉から魔法を譲渡された。」 橙花:「え?」 男:「そもそも魔法の譲渡は禁忌なのだが・・・譲渡した相手があの少年、というのがまずいのだ。」 橙花:「それって、・・・どういう・・・?」 男:「あの少年は・・・「魔を統べる者」。」 橙花:「昴君が・・・?」 男:「遥か昔から、「魔を統べる者」は・・・世の破滅をもたらさんとしてきた。」 橙花:「破滅・・・?」 男:「一度目の接吻は・・・「魔を統べる者」を目覚めさせ・・・二度目はあの娘を「贄(にえ)」とする。」 橙花:「贄・・・?まさか!」 男:「あの娘・・・永くはないぞ。そしてあの少年も、この先このようなことが起きないようにせねばならん。」 橙花:「なん、で・・・?」 男:「「魔を統べる者」を滅ぼすために、我々は存在する。」 橙花:「・・・。」 男:「まさか・・・我々の時代に現れるとは、思いもしなかったが、な・・・。」 0:男の姿、再び掻(か)き消える。 橙花:「(辛さで泣き出しながら)ぐ・・・く、っ・・・!」 0:ほぼ同時刻。昴の部屋。 昴:「接吻(せっぷん)による魔法の譲渡・・・禁忌の行為・・・その代償・・・じゃあ彗は何で・・・?」 昴:「わからない・・・僕は・・・どうしたらいい・・・このままじゃ・・・時間がない・・・!」 0:続く。